説明

重要度予測システム、重要度予測プログラム、及び重要度予測方法

【課題】ある評価対象を説明する情報が当該評価対象の評価においてどの程度重要であるかを予測できる重要度予測システム、重要度予測プログラム、及び重要度予測方法を提供する。
【解決手段】重要度予測装置300は、人物を識別する情報と、評価対象を識別する情報と、当該人物による当該評価対象の評価値若しくは当該人物が有する当該評価対象の評価値を表す情報と、を対応付けた観測値データと評価対象を説明する説明情報とを取得する取得部340を備える。また、重要度予測装置300は、説明情報の重要度を表す確率変数を、人物の特徴を表す確率変数と説明情報の特徴を表す確率変数とで表し、人物の特徴を表す確率変数と、説明情報の特徴を表す確率変数と、が従う事前確率分布の母数を表すパラメタを観測値データを用いて推定する推定部353を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重要度予測システム、重要度予測プログラム、及び重要度予測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の技術として特許文献1には、あるシーンにおける撮影対象や撮影状況などといった当該シーンを説明するサイド情報の一部に対して、当該撮影対象や撮影状況などを利用者がどの程度好むかを表す嗜好度を登録すると、当該嗜好度に基づいて選択された撮影対象や撮影状況などを含むシーンをダイジェストに加工するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−072540号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、特許文献1に係る技術では、あるシーンの撮影対象や撮影状況が嗜好度の登録されていないもののみからなる場合には、撮影対象や撮影状況が利用者にとってどの程度好まれるか(つまり、どの程度重要であるか)を予測できないために、当該シーンをダイジェストに加工できなかった。
【0005】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、ある評価対象を説明する情報が当該評価対象の評価においてどの程度重要であるかを予測できる重要度予測システム、重要度予測プログラム、及び重要度予測方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る重要度予測システムは、
人物を識別する情報と、評価対象を識別する情報と、当該人物による当該評価対象の評価値若しくは当該人物が有する当該評価対象の評価値を表す情報と、を対応付けた観測値データと前記評価対象を説明する説明情報とを取得する取得手段と、
前記取得された説明情報が前記評価対象の評価においてどの程度重要であるかを示す重要度を表す確率変数を、前記取得された情報で表される評価値を用いて定義する定義手段と、
前記定義された重要度を表す確率変数を、前記人物の特徴を表す確率変数と前記説明情報の特徴を表す確率変数とで表す分解手段と、
前記人物の特徴を表す確率変数と、前記説明情報の特徴を表す確率変数と、が予め定められた事前確率分布に従う場合に、前記事前確率分布の母数を表すパラメタを、前記取得された観測値データを用いて推定する推定手段と、
前記推定されたパラメタに基づいて前記説明情報の重要度の予測値を算出する予測値算出手段と、
前記算出された当該説明情報の重要度の予測値を表す情報と、前記人物を識別する情報と、前記説明情報と、を対応付けた出力データを出力する出力手段と、を備える、
ことを特徴としている。
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の第2の観点に係る重要度予測プログラムは、
人物を識別する情報と、評価対象を識別する情報と、当該人物による当該評価対象の評価値若しくは当該人物が有する当該評価対象の評価値を表す情報と、を対応付けた観測値データと前記評価対象を説明する説明情報とを取得する取得手段、
前記取得された説明情報が前記評価対象の評価においてどの程度重要であるかを示す重要度を表す確率変数を、前記取得された情報で表される評価値を用いて定義する定義手段、
前記定義された重要度を表す確率変数を、前記人物の特徴を表す確率変数と前記説明情報の特徴を表す確率変数とで表す分解手段、
前記人物の特徴を表す確率変数と、前記説明情報の特徴を表す確率変数と、が予め定められた事前確率分布に従う場合に、前記事前確率分布の母数を表すパラメタを、前記取得された観測値データを用いて推定する推定手段、
前記推定されたパラメタに基づいて前記説明情報の重要度の予測値を算出する予測値算出手段、
前記算出された当該説明情報の重要度の予測値を表す情報と、前記人物を識別する情報と、前記説明情報と、を対応付けた出力データを出力する出力手段、として機能させる、
ことを特徴としている。
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の第3の観点に係る重要度予測方法は、
人物を識別する情報と、評価対象を識別する情報と、当該人物による当該評価対象の評価値若しくは当該人物が有する当該評価対象の評価値を表す情報と、を対応付けた観測値データと前記評価対象を説明する説明情報とを取得する取得ステップと、
前記取得された説明情報が前記評価対象の評価においてどの程度重要であるかを示す重要度を表す確率変数を、前記取得された情報で表される評価値を用いて定義する定義ステップと、
前記定義された重要度を表す確率変数を、前記人物の特徴を表す確率変数と前記説明情報の特徴を表す確率変数とで表す変数分解ステップと、
前記人物の特徴を表す確率変数と、前記説明情報の特徴を表す確率変数と、が予め定められた事前確率分布に従う場合に、前記事前確率分布の母数を表すパラメタを、前記取得された観測値データを用いて推定するパラメタ推定ステップと、
前記推定されたパラメタに基づいて前記説明情報の重要度の予測値を算出する予測値算出ステップと、
前記算出された当該説明情報の重要度の予測値を表す情報と、前記人物を識別する情報と、前記説明情報と、を対応付けた出力データを出力する出力ステップと、を有する、
ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ある評価対象を説明する情報が当該評価対象の評価においてどの程度重要であるかを予測できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態1に係る重要度予測システムの一構成例を表す図である。
【図2】(a)は、重要度予測装置のハードウェア構成の一例を表す構成図である。(b)は、ウェブサーバのハードウェア構成の一例を表す構成図である。
【図3】(a)は、本発明に係る重要度予測装置が有する機能の一例を表す機能ブロック図である。(b)は、パラメタ推定部の一構成例を表す図である。
【図4】本発明の実施形態1における入力データテーブルの一例を表す図である。
【図5】重要度予測装置が実行する重要度予測処理の一例を表すフローチャートである。
【図6】ウェブサーバが有する機能の一例を表す機能ブロック図である。
【図7】ウェブサーバが実行するウェブページ出力処理の一例を表すフローチャートである。
【図8】実施形態1における重要度予測値に基づいてソートされたサイド情報の一例を表す図である。
【図9】情報記憶部が記憶する商品等広告テーブルの一例を表す図である。
【図10】本発明の実施形態2に係る重要度予測システムの一構成例を表す図である。
【図11】本発明の実施形態2における入力データテーブルの一例を表す図である。
【図12】本発明の実施形態2に係る重要度予測装置が実行する重要度予測値出力処理の一例を表すフローチャートである。
【図13】実施形態2における重要度予測値に基づいてソートされたサイド情報の一例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施例について添付図面を参照しつつ説明する。
<実施形態1>
【0012】
本発明の実施形態1に係る重要度予測システム1は、図1に示すように、通信網10、端末装置101から103、ウェブサーバ200、及び重要度予測装置300で構成される。
【0013】
通信網10は、インターネットで構成される。通信網10は、LAN(Local Area Network)又は公衆回線網であっても良い。
【0014】
端末装置101は、入力部101a及び表示部101bを有するパーソナル・コンピュータで構成される。端末装置102及び103は、入力部102a及び表示部102b、並びに入力部103a及び表示部103bを有する。端末装置101から103の構成はそれぞれ同様であるので、以下、端末装置101について主に説明を行う。
【0015】
ユーザが、例えば、アンケートに回答するために、端末装置101の入力部101aに対して所定の入力操作を行うと、入力部101aは、当該入力操作に応じて、ユーザを識別する情報(以下、ユーザ識別情報という)uと、ユーザが評価の対象とする商品若しくはサービス(以下、商品等という)を識別する情報(以下、評価対象識別情報という)yと、当該商品等にどの程度ユーザが満足したかを表す評価値d_uyを表す情報と、を対応付けた観測値データを入力する。次に、端末装置101は、入力された観測値データを、通信網10を介してウェブサーバ200へ出力する。
【0016】
ウェブサーバ200は、評価対象を識別する情報yと、例えば、商品等のカテゴリ、商品等の生産国、商品の色や形状、及び商品等の値段など、評価対象をそれぞれ説明する複数の説明情報(以下、サイド情報という)sと、を対応付けて記憶している。ウェブサーバ200は、観測値データを端末装置101から103のいずれかから受信すると、観測値データから評価対象識別情報yを抽出し、抽出した評価対象識別情報yに対応付けられたサイド情報sを検索する。その後、ウェブサーバ200は、観測値データと、検索されたサイド情報sと、を対応付けた入力データを重要度予測装置300へ転送する。
【0017】
次に、重要度予測装置300は、転送された入力データを記憶する。その後所定時刻になると、重要度予測装置300は、サイド情報sがそれぞれのユーザによる評価においてどの程度重要であるかを表す指標(以下、重要度という)q_usの予測値hq_usを、複数の観測値データに基づいて算出する。
【0018】
その後、ウェブサーバ200は、所定時刻になると、重要度予測装置300に対して重要度予測値hq_usの送信を求めるリクエスト(以下、予測値送信リクエストという)を送信する。重要度予測装置300は、ウェブサーバ200から当該リクエストを受信すると、算出した重要度予測値hq_usを表す情報(以下、重要度予測値情報という)と、ユーザ識別情報uと、サイド情報sと、を対応付けた出力データをウェブサーバ200へ出力する。ウェブサーバ200は、出力された出力データを受信すると、受信した当該データを記憶する。
【0019】
また、ユーザが、所望のウェブページを閲覧するために、端末装置101の入力部101aに対して所定の操作を行うと、端末装置101は、当該操作に応じて、当該ウェブページの送信を求めるウェブページ送信リクエストを入力し、入力したリクエストを、通信網10を介してウェブサーバ200へ出力する。尚、ウェブページ送信リクエストには、当該ユーザのユーザ識別情報uと、ユーザが返信を求めるウェブページの所在を表すURL(Uniform Resource Locator)と、が含まれる。
【0020】
その後、ウェブサーバ200は、当該リクエストを入力すると、当該リクエストに含まれるURLで表される所在からウェブページを取得する。次に、ウェブサーバ200は、当該リクエストに含まれるユーザ識別情報uに対応付けられた重要度予測値情報とサイド情報sとを出力データから抽出する。その後、ウェブサーバ200は、上位の重要度予測値hq_usを表す情報に対応付けられたサイド情報sで説明される商品等の広告が追加されたウェブページを表す情報を、通信網10を介して端末装置101へ返信する。端末装置101は、当該情報を受信すると、広告が追加されたウェブページを表示部101bに表示する。
【0021】
次に、ウェブサーバ200について説明する前に、図2(a)を参照して、重要度予測装置300のハードウェア構成について説明する。
重要度予測装置300は、図2(a)に示すように、CPU(Central Processing Unit)300a、ROM(Read Only Memory)300b、RAM(Random Access Memory)300c、ハードディスク300d、メディアコントローラ300e、LANカード(Local Area Network)300f、ビデオカード300g、LCD(Liquid Crystal Display)300h、キーボード300i、スピーカ300j、及びタッチパッド300kで構成される。
【0022】
CPU300aは、ROM300b又はハードディスク300dに保存されたプログラムに従ってソフトウェア処理を実行することで、重要度予測装置300の全体制御を行う。RAM300cは、CPU300aによるプログラムの実行時において、処理対象とするデータを一時的に記憶する。
【0023】
ハードディスク300dは、各種のデータを保存したテーブルを記憶する。尚、重要度予測装置300は、ハードディスク300dの代わりに、フラッシュメモリを備えても良い。
【0024】
メディアコントローラ300eは、フラッシュメモリ、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、及びブルーレイディスク(Blu-ray Disc)(登録商標)を含む記録媒体から各種のデータ及びプログラムを読み出す。
【0025】
LANカード300fは、ウェブサーバ200との間でデータを通信する。キーボード300i及びタッチパッド300kは、ユーザの操作に応じた信号又は情報を入力する。
【0026】
ビデオカード300gは、CPU300aから出力されたデジタル信号に基づいて画像を描画(つまり、レンダリング)すると共に、描画された画像を表す画像信号を出力する。LCD300hは、ビデオカード300gから出力された画像信号に従って画像を表示する。尚、重要度予測装置300は、LCD300hの代わりに、PDP(Plasma Display Panel)又はEL(Electroluminescence)ディスプレイを備えても良い。スピーカ300jは、CPU300aから出力された信号に基づいて音声を出力する。
【0027】
次に、図3を参照して、重要度予測装置300が有する機能について説明する。
図2(a)に示したLANカード300fが入力データを受信すると、CPU300aは、入力データを保存する保存処理を実行する。これにより、CPU300aは、図3(a)に示す入力部320及び保存部330として機能する。また、CPU300aは、ハードディスク300dと協働して情報記憶部310として機能する。
【0028】
入力部320は、保存処理を開始すると、LANカード300fから入力データを入力し、入力データを保存部330へ出力する。保存部330は、入力データを、図4に示す入力データテーブルへ保存した後に、保存処理の実行を終了する。
【0029】
尚、入力データテーブルは、情報記憶部310に記憶されている。また、入力データテーブルには、ユーザを識別するユーザ識別情報と、ユーザの名称を表すユーザ名情報と、評価対象を識別する評価対象識別情報と、評価対象の名称を表す評価対象名情報と、当該ユーザによる当該評価対象に対する評価値を表す評価値情報と、当該評価対象を説明するサイド情報を記号「,」で連結した情報と、を対応付けた情報が複数保存されている。
【0030】
また、図2に示したCPU300aは、例えば、ハードウェアタイマを監視することで、午後2時といった予め定められた時刻になると、図5に示すような、サイド情報の重要度を予測する重要度予測処理を実行する。これにより、CPU300aは、図3に示すような取得部340、パラメタ推定部350、及び重要度算出部360として機能する。尚、パラメタ推定部350は、図3(b)に示すような定義部351、分解部352、及び推定部353を有する。
【0031】
取得部340は、重要度予測処理を開始すると、図4に示した入力データテーブルから、ユーザ識別情報uと、評価対象識別情報yと、評価値d_uyを表す評価値情報と、複数のサイド情報sと、が対応付けられた複数の入力データを取得するデータ取得処理を行う(ステップS01)。
【0032】
ここで、取得部340が取得した入力データを以下の式(1)から(4)で表す。
u:ユーザ識別情報 (但し、uは、1からNまでの正数)…(1)
y:評価対象識別情報 (但し、yは、1からMまでの正数)…(2)
d_uy:uで識別されるユーザによるyで識別される評価対象の評価値(但し、d_uyは実数)…(3)
yi:yで識別される評価対象のi番目のサイド情報(但し、iは、1からL_yまで)…(4)
【0033】
また、以下の式(5)から(8)に示すような確率変数U、Y、及びD、並びに集合S_yを定義すると、取得部340で取得された入力データは、以下の式(9)で表される。
U: 観測値uを表す変数…(5)
Y: 観測値yを表す変数…(6)
D: 観測値d_uyを表す変数…(7)
S_y={sy1,・・・,syL_y}: yで識別される評価対象のサイド情報syiを要素とする集合…(8)
【0034】
(U=1,Y=1,D=2,S_1={s11,s12,s13,…,s1L_1})、(U=1,Y=2,D=1,S_2={s21,s22,…,s2L_2})、…(U=u,Y=y,D=d_uy,S_y={sy1,sy2,sy3,…,syL_y})、(U=N,Y=M,D=d_NM、S_M={sM1,sM2,…,sML_M})…(9)
【0035】
ステップS01の後に、定義部351は、N×M次元の行列であって、u行y列の要素が評価値d_uyである評価値行列Rを、入力データから生成する(ステップS02)。
【0036】
次に、定義部351は、上式(8)に示した集合S_yから、以下の式(10)で表されるような、全てのサイド情報を要素sとする集合Sを生成する。
【数1】

【0037】
次に、定義部351は、集合Sの要素であるサイド情報sと、サイド情報sの番号j(但し、j=1からL)と、を対応付けて情報記憶部310へ保存する。その後、定義部351は、各ユーザ識別情報uでそれぞれ識別されるユーザ、及び各サイド情報sについて、ユーザに対するサイド情報sの出現率f_usを、以下の式(11)に入力データを用いることで算出する(ステップS03)。
【0038】
尚、この出現率f_usは、サイド情報sで説明される評価対象の総数に対する、ユーザ識別情報uで識別されるユーザが評価した評価対象の内で、サイド情報として当該サイド情報sが出現する(つまり、サイド情報sで説明される)評価対象の数の割合である。
【0039】
【数2】

I(syi,s):syiとsとが同じ場合に値1を返し、syiとsとが異なる場合に値0を返す関数
I’(u,y):識別情報uで識別されるユーザが、識別情報yで識別される評価対象を評価した場合に値1を返し、評価していない場合に値0を返す関数
【0040】
その後、定義部351は、算出した出現率f_usを用いて、ユーザ識別情報uで識別されるユーザにとってサイド情報sが評価においてどの程度重要であるかを表す重要度を表す確率変数q_usを、以下の式(12)のように定義し、定義に従って確率変数q_usを算出する(ステップS04)。
【0041】
q_us = g(f_us)・・・(12)
【0042】
但し、g()は任意の関数で良いが、説明を簡単にするため、g(f_us)=f_usであるとして説明を行う。
【0043】
次に、定義部351は、N×L次元の行列であり、u行j列の要素がq_usである重要度行列Qを生成する(ステップS05)。
【0044】
その後、図3(b)に示したパラメタ推定部350の分解部352は、値が推定されるベクトルとして、識別情報uで識別されるユーザが有するK個の特徴を表す確率変数のベクトル(以下、ユーザ特徴ベクトルという)X_uと、識別情報yで識別される評価対象が有するK個の特徴を表す確率変数のベクトル(以下、評価対象特徴ベクトルという)W_yと、サイド情報sの重要度が有するK個の特徴を表す確率変数のベクトル(以下、サイド情報特徴ベクトルという)V_sと、を生成する。尚、サイド情報sは、上式(10)に示した集合Sのj番目の要素であるとする。
【0045】
ここで、評価対象特徴ベクトルW_yの次元毎に評価対象の特徴が対応付けられ、評価対象特徴ベクトルW_yの各次元の要素が、当該各次元に対応した特徴を数値で表している。また、ユーザ特徴ベクトルXuの各次元の要素は、評価対象特徴ベクトルW_yの当該各次元に対応した評価対象の各特徴をどの程度好きか若しくは嫌いかといったユーザの特徴を数値で表す。このため、識別情報yで識別される評価対象に対する識別情報uで識別されるユーザの評価値d_uyは、下式(13)に示すように、ユーザ特徴ベクトルX_uと評価対象特徴ベクトルW_yとの内積で表すことができる。
【0046】
d_uy ≒ X_u・W_y・・・(13)
但し、記号「・」は内積を表し、記号「W_y」はベクトルW_yの転置を表す。
【0047】
つまり、ユーザがある商品等のある特徴が好きであって、当該商品等に当該ユーザが好きな特徴があれば、当該商品等に対するユーザの評価値d_uyが大きくなり易い。これに対して、当該商品等に当該ユーザが好きな特徴がなければ、当該商品等に対するユーザの評価値d_uyが小さくなり易い。
【0048】
また同様に、サイド情報の特徴を表すベクトルV_sの各次元は、各サイド情報の特徴を表しており、例えば、サイド情報が保有する商品等の特徴(例えば、形状や色など)を表す。そして、各要素は、例えば、各サイド情報がどのような商品等の特徴(例えば、形状や色など)をどのくらい保持しているかを表す。このため、識別情報uで識別されるユーザのサイド情報sの重要度q_usは、下式(14)に示すように、ユーザ特徴ベクトルX_uとサイド情報特徴ベクトルV_sとの内積で表すことができる。
【0049】
q_us ≒ X_u・V_s・・・(14)
但し、記号「・」は内積を表し、記号「V_s」はベクトルV_sの転置を表す。
【0050】
ステップS05の後に、分解部352は、N×K次元の行列であって、u行目がベクトルX_uであるユーザ特徴行列Xと、M×K次元の行列であって、y行目がベクトルW_yである評価対象特徴行列Wと、L×K次元の行列であって、j行目がベクトルV_sである評価対象特徴行列Vと、を値が推定される行列として生成する(ステップS06)。
【0051】
次に、分解部352は、ステップS02で算出された評価値行列Rを、下式(15)に示すようにユーザ特徴行列Xと、対象特徴行列Wと、で表す(ステップS07)。
R≒XW・・・(15)
但し、Wは、行列Wの転置行列
【0052】
次に、分解部352は、ステップS05で算出された重要度行列Qを、下式(16)に示すようにユーザ特徴行列Xと、評価対象特徴行列Vと、で表す(ステップS08)。
Q≒XV・・・(16)
但し、Vは、行列Vの転置行列
【0053】
ここで、ステップS02で生成した評価値行列R、ステップS06で生成したユーザ特徴行列X及び評価対象特徴行列W、並びにステップS05で生成した重要度行列Qを観測値とする確率変数X、W、Q、及びVの分散をそれぞれσ、η、γ、β、及びαとする。これらパラメタ推定部350が値を推定するパラメータα、β、γ、η、及びσ、並びにX、W、及びVについて、以下の式(17)から(22)が成立する。尚、式(19)、式(20)、及び式(22)は、確率変数Xの事前分布、確率変数Wの事前分布、及び確率変数Vの事前分布をそれぞれ表す。
【0054】
P(R,X,W,Q,V|α,β,γ,η)=P(R|X,W,σ)P(X|η)P(W|γ)P(Q|X,V,β)P(V|α)・・・(17)
P(R|X,W,σ)=N(R|XW,σ2I_N)・・・(18)
P(X|η)=N(X|0,ηI_N)・・・(19)
P(W|γ)=N(W|0,γI_M)・・・(20)
P(Q|X,V,β)=N(Q|XV,βI_N)・・・(21)
P(V|α)=N(V|0,αI_L)・・・(22)
:行列Wの転置行列
I_N:N×N次元の単位行列
N(R|XW,σ2I_N):平均がXWで共分散行列がσ2I_Nのガウス分布:
I_M:M×M次元の単位行列
:行列Vの転置行列
N(Q|XV,βI_N):平均がXVで共分散行列がβ2I_Nのガウス分布
I_L:L×L次元の単位行列
【0055】
次に、図3(b)に示すパラメタ推定部350の推定部353は、パラメータσ、η、γ、α、β、X、W、及びVを、上式(17)の対数尤度関数を用いた最尤推定によって求める(ステップS09)。
【0056】
その後、図3に示した重要度算出部360は、下式(23)を用いて、各ユーザ識別情報u及び各サイド情報sについて重要度q_usの予測値(以下、重要度予測値という)hq_usをそれぞれ算出する。次に、重要度算出部360は、各ユーザ識別情報uについて、L次元のベクトルであり、j列の要素がhq_usである予測値ベクトルHQ_uを生成する。また、重要度算出部360は、N×L次元の行列であり、u行j列の要素がhq_usである(つまり、u行のベクトルが予測値ベクトルHQ_uである)予測値行列HQを生成する(ステップS10)。
【0057】
【数3】

【0058】
その後、重要度算出部360は、算出した予測値行列HQを表す情報を情報記憶部310へ保存した後に(ステップS11)、重要度予測処理の実行を終了する。
【0059】
重要度予測処理が終了した後に、例えば、午前4時などの予め定められた時刻になると、ウェブサーバ200は、予測値送信リクエストを重要度予測装置300へ送信する。図2(a)に示したLANカード300fが当該リクエストを受信すると、CPU300aは、重要度予測値情報を出力する予測値出力処理を実行する。CPU300aは、図3(a)に示す入力部320、検索部370、及び出力部380として機能する。
【0060】
予測値出力処理を開始すると、入力部320は、LANカード300fから予測値送信リクエストを入力する。次に、検索部370は、情報記憶部310に保存された予測値行列HQを表す情報と、サイド情報sを表す情報と、サイド情報sの順番jを表す情報と、を検索する。その後、検索部370は、予測値行列HQを表す情報と、サイド情報sを表す情報と、サイド情報sの順番jを表す情報と、を対応付けた出力データを生成する。尚、この予測値行列HQは、行番号でユーザ識別情報uに対応付けられ、列番号jでサイド情報sに対応付けられている。
【0061】
その後、出力部380は、出力データをLANカード300fへ出力した後に、予測値出力処理を終了する。尚、LANカード300fは、出力された出力データをウェブサーバ200へ送信する。
【0062】
次に、図1に示したウェブサーバ200について説明する。
ウェブサーバ200は、重要度予測装置300と同様に、図2(b)に示すようなCPU200a、ROM200b、RAM200c、ハードディスク200d、メディアコントローラ200e、LANカード200f、ビデオカード200g、LCD200h、キーボード200i、スピーカ200j、及びタッチパッド200kで構成される。
【0063】
CPU200aは、例えば、ハードウェアタイマを監視することで、予め定められた時刻になると、重要度予測装置300へ予測値送信リクエストを出力するリクエスト出力処理を実行する。これにより、CPU200aは、図6に示す出力部220、入力部230、及び予測値保存部240として機能する。また、CPU200aは、ハードディスク200dと協働して予測値記憶部210aとして機能する。
【0064】
リクエスト出力処理を開始すると、出力部220は、予測値送信リクエストをLANカード200fへ出力する。次に、LANカード200fは、予測値送信リクエストを重要度予測装置300へ送信する。
【0065】
その後、LANカード200fが予測値行列HQを表す情報を含む出力データを受信すると、入力部230は、LANカード200fから出力データを入力する。次に、予測値保存部240は、入力された出力データで、予測値記憶部210aが記憶する出力データを上書保存(つまり、更新)した後に、予測値送信リクエスト出力処理の実行を終了する。
【0066】
出力データが保存された後に、端末装置101からLANカード200fがウェブページ送信リクエストを受信すると、図2(b)に示すCPU200aは、図7に示すようなウェブページ出力処理を実行する。これにより、CPU200aは、図6に示す出力部220、入力部230、予測値検索部250、サイド情報選択部260、広告選択部270、ウェブページ読出部280、及び履歴更新部290として機能する。また、CPU200aは、ハードディスク200dと協働して広告記憶部210b、ページ記憶部210c、及び履歴記憶部210dとして機能する。
【0067】
ウェブページ出力処理を開始すると、入力部230は、図2(b)に示したLANカード200fからウェブページ送信リクエストを入力する(ステップS21)。
【0068】
次に、予測値検索部250は、ウェブページ送信リクエストからユーザ識別情報uを抽出する(ステップS22)。本実施形態において、抽出されたユーザ識別情報uが値2であった場合を例に挙げて説明する。
【0069】
その後、予測値検索部250は、予測値記憶部210aに記憶された出力データから、1番目からL番目までのサイド情報sを表す情報を取得する(ステップS23)。次に、予測値検索部250は、予測値記憶部210aに記憶された出力データから予測値行列HQを表す情報を検索した後に、ユーザ識別情報uに基づいて予測値行列HQから予測値ベクトルHQ_uを検索する(ステップS24)。つまり、予測値行列HQの2行目の予測値ベクトルHQ_2を検索する。
【0070】
次に、サイド情報選択部260は、予測値ベクトルHQ_2の要素値である重要度予測値hq_usを降順にソートし、サイド情報選択部260は、重要度予測値hq_usの並び順に応じてサイド情報sをソートする。その後、サイド情報選択部260は、図8に示すようにソートされたサイド情報sから、並び順が早い順(つまり、重要度予測値hq_usが大きい順)に所定数だけ選択し、選択サイド情報とする(ステップS25)。尚、所定数を表す情報は、図2(b)に示すハードディスク200dに予め保存されており、本実施形態では、所定数は2個であるとする。つまり、サイド情報選択部260は、図8に示すサイド情報「木製」及び「収納」を選択サイド情報とする。
【0071】
次に、広告選択部270は、選択サイド情報「木製」及び「収納」に基づき広告記憶部210bから広告ファイルを選択する(ステップS26)。具体的には、図6に示す広告記憶部210bには、図9に示すような商品等広告テーブルが記憶されており、商品等広告テーブルには、サイド情報と、サイド情報で説明される商品等を広告する広告ファイルの名称が優先順位の高い順に向かって左から記号「,」で連結された情報とを対応付けた情報が複数保存されている。このため、広告選択部270は、商品等広告テーブルにおいてサイド情報「木製」に対応付けられた広告ファイルの名称から優先度に応じて1つ選択する。この選択時に、広告選択部270は、優先度の高い名称程、高確率で選択する。つまり、広告選択部270は、「チェアA」を「チェアB」よりも高確率、かつ「チェアB」を「チェアC」よりも高確率で選択する。また同様に、広告選択部270は、商品等広告テーブルにおいてサイド情報「収納」に対応付けられた広告ファイルの名称から優先度に応じて1つ選択する。
【0072】
その後、広告選択部270は、選択した名称の広告ファイルを広告記憶部210bから読み出し、読み出した広告ファイルをウェブページ読出部280へ出力する。
【0073】
次に、ウェブページ読出部280は、ステップS21で入力されたウェブページ送信リクエストからURLを抽出し、抽出したURLに在るウェブページを表すデータをページ記憶部210cから読み出す(ステップS27)。
【0074】
その後、履歴更新部290は、ウェブページのURLを表す情報と、ウェブページに掲載された商品等の識別情報yと、ウェブページの送信を要求したユーザのユーザ識別情報と、に対応付けて履歴記憶部210dが記憶するウェブページの送信回数を表す情報を、当該送信回数よりも1回多い回数を表す情報に更新する(ステップS28)。
【0075】
その後、出力部220は、ステップS27で読み出されたウェブページに対して、ステップS26で選択された広告ファイルで表される広告画像を追加した後に、広告画像が追加されたウェブページを表すデータを、図2に示したLANカード200fへ出力した後に(ステップS29)、ウェブページ出力処理の実行を終了する。
【0076】
尚、LANカード200fは、広告画像が追加されたウェブページを表すデータを端末装置101へ送信する。端末装置101は、当該データを受信すると、表示部へ当該データで表されるウェブページを表示部101bに表示する。
【0077】
<実施形態1の変形例1>
本実施形態において、端末装置101は、ユーザのユーザ識別情報uと、評価対象の評価対象識別情報yと、当該ユーザによる当該評価対象の評価値d_uyを表す情報と、を対応付けた入力データをウェブサーバ200へ送信するとして説明したが、端末装置101は、ユーザ識別情報uと、評価対象識別情報yと、を対応付けた入力データを送信しても良い。この構成において、ウェブサーバ200は、入力データを受信すると、入力データに含まれるユーザ識別情報uと評価対象識別情報yとに対応付けて履歴記憶部210dに記憶されたウェブページの送信回数を表す情報を検索する。次に、ウェブサーバ200は、送信回数が高い程、値が高くなるように、当該ユーザによる当該評価対象の評価値d_uyを決定し、決定された評価値d_uyを表す情報を、ユーザ識別情報uと評価対象識別情報yとサイド情報sとに対応付けて重要度予測装置300へ送信しても良い。
【0078】
<実施形態1の変形例2>
【0079】
実施形態1において、図1に示した重要度予測システム1は、通信網10、端末装置101から103、ウェブサーバ200、及び重要度予測装置300で構成されるとして説明した。しかし、重要度予測装置300がウェブサーバ200の有する機能を備え、通信網10、端末装置101から103、及び重要度予測装置300で重要度予測システム1が構成されても良い。
【0080】
これらの構成によれば、重要度q_usを表す確率変数の行列(つまり、重要度行列)Qを、人物識別情報uで識別される人物の特徴を表す確率変数の行列(つまり、ユーザ特徴行列)Xと、説明情報(つまり、サイド情報)sの特徴を表す確率変数の行列(つまり、サイド情報特徴行列)Vと、で表す。その後、取得された観測値データに基づいてユーザ特徴行列Xとサイド情報特徴行列Vとが従う確率分布の母数を表すパラメタη及びαを推定した後に、推定されたパラメタη及びαに基づいて説明情報sの重要度の予測値hq_usを表す行列HQを算出する。このため、評価対象に対するある人物の評価において、当該評価対象を説明するサイド情報sがどの程度重要であるかを予測できる。
【0081】
また、これらの構成によれば、ユーザが商品若しくはサービスの評価においてどの程度説明情報(つまり、サイド情報)を重要と考えるかを表す重要度の予測値に基づいて説明情報を選択し、選択された説明情報で説明される商品若しくはサービスの広告画像をウェブページに追加できる。このため、広告画像が追加されたウェブページが当該ユーザに対して表示されると、広告される商品若しくはサービスの売り上げが増加し易くなる。
【0082】
<実施形態2>
本発明の実施形態1に係る重要度予測装置300は、商品等を説明するサイド情報が商品等の評価においてユーザにとってどの程度重要であるかを表す重要度を予測すると説明した。実施形態2に係る重要度予測装置300は、患者を診察した結果の傷病の重篤度(または有無など)を医師が判断する際に、傷病を説明する説明情報のどの情報をどのくらい重要視して診察すべきかを表す重要度を予測する。尚、傷病は、医師による傷病に対する判断や見解である所見によって説明されるため、以下説明情報を所見情報という。
本発明の実施形態2に係る重要度予測システム1は、図10に示すように、通信網10、端末装置101から103、及び重要度予測装置300で構成される。通信網10及び端末装置101から103の構成は、実施形態1における構成と同様であるので説明を省略する。
【0083】
医師が端末装置101の入力部101aを操作すると、端末装置101は、図11に示すような、患者を識別する患者識別情報u’と、評価対象である患者の傷病を識別する評価対象識別情報yと、当該医師による当該患者の傷病がどの程度重篤であるかを評価した評価値d_u’yを表す情報と、を対応付けた観測データを入力する。また、端末装置101は、当該医師が各傷病の診断において重要(又は注視すべき)と考える所見情報s’を入力する。
【0084】
つまり、図11に示す患者Aの所見情報s’は、血圧値が健常者の値と異なるという所見を表す情報、BMI(Body Mass Index)値が健常者の値と異なるという所見を表す情報、HDL(High Density Lipoprotein)コレステロール値が健常者の値と異なるという所見を表す情報である。
【0085】
その後、端末装置101は、観測値データと所見情報s’とを対応付けた入力データを生成し、生成した入力データを重要度予測装置300へ送信する。
【0086】
図2(a)に示した重要度予測装置300のCPU300aは、LANカード300fが入力データを受信すると、当該患者の傷病がどの程度重篤であるかを当該医師が評価する際に所見情報がどの程度重要であるかを表す重要度の予測値を送信する、図12に示す重要度予測値出力処理を実行する。これにより、CPU300aは、図3(a)に示した入力部320、保存部330、取得部340、パラメタ推定部350、重要度算出部360、検索部370、及び出力部380として機能し、ハードディスク300dと協働して情報記憶部310として機能する。
【0087】
重要度予測値出力処理を開始すると、入力部320は、LANカード300fから入力データを入力するデータ入力処理を実行する(ステップS31)。次に、保存部330は、情報記憶部310が記憶する入力データテーブルに入力データを保存するデータ保存処理を実行する(ステップS32)。
【0088】
その後、取得部340、パラメタ推定部350、及び重要度算出部360は、患者識別情報u’を実施形態1で説明したユーザ識別情報uと同様に取り扱い、所見情報s’をサイド情報sと同様に取り扱うことで、図5に示した重要度予測処理を実行する(ステップS33)。
【0089】
つまり、重要度予測処理の実行において、パラメタ推定部350の分解部352は、上式(13)を用いて評価値d_u’yを患者特徴ベクトルX_u’と評価対象特徴ベクトルW_yとの内積で表し、上式(14)を用いて重要度q_u’s’を患者特徴ベクトルX_u’とサイド情報特徴ベクトルV_s’との内積で表す。
【0090】
この患者特徴ベクトルX_u’の各次元の要素は、傷病の特徴を表し、患者識別情報u’で識別される患者が傷病のどの特徴にどのくらいかかりやすいかを数値で表す。また、評価対象特徴ベクトルW_yの各次元の要素は、傷病の特徴を表し、評価対象識別情報yで識別される傷病がある特徴を有する度合いを数値で表す。さらに、所見情報特徴ベクトルV_s’の各次元の要素は、傷病の特徴を表し、所見が傷病に与える影響の度合いを数値で表す。
【0091】
その後、推定部353が、これらのベクトルX_u’、W_y、及びV_s’で構成される行列変数X、W、及びVが従う事前確率分布の母数を表すパラメタの値を推定した後に、重要度算出部360が、推定された母数を表すパラメタを用いて所見情報s’の重要度予測値hq_u’s’を算出する。その後、重要度算出部360は、重要度予測値hq_u’s’を要素とする予測値行列HQを生成し、生成された予測値行列HQを表す情報を情報記憶部110へ保存する。
【0092】
重要度予測処理が終了すると、検索部370は、入力データから患者識別情報u’を抽出する(ステップS34)。その後、検索部370は、情報記憶部310から予測値行列HQを表す情報を読み出す。次に、検索部370は、患者識別情報u’に基づいて予測値行列HQから、患者識別情報u’の予測値ベクトルHQ_u’を検索(つまり、予測値行列HQからu’行目のベクトルを抽出)する(ステップS35)。
【0093】
その後、出力部380は、所見情報s’の重要度予測値を要素とする予測値ベクトルHQ_u’を表す情報と、入力データと、を対応付けたデータをLANカード300fへ出力した後に(ステップS36)、重要度予測値出力処理の実行を終了する。
【0094】
その後、LANカード300fは、出力されたデータを端末装置101へ送信する。端末装置101は、当該データを受信すると、当該患者が負う傷病の所見を表す所見情報s’と、所見情報s’の重要度予測値hq_u’s’を表す情報と、を対応付けた情報を、重要度予測値hq_u’s’が高い順に並び替える。
【0095】
次に、端末装置101は、図13に示すような、当該データに含まれる患者識別情報u’と、重要度予測値hq_u’s’が高い順にソートされた当該患者が負う傷病の所見を表す複数の所見情報s’と、を対応付けて表示部101bに表示する。
【0096】
尚、端末装置101は、患者識別情報u’及びソートされた当該患者が負う傷病の所見を表す所見情報s’だけではなく、患者の傷病を識別する識別評価対象識別情報yと、当該患者の傷病の重篤度を表す評価値d_u’yを表す情報と、所見情報s’の重要度予測値hq_u’s’を表す情報と、をさらに対応付けて表示部101bに表示しても良い。
【0097】
これらの構成によれば、重要度q_u’s’を表す確率変数の行列(つまり、重要度行列)Qを、人物識別情報u’で識別される人物の特徴を表す確率変数の行列(つまり、ユーザ特徴行列)Xと、説明情報(つまり、サイド情報)s’の特徴を表す確率変数の行列(つまり、サイド情報特徴行列)Vと、で表す。その後、取得された観測値データに基づいてユーザ特徴行列Xとサイド情報特徴行列Vとが従う確率分布の母数を表すパラメタη及びαを推定した後に、推定されたパラメタη及びαに基づいて説明情報sの重要度の予測値hq_u’s’を表す行列HQを算出する。このため、ある人物が有する評価対象の評価において、当該評価対象を説明するサイド情報s’がどの程度重要であるかを予測できる。
【0098】
これらの構成によれば、患者の有する傷病の重篤度(または有無など)を診察して、判断・評価する際に、医師による各所見がどの程度重要であるかを表す重要度の予測値hq_u’s'を出力できる。このため、医師、看護師、及び介護師は、患者の所見の重要度が高いか低いかという情報を治療の優先順序などをつける際の補助情報として活用して、効率的かつ効果的に患者の診察、看護、及び介護を行うことができる。
【0099】
尚、実施形態1、実施形態1の変形例1、実施形態1の変形例2、及び実施形態2において、評価値d_uy及び評価値d_u’yは実数であるとして説明したが、これに限定される訳ではない。
【0100】
尚、本発明に係る実施形態1、実施形態1の変形例1、実施形態1の変形例2、及び実施形態2は、互いに組み合わせても良い。本発明に係る機能を実現するための構成を予め備えた重要度予測装置300として提供できることはもとより、プログラムの適用により、既存の1又は複数のコンピュータを本発明に係る重要度予測装置として機能させることもできる。すなわち、上記実施形態で例示した重要度予測装置300による各機能構成を実現させるためのプログラムを、既存の重要度予測装置を制御するコンピュータ(CPUなど)が実行できる様に適用することで、本発明に係る重要度予測装置300として機能させることができる。
【0101】
このようなプログラムの配布方法は任意であり、例えば、メモリカード、CD−ROM、又はDVD−ROMなどの記録媒体に格納して配布できる他、インターネットなどの通信媒体を介して配布することもできる。
【0102】
以上本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【0103】
上記の実施形態1、実施形態1の変形例1、実施形態1の変形例2、及び実施形態2の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0104】
(付記1)
人物を識別する情報と、評価対象を識別する情報と、当該人物による当該評価対象の評価値若しくは当該人物が有する当該評価対象の評価値を表す情報と、を対応付けた観測値データと前記評価対象を説明する説明情報とを取得する取得手段と、
前記取得された説明情報が前記評価対象の評価においてどの程度重要であるかを示す重要度を表す確率変数を、前記取得された情報で表される評価値を用いて定義する定義手段と、
前記定義された重要度を表す確率変数を、前記人物の特徴を表す確率変数と前記説明情報の特徴を表す確率変数とで表す分解手段と、
前記人物の特徴を表す確率変数と、前記説明情報の特徴を表す確率変数と、が予め定められた事前確率分布に従う場合に、前記事前確率分布の母数を表すパラメタを、前記取得された観測値データを用いて推定する推定手段と、
前記推定されたパラメタに基づいて前記説明情報の重要度の予測値を算出する予測値算出手段と、
前記算出された当該説明情報の重要度の予測値を表す情報と、前記人物を識別する情報と、前記説明情報と、を対応付けた出力データを出力する出力手段と、を備える、
ことを特徴とする重要度予測システム。
【0105】
(付記2)
前記評価対象は、商品若しくはサービスであり、
送信が求められたウェブページの所在を表す情報と、当該ウェブページの送信を求める人物を識別する情報と、を入力する入力手段と、
前記出力された出力データから、前記入力された情報で識別される人物と同じ人物を識別する情報に対応付けられた説明情報と、当該説明情報の重要度の予測値を表す情報と、を検索する検索手段と、
前記検索された情報で表される重要度の予測値に基づいて前記説明情報を選択する選択手段と、
商品若しくはサービスを説明する説明情報と、当該商品若しくは当該サービスを広告する広告画像を表す情報と、を対応付けて記憶する記憶手段と、
前記入力された情報で表される所在にあるウェブページに対して、前記選択された説明情報に対応付けて記憶された情報で表される広告画像を追加した後に、当該広告画像が追加されたウェブページを送信する送信手段と、をさらに備える、
ことを特徴とする付記1に記載の重要度予測システム。
【0106】
(付記3)
前記評価対象は、前記人物が有する傷病であり、
前記評価値は、前記傷病がどの程度重篤であるかを評価した値であり、
前記説明情報は、医師による前記傷病に対する判断若しくは見解である所見を表す所見情報である、
ことを特徴とする付記1に記載の重要度予測システム。
【0107】
(付記4)
コンピュータを、
人物を識別する情報と、評価対象を識別する情報と、当該人物による当該評価対象の評価値若しくは当該人物が有する当該評価対象の評価値を表す情報と、を対応付けた観測値データと前記評価対象を説明する説明情報とを取得する取得手段、
前記取得された説明情報が前記評価対象の評価においてどの程度重要であるかを示す重要度を表す確率変数を、前記取得された情報で表される評価値を用いて定義する定義手段、
前記定義された重要度を表す確率変数を、前記人物の特徴を表す確率変数と前記説明情報の特徴を表す確率変数とで表す分解手段、
前記人物の特徴を表す確率変数と、前記説明情報の特徴を表す確率変数と、が予め定められた事前確率分布に従う場合に、前記事前確率分布の母数を表すパラメタを、前記取得された観測値データを用いて推定する推定手段、
前記推定されたパラメタに基づいて前記説明情報の重要度の予測値を算出する予測値算出手段、
前記算出された当該説明情報の重要度の予測値を表す情報と、前記人物を識別する情報と、前記説明情報と、を対応付けた出力データを出力する出力手段、として機能させる、
ことを特徴とする重要度予測プログラム。
【0108】
(付記5)
人物を識別する情報と、評価対象を識別する情報と、当該人物による当該評価対象の評価値若しくは当該人物が有する当該評価対象の評価値を表す情報と、を対応付けた観測値データと前記評価対象を説明する説明情報とを取得する取得ステップと、
前記取得された説明情報が前記評価対象の評価においてどの程度重要であるかを示す重要度を表す確率変数を、前記取得された情報で表される評価値を用いて定義する定義ステップと、
前記定義された重要度を表す確率変数を、前記人物の特徴を表す確率変数と前記説明情報の特徴を表す確率変数とで表す変数分解ステップと、
前記人物の特徴を表す確率変数と、前記説明情報の特徴を表す確率変数と、が予め定められた事前確率分布に従う場合に、前記事前確率分布の母数を表すパラメタを、前記取得された観測値データを用いて推定するパラメタ推定ステップと、
前記推定されたパラメタに基づいて前記説明情報の重要度の予測値を算出する予測値算出ステップと、
前記算出された当該説明情報の重要度の予測値を表す情報と、前記人物を識別する情報と、前記説明情報と、を対応付けた出力データを出力する出力ステップと、を有する、
ことを特徴とする重要度予測方法。
【符号の説明】
【0109】
1 重要度予測システム
10 通信網
101,102,103 端末装置
101a,102a,103a 入力部
101b,102b,103b 表示部
200 ウェブサーバ
200a CPU
200b ROM
200c RAM
200d ハードディスク
200e メディアコントローラ
200f LANカード
200g ビデオカード
200h LCD
200i キーボード
200j スピーカ
200k タッチパッド
210a 予測値記憶部
210b 広告記憶部
210c ページ記憶部
210d 履歴記憶部
220 出力部
230 入力部
240 予測値保存部
250 予測値検索部
260 サイド情報選択部
270 広告選択部
280 ウェブページ読出部
290 履歴更新部
300 重要度予測装置
300a CPU
300b ROM
300c RAM
300d ハードディスク
300e メディアコントローラ
300f LANカード
300g ビデオカード
300h LCD
300i キーボード
300j スピーカ
300k タッチパッド
310 情報記憶部
320 入力部
330 保存部
340 取得部
350 パラメタ推定部
351 定義部
352 分解部
353 推定部
360 重要度算出部
370 検索部
380 出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人物を識別する情報と、評価対象を識別する情報と、当該人物による当該評価対象の評価値若しくは当該人物が有する当該評価対象の評価値を表す情報と、を対応付けた観測値データと前記評価対象を説明する説明情報とを取得する取得手段と、
前記取得された説明情報が前記評価対象の評価においてどの程度重要であるかを示す重要度を表す確率変数を、前記取得された情報で表される評価値を用いて定義する定義手段と、
前記定義された重要度を表す確率変数を、前記人物の特徴を表す確率変数と前記説明情報の特徴を表す確率変数とで表す分解手段と、
前記人物の特徴を表す確率変数と、前記説明情報の特徴を表す確率変数と、が予め定められた事前確率分布に従う場合に、前記事前確率分布の母数を表すパラメタを、前記取得された観測値データを用いて推定する推定手段と、
前記推定されたパラメタに基づいて前記説明情報の重要度の予測値を算出する予測値算出手段と、
前記算出された当該説明情報の重要度の予測値を表す情報と、前記人物を識別する情報と、前記説明情報と、を対応付けた出力データを出力する出力手段と、を備える、
ことを特徴とする重要度予測システム。
【請求項2】
前記評価対象は、商品若しくはサービスであり、
送信が求められたウェブページの所在を表す情報と、当該ウェブページの送信を求める人物を識別する情報と、を入力する入力手段と、
前記出力された出力データから、前記入力された情報で識別される人物と同じ人物を識別する情報に対応付けられた説明情報と、当該説明情報の重要度の予測値を表す情報と、を検索する検索手段と、
前記検索された情報で表される重要度の予測値に基づいて前記説明情報を選択する選択手段と、
商品若しくはサービスを説明する説明情報と、当該商品若しくは当該サービスを広告する広告画像を表す情報と、を対応付けて記憶する記憶手段と、
前記入力された情報で表される所在にあるウェブページに対して、前記選択された説明情報に対応付けて記憶された情報で表される広告画像を追加した後に、当該広告画像が追加されたウェブページを送信する送信手段と、をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の重要度予測システム。
【請求項3】
前記評価対象は、前記人物が有する傷病であり、
前記評価値は、前記傷病がどの程度重篤であるかを評価した値であり、
前記説明情報は、医師による前記傷病に対する判断若しくは見解である所見を表す所見情報である、
ことを特徴とする請求項1に記載の重要度予測システム。
【請求項4】
コンピュータを、
人物を識別する情報と、評価対象を識別する情報と、当該人物による当該評価対象の評価値若しくは当該人物が有する当該評価対象の評価値を表す情報と、を対応付けた観測値データと前記評価対象を説明する説明情報とを取得する取得手段、
前記取得された説明情報が前記評価対象の評価においてどの程度重要であるかを示す重要度を表す確率変数を、前記取得された情報で表される評価値を用いて定義する定義手段、
前記定義された重要度を表す確率変数を、前記人物の特徴を表す確率変数と前記説明情報の特徴を表す確率変数とで表す分解手段、
前記人物の特徴を表す確率変数と、前記説明情報の特徴を表す確率変数と、が予め定められた事前確率分布に従う場合に、前記事前確率分布の母数を表すパラメタを、前記取得された観測値データを用いて推定する推定手段、
前記推定されたパラメタに基づいて前記説明情報の重要度の予測値を算出する予測値算出手段、
前記算出された当該説明情報の重要度の予測値を表す情報と、前記人物を識別する情報と、前記説明情報と、を対応付けた出力データを出力する出力手段、として機能させる、
ことを特徴とする重要度予測プログラム。
【請求項5】
人物を識別する情報と、評価対象を識別する情報と、当該人物による当該評価対象の評価値若しくは当該人物が有する当該評価対象の評価値を表す情報と、を対応付けた観測値データと前記評価対象を説明する説明情報とを取得する取得ステップと、
前記取得された説明情報が前記評価対象の評価においてどの程度重要であるかを示す重要度を表す確率変数を、前記取得された情報で表される評価値を用いて定義する定義ステップと、
前記定義された重要度を表す確率変数を、前記人物の特徴を表す確率変数と前記説明情報の特徴を表す確率変数とで表す変数分解ステップと、
前記人物の特徴を表す確率変数と、前記説明情報の特徴を表す確率変数と、が予め定められた事前確率分布に従う場合に、前記事前確率分布の母数を表すパラメタを、前記取得された観測値データを用いて推定するパラメタ推定ステップと、
前記推定されたパラメタに基づいて前記説明情報の重要度の予測値を算出する予測値算出ステップと、
前記算出された当該説明情報の重要度の予測値を表す情報と、前記人物を識別する情報と、前記説明情報と、を対応付けた出力データを出力する出力ステップと、を有する、
ことを特徴とする重要度予測方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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