説明

部屋の隅構造

【課題】部屋の隅部を紫外線によって防汚する。
【解決手段】UVLED1を点灯すると、紫外線がガラス板3の端面からガラス板3内に入射され、ガラス板3の外面で全反射する。そして、粗面3aに達した紫外線が該粗面3aからガラス板3外に放射される。この放射した紫外線がパネル6に当ることにより、該パネル6の表面の光触媒が活性化し、殺菌・防カビや付着有機物の分解が行われ、防汚される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部屋の隅構造に係り、特に紫外線により汚れを防止するように構成した部屋の隅構造に関する。
【背景技術】
【0002】
浴室など湿度の高い部屋の隅部は、汚れが溜ったり、カビが付いたりし易い。
【0003】
特開2002−137324号には、ガラス板の一方の板面に光触媒層を設け、他方の板面に反射層を設け、該ガラス板の端面に紫外線ランプを対峙させ、該ランプからの紫外線を該ガラス板を通して該一方の板面に当て、光触媒を活性化させて該ガラス板表面の防汚を行うことが記載されている。
【特許文献1】特開2002−137324号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、部屋の隅部を紫外線によって防汚することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の部屋の隅構造は、部屋の隅を構成する部材の一部が透光性の板よりなり、該板の室内側の面を通して室内の隅部に紫外線を照射するように紫外線光源が配置されていることを特徴とするものである。
【0006】
請求項2の部屋の隅構造は、請求項1において、前記板の室内面の少なくとも一部が粗面となっており、該板の端面から板内部に紫外線を入射させるように前記光源が配置されていることを特徴とするものである。
【0007】
請求項3の部屋の隅構造は、請求項1又は2において、部屋の隅角を挟んだ両側に前記板が配置されていることを特徴とするものである。
【0008】
請求項4の部屋の隅構造は、請求項3において、隅角を挟んで一方の板から他方の板へ紫外線が入射するように板が連続していることを特徴とするものである。
【0009】
請求項5の部屋の隅構造は、請求項1ないし4のいずれか1項において、該隅部に臨む表面の少なくとも一部に光触媒が存在することを特徴とするものである。
【0010】
請求項6の部屋の隅構造は、請求項1ないし5のいずれか1項において、前記板から出射した紫外線が室内へ拡散することを防止するための遮光板を設けたことを特徴とするものである。
【0011】
請求項7の部屋の隅構造は、請求項1ないし6のいずれか1項において、該隅部の表面の少なくとも一部に蛍光材料又は蓄光材料が存在することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の部屋の隅構造によると、部屋の隅部に配置された透光性の板を通して該隅部に紫外線が照射され、該隅部を殺菌あるいは防カビして防汚することができる。
【0013】
請求項2によると、粗面部分を介して広い範囲に紫外線を照射することができる。
【0014】
請求項3によると、隅角を挟んだ両側部分に十分に紫外線を当てて防汚することができる。
【0015】
請求項4によると、隅角を挟んだ一方の側にのみ紫外線光源から紫外線を入射させるようにした場合でも、紫外線を隅角の両側に十分に照射することができる。
【0016】
請求項5によると、光触媒作用により優れた防汚作用が奏される。
【0017】
請求項6によると、室内全体への紫外線の拡散が防止されるので、部屋内に人が居る場合でも人があびる紫外線光量が減少する。
【0018】
請求項7によると、この隅部の蛍光又は蓄光材料が光るので、天井灯又は足許灯として利用することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。図1〜図4はそれぞれ実施の形態に係る部屋の隅構造を示す断面図である。各図において、Aは部屋の隅角を挟んだ一方の面を示し、Bは他方の面を示す。面AとBの組み合わせは、壁・天井、壁・床又は壁・壁のいずれでもよい。
【0020】
図1では、A面はガラス板3と、通常の建材よりなるパネル5にて構成されている。両者の間にはパッキン4が介在されている。ガラス板3の室内面の一部にエッチング加工、サンドブラスト加工、レーザー加工などの粗面化処理により形成された粗面3aが形成されている。
【0021】
このガラス板3の端面のうち、隅角と反対側の面に対峙して紫外線光源としての紫外線LED(UVLED)1が設けられている。このUVLED1は基板2に取り付けられている。
【0022】
ガラス板3の隅角側の端面に、B面のパネル6の端部が当接している。
【0023】
ガラス板3及びパネル5,6の室内側の面に酸化チタン等の光触媒のコーティング層が設けられている。
【0024】
このように構成された部屋の隅構造において、UVLED1を点灯すると、紫外線がガラス板3の端面からガラス板3内に入射され、ガラス板3の外面で全反射する。そして、粗面3aに達した紫外線が該粗面3aからガラス板3外に放射される。この放射した紫外線がパネル6に当ることにより、該パネル6の表面の光触媒が活性化し、殺菌・防カビや付着有機物の分解が行われ、防汚される。
【0025】
図2の実施の形態は、図1においてガラス板3の前面に遮光板10を設けたものである。この遮光板10は、この実施の形態ではL字形断面形状であり、基片側10aがパネル5に取り付けられ、先端片側10bがガラス板3のうちパネル5側に被さっている。この遮光板10の少なくとも内面(ガラス板3側の面)には光触媒のコーティング層が設けられている。
【0026】
図2のその他の構成は図1と同一であり、同一符号は同一部分を示している。
【0027】
この図2の実施の形態によっても、部屋の隅部が紫外線及び光触媒により防汚される。また、遮光板10を設けているので、部屋内の人に直射される紫外線光量が少ない。
【0028】
図3の実施の形態は、B面側からも紫外線を照射するようにL字形のガラス板11を用いて隅部を構成したものである。このガラス板11のA面及びB面の室内側の少なくとも一部に粗面11a,11bが設けられている。この実施の形態では、紫外線がガラス板11の裏側に漏れないようにするために反射層11rがガラス板11の裏面に設けられている。UVLED1はガラス板1のA側及びB側のいずれにも設けられているが、一方のみでもよい。一方の端面のみにUVLEDを設ける場合、他方の端面には反射層を設けるのが好ましい。
【0029】
この実施の形態においても、ガラス板11及び各パネル5,6の室内面に光触媒コーティング層が設けられている。
【0030】
UVLED1を点灯することにより、粗面11a,11bから紫外線が放射され、部屋隅部が紫外線及び光触媒により防汚される。
【0031】
図3ではA面からB面にかけてガラス板11が一連一体となっており、施工が容易である。ただし、2枚のガラス板をL形に突き合わせて隅部を構成してもよい。
【0032】
図3では、A面とB面とのコーナー部(入隅部)が直角となっているが、図5,7のガラス板11R,11R’のように、コーナー部Cを湾曲させてもよい。このコーナー部Cの室内面も粗面よりなり、光触媒コーティング層が設けられている。なお、図7のガラス板11R’によると、一端側のUVLED1からの光がガラス板11R’内を通って他端側にまで伝わり易く、紫外線の照射効率が良い。
【0033】
上記実施の形態ではUVLEDを用いているが、直管状などの紫外線ランプであってもよく、有機ELなどの面状発光体であってもよい。面状発光体を用いる場合には、端面に設ける代りに、図4のようにガラス板12の裏面の略全体に面状発光体13を配置してもよい。このガラス板12の室内面は粗面である必要はなく、平滑なガラス面のままであってもよい。
【0034】
図4ではA面にのみガラス板12及び面状発光体13を設けているが、B面にもガラス板12及び面状発光体13を配置してもよい。図4においても遮光板を設けてもよい。
【0035】
図6はA面を複層ガラス20で構成した実施の形態を示す断面図である。
【0036】
この複層ガラス20は、2枚のガラス板21,22間にスペーサ23を介して密閉空間を形成したものである。
【0037】
図示は省略するが、ガラス板21の外面(表面)には光触媒層が設けられ、ガラス板22の外面には紫外線吸収材層が設けられている。ガラス板21,22の内面(裏面)には防曇用導電膜と、LEDへの通電用の導電膜が設けられている。
【0038】
複層ガラス20内には、A面近傍のB面に向って紫外線を照射するようにUVLED24が設けられると共に、可視光を照射するために照明用LED25が設けられている。
【0039】
なお、B面も複層ガラスにて構成してもよい。
【0040】
上記実施の形態では光触媒のコーティング層を設けているが、光触媒は少なくとも表面に設けられていれば足り、これに限定されるものではない。例えば、パネル5,6は、その少なくとも表面が光触媒組成の板で構成されていてもよい。
【0041】
本発明では、隅部の表面に蓄光材料や蛍光材料を存在させてもよい。これにより、隅部を足許灯や天井灯として機能する発光部とすることができる。蓄光材料及び/又は蛍光材料と光触媒とが共存してもよい。
【0042】
上記実施の形態ではガラス板が用いられているが、紫外線透過性を有した合成樹脂板であってもよい。本発明構造は、浴室、シャワー室などに好適であるが、これに限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】実施の形態に係る部屋の隅構造を示す断面図である。
【図2】別の実施の形態に係る部屋の隅構造を示す断面図である。
【図3】さらに別の実施の形態に係る部屋の隅構造を示す断面図である。
【図4】異なる実施の形態に係る部屋の隅構造を示す断面図である。
【図5】さらに異なる実施の形態に係る部屋の隅構造を示す断面図である。
【図6】さらに別の実施の形態に係る部屋の隅構造を示す断面図である。
【図7】さらに異なる実施の形態に係る部屋の隅構造を示す断面図である。
【符号の説明】
【0044】
1,24 UVLED
3,11,11R,11R’,12,21,22 ガラス板
5,6 パネル
10 遮光板
13 面状発光体
20 複層ガラス
23 スペーサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
部屋の隅を構成する部材の一部が透光性の板よりなり、該板の室内側の面を通して室内の隅部に紫外線を照射するように紫外線光源が配置されていることを特徴とする部屋の隅構造。
【請求項2】
請求項1において、前記板の室内面の少なくとも一部が粗面となっており、該板の端面から板内部に紫外線を入射させるように前記光源が配置されていることを特徴とする部屋の隅構造。
【請求項3】
請求項1又は2において、部屋の隅角を挟んだ両側に前記板が配置されていることを特徴とする部屋の隅構造。
【請求項4】
請求項3において、隅角を挟んで一方の板から他方の板へ紫外線が入射するように板が連続していることを特徴とする部屋の隅構造。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項において、該隅部に臨む表面の少なくとも一部に光触媒が存在することを特徴とする部屋の隅構造。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項において、前記板から出射した紫外線が室内へ拡散することを防止するための遮光板を設けたことを特徴とする部屋の隅構造。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項において、該隅部の表面の少なくとも一部に蛍光材料又は蓄光材料が存在することを特徴とする部屋の隅構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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