部品実装装置
【課題】適切なタイミングで自動的に電源スイッチをON/OFFすることができる部品供給部を備えた部品実装装置を提供する。
【解決手段】フィーダバンク22の基台23の背面に、フィーダバンク22への電力供給を行うためのフローティングコネクタ29を設け、基台23を把持して固定するための把持機構にフローティングコネクタ29と接続可能なコネクタ75を設ける。フローティングコネクタ29とコネクタ75とは、把持機構で基台23を把持したときに接続される。このとき、フローティングコネクタ29とコネクタ75との接続及び接続解除を、フィーダバンク電源をオフした状態で行うと共に、フローティングコネクタ29とコネクタ75とを接続した後でフィーダバンク電源をオンするように電力供給源を制御する。
【解決手段】フィーダバンク22の基台23の背面に、フィーダバンク22への電力供給を行うためのフローティングコネクタ29を設け、基台23を把持して固定するための把持機構にフローティングコネクタ29と接続可能なコネクタ75を設ける。フローティングコネクタ29とコネクタ75とは、把持機構で基台23を把持したときに接続される。このとき、フローティングコネクタ29とコネクタ75との接続及び接続解除を、フィーダバンク電源をオフした状態で行うと共に、フローティングコネクタ29とコネクタ75とを接続した後でフィーダバンク電源をオンするように電力供給源を制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品供給部から電子部品等の部品を供給し、基板上に装着する部品実装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の部品実装装置としては、例えば特許文献1に記載の技術がある。この技術は、フィーダバンクごとテープフィーダの交換を行うものであり、ここでは、一括交換台車を用いて複数のテープフィーダを一括で交換している。
図16は、従来の部品実装装置101の本体部101Aを示す斜視図である。また、図17は、従来の部品実装装置101の構造を示す部分斜視図であり、一括交換台車102と本体部101Aのセット位置M1の一部分とを示している。この部品実装装置101は、本体部101Aと一括交換台車102とで構成され、本体部101Aに一括交換台車102が着脱可能に構成されている。
【0003】
使用時には、一括交換台車102をセット位置M1に挿入する。このとき、一括交換台車102の基台123が、本体部101Aの固定板171と上昇可動板172との間に配置される。その後、上昇可動板172を上昇させてフィーダバンク122を持ち上げることで、位置決めピン123aを固定板171のガイド穴171aに挿入し、基台123を固定板171と可動板172との間に挟んでフィーダバンク122を固定する。
【0004】
図18は、フィーダバンク122の下に設けられたフローティングコネクタ129と、セット位置M1に設けられたコネクタ175との詳細を示す図である。フローティングコネクタ129及びコネクタ175は、嵌合時に位置決めピンG3とガイド穴D4とにより位置決めされるようになっており、フィーダバンク122の上昇・固定時に自動的に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−244183号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載の部品実装装置にあっては、フィーダバンク122の上昇時にコネクタが自動的に接続されるだけであるため、コネクタ接続後、フィーダバンク122に電源、信号、エア等の供給を行うための電源スイッチをONする操作が別途必要となる。このように、作業者の操作を介入させる必要があり煩わしい。
また、誤って電源スイッチをONのままコネクタを接続したり取り外したりしてしまうおそれもある。この場合、コネクタ接点におけるアーク等の発生によって接点の寿命が消耗したり、接触時のチャタリングによる電圧変動の影響によって、回路故障の原因となったりする。
そこで、本発明は、適切なタイミングで自動的に電源スイッチをON/OFFすることができる部品供給部を備えた部品実装装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に係る部品実装装置は、本体部と該本体部の所定のセット位置から着脱可能な部品供給部とを備え、前記部品供給部から供給される部品を基板上の所定位置に装着する部品実装装置であって、前記本体部に設けられ、前記部品供給部の一部を把持することで、前記部品供給部を、部品供給を行う所定の作業位置で固定する把持体と、前記部品供給部に設けられ、当該部品供給部への電力供給を行う電力供給線を接続するための接続器と、前記把持体に設けられ、前記部品供給部を把持したときに前記接続器と接続される被接続器と、前記接続器と前記被接続器との接続及び接続解除を、前記電力供給を停止した状態で行うように、電力供給源を制御する電源制御手段と、前記セット位置に装着された前記部品供給部を前記把持体で把持した後、前記部品供給部を上下動させて前記作業位置に移動させるアクチュエータと、前記部品供給部が前記作業位置にセットされていることを検知する検知手段と、を備え、前記電源制御手段は、前記検知手段で前記部品供給部が前記作業位置にセットされていることを検知しているときに電力供給を行うように、前記電力供給源を制御することを特徴としている。
このように、電力供給を停止した状態で接続器と被接続器との接続及び接続解除を行うので、コネクタ接点におけるアーク等の発生によって接点の寿命が消耗したり、接触時のチャタリングによる電圧変動の影響によって回路故障が発生したりするのを防止することができる。
【0008】
また、接続器と被接続器とを接続した後に自動的に電力供給を開始することができるので、接続器と被接続器とを接続した後に作業者が電力供給を開始するための操作(電源スイッチのON操作など)を行う必要がない。
すなわち、部品供給部を本体部にセットする場合には、セット位置で部品供給部を把持体で把持して接続器と被接続器とを接続した後、アクチュエータを作動状態として部品供給部を作業位置まで移動し、部品供給部が当該作業位置にセットされたことを検知することで電力供給が開始される。したがって、必ず通電していない状態で接続器と被接続器とを接続することができると共に、接続器と被接続器とを接続した後に電力供給を開始することができる。
【0009】
また、部品供給部を本体部から分離する場合には、部品供給部を作業位置からセット位置へ向けて移動させたとき、自動的に電力供給を停止し、その後、セット位置で部品供給部と把持体とを引き離すことで接続器と被接続器との接続が解除されることになる。このように、自動的に電力供給を停止するので、作業者による電源の切り忘れを防止することができる。また、必ず通電していない状態で接続器と被接続器とを接続解除することができる。
【0010】
さらに、請求項2に係る部品実装装置は、請求項1に係る発明において、前記電源制御手段は、前記アクチュエータの作動開始後、前記検知手段で前記部品供給部が前記作業位置にセットされていることを検知しているときに、電力供給を行うように前記電力供給源を制御することを特徴としている。
このように、アクチュエータの作動開始後に、検知手段で部品供給部が前記作業位置にセットされていることを検知することを、電力供給開始の条件とするので、検知手段が作業位置に存在する部品供給部以外の物体を検知するなどにより、誤って電力供給が行われてしまうのを確実に防止することができる。
【0011】
また、請求項3に係る部品実装装置は、本体部と該本体部の所定のセット位置から着脱可能な部品供給部とを備え、前記部品供給部から供給される部品を基板上の所定位置に装着する部品実装装置であって、前記本体部に設けられ、前記部品供給部の一部を把持することで、前記部品供給部を、部品供給を行う所定の作業位置で固定する把持体と、前記部品供給部に設けられ、当該部品供給部への電力供給を行う電力供給線を接続するための接続器と、前記把持体に設けられ、前記部品供給部を把持したときに前記接続器と接続される被接続器と、前記接続器と前記被接続器との接続及び接続解除を、前記電力供給を停止した状態で行うように、電力供給源を制御する電源制御手段と、前記セット位置に装着された前記部品供給部を前記把持体で把持した後、前記部品供給部を上下動させて前記作業位置に移動させるアクチュエータと、前記接続器と前記被接続器との接続状態を検知する接続状態検知手段と、を備え、前記電源制御手段は、前記アクチュエータの作動開始後、前記接続状態検知手段で前記接続器と前記被接続器とが接続状態であることを検知しているときに、電力供給を行うように前記電力供給源を制御することを特徴としている。
【0012】
これにより、部品供給部を本体部にセットする場合には、セット位置で部品供給部を把持体で把持して接続器と被接続器とを接続したとき、これを検知してから電力供給が開始される。したがって、必ず通電していない状態で接続器と被接続器とを接続することができると共に、接続器と被接続器とを接続した後に電力供給を開始することができる。
【0013】
また、部品供給部を本体部から分離する場合には、部品供給部を作業位置からセット位置へ向けて移動させるべくアクチュエータの作動を停止したとき、自動的に電力供給を停止し、その後、セット位置で部品供給部と把持体とを引き離すことで接続器と被接続器との接続が解除されることになる。このように、自動的に電力供給を停止するので、作業者による電源の切り忘れを防止することができ、必ず通電していない状態で接続器と被接続器とを接続解除することができる。
【0014】
さらに、請求項4に係る部品実装装置は、請求項3に係る発明において、前記電源制御手段は、前記アクチュエータの作動開始後、前記接続状態検知手段で前記接続器と前記被接続器とが接続状態であることを検知してから所定時間後に、電力供給を開始するように前記電力供給源を制御することを特徴としている。
これにより、部品供給部を本体部にセットする場合には、接続器と被接続器とを接続してから電力供給が開始されるまでの間に、確実に遅延時間を設けることができる。したがって、接続器と被接続器との接続を行う際の安全性を向上させることができる。
【0015】
また、請求項5に係る部品実装装置は、請求項1〜4の何れかに係る発明において、前記接続器及び前記被接続器は、一方の接続口が上方向、他方の接続口が下方向を向くように設置されており、前記部品供給部を前記本体部から分離しているとき前記一方の接続口の上面を覆い、前記部品供給部の前記本体部からの着脱に応じて開閉する可動式のカバーを備えることを特徴としている。
【0016】
このように、部品供給部を本体部から分離しているときにカバーで接続口の上面を覆うので、接続口に異物が落下するのを防止することができる。したがって、接続口に異物が落下し放置された状態で接続器と被接続器との接続を行うことに起因するショート等の発生を防止することができる。 さらに、当該カバーを部品供給部の本体部からの着脱に応じて開閉させるので、部品供給部の装着時には、カバーを開状態としてカバーがコネクタ接続の妨げとなるのを防止することができると共に、部品供給部の分離時には、カバーを閉状態として確実にコネクタ上に異物が落下するのを防止することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、接続器と被接続器との接続及び接続解除を、電力供給を停止した状態で行うので、コネクタ接点におけるアーク等の発生によって接点の寿命が消耗したり、接触時のチャタリングによる電圧変動の影響によって回路故障が発生したりするのを防止することができ、安全性を確保することができる。また、接続器と被接続器とを接続した後で自動的に電力供給を開始するので、作業者による電源スイッチ等の操作が不要となり、作業者の作業時間を短縮することができる。
このように、作業性と信頼性とを向上させた部品実装装置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明における部品実装装置の全体構成を示す斜視図である。
【図2】部品実装装置のセット位置M1の構造を示す部分斜視図である。
【図3】フィーダバンクと把持機構との配置関係を模式的に示す図である。
【図4】フィーダバンク電源のON/OFF制御を行う電源制御手段の回路図である。
【図5】フィーダバンク取り付け時におけるタイミングチャートである。
【図6】フィーダバンク取り付け時におけるコネクタ部の状態を示す図である。
【図7】コネクタ接続状態を示す図である。
【図8】フィーダバンク取り外し時におけるタイミングチャートである。
【図9】フィーダバンク取り外し時におけるコネクタ部の状態を示す図である。
【図10】第2の実施形態のフィーダバンクと把持機構との配置関係を模式的に示す図である。
【図11】フィーダバンク電源のON/OFF制御を行う電源制御手段の回路図である。
【図12】フィーダバンク取り付け時のコネクタ未接続状態を示す図である。
【図13】フィーダバンク取り付け時におけるタイミングチャートである。
【図14】フィーダバンク取り付け時のコネクタ接続状態を示す図である。
【図15】フィーダバンク取り外し時におけるタイミングチャートである。
【図16】従来の部品実装装置の全体構成を示す斜視図である。
【図17】従来の部品実装装置の一括交換台車と本体側のセット位置の構造を示す部分斜視図である。
【図18】従来のコネクタ部の構造を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(第1の実施形態)
(構成)
図1は、本発明における部品実装装置1の本体部1Aを示す斜視図である。
図2は、部品実装装置1のセット位置M1の構造を示す部分斜視図であり、部品供給装置2と本体部1Aの一部分とを示している。
部品実装装置1は、本体部1Aと電子部品を供給するための部品供給装置2とを備え、部品供給装置2が本体部1Aのセット位置M1と分離・連結可能に構成されている。部品供給装置2は、一括交換台車を用いて、部品実装装置1の本体部1Aに複数のテープフィーダ3を装着するものである。
【0020】
本体部1Aには、外側を覆うケース6の内部に、所定の部品供給位置で部品を保持し所定の搭載位置で解放する搭載ヘッドや、この搭載ヘッドをX−Y方向に移送する移送装置、並びに基板を実装位置まで搬送し実装終了後に搬出する基板搬送装置などが設けられている。これらの構成は、一般的な部品実装装置と同様の構成であるため図示を省略する。
【0021】
また、図1において、符号11は基板の搬入口である。 図2に示す部品供給装置2は、一括交換台車を用いて複数のテープフィーダ3を一括で交換するものであり、下端部に設けられたキャスター21aにより床面上を自由に移動可能なキャリア21と、複数のテープフィーダ3を位置決めして固定保持するフィーダバンク22と、テープフィーダ3に電源供給や電気信号の入出力を行うための配電ブロック28と、配電ブロック28から伸びるケーブルを本体部1A側に接続するフローティングコネクタ29等を備えて構成される。
【0022】
フィーダバンク22は、基台23上に複数のテープフィーダ3を並列にまとめて固定保持するものである。
基台23には、位置決めピン23aと、ガイド穴23b,23cとが設けられている。この基台23は、ガイド穴23bに、キャリア21に設けられたガイド軸21bが挿通された状態で、キャリア21上に載置されており、ガイド軸21bに沿って昇降可能となっている。
【0023】
テープフィーダ3には電力供給源から電力(電源)を供給するためのケーブル34が伸びており、キャリア21の背面側に設けられた配電ブロック28にコネクタ(図示せず)を介して接続される。また、基台23の背面側には、接続口を下向きに配置されたフローティングコネクタ29が設けられている。フローティングコネクタ29は、本体部1Aに設けられた後述するコネクタ75に接続されるコネクタであり、フィーダバンク22に電源、信号等を供給するためのものである。このフローティングコネクタ29は、配電ブロック28に配線28aにより配線接続される。
【0024】
本体部1Aのセット位置M1には、フィーダバンク22の基台23の一部を把持して固定するための把持機構7と、フィーダバンク22下のフローティングコネクタ29に接続されるコネクタ75とが設けられている。コネクタ75は、フィーダバンク22が本体部1Aから電源、信号、エア等を受けるためのものであり、その接続口が上向きとなるように配置されている。
【0025】
把持機構7は、フィーダバンク22の基台23を位置決めするための固定板71と、昇降駆動して基台23を固定板71との間に把持固定する可動板72と、本体部1Aに設置された上昇スイッチ15のON/OFFにより可動板72を昇降駆動するアクチュエータ73とから構成される。アクチュエータ73は、上昇スイッチ15がOFFからONに切り替わることで作動(上昇)開始状態となり、上昇スイッチ15がONからOFFに切り替わることで非作動(下降)開始状態となる。
固定板71には、基台23の位置決めピン23aが挿入されるガイド穴71aが設けられている。また、可動板72には、基台23のガイド穴23cに挿入される位置決めピン72aが設けられている。コネクタ75は、可動板72に介設部材74を介して取り付けられており、可動板72の昇降移動に伴って同様に昇降移動する。
【0026】
また、本体部1Aのセット位置M1には、コネクタ75の接続口の上面を覆うように、後述する付勢部材を介して可動式のカバー76が設けられている。さらに、本体部1Aには、フィーダバンク22が上昇し固定されたことを検知するための近接センサである上昇検知センサ77が設けられている。
図3は、フィーダバンク22と把持機構7とのセット時の配置関係を模式的に示す図である。
【0027】
この図3に示すように、部品供給装置(一括交換台車)2を本体部1Aのセット位置M1に挿入したとき、フィーダバンク22(基台23)の背面がカバー76に当接する。このとき、フィーダバンク22は、カバー76を付勢部材76aで付勢する方向とは反対方向(図3における左側)に押して移動させることで、フローティングコネクタ29とコネクタ75とが対向する位置まで挿入される。
この挿入状態で、上昇スイッチ15をONしてアクチュエータ73を作動させると可動板72が上昇し、可動板72の上面がフィーダバンク22の基台23の下面に当接する。このとき、可動板72の位置決めピン72aが基台23のガイド穴23cに挿入されると共に、フローティングコネクタ29とコネクタ75とが接続される。
【0028】
そして、そのまま可動板72を上昇させてフィーダバンク22をガイド軸21bに沿って持ち上げると、基台23の位置決めピン23aが固定板71のガイド穴71aに挿入され、基台23は固定板71と可動板72との間に挟まれて固定される。
このように、セット位置M1に装着されたフィーダバンク22は、アクチュエータ73によって部品供給を行うための作業位置(ここでは、基台23の上面が固定板71の下面に当接する上昇ストロークの上限位置)まで上昇する。その際、セット位置M1で基台23が固定板71と可動板72とで把持されたとき、自動的にフローティングコネクタ29とコネクタ75とが接続される。
【0029】
ここで、上昇検知センサ77は、フィーダバンク22が作業位置にセットされていることを検知するものであって、フィーダバンク22が作業位置にセットされているときにON信号、フィーダバンク22が作業位置にセットされていないときにOFF信号を出力する。
本実施形態では、フィーダバンク22が本体部1Aにセットされてフローティングコネクタ29とコネクタ75とが接続された後で、フィーダバンク22の電源が自動的にONするように構成する。
【0030】
図4は、フィーダバンク電源のON/OFFを行う電源制御手段の回路図である。
フィーダバンク電源のON/OFF制御用回路は、2入力のAND回路41で構成される。AND回路41は、上昇スイッチ15のON/OFF信号と、上昇検知センサ77のON/OFF信号とを入力し、フィーダバンク電源のON/OFFするための信号を出力する。すなわち、フィーダバンク電源は、上昇スイッチ15と上昇検知センサ77との信号が共にONである場合にONとなり、少なくとも一方の信号がOFFである場合にはOFFとなる。
【0031】
なお、部品供給装置2が部品供給部に対応し、把持機構7が把持体に対応し、ケーブル34が電力供給線に対応し、フローティングコネクタ29が接続器に対応し、コネクタ75が被接続器に対応し、上昇検知センサ77が検知手段に対応し、AND回路41が電源制御手段に対応している。
【0032】
(動作)
次に、第1の実施形態の動作について説明する。
部品実装装置1にフィーダバンク22をセットしていない状態では、上昇スイッチ15と上昇検知センサ77との信号は共にOFF状態であるため、フィーダバンク電源はOFF状態となっている。また、このとき、コネクタ75の上面がカバー76で覆われた状態となっており、コネクタ75上に異物等が落下するのを防止している。
【0033】
この状態からフィーダバンク22をセットする場合には、先ず、フィーダバンク22上に新たなテープフィーダ3を装着した一括交換台車2を、部品実装装置1のセット位置M1に挿入する。このとき、フィーダバンク22を挿入することでコネクタ75上のカバー76を押し、当該カバー76を開く。そして、フローティングコネクタ29がコネクタ75と対向配置する位置までフィーダバンク22を挿入する。
【0034】
この状態で、作業者は、フィーダバンク22を上昇・固定するために、図5の時刻t1で上昇スイッチ15をONする。この時刻t1では、上昇スイッチ15の信号はONするが、フィーダバンク22は上昇・固定されておらず上昇検知センサ77はフィーダバンク22を検知していないため、上昇検知センサ77の信号はOFF状態を維持する。したがって、時刻t1ではフィーダバンク電源もOFF状態を維持する。
【0035】
図6は、上昇スイッチ15をONしたときの概略図である。この図6に示すように、上昇スイッチ15をONすると可動板72が上昇し、可動板72の位置決めピン72aが基台23のガイド穴23cに挿入されると共に、フローティングコネクタ29とコネクタ75とが接続される。このコネクタ接続の時刻をt2とする。このとき、図5に示すように、フローティングコネクタ29とコネクタ75とは接触状態となるが、上昇検知センサ77の信号はOFF状態を維持するため、フィーダバンク電源もOFF状態を維持する。
【0036】
その後、フローティングコネクタ29とコネクタ75とが接続された状態で、可動板72及びフィーダバンク22が上昇すると、図7に示すように、基台23の位置決めピン23aが固定板71のガイド穴71aに挿入され、基台23は固定板71と可動板72との間に挟まれて固定される。このとき、上昇検知センサ77は、フィーダバンク22が上昇・固定されたことを検知する。この時刻をt3とする。時刻t3では、上昇スイッチ15の信号と上昇検知センサ77の信号とが共にON状態となるため、図5に示すようにフィーダバンク電源がON状態に切り替わることになる。
【0037】
このように、上昇スイッチ15と上昇検知センサ77とが両方ともONの条件でフィーダバンク電源がONする構成とする。そのため、フィーダバンク電源がOFFした状態で可動板72を上昇させ、必ず通電していない状態でコネクタを接続することができる。また、上昇時は、フィーダバンク22の上昇の途中でコネクタが接続し、その後、上昇ストロークの上限付近で上昇検知センサ77がONしてフィーダバンク電源がONするため、必ずコネクタ接続後にフィーダバンク電源をONすることができる。
【0038】
また、下降時には、作業者が上昇スイッチ15をOFFすることでフィーダバンク22を下降させる。この場合、図8に示すように、時刻t11で上昇スイッチ15がOFFすると、それと同時にフィーダバンク電源がOFFすることになる。その後は可動板72が下降することでフィーダバンク22も下降し、時刻t12で上昇検知センサ77がOFFする。そして、さらに可動板72が下降すると、フローティングコネクタ29とコネクタ75とが引き外される。
【0039】
このように、下降時には、上昇スイッチ15がOFFすると同時にフィーダバンク電源をOFFすることができるので、必ず通電していない状態でコネクタを引き外すことができる。
また、フローティングコネクタ29とコネクタ75とが引き外された状態で、一括交換台車2を本体部1Aのセット位置M1から引き出すと、フィーダバンク22のカバー76への押圧力が解除され、図9に示すように、カバー76は付勢部材76aによって元のコネクタ75の上面を覆う位置に戻される。
【0040】
(効果)
このように、上記第1の実施形態では、必ず通電していない状態でコネクタ接続及び引き外しを行うことができるため、コネクタ接点にアーク等が発生するのを防止することができる。また、接触時のチャタリングによる電圧変動の影響を回路に与えることがないため、安定した動作を提供することができる。
さらに、フィーダバンクが上昇・固定されたときに自動的にフィーダバンクに電源が供給されるため、作業者による電源スイッチの操作を不要とすることができ、作業時間を短縮することができる。
また、フィーダバンクが下降したときに自動的にフィーダバンクへの電源供給が停止されるため、作業者の電源切り忘れを防止することができ、安全性の確保を実現することができる。
【0041】
また、本体部側に設けた上向き構造のコネクタにカバーを設けるので、コネクタ上に異物が落下するのを防止することができる。そのため、異物が落下している状態でコネクタ接続を行うことに起因してショート等が発生するのを防止することができ、安全性を確保することができる。
さらに、このカバーを、一括交換台車の着脱時に自動的に開閉する構造とするので、一括交換台車の装着時には、カバーを開状態としてカバーがコネクタ接続の妨げとなるのを防止することができると共に、一括交換台車の分離時には、カバーを閉状態として確実にコネクタ上に異物が落下するのを防止することができる。
【0042】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
この第2の実施形態は、前述した第1の実施形態において、上昇スイッチ15の信号と上昇検知センサ77の信号とを用いてフィーダバンク電源をON/OFF制御しているのに対し、上昇スイッチ15とコネクタ接続状態とを用いてフィーダバンク電源をON/OFF制御するようにしたものである。
【0043】
(構成)
図10は、第2の実施形態におけるフィーダバンク22と把持機構7との配置関係を模式的に示す図である。
図10に示すように、本実施形態の部品実装装置1は、図3に示す上昇検知センサ77を削除した構成となっている。
本実施形態では、前述した第1の実施形態と同様に、フィーダバンク22が本体部1Aにセットされてフローティングコネクタ29とコネクタ75とが接続された後、フィーダバンク22の電源が自動的にONするように構成されている。
図11は、フィーダバンク電源のON/OFF制御を行う電源制御手段の回路図である。
【0044】
フィーダバンク電源のON/OFF制御用回路は、AND回路42と、遅延回路43と、フィーダバンク有無検知回路44とで構成されている。
AND回路42には、上昇スイッチ15のON/OFF信号と、遅延回路43の出力信号とが入力される。遅延回路43は、フィーダバンク有無検知回路44の信号を所定の遅延時間を設けて出力する回路である。ここで、フィーダバンク有無検知回路44は、フローティングコネクタ29とコネクタ75とが接続状態であるときにONとなる信号を出力し、フローティングコネクタ29とコネクタ75とが非接続状態であるときにOFFとなる信号を出力する回路である。
【0045】
すなわち、フィーダバンク電源は、上昇スイッチ15がON状態であるとき、フィーダバンク有無検知回路44の信号がON状態となってから上記遅延時間が経過したときにONとなる。
なお、AND回路42及び遅延回路43が電源制御手段に対応し、フィーダバンク有無検知回路44が接続状態検知手段に対応している。
【0046】
(動作)
次に、第2の実施形態の動作について説明する。
部品実装装置1にフィーダバンク22をセットしていない状態からフィーダバンク22をセットする場合には、先ず、フィーダバンク22上に新たなテープフィーダ3を装着した一括交換台車2を、部品実装装置1のセット位置M1に挿入する。このとき、フィーダバンク22を挿入することでカバー76を押し、当該カバー76を開く。そして、フローティングコネクタ29がコネクタ75と対向配置する位置までフィーダバンク22を挿入する。この状態で、作業者は、フィーダバンク22を上昇・固定するために、上昇スイッチ15をONする。
【0047】
このとき、図12に示すように、フローティングコネクタ29とコネクタ75とは非接続状態であるため、フィーダバンク有無検知回路44の信号(フィーダバンク有無信号)は、フィーダバンク22が無いことを示すOFF状態となっている。したがって、上昇スイッチ15をONした時刻をt21とすると、図13に示すように、時刻t21ではフィーダバンク電源はOFF状態を維持する。
【0048】
その後、可動板72が上昇し、時刻t22でフローティングコネクタ29とコネクタ75とが接続されると、フィーダバンク有無信号は、フィーダバンク22が有ることを示すON状態に切り替わる。ところが、このとき、フィーダバンク有無検知回路44の出力信号は、遅延回路43を介してAND回路42へ入力されるため、この時刻t22ではフィーダバンク電源はOFF状態を維持する。
【0049】
そして、時刻t22から所定の遅延時間が経過した時刻t23で、遅延回路43の出力信号がONとなり、フィーダバンク電源がON状態に切り替わる。このときの状態図を図14に示す。
このように、上昇時には、フィーダバンク22の上昇の途中でコネクタが接続することで、フィーダバンク有無信号がONする。フィーダバンク有無信号は、遅延回路43を介してAND回路42に入力されるようになっているため、フィーダバンク有無信号がON状態となった後、遅れてフィーダバンク電源がONする。したがって、必ず通電していない状態でコネクタ接続し、コネクタ接続した後に電源を供給することができる。
【0050】
また、下降時には、作業者が上昇スイッチ15をOFFすることでフィーダバンク22を下降させる。この場合、図15に示すように、時刻t31で上昇スイッチ15がOFFすると、それと同時にフィーダバンク電源がOFFすることになる。このときの状態図は、図11に示すようになる。その後は可動板72が下降することでフィーダバンク22も下降し、時刻t32でフローティングコネクタ29とコネクタ75とが引き外される。すると、それと同時にフィーダバンク有無信号がOFF状態となる。
このように、下降時には、上昇スイッチ15がOFFすると同時にフィーダバンク電源をOFFすることができるので、必ず通電していない状態でコネクタを引き外すことができる。
【0051】
(効果)
このように、上記第2の実施形態では、前述した第1の実施形態と同様に、必ず通電していない状態でコネクタ接続及び引き外しを行うことができる。また、コネクタ接続後に自動的にフィーダバンクに電源を供給することができる。
このとき、フィーダバンク電源のON/OFF制御に上昇スイッチの信号とコネクタ接続状態を検知するフィーダバンク有無検知回路の信号とを用いるので、前述した第1の実施形態のような上昇検知センサを設ける必要がない。そのため、その分のコストを削減することができると共に、設計自由度を向上させることができる。
【0052】
(変形例)
なお、上記第1の実施形態においては、上昇スイッチ15の信号と上昇検知センサ77の信号とを用いてフィーダバンク電源のON/OFF制御を行う場合について説明したが、上昇検知センサ77の信号のみを用いてフィーダバンク電源のON/OFF制御を行うこともできる。このとき、上昇検知センサ77がON状態であるときにフィーダバンク電源をONし、上昇検知センサ77がOFF状態であるときにフィーダバンク電源をOFFするようにすればよい。
【0053】
この場合にも、フィーダバンク上昇時には、上昇途中でフローティングコネクタ29とコネクタ75とが接続された後、フィーダバンク22がさらに上昇して作業位置で固定されたときにフィーダバンク電源がONすることになる。また、フィーダバンク下降時には、フィーダバンク22が下降して作業位置から外れたときにフィーダバンク電源がOFFし、その後、フィーダバンク22がさらに下降してからローティングコネクタ29とコネクタ75とが引き外されることになる。このように、必ず通電していない状態でコネクタの抜き差しを行うことができる。
【0054】
また、上記第2の実施形態においては、フィーダバンク有無検知回路44の出力信号を、遅延回路43を介してAND回路42に入力する場合について説明したが、遅延回路43を省略することもできる。この場合、コネクタが接続してフィーダバンク有無信号がONした後、関連回路の遅延により遅れてフィーダバンク電源がONすることになる。したがって、必ずコネクタ接続後に遅れて通電させることが可能である。但し、意図的にフィーダバンク有無信号を遅延させる遅延回路42を設けた方が確実な効果を得られることは言うまでもない。
【0055】
さらに、上記各実施形態においては、コネクタ接続口を異物から保護する可動式のカバー76をコネクタ75の接続口の上方に設置する場合について説明したが、フローティングコネクタ29の接続口を上向き、コネクタ75の接続口を下向きとして配置した場合には、フローティングコネクタ29の接続口の上方に上記カバー76と同様の機能を有する可動式のカバーを設置するようにする。
【符号の説明】
【0056】
1…部品実装装置、1A…本体部、2…部品供給装置(一括交換台車)、3…テープフィーダ、15…上昇スイッチ、21…キャリア、21a…キャスター、22…フィーダバンク、23…基台、29…フローティングコネクタ、41…AND回路、42…AND回路、43…遅延回路、44…フィーダバンク有無検知回路、7…把持機構、71…固定板、72…可動板、75…コネクタ、76…カバー、76a…付勢部材、77…上昇検知センサ、M1…セット位置
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品供給部から電子部品等の部品を供給し、基板上に装着する部品実装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の部品実装装置としては、例えば特許文献1に記載の技術がある。この技術は、フィーダバンクごとテープフィーダの交換を行うものであり、ここでは、一括交換台車を用いて複数のテープフィーダを一括で交換している。
図16は、従来の部品実装装置101の本体部101Aを示す斜視図である。また、図17は、従来の部品実装装置101の構造を示す部分斜視図であり、一括交換台車102と本体部101Aのセット位置M1の一部分とを示している。この部品実装装置101は、本体部101Aと一括交換台車102とで構成され、本体部101Aに一括交換台車102が着脱可能に構成されている。
【0003】
使用時には、一括交換台車102をセット位置M1に挿入する。このとき、一括交換台車102の基台123が、本体部101Aの固定板171と上昇可動板172との間に配置される。その後、上昇可動板172を上昇させてフィーダバンク122を持ち上げることで、位置決めピン123aを固定板171のガイド穴171aに挿入し、基台123を固定板171と可動板172との間に挟んでフィーダバンク122を固定する。
【0004】
図18は、フィーダバンク122の下に設けられたフローティングコネクタ129と、セット位置M1に設けられたコネクタ175との詳細を示す図である。フローティングコネクタ129及びコネクタ175は、嵌合時に位置決めピンG3とガイド穴D4とにより位置決めされるようになっており、フィーダバンク122の上昇・固定時に自動的に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−244183号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載の部品実装装置にあっては、フィーダバンク122の上昇時にコネクタが自動的に接続されるだけであるため、コネクタ接続後、フィーダバンク122に電源、信号、エア等の供給を行うための電源スイッチをONする操作が別途必要となる。このように、作業者の操作を介入させる必要があり煩わしい。
また、誤って電源スイッチをONのままコネクタを接続したり取り外したりしてしまうおそれもある。この場合、コネクタ接点におけるアーク等の発生によって接点の寿命が消耗したり、接触時のチャタリングによる電圧変動の影響によって、回路故障の原因となったりする。
そこで、本発明は、適切なタイミングで自動的に電源スイッチをON/OFFすることができる部品供給部を備えた部品実装装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に係る部品実装装置は、本体部と該本体部の所定のセット位置から着脱可能な部品供給部とを備え、前記部品供給部から供給される部品を基板上の所定位置に装着する部品実装装置であって、前記本体部に設けられ、前記部品供給部の一部を把持することで、前記部品供給部を、部品供給を行う所定の作業位置で固定する把持体と、前記部品供給部に設けられ、当該部品供給部への電力供給を行う電力供給線を接続するための接続器と、前記把持体に設けられ、前記部品供給部を把持したときに前記接続器と接続される被接続器と、前記接続器と前記被接続器との接続及び接続解除を、前記電力供給を停止した状態で行うように、電力供給源を制御する電源制御手段と、前記セット位置に装着された前記部品供給部を前記把持体で把持した後、前記部品供給部を上下動させて前記作業位置に移動させるアクチュエータと、前記部品供給部が前記作業位置にセットされていることを検知する検知手段と、を備え、前記電源制御手段は、前記検知手段で前記部品供給部が前記作業位置にセットされていることを検知しているときに電力供給を行うように、前記電力供給源を制御することを特徴としている。
このように、電力供給を停止した状態で接続器と被接続器との接続及び接続解除を行うので、コネクタ接点におけるアーク等の発生によって接点の寿命が消耗したり、接触時のチャタリングによる電圧変動の影響によって回路故障が発生したりするのを防止することができる。
【0008】
また、接続器と被接続器とを接続した後に自動的に電力供給を開始することができるので、接続器と被接続器とを接続した後に作業者が電力供給を開始するための操作(電源スイッチのON操作など)を行う必要がない。
すなわち、部品供給部を本体部にセットする場合には、セット位置で部品供給部を把持体で把持して接続器と被接続器とを接続した後、アクチュエータを作動状態として部品供給部を作業位置まで移動し、部品供給部が当該作業位置にセットされたことを検知することで電力供給が開始される。したがって、必ず通電していない状態で接続器と被接続器とを接続することができると共に、接続器と被接続器とを接続した後に電力供給を開始することができる。
【0009】
また、部品供給部を本体部から分離する場合には、部品供給部を作業位置からセット位置へ向けて移動させたとき、自動的に電力供給を停止し、その後、セット位置で部品供給部と把持体とを引き離すことで接続器と被接続器との接続が解除されることになる。このように、自動的に電力供給を停止するので、作業者による電源の切り忘れを防止することができる。また、必ず通電していない状態で接続器と被接続器とを接続解除することができる。
【0010】
さらに、請求項2に係る部品実装装置は、請求項1に係る発明において、前記電源制御手段は、前記アクチュエータの作動開始後、前記検知手段で前記部品供給部が前記作業位置にセットされていることを検知しているときに、電力供給を行うように前記電力供給源を制御することを特徴としている。
このように、アクチュエータの作動開始後に、検知手段で部品供給部が前記作業位置にセットされていることを検知することを、電力供給開始の条件とするので、検知手段が作業位置に存在する部品供給部以外の物体を検知するなどにより、誤って電力供給が行われてしまうのを確実に防止することができる。
【0011】
また、請求項3に係る部品実装装置は、本体部と該本体部の所定のセット位置から着脱可能な部品供給部とを備え、前記部品供給部から供給される部品を基板上の所定位置に装着する部品実装装置であって、前記本体部に設けられ、前記部品供給部の一部を把持することで、前記部品供給部を、部品供給を行う所定の作業位置で固定する把持体と、前記部品供給部に設けられ、当該部品供給部への電力供給を行う電力供給線を接続するための接続器と、前記把持体に設けられ、前記部品供給部を把持したときに前記接続器と接続される被接続器と、前記接続器と前記被接続器との接続及び接続解除を、前記電力供給を停止した状態で行うように、電力供給源を制御する電源制御手段と、前記セット位置に装着された前記部品供給部を前記把持体で把持した後、前記部品供給部を上下動させて前記作業位置に移動させるアクチュエータと、前記接続器と前記被接続器との接続状態を検知する接続状態検知手段と、を備え、前記電源制御手段は、前記アクチュエータの作動開始後、前記接続状態検知手段で前記接続器と前記被接続器とが接続状態であることを検知しているときに、電力供給を行うように前記電力供給源を制御することを特徴としている。
【0012】
これにより、部品供給部を本体部にセットする場合には、セット位置で部品供給部を把持体で把持して接続器と被接続器とを接続したとき、これを検知してから電力供給が開始される。したがって、必ず通電していない状態で接続器と被接続器とを接続することができると共に、接続器と被接続器とを接続した後に電力供給を開始することができる。
【0013】
また、部品供給部を本体部から分離する場合には、部品供給部を作業位置からセット位置へ向けて移動させるべくアクチュエータの作動を停止したとき、自動的に電力供給を停止し、その後、セット位置で部品供給部と把持体とを引き離すことで接続器と被接続器との接続が解除されることになる。このように、自動的に電力供給を停止するので、作業者による電源の切り忘れを防止することができ、必ず通電していない状態で接続器と被接続器とを接続解除することができる。
【0014】
さらに、請求項4に係る部品実装装置は、請求項3に係る発明において、前記電源制御手段は、前記アクチュエータの作動開始後、前記接続状態検知手段で前記接続器と前記被接続器とが接続状態であることを検知してから所定時間後に、電力供給を開始するように前記電力供給源を制御することを特徴としている。
これにより、部品供給部を本体部にセットする場合には、接続器と被接続器とを接続してから電力供給が開始されるまでの間に、確実に遅延時間を設けることができる。したがって、接続器と被接続器との接続を行う際の安全性を向上させることができる。
【0015】
また、請求項5に係る部品実装装置は、請求項1〜4の何れかに係る発明において、前記接続器及び前記被接続器は、一方の接続口が上方向、他方の接続口が下方向を向くように設置されており、前記部品供給部を前記本体部から分離しているとき前記一方の接続口の上面を覆い、前記部品供給部の前記本体部からの着脱に応じて開閉する可動式のカバーを備えることを特徴としている。
【0016】
このように、部品供給部を本体部から分離しているときにカバーで接続口の上面を覆うので、接続口に異物が落下するのを防止することができる。したがって、接続口に異物が落下し放置された状態で接続器と被接続器との接続を行うことに起因するショート等の発生を防止することができる。 さらに、当該カバーを部品供給部の本体部からの着脱に応じて開閉させるので、部品供給部の装着時には、カバーを開状態としてカバーがコネクタ接続の妨げとなるのを防止することができると共に、部品供給部の分離時には、カバーを閉状態として確実にコネクタ上に異物が落下するのを防止することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、接続器と被接続器との接続及び接続解除を、電力供給を停止した状態で行うので、コネクタ接点におけるアーク等の発生によって接点の寿命が消耗したり、接触時のチャタリングによる電圧変動の影響によって回路故障が発生したりするのを防止することができ、安全性を確保することができる。また、接続器と被接続器とを接続した後で自動的に電力供給を開始するので、作業者による電源スイッチ等の操作が不要となり、作業者の作業時間を短縮することができる。
このように、作業性と信頼性とを向上させた部品実装装置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明における部品実装装置の全体構成を示す斜視図である。
【図2】部品実装装置のセット位置M1の構造を示す部分斜視図である。
【図3】フィーダバンクと把持機構との配置関係を模式的に示す図である。
【図4】フィーダバンク電源のON/OFF制御を行う電源制御手段の回路図である。
【図5】フィーダバンク取り付け時におけるタイミングチャートである。
【図6】フィーダバンク取り付け時におけるコネクタ部の状態を示す図である。
【図7】コネクタ接続状態を示す図である。
【図8】フィーダバンク取り外し時におけるタイミングチャートである。
【図9】フィーダバンク取り外し時におけるコネクタ部の状態を示す図である。
【図10】第2の実施形態のフィーダバンクと把持機構との配置関係を模式的に示す図である。
【図11】フィーダバンク電源のON/OFF制御を行う電源制御手段の回路図である。
【図12】フィーダバンク取り付け時のコネクタ未接続状態を示す図である。
【図13】フィーダバンク取り付け時におけるタイミングチャートである。
【図14】フィーダバンク取り付け時のコネクタ接続状態を示す図である。
【図15】フィーダバンク取り外し時におけるタイミングチャートである。
【図16】従来の部品実装装置の全体構成を示す斜視図である。
【図17】従来の部品実装装置の一括交換台車と本体側のセット位置の構造を示す部分斜視図である。
【図18】従来のコネクタ部の構造を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(第1の実施形態)
(構成)
図1は、本発明における部品実装装置1の本体部1Aを示す斜視図である。
図2は、部品実装装置1のセット位置M1の構造を示す部分斜視図であり、部品供給装置2と本体部1Aの一部分とを示している。
部品実装装置1は、本体部1Aと電子部品を供給するための部品供給装置2とを備え、部品供給装置2が本体部1Aのセット位置M1と分離・連結可能に構成されている。部品供給装置2は、一括交換台車を用いて、部品実装装置1の本体部1Aに複数のテープフィーダ3を装着するものである。
【0020】
本体部1Aには、外側を覆うケース6の内部に、所定の部品供給位置で部品を保持し所定の搭載位置で解放する搭載ヘッドや、この搭載ヘッドをX−Y方向に移送する移送装置、並びに基板を実装位置まで搬送し実装終了後に搬出する基板搬送装置などが設けられている。これらの構成は、一般的な部品実装装置と同様の構成であるため図示を省略する。
【0021】
また、図1において、符号11は基板の搬入口である。 図2に示す部品供給装置2は、一括交換台車を用いて複数のテープフィーダ3を一括で交換するものであり、下端部に設けられたキャスター21aにより床面上を自由に移動可能なキャリア21と、複数のテープフィーダ3を位置決めして固定保持するフィーダバンク22と、テープフィーダ3に電源供給や電気信号の入出力を行うための配電ブロック28と、配電ブロック28から伸びるケーブルを本体部1A側に接続するフローティングコネクタ29等を備えて構成される。
【0022】
フィーダバンク22は、基台23上に複数のテープフィーダ3を並列にまとめて固定保持するものである。
基台23には、位置決めピン23aと、ガイド穴23b,23cとが設けられている。この基台23は、ガイド穴23bに、キャリア21に設けられたガイド軸21bが挿通された状態で、キャリア21上に載置されており、ガイド軸21bに沿って昇降可能となっている。
【0023】
テープフィーダ3には電力供給源から電力(電源)を供給するためのケーブル34が伸びており、キャリア21の背面側に設けられた配電ブロック28にコネクタ(図示せず)を介して接続される。また、基台23の背面側には、接続口を下向きに配置されたフローティングコネクタ29が設けられている。フローティングコネクタ29は、本体部1Aに設けられた後述するコネクタ75に接続されるコネクタであり、フィーダバンク22に電源、信号等を供給するためのものである。このフローティングコネクタ29は、配電ブロック28に配線28aにより配線接続される。
【0024】
本体部1Aのセット位置M1には、フィーダバンク22の基台23の一部を把持して固定するための把持機構7と、フィーダバンク22下のフローティングコネクタ29に接続されるコネクタ75とが設けられている。コネクタ75は、フィーダバンク22が本体部1Aから電源、信号、エア等を受けるためのものであり、その接続口が上向きとなるように配置されている。
【0025】
把持機構7は、フィーダバンク22の基台23を位置決めするための固定板71と、昇降駆動して基台23を固定板71との間に把持固定する可動板72と、本体部1Aに設置された上昇スイッチ15のON/OFFにより可動板72を昇降駆動するアクチュエータ73とから構成される。アクチュエータ73は、上昇スイッチ15がOFFからONに切り替わることで作動(上昇)開始状態となり、上昇スイッチ15がONからOFFに切り替わることで非作動(下降)開始状態となる。
固定板71には、基台23の位置決めピン23aが挿入されるガイド穴71aが設けられている。また、可動板72には、基台23のガイド穴23cに挿入される位置決めピン72aが設けられている。コネクタ75は、可動板72に介設部材74を介して取り付けられており、可動板72の昇降移動に伴って同様に昇降移動する。
【0026】
また、本体部1Aのセット位置M1には、コネクタ75の接続口の上面を覆うように、後述する付勢部材を介して可動式のカバー76が設けられている。さらに、本体部1Aには、フィーダバンク22が上昇し固定されたことを検知するための近接センサである上昇検知センサ77が設けられている。
図3は、フィーダバンク22と把持機構7とのセット時の配置関係を模式的に示す図である。
【0027】
この図3に示すように、部品供給装置(一括交換台車)2を本体部1Aのセット位置M1に挿入したとき、フィーダバンク22(基台23)の背面がカバー76に当接する。このとき、フィーダバンク22は、カバー76を付勢部材76aで付勢する方向とは反対方向(図3における左側)に押して移動させることで、フローティングコネクタ29とコネクタ75とが対向する位置まで挿入される。
この挿入状態で、上昇スイッチ15をONしてアクチュエータ73を作動させると可動板72が上昇し、可動板72の上面がフィーダバンク22の基台23の下面に当接する。このとき、可動板72の位置決めピン72aが基台23のガイド穴23cに挿入されると共に、フローティングコネクタ29とコネクタ75とが接続される。
【0028】
そして、そのまま可動板72を上昇させてフィーダバンク22をガイド軸21bに沿って持ち上げると、基台23の位置決めピン23aが固定板71のガイド穴71aに挿入され、基台23は固定板71と可動板72との間に挟まれて固定される。
このように、セット位置M1に装着されたフィーダバンク22は、アクチュエータ73によって部品供給を行うための作業位置(ここでは、基台23の上面が固定板71の下面に当接する上昇ストロークの上限位置)まで上昇する。その際、セット位置M1で基台23が固定板71と可動板72とで把持されたとき、自動的にフローティングコネクタ29とコネクタ75とが接続される。
【0029】
ここで、上昇検知センサ77は、フィーダバンク22が作業位置にセットされていることを検知するものであって、フィーダバンク22が作業位置にセットされているときにON信号、フィーダバンク22が作業位置にセットされていないときにOFF信号を出力する。
本実施形態では、フィーダバンク22が本体部1Aにセットされてフローティングコネクタ29とコネクタ75とが接続された後で、フィーダバンク22の電源が自動的にONするように構成する。
【0030】
図4は、フィーダバンク電源のON/OFFを行う電源制御手段の回路図である。
フィーダバンク電源のON/OFF制御用回路は、2入力のAND回路41で構成される。AND回路41は、上昇スイッチ15のON/OFF信号と、上昇検知センサ77のON/OFF信号とを入力し、フィーダバンク電源のON/OFFするための信号を出力する。すなわち、フィーダバンク電源は、上昇スイッチ15と上昇検知センサ77との信号が共にONである場合にONとなり、少なくとも一方の信号がOFFである場合にはOFFとなる。
【0031】
なお、部品供給装置2が部品供給部に対応し、把持機構7が把持体に対応し、ケーブル34が電力供給線に対応し、フローティングコネクタ29が接続器に対応し、コネクタ75が被接続器に対応し、上昇検知センサ77が検知手段に対応し、AND回路41が電源制御手段に対応している。
【0032】
(動作)
次に、第1の実施形態の動作について説明する。
部品実装装置1にフィーダバンク22をセットしていない状態では、上昇スイッチ15と上昇検知センサ77との信号は共にOFF状態であるため、フィーダバンク電源はOFF状態となっている。また、このとき、コネクタ75の上面がカバー76で覆われた状態となっており、コネクタ75上に異物等が落下するのを防止している。
【0033】
この状態からフィーダバンク22をセットする場合には、先ず、フィーダバンク22上に新たなテープフィーダ3を装着した一括交換台車2を、部品実装装置1のセット位置M1に挿入する。このとき、フィーダバンク22を挿入することでコネクタ75上のカバー76を押し、当該カバー76を開く。そして、フローティングコネクタ29がコネクタ75と対向配置する位置までフィーダバンク22を挿入する。
【0034】
この状態で、作業者は、フィーダバンク22を上昇・固定するために、図5の時刻t1で上昇スイッチ15をONする。この時刻t1では、上昇スイッチ15の信号はONするが、フィーダバンク22は上昇・固定されておらず上昇検知センサ77はフィーダバンク22を検知していないため、上昇検知センサ77の信号はOFF状態を維持する。したがって、時刻t1ではフィーダバンク電源もOFF状態を維持する。
【0035】
図6は、上昇スイッチ15をONしたときの概略図である。この図6に示すように、上昇スイッチ15をONすると可動板72が上昇し、可動板72の位置決めピン72aが基台23のガイド穴23cに挿入されると共に、フローティングコネクタ29とコネクタ75とが接続される。このコネクタ接続の時刻をt2とする。このとき、図5に示すように、フローティングコネクタ29とコネクタ75とは接触状態となるが、上昇検知センサ77の信号はOFF状態を維持するため、フィーダバンク電源もOFF状態を維持する。
【0036】
その後、フローティングコネクタ29とコネクタ75とが接続された状態で、可動板72及びフィーダバンク22が上昇すると、図7に示すように、基台23の位置決めピン23aが固定板71のガイド穴71aに挿入され、基台23は固定板71と可動板72との間に挟まれて固定される。このとき、上昇検知センサ77は、フィーダバンク22が上昇・固定されたことを検知する。この時刻をt3とする。時刻t3では、上昇スイッチ15の信号と上昇検知センサ77の信号とが共にON状態となるため、図5に示すようにフィーダバンク電源がON状態に切り替わることになる。
【0037】
このように、上昇スイッチ15と上昇検知センサ77とが両方ともONの条件でフィーダバンク電源がONする構成とする。そのため、フィーダバンク電源がOFFした状態で可動板72を上昇させ、必ず通電していない状態でコネクタを接続することができる。また、上昇時は、フィーダバンク22の上昇の途中でコネクタが接続し、その後、上昇ストロークの上限付近で上昇検知センサ77がONしてフィーダバンク電源がONするため、必ずコネクタ接続後にフィーダバンク電源をONすることができる。
【0038】
また、下降時には、作業者が上昇スイッチ15をOFFすることでフィーダバンク22を下降させる。この場合、図8に示すように、時刻t11で上昇スイッチ15がOFFすると、それと同時にフィーダバンク電源がOFFすることになる。その後は可動板72が下降することでフィーダバンク22も下降し、時刻t12で上昇検知センサ77がOFFする。そして、さらに可動板72が下降すると、フローティングコネクタ29とコネクタ75とが引き外される。
【0039】
このように、下降時には、上昇スイッチ15がOFFすると同時にフィーダバンク電源をOFFすることができるので、必ず通電していない状態でコネクタを引き外すことができる。
また、フローティングコネクタ29とコネクタ75とが引き外された状態で、一括交換台車2を本体部1Aのセット位置M1から引き出すと、フィーダバンク22のカバー76への押圧力が解除され、図9に示すように、カバー76は付勢部材76aによって元のコネクタ75の上面を覆う位置に戻される。
【0040】
(効果)
このように、上記第1の実施形態では、必ず通電していない状態でコネクタ接続及び引き外しを行うことができるため、コネクタ接点にアーク等が発生するのを防止することができる。また、接触時のチャタリングによる電圧変動の影響を回路に与えることがないため、安定した動作を提供することができる。
さらに、フィーダバンクが上昇・固定されたときに自動的にフィーダバンクに電源が供給されるため、作業者による電源スイッチの操作を不要とすることができ、作業時間を短縮することができる。
また、フィーダバンクが下降したときに自動的にフィーダバンクへの電源供給が停止されるため、作業者の電源切り忘れを防止することができ、安全性の確保を実現することができる。
【0041】
また、本体部側に設けた上向き構造のコネクタにカバーを設けるので、コネクタ上に異物が落下するのを防止することができる。そのため、異物が落下している状態でコネクタ接続を行うことに起因してショート等が発生するのを防止することができ、安全性を確保することができる。
さらに、このカバーを、一括交換台車の着脱時に自動的に開閉する構造とするので、一括交換台車の装着時には、カバーを開状態としてカバーがコネクタ接続の妨げとなるのを防止することができると共に、一括交換台車の分離時には、カバーを閉状態として確実にコネクタ上に異物が落下するのを防止することができる。
【0042】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
この第2の実施形態は、前述した第1の実施形態において、上昇スイッチ15の信号と上昇検知センサ77の信号とを用いてフィーダバンク電源をON/OFF制御しているのに対し、上昇スイッチ15とコネクタ接続状態とを用いてフィーダバンク電源をON/OFF制御するようにしたものである。
【0043】
(構成)
図10は、第2の実施形態におけるフィーダバンク22と把持機構7との配置関係を模式的に示す図である。
図10に示すように、本実施形態の部品実装装置1は、図3に示す上昇検知センサ77を削除した構成となっている。
本実施形態では、前述した第1の実施形態と同様に、フィーダバンク22が本体部1Aにセットされてフローティングコネクタ29とコネクタ75とが接続された後、フィーダバンク22の電源が自動的にONするように構成されている。
図11は、フィーダバンク電源のON/OFF制御を行う電源制御手段の回路図である。
【0044】
フィーダバンク電源のON/OFF制御用回路は、AND回路42と、遅延回路43と、フィーダバンク有無検知回路44とで構成されている。
AND回路42には、上昇スイッチ15のON/OFF信号と、遅延回路43の出力信号とが入力される。遅延回路43は、フィーダバンク有無検知回路44の信号を所定の遅延時間を設けて出力する回路である。ここで、フィーダバンク有無検知回路44は、フローティングコネクタ29とコネクタ75とが接続状態であるときにONとなる信号を出力し、フローティングコネクタ29とコネクタ75とが非接続状態であるときにOFFとなる信号を出力する回路である。
【0045】
すなわち、フィーダバンク電源は、上昇スイッチ15がON状態であるとき、フィーダバンク有無検知回路44の信号がON状態となってから上記遅延時間が経過したときにONとなる。
なお、AND回路42及び遅延回路43が電源制御手段に対応し、フィーダバンク有無検知回路44が接続状態検知手段に対応している。
【0046】
(動作)
次に、第2の実施形態の動作について説明する。
部品実装装置1にフィーダバンク22をセットしていない状態からフィーダバンク22をセットする場合には、先ず、フィーダバンク22上に新たなテープフィーダ3を装着した一括交換台車2を、部品実装装置1のセット位置M1に挿入する。このとき、フィーダバンク22を挿入することでカバー76を押し、当該カバー76を開く。そして、フローティングコネクタ29がコネクタ75と対向配置する位置までフィーダバンク22を挿入する。この状態で、作業者は、フィーダバンク22を上昇・固定するために、上昇スイッチ15をONする。
【0047】
このとき、図12に示すように、フローティングコネクタ29とコネクタ75とは非接続状態であるため、フィーダバンク有無検知回路44の信号(フィーダバンク有無信号)は、フィーダバンク22が無いことを示すOFF状態となっている。したがって、上昇スイッチ15をONした時刻をt21とすると、図13に示すように、時刻t21ではフィーダバンク電源はOFF状態を維持する。
【0048】
その後、可動板72が上昇し、時刻t22でフローティングコネクタ29とコネクタ75とが接続されると、フィーダバンク有無信号は、フィーダバンク22が有ることを示すON状態に切り替わる。ところが、このとき、フィーダバンク有無検知回路44の出力信号は、遅延回路43を介してAND回路42へ入力されるため、この時刻t22ではフィーダバンク電源はOFF状態を維持する。
【0049】
そして、時刻t22から所定の遅延時間が経過した時刻t23で、遅延回路43の出力信号がONとなり、フィーダバンク電源がON状態に切り替わる。このときの状態図を図14に示す。
このように、上昇時には、フィーダバンク22の上昇の途中でコネクタが接続することで、フィーダバンク有無信号がONする。フィーダバンク有無信号は、遅延回路43を介してAND回路42に入力されるようになっているため、フィーダバンク有無信号がON状態となった後、遅れてフィーダバンク電源がONする。したがって、必ず通電していない状態でコネクタ接続し、コネクタ接続した後に電源を供給することができる。
【0050】
また、下降時には、作業者が上昇スイッチ15をOFFすることでフィーダバンク22を下降させる。この場合、図15に示すように、時刻t31で上昇スイッチ15がOFFすると、それと同時にフィーダバンク電源がOFFすることになる。このときの状態図は、図11に示すようになる。その後は可動板72が下降することでフィーダバンク22も下降し、時刻t32でフローティングコネクタ29とコネクタ75とが引き外される。すると、それと同時にフィーダバンク有無信号がOFF状態となる。
このように、下降時には、上昇スイッチ15がOFFすると同時にフィーダバンク電源をOFFすることができるので、必ず通電していない状態でコネクタを引き外すことができる。
【0051】
(効果)
このように、上記第2の実施形態では、前述した第1の実施形態と同様に、必ず通電していない状態でコネクタ接続及び引き外しを行うことができる。また、コネクタ接続後に自動的にフィーダバンクに電源を供給することができる。
このとき、フィーダバンク電源のON/OFF制御に上昇スイッチの信号とコネクタ接続状態を検知するフィーダバンク有無検知回路の信号とを用いるので、前述した第1の実施形態のような上昇検知センサを設ける必要がない。そのため、その分のコストを削減することができると共に、設計自由度を向上させることができる。
【0052】
(変形例)
なお、上記第1の実施形態においては、上昇スイッチ15の信号と上昇検知センサ77の信号とを用いてフィーダバンク電源のON/OFF制御を行う場合について説明したが、上昇検知センサ77の信号のみを用いてフィーダバンク電源のON/OFF制御を行うこともできる。このとき、上昇検知センサ77がON状態であるときにフィーダバンク電源をONし、上昇検知センサ77がOFF状態であるときにフィーダバンク電源をOFFするようにすればよい。
【0053】
この場合にも、フィーダバンク上昇時には、上昇途中でフローティングコネクタ29とコネクタ75とが接続された後、フィーダバンク22がさらに上昇して作業位置で固定されたときにフィーダバンク電源がONすることになる。また、フィーダバンク下降時には、フィーダバンク22が下降して作業位置から外れたときにフィーダバンク電源がOFFし、その後、フィーダバンク22がさらに下降してからローティングコネクタ29とコネクタ75とが引き外されることになる。このように、必ず通電していない状態でコネクタの抜き差しを行うことができる。
【0054】
また、上記第2の実施形態においては、フィーダバンク有無検知回路44の出力信号を、遅延回路43を介してAND回路42に入力する場合について説明したが、遅延回路43を省略することもできる。この場合、コネクタが接続してフィーダバンク有無信号がONした後、関連回路の遅延により遅れてフィーダバンク電源がONすることになる。したがって、必ずコネクタ接続後に遅れて通電させることが可能である。但し、意図的にフィーダバンク有無信号を遅延させる遅延回路42を設けた方が確実な効果を得られることは言うまでもない。
【0055】
さらに、上記各実施形態においては、コネクタ接続口を異物から保護する可動式のカバー76をコネクタ75の接続口の上方に設置する場合について説明したが、フローティングコネクタ29の接続口を上向き、コネクタ75の接続口を下向きとして配置した場合には、フローティングコネクタ29の接続口の上方に上記カバー76と同様の機能を有する可動式のカバーを設置するようにする。
【符号の説明】
【0056】
1…部品実装装置、1A…本体部、2…部品供給装置(一括交換台車)、3…テープフィーダ、15…上昇スイッチ、21…キャリア、21a…キャスター、22…フィーダバンク、23…基台、29…フローティングコネクタ、41…AND回路、42…AND回路、43…遅延回路、44…フィーダバンク有無検知回路、7…把持機構、71…固定板、72…可動板、75…コネクタ、76…カバー、76a…付勢部材、77…上昇検知センサ、M1…セット位置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と該本体部の所定のセット位置から着脱可能な部品供給部とを備え、前記部品供給部から供給される部品を基板上の所定位置に装着する部品実装装置であって、
前記本体部に設けられ、前記部品供給部の一部を把持することで、前記部品供給部を、部品供給を行う所定の作業位置で固定する把持体と、
前記部品供給部に設けられ、当該部品供給部への電力供給を行う電力供給線を接続するための接続器と、
前記把持体に設けられ、前記部品供給部を把持したときに前記接続器と接続される被接続器と、
前記接続器と前記被接続器との接続及び接続解除を、前記電力供給を停止した状態で行うように、電力供給源を制御する電源制御手段と、
前記セット位置に装着された前記部品供給部を前記把持体で把持した後、前記部品供給部を上下動させて前記作業位置に移動させるアクチュエータと、
前記部品供給部が前記作業位置にセットされていることを検知する検知手段と、を備え、
前記電源制御手段は、前記検知手段で前記部品供給部が前記作業位置にセットされていることを検知しているときに電力供給を行うように、前記電力供給源を制御することを特徴とする部品実装装置。
【請求項2】
前記電源制御手段は、前記アクチュエータの作動開始後、前記検知手段で前記部品供給部が前記作業位置にセットされていることを検知しているときに、電力供給を行うように前記電力供給源を制御することを特徴とする請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項3】
本体部と該本体部の所定のセット位置から着脱可能な部品供給部とを備え、前記部品供給部から供給される部品を基板上の所定位置に装着する部品実装装置であって、
前記本体部に設けられ、前記部品供給部の一部を把持することで、前記部品供給部を、部品供給を行う所定の作業位置で固定する把持体と、
前記部品供給部に設けられ、当該部品供給部への電力供給を行う電力供給線を接続するための接続器と、
前記把持体に設けられ、前記部品供給部を把持したときに前記接続器と接続される被接続器と、
前記接続器と前記被接続器との接続及び接続解除を、前記電力供給を停止した状態で行うように、電力供給源を制御する電源制御手段と、
前記セット位置に装着された前記部品供給部を前記把持体で把持した後、前記部品供給部を上下動させて前記作業位置に移動させるアクチュエータと、
前記接続器と前記被接続器との接続状態を検知する接続状態検知手段と、を備え、
前記電源制御手段は、前記アクチュエータの作動開始後、前記接続状態検知手段で前記接続器と前記被接続器とが接続状態であることを検知しているときに、電力供給を行うように前記電力供給源を制御することを特徴とする部品実装装置。
【請求項4】
前記電源制御手段は、前記アクチュエータの作動開始後、前記接続状態検知手段で前記接続器と前記被接続器とが接続状態であることを検知してから所定時間後に、電力供給を開始するように前記電力供給源を制御することを特徴とする請求項3に記載の部品実装装置。
【請求項5】
前記接続器及び前記被接続器は、一方の接続口が上方向、他方の接続口が下方向を向くように設置されており、
前記部品供給部を前記本体部から分離しているとき前記一方の接続口の上面を覆い、前記部品供給部の前記本体部からの着脱に応じて開閉する可動式のカバーを備えることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の部品実装装置。
【請求項1】
本体部と該本体部の所定のセット位置から着脱可能な部品供給部とを備え、前記部品供給部から供給される部品を基板上の所定位置に装着する部品実装装置であって、
前記本体部に設けられ、前記部品供給部の一部を把持することで、前記部品供給部を、部品供給を行う所定の作業位置で固定する把持体と、
前記部品供給部に設けられ、当該部品供給部への電力供給を行う電力供給線を接続するための接続器と、
前記把持体に設けられ、前記部品供給部を把持したときに前記接続器と接続される被接続器と、
前記接続器と前記被接続器との接続及び接続解除を、前記電力供給を停止した状態で行うように、電力供給源を制御する電源制御手段と、
前記セット位置に装着された前記部品供給部を前記把持体で把持した後、前記部品供給部を上下動させて前記作業位置に移動させるアクチュエータと、
前記部品供給部が前記作業位置にセットされていることを検知する検知手段と、を備え、
前記電源制御手段は、前記検知手段で前記部品供給部が前記作業位置にセットされていることを検知しているときに電力供給を行うように、前記電力供給源を制御することを特徴とする部品実装装置。
【請求項2】
前記電源制御手段は、前記アクチュエータの作動開始後、前記検知手段で前記部品供給部が前記作業位置にセットされていることを検知しているときに、電力供給を行うように前記電力供給源を制御することを特徴とする請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項3】
本体部と該本体部の所定のセット位置から着脱可能な部品供給部とを備え、前記部品供給部から供給される部品を基板上の所定位置に装着する部品実装装置であって、
前記本体部に設けられ、前記部品供給部の一部を把持することで、前記部品供給部を、部品供給を行う所定の作業位置で固定する把持体と、
前記部品供給部に設けられ、当該部品供給部への電力供給を行う電力供給線を接続するための接続器と、
前記把持体に設けられ、前記部品供給部を把持したときに前記接続器と接続される被接続器と、
前記接続器と前記被接続器との接続及び接続解除を、前記電力供給を停止した状態で行うように、電力供給源を制御する電源制御手段と、
前記セット位置に装着された前記部品供給部を前記把持体で把持した後、前記部品供給部を上下動させて前記作業位置に移動させるアクチュエータと、
前記接続器と前記被接続器との接続状態を検知する接続状態検知手段と、を備え、
前記電源制御手段は、前記アクチュエータの作動開始後、前記接続状態検知手段で前記接続器と前記被接続器とが接続状態であることを検知しているときに、電力供給を行うように前記電力供給源を制御することを特徴とする部品実装装置。
【請求項4】
前記電源制御手段は、前記アクチュエータの作動開始後、前記接続状態検知手段で前記接続器と前記被接続器とが接続状態であることを検知してから所定時間後に、電力供給を開始するように前記電力供給源を制御することを特徴とする請求項3に記載の部品実装装置。
【請求項5】
前記接続器及び前記被接続器は、一方の接続口が上方向、他方の接続口が下方向を向くように設置されており、
前記部品供給部を前記本体部から分離しているとき前記一方の接続口の上面を覆い、前記部品供給部の前記本体部からの着脱に応じて開閉する可動式のカバーを備えることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の部品実装装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2011−205021(P2011−205021A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−73069(P2010−73069)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(000003399)JUKI株式会社 (1,557)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(000003399)JUKI株式会社 (1,557)
【Fターム(参考)】
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