説明

配筋間隔表示機

【課題】鉄筋コンクリート造の配筋工事では、配筋位置を示すために、床版(スラブ)の型枠上に等間隔に墨出し(マーキング)をする。しかし、従来の方法での問題点としては、労力も時間もかかる。また間違いもある。本発明では、これらの問題点を解決し、所定の等間隔を容易に墨出し(マーキング)できることを課題とした。
【解決手段】本発明は、等間隔の表示をするために、等間隔にマーカーを設置した伸縮性のベルトを、併設した円盤に架かる状態で捲着した機械。ベルトを伸縮することにより、マーカー間隔も伸縮し、数種類の等間隔の表示が可能。ベルトの伸縮の機構は、円盤間の距離を伸縮することによる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄筋コンクリー造の配筋工事において必要な等間隔の表示をする機械。
【背景技術】
【0002】
鉄筋コンクリート工事において、床版(スラブ)の配筋工事では、鉄筋を等間隔に格子状に組み立てる。組み立てに先行して配筋位置を示すために、床版の型枠上に等間隔に墨出し(マーキング)していく。従来の方法では、床版の型枠上に巻き尺(テープ)を当て、目盛りを見て手で一ヶ所ずつ、等間隔に墨出し(マーキング)していく。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許公開平8−4298
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の方法での問題点としては、労力も時間もかかる。また間違いもある。本発明では、これらの問題点を解決し、所定の等間隔を容易に墨出し(マーキング)できることを課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、等間隔の表示をするために、等間隔にマーカーを設置した伸縮性のベルトを、併設した円盤に架かる状態で捲着した機械。ベルトを伸縮することにより、マーカー間隔も伸縮し、数種類の等間隔の表示が可能。ベルトの伸縮の機構は、円盤間の距離を伸縮することによる。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、数種類の等間隔の表示が容易に可能となり、従来の方法と比較して、配筋に必要な等間隔表示の作業効率が大きく向上する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の斜視図である。
【図2】本発明の機構説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の実施形態を図1に示す。
本発明の機構は、等間隔の表示をするために、等間隔にマーカー4を設置した伸縮性のベルト1を、併設したふたつの円盤2、3に架かる状態で捲着した機械。
ふたつの円盤2、3は、伸縮機能付き円盤取付け板5に円盤取付け金具8で取り付ける。伸縮機能付き円盤取付け板5を伸縮することにより、円盤間も伸縮する。そしてベルト1も伸縮し、マーカー4の間隔も伸縮して数種類の等間隔の表示が可能となる。
【0009】
使用方法について説明する。
型枠上には配筋割付の開始点が墨出し(マーキング)されている。円盤A2に付いている調整用ハンドル7を操作し、マーカー4を開始点に合わせる。
そして把手6を持ち押し進めると、円盤B3の回転と共にマーカー付き伸縮ベルト1が型枠上を移動する。この時マーカー4により、配筋間隔が自動的にマーキングされる。
円盤B3は連続的に回転移動するので、長い距離でも問題は生じない。
【実施例】
【0010】
実施例の寸法を図2(a)に示す。作業性や運搬等を配慮しコンパクトな大きさとした。
以下ベルトの厚さはゼロとして数値を表現した。
円盤2、3の周長を300mmとする(円盤2、3の直径は95.54mmとなる)。
円盤間の中心間距離を150mmとする。この時ベルト1の周長は600mmとなる[円盤の周長(300mm)+中心距離(150mm)×2=600mm]。マーカー4(4a〜4f)を100mm間隔で設置する。この状態を「標準状態」とする。「標準状態」で、型枠平面上を押し進めることにより、100mm間隔にマーキングされる。
【0011】
本発明の機構について図2にて説明する。
鉄筋コンクリート工事において、床版(スラブ)の配筋間隔は、100mm、150mm、200mm、250mm、の4種類が一般的である。100mm間隔の表示をするときは図2(a)、そして150mm、200mm、250mm、の表示をする場合は、それぞれ図2(b)、図2(c)、図2(d)、となる。
1.100mm間隔の表示をするときは、図2(a)に示す「標準状態」で使用する。
2.150mm間隔の表示をするときは、図2(b)に示す状態で使用する。
円盤の中心距離を300mmに変更する事により、ベルトの周長は900mmとなる[円盤の周長(300mm)+中心距離(300mm)×2=900mm]。ベルトが伸びることにより、マーカー4(4a〜4f)の間隔は、150mmとなる。この状態で使用することにより、150mmの配筋間隔が自動的にマーキングされる。
3.200mm間隔の表示をするときは、図2(c)に示す状態で使用する。
「標準状態」でのマーカー付き伸縮ベルト1のマーカーをひとつおきに外し、マーカーを200mm間隔とした状態マーカー4(4a、4c、4e)で使用する。
4.250mm間隔の表示をするときは、図2(d)に示す状態で使用する。
上記マーカー4の間隔が200mm状態で、円盤の中心距離を225mmに変更する事により、ベルトの周長は750mmとなる[円盤の周長(300mm)+中心距離(225mm)×2=750mm]。マーカー付き伸縮ベルト1の長さを1.25倍に伸ばすことでマーカー4の間隔(4a〜4c、4c〜4e、4e〜4a)は250mmとなる。
上記の、3.と4.においては、マーカー付き伸縮ベルト1のマーカー4をひとつおきに外さずに使用して、鉄筋をマーキングひとつおきに配筋してもよい。
【0012】
応用例について説明する
鉄筋コンクリート工事において、柱の鉄筋組み立て時には、フープ筋と呼ばれる鉄筋の割付のため、柱の主鉄筋の四隅に、通常100mm間隔にマーキングする。このときにも本発明は、使用できる。また、梁の鉄筋組み立て時には、スターラップ筋と呼ばれる鉄筋の割付のため、梁の主鉄筋の四隅に、100mm、150mm、200mm、250mm等の間隔にマーキングする。このときにも本発明は、使用できる。
【0013】
実施形態と機能について説明する。
マーカー4は、表示間隔調整のため、又メンテナンス上、着脱式とするのが良い。
把手6は、作業性や運搬を配慮し、伸縮方式や着脱式にするのが良い。
調整用ハンドル7の機能は、ひとつは、円盤2,3間の距離を伸縮した時にベルト1歪みが生じ、マーカー4の間隔が一定にならない恐れがある。数回回転する事により、歪みをとり、マーカー4の間隔を一定にする。ふたつめに、調整用ハンドル7を操作し、マーカー4を墨出し開始点に合わせることである。
【産業上の利用可能性】
【0014】
本発明は工事現場等において、等間隔に墨だし(マーキング)する時に利用できる。また、原理的には無数の間隔表示が可能なので、その他の産業においても等間隔表示が求められる分野に広く応用・利用できる。
【符号の説明】
【0015】
1.マーカー付き伸縮ベルト
2.円盤A
3.円盤B
4.マーカー
5.伸縮機能付き円盤取付け板
6.把手
7.調整用ハンドル
8.円盤取付金具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
等間隔にマーカーを設置した伸縮性のベルトを、併設した円盤に架かる状態で捲着した機械で、円盤間の距離を伸縮することにより、マーカー間隔も伸縮し、数種類の等間隔の表示が可能となることを特徴とする。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−285859(P2010−285859A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−160210(P2009−160210)
【出願日】平成21年6月15日(2009.6.15)
【出願人】(509182744)
【Fターム(参考)】