説明

重要帳票管理装置

【目的】 顧客から預かった重要帳票の管理を行う際、担当者の負担を軽減し、操作性並びに信頼性を向上し、管理を容易にして処理時間を短縮する。
【構成】 顧客より預かった重要帳票を収納して管理する重要帳票管理装置において、表示部に表示された処理項目から重要帳票の収納処理が入力手段により入力されると、IDカード読み取り手段によって読み取ったIDカードデータと担当者の暗証番号とから当該担当者の収納カセットを検索して解錠し、これに前記重要帳票が収納されると、記録媒体から読み取った管理データをメモリ部に記録すると共に前記収納カセット内から重要帳票を搬送路へと繰り出し、前記勘定処理部へと搬送し、ここで所定の勘定処理を行う。この後、再び処置済みの重要帳票を所定の収納カセット内に収納し、また実行した勘定処理の内容についてファイル部のデータを更新するようにしたものである。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、銀行等の金融機関の渉外員が渉外業務において顧客より預かって持ち帰った通帳等の重要帳票を、金融機関において勘定処理を行うと共にこの勘定処理の期限等を管理する重要帳票管理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の重要帳票を管理する装置には、たとえば、特願平5−076599号公報等に記載されている技術がある。これは、渉外員が渉外先の顧客より通帳や有価証券等の重要帳票(物件)を預かって持ち帰ってきた場合は、該渉外員が金融機関において予め用意してある磁気あるいは電子データを保有するデータ保有部を備えた専用ケースに収納し、これをケース毎物件管理装置内の複数個ある収納庫のうち当該渉外員用の収納庫に収納し、この収納庫単位で装置内からの出し入れを可能とし、前記データ保有部によって物件を管理するようにしているものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上述した従来の技術においては、渉外業務を担当している渉外員自身が顧客の口座番号等の取引情報の入力操作を行いながら重要帳票を物件管理装置へと収納し、取り出す場合も必要とする取り出したことを記録するために渉外員が操作をしながら行う必要があり、渉外員の役席にある者の職務が煩雑となるという問題点と、該渉外員による入力操作で行うことから、操作ミス等もあり、信頼性ある管理システムであるとは言えないという問題があった。
【0004】ここで、従来の物件管理装置を用いた重要帳票の管理状況を、図9の物件管理装置の内部概略構造を示す断面図、図10のケースの斜視図を用いて説明する。まず、図10において、27は通帳等の重要帳票を収納する箱型のケースであり、その表面の所定位置に収納情報を保有するバーコード26を備えている。そして、このケース27に顧客から預かってきた重要帳票を収納したならば、図9に示す物件管理装置へと収納する。
【0005】図9において、8は物件管理装置であり、この物件管理装置8の上端面には、前記ケース27を装置内に挿入するための複数個の挿入口9を配置すると共に、図示しないが渉外員を確認区別するためのIDカード読み取り部、情報入力操作用の操作部、入力情報等を表示する表示部、処理結果等を印字する印字部などが備られている。
【0006】また、装置内部には、前記挿入口9の内側に開閉可能な第1のシャッタ10、そしてこの第1のシャッタ10から下方へと垂直に延在する走行路15が備えられており、この走行路15の末端部には装置側面に開口させた排出口14が配設されている。そして、16は前記ケース27のバーコード26を読み取るバーコード読取り部、17は第1のシャッタ10のからほぼケース一個分の間隔を保持した走行路15を仕切るように設けられた第2のシャッタであり、この第2のシャッタ17から下方の走行路15に沿って複数個の収納庫18が重ねられるようにして設けられている。この収納庫18は図10に示すような多数のケース27を立てた状態で収納するようになっており、その入口側には下部を支点として上端側が回動して開閉する引き込み蓋19が備えられている。また、20は各収納庫18の入口上部に位置するような配置で走行路15内に設けたセンサで、ケース27が収納庫18内に収納されたことを検知する。そして、21は前記排出口14の手前に配置されたセンサで、ケース27が排出口14まで到達したことを検出する。
【0007】22は装置上部に配置されたフロッピーディスクドライブで、前記操作部から入力された収納・排出作業の別等の操作情報や、IDカードからの読み取り情報、さらにバーコードから読み取った収納情報等の出納管理情報を記憶する記憶装置、また、24は装置下方に配置され、該装置を制御する制御ブログラムやデータを記憶するメモリ、25はケース27の収納及び排出を制御する制御部としての中央処理装置であり、この主制御部25からの指令によって物件管理装置8は処理動作が制御されるようになっている。
【0008】そして、28は各収納庫18内に設けたガイド、38はこのガイド28を収納庫18の入口方向へと押圧しているスプリングであり、ガイド28を介して収納中のケース27を常に入口方向へと付勢している。39は収納庫18が装置内にセットされているか否かを検出するための収納庫検知センサである。
【0009】以上の構成において、渉外員が重要帳票としての物件を管理する場合は、まず、顧客より預かった物件を図10に示すケース27内に入れ、これを物件管理装置8に収納して管理する。最初に、渉外担当者がIDカードによりカードパスを行った後、所定の操作情報を入力すると第1のシャッタ10が開くので、渉外担当者は物件を収納したケース27を挿入口9より挿入する。挿入口9より挿入されたケース27は第2のシャッタ17により走行路15内に保持され、ここでバーコード26の情報がバーコード読み取り部16によって読み取られ、先に読み取られているIDカード情報や入力情報と共にメモリ24に記憶される。
【0010】この後、主制御部25は渉外担当者が担当する当該収納庫18の引き込み蓋19を開き、続いて第2のシャッタ17を開く。これにより、ケース27は走行路15を下方に落下するように走行していくと、上端が回動して走行路15に突出した引き込み蓋19に突き当り、それに沿って収納庫18に入り込む。そして、すでに収納されているいくつかのケース27をスプリング38の付勢力に抗して奥方へと押し込み、これにより収納庫18の最前部に収納される。
【0011】ケース27が収納庫18内に収納されたことを、センサ20のON検出により判断したら、開いていた前記第2のシャッタ17、および引き込み蓋19を閉じる。この後、メモリ24に一時記憶しておいた出納管理情報を読み出し、フロッピーディスクドライブ22によりフロッピーディスクの管理ファイルを更新する。
【0012】また、物件を物件管理装置8より取り出す場合は、渉外担当者が自身のIDカードによりカードパスを行った後、所定の操作情報及び暗証番号を入力すると、主制御部25は入力された情報に該当する収納庫18の電磁ロックを解除する。これにより渉外担当者は当該収納庫18を物件管理装置8より取り出し、所望のケース27を取り出す。この後、収納庫18は残りのケース27を収納した状態で物件管理装置8に戻す。これをセンサ39のONによって検出されると、主制御部25は収納庫18が装置内に戻されたことを判断する。
【0013】この後、主制御部25は先にカードパスにより読み取った渉外担当者のIDカードからの情報により、渉外担当者の収納庫18が収納されている挿入口9の第1のシャッタ10を開く。これにより、渉外担当者が取り出したケース27を挿入口9より挿入すると、ケース27は第2のシャッタ17に保持された状態でバーコード読取り部16によりバーコード26が読み取られる。この後、第1のシャッタ10が閉じられると、先に入力されたり、あるいは読み取られた各種情報が出納管理情報としてメモリ24に一時記憶する。
【0014】次に、主制御部25は第2のシャッタ17を開き、ケース27を下方へと走行路15を落下させ、排出口14まで走行させ、該排出口14の手前で排出検知センサ21がケース有りをON状態検出によりケース27の排出を判断し、開放していた第2のシャッタ17を閉じ、かつメモリ24に一時記憶されていた出納管理情報を読み出し、フロッピーディスクドライブ22によりフロッピーディスクの管理ファイルを更新する。そして、渉外担当者はケース27を排出口14より取り出すと、これによりケース27の排出処理は完了する。
【0015】このように、従来の物件管理装置によれば、重要帳票の管理は装置に収納する場合も、取り出す場合にも、その都度渉外担当者が装置操作部から所定の情報の入力操作を行い、これにより管理情報の更新を行う必要があり、担当役席にある渉外員にとっては大きな負担となっていた。また、預かった重要帳票の勘定処理は装置より取り出した後、1冊毎に別の勘定処理担当者が行わなければならないために、勘定処理作業に手間がかかるという問題があった。
【0016】本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、重要帳票の管理を行う際に担当役席にある渉外員の業務負担を軽減すると共に、操作ミスを無くして信頼性を向上し、かつ管理を容易にして作業処理時間の短縮化を実現する優れた重要帳票管理装置を提供することを目的とするものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】上述した目的を達成するため本発明は、担当者が顧客より預かった重要帳票を、担当者別に収納する複数個の収納カセットを備えたホッパ部と、このホッパ部に収納した重要帳票を排出口との間で前後両方向に搬送する搬送路と、前記収納カセットに重要帳票を取り込むと共に繰り出しを行う重要帳票繰り出し取り込み手段と、前記重要帳票の管理データを記録した記録媒体を読み取る管理データ読み取り手段と、前記複数の重要帳票を担当しているそれぞれの担当者の本人確認用IDカードを読み取るIDカード読み取り手段と、前記IDカードから読み取ったIDカードデータと照合して担当者の本人確認を行うための該担当者の暗証番号、並びに処理情報を入力する入力手段と、前記入力手段からの入力情報及び前記IDカードデータ読み取り手段によって読み取ったIDカードデータを格納するメモリ部と、前記重要帳票に設けたデータ保有部から読み取った重要帳票データを格納するファイル部と、前記記録媒体や重要帳票の勘定処理及び重要帳票の自動検索を行う勘定処理部と、この勘定処理部で行われる処理項目や操作手順および管理データを表示する表示手段を備えると共に、前記表示部に表示された処理項目のうち重要帳票の収納処理が入力手段の操作によって入力されると前記IDカード読み取り手段によって読み取ったIDカードデータと前記入力手段から入力された担当者の暗証番号とから当該担当者の収納カセットを検索して解錠し、この解錠した収納カセットに顧客から預かった重要帳票が収納されると前記記録媒体から読み取った管理データをメモリ部に記録させ、かつ前記収納カセットに収納された重要帳票を搬送路へと繰り出して前記勘定処理部へと搬送し、この勘定処理部にて所定の勘定処理を行った後再び処置済みの重要帳票を所定の収納カセット内に収納すると共に、実行した勘定処理内容に基づいて前記ファイル部のデータを更新するよう制御する主制御部とを、重要帳票管理装置に備えることとしたものである。
【0018】
【作用】上述した構成によれば、顧客より通帳等の重要帳票を預かってきた担当者は、この管理処理をすべく、重要帳票管理装置に設けられた表示部に表示された処理項目のうち担当者が重要帳票の収納処理を入力手段の操作によって入力する。続いて、担当者が本人確認のためのIDカードを挿入すると共に、入力手段から自身の暗証番号を入力するので、これら両データに基づいて、主制御部がホッパ部に複数個収納された収納カセットの中から、当該担当者の収納カセットを検索して解錠する。これにより、担当者はこの収納カセットに顧客から預かった重要帳票を収納する。
【0019】この後、収納した重要帳票を管理すべく、担当者が収納した重要帳票に関する管理データを記録した記録媒体の読み取りを指示すると、主制御部は記録媒体読み取り手段によって記録媒体から処理しようとする重要帳票の管理データを読み取り、これをメモリ部に記録する。続いて、この管理データに基づいて前記収納カセットに収納されていた当該重要帳票を繰り出し、搬送路を勘定処理部へと搬送し、該勘定処理部においてて所定の勘定処理を施すように制御する。
【0020】そして、勘定処理部において所定の勘定処理が終了すると、該重要帳票は再び搬送路から所定の収納カセット内に収納し、最後に実行した勘定処理内容に基づいて前記ファイル部のデータを、主制御部によって更新する。
【0021】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面を用いて説明する。図1は本実施例の重要帳票管理システムのブロック図、図2は重要帳票管理装置の内部概略構成図、図3は収納カセットの構造を示す説明図、図4は重要帳票の預かり時の処理フローチャート、図5は重要帳票の返却時の処理フローチャート、図6は重要帳票管理装置における帳票の収納動作を示す説明図、図7は重要帳票管理装置における帳票の返却動作を示す説明図である。
【0022】まず、図1〜図3により重要帳票管理装置の概略構成を説明する。なお、本実施例において、通帳等の重要帳票は従来例のようにケースに収納することはなく、そのまま装置内に備えられた担当者別収納カセット内に収納することとしている。図において、50は重要帳票管理装置、51は装置上端面に設けられた重要帳票排出する排出口としてのスタッカ部であり、さらにこの装置上面には図示しないが、渉外担当者が保有している本人確認のためのIDカードを読み取るIDカード読み取り部53、所定の処理情報をキー操作により入力する操作部54、入力情報や前記IDカード読み取り部53によって読み取ったIDカード情報を前記操作部54から入力した処理情報と共に表示する表示部55、そして、重要帳票の種類および番号等の管理データをOCR用紙に手書き文字等により記載している記録媒体としての顧客管理データ記録用紙を読み取るOCR読み取り部56等を備えている。
【0023】次に、装置内部には記録媒体読み取り手段のとしてのこのOCR読み取り部56により読み取った管理データを記録するメモリ部57、重要帳票管理装置50のプログラム及び重要データを格納するファイル部58、渉外担当者の重要帳票管理簿や重要帳票52の自動勘定処理及び発行帳票の自動検索を行うプリンタ部59、そして装置下方に顧客より預かってきた複数の重要帳票52を収納しておくホッパ部60等を備えていると共に、これらの各構成要素と共に本装置の全ての動作を制御する主制御部61を備えている。
【0024】また、前記ホッパ部60および該ホッパ部60から重要帳票52をスタッカ部51へと搬送する搬送路62の構造について、図2と図3とを用いて説明する。まず、ホッパ部60は図2に見られるように、複数個の収納カセット63を2列に配列して積み重ねた状態で収納しており、そしてこれらの収納カセット63はそれぞれ顧客を担当している渉外担当者別に区別されていて、よって各収納カセット63には一人の渉外担当者が受け持っている顧客の重要帳票52が複数冊収納されている。
【0025】次に収納カセット63の構造について述べると、収納カセット63は一側面に出入口を有し、この出入口方向へとガイド64を付勢するスプリング65をカセット奥部に備えていて、該収納カセット63内に収納された重要帳票52はこのスプリング65の付勢力によって常に出入口方向に押し出されるようになっている。また、出入口にはほぼ中央を支点として上下両自由端が回動できる引き込みブレード66を備えていると共に、この引き込みブレード66に対して外側から、重要帳票繰り出し取り込み手段としての回転可能な2個の搬送ローラA,Bを対向圧接している。
【0026】搬送ローラAおよびBは、引き込みブレード66に形成した図示せぬ切り欠き部を介して収納カセット63内にその周面の一部を突出させていて、この一部を重要帳票52に当接させて回転することにより、該重要帳票52を収納カセット63から繰り出したり、あるいは取り込むようになっている。そして、同図(a)に示すように搬送ローラAにより最前列に収納されていた重要帳票52が搬送路62へと繰り出されると、残った重要帳票52はスプリング65の付勢力によってガイド64を介して引き込みブレード66方向に押し出され、そして最前列となった重要帳票52は引き込みブレード66を介して搬送ローラAに圧接されるようになる。
【0027】また、重要帳票52が取り込まれる場合は、取り込もうとする重要帳票52を、該当する収納カセット63の下方まで一旦搬送された後、搬送ローラAの下方に位置する搬送ローラBにより上方へと戻されて引き込みブレード66の下端側より収納カセット63内へと取り込まれる。この時、収納カセット63内にすでに収納されていた重要帳票52はスプリング65に抗して押し戻され、新たに取り込まれた重要帳票52が最前列に収納されることになる。
【0028】続いて、搬送路62の構造について説明する。搬送路62は図に示すように、装置下部に配したホッパ部60の両側に沿って上方へと延在し、該ホッパ部60の上方にて合流した後にスタッカ部51まで連結している。そして、合流部には重要帳票52の搬送方向を切り換えるための切り換えブレード67を配しており、さらにこの切り換えブレード67の手前には重要帳票52の磁気ストライプを読み取る磁気ストライプユニット68,取引内容を印字する印字ユニット69、印字しようとする頁を開く改頁部70をそれぞれ順に配置している。
【0029】また、各収納カセット63の出入口付近の搬送路62には、重要帳票52の有無を検出する帳票位置センサ71が設けられており、この検出結果によって搬送されてくる重要帳票52の取り込み動作を監視するものである。上述した構成による重要帳票管理装置を用いて行われる重要帳票52の管理処理動作を、図4の重要帳票の預かり時のフローチャート、図5の重要帳票の返却時のフローチャート、及び図6〜図7の重要帳票の預かり及び再収納動作を示す説明図を、図1〜図3に加えて説明する。
【0030】まず、預かり動作から説明すると、渉外担当者が顧客より預かった重要帳票52を持ち帰ると、重要帳票管理装置50の表示部55に表示されたメニュー画面から預かり時の処理を操作部54を操作して選択した後に、IDカード読み取り部52で本人確認のためのIDカードの読み取りを行うと共に、暗証番号を操作部54より入力する(S1)。
【0031】こうして入力されたIDカード情報および暗証番号等に基づいて、主制御部61は予め登録されている前記渉外担当者に対応する収納カセット番号をホッパ部60に送信し、該当する収納カセット63を解錠して預かった重要帳票52を当該収納カセット63内に収納する(S2)。次に、OCR読み取り部56により、図8に示す世帯別帳票のデータを読み取らせる(S3)。世帯別帳票は、図に示す如く、渉外担当者の氏名と、担当者No.及び支店No.の他に回収年月日と世帯No.等のデータ記入欄を設けていると共に、当該世帯における顧客氏名,口座番号,取引内容等が記載できるようになっている。なお、この世帯別帳票へのデータ記入は、渉外担当者が顧客より重要帳票52を預かり、これを持ちかえって処理する際に行う場合が多い。
【0032】そして、このOCR読み取り部56で読み取ったOCR用紙からの世帯別帳票データは、メモリ部57へと記憶する(S4)。続いて、表示部55に表示されているメニュー画面に基づいて、渉外担当者が操作部54から、たとえば入出金取引等の勘定処理を選択すると、主制御部61は前記渉外担当者に対応する収納カセット63内に収納した重要帳票52を取り出して、自動的にプリンタ部59へと送り出し、この重要帳票52に前記メモリ部57に記憶しておいた世帯別データによる入出金等の種別および取引金額等の取引明細を記帳する(S5)。なお、この記帳処理は、図2に示す通り、まず改頁ユニット70において所望の頁が開かれ、続いて送り込まれた印字ユニット69において所定の印字処理が行われ、そして最後に送り込まれた磁気ストライプユニット68において磁気ストライプのデータが更新されると終了となる。
【0033】こうして所定の勘定処理が終了すると、重要帳票52は再びプリンタ部59より収納カセット63内に自動収納される(S6)。なお、この再度の収納は、それまで収納されていたカセットとは背中合わせに設けられた別の収納カセット63へ収納されることになっている。他方の収納カセット63に、前記勘定処理が終了した重要帳票52が収納されると、主制御部61はこの処理結果のデータを前記ファイル部58に登録し(S7)、これにより重要帳票52の預かり時処理は完了する。
【0034】ここで、重要帳票52が一方の収納カセット63(図中左側のカセット)より取り出されて、再び背中合わせに配置されている他方の収納カセット63(図中右側のカセット)に収納されるまでの動きを、図2R>2と図6とを用いて説明する。図に見られるように、主制御部61より重要帳票52の繰り出しが指示されると、指示を受けた収納カセット63の引き込みブレード66が、図3(a)に示すごとく下端が収納カセット63内に入り込んで、上端が搬送路62に開口する状態となり、また上方に位置する搬送ローラAが搬送路62内に突出するように図中破線の位置から実線で示した位置まで移動する。これにより、搬送ローラAは引き込みブレード66の切り欠き部を介して重要帳票52に圧接し、その回転動作によって最前列に収納されている重要帳票52を搬送路62へと繰り出す。
【0035】収納カセット63から繰り出された重要帳票52は、図6(1) に示すように、矢印方向に搬送路62を搬送され、改頁ユニット70,印字ユニット69,磁気ストライプユニット68において所定の勘定処理を済ませた後、(2) に示すように合流部に設けた切り換えブレード67に導かれてスタッカ部51方向に送られる。スタッカ部51の手前まで搬送された重要帳票52は、(3)に示すように一旦搬送を停止される。この時の矢印アで示す搬送方向は発行方向、イで示す搬送方向は再収納方向であり、預かり時の処理では重要帳票52は再収納するので、この後、主制御部61は前記切り換えブレード67の位置を、(4) に示すように切り換えた後、再び重要帳票52の搬送を開始し、図中矢印C方向へと搬送する。
【0036】これにより重要帳票52は切り換えブレード67に沿って、それまで収納されていた収納カセット63が配置されている列とは背中合わせに配置されている他方の収納カセット63の列の搬送路62へと搬送されていく。そして、当該渉外担当者用の収納カセット63の位置まで到達し、まず、帳票位置センサ71により帳票有りが検出され、次に通過したことで無しが検出されると、所定位置まで重要帳票52が搬送されたと判断し一旦搬送動作を停止する。そして、引き込みブレード66を、図3(b)に示す如く上端を収納カセット63内に倒し込み、下端を搬送路62に突出させて収納カセット63の下端を開口させると共に、搬送ローラBを図中破線の位置から実線で示す位置まで移動させる。
【0037】この後、搬送ローラBを逆方向に回転させて引き込みブレード66の下端から重要帳票52を収納カセット63内へと取り込む。収納カセット63内の重要帳票52は、図3にも示すように、上端が出入口方向に傾くようにガイド63とスプリング65とにより付勢されているので、この重要帳票52は該スプリング65に抗しながら取り込まれ、重要帳票52の自動再収納が終了する。
【0038】続いて、重要帳票52の返却時の処理動作について説明する。まず、渉外担当者は、重要帳票管理装置50の表示部55に表示されているメニュー画面から、操作部54を操作することで返却時の処理を選択する。この後、渉外担当者の本人確認のためのIDカードの読み取りを行い、さらに操作部54から暗証番号を入力する(S11)。
【0039】次に、OCR読み取り部56により、返却しようとしている重要帳票52の世帯別帳票の読み取りを行う(S12)。こうしてOCR読み取り部56にて読み取った世帯別帳票のデータは表示部55に表示されるので、発行しようと操作をしていた渉外担当者がこれを確認し、操作部54を操作して発行承認作業を行う(S13)。
【0040】承認された重要帳票52は、自動的にホッパ部60の該当する収納カセット63から、上述した図6R>6に示すような手順によって送り出され、プリンタ部59において検索されて、切り換えブレード67を経てスタッカ部51へと排出されて発行される(S14)。すなわち、プリンタ部59に設けてある磁気ストライプ部68により重要帳票52のデータが読み取られ、この読み取りデータから繰り出されてきた重要帳票52が、渉外担当者により指定された所望の重要帳票52であるか否かが判断され、該当しないものであれば、自動再収納を行い、また該当するものであると確認されたならば、スタッカ部51へと排出する。
【0041】重要帳票52がスタッカ部51より発行されると、プリンタ部59は発行した重要帳票52の精査表をプリントし(S15)、最後に、処理結果を主制御部61がファイル部58に登録し記録すると(S16)、これにより返却処理を終了する。このように、顧客より預かった重要帳票52は、重要帳票管理装置50に所定の管理情報と共に収納することにより自動的に管理され、返却する場合にの所定の情報入力操作を行うことで装置内から自動的に重要帳票52の繰り出しおよびデータの更新を行うので、重要帳票52の取り扱い期限等の管理を容易に行えるようにしている。
【0042】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、重要帳票管理装置に設けた主制御部により、顧客より預かった重要帳票は、該重要帳票を預かってきた担当者の操作によって、IDカードと暗証番号によって担当者の確認を、そして重要帳票の管理データを記録した記録媒体の読み取りによって重要帳票の確認を行い、担当者が入力手段を操作して勘定処理を指示すると、装置内に設けた主制御部が他の各構成要素を制御し、担当者が指示したデータに該当する重要帳票を繰り出し、勘定処理部へと搬送して所望の勘定処理を施し、またその処理データは予め管理データ等を格納しているメモリにおいて更新するようにしたものである。さらに、重要帳票を顧客に返却する場合には、前記勘定処理部において読み取った管理データに基づいて発行可能であると承認された重要帳票のみを排出口へと搬送すると共に、勘定処理部において精査表を作成して発行し、かつこの処理に基づいて前記メモリ部のデータを更新するようにしたものである。また、収納カセットから繰り出す重要帳票の検索は、勘定処理部において重要帳票に設けた重要帳票データを読み取り、このデータから繰り出されてきた重要帳票が所望の重要帳票と一致しない場合には、該重要帳票を繰り出されてきた収納カセットの背面側に配置した別の収納カセットに収納するという動作を、所望の重要帳票を検出するまで繰り返すことで行うことで自動処理するようにしたものである。
【0043】このため、顧客から預かった重要帳票は、記録媒体を読み取らせることで収納しようとしている重要帳票の管理データを同時にファイル部に格納することができ、また取り出す場合にも記録媒体の読み取りデータに基づいて重要帳票のデータを格納しているファイル部の更新が主制御部の制御により自動的に行われるので、従来のようにその都度渉外担当者が情報の入力操作を行う必要はなく、担当役席の負担を軽減し、かつ操作ミスを少なくすることができる。
【0044】また、預かった重要帳票の勘定処理は、搬送路の途中に設けた勘定処理部において自動処理するので、従来のように1冊毎に別の勘定処理担当者が行う必要はなくなり、作業時間を短縮することができる。よって、信頼性ある管理機能を備え、かつ容易な操作により作業性を向上した優れた重要帳票管理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例の重要帳票管理システムのブロック図である。
【図2】重要帳票管理装置の内部概略構成図である。
【図3】収納カセットの構造を示す説明図である。
【図4】重要帳票の預かり時の処理フローチャートである。
【図5】重要帳票の返却時の処理フローチャートである。
【図6】重要帳票管理装置における帳票の収納動作を示す説明図である。
【図7】重要帳票管理装置における帳票の再収納動作を示す説明図である。
【図8】世帯別帳票の一例を示す説明図である。
【図9】従来例を示す物件管理装置の内部概略構造を示す断面図である。
【図10】従来例で用いるケースの斜視図である。
【符号の説明】
50 重要帳票管理装置
52 重要帳票
51 スタッカ部
53 IDカード読み取り部
54 操作部
55 表示部
56 OCR読み取り部
57 メモリ部
58 ファイル部
50 プリンタ部
60 ホッパ部
61 主制御部
62 搬送路
63 収納カセット

【特許請求の範囲】
【請求項1】 担当者が顧客より預かった重要帳票を、担当者別に収納する複数個の収納カセットを備えたホッパ部と、このホッパ部に収納した重要帳票を排出口との間で前後両方向に搬送する搬送路と、前記収納カセットに重要帳票を取り込むと共に繰り出しを行う重要帳票繰り出し取り込み手段と、前記重要帳票の管理データを記録した記録媒体を読み取る管理データ読み取り手段と、前記複数の重要帳票を担当しているそれぞれの担当者の本人確認用IDカードを読み取るIDカード読み取り手段と、前記IDカードから読み取ったIDカードデータと照合して担当者の本人確認を行うための該担当者の暗証番号、並びに処理情報を入力する入力手段と、前記入力手段からの入力情報及び前記IDカードデータ読み取り手段によって読み取ったIDカードデータを格納するメモリ部と、前記重要帳票に設けたデータ保有部から読み取った重要帳票データを格納するファイル部と、前記記録媒体や重要帳票の勘定処理及び重要帳票の自動検索を行う勘定処理部と、この勘定処理部で行われる処理項目や操作手順および管理データを表示する表示手段を備えると共に、前記表示部に表示された処理項目のうち重要帳票の収納処理が入力手段の操作によって入力されると、前記IDカード読み取り手段によって読み取ったIDカードデータと前記入力手段から入力された担当者の暗証番号とから当該担当者の収納カセットを検索して解錠し、この解錠した収納カセットに顧客から預かった重要帳票が収納されると前記記録媒体から読み取った管理データをメモリ部に記録させ、かつ前記収納カセットに収納された重要帳票を搬送路へと繰り出して前記勘定処理部へと搬送し、この勘定処理部にて所定の勘定処理を行った後再び処置済みの重要帳票を所定の収納カセット内に収納すると共に、実行した勘定処理内容に基づいて前記ファイル部のデータを更新するよう制御する中央処置装置を備えたことを特徴とする重要帳票管理装置。
【請求項2】 前記表示部に表示された処理項目のうち重要帳票の返却処理が入力手段の操作によって入力されると、前記IDカード読み取り手段によって読み取ったIDカードデータと前記入力手段から入力された担当者の暗証番号とから当該担当者の収納カセットを検索すると共に、記録媒体から読み取った管理データに基づいて返却処理を承認し、前記収納カセットから該当する重要帳票を検索して搬送路へと繰り出して排出口へ搬送して排出すると共に、発行した重要帳票の精査表を前記勘定処理部にて発行し、実行した勘定処理内容に基づいて前記ファイル部のデータ更新を行うよう制御する主制御部を備えたことを特徴とする請求項1記載の重要帳票管理装置。
【請求項3】 重要帳票繰り出し取り込み手段により収納ボックスより重要帳票を搬送路へと繰り出して勘定処理部へと搬送し、この勘定処理部において重要帳票のデータを読み取り、この読み取った重要帳票データに基づいて繰り出しされた重要帳票が所望の重要帳票に該当するか否かの判断を行い、該当する重要帳票のみを排出口へと搬送して発行し、該当しない重要帳票は繰り出した収納カセットの背面側に配置した別の収納カセットへと収納して所望の重要帳票の自動検索を制御する主制御部を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の重要帳票管理装置。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図10】
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【図3】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図7】
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