里芋塊の子芋分離装置
【課題】 従来の装置は、先端部に当て体を設けたアームを、回動させて親芋を打撃し小芋を分離する構成であるが、芋の大きさや形状が変わると、打撃のポイントが変化してズレ、小芋を打撃して損傷し、商品価値を損なう課題と、小芋は、里芋塊の周囲にこびりついた土塊と共に固まり、瞬間的な打撃だけでは分離できない課題がある。
【解決手段】 この発明は、上記課題を解決するために、親芋に振動衝撃を与えて小芋を分離する装置であって、支持装置1によって保持した里芋塊に対して、支持装置1の一部を兼ねている振動付与装置3によって振動を与えて小芋を分離する構成としたことを特徴とする里芋塊の小芋分離装置としている。
【解決手段】 この発明は、上記課題を解決するために、親芋に振動衝撃を与えて小芋を分離する装置であって、支持装置1によって保持した里芋塊に対して、支持装置1の一部を兼ねている振動付与装置3によって振動を与えて小芋を分離する構成としたことを特徴とする里芋塊の小芋分離装置としている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、親里芋から子芋を分離する装置であって、保持装置に保持した里芋塊に、振動衝撃を与えて子芋を分離する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、里芋は、毛根が多く、掘り取られた状態では親芋(種芋)を中心にしてその周囲に子芋が、更に、その子芋S2の外側に孫芋が土に絡まって一体の塊状になって成育している。そして、この種、里芋塊から子芋を分離する装置は、例えば、公開特許公報として出願公開されている特開平11−168933号公報(特許文献1参照)に記載されているように、里芋塊を保持する里芋塊保持部と、同里芋塊保持部に保持された里芋に打撃を加えて、里芋の親芋から子芋を分離する打撃・分離部と、同打撃・分離部を駆動する駆動機構部とを具備する里芋塊の子芋分離装置が開示されている。
【特許文献1】特開平11−168933号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述した従来公知の里芋塊から子芋を分離する装置は、先端部に当て体を突設したアーム形成体を、上方から回動させて親芋を打撃して子芋を分離する構成であるが、里芋の大きさ、全体形状が変わってくると、打撃のポイントが変化してズレ、子芋を打撃して損傷を与え、商品価値が低下する課題がある。
【0004】
また、里芋塊は、周囲に多量の土塊がこびるついた状態で子芋と共に付着することが多く、瞬間的な打撃だけではこれらを分離することはきわめて困難な課題である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、上記課題を解決するために、請求項1に記載した発明は、里芋塊Sを保持する保持部材を複数備え、該保持部材の少なくとも一つを保持部材による里芋塊Sの保持箇所から離れる方向に、移動可能に設け、且つ、保持部材の少なくとも一つを保持した塊に向かって振動可能に設けたことを特徴とする里芋塊Sの子芋分離装置とする。
【0006】
つぎに、請求項2に記載した発明は、前記保持部材は、定位置保持部材1aと、芋径に応じて保持位置が変更できる移動保持部材1bとからなる保持装置1によって構成し、該移動保持部材1bは、保持機能を有しながら里芋塊Sに振動を与える振動付与装置3を兼ねる構成したことを特徴とする請求項1記載の里芋塊Sの子芋分離装置とする。
【0007】
つぎに、請求項3に記載した発明は、前記定位置保持部材1aは、弾性材4を介して装置し、一方の前記振動付与装置3は、前記定位置保持部材1aの方向へ往復移動して里芋塊Sに振動を与える構成としたことを特徴とする請求項2記載の里芋塊Sの子芋分離装置とする。
【0008】
つぎに、請求項4に記載した発明は、前記定位置保持部材1aは、里芋塊Sの茎部S4側を保持し、前記振動付与装置3は、里芋塊Sの根部S3側を保持して振動を与える構成としたことを特徴とする請求項2、又は3記載の里芋塊Sの子芋分離装置とする。
【0009】
つぎに、請求項5に記載した発明は、前記振動付与装置3は、昇降操作レバー5に接続して上下自由に構成し、該昇降操作レバー5には、前記振動発生装置2のクラッチ2aを操作するクラッチレバー2bを設け、該クラッチレバー2bは、握ると前記振動発生装置2が始動して前記振動付与装置3を駆動し、放すと停止する構成としたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の里芋塊Sの子芋分離装置とする。
【発明の効果】
【0010】
まず、請求項1に記載した発明は、里芋塊Sを保持した状態でこれに振動を与えるから、子芋S2に打撃を与えて損傷が発生することなく、商品価値を保ちながら子芋S2の分離ができる特徴がある。そして、この発明は、里芋塊Sに強制振動を与えて、こびりついた状態になっている土塊を効果的に崩して落とし、子芋S2の分離を効率よく行うことができる効果がある。
【0011】
そして、請求項2に記載した発明は、里芋塊Sの大きさや形状に対応して保持位置が変更できる一方の移動保持部材と、対面する他方の定位置保持部材とによって里芋塊Sを、確実に保持しながら、振動を与えることができる特徴がある。そして、この発明は、移動保持部材が里芋塊Sを保持した状態のままで振動を与えるから、土塊が崩れ易く、子芋S2に損傷を与えることなく、効率よく分離できる特徴がある。
【0012】
そして、請求項3に記載した発明は、一方側から里芋塊Sが強制的に振動を受けながら子芋S2を分離する過程において、定位置保持部材側が弾性保持になっているから、過度の振動が吸収されて安定保持の下で子芋S2を適確に分離できる効果がある。
【0013】
そして、請求項4に記載した発明は、子芋S2が多く付着している里芋塊Sの根部S3側に振動付与装置を当てて里芋塊Sを振動することによって、子芋S2を効果的に分離できる特徴がある。
【0014】
そして、請求項5に記載した発明は、振動付与装置を昇降操作レバーの下げ操作によって里芋塊Sを保持する位置まで下ろして、続く連続操作で、クラッチレバーを握って振動を発生させ、芋に振動を伝える一連の操作が楽にできる優れた特徴がある。そして、この発明は、クラッチレバーの握りを放すと振動発生装置のクラッチが切れて振動付与装置が停止するから、操作が簡単にできる利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、この発明の実施例を図面に基づいて具体的に説明する。
まず、この発明の実施例は、里芋塊Sを形成している親芋S1を、保持装置1に保持した状態で、これにエアーハンマーで振動衝撃を与えて、親芋S1の周囲に付着している子芋S2、更に、その子芋S2の外側に付着している孫芋を、絡みついている土塊と共に飛び散らして分離する装置である。この発明に係る実施例は、外側にこびりついた土塊と混然一体となった子芋S2を持つ里芋塊Sに対して、エアーハンマーによる振動衝撃を、正確に親芋S1に当てて子芋S2に損傷を与えずに効率的に分離できる装置としており、その具体構成について、以下、説明する。
【0016】
図1において、機体7は、低部の接地位置に横向きに配置した機台7aと、これに連続して上方に延長した縦方向の保持体7bとからなり、側面視L型状に形成した構成としている。そして、子芋分離装置8は、図面から解るように、上記機台7a上に保持装置1の定位置保持部材1aを設け、該定位置保持部材1aの真上の位置に移動保持部材1bを兼用とする振動付与装置3、及び振動発生装置2を一体として側部の前記保持体7bに昇降操作自由に保持した構成としている。
【0017】
そして、上記定位置保持部材1aは、図1に示す実施例の場合、弾性材4を素材とした巻きスプリング4aによって、里芋の茎部S4を上側から挿入して里芋塊Sの根部S3を上側に位置させて保持できる形状に形成して下端部を前記機台7a上に取り付けて構成している。そして、振動付与装置3は、図面に示すように、上記定位置保持部材1aの真上に位置し、里芋塊Sの上側を保持する移動保持部材1bを兼用とする構成であって、前記振動発生装置2の下側から下方に伸縮を繰り返すハンマーアーム9の下部に固着して構成している。
【0018】
そして、振動発生装置2は、図1に示すように、基部を前記保持体7bの上部にそれぞれ回動自由に枢着して先端側を機台7aの上方に延長した上側の昇降アーム10と下側に昇降操作レバー5とに枢着保持して構成している。そして、振動発生装置2は、図面に示すように、保持体7bと昇降アーム10と昇降操作レバー5との3部材によって四点平行リンク機構が形成されており、上下方向の昇降操作に際し、縦方向の姿勢を保ちながら上下に昇降操作ができる構成となっている。
【0019】
そして、実施例の場合、振動発生装置2は、図面から解るように、保持体7bの上部に突設した保持具11に吊持状態に取り付けた引上げばね12の下部を昇降操作レバー5に連結して吊上げ状態に保持される構成としている。したがって、振動発生装置2、及び一体の振動付与装置3(移動保持部材1bを兼用した構成)は、作業者が手動操作で昇降操作レバー5を、引上げばね12に抗して押し下げることによって下降して定位置保持部材1a上の里芋塊Sに移動保持部材1bを押し当てて保持することができ、手を放すと上記引上げばね12の張力により元の上部位置に自動復帰する構成となっている。
【0020】
そして、振動付与装置3は、実施例の場合、里芋塊Sを圧接する部位に、弾性素材であるゴムを装備し、弾性的に里芋塊Sを押圧して保持し、振動衝撃を与えられる構成としている。
【0021】
そして、前記振動発生装置2は、内部の具体的な構造の図示を省略したが、機体内に複胴式のエアシリンダーを設け、図外のコンプレッサーから圧縮空気の圧送・排気を繰り返して、前記ハンマーアーム9を下方外部に強制的に伸縮作動させるエアハンマー装置に構成している。そして、振動付与装置3は、前記振動発生装置2によって上下往復振動されるハンマーアーム9と一体に振動しながら、保持している里芋塊Sに振動衝撃を与えることができる構成となっている。
【0022】
この場合、実施例の振動発生装置2は、図外の上述したコンプレッサーとの間に吸気(圧送)、排気の2系統のホース13を配管し、前記複胴式のエアシリンダの吸気通路と排気通路とに連通させて構成している。
【0023】
そして、クラッチレバー2bは、図1に示すように、前記昇降操作レバー5の握り部に設け、クラッチ2aに接続した構成としているが、図1に示す実施例の場合、クラッチ2aは、上記複胴式エアシリンダに接続したホース13の切替バルブ14が相当し、前記クラッチレバー2bを握れば、切替バルブ14が開き、放すと閉まる構成としている。
【0024】
通常、機械工学におけるクラッチ装置は、回転運動を断続させる機構を「クラッチ」と呼んでいるが、この発明の実施例では、切替バルブ14をクラッチ2aと呼ぶことにし、既に説明したように、切替バルブ14の切り替え操作で振動発生装置2の作動を断続できる構成としている。
【0025】
この発明の実施例は、以上のように構成したから、振動付与装置3は、昇降操作レバー5を引上げばね12の張力に抗して押し下げながら振動発生装置2と共に下ろして里芋塊Sを保持し、続く連続操作で、図2に示すように、クラッチレバー2bを握って切替バルブ14を開き、振動を発生させ、里芋に振動を伝えることができる。そして、この実施例は、クラッチレバー2bから手を放して、握りを開放すると振動発生装置2に連通する切替バルブ14が閉まって図外のエアシリンダーが止まり、振動付与装置3が停止する。
【0026】
そして、振動発生装置2は、図1に示すように、振幅調節ダイヤル15を設けて前記エアシリンダの振幅を調節し、接続したハンマーアーム9の振幅を適宜調節できる構成としている。したがって、実施例は、里芋の形状の違いや大きさに応じて振幅調節を行い効果的に子芋S2の分離ができる。
【0027】
この出願に係る発明の実施例は、以上のように構成して、里芋塊Sを下側の定位置保持部材1aと上側の移動保持部材1bとで保持した状態で、これに移動保持部材1bを兼用にした振動付与装置3を往復振動させて振動衝撃を与えるから、既に説明した従来例のように、子芋S2に打撃を与えて損傷が発生することなく、商品価値を保ちながら子芋S2の分離が適確にできる。そして、この実施例は、里芋塊Sに強制振動を与えて、こびりついた状態になっている土塊を効果的に崩して落とし、子芋S2の分離を効率よく、迅速に行うことができる。
【0028】
つぎに、実施例は、定位置にある保持部材1aに対して遠近方向に保持位置の位置調節が自由な移動保持部材1bによって、里芋塊Sの大きさや形状に対応して保持位置を変更できるどんな里芋塊Sでも、確実に保持することができる。そして、この発明の実施例は、移動保持部材1bが里芋塊Sを保持したままで振動衝撃を与えるから、こびりついた状態の土塊でも崩れ易く、子芋S2に損傷を与えることなく、効率よく分離することができる。
【0029】
更に、この発明の実施例は、移動保持部材1bの側から里芋塊Sに強制的に振動衝撃を与えながら、子芋S2を分離する過程において、振動を受ける側の定位置保持部材1a側が弾性保持になっているから、過度の振動は、吸収されて安定保持の下で子芋S2を適確に分離することができる。
【0030】
そして、この発明の実施例は、図1、及び図2に示すように、子芋S2が多く付着している里芋塊Sの根部S3側に振動付与装置3を直接当てて里芋塊Sに振動衝撃を与えるから、子芋S2を効果的に分離できる。通常、里芋は、図面からも解るように、根元側に子芋S2の付着が多く、その部位に振動を与えることが分離を促進する。
【0031】
そして、この発明に係る子芋分離装置8は、振動付与装置3を昇降操作レバー5の下げ操作によって里芋塊Sを保持する位置まで下ろして、続く連続操作で、クラッチレバー2bを握って切替バルブ14を開いて振動衝撃を発生させ、芋に伝える一連の操作が持ち替えることなく連続して楽にできる。そして、実施例は、握っているクラッチレバー2bを放すと、切替バルブ14が閉まって振動発生装置2の作動がとまり、振動付与装置3が停止するから、操作が簡単にできる。
【0032】
また、機体7を支える機台7aは、上部の保持体7bを、軸受装置20で軸受け保持して設け、水平方向に回転できる構成にしている。そして、実施例の場合、保持体7bは、昇降アーム10と昇降操作レバー5とによって保持している振動発生装置2を一体にして、ハンドル21の操作により、上記軸受装置20を中心に回転することができる。
【0033】
この構成により、振動発生装置2、及び振動付与装置3は、上記のように保持体7bを機台7aに対して回転することによって里芋塊Sに対して振動衝撃を加える部位を変えながら子芋S2の分離作業ができる特徴がある。したがって、子芋S2の分離作業は、土塊が多くこびりついて子芋S2が分離でき難い部分等を重点的に選んで、振動付与装置3を水平面内で回し、その部位に振動衝撃を加えて分離を促進できる。里芋塊S1を保持装置1にセットしやすくすることができる。
【0034】
以下、この出願に関する他の実施例について説明する。
つぎに、図3に示す実施例は、下側に巻きスプリング4aに保持させた受け皿17(既に説明したこの発明の保持装置1の定位置保持部材1aに相当する部材)を設け、その上方のハンマーアーム9に加振口金18(移動保持部材1bに相当する部材)を取り付けて設け、里芋塊Sを茎部S4を上に根部S3を下にしてそれぞれ保持し、振動衝撃を与える構成としている。
【0035】
そして、加振口金18は、図3に示す実施例の場合、ラッパ形状にして下側から里芋の茎が挿し込み易いように形成し、下側の受け皿17は、図4に示す実施例では、上面の中央部位に凸型止針19を突出して設け、載置した里芋の根部に食い込ませて保持し、子芋S2の分離作業中の横ずれを防ぐ構成としている。
【0036】
このように、里芋塊Sは、茎部S4を上にして根部S3を下にして保持し、振動衝撃を加えると、子芋S2が、図3に示すように、上向きに育っているから親芋S1からの分離が容易にできる利点がある。
【0037】
つぎに、図5に示す実施例を述べる。この実施例は、図面から解るように、機台7aにモーター22を内装して定位置保持部材1aを回転する伝動構成としている。すなわち、定位置保持部材1aは、里芋の茎部S4を上側から挿し込んで保持できる上向きラッパ状に形成し、回転軸23に取り付け、前記モーター22からスプロケット24、伝動チエン25、スプロケット26を介して回転伝動される構成としている。
【0038】
このように構成すると、里芋塊Sは、図5に示すように、駆動しているモーター22からスプロケット24,伝動チエン25,スプロケット26を介して回転軸23が伝動され、定位置保持部材1aに保持された状態で回転し、上側から振動付与装置3によって振動衝撃が与えられ、子芋S2を分離する。そして、実施例は、里芋が回転しながら振動衝撃を受けるから、特に、こびりついている土塊が、遠心力により周囲に振り飛ばされて飛散し、迅速に子芋S2の分離ができる特徴がある。
【0039】
つぎに、図6、及び図7に示す実施例を述べる。この実施例に係る子芋分離装置8は、子芋分離リング30上に里芋塊Sを載置して、上側から後述する押出しピストン32で強制的に親芋S1をそのリング内に押し込んで通し子芋S2を分離させる構成としている。
【0040】
まず、子芋分離リング30は、図面に示すように、リング径を小径(K)、中径(M)、大径(L)の3つの直径を異にした構成として、支柱31に回転自由に取り付けて設けている。この場合、3種類K、M、Lの子芋分離リング30は、図6に示すように、支柱31に対して小径(K)を上側に、中径(M)を中間に、大径(L)を下側に位置させて取り付けている。そして、子芋分離リング30は、それぞれ里芋塊Sの芋径に応じて回転して作業位置に取り出して使用するか、又は後述する押出しピストン32側を軸受装置20を中心に回動させてリングに合わせれば子芋分離作業ができる。30bはリング30を回動操作するレバーである。
【0041】
なお、実施例の子芋分離リング30は、便宜上K、M、Lの3種類を示したが、これにこだわることはなく、必要に応じてリング径を3種類以上製作することは自由である。
そして、押出しピストン32は、図6の実施例の場合、油圧機構33にロット36を介して連結し、クラッチレバー2aを握れば切替バルブ34が切り替わって下方に伸長する構成としている。なお、押出しピストン32は、ハンドルやばねを利用して、手動操作で伸縮できる構成にするのは自由であるが、要するに、子芋分離リング30上に載置した里芋塊Sをリング内孔を下側に通過させて子芋S2をリングより外方に分離できればよい。この場合、親芋S1は、潰れるとか割れる等、破損するのは差し支えない。
【0042】
このように構成した子芋分離リング30は、前記のように上側から、S、M、Lの順番に配置すると、上方から伸長する押出しピストン32の里芋塊Sに対する接触開始位置に差がほとんどなくなり、里芋塊Sの大きさの差によって分離作用が左右されることがなくなる利点がある。
【0043】
そして、押出しピストン32は、図8、及び図9に示すように、油圧機構33の上部にモーター35を装備して、ロット36を回転駆動しながら押し込み作動ができる構成としている。したがって、里芋塊Sは、押出しピストン32の押圧力と上記回転力との合成により子芋分離リング30に親芋S1部分を強制的に押し込んで子芋S2をリングの外側に剥ぎ取るように分離することができる。
【0044】
なお、油圧機構33は図1、図2のエアハンマー装置に置き換えても良い。
そして、子芋分離リング30は、図9、乃至図15に示すように、各形状が考えられ、又、その材質もゴム素材やばね板材等が考えられるが、これらについて、以下具体的に説明する。
【0045】
まず、子芋分離リング30は、図9に示すように、上側から押出しピストン32が回転しながら親里芋を下側に押し出す場合、断面形状をリップ状に形成して、例えば、硬質ゴム等の弾性素材によって形成し、分離時に子芋S2(特に孫芋)に損傷を与えない構成としている。この場合、実施例の子芋分離リング30は、図面に示すように、上側から押し込んで装脱自由に取り付けて設け、下側の受枠37に保持する構成としている。したがって、子芋分離リング30は、図10(A)(B)に示すように、直径の異なる各種リング(A)はL径、(B)はK径を、予め、用意しておいて、里芋の大きさ(芋径)に応じて適するものを交換自由に取り替えて使用すると、図7で説明した実施例と同様の作用、効果が期待できる。
【0046】
そして、上記子芋分離リング30は、リングの内側(孔縁)を杆、或いは棒状に形成する他、多弁形状、花びら形状等に形成すると親芋S1が通過するとき、リングの追従性が向上して円滑に押し抜くことができる。
【0047】
つぎに、子芋分離リング30は、図11、及び図12に示すように、内側縁を櫛歯型リング38に形成した実施例であって、親芋S1を下側に押して抜くときに子芋S2、更には、孫芋を分離して取ることができる。
【0048】
つぎに、図13に示す子芋分離リング30は、図面から解るように、上側にあるリップ状のリングの下側に支えリング39を設けて里芋塊Sの傾きを阻止する構成としている。したがって、里芋塊Sは、子芋分離リング30に茎部S4を下側にして挿し込んで、上側の根部S3を押出しピストン32に当てて押圧し、下方に押して抜くとき、周囲部分が上記支えリング39に支えられて傾きが阻止され、真っ直ぐの姿勢で下方に通過して外側の子芋S2、孫芋に傷をつけることなく分離できる。
【0049】
つぎに、図14に示す実施例は、子芋分離リング30をばね板材40によって構成した例を示している。このように、子芋分離リング30は、これをばね板材40で形成すると、耐久性が一段と向上して長期間の使用が可能となり、更に、大幅なコストダウンになる特徴がある。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】子芋分離装置の側面図
【図2】子芋分離装置の作用側面図
【図3】里芋の茎部S4を上、根部S3を下にして保持した側面図
【図4】受け皿の切断側面図
【図5】子芋S2を回転し、振動を付与して子芋分離をする作用側面図
【図6】子芋分離リングを使用した子芋分離装置の側面図
【図7】子芋分離リングの平面図
【図8】押出しピストンを回転させて子芋分離する作用側面図
【図9】子芋分離リングの断面図
【図10】(A)(B) 交換用の子芋分離リングの切断側面図
【図11】櫛歯型リングの切断側面図
【図12】櫛歯形リングの平面図
【図13】支えリングを設けた子芋分離リングの切断側面図
【図14】ばね板からなる子芋分離リングの切断側面図
【符号の説明】
【0051】
1 保持装置 1a 定位置保持部材 1b 移動保持部材
2 振動発生装置 2a クラッチ 2b クラッチレバー
3 振動発生装置
4 弾性材 4a 巻きスプリング
5 昇降操作レバー。
【技術分野】
【0001】
この発明は、親里芋から子芋を分離する装置であって、保持装置に保持した里芋塊に、振動衝撃を与えて子芋を分離する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、里芋は、毛根が多く、掘り取られた状態では親芋(種芋)を中心にしてその周囲に子芋が、更に、その子芋S2の外側に孫芋が土に絡まって一体の塊状になって成育している。そして、この種、里芋塊から子芋を分離する装置は、例えば、公開特許公報として出願公開されている特開平11−168933号公報(特許文献1参照)に記載されているように、里芋塊を保持する里芋塊保持部と、同里芋塊保持部に保持された里芋に打撃を加えて、里芋の親芋から子芋を分離する打撃・分離部と、同打撃・分離部を駆動する駆動機構部とを具備する里芋塊の子芋分離装置が開示されている。
【特許文献1】特開平11−168933号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述した従来公知の里芋塊から子芋を分離する装置は、先端部に当て体を突設したアーム形成体を、上方から回動させて親芋を打撃して子芋を分離する構成であるが、里芋の大きさ、全体形状が変わってくると、打撃のポイントが変化してズレ、子芋を打撃して損傷を与え、商品価値が低下する課題がある。
【0004】
また、里芋塊は、周囲に多量の土塊がこびるついた状態で子芋と共に付着することが多く、瞬間的な打撃だけではこれらを分離することはきわめて困難な課題である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、上記課題を解決するために、請求項1に記載した発明は、里芋塊Sを保持する保持部材を複数備え、該保持部材の少なくとも一つを保持部材による里芋塊Sの保持箇所から離れる方向に、移動可能に設け、且つ、保持部材の少なくとも一つを保持した塊に向かって振動可能に設けたことを特徴とする里芋塊Sの子芋分離装置とする。
【0006】
つぎに、請求項2に記載した発明は、前記保持部材は、定位置保持部材1aと、芋径に応じて保持位置が変更できる移動保持部材1bとからなる保持装置1によって構成し、該移動保持部材1bは、保持機能を有しながら里芋塊Sに振動を与える振動付与装置3を兼ねる構成したことを特徴とする請求項1記載の里芋塊Sの子芋分離装置とする。
【0007】
つぎに、請求項3に記載した発明は、前記定位置保持部材1aは、弾性材4を介して装置し、一方の前記振動付与装置3は、前記定位置保持部材1aの方向へ往復移動して里芋塊Sに振動を与える構成としたことを特徴とする請求項2記載の里芋塊Sの子芋分離装置とする。
【0008】
つぎに、請求項4に記載した発明は、前記定位置保持部材1aは、里芋塊Sの茎部S4側を保持し、前記振動付与装置3は、里芋塊Sの根部S3側を保持して振動を与える構成としたことを特徴とする請求項2、又は3記載の里芋塊Sの子芋分離装置とする。
【0009】
つぎに、請求項5に記載した発明は、前記振動付与装置3は、昇降操作レバー5に接続して上下自由に構成し、該昇降操作レバー5には、前記振動発生装置2のクラッチ2aを操作するクラッチレバー2bを設け、該クラッチレバー2bは、握ると前記振動発生装置2が始動して前記振動付与装置3を駆動し、放すと停止する構成としたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の里芋塊Sの子芋分離装置とする。
【発明の効果】
【0010】
まず、請求項1に記載した発明は、里芋塊Sを保持した状態でこれに振動を与えるから、子芋S2に打撃を与えて損傷が発生することなく、商品価値を保ちながら子芋S2の分離ができる特徴がある。そして、この発明は、里芋塊Sに強制振動を与えて、こびりついた状態になっている土塊を効果的に崩して落とし、子芋S2の分離を効率よく行うことができる効果がある。
【0011】
そして、請求項2に記載した発明は、里芋塊Sの大きさや形状に対応して保持位置が変更できる一方の移動保持部材と、対面する他方の定位置保持部材とによって里芋塊Sを、確実に保持しながら、振動を与えることができる特徴がある。そして、この発明は、移動保持部材が里芋塊Sを保持した状態のままで振動を与えるから、土塊が崩れ易く、子芋S2に損傷を与えることなく、効率よく分離できる特徴がある。
【0012】
そして、請求項3に記載した発明は、一方側から里芋塊Sが強制的に振動を受けながら子芋S2を分離する過程において、定位置保持部材側が弾性保持になっているから、過度の振動が吸収されて安定保持の下で子芋S2を適確に分離できる効果がある。
【0013】
そして、請求項4に記載した発明は、子芋S2が多く付着している里芋塊Sの根部S3側に振動付与装置を当てて里芋塊Sを振動することによって、子芋S2を効果的に分離できる特徴がある。
【0014】
そして、請求項5に記載した発明は、振動付与装置を昇降操作レバーの下げ操作によって里芋塊Sを保持する位置まで下ろして、続く連続操作で、クラッチレバーを握って振動を発生させ、芋に振動を伝える一連の操作が楽にできる優れた特徴がある。そして、この発明は、クラッチレバーの握りを放すと振動発生装置のクラッチが切れて振動付与装置が停止するから、操作が簡単にできる利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、この発明の実施例を図面に基づいて具体的に説明する。
まず、この発明の実施例は、里芋塊Sを形成している親芋S1を、保持装置1に保持した状態で、これにエアーハンマーで振動衝撃を与えて、親芋S1の周囲に付着している子芋S2、更に、その子芋S2の外側に付着している孫芋を、絡みついている土塊と共に飛び散らして分離する装置である。この発明に係る実施例は、外側にこびりついた土塊と混然一体となった子芋S2を持つ里芋塊Sに対して、エアーハンマーによる振動衝撃を、正確に親芋S1に当てて子芋S2に損傷を与えずに効率的に分離できる装置としており、その具体構成について、以下、説明する。
【0016】
図1において、機体7は、低部の接地位置に横向きに配置した機台7aと、これに連続して上方に延長した縦方向の保持体7bとからなり、側面視L型状に形成した構成としている。そして、子芋分離装置8は、図面から解るように、上記機台7a上に保持装置1の定位置保持部材1aを設け、該定位置保持部材1aの真上の位置に移動保持部材1bを兼用とする振動付与装置3、及び振動発生装置2を一体として側部の前記保持体7bに昇降操作自由に保持した構成としている。
【0017】
そして、上記定位置保持部材1aは、図1に示す実施例の場合、弾性材4を素材とした巻きスプリング4aによって、里芋の茎部S4を上側から挿入して里芋塊Sの根部S3を上側に位置させて保持できる形状に形成して下端部を前記機台7a上に取り付けて構成している。そして、振動付与装置3は、図面に示すように、上記定位置保持部材1aの真上に位置し、里芋塊Sの上側を保持する移動保持部材1bを兼用とする構成であって、前記振動発生装置2の下側から下方に伸縮を繰り返すハンマーアーム9の下部に固着して構成している。
【0018】
そして、振動発生装置2は、図1に示すように、基部を前記保持体7bの上部にそれぞれ回動自由に枢着して先端側を機台7aの上方に延長した上側の昇降アーム10と下側に昇降操作レバー5とに枢着保持して構成している。そして、振動発生装置2は、図面に示すように、保持体7bと昇降アーム10と昇降操作レバー5との3部材によって四点平行リンク機構が形成されており、上下方向の昇降操作に際し、縦方向の姿勢を保ちながら上下に昇降操作ができる構成となっている。
【0019】
そして、実施例の場合、振動発生装置2は、図面から解るように、保持体7bの上部に突設した保持具11に吊持状態に取り付けた引上げばね12の下部を昇降操作レバー5に連結して吊上げ状態に保持される構成としている。したがって、振動発生装置2、及び一体の振動付与装置3(移動保持部材1bを兼用した構成)は、作業者が手動操作で昇降操作レバー5を、引上げばね12に抗して押し下げることによって下降して定位置保持部材1a上の里芋塊Sに移動保持部材1bを押し当てて保持することができ、手を放すと上記引上げばね12の張力により元の上部位置に自動復帰する構成となっている。
【0020】
そして、振動付与装置3は、実施例の場合、里芋塊Sを圧接する部位に、弾性素材であるゴムを装備し、弾性的に里芋塊Sを押圧して保持し、振動衝撃を与えられる構成としている。
【0021】
そして、前記振動発生装置2は、内部の具体的な構造の図示を省略したが、機体内に複胴式のエアシリンダーを設け、図外のコンプレッサーから圧縮空気の圧送・排気を繰り返して、前記ハンマーアーム9を下方外部に強制的に伸縮作動させるエアハンマー装置に構成している。そして、振動付与装置3は、前記振動発生装置2によって上下往復振動されるハンマーアーム9と一体に振動しながら、保持している里芋塊Sに振動衝撃を与えることができる構成となっている。
【0022】
この場合、実施例の振動発生装置2は、図外の上述したコンプレッサーとの間に吸気(圧送)、排気の2系統のホース13を配管し、前記複胴式のエアシリンダの吸気通路と排気通路とに連通させて構成している。
【0023】
そして、クラッチレバー2bは、図1に示すように、前記昇降操作レバー5の握り部に設け、クラッチ2aに接続した構成としているが、図1に示す実施例の場合、クラッチ2aは、上記複胴式エアシリンダに接続したホース13の切替バルブ14が相当し、前記クラッチレバー2bを握れば、切替バルブ14が開き、放すと閉まる構成としている。
【0024】
通常、機械工学におけるクラッチ装置は、回転運動を断続させる機構を「クラッチ」と呼んでいるが、この発明の実施例では、切替バルブ14をクラッチ2aと呼ぶことにし、既に説明したように、切替バルブ14の切り替え操作で振動発生装置2の作動を断続できる構成としている。
【0025】
この発明の実施例は、以上のように構成したから、振動付与装置3は、昇降操作レバー5を引上げばね12の張力に抗して押し下げながら振動発生装置2と共に下ろして里芋塊Sを保持し、続く連続操作で、図2に示すように、クラッチレバー2bを握って切替バルブ14を開き、振動を発生させ、里芋に振動を伝えることができる。そして、この実施例は、クラッチレバー2bから手を放して、握りを開放すると振動発生装置2に連通する切替バルブ14が閉まって図外のエアシリンダーが止まり、振動付与装置3が停止する。
【0026】
そして、振動発生装置2は、図1に示すように、振幅調節ダイヤル15を設けて前記エアシリンダの振幅を調節し、接続したハンマーアーム9の振幅を適宜調節できる構成としている。したがって、実施例は、里芋の形状の違いや大きさに応じて振幅調節を行い効果的に子芋S2の分離ができる。
【0027】
この出願に係る発明の実施例は、以上のように構成して、里芋塊Sを下側の定位置保持部材1aと上側の移動保持部材1bとで保持した状態で、これに移動保持部材1bを兼用にした振動付与装置3を往復振動させて振動衝撃を与えるから、既に説明した従来例のように、子芋S2に打撃を与えて損傷が発生することなく、商品価値を保ちながら子芋S2の分離が適確にできる。そして、この実施例は、里芋塊Sに強制振動を与えて、こびりついた状態になっている土塊を効果的に崩して落とし、子芋S2の分離を効率よく、迅速に行うことができる。
【0028】
つぎに、実施例は、定位置にある保持部材1aに対して遠近方向に保持位置の位置調節が自由な移動保持部材1bによって、里芋塊Sの大きさや形状に対応して保持位置を変更できるどんな里芋塊Sでも、確実に保持することができる。そして、この発明の実施例は、移動保持部材1bが里芋塊Sを保持したままで振動衝撃を与えるから、こびりついた状態の土塊でも崩れ易く、子芋S2に損傷を与えることなく、効率よく分離することができる。
【0029】
更に、この発明の実施例は、移動保持部材1bの側から里芋塊Sに強制的に振動衝撃を与えながら、子芋S2を分離する過程において、振動を受ける側の定位置保持部材1a側が弾性保持になっているから、過度の振動は、吸収されて安定保持の下で子芋S2を適確に分離することができる。
【0030】
そして、この発明の実施例は、図1、及び図2に示すように、子芋S2が多く付着している里芋塊Sの根部S3側に振動付与装置3を直接当てて里芋塊Sに振動衝撃を与えるから、子芋S2を効果的に分離できる。通常、里芋は、図面からも解るように、根元側に子芋S2の付着が多く、その部位に振動を与えることが分離を促進する。
【0031】
そして、この発明に係る子芋分離装置8は、振動付与装置3を昇降操作レバー5の下げ操作によって里芋塊Sを保持する位置まで下ろして、続く連続操作で、クラッチレバー2bを握って切替バルブ14を開いて振動衝撃を発生させ、芋に伝える一連の操作が持ち替えることなく連続して楽にできる。そして、実施例は、握っているクラッチレバー2bを放すと、切替バルブ14が閉まって振動発生装置2の作動がとまり、振動付与装置3が停止するから、操作が簡単にできる。
【0032】
また、機体7を支える機台7aは、上部の保持体7bを、軸受装置20で軸受け保持して設け、水平方向に回転できる構成にしている。そして、実施例の場合、保持体7bは、昇降アーム10と昇降操作レバー5とによって保持している振動発生装置2を一体にして、ハンドル21の操作により、上記軸受装置20を中心に回転することができる。
【0033】
この構成により、振動発生装置2、及び振動付与装置3は、上記のように保持体7bを機台7aに対して回転することによって里芋塊Sに対して振動衝撃を加える部位を変えながら子芋S2の分離作業ができる特徴がある。したがって、子芋S2の分離作業は、土塊が多くこびりついて子芋S2が分離でき難い部分等を重点的に選んで、振動付与装置3を水平面内で回し、その部位に振動衝撃を加えて分離を促進できる。里芋塊S1を保持装置1にセットしやすくすることができる。
【0034】
以下、この出願に関する他の実施例について説明する。
つぎに、図3に示す実施例は、下側に巻きスプリング4aに保持させた受け皿17(既に説明したこの発明の保持装置1の定位置保持部材1aに相当する部材)を設け、その上方のハンマーアーム9に加振口金18(移動保持部材1bに相当する部材)を取り付けて設け、里芋塊Sを茎部S4を上に根部S3を下にしてそれぞれ保持し、振動衝撃を与える構成としている。
【0035】
そして、加振口金18は、図3に示す実施例の場合、ラッパ形状にして下側から里芋の茎が挿し込み易いように形成し、下側の受け皿17は、図4に示す実施例では、上面の中央部位に凸型止針19を突出して設け、載置した里芋の根部に食い込ませて保持し、子芋S2の分離作業中の横ずれを防ぐ構成としている。
【0036】
このように、里芋塊Sは、茎部S4を上にして根部S3を下にして保持し、振動衝撃を加えると、子芋S2が、図3に示すように、上向きに育っているから親芋S1からの分離が容易にできる利点がある。
【0037】
つぎに、図5に示す実施例を述べる。この実施例は、図面から解るように、機台7aにモーター22を内装して定位置保持部材1aを回転する伝動構成としている。すなわち、定位置保持部材1aは、里芋の茎部S4を上側から挿し込んで保持できる上向きラッパ状に形成し、回転軸23に取り付け、前記モーター22からスプロケット24、伝動チエン25、スプロケット26を介して回転伝動される構成としている。
【0038】
このように構成すると、里芋塊Sは、図5に示すように、駆動しているモーター22からスプロケット24,伝動チエン25,スプロケット26を介して回転軸23が伝動され、定位置保持部材1aに保持された状態で回転し、上側から振動付与装置3によって振動衝撃が与えられ、子芋S2を分離する。そして、実施例は、里芋が回転しながら振動衝撃を受けるから、特に、こびりついている土塊が、遠心力により周囲に振り飛ばされて飛散し、迅速に子芋S2の分離ができる特徴がある。
【0039】
つぎに、図6、及び図7に示す実施例を述べる。この実施例に係る子芋分離装置8は、子芋分離リング30上に里芋塊Sを載置して、上側から後述する押出しピストン32で強制的に親芋S1をそのリング内に押し込んで通し子芋S2を分離させる構成としている。
【0040】
まず、子芋分離リング30は、図面に示すように、リング径を小径(K)、中径(M)、大径(L)の3つの直径を異にした構成として、支柱31に回転自由に取り付けて設けている。この場合、3種類K、M、Lの子芋分離リング30は、図6に示すように、支柱31に対して小径(K)を上側に、中径(M)を中間に、大径(L)を下側に位置させて取り付けている。そして、子芋分離リング30は、それぞれ里芋塊Sの芋径に応じて回転して作業位置に取り出して使用するか、又は後述する押出しピストン32側を軸受装置20を中心に回動させてリングに合わせれば子芋分離作業ができる。30bはリング30を回動操作するレバーである。
【0041】
なお、実施例の子芋分離リング30は、便宜上K、M、Lの3種類を示したが、これにこだわることはなく、必要に応じてリング径を3種類以上製作することは自由である。
そして、押出しピストン32は、図6の実施例の場合、油圧機構33にロット36を介して連結し、クラッチレバー2aを握れば切替バルブ34が切り替わって下方に伸長する構成としている。なお、押出しピストン32は、ハンドルやばねを利用して、手動操作で伸縮できる構成にするのは自由であるが、要するに、子芋分離リング30上に載置した里芋塊Sをリング内孔を下側に通過させて子芋S2をリングより外方に分離できればよい。この場合、親芋S1は、潰れるとか割れる等、破損するのは差し支えない。
【0042】
このように構成した子芋分離リング30は、前記のように上側から、S、M、Lの順番に配置すると、上方から伸長する押出しピストン32の里芋塊Sに対する接触開始位置に差がほとんどなくなり、里芋塊Sの大きさの差によって分離作用が左右されることがなくなる利点がある。
【0043】
そして、押出しピストン32は、図8、及び図9に示すように、油圧機構33の上部にモーター35を装備して、ロット36を回転駆動しながら押し込み作動ができる構成としている。したがって、里芋塊Sは、押出しピストン32の押圧力と上記回転力との合成により子芋分離リング30に親芋S1部分を強制的に押し込んで子芋S2をリングの外側に剥ぎ取るように分離することができる。
【0044】
なお、油圧機構33は図1、図2のエアハンマー装置に置き換えても良い。
そして、子芋分離リング30は、図9、乃至図15に示すように、各形状が考えられ、又、その材質もゴム素材やばね板材等が考えられるが、これらについて、以下具体的に説明する。
【0045】
まず、子芋分離リング30は、図9に示すように、上側から押出しピストン32が回転しながら親里芋を下側に押し出す場合、断面形状をリップ状に形成して、例えば、硬質ゴム等の弾性素材によって形成し、分離時に子芋S2(特に孫芋)に損傷を与えない構成としている。この場合、実施例の子芋分離リング30は、図面に示すように、上側から押し込んで装脱自由に取り付けて設け、下側の受枠37に保持する構成としている。したがって、子芋分離リング30は、図10(A)(B)に示すように、直径の異なる各種リング(A)はL径、(B)はK径を、予め、用意しておいて、里芋の大きさ(芋径)に応じて適するものを交換自由に取り替えて使用すると、図7で説明した実施例と同様の作用、効果が期待できる。
【0046】
そして、上記子芋分離リング30は、リングの内側(孔縁)を杆、或いは棒状に形成する他、多弁形状、花びら形状等に形成すると親芋S1が通過するとき、リングの追従性が向上して円滑に押し抜くことができる。
【0047】
つぎに、子芋分離リング30は、図11、及び図12に示すように、内側縁を櫛歯型リング38に形成した実施例であって、親芋S1を下側に押して抜くときに子芋S2、更には、孫芋を分離して取ることができる。
【0048】
つぎに、図13に示す子芋分離リング30は、図面から解るように、上側にあるリップ状のリングの下側に支えリング39を設けて里芋塊Sの傾きを阻止する構成としている。したがって、里芋塊Sは、子芋分離リング30に茎部S4を下側にして挿し込んで、上側の根部S3を押出しピストン32に当てて押圧し、下方に押して抜くとき、周囲部分が上記支えリング39に支えられて傾きが阻止され、真っ直ぐの姿勢で下方に通過して外側の子芋S2、孫芋に傷をつけることなく分離できる。
【0049】
つぎに、図14に示す実施例は、子芋分離リング30をばね板材40によって構成した例を示している。このように、子芋分離リング30は、これをばね板材40で形成すると、耐久性が一段と向上して長期間の使用が可能となり、更に、大幅なコストダウンになる特徴がある。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】子芋分離装置の側面図
【図2】子芋分離装置の作用側面図
【図3】里芋の茎部S4を上、根部S3を下にして保持した側面図
【図4】受け皿の切断側面図
【図5】子芋S2を回転し、振動を付与して子芋分離をする作用側面図
【図6】子芋分離リングを使用した子芋分離装置の側面図
【図7】子芋分離リングの平面図
【図8】押出しピストンを回転させて子芋分離する作用側面図
【図9】子芋分離リングの断面図
【図10】(A)(B) 交換用の子芋分離リングの切断側面図
【図11】櫛歯型リングの切断側面図
【図12】櫛歯形リングの平面図
【図13】支えリングを設けた子芋分離リングの切断側面図
【図14】ばね板からなる子芋分離リングの切断側面図
【符号の説明】
【0051】
1 保持装置 1a 定位置保持部材 1b 移動保持部材
2 振動発生装置 2a クラッチ 2b クラッチレバー
3 振動発生装置
4 弾性材 4a 巻きスプリング
5 昇降操作レバー。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
里芋塊を保持する保持部材を複数備え、該保持部材の少なくとも一つを保持部材による里芋塊の保持箇所から離れる方向に、移動可能に設け、且つ、保持部材の少なくとも一つを保持した塊に向かって振動可能に設けたことを特徴とする里芋塊の小芋分離装置。
【請求項2】
前記保持部材は、定位置保持部材1aと、芋径に応じて保持位置が変更できる移動保持部材1bとからなる保持装置1によって構成し、該移動保持部材1bは、保持機能を有しながら里芋塊に振動を与える振動付与装置3を兼ねる構成したことを特徴とする請求項1記載の里芋塊の小芋分離装置。
【請求項3】
前記定位置保持部材1aは、弾性材4を介して装置し、一方の前記振動付与装置3は、前記定位置保持部材1aの方向へ往復移動して里芋塊に振動を与える構成としたことを特徴とする請求項2記載の里芋塊の小芋分離装置。
【請求項4】
前記定位置保持部材1aは、里芋塊の茎部側を保持し、前記振動付与装置3は、里芋塊の根部側を保持して振動を与える構成としたことを特徴とする請求項2、又は3記載の里芋塊の小芋分離装置。
【請求項5】
前記振動付与装置3は、昇降操作レバー5に接続して上下自由に構成し、該昇降操作レバー5には、前記振動発生装置2のクラッチ2aを操作するクラッチレバー2bを設け、該クラッチレバー2bは、握ると前記振動発生装置2が始動して前記振動付与装置3を駆動し、放すと停止する構成としたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の里芋塊の小芋分離装置。
【請求項1】
里芋塊を保持する保持部材を複数備え、該保持部材の少なくとも一つを保持部材による里芋塊の保持箇所から離れる方向に、移動可能に設け、且つ、保持部材の少なくとも一つを保持した塊に向かって振動可能に設けたことを特徴とする里芋塊の小芋分離装置。
【請求項2】
前記保持部材は、定位置保持部材1aと、芋径に応じて保持位置が変更できる移動保持部材1bとからなる保持装置1によって構成し、該移動保持部材1bは、保持機能を有しながら里芋塊に振動を与える振動付与装置3を兼ねる構成したことを特徴とする請求項1記載の里芋塊の小芋分離装置。
【請求項3】
前記定位置保持部材1aは、弾性材4を介して装置し、一方の前記振動付与装置3は、前記定位置保持部材1aの方向へ往復移動して里芋塊に振動を与える構成としたことを特徴とする請求項2記載の里芋塊の小芋分離装置。
【請求項4】
前記定位置保持部材1aは、里芋塊の茎部側を保持し、前記振動付与装置3は、里芋塊の根部側を保持して振動を与える構成としたことを特徴とする請求項2、又は3記載の里芋塊の小芋分離装置。
【請求項5】
前記振動付与装置3は、昇降操作レバー5に接続して上下自由に構成し、該昇降操作レバー5には、前記振動発生装置2のクラッチ2aを操作するクラッチレバー2bを設け、該クラッチレバー2bは、握ると前記振動発生装置2が始動して前記振動付与装置3を駆動し、放すと停止する構成としたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の里芋塊の小芋分離装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2006−34135(P2006−34135A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−216069(P2004−216069)
【出願日】平成16年7月23日(2004.7.23)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月23日(2004.7.23)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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