野球用またはソフトボール用バット
【課題】十分な耐久性を維持しつつ、反発特性を向上させた野球用またはソフトボール用バットを提供する。
【解決手段】バット1は、打球部3、テーパー部4およびグリップ部5を含む野球用またはソフトボール用バットであって、打球部3は、芯材としての打球部芯材11と、弾性体12と、外殻部材13とを供える。弾性体12は、打球部芯材11の外周上に配置される。外殻部材13は、弾性体12の外周上に配置される。外殻部材13は、互いに独立して弾性変形可能な複数の部分である外殻部材部分14を含む。
【解決手段】バット1は、打球部3、テーパー部4およびグリップ部5を含む野球用またはソフトボール用バットであって、打球部3は、芯材としての打球部芯材11と、弾性体12と、外殻部材13とを供える。弾性体12は、打球部芯材11の外周上に配置される。外殻部材13は、弾性体12の外周上に配置される。外殻部材13は、互いに独立して弾性変形可能な複数の部分である外殻部材部分14を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、打球部に弾性体を用いた野球用またはソフトボール用バットに関し、より特定的には、耐久性を維持しつつ反発特性を向上させた、打球部に弾性体を用いた野球用またはソフトボール用バットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、打球部に弾性体を用いて反発特性を向上させたバットが知られている(たとえば、特開2002−126144号公報(以下、特許文献1と呼ぶ)参照)。特許文献1では、バットの打球部を、打球部芯材と、当該打球部芯材の外周に配置された弾性体と、当該弾性体の外周に配置された外殻部材としてのパイプとから構成している。このようにすることで、打球時に打球の衝撃によって弾性体が圧縮され、ボールと外殻部材とが打球部芯材の方向へ移動する。そして、その後弾性体の復元により、ボールと外殻部材とがバットの外面方向に移動するので、ボールが打球時に大きく変形することなく、ボールの変形によるエネルギーロスを低下させることで、バットの反発特性が向上するとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−126144号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した従来のバットについて発明者が検討した結果、以下のような課題を発見した。すなわち、上述した構成のバットでは、外殻部材においてある程度の強度を維持する必要があるが、そのように十分な強度の外殻部材を用いると、打球時に外殻部材が十分に変形や移動せず、結果的にバットの反発特性の向上が不十分なものとなっていた。一方、特許文献1に開示された構成のバットにおいて打球時に外殻部材や弾性体を十分変形させるためには、外殻部材の剛性を下げる、あるいは弾性体としてこれまでよりさらに柔らかい材料を用いる、といった対応が考えられるが、この場合バットの耐久性が低下し、打球感が悪くなるという新たな問題が発生する。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の目的は、十分な耐久性を維持しつつ、反発特性を向上させた野球用またはソフトボール用バットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に従った野球用またはソフトボール用バットは、打球部、テーパー部およびグリップ部を含む野球用またはソフトボール用バットであって、打球部は、芯材と、弾性体と、外殻部材とを供える。弾性体は、芯材の外周上に配置される。外殻部材は、弾性体の外周上に配置される。外殻部材は、互いに独立して弾性変形可能な複数の部分を含む。
【0007】
このようにすれば、外殻部材が独立して弾性変形可能な複数の部分により構成されるので、打球時にボールが接触した外殻部材の部分にボールからの衝撃が伝わる一方、当該部分に隣接する他の外殻部材の部分には直接的には当該衝撃が伝わらない。そのため、ボールが接触した当該部分および当該部分下に位置する弾性体を容易に弾性変形させることができる。この結果、打球時のボールの変形を抑制することでエネルギーロスを低減し、結果的にバットの反発特性を向上させることができる。
【0008】
また、従来のように外殻部材が一体のパイプ状部材である場合には、ボールが接触した部分に加えられる衝撃荷重をパイプ状部材の全体で分散して受けることになる。そのため、ボールの変形を抑制することができる程度に十分なパイプ状部材の変形を実現するためには当該パイプ状部材の剛性や弾性体の弾性率を極めて低くする(たとえばパイプ状部材の厚みを極薄くしたり、弾性体の弾性率を極低くする)ことが必要となる。一方、本発明によるバットのように外殻部材を複数の部分により構成すれば、打球時のボールからの衝撃荷重を、当該ボールが接触した個々の部分で受けることになるので、外殻部材を構成する複数の部分の剛性や弾性体の弾性率をある程度高くする(たとえば十分な耐久性が確保できる程度に複数の部分の厚みを厚くする)ことが可能になる。このため、バットの耐久性を維持しつつ、反発特性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、十分な耐久性を維持しつつ、反発特性を向上させた野球用またはソフトボール用バットを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明によるバットの実施の形態1を示す模式図である。
【図2】図1の線分II−IIにおける断面模式図である。
【図3】図2に示したバットの部分断面模式図である。
【図4】図1〜図3に示したバットの変形例を示す模式図である。
【図5】図4の線分V−Vにおける部分断面模式図である。
【図6】本発明によるバットの実施の形態2を示す模式図である。
【図7】図6の線分VII−VIIにおける部分断面模式図である。
【図8】図7の線分VIII−VIIIにおける断面模式図である。
【図9】本発明によるバットの実施の形態3を示す模式図である。
【図10】図9の線分X−Xにおける部分断面模式図である。
【図11】本発明によるバットの実施の形態4を示す模式図である。
【図12】図11の線分XII−XIIにおける断面模式図である。
【図13】図12の線分XIII−XIIIにおける断面模式図である。
【図14】この発明によるバットの実施の形態5を示す部分断面模式図である。
【図15】本発明によるバットの実施の形態6を示す断面模式図である。
【図16】本発明によるバットの実施の形態7を示す部分断面模式図である。
【図17】本発明によるバットの実施の形態8を示す部分断面模式図である。
【図18】図17の線分XVIII−XVIIIにおける断面模式図である。
【図19】本発明によるバットの実施の形態9を示す模式図である。
【図20】図19の線分XX−XXにおける部分断面模式図である。
【図21】本発明によるバットの実施の形態10を示す模式図である。
【図22】図21の線分XXII−XXIIにおける断面模式図である。
【図23】本発明によるバットの実施の形態11を示す模式図である。
【図24】図23の線分XXIV−XXIVにおける部分断面模式図である。
【図25】本発明によるバットの実施の形態12を示す模式図である。
【図26】本発明によるバットの実施の形態13を示す部分断面模式図である。
【図27】本発明によるバットの実施の形態14を示す部分断面模式図である。
【図28】本発明によるバットの実施の形態15を示す部分断面模式図である。
【図29】本発明によるバットの実施の形態16を示す部分断面模式図である。
【図30】図29の線分XXX−XXXにおける断面模式図である。
【図31】本発明によるバットの実施の形態17を示す模式図である。
【図32】本発明によるバットの実施の形態18を示す模式図である。
【図33】本発明によるバットの実施の形態19を示す模式図である。
【図34】本発明によるバットの実施の形態20を示す模式図である。
【図35】本発明によるバットの実施の形態21を示す模式図である。
【図36】図35の線分XXXVI−XXXVIにおける部分断面模式図である。
【図37】図35および図36に示したバットの変形例を示す部分断面模式図である。
【図38】本発明によるバットの実施の形態22を示す部分断面模式図である。
【図39】本発明によるバットの実施の形態23を示す部分断面模式図である。
【図40】本発明によるバットの実施の形態24を示す部分断面模式図である。
【図41】本発明によるバットの実施の形態25を示す部分断面模式図である。
【図42】本発明によるバットの実施の形態26を示す部分断面模式図である。
【図43】本発明によるバットの実施の形態27を示す模式図である。
【図44】図43の線分XLIV−XLIVにおける部分断面模式図である。
【図45】図44の線分XLV−XLVにおける断面模式図である。
【図46】本発明によるバットの実施の形態28を示す模式図である。
【図47】本発明によるバットの実施の形態29を示す部分断面模式図である。
【図48】本発明によるバットの実施の形態30を示す断面模式図である。
【図49】本発明によるバットの実施の形態31を示す模式図である。
【図50】図49の線分L−Lにおける部分断面模式図である。
【図51】本発明によるバットの実施の形態32を示す模式図である。
【図52】本発明によるバットの実施の形態33を示す部分断面模式図である。
【図53】本発明によるバットの実施の形態34を示す部分断面模式図である。
【図54】本発明によるバットの実施の形態35を示す部分断面模式図である。
【図55】本発明によるバットの実施の形態36を示す部分断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。なお以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は繰返さない。
【0012】
(実施の形態1)
図1〜図3を参照して、本発明によるバットの実施の形態1を説明する。
【0013】
図1〜図3に示したバット1は、先端側から先端部2、ボールを打つための打球部3、径が徐々に細くなっているテーパー部4、および打者がバット1を握るためのグリップ部5とを備える。図2および図3に示すように、バット1の打球部3においては、当該バット1は3層構造を有している。すなわち、打球部3においては、バット1の径方向中心部(バット1の中心軸に対して垂直な断面における中心部)に位置する打球部芯材11の外周に、弾性体12が配置されている。打球部芯材11には、当該弾性体12をその内部に配置するための凹部15が形成されている。この凹部15の内部に弾性体12が配置される。凹部15の内部において、弾性体12は打球部芯材11の周囲を囲むように配置されている。そして、この弾性体12の外周側面上に外殻部材13が配置されている。この外殻部材13の全体はほぼ円筒形状である。外殻部材13は複数の外殻部材部分14により構成されている。この外殻部材部分14も(バット1の中心軸方向における幅は上記外殻部材13の当該幅より短いが)円筒形状である。この外殻部材部分14は互いに完全に分離した状態となっている。なお、個々の外殻部材部分14は、図1ではほぼ同じ形状となっているが、それぞれの外殻部材部分14の形状を変える(たとえばバット1の中心軸方向における幅を変える)ようにしてもよい。また、外殻部材部分14は弾性体12の外周面と接続固定されている。外殻部材部分14と弾性体12との接続方法としては、接着剤などの接合部材を介して外殻部材部分14と弾性体12とを接着してもよいし、外殻部材部分14と弾性体12とを直接固着させてもよい。固着方法としては、熱融着など任意の方法を用いることができる。また、弾性体12と打球部芯材11とは任意の方法で接続固定されていてもよい。
【0014】
このような構造のバット1によれば、打球部3においてボールを打撃したときに外殻部材13の外殻部材部分14がそれぞれ独立して変形可能であるため、外殻部材部分14および当該外殻部材部分14下の弾性体12がボールの打撃に応じて十分に変形することができる。この結果、弾性体12の変形による反発力を十分にボールへと伝えることができる。このため、ボールの飛距離をより伸ばすことができる。
【0015】
次に、図1〜図3に示したバットの製造方法を説明する。図1〜図3に示したバットの製造方法としては、従来周知の任意の方法を用いることができるが、たとえば、打球部芯材11と外殻部材部分14とを成形型にセットし、芯材の凹部15に弾性体となるべき液状材料を注入し、当該液状材料を固体化させて弾性体12を形成する(なお、弾性体12の形成時に、外殻部材部分14および芯材の凹部15はそれぞれ弾性体14と固着される)、という方法を用いることができる。
【0016】
図4および図5を参照して、本発明による図1〜図3に示したバットの変形例を説明する。
【0017】
図4および図5に示したバット1は、基本的には図1〜図3に示したバットと同様の構造を備えるが、外殻部材13のグリップ部5側に固定部材20が配置されている点が異なっている。具体的には、図5に示すように、打球部芯材11においては凹部15のテーパー部側に固定部材20を接続固定するための固定部材保持部21が形成されている。この固定部材保持部21では、打球部芯材11の径がほぼ一定となっている。この固定部材保持部21の径は、外殻部材13の内径よりも小さくなっている。つまり、固定部材保持部21からテーパー部4にかけてバット1の径は、外殻部材13の内径より小さくなっている。そのため、固定部材20を取付ける前においては、外殻部材13をグリップ側から打球部3における弾性体12の外周面上に装着する、あるいは取外すことが可能である。
【0018】
なお、固定部材20は、固定部材保持部21と任意の方法で固定することができる。たとえば、接着剤などを用いて固定部材20を固定部材保持部21へと接着してもよいし、固定ピンなどの固定用部材を別途準備して当該部材により固定部材20を固定部材保持部21へと接続固定してもよい。このようなバット1によっても、図1〜図3に示したバット1と同様の効果を得ることができる。
【0019】
(実施の形態2)
図6〜図8を参照して、本発明によるバットの実施の形態2を説明する。
【0020】
図6〜図8に示したバット1は、基本的には図1〜図3に示したバットと同様の構造を備えるが、外殻部材13を構成する外殻部材部分14の形状が異なっている。すなわち、図6〜図8に示したバット1においては、外殻部材部分14は、バット1の中心軸の延在方向に沿って延びる短冊状の形状を有している。異なる観点からいえば、外殻部材13は、バット1の延在方向に沿って複数の外殻部材部分14に分割された状態となっている。これらの外殻部材部分14はそれぞれ弾性体12との接触部分の全体もしくは一部が接着剤などの接続部材により弾性体12と接続固定されている。このような構成のバット1によっても、図1〜図3に示したバット1と同様の効果を得ることができる。なお、外殻部材部分14と弾性体12の表面との固定方法としては、上述した接着剤などの固定部材を用いる方法以外の任意の方法を用いることができる。
【0021】
(実施の形態3)
図9および図10を参照して、本発明によるバットの実施の形態3を説明する。
【0022】
図9および図10に示したバット1は、基本的には図1〜図3に示したバット1と同様の構造を備えるが、外殻部材13を構成する外殻部材部分14の形状が異なっている。すなわち、図9および図10に示したバット1においては、外殻部材13がバット1の延在方向(バット1の中心軸に沿った方向)に対して斜めに(螺旋状に)分割されたことにより外殻部材部分14が形成されている。すなわちこの外殻部材部分14は螺旋状に延びるような外形を有している。このような形状のバット1によっても、図1〜図3に示したバットと同様の効果を得ることができる。また、このような螺旋状の外殻部材部分14を用いることで、バット1の中心軸に沿った方向および当該中心軸に対して垂直な方向のいずれの方向における曲げ応力に対しても、外殻部材部分14をバット1の補強部材として利用できる。
【0023】
なお、外殻部材部分14において弾性体12と対向する内周面の全体もしくは一部は弾性体12と接着部材などにより接続固定されていることが好ましい。また、外殻部材部分14と弾性体12との接続固定方法としては、上述のような接着部材を用いた方法以外の任意の方法(たとえば熱融着など)を用いることができる。
【0024】
(実施の形態4)
図11〜図13を参照して、本発明によるバットの実施の形態4を説明する。
【0025】
図11〜図13に示したバット1は、基本的には図1〜図3に示したバットと同様の構造を備えるが、外殻部材部分14の形状が異なっている。すなわち、図11〜図13に示したバットにおける外殻部材部分14は、外殻部材13をバット1の中心軸の延在方向および当該中心軸に対して垂直な方向の2方向で分割したことにより得られる部材であって、その平面構造がほぼ四角形状となっている。これらの外殻部材部分14は、内周側に位置する弾性体12の表面と接続固定されている。このような構造のバット1によっても、図1〜図3に示したバット1と同様の効果を得ることができる。また、外殻部材部分14のサイズを適宜選択することにより、バット1によってボールを打撃したときに、当該打撃による衝撃を弾性体12へと確実に伝えることができる。その結果、ボールの変形を抑制するとともに、弾性体12の反発力を利用してよりボールの飛距離を伸ばすことができる。
【0026】
(実施の形態5)
図14を参照して、本発明によるバットの実施の形態5を説明する。なお、図14は図3に対応する。
【0027】
図14に示すように、バット1は基本的には図1〜図3に示したバットと同様の構造を備えるが、弾性体12の形状が異なっている。すなわち、図14に示したバット1の弾性体12においては、外殻部材部分14のほぼ中央部下に中空部16が形成されている。この中空部16は、たとえばバット1の円周方向に延びる円環状の形状となっていてもよいが、バットの円周方向において局所的に中空部16が形成されていてもよい。そして、弾性体12は、外殻部材部分14の境界部(隣接する2つの外殻部材部分14の外周端部同士が対向する部分)下に少なくとも位置している。この結果、外殻部材部分14の外周端部を弾性体12で支えることができる。
【0028】
このようにすれば、図1〜図3に示したバット1と同様の効果を得られるとともに、弾性体12に中空部16が形成されているので、当該弾性体12の剛性をより低くすることができる。この結果、ボールを打撃したときのバット1の打球部3における変形量をより大きくすることができるので、打撃によるボールの変形に伴うエネルギーロスをより低減することができる。また、中空部16を形成することにより、打球音を良くしたり、打球感を向上させたりすることができる。
【0029】
また、異なる観点から言えば、上記バット1では、外殻部材部分14の曲げ弾性値(単位長さ分の曲げ変形を起こさせるのに必要な力(荷重))が、弾性体12の圧縮弾性値(単位長さ分圧縮するのに必要な力(荷重))よりも大きくなるようにするために中空部16を形成してあるので、ボール衝突時の衝撃力は、主に、外殻部材部分14の変形ではなく弾性体12の圧縮変形に使われる。このため、ボールが当った部分では、その荷重は外殻部材部分14の変形ではなく、外殻部材部分14を支える弾性体12の変形により多く費やされ、当該外殻部材部分14の中心軸が他の外殻部分部材14の中心軸(すなわちバットの芯材の中心軸)とずれるように移動するからボールの変形を抑えることができる。また、外殻部材部材14の曲げ変形が起き難いので、弾性体12との接合部分や弾性体12本体の破損を防ぐことができる。
【0030】
なお、図14に示したバット1では、弾性体12の中空部16が外殻部材部分14の内周面から打球部芯材11の外周面にまで到達するように(つまり、弾性体12をバットの1の径方向において貫通するように)形成されているが、当該中空部16を弾性体12の内部に(つまり外殻部材部分14や打球部芯材11と中空部16とが接触しないように)形成してもよい。あるいは、中空部16において、打球部芯材11または外殻部材部分14のいずれか一方のみが露出した状態となるように、中空部16を形成してもよい。たとえば、中空部16において外殻部材部分14のみが露出する(弾性体12は打球部芯材11の表面を覆った状態になる)ようにした場合、弾性体12を型成形で容易に形成できるので、バット1の製造コストの増大を抑制できる。また、図14に示すように、すべての外殻部材部分14の下に中空部16を形成してもよいが、外殻部材部分14の一部の下のみに中空部16を形成してもよい。
【0031】
また、弾性体12の比重は0.15以上1.3以下、より好ましくは0.25以上0.7以下とすることができる。上記の様な数値範囲としたのは、以下のような理由による。すなわち、弾性体12の比重が0.15よりも小さいと、弾性体12の成形が困難になり、比重が1.3を越えるとバットの総質量および重心位置を実用範囲に収めることが困難になるからである。更に、弾性体12の成形性や反発特性を考慮した場合、当該比重は0.25以上0.7以下がより好ましい。
【0032】
また、弾性体12のJIS C硬度は5以上85以下、より好ましくは20以上80以下とすることができる。上記の様な数値範囲としたのは、以下のような理由による。すなわち、C硬度が5未満になると、弾性体12の成形が困難になり、当該C硬度が85を越えると、外殻部材13の特性を損なうといった欠点が生じる。更に、成形性、反発性を考慮した場合、弾性体12のJIS C硬度は25以上80以下がより好ましい。なお、本明細書において、JIS C 硬度とは、JIS K 7312付属書2にいうスプリング硬さ試験タイプC試験方法に準じて測定した硬度をいう。
【0033】
また、最大径がΦ70mm以下である野球用のバットについて、バット1の径方向における弾性体12の厚みとしては、以下のようにJIS C硬度の範囲ごとに当該厚みの好ましい範囲を考えることができる。具体的には、上記JIS C硬度が5以上20以下である場合には、上記弾性体12の厚みは8mm以上19.2mm以下、より好ましくは10mm以上15mm以下、とすることができる。
【0034】
上記のような数値範囲としたのは、以下のような理由による。すなわち、弾性体12の厚みが8mm未満となると、ボールの打撃時に外殻部材部分14の移動範囲が小さくなりすぎる(つまりボールの打撃時に衝撃を弾性体12の変形だけでは十分吸収できず、弾性体12が変形限界まで変形するため、打撃時の衝撃が打球部芯材11に直接的に伝わる(外殻部材部分14が底つきしてしまう)。このため、本発明によるバット1の効果が最大限に発揮できない可能性がでてくる。また、上記厚みの上限値については、バット1の強度面から考えると、打球部芯材11の外径は最小でも30mm程度は必要である。そして、外殻部材部分14の最小厚みを考慮すると、上記厚みの上限は19.2mmとすることが好ましい。そして、バットの反発特性や成形性をより好ましいものとする観点からは、上記厚みの下限は10mmとすることがより好ましい。また、バット1の強度を十分に確保する観点から、上記厚みの上限を15mmとすることがより好ましい。
【0035】
また、上記JIS C硬度が20超え50以下である場合には、上記弾性体12の厚みは6mm以上19.2mm以下、より好ましくは8mm以上15mm以下、とすることができる。また、上記JIS C硬度が50超え85以下である場合には、上記弾性体12の厚みは4mm以上19.2mm以下、より好ましくは6mm以上15mm以下、とすることができる。上記厚みの数値範囲については、弾性体12の硬度が(JIS C硬度の範囲が5以上20以下の場合より)高くなったことから、弾性体12の厚みをより薄くしても本発明の効果を得ることが可能となるため、(上記JIS C硬度が5以上20以下である場合より)厚みの下限値が小さくなっているものであり、その決定理由は基本的に同じである。
【0036】
また、最大径がΦ57mm以下であるソフトボール用のバットの場合には、バット1の径方向における弾性体12の厚みを以下のように設定することが好ましい。具体的には、上記JIS C硬度が5以上20以下である場合には、当該厚みを8mm以上12.7mm以下、より好ましくは10mm以上12mm以下、とすることができる。また、上記JIS C硬度が20超え50以下である場合には、上記弾性体12の厚みは6mm以上12.7mm以下、より好ましくは8mm以上12mm以下、とすることができる。また、上記JIS C硬度が50超え85以下である場合には、上記弾性体12の厚みは4mm以上12.7mm以下、より好ましくは6mm以上12mm以下、とすることができる。上述したソフトボール用のバットの場合における弾性体12の厚みの範囲の決定理由も、バットの最大径が異なる点を除いて上述した野球用のバットの場合と同様である。
【0037】
なお、上述した弾性体12の特性は、本願発明の他の実施の形態における弾性体12にも適用できる。
【0038】
また、バット1の延在方向における、隣接する外殻部材部分14の境界部における弾性体12と外殻部材部分14との接触部の長さは10mm以上、外殻部材部分14の長さ未満であることが好ましい。このような数値範囲としたのは、弾性体12と外殻部材部分14との接着を考えた場合、当該接触部の長さが10mm未満では接着性能が不十分になる可能性がある、という理由による。なお、当該接触部の長さの数値範囲は、図18に示した場合(つまりバット1の延在方向に沿って外殻部材13が分割されている場合)にも適用できる。
【0039】
(実施の形態6)
図15を参照して、本発明によるバットの実施の形態6を説明する。なお、図15は図8に対応する。
【0040】
図15を参照して、バット1は基本的には図6〜図8に示したバットと同様の構造を備えるが、弾性体12の構造が異なっている。すなわち、図15に示すように、弾性体12においてはバット1の中心軸の延びる方向に沿って延びる外殻部材部分14の中心部下に中空部16が形成されている。この結果、図14に示したバットと同様の効果を得ることができる。なお、中空部16は、外殻部材部分14の中心部下においてバット1の中心軸の延びる方向に延在するように形成されていてもよいが、当該中心軸の延びる方向において間欠的に(局所的に)形成されていてもよい。すなわち、1つの外殻部材部分14の下において、複数の中空部16が形成されていてもよい。また、図15に示したバット1では、弾性体12の中空部16が外殻部材部分14の内周面から打球部芯材11の外周面にまで到達するように形成されているが、図14に示したバット1の場合と同様に、当該中空部16を弾性体12の内部に形成してもよい。あるいは、中空部16において、打球部芯材11または外殻部材部分14のいずれか一方のみが露出した状態となるように、中空部16を形成してもよい。また、図15に示すように、すべての外殻部材部分14の下に中空部16を形成してもよいが、外殻部材部分14の一部の下のみに中空部16を形成してもよい。
【0041】
(実施の形態7)
図16を参照して、本発明によるバットの実施の形態7を説明する。なお、図16は図10に対応する。
【0042】
図16を参照して、バット1は基本的には図9および図10に示したバットと同様の構造を備えるが、弾性体12の形状が異なっている。すなわち、図16に示したバットでは、螺旋状に延びる外殻部材部分14の中央部下に(螺旋状に延びる)中空部16が形成されている。そして、弾性体12は、隣接する外殻部材部分14の境界部下に沿って(螺旋状に)延びるように形成されている。外殻部材部分14の端部と弾性体12とは接続固定されている。このため、弾性体12により外殻部材部分14を確実に保持することができる。このような構造のバット1によっても、図14に示したバットと同様の効果を得ることができる。つまり、上記バット1では、外殻部材部分14の曲げ弾性値(単位長さ分の曲げ変形を起こさせるのに必要な力(荷重))が、弾性体12の圧縮弾性値(単位長さ分圧縮するのに必要な力(荷重))よりも大きくなるようにするために中空部16を形成してあるので、ボール衝突時の衝撃力は、主に、外殻部材部分14の変形ではなく弾性体12の圧縮変形に使われる。このため、ボールが当った部分では、(外殻部材部分14がほとんど変形せず)外殻部材部分14を支える弾性体12のみが圧縮変形し、当該外殻部材部分14の中心軸が他の外殻部分部材14の中心軸(すなわちバットの芯材の中心軸)とずれるように移動するからボールの変形を抑えることができる。また、外殻部材部材14の曲げ変形が起き難いので、弾性体12との接合部分や弾性体12本体の破損を防ぐことができる。
【0043】
なお、中空部16は、外殻部材部分14の中心部下においてバット1の中心軸の周りを周回するように螺旋状に形成されていてもよいが、当該外殻部材部分14の延びる方向において間欠的に(局所的に)形成されていてもよい。すなわち、1つの外殻部材部分14の下において、複数の中空部16が形成されていてもよい。また、図16に示したバット1では、弾性体12の中空部16が外殻部材部分14の内周面から打球部芯材11の外周面にまで到達するように形成されているが、図14に示したバット1の場合と同様に、当該中空部16を弾性体12の内部に形成してもよい。あるいは、中空部16において、打球部芯材11または外殻部材部分14のいずれか一方のみが露出した状態となるように、中空部16を形成してもよい。また、図16に示すように、すべての外殻部材部分14の下に中空部16を形成してもよいが、複数の外殻部材部分14のうちの一部の下のみに中空部16を形成してもよい。
【0044】
また、弾性体12の比重は0.15以上1.3以下、より好ましくは0.25以上0.7以下とすることができる。上記の様な数値範囲としたのは、以下のような理由による。すなわち、弾性体12の比重が0.15よりも小さいと、弾性体12の成形が困難になり、比重が1.3を越えるとバットの総質量および重心位置を実用範囲に収めることが困難になるからである。更に、弾性体12の成形性や反発特性を考慮した場合、当該比重は0.25以上0.7以下がより好ましい。
【0045】
また、弾性体12のJIS C硬度は5以上85以下、より好ましくは20以上80以下とすることができる。上記の様な数値範囲としたのは、以下のような理由による。すなわち、C硬度が5未満になると、弾性体12の成形が困難になり、当該C硬度が85を越えると、外殻部材13の特性を損なうといった欠点が生じる。更に、成形性、反発性を考慮した場合、弾性体12のJIS C硬度は25以上80以下がより好ましい。
【0046】
また、最大径がΦ70mm以下である野球用のバットについて、バット1の径方向における弾性体12の厚みとしては、上述した実施の形態5の場合と同様に、上記JIS C硬度が5以上20以下である場合には、上記弾性体12の厚みは8mm以上19.2mm以下、より好ましくは10mm以上15mm以下、とすることができる。また、上記JIS C硬度が20超え50以下である場合には、上記弾性体12の厚みは6mm以上19.2mm以下、より好ましくは8mm以上15mm以下、とすることができる。また、上記JIS C硬度が50超え85以下である場合には、上記弾性体12の厚みは4mm以上19.2mm以下、より好ましくは6mm以上15mm以下、とすることができる。上記厚みの数値範囲については、その決定理由は基本的に実施の形態5の場合と同じである。
【0047】
また、最大径がΦ57mm以下であるソフトボール用のバットの場合には、バット1の径方向における弾性体12の厚みを以下のように設定することが好ましい。具体的には、上記JIS C硬度が5以上20以下である場合には、当該厚みを8mm以上12.7mm以下、より好ましくは10mm以上12mm以下、とすることができる。また、上記JIS C硬度が20超え50以下である場合には、上記弾性体12の厚みは6mm以上12.7mm以下、より好ましくは8mm以上12mm以下、とすることができる。また、上記JIS C硬度が50超え85以下である場合には、上記弾性体12の厚みは4mm以上12.7mm以下、より好ましくは6mm以上12mm以下、とすることができる。上述したソフトボール用のバットの場合における弾性体12の厚みの範囲の決定理由も、バットの最大径が異なる点を除いて上述した野球用のバットの場合と同様である。
【0048】
また、バット1の延在方向における、隣接する外殻部材部分14の境界部における弾性体12と外殻部材部分14との接触部の長さは10mm以上、外殻部材部分14の長さ未満であることが好ましい。このような数値範囲とした理由は、上述した実施の形態5の場合と同様である。
【0049】
(実施の形態8)
図17および図18を参照して、本発明によるバットの実施の形態8を説明する。なお、図17および図18はそれぞれ図12および図13に対応する。
【0050】
図17および図18を参照して、本発明によるバット1は基本的には図11〜図13に示したバットと同様の構造を備えるが、弾性体12の形状が異なっている。すなわち、図17および図18に示したバット1においては、平面形状がほぼ四角形状の外殻部材部分14の中心部下に中空部16が形成されている。弾性体12は、隣接する外殻部材部分14の境界部に沿って格子状に形成されている。外殻部材部分14の端部と弾性体12とは接続固定されている。この結果、先に述べた本発明の実施の形態6または実施の形態7に示したバットと同様の効果を得ることができる。つまり、上記バット1では、外殻部材部分14の曲げ弾性値(単位長さ分の曲げ変形を起こさせるのに必要な力(荷重))が、弾性体12の圧縮弾性値(単位長さ分圧縮するのに必要な力(荷重))よりも大きくなるようにするために中空部16を形成してあるので、ボール衝突時の衝撃力は、主に、外殻部材部分14の変形ではなく弾性体12の圧縮変形に使われる。このため、ボールが当った部分では、(外殻部材部分14がほとんど変形せず)外殻部材部分14を支える弾性体12のみが圧縮変形し、当該外殻部材部分14の位置がボールの打撃前の位置からずれるように移動するからボールの変形を抑えることができる。また、外殻部材部材14の曲げ変形が起き難いので、弾性体12との接合部分や弾性体12本体の破損を防ぐことができる。
【0051】
なお、図17および図18に示したバット1では、弾性体12の中空部16が外殻部材部分14の内周面から打球部芯材11の外周面にまで到達するように形成されているが、図14に示したバット1の場合と同様に、当該中空部16を弾性体12の内部に形成してもよい。あるいは、中空部16において、打球部芯材11または外殻部材部分14のいずれか一方のみが露出した状態となるように、中空部16を形成してもよい。また、図17および図18に示すように、すべての外殻部材部分14の下に中空部16を形成してもよいが、複数の外殻部材部分14のうちの一部の下のみに中空部16を形成してもよい。
【0052】
また、上述した実施の形態5〜8に示したバット1における中空部16は、いずれもほぼ同じサイズとなっていたが、バット1の打球部3において局所的に中空部16のサイズを変更してもよい。
【0053】
また、弾性体12の比重は0.15以上1.3以下、より好ましくは0.25以上0.7以下とすることができる。上記の様な数値範囲としたのは、以下のような理由による。すなわち、弾性体12の比重が0.15よりも小さいと、弾性体12の成形が困難になり、比重が1.3を越えるとバットの総質量および重心位置を実用範囲に収めることが困難になるからである。更に、弾性体12の成形性や反発特性を考慮した場合、当該比重は0.25以上0.7以下がより好ましい。
【0054】
また、弾性体12のJIS C硬度は5以上85以下、より好ましくは20以上80以下とすることができる。上記の様な数値範囲としたのは、以下のような理由による。すなわち、C硬度が5未満になると、弾性体12の成形が困難になり、当該C硬度が85を越えると、外殻部材13の特性を損なうといった欠点が生じる。更に、成形性、反発性を考慮した場合、弾性体12のJIS C硬度は25以上80以下がより好ましい。
【0055】
また、最大径がΦ70mm以下である野球用のバットについて、バット1の径方向における弾性体12の厚みとしては、上述した実施の形態5の場合と同様に、上記JIS C硬度が5以上20以下である場合には、上記弾性体12の厚みは8mm以上19.2mm以下、より好ましくは10mm以上15mm以下、とすることができる。また、上記JIS C硬度が20超え50以下である場合には、上記弾性体12の厚みは6mm以上19.2mm以下、より好ましくは8mm以上15mm以下、とすることができる。また、上記JIS C硬度が50超え85以下である場合には、上記弾性体12の厚みは4mm以上19.2mm以下、より好ましくは6mm以上15mm以下、とすることができる。上記厚みの数値範囲については、その決定理由は基本的に実施の形態5の場合と同じである。
【0056】
また、最大径がΦ57mm以下であるソフトボール用のバットの場合には、バット1の径方向における弾性体12の厚みを以下のように設定することが好ましい。具体的には、上記JIS C硬度が5以上20以下である場合には、当該厚みを8mm以上12.7mm以下、より好ましくは10mm以上12mm以下、とすることができる。また、上記JIS C硬度が20超え50以下である場合には、上記弾性体12の厚みは6mm以上12.7mm以下、より好ましくは8mm以上12mm以下、とすることができる。また、上記JIS C硬度が50超え85以下である場合には、上記弾性体12の厚みは4mm以上12.7mm以下、より好ましくは6mm以上12mm以下、とすることができる。上述したソフトボール用のバットの場合における弾性体12の厚みの範囲の決定理由も、バットの最大径が異なる点を除いて上述した野球用のバットの場合と同様である。
【0057】
また、バット1の延在方向における、隣接する外殻部材部分14の境界部における弾性体12と外殻部材部分14との接触部の長さは10mm以上、外殻部材部分14の長さ未満であることが好ましい。このような数値範囲とした理由は、上述した実施の形態5の場合と同様である。
【0058】
また、バット1の側面の円周方向における、図18に示された隣接する外殻部材部分14の境界部における弾性体12と外殻部材部分14との接触部の長さも、10mm以上、外殻部材部分14の長さ未満であることが好ましい。このような数値範囲とした理由も、上述した実施の形態5の場合と同様である。
【0059】
(実施の形態9)
図19および図20を参照して、本発明によるバットの実施の形態9を説明する。
【0060】
図19および図20に示したバット1は、基本的には図14に示したバットと同様の構造を備えるが、外殻部材部分14の間に円環状のスペーサー31が配置されている点が異なる。このようなスペーサー31を備えることで、図14に示したバットによる効果に加えて、打撃時に外殻部材部分14同士が直接接触しバットが破損するといった問題の発生を抑制できる。また、図14に示したバット1と同様に、上記バット1では、外殻部材部分14の曲げ弾性値(単位長さ分の曲げ変形を起こさせるのに必要な力(荷重))が、弾性体12の圧縮弾性値(単位長さ分圧縮するのに必要な力(荷重))よりも大きくなるようにするために中空部16を形成してあるので、ボール衝突時の衝撃力は、主に、外殻部材部分14の変形ではなく弾性体12の圧縮変形に使われる。このため、ボールが当った部分では、(外殻部材部分14がほとんど変形せず)外殻部材部分14を支える弾性体12のみが圧縮変形し、当該外殻部材部分14の中心軸が他の外殻部分部材14の中心軸(すなわちバットの芯材の中心軸)とずれるように移動するからボールの変形を抑えることができる。また、外殻部材部材14の曲げ変形が起き難いので、弾性体12との接合部分や弾性体12本体の破損を防ぐことができる。
【0061】
なお、スペーサー31としては、上述のような円環状の形状のスペーサー31を用いてもよいが、外殻部材部分14同士の直接的な接触を抑制できれば、任意の形状を採用することができる。たとえば、円弧状のスペーサー31を、バット1の円周上の複数箇所に間欠的に配置してもよい。また、スペーサー31の材質としては、外殻部材部分14の材質より硬度の低い材料であれば任意の材料を用いることができる。
【0062】
また、弾性体12の比重は0.15以上1.3以下、より好ましくは0.25以上0.7以下とすることができる。上記の様な数値範囲としたのは、以下のような理由による。すなわち、弾性体12の比重が0.15よりも小さいと、弾性体12の成形が困難になり、比重が1.3を越えるとバットの総質量および重心位置を実用範囲に収めることが困難になるからである。更に、弾性体12の成形性や反発特性を考慮した場合、当該比重は0.25以上0.7以下がより好ましい。
【0063】
また、弾性体12のJIS C硬度は5以上85以下、より好ましくは20以上80以下とすることができる。上記の様な数値範囲としたのは、以下のような理由による。すなわち、C硬度が5未満になると、弾性体12の成形が困難になり、当該C硬度が85を越えると、外殻部材13の特性を損なうといった欠点が生じる。更に、成形性、反発性を考慮した場合、弾性体12のJIS C硬度は25以上80以下がより好ましい。
【0064】
また、最大径がΦ70mm以下である野球用のバットについて、バット1の径方向における弾性体12の厚みとしては、上述した実施の形態5の場合と同様に、上記JIS C硬度が5以上20以下である場合には、上記弾性体12の厚みは8mm以上19.2mm以下、より好ましくは10mm以上15mm以下、とすることができる。また、上記JIS C硬度が20超え50以下である場合には、上記弾性体12の厚みは6mm以上19.2mm以下、より好ましくは8mm以上15mm以下、とすることができる。また、上記JIS C硬度が50超え85以下である場合には、上記弾性体12の厚みは4mm以上19.2mm以下、より好ましくは6mm以上15mm以下、とすることができる。上記厚みの数値範囲については、その決定理由は基本的に実施の形態5の場合と同じである。
【0065】
また、最大径がΦ57mm以下であるソフトボール用のバットの場合には、バット1の径方向における弾性体12の厚みを以下のように設定することが好ましい。具体的には、上記JIS C硬度が5以上20以下である場合には、当該厚みを8mm以上12.7mm以下、より好ましくは10mm以上12mm以下、とすることができる。また、上記JIS C硬度が20超え50以下である場合には、上記弾性体12の厚みは6mm以上12.7mm以下、より好ましくは8mm以上12mm以下、とすることができる。また、上記JIS C硬度が50超え85以下である場合には、上記弾性体12の厚みは4mm以上12.7mm以下、より好ましくは6mm以上12mm以下、とすることができる。上述したソフトボール用のバットの場合における弾性体12の厚みの範囲の決定理由も、バットの最大径が異なる点を除いて上述した野球用のバットの場合と同様である。
【0066】
また、バット1の延在方向における、隣接する外殻部材部分14の境界部における弾性体12と外殻部材部分14との接触部の長さは10mm以上、外殻部材部分14の長さ未満であることが好ましい。このような数値範囲とした理由は、上述した実施の形態5の場合と同様である。
【0067】
(実施の形態10)
図21および図22を参照して、本発明によるバットの実施の形態10を説明する。
【0068】
図21および図22に示したバット1は、基本的には図15に示したバット1と同様の構造を備えるが、外殻部材部分14の間にスペーサー31が配置されている点が異なる。このスペーサー31は、バット1の中心軸の延びる方向に沿って延びるように配置されている。このようなスペーサー31を配置することにより、図15に示したバットによる効果に加えて、隣接する外殻部材部分14が直接的に接触し破損するといった可能性を低減できる。
【0069】
なお、スペーサー31としては、上述のような直線状の形状のスペーサー31を用いてもよいが、外殻部材部分14同士の直接的な接触を抑制できれば、任意の形状を採用することができる。たとえば、打球部3の長さより短い直線状のスペーサー31を、外殻部材部分14同士の間の隙間に、バット1の中心軸に沿った方向に間隔を隔てて1つまたは複数個配置してもよい。また、スペーサー31の材質としては、図19および図20に示したバット1の場合と同様に、外殻部材部分14の材質より硬度の低い材料であれば任意の材料を用いることができる。
【0070】
(実施の形態11)
図23および図24を参照して、本発明によるバットの実施の形態11を説明する。
【0071】
図23および図24に示したバットは、基本的には図16に示したバットと同様の構造を備えるが、隣接する外殻部材部分14の間にスペーサー31が配置されている点が異なる。当該スペーサー31は、外殻部材部分14に沿って螺旋状に延びるように配置されている。このようバット1により、図16に示したバットによって得られる効果に加えて、スペーサー31によって外殻部材部分14同士が直接接触し破損する可能性を低減できる。
【0072】
なお、スペーサー31としては、上述のような螺旋状のスペーサー31を用いてもよいが、外殻部材部分14同士の直接的な接触を抑制できれば、任意の形状を採用することができる。たとえば、隣接する外殻部材部分14の境界部の長さより短い曲線状のスペーサー31を、外殻部材部分14同士の間の隙間に、当該境界部に沿った方向に間隔を隔てて1つまたは複数個配置してもよい。また、スペーサー31の材質としては、図19および図20に示したバット1の場合と同様に、外殻部材部分14の材質より硬度の低い材料であれば任意の材料を用いることができる。
【0073】
(実施の形態12)
図25を参照して、本発明によるバットの実施の形態12を説明する。
【0074】
図25に示したバット1は、基本的には図17および図18に示したバットと同様の構造を備えるが、外殻部材部分14の間にスペーサー31が配置されている点が異なっている。この結果、図17および図18に示したバットによって得られる効果に加えて、隣接する外殻部材部分14同士が直接接触する可能性を低減できる。
【0075】
なお、スペーサー31としては、図25に示すような格子状のスペーサー31を用いてもよいが、外殻部材部分14同士の直接的な接触を抑制できれば、任意の形状を採用することができる。たとえば、隣接する外殻部材部分14の境界部の長さより短い直線状のスペーサー31を、外殻部材部分14同士の間の隙間に、当該境界部に沿った方向に間隔を隔てて1つまたは複数個配置してもよい。また、スペーサー31の材質としては、図19および図20に示したバット1の場合と同様に、外殻部材部分14の材質より硬度の低い材料であれば任意の材料を用いることができる。
【0076】
なお、上述した実施の形態9〜実施の形態12では、弾性体12として中空部16が形成された場合を示しているが、弾性体として実施の形態1〜実施の形態4に示した中実の弾性体12を用いてもよい。
【0077】
(実施の形態13)
図26を参照して、本発明によるバットの実施の形態13を説明する。
【0078】
図26に示したバットは、基本的には図1〜図3に示したバットと同様の構造を備えるが、外殻部材部分14の内周面と弾性体12の外周表面とが固着していないという点が異なっている。すなわち、図26に示したバットにおいては、外殻部材部分14はそれぞれ独立して弾性体12に対し相対的に移動可能となっている。このような構成によっても、図1〜図3に示したバットと同様の効果を得ることができる。さらに、ボールが衝突した外殻部材部分14のみが回転することで打球位置が特定できるので、打撃練習に上記本発明によるバットを用いればバット1の芯でボールを捕らえたかどうかを容易に判別できる。
【0079】
なお、外殻部材部分14は、打球部芯材11に形成された凹部15の側壁上端部よりも、外殻部材部分14の内周面がバット1の中心に近い位置に配置されている。また、異なる観点からいえば、弾性体12の表面35は、凹部15の側壁上端よりもバット1の中心に近い位置に配置されている。
【0080】
なお、図26では図1〜図3に示した本発明の実施の形態1における円筒状の外殻部材部分14を用いたバット1を例として説明したが、実施の形態3、5、7、9または11に示したバットにおいて上述した構成(外殻部材部分14はそれぞれ独立して弾性体12に対し相対的に移動可能となっている構成)を採用してもよい。また、実施の形態2、4、6、8、10、または12に示したバット1において、外殻部材部分14の一部(たとえば外周部の一部)を弾性体12と接続固定し、外殻部材部分14の他の部分(弾性体12と接続固定していない部分)を弾性体12とは独立して(弾性体12に対して相対的に)変形可能としてもよい。
【0081】
(実施の形態14)
図27を参照して、本発明によるバットの実施の形態14を説明する。なお、図27は図3に対応する。
【0082】
図27に示したバットは、基本的には図1〜図3に示したバットと同様の構造を備えるが、弾性体12が外殻部材部分14の幅に合わせて複数の部材に分割されている点が異なっている。このようにすれば、図1〜図3に示したバットと同様の効果を得ることができるとともに、複数の弾性体12がそれぞれ個別に変形可能であるため、バットの反発特性をより向上させることができる。なお、ここで外殻部材部分14の内周面と弾性体12の外周面とは互いに固着した状態となっていてもよいし弾性体12に対して外殻部材部分14が自由に相対的に移動可能(あるいは変形可能)となっていてもよい。
【0083】
なお、図27では図1〜図3に示した本発明の実施の形態1における円筒状の外殻部材部分14を用いたバット1を例として説明したが、実施の形態2〜実施の形態12に示したバットにおいて上述した構成(弾性体12が外殻部材部分14の幅に合わせて複数の部材に分割されている構成)を採用してもよい。
【0084】
(実施の形態15)
図28を参照して、本発明によるバットの実施の形態15を説明する。なお、図28は図3に対応する。
【0085】
図28に示したバット1は、基本的には図1〜図3に示したバットと同様の構造を備えるが、弾性体および外殻部材13の構造が異なっている。すなわち、図28に示したバットでは、弾性体12が多層構造を有している。具体的には弾性体12が内周側の弾性体12aと外周側の弾性体12bとにより構成されている。なお、弾性体12の積層構造を構成する層の数は3以上としてもよい。また、弾性体12を構成する内周側の弾性体12aと外周側の弾性体12bとは互いに異なる特性を有する材料によって構成されていてもよい。すなわち、複数の層は互いに異なる特性(たとえば異なる材質、あるいは異なる密度など)を有していてもよい。また、弾性体12a、12bは互いに固着していてもよいが互いに相対的に移動可能となっていてもよい。
【0086】
また、外殻部材部分14も多層構造を有している。具体的には、図28に示したバットでは、外殻部材部分14が、内周側の外殻部材部分14aと外周側の外殻部材部分14bという2つの層により構成されている。外殻部材部分14を構成する層の数は3以上としてもよい。また、外殻部材部分14を構成する各層の外殻部材部分14a、14bの材質は、互いに異なる材料を用いてもよい。また、これらの外殻部材部分14a、14bは互いに固着していてもよいが互いに相対的に移動可能となっていてもよい。
【0087】
なお、弾性体12aと弾性体12bとも互いに固着していてもよいが、互いに相対的に移動可能となっていてもよい。
【0088】
このような構造のバットによっても、図1〜図3に示したバットと同様の効果を得ることができる。さらに、弾性体12および外殻部材部分14をそれぞれ多層構造とすることで、多層構造を構成する各層ごとに材質を変更するといった設計の自由度を大きくすることができる。
【0089】
なお、弾性体12および外殻部材部分14のいずれか一方のみを多層構造としてもよい。また、上述した弾性体12および/または外殻部材部分14を多層構造とする構成は、すでに説明した本発明の実施の形態1〜14のいずれのバットに対して適用してもよい。
【0090】
(実施の形態16)
図29および図30を参照して、本発明によるバットの実施の形態16を説明する。
【0091】
図29および図30に示したバットは、基本的には図27に示したバットと同様の構造を備えるが、弾性体12の構造が異なっている。具体的には、図29および図30に示したバットにおいては、弾性体12に中空部16が形成されている。この中空部16は、たとえば図30に示すようにバットの中心軸が延びる方向から見たときの形状が円形状となっていてもよいが、他の形状を採用してもよい。このような構成とすれば、中空部16を形成することで弾性体12が変形しやすくなるので、弾性体12の材料をより硬度の高い(すなわち強度の高い)材料とすることができる。
【0092】
なお、このような硬質の樹脂に中空部16を形成して作成された弾性体12は、実施の形態1〜15のいずれかにおいて説明されたバット1に適用してもよい。
【0093】
(実施の形態17)
図31を参照して、本発明によるバットの実施の形態17を説明する。
【0094】
図31に示したバット1は、基本的には図1〜図3に示したバットと同様の構造を備えるが、外殻部材13の構成が異なっている。すなわち、図31に示したバット1では、外殻部材13が、スリット42によって区画される外殻部材部分14によって構成されている。隣接する外殻部材部分14は接続部41において互いに接続されている。すなわち、スリット42は、バット1の円周方向において当該接続部41を残した状態で延びるように形成されている。このような構造のバット1によっても、図1〜図3に示したバット1と同様の効果を得ることができる。すなわち、このような大きなスリット42によって区画された外殻部材部分14は、互いに独立して変形可能である。そのため、バット1によるボール打撃時に、ボールが当たった外殻部材部分14が容易に変形できる。この結果、図1〜図3に示したバット1と同様に、打撃時のボールの変形を抑制し、エネルギーロスを低減することでボールの飛距離を伸ばすことができる。
【0095】
(実施の形態18)
図32を参照して、本発明によるバットの実施の形態18を説明する。
【0096】
図32に示したバット1は、基本的には図6〜図8に示したバットと同様の構造を備えるが、外殻部材13を構成する外殻部材部分14が、打球部3の先端部2側およびテーパー部4側の両端部に位置する接続部41において互いに接続された状態となっている。異なる観点からいえば、外殻部材13において、バット1の中心軸の延びる方向に延びる複数のスリット42が形成され、当該スリットによって外殻部材部分14が区画されている。当該スリット42の長さは外殻部材13のバット1の中心軸に沿った方向における長さよりも短くなっている。このため、スリット42のバット1のグリップ部5側の端部および先端部2側の端部にはそれぞれスリット42が形成されておらず接続部41が配置されることになる。このような構成のバット1によっても、図6に示したバットと同様の効果を得ることができる。
【0097】
(実施の形態19)
図33を参照して、本発明によるバットの実施の形態19を説明する。
【0098】
図33を参照して、バット1は基本的には図9に示したバットと同様の構造を備えるが、外殻部材13における外殻部材部分14が螺旋状に延びるスリット42によって区分されている点が異なる。なお、スリット42の両端部(打球部3の先端部2側およびテーパー部4側の両端部)においては、当該スリット42が形成されていない部分である接続部41が配置されている。この結果、隣接する外殻部材部分14は互いに当該接続部41において接続されている。このような構成のバット1においても、図9に示したバットと同様の効果を得ることができる。
【0099】
(実施の形態20)
図34を参照して、本発明によるバットの実施の形態20を説明する。
【0100】
図34に示したバット1は、基本的には図11〜図13に示したバットと同様の構造を備えるが、外殻部材13を構成する外殻部材部分14が互いに線状のスリット42によって区分されている点が異なっている。また、隣接する外殻部材部分14は互いにスリット42が形成されていない部分である接続部41において接続された状態となっている。この結果、外殻部材13において外殻部材部分14はある程度互いに独立して変形可能である一方で外殻部材13は全体として1つの部材である。このようなバット1によっても、図11〜図13に示したバットと同様の効果を得ることができる。
【0101】
なお、上述した実施の形態17〜実施の形態20に示したバット1における外殻部材13を、実施の形態5〜実施の形態16に示したバット1に適用してもよい。
【0102】
(実施の形態21)
図35および図36を参照して、本発明によるバットの実施の形態21を説明する。
【0103】
図35および図36に示したバット1は、基本的には図4および図5に示したバットと同様の構造を備えるが、外殻部材13の外周側を覆うカバー部材23と、隣接する外殻部材部分14同士の境界部に位置し、外殻部材13と弾性体12との間に配置された補強部材24とを備える点が図4および図5に示したバット1とは異なっている。また、外殻部材13は、バット1の延在方向(バット1の中心軸の延びる方向)において、弾性体12の長さより短くなっている。異なる観点から言えば、カバー部材23は、外殻部材13の外周面と接触するとともに、外殻部材13と隣接する領域において弾性体12の表面とも接触している。
【0104】
このようなバット1によっても、図4および図5に示したバットと同様の効果を得ることができる。また、図36から分かるように、外殻部材13は弾性体12に埋め込まれた状態になっており、外殻部材13の外周面と、外殻部材13と隣接する位置での弾性体12の外周面とはほぼ同じ平面上に位置する。このように外殻部材13が弾性体12に埋め込まれた状態になっているので、弾性体12に形成された凹部の内部に外殻部材13が配置された状態になっている。そのため、弾性体12に対して外殻部材13の位置を確実に固定することができる。
【0105】
カバー部材23と弾性体12とは、その接触部(外殻部材13と隣接する領域)において互いに接続固定されていてもよい。また、カバー部材23と外殻部材13とも接続固定されていてもいよい。カバー部材23と弾性体12との間の固定方法、およびカバー部材23と外殻部材13との間の固定方法としては、任意の方法を用いることができる。たとえば、熱融着法、あるいは当該接続部に接着剤などの接着層を設ける方法などを用いることができる。このようなカバー部材23を配置することで、打球部3の耐久性を向上させることができる。
【0106】
また、外殻部材13において隣接する外殻部材部分14の境界部下(境界部の内周側)、さらには外殻部材13の外周端部(外殻部材部分14の端部)下に補強部材24が配置されているので、外殻部材部分14が変形した場合に外殻部材部分14の端部が弾性体12の表面に食い込み弾性体12が破損するといった問題の発生を抑制できる。なお、補強部材24としては、弾性体12より硬度の高い材料を用いることができる。なお、補強部材24は、バット1の側面に沿った円環状の形状を有しているが、上記境界部に沿って所定の間隔を隔てて複数個の補強部材が円周上に配置されていてもよい。また、補強部材24は上記のような円環状であるがその一部が欠落した状態(C字状の平面形状)であってもよい。
【0107】
次に、図37を参照して、図35および図36に示したバットの変形例を説明する。図37に示したバット1は、基本的には図35および図36に示したバット1と同様の構成を備えるが、補強部材24の構成が図35および図36に示したバット1とは異なっている。具体的には、図37に示したバット1では、補強部材24が外殻部材13の内周面全体を覆うように配置されている。また、バット1の延在方向において、補強部材24の端部は外殻部材13の端部より外側に位置している。異なる観点から言えば、バット1の延在方向において、補強部材24の長さは外殻部材13の長さより長くなっている。このような構成によっても、図35および図36に示したバット1と同様の効果を得ることができる。さらに、補強部材24が1つの部材となっているので、バット1の製造工程において複数の補強部材24を決められた位置へ配置するといった工程を行う必要がない。このため、図35および図36に示されたバット1よりも、バット1の製造工程を簡略化することができる。
【0108】
ここで、外殻部材部分14の材料としては、金属材料、FRP(fiber reinforced plastic)材料、木材、樹脂材料を用いてもよい。より好ましくはFRP材料、樹脂材料(たとえば熱可塑性ウレタン樹脂、エーテル系ウレタン樹脂、エステル系ウレタン樹脂、オレフィン系樹脂、ポリアミド樹脂、アイオノマー樹脂、スチレン系樹脂、熱可塑性ポリエチレン、ナイロン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ABS(acrylonitrile butadiene styrene)、塩化ビニル等)を使用するのがよい。このような材料であれば、十分な強度を得ることができると共に、バット製造時の熱処理などにおいて変形する可能性が低く形状安定性に優れている。
【0109】
また、たとえば、外殻部材部分14の材料として金属材料、FRP材料、木材を用いる場合、外殻部材部分14の厚み(バット1の径方向における厚み)は、以下のように設定することが好ましい。すなわち、最大径がΦ70mm以下である野球用のバット1の場合、外殻部材部分14の厚みを0.8mm以上16mm以下、より好ましくは1.2mm以上13mm以下とすることができる。これは、外殻部材部分14の厚みが0.8mm未満となると、ボールの打撃時に外殻部材部分14が破損するといった問題の発生が懸念されるためである。また、外殻部材部分14が金属材料からなる場合、厚みが0.8mm未満である場合には、バット1の製造工程における熱処理により外殻部材部分14が変形する可能性も考えられる。また、外殻部材部分14の上記厚みの上限値については、バット1の強度面から考えると、打球部芯材11の外径は最小でも30mm程度は必要である。そして、弾性体12の最小厚みを考慮すると、上記外郭部材部分14の厚みの上限は16mmとすることが好ましい。また、バットの反発特性や強度をより好ましいものとする観点からは、上記厚みの下限は1.2mmとすることがより好ましい。また、バット1の成形性などを考慮すれば、上記厚みの上限を13mmとすることがより好ましい。
【0110】
また、最大径がΦ57mm以下であるソフトボール用のバットの場合には、外殻部材部分14の厚みを0.8mm以上9.5mm以下、より好ましくは1.2mm以上8mm以下とすることができる。上述したソフトボール用のバットの場合における外郭部材部分14の厚みの範囲の決定理由も、バットの最大径が異なる点を除いて上述した野球用のバットの場合と同様である。
【0111】
また、外殻部材部分14の材料として樹脂材料を用いる場合、外殻部材部分14の厚みは、以下のように設定することが好ましい。すなわち、最大径がΦ70mm以下である野球用のバット1の場合、外殻部材部分14の厚みは、1.5mm以上16mm以下、より好ましくは2.0mm以上14mm以下とすることができる。上記数値範囲の決定理由は、以下のようなものである。すなわち、このような樹脂材料からなる外郭部材部分14の厚みの下限値について、当該厚みを1.5mm未満とする場合、外殻部材部分14自体の剛性が低くなる(柔らかくなる)。そのため、バット1の反発特性や、打球感に悪影響を与える可能性がある。また、外殻部材部分14の上記厚みの上限値については、バット1の強度面から考えると、打球部芯材11の外径は最小でも30mm程度は必要である。そして、弾性体12の最小厚み、およびバットの質量バランスなどを考慮すると、上記外郭部材部分14の厚みの上限は16mmとすることが好ましい。また、バットの反発特性や強度をより好ましいものとする観点からは、上記厚みの下限は2.0mmとすることがより好ましい。また、バット1の成形性などを考慮すれば、上記厚みの上限を14mmとすることがより好ましい。
【0112】
また、最大径がΦ57mm以下であるソフトボール用のバットの場合には、外殻部材部分14の厚みを1.5mm以上9.5mm以下、より好ましくは2.0mm以上7.5mm以下とすることができる。上述したソフトボール用のバットの場合における弾性体12の厚みの範囲の決定理由も、バットの最大径が異なる点を除いて上述した野球用のバットの場合と同様である。
【0113】
また、任意の材料からなる外殻部材部分14について、バット1の延在方向における外殻部材部分14の幅を1mm以上90mm以下、より好ましくは10mm以上70mm以下とすることができる。上述のような数値範囲としたのは、以下のような理由による。すなわち、外殻部材部分14の上記幅は短ければ短いほど、ボールの打撃時における外殻部材部分14の移動(バット1の径方向における移動)が容易になり、バット1の性能面では好ましい。しかし、外殻部材部分14の幅が短くなると、バット1の製造面での弊害が発生する(たとえば、外殻部材13の作成や組み付け作業が複雑化する)。そのため、外殻部材部分14については製造面での弊害の発生を防ぐ観点から、下限を1mmとすることが好ましい。また、外殻部材14の端部にR面取り加工(たとえばR0.5程度の面取り加工)を施すことを考えた場合にも、上記のような外殻部材部分14の幅の下限値とすることが好ましい。一方、外殻部材部分14の幅が90mmを超えると、ボールの打撃時に外殻部材部分14がバット1の径方向に移動しにくくなる。この結果、バット1の特性が十分に発揮されない可能性がある。また、バット1の製造のし易さや、特性をより向上させるという観点から、外殻部材部分14の幅を10mm以上70mm以下とすることがより好ましい。
【0114】
また、バット1の延在方向における外殻部材13の幅を120mm以上350mm以下、より好ましくは150mm以上300mm以下としてもよい。上述のような数値範囲としたのは以下のような理由による。すなわち、軟式ボールの打撃時の変形を考えた場合、たとえば一般A号の軟式ボールでは、通常直径が72mmであるのに対して、打撃時には変形して幅が110mm以上に変形する。そのため、打球部としての外殻部材13の幅には上述した120mm以上が必要である。一方、外殻部材13の幅を350mm超えとした場合、バットの総質量および重心の位置を実用的な範囲に収めることが難しくなる。
【0115】
また、カバー部材23および補強部材24の材料としては、例えば、合成樹脂シート、または合成樹脂チューブを用いる事ができる。作業性、接着性を考慮した場合、合成樹脂シート又は合成樹脂チューブは厚さ0.1mm以上1.0mm以下の熱可塑性ポリウレタン、又はポリ塩化ビニル製のシートまたはチューブである事が望ましい。
【0116】
上記の様な数値範囲としたのは、厚みが0.1mm未満では上記カバー部材23または補強部材24の強度が不足し、耐久性を高める要因にならないためである。また、厚みが1.0mmを越えると、シートまたはチューブ自体の硬さが問題となることにより、外殻部材13の特性を損なうといった欠点が生じるためである。
【0117】
また、上記シートまたはチューブの材料としては、JIS A硬度で80以上100以下、引張強度が350kg/cm2以上500kg/cm2以下のものを使用する事が好ましい。ここで、上記材料のJIS A硬度が80未満の場合、シートまたはチューブ自体の強度が不足し、耐久性を高める要因にならない。また、上記材料のJIS A硬度が100を越えると、シートまたはチューブ自体が硬さを帯び、外殻部材13の特性を損なうといった欠点が生じる。また、引張強度に関しても、同様の事が言える。
【0118】
また、弾性体12の比重は0.15以上1.3以下、より好ましくは0.25以上0.7以下とすることができる。上記の様な数値範囲としたのは、以下のような理由による。すなわち、弾性体12の比重が0.15よりも小さいと、弾性体12の成形が困難になり、比重が1.3を越えるとバットの総質量および重心位置を実用範囲に収めることが困難になるからである。更に、弾性体12の成形性や反発特性を考慮した場合、当該比重は0.25以上0.7以下がより好ましい。
【0119】
また、弾性体12のJIS C硬度は5以上85以下、より好ましくは20以上80以下とすることができる。上記の様な数値範囲としたのは、以下のような理由による。すなわち、C硬度が5未満になると、弾性体12の成形が困難になり、当該C硬度が85を越えると、外殻部材13の特性を損なうといった欠点が生じる。更に、成形性、反発性を考慮した場合、弾性体12のJIS C硬度は25以上80以下がより好ましい。
【0120】
また、最大径がΦ70mm以下である野球用のバットについて、バット1の径方向における弾性体12の厚みとしては、上記JIS C硬度が5以上20以下である場合には、上記弾性体12の厚みは8mm以上19.2mm以下、より好ましくは10mm以上15mm以下、とすることができる。また、上記JIS C硬度が20超え50以下である場合には、上記弾性体12の厚みは6mm以上19.2mm以下、より好ましくは8mm以上15mm以下、とすることができる。また、上記JIS C硬度が50超え85以下である場合には、上記弾性体12の厚みは4mm以上19.2mm以下、より好ましくは6mm以上15mm以下、とすることができる。
【0121】
また、最大径がΦ57mm以下であるソフトボール用のバットの場合には、バット1の径方向における弾性体12の厚みを以下のように設定することが好ましい。具体的には、上記JIS C硬度が5以上20以下である場合には、当該厚みを8mm以上12.7mm以下、より好ましくは10mm以上12mm以下、とすることができる。また、上記JIS C硬度が20超え50以下である場合には、上記弾性体12の厚みは6mm以上12.7mm以下、より好ましくは8mm以上12mm以下、とすることができる。また、上記JIS C硬度が50超え85以下である場合には、上記弾性体12の厚みは4mm以上12.7mm以下、より好ましくは6mm以上12mm以下、とすることができる。なお、上述した弾性体12の特性は、本願発明の他の実施の形態における弾性体12にも適用できる。
【0122】
(実施の形態22)
図38を参照して、本発明によるバットの実施の形態22を説明する。
【0123】
図38に示したバット1は、基本的には図35および図36に示したバット1と同様の構成を備えるが、図36に示した補強部材24が配置されていない点が図35および図36に示したバット1とは異なっている。図38に示したバット1では、外殻部材13の内周面は弾性体12の外周面(弾性体12の外周側面に形成された凹部の底面)と接触した状態になっている。このような構成によっても、図35および図36に示したバット1と同様に、図4および図5に示したバットと同様の効果を得ることができる。さらに、図35および図36に示したバット1と同様に、カバー部材23を配置したことによる効果や弾性体12に外殻部材13を埋設した状態で配置することによる効果を得ることができる。さらに、弾性体12の材質を適宜選択する、あるいは外殻部材部分14の端部を面取り加工(たとえばR面取り加工やC面取り加工など)するといった対応により、図35および図36に示したバット1と同様の効果を得ることも可能である。
【0124】
(実施の形態23)
図39を参照して、本発明によるバットの実施の形態23を説明する。
【0125】
図39に示したバット1は、基本的には図35および図36に示したバット1と同様の構成を備えるが、図35および図36に示した固定部材20が配置されていない点が図35および図36に示したバット1とは異なっている。このような構成によっても、図35および図36に示したバット1による効果のうち、固定部材20を配置することによる効果以外の効果を得ることができる。また、このように固定部材20(図35参照)を配置しないことで、バット1の部品点数を削減し、バット1の製造コストを低減できる。
【0126】
(実施の形態24)
図40を参照して、本発明によるバットの実施の形態24を説明する。
【0127】
図40に示したバット1は、基本的には図35および図36に示したバット1と同様の構成を備えるが、外殻部材部分14のサイズが全て同じではなく、サイズの異なる外殻部材部分14により外殻部材13が構成されている点が図35および図36に示したバット1と異なる。このような構成によっても、図35および図36に示したバット1による効果と同様の効果を得ることができる。また、図40に示すように、打球部の中央部に位置する外殻部材部分14のサイズ(具体的にはバット1の延在方向における幅)を、打球部の端部に位置する外殻部材部分14のサイズより大きくすることで、打球部中央での外殻部材部分14の境界部の数を少なくできる。このため、ボールの打撃時に、当該境界部において外殻部材部分14の端部が弾性体12に食い込んで弾性体12が破損する可能性を低減できる。一方、図40に示した構成とは逆に、打球部の中央部に位置する外殻部材部分14のサイズを、打球部の端部に位置する外殻部材部分14のサイズより小さくすれば、打球部の中央部(つまり、ボールの打撃時に最もボールと接触する可能性の高い領域)における弾性体12へ打球時の衝撃を伝えやすくできるので、打球時のボールの変形をより効果的に抑制できる。この結果、打撃時のボールの変形によるエネルギーロスを低減し、バット1の反発特性を向上させることができる。
【0128】
(実施の形態25)
図41を参照して、本発明によるバットの実施の形態25を説明する。
【0129】
図41に示したバット1は、基本的には図35および図36に示したバット1と同様の構成を備えるが、カバー部材23の構成が図35および図36に示したバット1とは異なっている。具体的には、図41に示したバット1では、カバー部材23が外殻部材13の外周表面を覆うように配置されているが、バット1の延在方向におけるカバー部材23の端部の外側では弾性体12の表面が露出している。このような構成によっても、カバー部材23により外殻部材13を保護することができるので、図35および図36に示したバット1と同様の効果を得ることができる。なお、カバー部材23と弾性体12とは、その接触部(外殻部材13の両端部外側にてカバー部材23と弾性体12とが接触している領域)にて互いに固定されていてもよい。また、カバー部材23と外殻部材13とは互いに固定されていてもよいし、カバー部材23と外殻部材13とは固定されていない状態(互いに独立して弾性変形可能となっている状態)であってもよい。
【0130】
(実施の形態26)
図42を参照して、本発明によるバットの実施の形態26を説明する。
【0131】
図42に示したバット1は、基本的には図35および図36に示したバット1と同様の構成を備えるが、カバー部材23の構成が図35および図36に示したバット1とは異なっている。具体的には、図42に示したバット1では、カバー部材23が、隣接する外殻部材部分14の間の境界部上に位置する領域、および外殻部材13の両端部上に位置する領域に、互いに間隔を隔てて複数個配置されている。また、異なる観点から言えば、図42に示したバット1では、カバー部材23と補強部材24とにより、外殻部材部分14の端部が挟まれた状態になっている。このような構成によっても、カバー部材23によって外殻部材部分14の端部(上記境界部や外殻部材13の両端部)を保護することができる。
【0132】
なお、上述した図37〜39、41、42に示したバット1において、図40に示すように複数種類のサイズの外殻部材部分14によって外殻部材13を構成してもよい。また、図37〜40に示したバット1において、図41または図42に示したような構成のカバー部材23を適用してもよい。
【0133】
(実施の形態27)
図43〜図45を参照して、本発明によるバットの実施の形態27を説明する。
【0134】
図43〜図45に示したバット1は、基本的には図35および図36に示したバット1と同様の構成を備えるが、外殻部材13を構成する外殻部材部分14の形状が異なっている。すなわち、図43および図44に示すように、バット1においては、外殻部材部分14は、図6〜図8に示したバット1と同様に、バット1の中心軸の延在方向に沿って延びる短冊状の形状を有している。異なる観点からいえば、外殻部材13は、バット1の延在方向に沿って延びる、複数の外殻部材部分14がバット1の外周に沿って並んだ状態となっている。これらの外殻部材部分14はそれぞれ弾性体12との接触部分の全体もしくは一部が接着剤などの接続部材により弾性体12と接続固定されている。また、外殻部材部分14のカバー部材23との接触部分の全体もしくは一部も、接着剤などの接続部材によりカバー部材23と固定されている。このような構成のバット1によっても、図35および図36に示したバット1と同様の効果を得ることができる。なお、外殻部材部分14と弾性体12の表面との固定方法、および外殻部材部分14とカバー部材23との固定方法としては、上述した接着剤などの固定部材を用いる方法以外の任意の方法(たとえば外殻部材部分14と弾性体12とを融着させる、などの方法)を用いることができる。
【0135】
また、図45からわかるように、隣接する外殻部材部分14の境界部(バット1の延在方向に沿って延びる境界部)の内周側には、補強部材24が配置されている。補強部材24は、上記境界部に沿ってバット1の延在方向に延びるような帯状の形状を有している。なお、上記境界部に沿って、所定の間隔を隔てて複数個の補強部材24を配置してもよい。
【0136】
図43および図44から分かるように、バット1の延在方向において、外殻部材13の幅は弾性体12の幅より狭くなっている。そのため、バット1の延在方向における外殻部材13の端部の外側では、弾性体12とカバー部材23とが接触している。カバー部材23と弾性体12とは上記外殻部材13の端部の外側にて互いに固定されていてもよい。また、カバー部材23と外殻部材13とは互いに固定されていてもよいが、互いに独立して弾性変形可能となっていてもよい。また、外殻部材13と弾性体12とは互いに固定されていてもよいが、互いに独立して弾性変形可能であってもよい。
【0137】
(実施の形態28)
図46を参照して、本発明によるバットの実施の形態28を説明する。
【0138】
図46に示したバット1は、基本的には図43〜図45に示したバット1と同様の構成を備えるが、外殻部材部分14のサイズが全て同じではなく、サイズの異なる外殻部材部分14により外殻部材13が構成されている点が図43〜図45に示したバット1と異なる。図46に示したバット1では、バット1の側面に沿った円周方向において幅の広い外殻部材部分14と幅の狭い外殻部材部分14とが交互に配置されている。このような構成によっても、図43〜図45に示したバット1による効果と同様の効果を得ることができる。なお、外殻部材部分14については、図46に示すように2種類のサイズ(幅)のものを用いてもよいが、3種類以上の複数種類のサイズの外殻部材部分14を用いてもよい。
【0139】
(実施の形態29)
図47を参照して、本発明によるバットの実施の形態29を説明する。
【0140】
図47に示したバット1は、基本的には図43〜図45に示したバット1と同様の構成を備えるが、カバー部材23の構成が図43〜図45に示したバット1とは異なっている。具体的には、図47に示したバット1では、カバー部材23が外殻部材13の外周表面を覆うように配置されているが、バット1の延在方向におけるカバー部材23の端部の外側では弾性体12の表面が露出している。このような構成によっても、カバー部材23により外殻部材13を保護することができるので、図43〜図45に示したバット1と同様の効果を得ることができる。なお、図41に示したバット1と同様に、カバー部材23と弾性体12とは、その接触部(外殻部材13の両端部外側にてカバー部材23と弾性体12とが接触している領域)にて互いに固定されていてもよい。また、カバー部材23と外殻部材13とは互いに固定されていてもよいし、カバー部材23と外殻部材13とは固定されていない状態(互いに独立して弾性変形可能となっている状態)であってもよい。
【0141】
(実施の形態30)
図48を参照して、本発明によるバットの実施の形態30を説明する。
【0142】
図48に示したバット1は、基本的には図43〜図45に示したバット1と同様の構成を備えるが、カバー部材23の構成が図43〜図45に示したバット1とは異なっている。具体的には、図48に示したバット1では、カバー部材23が、隣接する外殻部材部分14の間の境界部上に位置する領域に、互いに間隔を隔てて複数個配置されている。それぞれのカバー部材23は、上記境界部に沿って延びる短冊状の形状を有する。また、異なる観点から言えば、図48に示したバット1では、カバー部材23と補強部材24とにより、外殻部材部分14の端部が挟まれた状態になっている。このような構成によっても、カバー部材23によって外殻部材部分14の端部を保護することができる。
【0143】
なお、上述した図43〜45、47、48に示したバット1において、図46に示すように複数種類のサイズの外殻部材部分14によって外殻部材13を構成してもよい。また、図43〜46に示したバット1において、図47または図48に示したような構成のカバー部材23を適用してもよい。
【0144】
(実施の形態31)
図49および図50を参照して、本発明によるバットの実施の形態31を説明する。
【0145】
図49および図50に示したバット1は、基本的には図35および図36に示したバット1と同様の構成を備えるが、外殻部材13を構成する外殻部材部分14の形状が異なっている。すなわち、図49および図45に示したバット1においては、外殻部材部分14は、図9および図10に示したバット1と同様に外殻部材13がバット1の延在方向に対して斜めに(螺旋状に)分割されることにより外殻部材部分14が形成されている。つまり、外殻部材部分14は螺旋状に延びるような外形を有している。このような形状のバット1によっても、図35および図36に示したバットと同様の効果を得ることができる。また、このような螺旋状の外殻部材部分14を用いることで、バット1の中心軸に沿った方向および当該中心軸に対して垂直な方向のいずれの方向における曲げ応力に対しても、外殻部材部分14をバット1の補強部材として利用できる。
【0146】
これらの外殻部材部分14はそれぞれ弾性体12との接触部分の全体もしくは一部が接着剤などの接続部材により弾性体12と接続固定されている。また、外殻部材部分14のカバー部材23との接触部分の全体もしくは一部も、接着剤などの接続部材によりカバー部材23と固定されている。なお、外殻部材部分14と弾性体12の表面との固定方法、および外殻部材部分14とカバー部材23との固定方法としては、上述した接着剤などの固定部材を用いる方法以外の任意の方法(たとえば外殻部材部分14と弾性体12とを融着させる、などの方法)を用いることができる。
【0147】
また、図50からわかるように、隣接する外殻部材部分14の境界部(バット1の延在方向に対して傾斜した方向に延びる境界部)の内周側には、補強部材24が配置されている。補強部材24は、上記境界部に沿ってバット1の延在方向に対して傾斜する方向に延びるような螺旋状になった帯状の形状を有している。なお、上記境界部に沿って、所定の間隔を隔てて複数個の補強部材24を配置してもよい。
【0148】
図50から分かるように、バット1の延在方向において、外殻部材13の幅は弾性体12の幅より狭くなっている。そのため、バット1の延在方向における外殻部材13の端部の外側では、弾性体12とカバー部材23とが接触している。カバー部材23と弾性体12とは上記外殻部材13の端部の外側にて互いに固定されていてもよい。また、カバー部材23と外殻部材13とは互いに固定されていてもよいが、互いに独立して弾性変形可能となっていてもよい。また、外殻部材13と弾性体12とは互いに固定されていてもよいが、互いに独立して弾性変形可能であってもよい。
【0149】
(実施の形態32)
図51を参照して、本発明によるバットの実施の形態32を説明する。
【0150】
図51に示したバット1は、基本的には図49および図50に示したバット1と同様の構成を備えるが、外殻部材部分14のサイズが全て同じではなく、サイズの異なる外殻部材部分14により外殻部材13が構成されている点が図49および図50に示したバット1と異なる。図51に示したバット1では、バット1の側面に沿った円周方向において幅の広い外殻部材部分14と幅の狭い外殻部材部分14とが交互に(螺旋状に)配置されている。このような構成によっても、図49および図50に示したバット1による効果と同様の効果を得ることができる。なお、外殻部材部分14については、図51に示すように2種類のサイズ(幅)のものを用いてもよいが、3種類以上の複数種類のサイズの外殻部材部分14を用いてもよい。
【0151】
(実施の形態33)
図52を参照して、本発明によるバットの実施の形態33を説明する。
【0152】
図52に示したバット1は、基本的には図49および図50に示したバット1と同様の構成を備えるが、カバー部材23の構成が図49および図50に示したバット1とは異なっている。具体的には、図52に示したバット1では、カバー部材23が外殻部材13の外周表面を覆うように配置されているが、バット1の延在方向におけるカバー部材23の端部の外側では弾性体12の表面が露出している。このような構成によっても、カバー部材23により外殻部材13を保護することができるので、図49および図50に示したバット1と同様の効果を得ることができる。なお、図41に示したバット1と同様に、カバー部材23と弾性体12とは、その接触部(外殻部材13の両端部外側にてカバー部材23と弾性体12とが接触している領域)にて互いに固定されていてもよい。また、カバー部材23と外殻部材13とは互いに固定されていてもよいし、カバー部材23と外殻部材13とは固定されていない状態(互いに独立して弾性変形可能となっている状態)であってもよい。
【0153】
(実施の形態34)
図53を参照して、本発明によるバットの実施の形態34を説明する。
【0154】
図53に示したバット1は、基本的には図49および図50に示したバット1と同様の構成を備えるが、カバー部材23の構成が図49および図50に示したバット1とは異なっている。具体的には、図53に示したバット1では、カバー部材23が、隣接する外殻部材部分14の間の境界部上に位置する領域、および外殻部材13の両端部上に位置する領域に、互いに間隔を隔てて複数個配置されている。また、異なる観点から言えば、図53に示したバット1では、カバー部材23と補強部材24とにより、外殻部材部分14の端部が挟まれた状態になっている。このような構成によっても、カバー部材23によって外殻部材部分14の端部(上記境界部や外殻部材13の両端部)を保護することができる。
【0155】
なお、上述した図49、50、52、53に示したバット1において、図51に示すように複数種類のサイズの外殻部材部分14によって外殻部材13を構成してもよい。また、図49〜図51に示したバット1において、図52または図53に示したような構成のカバー部材23を適用してもよい。
【0156】
(実施の形態35)
図54を参照して、本発明によるバットの実施の形態4を説明する。
【0157】
図54に示したバット1は、基本的には図35および図36に示したバット1と同様の構造を備えるが、外殻部材部分14の形状が異なっている。すなわち、図54に示したバットにおける外殻部材部分14は、図11〜図13に示したバット1と同様に、外殻部材13をバット1の中心軸の延在方向および当該中心軸に対して垂直な方向の2方向で分割したことにより得られる部材であって、その平面構造がほぼ四角形状となっている。これらの外殻部材部分14は、内周側に位置する弾性体12の表面と接続固定されていてもよい。あるいは、これらの外殻部材部分14はカバー部材23と固定されていてもよい。このような構造のバット1によっても、図35および図36に示したバット1と同様の効果を得ることができる。また、外殻部材部分14のサイズを適宜選択することにより、バット1によってボールを打撃したときに、当該打撃による衝撃を弾性体12へと確実に伝えることができる。その結果、ボールの変形を抑制するとともに、弾性体12の反発力を利用してよりボールの飛距離を伸ばすことができる。
【0158】
また、図54では直接示されてはいないが、隣接する外殻部材部分14の間の境界部の内周側には、図36に示したバット1と同様に補強部材24が配置されている。補強部材24は、上記境界部に沿って帯状に形成されていてもよいし、当該境界部に沿って所定の間隔を隔てて複数個配置されていてもよい。
【0159】
(実施の形態36)
図55を参照して、本発明によるバットの実施の形態24を説明する。
【0160】
図55に示したバット1は、基本的には図54に示したバット1と同様の構成を備えるが、外殻部材部分14のサイズが全て同じではなく、サイズの異なる外殻部材部分14により外殻部材13が構成されている点が図54に示したバット1と異なる。このような構成によっても、図54に示したバット1による効果と同様の効果を得ることができる。また、図40に示すように、打球部の中央部に位置する外殻部材部分14の面積を、打球部の端部に位置する外殻部材部分14の面積より大きくすることで、打球部中央での外殻部材部分14の境界部の数を少なくできる。このため、ボールの打撃時に、当該境界部において外殻部材部分14の端部が弾性体12に食い込んで弾性体12が破損する可能性を低減できる。一方、図55に示した構成とは逆に、打球部の中央部に位置する外殻部材部分14の面積を、打球部の端部に位置する外殻部材部分14の面積より小さくすれば、打球部の中央部(つまり、ボールの打撃時に最もボールと接触する可能性の高い領域)における弾性体12へ打球時の衝撃をより伝えやすくできるので、打球時のボールの変形をより効果的に抑制できる。この結果、打撃時のボールの変形によるエネルギーロスを低減し、バット1の反発特性を向上させることができる。
【0161】
なお、上述した補強部材24としては、すでに述べたようにTPUシート(熱可塑性ポリウレタンシート)を用いることができる。また、補強部材24としては、外殻部材部分14の境界部の内周側に配置されている構成以外にも、当該内周側から隣接する外殻部材部分14の端面の間の空隙にまで延びるような延在部を有する構成を採用してもよい。さらに、補強部材24として、当該延在部が上記外殻部材部分14の端部の外周側にまで延びる外周側フランジ部を含んでいてもよい。
【0162】
また、上述した各実施の形態では、外殻部材部分14の端部の外周面上に弾性体12が回り込んでいてもよい。たとえば、図36に示したバット1において、バット1の延在方向における外殻部材部分14の端部の外周面上にまで、弾性体12の一部が延在していてもよい。この場合、外殻部材部分14の端部を弾性体12の一部が把持した状態となるため、外殻部材部分14と弾性体12との間の接続強度を高めることができる。また、バット1の延在方向において隣接する2つの外殻部材部分14の接続部に、弾性体12の一部が延在していてもよい。また、当該接続部から、外殻部材部分14の端部の外周面上に、弾性体12の一部がさらに延在していてもよい。この場合も、外殻部材部分14と弾性体12との間の接続強度を高めることができる。
【0163】
ここで、上述した実施の形態と一部重複する部分もあるが、本発明の特徴的な構成を列挙する。
【0164】
この発明に従った野球用またはソフトボール用バットであるバット1は、打球部3、テーパー部4およびグリップ部5を含む野球用またはソフトボール用バットであって、打球部3は、芯材としての打球部芯材11と、弾性体12と、外殻部材13とを供える。弾性体12は、打球部芯材11の外周上に配置される。外殻部材13は、弾性体12の外周上に配置される。外殻部材13は、互いに独立して弾性変形可能な複数の部分である外殻部材部分14を含む。
【0165】
このようにすれば、外殻部材13が独立して弾性変形可能な複数の外殻部材部分14により構成されるので、打球時にボールが接触した外殻部材13の外殻部材部分14にボールからの衝撃が伝わる一方、当該外殻部材部分14に隣接する他の外殻部材部分14には直接的には当該衝撃が伝わらない。そのため、ボールが接触した当該外殻部材部分14および当該部分下に位置する弾性体12を容易に弾性変形させることができる。この結果、打球時のボールの変形を抑制することでエネルギーロスを低減し、結果的にバット1の反発特性を向上させることができる。
【0166】
また、従来のように外殻部材13が一体のパイプ状部材である場合には、ボールが接触した部分に加えられる衝撃荷重をパイプ状部材の全体で分散して受けることになる。そのため、ボールの変形を抑制することができる程度に十分なパイプ状部材の変形を実現するためには当該パイプ状部材の剛性を極めて低くする(たとえばパイプ状部材の厚みを極薄くする)ことが必要となる。一方、本発明によるバット1のように外殻部材13を複数の外殻部材部分14により構成すれば、打球時のボールからの衝撃荷重を、当該ボールが接触した個々の外殻部材部分14で受けることになるので、外殻部材13を構成する複数の外殻部材部分14の剛性をある程度高くする(たとえば十分な耐久性が確保できる程度に複数の外殻部材部分14の厚みを厚くする)ことが可能になる。このため、バット1の耐久性を維持しつつ、反発特性を向上させることができる。
【0167】
上記バット1において、実施の形態1〜16に示すように、複数の外殻部材部分14は互いに分離独立した部材であってもよい。この場合、外殻部材13において打球時にボールの接触した外殻部材部分14だけを容易に弾性変形させることができる。そのため、打球時のボールの変形を抑制することでエネルギーロスを低減し、結果的にバットの反発特性を向上させることができる。
【0168】
また、分離独立した複数の外殻部材部分14によって外殻部材13を構成するので、材質や特性などを複数の外殻部材部分14ごとに変更することが可能になる。このため、バット1の設計の自由度を大きくすることができる。
【0169】
上記バット1において、複数の外殻部材部分14は、互いに対向する部分(境界部)のうちの一部が接続されていてもよい。この場合、複数の外殻部材部分の境界部の一部が互いに接続されることで、外殻部材13として複数の外殻部材部分14の互いに接続された群を(好ましくは全体を)1つの部材として取り扱うことができる。このため、バット1の製造時に、複数の外殻部材部分14が完全に独立した別部材となっている場合より、外殻部材13のハンドリングが容易になる。また、たとえば外殻部材13となるべきパイプ状の素材を準備し、当該素材において、複数の外殻部材部分14を区画する複数のスリット42を形成することで、複数の外殻部材部分14からなる外殻部材13を容易に形成することができる。
【0170】
上記バット1は、複数の外殻部材部分14の間に配置されるスペーサー31をさらに備えていてもよい。この場合、打球時に複数の外殻部材部分14が変形、移動することで、複数の外殻部材部分14のうち隣接する外殻部材部分14同士が直接接触し、破損するといった問題の発生を抑制できる。
【0171】
上記バット1において、外殻部材13と弾性体12とは固着されていてもよい。この場合、打球時におけるボールからの衝撃を外殻部材13から弾性体12へと確実に伝えることができる。このため、弾性体12が変形することによりボールの変形を抑制し、結果的にエネルギーロスを低減してバット1の反発特性を向上させるという効果を確実に得ることができる。
【0172】
上記バット1において、外殻部材13は弾性体12に対して相対位置を変更できるように設置されていてもよい(別の観点から言えば独立して変形可能(移動可能)であってもよい)。この場合、バット1の打球部3において打球部芯材11の周囲に弾性体12が配置されたバット部品を用意し、当該バット部品の弾性体12の外周上に外殻部材13となる複数の外殻部材部分14を後から配置する、さらに複数の外殻部材部分14の一部が破損した場合など、当該破損した外殻部材部分14のみを交換する、といったことが可能になる。
【0173】
上記バット1において、複数の外殻部材部分14の間の境界部は、実施の形態3、7、11に示したバット1のように、打球部3の中心軸(バット1の中心軸)に対して傾斜して設けられていてもよい。この場合、外殻部材13を構成する複数の外殻部材部分14が打球部3の中心軸に対して斜めに交差するように延びて配置されることになる。このため、打球部3の中心軸に対して垂直な方向や当該中心軸に沿った方向にバット1を曲げるような応力が加わった場合のいずれにおいても、外殻部材13をバット1の補強部材として利用することができる。このため、バット1の強度を向上させることができる。
【0174】
上記バット1において、弾性体12は、実施の形態14に示したバット1のように、複数の弾性体部分としての弾性体12に分割されていてもよい。この場合、打球時にボールが接触した外殻部材部分14下に位置する弾性体部分が主に変形することになるので、当該弾性体12の材質を同じものとすると、弾性体12が打球部3全体において一体の部材として形成されている場合よりも当該弾性体部分の変形を大きくすることができる。このため、弾性体12の材質を変更することなく結果的にバット1の反発特性を向上させることができる。
【0175】
上記バット1において、弾性体12には中空部16が形成されていてもよい。この場合、弾性体12の材質を変更することなく、当該弾性体12をより変形しやすくできる。このため、バット1の反発特性をより向上させることができる。
【0176】
上記バット1は、図4に示すように、外殻部材13から見てテーパー部4側に配置され、テーパー部4側への外殻部材13の移動を規制する固定部材20をさらに備えていてもよい。この場合、当該固定部材20により外殻部材13がテーパー部4側へ移動することを確実に防止できる。また、打球部芯材11を含むバット本体において打球部3のテーパー部4側端部の外径を、外殻部材13の内径より小さくしておけば、当該バット本体に後から外殻部材13をテーパー部4側から設置することができる。そして、固定部材20をバット本体に設置することで、外殻部材13を容易に固定することができる。さらに、固定部材20をバット本体から着脱自在に構成しておけば、バット本体から外殻部材13を交換する作業を容易に行なうことができる。また、外殻部材13をバット本体から着脱可能にしておけば、バット本体を構成する弾性体12を露出させることができるので、当該弾性体12を交換、補修する作業を容易に行なうことができる。なお、ここでバット本体とは、少なくとも打球部芯材11、弾性体12を含むバットの構成部材であり、外殻部材13、あるいは外殻部材13と固定部材20とを追加することでバット1を構成することができる構成部材を意味する。
【0177】
上記バット1は、外殻部材13を覆うカバー部材23をさらに備えていてもよい。この場合、カバー部材23によって、外殻部材13の保護、また外殻部材13端部からの水や砂等の浸入を防ぐ事ができるので、バット1の耐久性を向上させることができる。
【0178】
上記バット1は、複数の外殻部材部分14の間の境界部の内周側において、外殻部材13と弾性体12との間に配置される補強部材24をさらに備えていてもよい。この場合、外殻部材部分14が弾性変形したときに外殻部材部分14の端部が弾性体12にめり込み弾性体12が破損するといった可能性を低減できる。
【0179】
なお、上述した外殻部材部分14の構成材料としては、任意の材料を用いることができる。たとえば、外殻部材部分14の構成材料として、金属(たとえばアルミニウム、鉄、チタン、マグネシウム、ステンレス鋼など)、あるいは繊維強化プラスチック(FRP)、木材、樹脂(たとえばTPU(熱可塑性ウレタン樹脂)、ナイロン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ABS樹脂、塩化ビニル)などを用いることができる。また、外殻部材部分14の構造としては、単純な中実体(板状体)であってもよいが、他の構造(たとえばハニカム構造など)を採用してもよい。
【0180】
また、弾性体12としては、マトリックスとしてゴム、樹脂などを含有する弾性体が好ましく用いられる。ゴムとしては、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエン−ゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、イソプレンゴム(IR)、エチレン−プロピレン−ゴム(EPR)、エチレン−プロピレン−ジエン3元共重合体(EPDM)ゴム、シリコンゴム(SiR)または天然ゴム(NR)などの架橋した架橋ゴムが挙げられる。樹脂としては、エーテル系ウレタン樹脂、エステル系ウレタン樹脂などのウレタン系樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)樹脂、スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)樹脂などのスチレン系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂などのオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂またはアイオノマー樹脂などが挙げられる。エラストマーとしては、エーテル系ウレタンエラストマー、エステル系ウレタンエラストマーなどのウレタン系エラストマー、ポリスチレンエラストマー、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)エラストマー、スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)エラストマーなどのスチレン系エラストマー、ポリエチレンエラストマー、ポリプロピレンエラストマーなどのオレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマーまたはポリアミド系エラストマーなどが挙げられる。
【0181】
また、打球部芯材11の材料としては、金属(たとえばアルミニウムやステンレス鋼など)、FRP、木材など、任意の材料を用いることができる。
【0182】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0183】
この発明は、打球部に弾性体を適用した野球用またはソフトボール用バットに適用することで、特に顕著な効果が得られる。
【符号の説明】
【0184】
1 バット、2 先端部、3 打球部、4 テーパー部、5 グリップ部、11 打球部芯材、12,12a,12b 弾性体、13 外殻部材、14,14a,14b 外殻部材部分、15 凹部、16 中空部、20 固定部材、21 固定部材保持部、23 カバー部材、24 補強部材、31 スペーサー、35 表面、41 接続部、42 スリット。
【技術分野】
【0001】
この発明は、打球部に弾性体を用いた野球用またはソフトボール用バットに関し、より特定的には、耐久性を維持しつつ反発特性を向上させた、打球部に弾性体を用いた野球用またはソフトボール用バットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、打球部に弾性体を用いて反発特性を向上させたバットが知られている(たとえば、特開2002−126144号公報(以下、特許文献1と呼ぶ)参照)。特許文献1では、バットの打球部を、打球部芯材と、当該打球部芯材の外周に配置された弾性体と、当該弾性体の外周に配置された外殻部材としてのパイプとから構成している。このようにすることで、打球時に打球の衝撃によって弾性体が圧縮され、ボールと外殻部材とが打球部芯材の方向へ移動する。そして、その後弾性体の復元により、ボールと外殻部材とがバットの外面方向に移動するので、ボールが打球時に大きく変形することなく、ボールの変形によるエネルギーロスを低下させることで、バットの反発特性が向上するとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−126144号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した従来のバットについて発明者が検討した結果、以下のような課題を発見した。すなわち、上述した構成のバットでは、外殻部材においてある程度の強度を維持する必要があるが、そのように十分な強度の外殻部材を用いると、打球時に外殻部材が十分に変形や移動せず、結果的にバットの反発特性の向上が不十分なものとなっていた。一方、特許文献1に開示された構成のバットにおいて打球時に外殻部材や弾性体を十分変形させるためには、外殻部材の剛性を下げる、あるいは弾性体としてこれまでよりさらに柔らかい材料を用いる、といった対応が考えられるが、この場合バットの耐久性が低下し、打球感が悪くなるという新たな問題が発生する。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の目的は、十分な耐久性を維持しつつ、反発特性を向上させた野球用またはソフトボール用バットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に従った野球用またはソフトボール用バットは、打球部、テーパー部およびグリップ部を含む野球用またはソフトボール用バットであって、打球部は、芯材と、弾性体と、外殻部材とを供える。弾性体は、芯材の外周上に配置される。外殻部材は、弾性体の外周上に配置される。外殻部材は、互いに独立して弾性変形可能な複数の部分を含む。
【0007】
このようにすれば、外殻部材が独立して弾性変形可能な複数の部分により構成されるので、打球時にボールが接触した外殻部材の部分にボールからの衝撃が伝わる一方、当該部分に隣接する他の外殻部材の部分には直接的には当該衝撃が伝わらない。そのため、ボールが接触した当該部分および当該部分下に位置する弾性体を容易に弾性変形させることができる。この結果、打球時のボールの変形を抑制することでエネルギーロスを低減し、結果的にバットの反発特性を向上させることができる。
【0008】
また、従来のように外殻部材が一体のパイプ状部材である場合には、ボールが接触した部分に加えられる衝撃荷重をパイプ状部材の全体で分散して受けることになる。そのため、ボールの変形を抑制することができる程度に十分なパイプ状部材の変形を実現するためには当該パイプ状部材の剛性や弾性体の弾性率を極めて低くする(たとえばパイプ状部材の厚みを極薄くしたり、弾性体の弾性率を極低くする)ことが必要となる。一方、本発明によるバットのように外殻部材を複数の部分により構成すれば、打球時のボールからの衝撃荷重を、当該ボールが接触した個々の部分で受けることになるので、外殻部材を構成する複数の部分の剛性や弾性体の弾性率をある程度高くする(たとえば十分な耐久性が確保できる程度に複数の部分の厚みを厚くする)ことが可能になる。このため、バットの耐久性を維持しつつ、反発特性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、十分な耐久性を維持しつつ、反発特性を向上させた野球用またはソフトボール用バットを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明によるバットの実施の形態1を示す模式図である。
【図2】図1の線分II−IIにおける断面模式図である。
【図3】図2に示したバットの部分断面模式図である。
【図4】図1〜図3に示したバットの変形例を示す模式図である。
【図5】図4の線分V−Vにおける部分断面模式図である。
【図6】本発明によるバットの実施の形態2を示す模式図である。
【図7】図6の線分VII−VIIにおける部分断面模式図である。
【図8】図7の線分VIII−VIIIにおける断面模式図である。
【図9】本発明によるバットの実施の形態3を示す模式図である。
【図10】図9の線分X−Xにおける部分断面模式図である。
【図11】本発明によるバットの実施の形態4を示す模式図である。
【図12】図11の線分XII−XIIにおける断面模式図である。
【図13】図12の線分XIII−XIIIにおける断面模式図である。
【図14】この発明によるバットの実施の形態5を示す部分断面模式図である。
【図15】本発明によるバットの実施の形態6を示す断面模式図である。
【図16】本発明によるバットの実施の形態7を示す部分断面模式図である。
【図17】本発明によるバットの実施の形態8を示す部分断面模式図である。
【図18】図17の線分XVIII−XVIIIにおける断面模式図である。
【図19】本発明によるバットの実施の形態9を示す模式図である。
【図20】図19の線分XX−XXにおける部分断面模式図である。
【図21】本発明によるバットの実施の形態10を示す模式図である。
【図22】図21の線分XXII−XXIIにおける断面模式図である。
【図23】本発明によるバットの実施の形態11を示す模式図である。
【図24】図23の線分XXIV−XXIVにおける部分断面模式図である。
【図25】本発明によるバットの実施の形態12を示す模式図である。
【図26】本発明によるバットの実施の形態13を示す部分断面模式図である。
【図27】本発明によるバットの実施の形態14を示す部分断面模式図である。
【図28】本発明によるバットの実施の形態15を示す部分断面模式図である。
【図29】本発明によるバットの実施の形態16を示す部分断面模式図である。
【図30】図29の線分XXX−XXXにおける断面模式図である。
【図31】本発明によるバットの実施の形態17を示す模式図である。
【図32】本発明によるバットの実施の形態18を示す模式図である。
【図33】本発明によるバットの実施の形態19を示す模式図である。
【図34】本発明によるバットの実施の形態20を示す模式図である。
【図35】本発明によるバットの実施の形態21を示す模式図である。
【図36】図35の線分XXXVI−XXXVIにおける部分断面模式図である。
【図37】図35および図36に示したバットの変形例を示す部分断面模式図である。
【図38】本発明によるバットの実施の形態22を示す部分断面模式図である。
【図39】本発明によるバットの実施の形態23を示す部分断面模式図である。
【図40】本発明によるバットの実施の形態24を示す部分断面模式図である。
【図41】本発明によるバットの実施の形態25を示す部分断面模式図である。
【図42】本発明によるバットの実施の形態26を示す部分断面模式図である。
【図43】本発明によるバットの実施の形態27を示す模式図である。
【図44】図43の線分XLIV−XLIVにおける部分断面模式図である。
【図45】図44の線分XLV−XLVにおける断面模式図である。
【図46】本発明によるバットの実施の形態28を示す模式図である。
【図47】本発明によるバットの実施の形態29を示す部分断面模式図である。
【図48】本発明によるバットの実施の形態30を示す断面模式図である。
【図49】本発明によるバットの実施の形態31を示す模式図である。
【図50】図49の線分L−Lにおける部分断面模式図である。
【図51】本発明によるバットの実施の形態32を示す模式図である。
【図52】本発明によるバットの実施の形態33を示す部分断面模式図である。
【図53】本発明によるバットの実施の形態34を示す部分断面模式図である。
【図54】本発明によるバットの実施の形態35を示す部分断面模式図である。
【図55】本発明によるバットの実施の形態36を示す部分断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。なお以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は繰返さない。
【0012】
(実施の形態1)
図1〜図3を参照して、本発明によるバットの実施の形態1を説明する。
【0013】
図1〜図3に示したバット1は、先端側から先端部2、ボールを打つための打球部3、径が徐々に細くなっているテーパー部4、および打者がバット1を握るためのグリップ部5とを備える。図2および図3に示すように、バット1の打球部3においては、当該バット1は3層構造を有している。すなわち、打球部3においては、バット1の径方向中心部(バット1の中心軸に対して垂直な断面における中心部)に位置する打球部芯材11の外周に、弾性体12が配置されている。打球部芯材11には、当該弾性体12をその内部に配置するための凹部15が形成されている。この凹部15の内部に弾性体12が配置される。凹部15の内部において、弾性体12は打球部芯材11の周囲を囲むように配置されている。そして、この弾性体12の外周側面上に外殻部材13が配置されている。この外殻部材13の全体はほぼ円筒形状である。外殻部材13は複数の外殻部材部分14により構成されている。この外殻部材部分14も(バット1の中心軸方向における幅は上記外殻部材13の当該幅より短いが)円筒形状である。この外殻部材部分14は互いに完全に分離した状態となっている。なお、個々の外殻部材部分14は、図1ではほぼ同じ形状となっているが、それぞれの外殻部材部分14の形状を変える(たとえばバット1の中心軸方向における幅を変える)ようにしてもよい。また、外殻部材部分14は弾性体12の外周面と接続固定されている。外殻部材部分14と弾性体12との接続方法としては、接着剤などの接合部材を介して外殻部材部分14と弾性体12とを接着してもよいし、外殻部材部分14と弾性体12とを直接固着させてもよい。固着方法としては、熱融着など任意の方法を用いることができる。また、弾性体12と打球部芯材11とは任意の方法で接続固定されていてもよい。
【0014】
このような構造のバット1によれば、打球部3においてボールを打撃したときに外殻部材13の外殻部材部分14がそれぞれ独立して変形可能であるため、外殻部材部分14および当該外殻部材部分14下の弾性体12がボールの打撃に応じて十分に変形することができる。この結果、弾性体12の変形による反発力を十分にボールへと伝えることができる。このため、ボールの飛距離をより伸ばすことができる。
【0015】
次に、図1〜図3に示したバットの製造方法を説明する。図1〜図3に示したバットの製造方法としては、従来周知の任意の方法を用いることができるが、たとえば、打球部芯材11と外殻部材部分14とを成形型にセットし、芯材の凹部15に弾性体となるべき液状材料を注入し、当該液状材料を固体化させて弾性体12を形成する(なお、弾性体12の形成時に、外殻部材部分14および芯材の凹部15はそれぞれ弾性体14と固着される)、という方法を用いることができる。
【0016】
図4および図5を参照して、本発明による図1〜図3に示したバットの変形例を説明する。
【0017】
図4および図5に示したバット1は、基本的には図1〜図3に示したバットと同様の構造を備えるが、外殻部材13のグリップ部5側に固定部材20が配置されている点が異なっている。具体的には、図5に示すように、打球部芯材11においては凹部15のテーパー部側に固定部材20を接続固定するための固定部材保持部21が形成されている。この固定部材保持部21では、打球部芯材11の径がほぼ一定となっている。この固定部材保持部21の径は、外殻部材13の内径よりも小さくなっている。つまり、固定部材保持部21からテーパー部4にかけてバット1の径は、外殻部材13の内径より小さくなっている。そのため、固定部材20を取付ける前においては、外殻部材13をグリップ側から打球部3における弾性体12の外周面上に装着する、あるいは取外すことが可能である。
【0018】
なお、固定部材20は、固定部材保持部21と任意の方法で固定することができる。たとえば、接着剤などを用いて固定部材20を固定部材保持部21へと接着してもよいし、固定ピンなどの固定用部材を別途準備して当該部材により固定部材20を固定部材保持部21へと接続固定してもよい。このようなバット1によっても、図1〜図3に示したバット1と同様の効果を得ることができる。
【0019】
(実施の形態2)
図6〜図8を参照して、本発明によるバットの実施の形態2を説明する。
【0020】
図6〜図8に示したバット1は、基本的には図1〜図3に示したバットと同様の構造を備えるが、外殻部材13を構成する外殻部材部分14の形状が異なっている。すなわち、図6〜図8に示したバット1においては、外殻部材部分14は、バット1の中心軸の延在方向に沿って延びる短冊状の形状を有している。異なる観点からいえば、外殻部材13は、バット1の延在方向に沿って複数の外殻部材部分14に分割された状態となっている。これらの外殻部材部分14はそれぞれ弾性体12との接触部分の全体もしくは一部が接着剤などの接続部材により弾性体12と接続固定されている。このような構成のバット1によっても、図1〜図3に示したバット1と同様の効果を得ることができる。なお、外殻部材部分14と弾性体12の表面との固定方法としては、上述した接着剤などの固定部材を用いる方法以外の任意の方法を用いることができる。
【0021】
(実施の形態3)
図9および図10を参照して、本発明によるバットの実施の形態3を説明する。
【0022】
図9および図10に示したバット1は、基本的には図1〜図3に示したバット1と同様の構造を備えるが、外殻部材13を構成する外殻部材部分14の形状が異なっている。すなわち、図9および図10に示したバット1においては、外殻部材13がバット1の延在方向(バット1の中心軸に沿った方向)に対して斜めに(螺旋状に)分割されたことにより外殻部材部分14が形成されている。すなわちこの外殻部材部分14は螺旋状に延びるような外形を有している。このような形状のバット1によっても、図1〜図3に示したバットと同様の効果を得ることができる。また、このような螺旋状の外殻部材部分14を用いることで、バット1の中心軸に沿った方向および当該中心軸に対して垂直な方向のいずれの方向における曲げ応力に対しても、外殻部材部分14をバット1の補強部材として利用できる。
【0023】
なお、外殻部材部分14において弾性体12と対向する内周面の全体もしくは一部は弾性体12と接着部材などにより接続固定されていることが好ましい。また、外殻部材部分14と弾性体12との接続固定方法としては、上述のような接着部材を用いた方法以外の任意の方法(たとえば熱融着など)を用いることができる。
【0024】
(実施の形態4)
図11〜図13を参照して、本発明によるバットの実施の形態4を説明する。
【0025】
図11〜図13に示したバット1は、基本的には図1〜図3に示したバットと同様の構造を備えるが、外殻部材部分14の形状が異なっている。すなわち、図11〜図13に示したバットにおける外殻部材部分14は、外殻部材13をバット1の中心軸の延在方向および当該中心軸に対して垂直な方向の2方向で分割したことにより得られる部材であって、その平面構造がほぼ四角形状となっている。これらの外殻部材部分14は、内周側に位置する弾性体12の表面と接続固定されている。このような構造のバット1によっても、図1〜図3に示したバット1と同様の効果を得ることができる。また、外殻部材部分14のサイズを適宜選択することにより、バット1によってボールを打撃したときに、当該打撃による衝撃を弾性体12へと確実に伝えることができる。その結果、ボールの変形を抑制するとともに、弾性体12の反発力を利用してよりボールの飛距離を伸ばすことができる。
【0026】
(実施の形態5)
図14を参照して、本発明によるバットの実施の形態5を説明する。なお、図14は図3に対応する。
【0027】
図14に示すように、バット1は基本的には図1〜図3に示したバットと同様の構造を備えるが、弾性体12の形状が異なっている。すなわち、図14に示したバット1の弾性体12においては、外殻部材部分14のほぼ中央部下に中空部16が形成されている。この中空部16は、たとえばバット1の円周方向に延びる円環状の形状となっていてもよいが、バットの円周方向において局所的に中空部16が形成されていてもよい。そして、弾性体12は、外殻部材部分14の境界部(隣接する2つの外殻部材部分14の外周端部同士が対向する部分)下に少なくとも位置している。この結果、外殻部材部分14の外周端部を弾性体12で支えることができる。
【0028】
このようにすれば、図1〜図3に示したバット1と同様の効果を得られるとともに、弾性体12に中空部16が形成されているので、当該弾性体12の剛性をより低くすることができる。この結果、ボールを打撃したときのバット1の打球部3における変形量をより大きくすることができるので、打撃によるボールの変形に伴うエネルギーロスをより低減することができる。また、中空部16を形成することにより、打球音を良くしたり、打球感を向上させたりすることができる。
【0029】
また、異なる観点から言えば、上記バット1では、外殻部材部分14の曲げ弾性値(単位長さ分の曲げ変形を起こさせるのに必要な力(荷重))が、弾性体12の圧縮弾性値(単位長さ分圧縮するのに必要な力(荷重))よりも大きくなるようにするために中空部16を形成してあるので、ボール衝突時の衝撃力は、主に、外殻部材部分14の変形ではなく弾性体12の圧縮変形に使われる。このため、ボールが当った部分では、その荷重は外殻部材部分14の変形ではなく、外殻部材部分14を支える弾性体12の変形により多く費やされ、当該外殻部材部分14の中心軸が他の外殻部分部材14の中心軸(すなわちバットの芯材の中心軸)とずれるように移動するからボールの変形を抑えることができる。また、外殻部材部材14の曲げ変形が起き難いので、弾性体12との接合部分や弾性体12本体の破損を防ぐことができる。
【0030】
なお、図14に示したバット1では、弾性体12の中空部16が外殻部材部分14の内周面から打球部芯材11の外周面にまで到達するように(つまり、弾性体12をバットの1の径方向において貫通するように)形成されているが、当該中空部16を弾性体12の内部に(つまり外殻部材部分14や打球部芯材11と中空部16とが接触しないように)形成してもよい。あるいは、中空部16において、打球部芯材11または外殻部材部分14のいずれか一方のみが露出した状態となるように、中空部16を形成してもよい。たとえば、中空部16において外殻部材部分14のみが露出する(弾性体12は打球部芯材11の表面を覆った状態になる)ようにした場合、弾性体12を型成形で容易に形成できるので、バット1の製造コストの増大を抑制できる。また、図14に示すように、すべての外殻部材部分14の下に中空部16を形成してもよいが、外殻部材部分14の一部の下のみに中空部16を形成してもよい。
【0031】
また、弾性体12の比重は0.15以上1.3以下、より好ましくは0.25以上0.7以下とすることができる。上記の様な数値範囲としたのは、以下のような理由による。すなわち、弾性体12の比重が0.15よりも小さいと、弾性体12の成形が困難になり、比重が1.3を越えるとバットの総質量および重心位置を実用範囲に収めることが困難になるからである。更に、弾性体12の成形性や反発特性を考慮した場合、当該比重は0.25以上0.7以下がより好ましい。
【0032】
また、弾性体12のJIS C硬度は5以上85以下、より好ましくは20以上80以下とすることができる。上記の様な数値範囲としたのは、以下のような理由による。すなわち、C硬度が5未満になると、弾性体12の成形が困難になり、当該C硬度が85を越えると、外殻部材13の特性を損なうといった欠点が生じる。更に、成形性、反発性を考慮した場合、弾性体12のJIS C硬度は25以上80以下がより好ましい。なお、本明細書において、JIS C 硬度とは、JIS K 7312付属書2にいうスプリング硬さ試験タイプC試験方法に準じて測定した硬度をいう。
【0033】
また、最大径がΦ70mm以下である野球用のバットについて、バット1の径方向における弾性体12の厚みとしては、以下のようにJIS C硬度の範囲ごとに当該厚みの好ましい範囲を考えることができる。具体的には、上記JIS C硬度が5以上20以下である場合には、上記弾性体12の厚みは8mm以上19.2mm以下、より好ましくは10mm以上15mm以下、とすることができる。
【0034】
上記のような数値範囲としたのは、以下のような理由による。すなわち、弾性体12の厚みが8mm未満となると、ボールの打撃時に外殻部材部分14の移動範囲が小さくなりすぎる(つまりボールの打撃時に衝撃を弾性体12の変形だけでは十分吸収できず、弾性体12が変形限界まで変形するため、打撃時の衝撃が打球部芯材11に直接的に伝わる(外殻部材部分14が底つきしてしまう)。このため、本発明によるバット1の効果が最大限に発揮できない可能性がでてくる。また、上記厚みの上限値については、バット1の強度面から考えると、打球部芯材11の外径は最小でも30mm程度は必要である。そして、外殻部材部分14の最小厚みを考慮すると、上記厚みの上限は19.2mmとすることが好ましい。そして、バットの反発特性や成形性をより好ましいものとする観点からは、上記厚みの下限は10mmとすることがより好ましい。また、バット1の強度を十分に確保する観点から、上記厚みの上限を15mmとすることがより好ましい。
【0035】
また、上記JIS C硬度が20超え50以下である場合には、上記弾性体12の厚みは6mm以上19.2mm以下、より好ましくは8mm以上15mm以下、とすることができる。また、上記JIS C硬度が50超え85以下である場合には、上記弾性体12の厚みは4mm以上19.2mm以下、より好ましくは6mm以上15mm以下、とすることができる。上記厚みの数値範囲については、弾性体12の硬度が(JIS C硬度の範囲が5以上20以下の場合より)高くなったことから、弾性体12の厚みをより薄くしても本発明の効果を得ることが可能となるため、(上記JIS C硬度が5以上20以下である場合より)厚みの下限値が小さくなっているものであり、その決定理由は基本的に同じである。
【0036】
また、最大径がΦ57mm以下であるソフトボール用のバットの場合には、バット1の径方向における弾性体12の厚みを以下のように設定することが好ましい。具体的には、上記JIS C硬度が5以上20以下である場合には、当該厚みを8mm以上12.7mm以下、より好ましくは10mm以上12mm以下、とすることができる。また、上記JIS C硬度が20超え50以下である場合には、上記弾性体12の厚みは6mm以上12.7mm以下、より好ましくは8mm以上12mm以下、とすることができる。また、上記JIS C硬度が50超え85以下である場合には、上記弾性体12の厚みは4mm以上12.7mm以下、より好ましくは6mm以上12mm以下、とすることができる。上述したソフトボール用のバットの場合における弾性体12の厚みの範囲の決定理由も、バットの最大径が異なる点を除いて上述した野球用のバットの場合と同様である。
【0037】
なお、上述した弾性体12の特性は、本願発明の他の実施の形態における弾性体12にも適用できる。
【0038】
また、バット1の延在方向における、隣接する外殻部材部分14の境界部における弾性体12と外殻部材部分14との接触部の長さは10mm以上、外殻部材部分14の長さ未満であることが好ましい。このような数値範囲としたのは、弾性体12と外殻部材部分14との接着を考えた場合、当該接触部の長さが10mm未満では接着性能が不十分になる可能性がある、という理由による。なお、当該接触部の長さの数値範囲は、図18に示した場合(つまりバット1の延在方向に沿って外殻部材13が分割されている場合)にも適用できる。
【0039】
(実施の形態6)
図15を参照して、本発明によるバットの実施の形態6を説明する。なお、図15は図8に対応する。
【0040】
図15を参照して、バット1は基本的には図6〜図8に示したバットと同様の構造を備えるが、弾性体12の構造が異なっている。すなわち、図15に示すように、弾性体12においてはバット1の中心軸の延びる方向に沿って延びる外殻部材部分14の中心部下に中空部16が形成されている。この結果、図14に示したバットと同様の効果を得ることができる。なお、中空部16は、外殻部材部分14の中心部下においてバット1の中心軸の延びる方向に延在するように形成されていてもよいが、当該中心軸の延びる方向において間欠的に(局所的に)形成されていてもよい。すなわち、1つの外殻部材部分14の下において、複数の中空部16が形成されていてもよい。また、図15に示したバット1では、弾性体12の中空部16が外殻部材部分14の内周面から打球部芯材11の外周面にまで到達するように形成されているが、図14に示したバット1の場合と同様に、当該中空部16を弾性体12の内部に形成してもよい。あるいは、中空部16において、打球部芯材11または外殻部材部分14のいずれか一方のみが露出した状態となるように、中空部16を形成してもよい。また、図15に示すように、すべての外殻部材部分14の下に中空部16を形成してもよいが、外殻部材部分14の一部の下のみに中空部16を形成してもよい。
【0041】
(実施の形態7)
図16を参照して、本発明によるバットの実施の形態7を説明する。なお、図16は図10に対応する。
【0042】
図16を参照して、バット1は基本的には図9および図10に示したバットと同様の構造を備えるが、弾性体12の形状が異なっている。すなわち、図16に示したバットでは、螺旋状に延びる外殻部材部分14の中央部下に(螺旋状に延びる)中空部16が形成されている。そして、弾性体12は、隣接する外殻部材部分14の境界部下に沿って(螺旋状に)延びるように形成されている。外殻部材部分14の端部と弾性体12とは接続固定されている。このため、弾性体12により外殻部材部分14を確実に保持することができる。このような構造のバット1によっても、図14に示したバットと同様の効果を得ることができる。つまり、上記バット1では、外殻部材部分14の曲げ弾性値(単位長さ分の曲げ変形を起こさせるのに必要な力(荷重))が、弾性体12の圧縮弾性値(単位長さ分圧縮するのに必要な力(荷重))よりも大きくなるようにするために中空部16を形成してあるので、ボール衝突時の衝撃力は、主に、外殻部材部分14の変形ではなく弾性体12の圧縮変形に使われる。このため、ボールが当った部分では、(外殻部材部分14がほとんど変形せず)外殻部材部分14を支える弾性体12のみが圧縮変形し、当該外殻部材部分14の中心軸が他の外殻部分部材14の中心軸(すなわちバットの芯材の中心軸)とずれるように移動するからボールの変形を抑えることができる。また、外殻部材部材14の曲げ変形が起き難いので、弾性体12との接合部分や弾性体12本体の破損を防ぐことができる。
【0043】
なお、中空部16は、外殻部材部分14の中心部下においてバット1の中心軸の周りを周回するように螺旋状に形成されていてもよいが、当該外殻部材部分14の延びる方向において間欠的に(局所的に)形成されていてもよい。すなわち、1つの外殻部材部分14の下において、複数の中空部16が形成されていてもよい。また、図16に示したバット1では、弾性体12の中空部16が外殻部材部分14の内周面から打球部芯材11の外周面にまで到達するように形成されているが、図14に示したバット1の場合と同様に、当該中空部16を弾性体12の内部に形成してもよい。あるいは、中空部16において、打球部芯材11または外殻部材部分14のいずれか一方のみが露出した状態となるように、中空部16を形成してもよい。また、図16に示すように、すべての外殻部材部分14の下に中空部16を形成してもよいが、複数の外殻部材部分14のうちの一部の下のみに中空部16を形成してもよい。
【0044】
また、弾性体12の比重は0.15以上1.3以下、より好ましくは0.25以上0.7以下とすることができる。上記の様な数値範囲としたのは、以下のような理由による。すなわち、弾性体12の比重が0.15よりも小さいと、弾性体12の成形が困難になり、比重が1.3を越えるとバットの総質量および重心位置を実用範囲に収めることが困難になるからである。更に、弾性体12の成形性や反発特性を考慮した場合、当該比重は0.25以上0.7以下がより好ましい。
【0045】
また、弾性体12のJIS C硬度は5以上85以下、より好ましくは20以上80以下とすることができる。上記の様な数値範囲としたのは、以下のような理由による。すなわち、C硬度が5未満になると、弾性体12の成形が困難になり、当該C硬度が85を越えると、外殻部材13の特性を損なうといった欠点が生じる。更に、成形性、反発性を考慮した場合、弾性体12のJIS C硬度は25以上80以下がより好ましい。
【0046】
また、最大径がΦ70mm以下である野球用のバットについて、バット1の径方向における弾性体12の厚みとしては、上述した実施の形態5の場合と同様に、上記JIS C硬度が5以上20以下である場合には、上記弾性体12の厚みは8mm以上19.2mm以下、より好ましくは10mm以上15mm以下、とすることができる。また、上記JIS C硬度が20超え50以下である場合には、上記弾性体12の厚みは6mm以上19.2mm以下、より好ましくは8mm以上15mm以下、とすることができる。また、上記JIS C硬度が50超え85以下である場合には、上記弾性体12の厚みは4mm以上19.2mm以下、より好ましくは6mm以上15mm以下、とすることができる。上記厚みの数値範囲については、その決定理由は基本的に実施の形態5の場合と同じである。
【0047】
また、最大径がΦ57mm以下であるソフトボール用のバットの場合には、バット1の径方向における弾性体12の厚みを以下のように設定することが好ましい。具体的には、上記JIS C硬度が5以上20以下である場合には、当該厚みを8mm以上12.7mm以下、より好ましくは10mm以上12mm以下、とすることができる。また、上記JIS C硬度が20超え50以下である場合には、上記弾性体12の厚みは6mm以上12.7mm以下、より好ましくは8mm以上12mm以下、とすることができる。また、上記JIS C硬度が50超え85以下である場合には、上記弾性体12の厚みは4mm以上12.7mm以下、より好ましくは6mm以上12mm以下、とすることができる。上述したソフトボール用のバットの場合における弾性体12の厚みの範囲の決定理由も、バットの最大径が異なる点を除いて上述した野球用のバットの場合と同様である。
【0048】
また、バット1の延在方向における、隣接する外殻部材部分14の境界部における弾性体12と外殻部材部分14との接触部の長さは10mm以上、外殻部材部分14の長さ未満であることが好ましい。このような数値範囲とした理由は、上述した実施の形態5の場合と同様である。
【0049】
(実施の形態8)
図17および図18を参照して、本発明によるバットの実施の形態8を説明する。なお、図17および図18はそれぞれ図12および図13に対応する。
【0050】
図17および図18を参照して、本発明によるバット1は基本的には図11〜図13に示したバットと同様の構造を備えるが、弾性体12の形状が異なっている。すなわち、図17および図18に示したバット1においては、平面形状がほぼ四角形状の外殻部材部分14の中心部下に中空部16が形成されている。弾性体12は、隣接する外殻部材部分14の境界部に沿って格子状に形成されている。外殻部材部分14の端部と弾性体12とは接続固定されている。この結果、先に述べた本発明の実施の形態6または実施の形態7に示したバットと同様の効果を得ることができる。つまり、上記バット1では、外殻部材部分14の曲げ弾性値(単位長さ分の曲げ変形を起こさせるのに必要な力(荷重))が、弾性体12の圧縮弾性値(単位長さ分圧縮するのに必要な力(荷重))よりも大きくなるようにするために中空部16を形成してあるので、ボール衝突時の衝撃力は、主に、外殻部材部分14の変形ではなく弾性体12の圧縮変形に使われる。このため、ボールが当った部分では、(外殻部材部分14がほとんど変形せず)外殻部材部分14を支える弾性体12のみが圧縮変形し、当該外殻部材部分14の位置がボールの打撃前の位置からずれるように移動するからボールの変形を抑えることができる。また、外殻部材部材14の曲げ変形が起き難いので、弾性体12との接合部分や弾性体12本体の破損を防ぐことができる。
【0051】
なお、図17および図18に示したバット1では、弾性体12の中空部16が外殻部材部分14の内周面から打球部芯材11の外周面にまで到達するように形成されているが、図14に示したバット1の場合と同様に、当該中空部16を弾性体12の内部に形成してもよい。あるいは、中空部16において、打球部芯材11または外殻部材部分14のいずれか一方のみが露出した状態となるように、中空部16を形成してもよい。また、図17および図18に示すように、すべての外殻部材部分14の下に中空部16を形成してもよいが、複数の外殻部材部分14のうちの一部の下のみに中空部16を形成してもよい。
【0052】
また、上述した実施の形態5〜8に示したバット1における中空部16は、いずれもほぼ同じサイズとなっていたが、バット1の打球部3において局所的に中空部16のサイズを変更してもよい。
【0053】
また、弾性体12の比重は0.15以上1.3以下、より好ましくは0.25以上0.7以下とすることができる。上記の様な数値範囲としたのは、以下のような理由による。すなわち、弾性体12の比重が0.15よりも小さいと、弾性体12の成形が困難になり、比重が1.3を越えるとバットの総質量および重心位置を実用範囲に収めることが困難になるからである。更に、弾性体12の成形性や反発特性を考慮した場合、当該比重は0.25以上0.7以下がより好ましい。
【0054】
また、弾性体12のJIS C硬度は5以上85以下、より好ましくは20以上80以下とすることができる。上記の様な数値範囲としたのは、以下のような理由による。すなわち、C硬度が5未満になると、弾性体12の成形が困難になり、当該C硬度が85を越えると、外殻部材13の特性を損なうといった欠点が生じる。更に、成形性、反発性を考慮した場合、弾性体12のJIS C硬度は25以上80以下がより好ましい。
【0055】
また、最大径がΦ70mm以下である野球用のバットについて、バット1の径方向における弾性体12の厚みとしては、上述した実施の形態5の場合と同様に、上記JIS C硬度が5以上20以下である場合には、上記弾性体12の厚みは8mm以上19.2mm以下、より好ましくは10mm以上15mm以下、とすることができる。また、上記JIS C硬度が20超え50以下である場合には、上記弾性体12の厚みは6mm以上19.2mm以下、より好ましくは8mm以上15mm以下、とすることができる。また、上記JIS C硬度が50超え85以下である場合には、上記弾性体12の厚みは4mm以上19.2mm以下、より好ましくは6mm以上15mm以下、とすることができる。上記厚みの数値範囲については、その決定理由は基本的に実施の形態5の場合と同じである。
【0056】
また、最大径がΦ57mm以下であるソフトボール用のバットの場合には、バット1の径方向における弾性体12の厚みを以下のように設定することが好ましい。具体的には、上記JIS C硬度が5以上20以下である場合には、当該厚みを8mm以上12.7mm以下、より好ましくは10mm以上12mm以下、とすることができる。また、上記JIS C硬度が20超え50以下である場合には、上記弾性体12の厚みは6mm以上12.7mm以下、より好ましくは8mm以上12mm以下、とすることができる。また、上記JIS C硬度が50超え85以下である場合には、上記弾性体12の厚みは4mm以上12.7mm以下、より好ましくは6mm以上12mm以下、とすることができる。上述したソフトボール用のバットの場合における弾性体12の厚みの範囲の決定理由も、バットの最大径が異なる点を除いて上述した野球用のバットの場合と同様である。
【0057】
また、バット1の延在方向における、隣接する外殻部材部分14の境界部における弾性体12と外殻部材部分14との接触部の長さは10mm以上、外殻部材部分14の長さ未満であることが好ましい。このような数値範囲とした理由は、上述した実施の形態5の場合と同様である。
【0058】
また、バット1の側面の円周方向における、図18に示された隣接する外殻部材部分14の境界部における弾性体12と外殻部材部分14との接触部の長さも、10mm以上、外殻部材部分14の長さ未満であることが好ましい。このような数値範囲とした理由も、上述した実施の形態5の場合と同様である。
【0059】
(実施の形態9)
図19および図20を参照して、本発明によるバットの実施の形態9を説明する。
【0060】
図19および図20に示したバット1は、基本的には図14に示したバットと同様の構造を備えるが、外殻部材部分14の間に円環状のスペーサー31が配置されている点が異なる。このようなスペーサー31を備えることで、図14に示したバットによる効果に加えて、打撃時に外殻部材部分14同士が直接接触しバットが破損するといった問題の発生を抑制できる。また、図14に示したバット1と同様に、上記バット1では、外殻部材部分14の曲げ弾性値(単位長さ分の曲げ変形を起こさせるのに必要な力(荷重))が、弾性体12の圧縮弾性値(単位長さ分圧縮するのに必要な力(荷重))よりも大きくなるようにするために中空部16を形成してあるので、ボール衝突時の衝撃力は、主に、外殻部材部分14の変形ではなく弾性体12の圧縮変形に使われる。このため、ボールが当った部分では、(外殻部材部分14がほとんど変形せず)外殻部材部分14を支える弾性体12のみが圧縮変形し、当該外殻部材部分14の中心軸が他の外殻部分部材14の中心軸(すなわちバットの芯材の中心軸)とずれるように移動するからボールの変形を抑えることができる。また、外殻部材部材14の曲げ変形が起き難いので、弾性体12との接合部分や弾性体12本体の破損を防ぐことができる。
【0061】
なお、スペーサー31としては、上述のような円環状の形状のスペーサー31を用いてもよいが、外殻部材部分14同士の直接的な接触を抑制できれば、任意の形状を採用することができる。たとえば、円弧状のスペーサー31を、バット1の円周上の複数箇所に間欠的に配置してもよい。また、スペーサー31の材質としては、外殻部材部分14の材質より硬度の低い材料であれば任意の材料を用いることができる。
【0062】
また、弾性体12の比重は0.15以上1.3以下、より好ましくは0.25以上0.7以下とすることができる。上記の様な数値範囲としたのは、以下のような理由による。すなわち、弾性体12の比重が0.15よりも小さいと、弾性体12の成形が困難になり、比重が1.3を越えるとバットの総質量および重心位置を実用範囲に収めることが困難になるからである。更に、弾性体12の成形性や反発特性を考慮した場合、当該比重は0.25以上0.7以下がより好ましい。
【0063】
また、弾性体12のJIS C硬度は5以上85以下、より好ましくは20以上80以下とすることができる。上記の様な数値範囲としたのは、以下のような理由による。すなわち、C硬度が5未満になると、弾性体12の成形が困難になり、当該C硬度が85を越えると、外殻部材13の特性を損なうといった欠点が生じる。更に、成形性、反発性を考慮した場合、弾性体12のJIS C硬度は25以上80以下がより好ましい。
【0064】
また、最大径がΦ70mm以下である野球用のバットについて、バット1の径方向における弾性体12の厚みとしては、上述した実施の形態5の場合と同様に、上記JIS C硬度が5以上20以下である場合には、上記弾性体12の厚みは8mm以上19.2mm以下、より好ましくは10mm以上15mm以下、とすることができる。また、上記JIS C硬度が20超え50以下である場合には、上記弾性体12の厚みは6mm以上19.2mm以下、より好ましくは8mm以上15mm以下、とすることができる。また、上記JIS C硬度が50超え85以下である場合には、上記弾性体12の厚みは4mm以上19.2mm以下、より好ましくは6mm以上15mm以下、とすることができる。上記厚みの数値範囲については、その決定理由は基本的に実施の形態5の場合と同じである。
【0065】
また、最大径がΦ57mm以下であるソフトボール用のバットの場合には、バット1の径方向における弾性体12の厚みを以下のように設定することが好ましい。具体的には、上記JIS C硬度が5以上20以下である場合には、当該厚みを8mm以上12.7mm以下、より好ましくは10mm以上12mm以下、とすることができる。また、上記JIS C硬度が20超え50以下である場合には、上記弾性体12の厚みは6mm以上12.7mm以下、より好ましくは8mm以上12mm以下、とすることができる。また、上記JIS C硬度が50超え85以下である場合には、上記弾性体12の厚みは4mm以上12.7mm以下、より好ましくは6mm以上12mm以下、とすることができる。上述したソフトボール用のバットの場合における弾性体12の厚みの範囲の決定理由も、バットの最大径が異なる点を除いて上述した野球用のバットの場合と同様である。
【0066】
また、バット1の延在方向における、隣接する外殻部材部分14の境界部における弾性体12と外殻部材部分14との接触部の長さは10mm以上、外殻部材部分14の長さ未満であることが好ましい。このような数値範囲とした理由は、上述した実施の形態5の場合と同様である。
【0067】
(実施の形態10)
図21および図22を参照して、本発明によるバットの実施の形態10を説明する。
【0068】
図21および図22に示したバット1は、基本的には図15に示したバット1と同様の構造を備えるが、外殻部材部分14の間にスペーサー31が配置されている点が異なる。このスペーサー31は、バット1の中心軸の延びる方向に沿って延びるように配置されている。このようなスペーサー31を配置することにより、図15に示したバットによる効果に加えて、隣接する外殻部材部分14が直接的に接触し破損するといった可能性を低減できる。
【0069】
なお、スペーサー31としては、上述のような直線状の形状のスペーサー31を用いてもよいが、外殻部材部分14同士の直接的な接触を抑制できれば、任意の形状を採用することができる。たとえば、打球部3の長さより短い直線状のスペーサー31を、外殻部材部分14同士の間の隙間に、バット1の中心軸に沿った方向に間隔を隔てて1つまたは複数個配置してもよい。また、スペーサー31の材質としては、図19および図20に示したバット1の場合と同様に、外殻部材部分14の材質より硬度の低い材料であれば任意の材料を用いることができる。
【0070】
(実施の形態11)
図23および図24を参照して、本発明によるバットの実施の形態11を説明する。
【0071】
図23および図24に示したバットは、基本的には図16に示したバットと同様の構造を備えるが、隣接する外殻部材部分14の間にスペーサー31が配置されている点が異なる。当該スペーサー31は、外殻部材部分14に沿って螺旋状に延びるように配置されている。このようバット1により、図16に示したバットによって得られる効果に加えて、スペーサー31によって外殻部材部分14同士が直接接触し破損する可能性を低減できる。
【0072】
なお、スペーサー31としては、上述のような螺旋状のスペーサー31を用いてもよいが、外殻部材部分14同士の直接的な接触を抑制できれば、任意の形状を採用することができる。たとえば、隣接する外殻部材部分14の境界部の長さより短い曲線状のスペーサー31を、外殻部材部分14同士の間の隙間に、当該境界部に沿った方向に間隔を隔てて1つまたは複数個配置してもよい。また、スペーサー31の材質としては、図19および図20に示したバット1の場合と同様に、外殻部材部分14の材質より硬度の低い材料であれば任意の材料を用いることができる。
【0073】
(実施の形態12)
図25を参照して、本発明によるバットの実施の形態12を説明する。
【0074】
図25に示したバット1は、基本的には図17および図18に示したバットと同様の構造を備えるが、外殻部材部分14の間にスペーサー31が配置されている点が異なっている。この結果、図17および図18に示したバットによって得られる効果に加えて、隣接する外殻部材部分14同士が直接接触する可能性を低減できる。
【0075】
なお、スペーサー31としては、図25に示すような格子状のスペーサー31を用いてもよいが、外殻部材部分14同士の直接的な接触を抑制できれば、任意の形状を採用することができる。たとえば、隣接する外殻部材部分14の境界部の長さより短い直線状のスペーサー31を、外殻部材部分14同士の間の隙間に、当該境界部に沿った方向に間隔を隔てて1つまたは複数個配置してもよい。また、スペーサー31の材質としては、図19および図20に示したバット1の場合と同様に、外殻部材部分14の材質より硬度の低い材料であれば任意の材料を用いることができる。
【0076】
なお、上述した実施の形態9〜実施の形態12では、弾性体12として中空部16が形成された場合を示しているが、弾性体として実施の形態1〜実施の形態4に示した中実の弾性体12を用いてもよい。
【0077】
(実施の形態13)
図26を参照して、本発明によるバットの実施の形態13を説明する。
【0078】
図26に示したバットは、基本的には図1〜図3に示したバットと同様の構造を備えるが、外殻部材部分14の内周面と弾性体12の外周表面とが固着していないという点が異なっている。すなわち、図26に示したバットにおいては、外殻部材部分14はそれぞれ独立して弾性体12に対し相対的に移動可能となっている。このような構成によっても、図1〜図3に示したバットと同様の効果を得ることができる。さらに、ボールが衝突した外殻部材部分14のみが回転することで打球位置が特定できるので、打撃練習に上記本発明によるバットを用いればバット1の芯でボールを捕らえたかどうかを容易に判別できる。
【0079】
なお、外殻部材部分14は、打球部芯材11に形成された凹部15の側壁上端部よりも、外殻部材部分14の内周面がバット1の中心に近い位置に配置されている。また、異なる観点からいえば、弾性体12の表面35は、凹部15の側壁上端よりもバット1の中心に近い位置に配置されている。
【0080】
なお、図26では図1〜図3に示した本発明の実施の形態1における円筒状の外殻部材部分14を用いたバット1を例として説明したが、実施の形態3、5、7、9または11に示したバットにおいて上述した構成(外殻部材部分14はそれぞれ独立して弾性体12に対し相対的に移動可能となっている構成)を採用してもよい。また、実施の形態2、4、6、8、10、または12に示したバット1において、外殻部材部分14の一部(たとえば外周部の一部)を弾性体12と接続固定し、外殻部材部分14の他の部分(弾性体12と接続固定していない部分)を弾性体12とは独立して(弾性体12に対して相対的に)変形可能としてもよい。
【0081】
(実施の形態14)
図27を参照して、本発明によるバットの実施の形態14を説明する。なお、図27は図3に対応する。
【0082】
図27に示したバットは、基本的には図1〜図3に示したバットと同様の構造を備えるが、弾性体12が外殻部材部分14の幅に合わせて複数の部材に分割されている点が異なっている。このようにすれば、図1〜図3に示したバットと同様の効果を得ることができるとともに、複数の弾性体12がそれぞれ個別に変形可能であるため、バットの反発特性をより向上させることができる。なお、ここで外殻部材部分14の内周面と弾性体12の外周面とは互いに固着した状態となっていてもよいし弾性体12に対して外殻部材部分14が自由に相対的に移動可能(あるいは変形可能)となっていてもよい。
【0083】
なお、図27では図1〜図3に示した本発明の実施の形態1における円筒状の外殻部材部分14を用いたバット1を例として説明したが、実施の形態2〜実施の形態12に示したバットにおいて上述した構成(弾性体12が外殻部材部分14の幅に合わせて複数の部材に分割されている構成)を採用してもよい。
【0084】
(実施の形態15)
図28を参照して、本発明によるバットの実施の形態15を説明する。なお、図28は図3に対応する。
【0085】
図28に示したバット1は、基本的には図1〜図3に示したバットと同様の構造を備えるが、弾性体および外殻部材13の構造が異なっている。すなわち、図28に示したバットでは、弾性体12が多層構造を有している。具体的には弾性体12が内周側の弾性体12aと外周側の弾性体12bとにより構成されている。なお、弾性体12の積層構造を構成する層の数は3以上としてもよい。また、弾性体12を構成する内周側の弾性体12aと外周側の弾性体12bとは互いに異なる特性を有する材料によって構成されていてもよい。すなわち、複数の層は互いに異なる特性(たとえば異なる材質、あるいは異なる密度など)を有していてもよい。また、弾性体12a、12bは互いに固着していてもよいが互いに相対的に移動可能となっていてもよい。
【0086】
また、外殻部材部分14も多層構造を有している。具体的には、図28に示したバットでは、外殻部材部分14が、内周側の外殻部材部分14aと外周側の外殻部材部分14bという2つの層により構成されている。外殻部材部分14を構成する層の数は3以上としてもよい。また、外殻部材部分14を構成する各層の外殻部材部分14a、14bの材質は、互いに異なる材料を用いてもよい。また、これらの外殻部材部分14a、14bは互いに固着していてもよいが互いに相対的に移動可能となっていてもよい。
【0087】
なお、弾性体12aと弾性体12bとも互いに固着していてもよいが、互いに相対的に移動可能となっていてもよい。
【0088】
このような構造のバットによっても、図1〜図3に示したバットと同様の効果を得ることができる。さらに、弾性体12および外殻部材部分14をそれぞれ多層構造とすることで、多層構造を構成する各層ごとに材質を変更するといった設計の自由度を大きくすることができる。
【0089】
なお、弾性体12および外殻部材部分14のいずれか一方のみを多層構造としてもよい。また、上述した弾性体12および/または外殻部材部分14を多層構造とする構成は、すでに説明した本発明の実施の形態1〜14のいずれのバットに対して適用してもよい。
【0090】
(実施の形態16)
図29および図30を参照して、本発明によるバットの実施の形態16を説明する。
【0091】
図29および図30に示したバットは、基本的には図27に示したバットと同様の構造を備えるが、弾性体12の構造が異なっている。具体的には、図29および図30に示したバットにおいては、弾性体12に中空部16が形成されている。この中空部16は、たとえば図30に示すようにバットの中心軸が延びる方向から見たときの形状が円形状となっていてもよいが、他の形状を採用してもよい。このような構成とすれば、中空部16を形成することで弾性体12が変形しやすくなるので、弾性体12の材料をより硬度の高い(すなわち強度の高い)材料とすることができる。
【0092】
なお、このような硬質の樹脂に中空部16を形成して作成された弾性体12は、実施の形態1〜15のいずれかにおいて説明されたバット1に適用してもよい。
【0093】
(実施の形態17)
図31を参照して、本発明によるバットの実施の形態17を説明する。
【0094】
図31に示したバット1は、基本的には図1〜図3に示したバットと同様の構造を備えるが、外殻部材13の構成が異なっている。すなわち、図31に示したバット1では、外殻部材13が、スリット42によって区画される外殻部材部分14によって構成されている。隣接する外殻部材部分14は接続部41において互いに接続されている。すなわち、スリット42は、バット1の円周方向において当該接続部41を残した状態で延びるように形成されている。このような構造のバット1によっても、図1〜図3に示したバット1と同様の効果を得ることができる。すなわち、このような大きなスリット42によって区画された外殻部材部分14は、互いに独立して変形可能である。そのため、バット1によるボール打撃時に、ボールが当たった外殻部材部分14が容易に変形できる。この結果、図1〜図3に示したバット1と同様に、打撃時のボールの変形を抑制し、エネルギーロスを低減することでボールの飛距離を伸ばすことができる。
【0095】
(実施の形態18)
図32を参照して、本発明によるバットの実施の形態18を説明する。
【0096】
図32に示したバット1は、基本的には図6〜図8に示したバットと同様の構造を備えるが、外殻部材13を構成する外殻部材部分14が、打球部3の先端部2側およびテーパー部4側の両端部に位置する接続部41において互いに接続された状態となっている。異なる観点からいえば、外殻部材13において、バット1の中心軸の延びる方向に延びる複数のスリット42が形成され、当該スリットによって外殻部材部分14が区画されている。当該スリット42の長さは外殻部材13のバット1の中心軸に沿った方向における長さよりも短くなっている。このため、スリット42のバット1のグリップ部5側の端部および先端部2側の端部にはそれぞれスリット42が形成されておらず接続部41が配置されることになる。このような構成のバット1によっても、図6に示したバットと同様の効果を得ることができる。
【0097】
(実施の形態19)
図33を参照して、本発明によるバットの実施の形態19を説明する。
【0098】
図33を参照して、バット1は基本的には図9に示したバットと同様の構造を備えるが、外殻部材13における外殻部材部分14が螺旋状に延びるスリット42によって区分されている点が異なる。なお、スリット42の両端部(打球部3の先端部2側およびテーパー部4側の両端部)においては、当該スリット42が形成されていない部分である接続部41が配置されている。この結果、隣接する外殻部材部分14は互いに当該接続部41において接続されている。このような構成のバット1においても、図9に示したバットと同様の効果を得ることができる。
【0099】
(実施の形態20)
図34を参照して、本発明によるバットの実施の形態20を説明する。
【0100】
図34に示したバット1は、基本的には図11〜図13に示したバットと同様の構造を備えるが、外殻部材13を構成する外殻部材部分14が互いに線状のスリット42によって区分されている点が異なっている。また、隣接する外殻部材部分14は互いにスリット42が形成されていない部分である接続部41において接続された状態となっている。この結果、外殻部材13において外殻部材部分14はある程度互いに独立して変形可能である一方で外殻部材13は全体として1つの部材である。このようなバット1によっても、図11〜図13に示したバットと同様の効果を得ることができる。
【0101】
なお、上述した実施の形態17〜実施の形態20に示したバット1における外殻部材13を、実施の形態5〜実施の形態16に示したバット1に適用してもよい。
【0102】
(実施の形態21)
図35および図36を参照して、本発明によるバットの実施の形態21を説明する。
【0103】
図35および図36に示したバット1は、基本的には図4および図5に示したバットと同様の構造を備えるが、外殻部材13の外周側を覆うカバー部材23と、隣接する外殻部材部分14同士の境界部に位置し、外殻部材13と弾性体12との間に配置された補強部材24とを備える点が図4および図5に示したバット1とは異なっている。また、外殻部材13は、バット1の延在方向(バット1の中心軸の延びる方向)において、弾性体12の長さより短くなっている。異なる観点から言えば、カバー部材23は、外殻部材13の外周面と接触するとともに、外殻部材13と隣接する領域において弾性体12の表面とも接触している。
【0104】
このようなバット1によっても、図4および図5に示したバットと同様の効果を得ることができる。また、図36から分かるように、外殻部材13は弾性体12に埋め込まれた状態になっており、外殻部材13の外周面と、外殻部材13と隣接する位置での弾性体12の外周面とはほぼ同じ平面上に位置する。このように外殻部材13が弾性体12に埋め込まれた状態になっているので、弾性体12に形成された凹部の内部に外殻部材13が配置された状態になっている。そのため、弾性体12に対して外殻部材13の位置を確実に固定することができる。
【0105】
カバー部材23と弾性体12とは、その接触部(外殻部材13と隣接する領域)において互いに接続固定されていてもよい。また、カバー部材23と外殻部材13とも接続固定されていてもいよい。カバー部材23と弾性体12との間の固定方法、およびカバー部材23と外殻部材13との間の固定方法としては、任意の方法を用いることができる。たとえば、熱融着法、あるいは当該接続部に接着剤などの接着層を設ける方法などを用いることができる。このようなカバー部材23を配置することで、打球部3の耐久性を向上させることができる。
【0106】
また、外殻部材13において隣接する外殻部材部分14の境界部下(境界部の内周側)、さらには外殻部材13の外周端部(外殻部材部分14の端部)下に補強部材24が配置されているので、外殻部材部分14が変形した場合に外殻部材部分14の端部が弾性体12の表面に食い込み弾性体12が破損するといった問題の発生を抑制できる。なお、補強部材24としては、弾性体12より硬度の高い材料を用いることができる。なお、補強部材24は、バット1の側面に沿った円環状の形状を有しているが、上記境界部に沿って所定の間隔を隔てて複数個の補強部材が円周上に配置されていてもよい。また、補強部材24は上記のような円環状であるがその一部が欠落した状態(C字状の平面形状)であってもよい。
【0107】
次に、図37を参照して、図35および図36に示したバットの変形例を説明する。図37に示したバット1は、基本的には図35および図36に示したバット1と同様の構成を備えるが、補強部材24の構成が図35および図36に示したバット1とは異なっている。具体的には、図37に示したバット1では、補強部材24が外殻部材13の内周面全体を覆うように配置されている。また、バット1の延在方向において、補強部材24の端部は外殻部材13の端部より外側に位置している。異なる観点から言えば、バット1の延在方向において、補強部材24の長さは外殻部材13の長さより長くなっている。このような構成によっても、図35および図36に示したバット1と同様の効果を得ることができる。さらに、補強部材24が1つの部材となっているので、バット1の製造工程において複数の補強部材24を決められた位置へ配置するといった工程を行う必要がない。このため、図35および図36に示されたバット1よりも、バット1の製造工程を簡略化することができる。
【0108】
ここで、外殻部材部分14の材料としては、金属材料、FRP(fiber reinforced plastic)材料、木材、樹脂材料を用いてもよい。より好ましくはFRP材料、樹脂材料(たとえば熱可塑性ウレタン樹脂、エーテル系ウレタン樹脂、エステル系ウレタン樹脂、オレフィン系樹脂、ポリアミド樹脂、アイオノマー樹脂、スチレン系樹脂、熱可塑性ポリエチレン、ナイロン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ABS(acrylonitrile butadiene styrene)、塩化ビニル等)を使用するのがよい。このような材料であれば、十分な強度を得ることができると共に、バット製造時の熱処理などにおいて変形する可能性が低く形状安定性に優れている。
【0109】
また、たとえば、外殻部材部分14の材料として金属材料、FRP材料、木材を用いる場合、外殻部材部分14の厚み(バット1の径方向における厚み)は、以下のように設定することが好ましい。すなわち、最大径がΦ70mm以下である野球用のバット1の場合、外殻部材部分14の厚みを0.8mm以上16mm以下、より好ましくは1.2mm以上13mm以下とすることができる。これは、外殻部材部分14の厚みが0.8mm未満となると、ボールの打撃時に外殻部材部分14が破損するといった問題の発生が懸念されるためである。また、外殻部材部分14が金属材料からなる場合、厚みが0.8mm未満である場合には、バット1の製造工程における熱処理により外殻部材部分14が変形する可能性も考えられる。また、外殻部材部分14の上記厚みの上限値については、バット1の強度面から考えると、打球部芯材11の外径は最小でも30mm程度は必要である。そして、弾性体12の最小厚みを考慮すると、上記外郭部材部分14の厚みの上限は16mmとすることが好ましい。また、バットの反発特性や強度をより好ましいものとする観点からは、上記厚みの下限は1.2mmとすることがより好ましい。また、バット1の成形性などを考慮すれば、上記厚みの上限を13mmとすることがより好ましい。
【0110】
また、最大径がΦ57mm以下であるソフトボール用のバットの場合には、外殻部材部分14の厚みを0.8mm以上9.5mm以下、より好ましくは1.2mm以上8mm以下とすることができる。上述したソフトボール用のバットの場合における外郭部材部分14の厚みの範囲の決定理由も、バットの最大径が異なる点を除いて上述した野球用のバットの場合と同様である。
【0111】
また、外殻部材部分14の材料として樹脂材料を用いる場合、外殻部材部分14の厚みは、以下のように設定することが好ましい。すなわち、最大径がΦ70mm以下である野球用のバット1の場合、外殻部材部分14の厚みは、1.5mm以上16mm以下、より好ましくは2.0mm以上14mm以下とすることができる。上記数値範囲の決定理由は、以下のようなものである。すなわち、このような樹脂材料からなる外郭部材部分14の厚みの下限値について、当該厚みを1.5mm未満とする場合、外殻部材部分14自体の剛性が低くなる(柔らかくなる)。そのため、バット1の反発特性や、打球感に悪影響を与える可能性がある。また、外殻部材部分14の上記厚みの上限値については、バット1の強度面から考えると、打球部芯材11の外径は最小でも30mm程度は必要である。そして、弾性体12の最小厚み、およびバットの質量バランスなどを考慮すると、上記外郭部材部分14の厚みの上限は16mmとすることが好ましい。また、バットの反発特性や強度をより好ましいものとする観点からは、上記厚みの下限は2.0mmとすることがより好ましい。また、バット1の成形性などを考慮すれば、上記厚みの上限を14mmとすることがより好ましい。
【0112】
また、最大径がΦ57mm以下であるソフトボール用のバットの場合には、外殻部材部分14の厚みを1.5mm以上9.5mm以下、より好ましくは2.0mm以上7.5mm以下とすることができる。上述したソフトボール用のバットの場合における弾性体12の厚みの範囲の決定理由も、バットの最大径が異なる点を除いて上述した野球用のバットの場合と同様である。
【0113】
また、任意の材料からなる外殻部材部分14について、バット1の延在方向における外殻部材部分14の幅を1mm以上90mm以下、より好ましくは10mm以上70mm以下とすることができる。上述のような数値範囲としたのは、以下のような理由による。すなわち、外殻部材部分14の上記幅は短ければ短いほど、ボールの打撃時における外殻部材部分14の移動(バット1の径方向における移動)が容易になり、バット1の性能面では好ましい。しかし、外殻部材部分14の幅が短くなると、バット1の製造面での弊害が発生する(たとえば、外殻部材13の作成や組み付け作業が複雑化する)。そのため、外殻部材部分14については製造面での弊害の発生を防ぐ観点から、下限を1mmとすることが好ましい。また、外殻部材14の端部にR面取り加工(たとえばR0.5程度の面取り加工)を施すことを考えた場合にも、上記のような外殻部材部分14の幅の下限値とすることが好ましい。一方、外殻部材部分14の幅が90mmを超えると、ボールの打撃時に外殻部材部分14がバット1の径方向に移動しにくくなる。この結果、バット1の特性が十分に発揮されない可能性がある。また、バット1の製造のし易さや、特性をより向上させるという観点から、外殻部材部分14の幅を10mm以上70mm以下とすることがより好ましい。
【0114】
また、バット1の延在方向における外殻部材13の幅を120mm以上350mm以下、より好ましくは150mm以上300mm以下としてもよい。上述のような数値範囲としたのは以下のような理由による。すなわち、軟式ボールの打撃時の変形を考えた場合、たとえば一般A号の軟式ボールでは、通常直径が72mmであるのに対して、打撃時には変形して幅が110mm以上に変形する。そのため、打球部としての外殻部材13の幅には上述した120mm以上が必要である。一方、外殻部材13の幅を350mm超えとした場合、バットの総質量および重心の位置を実用的な範囲に収めることが難しくなる。
【0115】
また、カバー部材23および補強部材24の材料としては、例えば、合成樹脂シート、または合成樹脂チューブを用いる事ができる。作業性、接着性を考慮した場合、合成樹脂シート又は合成樹脂チューブは厚さ0.1mm以上1.0mm以下の熱可塑性ポリウレタン、又はポリ塩化ビニル製のシートまたはチューブである事が望ましい。
【0116】
上記の様な数値範囲としたのは、厚みが0.1mm未満では上記カバー部材23または補強部材24の強度が不足し、耐久性を高める要因にならないためである。また、厚みが1.0mmを越えると、シートまたはチューブ自体の硬さが問題となることにより、外殻部材13の特性を損なうといった欠点が生じるためである。
【0117】
また、上記シートまたはチューブの材料としては、JIS A硬度で80以上100以下、引張強度が350kg/cm2以上500kg/cm2以下のものを使用する事が好ましい。ここで、上記材料のJIS A硬度が80未満の場合、シートまたはチューブ自体の強度が不足し、耐久性を高める要因にならない。また、上記材料のJIS A硬度が100を越えると、シートまたはチューブ自体が硬さを帯び、外殻部材13の特性を損なうといった欠点が生じる。また、引張強度に関しても、同様の事が言える。
【0118】
また、弾性体12の比重は0.15以上1.3以下、より好ましくは0.25以上0.7以下とすることができる。上記の様な数値範囲としたのは、以下のような理由による。すなわち、弾性体12の比重が0.15よりも小さいと、弾性体12の成形が困難になり、比重が1.3を越えるとバットの総質量および重心位置を実用範囲に収めることが困難になるからである。更に、弾性体12の成形性や反発特性を考慮した場合、当該比重は0.25以上0.7以下がより好ましい。
【0119】
また、弾性体12のJIS C硬度は5以上85以下、より好ましくは20以上80以下とすることができる。上記の様な数値範囲としたのは、以下のような理由による。すなわち、C硬度が5未満になると、弾性体12の成形が困難になり、当該C硬度が85を越えると、外殻部材13の特性を損なうといった欠点が生じる。更に、成形性、反発性を考慮した場合、弾性体12のJIS C硬度は25以上80以下がより好ましい。
【0120】
また、最大径がΦ70mm以下である野球用のバットについて、バット1の径方向における弾性体12の厚みとしては、上記JIS C硬度が5以上20以下である場合には、上記弾性体12の厚みは8mm以上19.2mm以下、より好ましくは10mm以上15mm以下、とすることができる。また、上記JIS C硬度が20超え50以下である場合には、上記弾性体12の厚みは6mm以上19.2mm以下、より好ましくは8mm以上15mm以下、とすることができる。また、上記JIS C硬度が50超え85以下である場合には、上記弾性体12の厚みは4mm以上19.2mm以下、より好ましくは6mm以上15mm以下、とすることができる。
【0121】
また、最大径がΦ57mm以下であるソフトボール用のバットの場合には、バット1の径方向における弾性体12の厚みを以下のように設定することが好ましい。具体的には、上記JIS C硬度が5以上20以下である場合には、当該厚みを8mm以上12.7mm以下、より好ましくは10mm以上12mm以下、とすることができる。また、上記JIS C硬度が20超え50以下である場合には、上記弾性体12の厚みは6mm以上12.7mm以下、より好ましくは8mm以上12mm以下、とすることができる。また、上記JIS C硬度が50超え85以下である場合には、上記弾性体12の厚みは4mm以上12.7mm以下、より好ましくは6mm以上12mm以下、とすることができる。なお、上述した弾性体12の特性は、本願発明の他の実施の形態における弾性体12にも適用できる。
【0122】
(実施の形態22)
図38を参照して、本発明によるバットの実施の形態22を説明する。
【0123】
図38に示したバット1は、基本的には図35および図36に示したバット1と同様の構成を備えるが、図36に示した補強部材24が配置されていない点が図35および図36に示したバット1とは異なっている。図38に示したバット1では、外殻部材13の内周面は弾性体12の外周面(弾性体12の外周側面に形成された凹部の底面)と接触した状態になっている。このような構成によっても、図35および図36に示したバット1と同様に、図4および図5に示したバットと同様の効果を得ることができる。さらに、図35および図36に示したバット1と同様に、カバー部材23を配置したことによる効果や弾性体12に外殻部材13を埋設した状態で配置することによる効果を得ることができる。さらに、弾性体12の材質を適宜選択する、あるいは外殻部材部分14の端部を面取り加工(たとえばR面取り加工やC面取り加工など)するといった対応により、図35および図36に示したバット1と同様の効果を得ることも可能である。
【0124】
(実施の形態23)
図39を参照して、本発明によるバットの実施の形態23を説明する。
【0125】
図39に示したバット1は、基本的には図35および図36に示したバット1と同様の構成を備えるが、図35および図36に示した固定部材20が配置されていない点が図35および図36に示したバット1とは異なっている。このような構成によっても、図35および図36に示したバット1による効果のうち、固定部材20を配置することによる効果以外の効果を得ることができる。また、このように固定部材20(図35参照)を配置しないことで、バット1の部品点数を削減し、バット1の製造コストを低減できる。
【0126】
(実施の形態24)
図40を参照して、本発明によるバットの実施の形態24を説明する。
【0127】
図40に示したバット1は、基本的には図35および図36に示したバット1と同様の構成を備えるが、外殻部材部分14のサイズが全て同じではなく、サイズの異なる外殻部材部分14により外殻部材13が構成されている点が図35および図36に示したバット1と異なる。このような構成によっても、図35および図36に示したバット1による効果と同様の効果を得ることができる。また、図40に示すように、打球部の中央部に位置する外殻部材部分14のサイズ(具体的にはバット1の延在方向における幅)を、打球部の端部に位置する外殻部材部分14のサイズより大きくすることで、打球部中央での外殻部材部分14の境界部の数を少なくできる。このため、ボールの打撃時に、当該境界部において外殻部材部分14の端部が弾性体12に食い込んで弾性体12が破損する可能性を低減できる。一方、図40に示した構成とは逆に、打球部の中央部に位置する外殻部材部分14のサイズを、打球部の端部に位置する外殻部材部分14のサイズより小さくすれば、打球部の中央部(つまり、ボールの打撃時に最もボールと接触する可能性の高い領域)における弾性体12へ打球時の衝撃を伝えやすくできるので、打球時のボールの変形をより効果的に抑制できる。この結果、打撃時のボールの変形によるエネルギーロスを低減し、バット1の反発特性を向上させることができる。
【0128】
(実施の形態25)
図41を参照して、本発明によるバットの実施の形態25を説明する。
【0129】
図41に示したバット1は、基本的には図35および図36に示したバット1と同様の構成を備えるが、カバー部材23の構成が図35および図36に示したバット1とは異なっている。具体的には、図41に示したバット1では、カバー部材23が外殻部材13の外周表面を覆うように配置されているが、バット1の延在方向におけるカバー部材23の端部の外側では弾性体12の表面が露出している。このような構成によっても、カバー部材23により外殻部材13を保護することができるので、図35および図36に示したバット1と同様の効果を得ることができる。なお、カバー部材23と弾性体12とは、その接触部(外殻部材13の両端部外側にてカバー部材23と弾性体12とが接触している領域)にて互いに固定されていてもよい。また、カバー部材23と外殻部材13とは互いに固定されていてもよいし、カバー部材23と外殻部材13とは固定されていない状態(互いに独立して弾性変形可能となっている状態)であってもよい。
【0130】
(実施の形態26)
図42を参照して、本発明によるバットの実施の形態26を説明する。
【0131】
図42に示したバット1は、基本的には図35および図36に示したバット1と同様の構成を備えるが、カバー部材23の構成が図35および図36に示したバット1とは異なっている。具体的には、図42に示したバット1では、カバー部材23が、隣接する外殻部材部分14の間の境界部上に位置する領域、および外殻部材13の両端部上に位置する領域に、互いに間隔を隔てて複数個配置されている。また、異なる観点から言えば、図42に示したバット1では、カバー部材23と補強部材24とにより、外殻部材部分14の端部が挟まれた状態になっている。このような構成によっても、カバー部材23によって外殻部材部分14の端部(上記境界部や外殻部材13の両端部)を保護することができる。
【0132】
なお、上述した図37〜39、41、42に示したバット1において、図40に示すように複数種類のサイズの外殻部材部分14によって外殻部材13を構成してもよい。また、図37〜40に示したバット1において、図41または図42に示したような構成のカバー部材23を適用してもよい。
【0133】
(実施の形態27)
図43〜図45を参照して、本発明によるバットの実施の形態27を説明する。
【0134】
図43〜図45に示したバット1は、基本的には図35および図36に示したバット1と同様の構成を備えるが、外殻部材13を構成する外殻部材部分14の形状が異なっている。すなわち、図43および図44に示すように、バット1においては、外殻部材部分14は、図6〜図8に示したバット1と同様に、バット1の中心軸の延在方向に沿って延びる短冊状の形状を有している。異なる観点からいえば、外殻部材13は、バット1の延在方向に沿って延びる、複数の外殻部材部分14がバット1の外周に沿って並んだ状態となっている。これらの外殻部材部分14はそれぞれ弾性体12との接触部分の全体もしくは一部が接着剤などの接続部材により弾性体12と接続固定されている。また、外殻部材部分14のカバー部材23との接触部分の全体もしくは一部も、接着剤などの接続部材によりカバー部材23と固定されている。このような構成のバット1によっても、図35および図36に示したバット1と同様の効果を得ることができる。なお、外殻部材部分14と弾性体12の表面との固定方法、および外殻部材部分14とカバー部材23との固定方法としては、上述した接着剤などの固定部材を用いる方法以外の任意の方法(たとえば外殻部材部分14と弾性体12とを融着させる、などの方法)を用いることができる。
【0135】
また、図45からわかるように、隣接する外殻部材部分14の境界部(バット1の延在方向に沿って延びる境界部)の内周側には、補強部材24が配置されている。補強部材24は、上記境界部に沿ってバット1の延在方向に延びるような帯状の形状を有している。なお、上記境界部に沿って、所定の間隔を隔てて複数個の補強部材24を配置してもよい。
【0136】
図43および図44から分かるように、バット1の延在方向において、外殻部材13の幅は弾性体12の幅より狭くなっている。そのため、バット1の延在方向における外殻部材13の端部の外側では、弾性体12とカバー部材23とが接触している。カバー部材23と弾性体12とは上記外殻部材13の端部の外側にて互いに固定されていてもよい。また、カバー部材23と外殻部材13とは互いに固定されていてもよいが、互いに独立して弾性変形可能となっていてもよい。また、外殻部材13と弾性体12とは互いに固定されていてもよいが、互いに独立して弾性変形可能であってもよい。
【0137】
(実施の形態28)
図46を参照して、本発明によるバットの実施の形態28を説明する。
【0138】
図46に示したバット1は、基本的には図43〜図45に示したバット1と同様の構成を備えるが、外殻部材部分14のサイズが全て同じではなく、サイズの異なる外殻部材部分14により外殻部材13が構成されている点が図43〜図45に示したバット1と異なる。図46に示したバット1では、バット1の側面に沿った円周方向において幅の広い外殻部材部分14と幅の狭い外殻部材部分14とが交互に配置されている。このような構成によっても、図43〜図45に示したバット1による効果と同様の効果を得ることができる。なお、外殻部材部分14については、図46に示すように2種類のサイズ(幅)のものを用いてもよいが、3種類以上の複数種類のサイズの外殻部材部分14を用いてもよい。
【0139】
(実施の形態29)
図47を参照して、本発明によるバットの実施の形態29を説明する。
【0140】
図47に示したバット1は、基本的には図43〜図45に示したバット1と同様の構成を備えるが、カバー部材23の構成が図43〜図45に示したバット1とは異なっている。具体的には、図47に示したバット1では、カバー部材23が外殻部材13の外周表面を覆うように配置されているが、バット1の延在方向におけるカバー部材23の端部の外側では弾性体12の表面が露出している。このような構成によっても、カバー部材23により外殻部材13を保護することができるので、図43〜図45に示したバット1と同様の効果を得ることができる。なお、図41に示したバット1と同様に、カバー部材23と弾性体12とは、その接触部(外殻部材13の両端部外側にてカバー部材23と弾性体12とが接触している領域)にて互いに固定されていてもよい。また、カバー部材23と外殻部材13とは互いに固定されていてもよいし、カバー部材23と外殻部材13とは固定されていない状態(互いに独立して弾性変形可能となっている状態)であってもよい。
【0141】
(実施の形態30)
図48を参照して、本発明によるバットの実施の形態30を説明する。
【0142】
図48に示したバット1は、基本的には図43〜図45に示したバット1と同様の構成を備えるが、カバー部材23の構成が図43〜図45に示したバット1とは異なっている。具体的には、図48に示したバット1では、カバー部材23が、隣接する外殻部材部分14の間の境界部上に位置する領域に、互いに間隔を隔てて複数個配置されている。それぞれのカバー部材23は、上記境界部に沿って延びる短冊状の形状を有する。また、異なる観点から言えば、図48に示したバット1では、カバー部材23と補強部材24とにより、外殻部材部分14の端部が挟まれた状態になっている。このような構成によっても、カバー部材23によって外殻部材部分14の端部を保護することができる。
【0143】
なお、上述した図43〜45、47、48に示したバット1において、図46に示すように複数種類のサイズの外殻部材部分14によって外殻部材13を構成してもよい。また、図43〜46に示したバット1において、図47または図48に示したような構成のカバー部材23を適用してもよい。
【0144】
(実施の形態31)
図49および図50を参照して、本発明によるバットの実施の形態31を説明する。
【0145】
図49および図50に示したバット1は、基本的には図35および図36に示したバット1と同様の構成を備えるが、外殻部材13を構成する外殻部材部分14の形状が異なっている。すなわち、図49および図45に示したバット1においては、外殻部材部分14は、図9および図10に示したバット1と同様に外殻部材13がバット1の延在方向に対して斜めに(螺旋状に)分割されることにより外殻部材部分14が形成されている。つまり、外殻部材部分14は螺旋状に延びるような外形を有している。このような形状のバット1によっても、図35および図36に示したバットと同様の効果を得ることができる。また、このような螺旋状の外殻部材部分14を用いることで、バット1の中心軸に沿った方向および当該中心軸に対して垂直な方向のいずれの方向における曲げ応力に対しても、外殻部材部分14をバット1の補強部材として利用できる。
【0146】
これらの外殻部材部分14はそれぞれ弾性体12との接触部分の全体もしくは一部が接着剤などの接続部材により弾性体12と接続固定されている。また、外殻部材部分14のカバー部材23との接触部分の全体もしくは一部も、接着剤などの接続部材によりカバー部材23と固定されている。なお、外殻部材部分14と弾性体12の表面との固定方法、および外殻部材部分14とカバー部材23との固定方法としては、上述した接着剤などの固定部材を用いる方法以外の任意の方法(たとえば外殻部材部分14と弾性体12とを融着させる、などの方法)を用いることができる。
【0147】
また、図50からわかるように、隣接する外殻部材部分14の境界部(バット1の延在方向に対して傾斜した方向に延びる境界部)の内周側には、補強部材24が配置されている。補強部材24は、上記境界部に沿ってバット1の延在方向に対して傾斜する方向に延びるような螺旋状になった帯状の形状を有している。なお、上記境界部に沿って、所定の間隔を隔てて複数個の補強部材24を配置してもよい。
【0148】
図50から分かるように、バット1の延在方向において、外殻部材13の幅は弾性体12の幅より狭くなっている。そのため、バット1の延在方向における外殻部材13の端部の外側では、弾性体12とカバー部材23とが接触している。カバー部材23と弾性体12とは上記外殻部材13の端部の外側にて互いに固定されていてもよい。また、カバー部材23と外殻部材13とは互いに固定されていてもよいが、互いに独立して弾性変形可能となっていてもよい。また、外殻部材13と弾性体12とは互いに固定されていてもよいが、互いに独立して弾性変形可能であってもよい。
【0149】
(実施の形態32)
図51を参照して、本発明によるバットの実施の形態32を説明する。
【0150】
図51に示したバット1は、基本的には図49および図50に示したバット1と同様の構成を備えるが、外殻部材部分14のサイズが全て同じではなく、サイズの異なる外殻部材部分14により外殻部材13が構成されている点が図49および図50に示したバット1と異なる。図51に示したバット1では、バット1の側面に沿った円周方向において幅の広い外殻部材部分14と幅の狭い外殻部材部分14とが交互に(螺旋状に)配置されている。このような構成によっても、図49および図50に示したバット1による効果と同様の効果を得ることができる。なお、外殻部材部分14については、図51に示すように2種類のサイズ(幅)のものを用いてもよいが、3種類以上の複数種類のサイズの外殻部材部分14を用いてもよい。
【0151】
(実施の形態33)
図52を参照して、本発明によるバットの実施の形態33を説明する。
【0152】
図52に示したバット1は、基本的には図49および図50に示したバット1と同様の構成を備えるが、カバー部材23の構成が図49および図50に示したバット1とは異なっている。具体的には、図52に示したバット1では、カバー部材23が外殻部材13の外周表面を覆うように配置されているが、バット1の延在方向におけるカバー部材23の端部の外側では弾性体12の表面が露出している。このような構成によっても、カバー部材23により外殻部材13を保護することができるので、図49および図50に示したバット1と同様の効果を得ることができる。なお、図41に示したバット1と同様に、カバー部材23と弾性体12とは、その接触部(外殻部材13の両端部外側にてカバー部材23と弾性体12とが接触している領域)にて互いに固定されていてもよい。また、カバー部材23と外殻部材13とは互いに固定されていてもよいし、カバー部材23と外殻部材13とは固定されていない状態(互いに独立して弾性変形可能となっている状態)であってもよい。
【0153】
(実施の形態34)
図53を参照して、本発明によるバットの実施の形態34を説明する。
【0154】
図53に示したバット1は、基本的には図49および図50に示したバット1と同様の構成を備えるが、カバー部材23の構成が図49および図50に示したバット1とは異なっている。具体的には、図53に示したバット1では、カバー部材23が、隣接する外殻部材部分14の間の境界部上に位置する領域、および外殻部材13の両端部上に位置する領域に、互いに間隔を隔てて複数個配置されている。また、異なる観点から言えば、図53に示したバット1では、カバー部材23と補強部材24とにより、外殻部材部分14の端部が挟まれた状態になっている。このような構成によっても、カバー部材23によって外殻部材部分14の端部(上記境界部や外殻部材13の両端部)を保護することができる。
【0155】
なお、上述した図49、50、52、53に示したバット1において、図51に示すように複数種類のサイズの外殻部材部分14によって外殻部材13を構成してもよい。また、図49〜図51に示したバット1において、図52または図53に示したような構成のカバー部材23を適用してもよい。
【0156】
(実施の形態35)
図54を参照して、本発明によるバットの実施の形態4を説明する。
【0157】
図54に示したバット1は、基本的には図35および図36に示したバット1と同様の構造を備えるが、外殻部材部分14の形状が異なっている。すなわち、図54に示したバットにおける外殻部材部分14は、図11〜図13に示したバット1と同様に、外殻部材13をバット1の中心軸の延在方向および当該中心軸に対して垂直な方向の2方向で分割したことにより得られる部材であって、その平面構造がほぼ四角形状となっている。これらの外殻部材部分14は、内周側に位置する弾性体12の表面と接続固定されていてもよい。あるいは、これらの外殻部材部分14はカバー部材23と固定されていてもよい。このような構造のバット1によっても、図35および図36に示したバット1と同様の効果を得ることができる。また、外殻部材部分14のサイズを適宜選択することにより、バット1によってボールを打撃したときに、当該打撃による衝撃を弾性体12へと確実に伝えることができる。その結果、ボールの変形を抑制するとともに、弾性体12の反発力を利用してよりボールの飛距離を伸ばすことができる。
【0158】
また、図54では直接示されてはいないが、隣接する外殻部材部分14の間の境界部の内周側には、図36に示したバット1と同様に補強部材24が配置されている。補強部材24は、上記境界部に沿って帯状に形成されていてもよいし、当該境界部に沿って所定の間隔を隔てて複数個配置されていてもよい。
【0159】
(実施の形態36)
図55を参照して、本発明によるバットの実施の形態24を説明する。
【0160】
図55に示したバット1は、基本的には図54に示したバット1と同様の構成を備えるが、外殻部材部分14のサイズが全て同じではなく、サイズの異なる外殻部材部分14により外殻部材13が構成されている点が図54に示したバット1と異なる。このような構成によっても、図54に示したバット1による効果と同様の効果を得ることができる。また、図40に示すように、打球部の中央部に位置する外殻部材部分14の面積を、打球部の端部に位置する外殻部材部分14の面積より大きくすることで、打球部中央での外殻部材部分14の境界部の数を少なくできる。このため、ボールの打撃時に、当該境界部において外殻部材部分14の端部が弾性体12に食い込んで弾性体12が破損する可能性を低減できる。一方、図55に示した構成とは逆に、打球部の中央部に位置する外殻部材部分14の面積を、打球部の端部に位置する外殻部材部分14の面積より小さくすれば、打球部の中央部(つまり、ボールの打撃時に最もボールと接触する可能性の高い領域)における弾性体12へ打球時の衝撃をより伝えやすくできるので、打球時のボールの変形をより効果的に抑制できる。この結果、打撃時のボールの変形によるエネルギーロスを低減し、バット1の反発特性を向上させることができる。
【0161】
なお、上述した補強部材24としては、すでに述べたようにTPUシート(熱可塑性ポリウレタンシート)を用いることができる。また、補強部材24としては、外殻部材部分14の境界部の内周側に配置されている構成以外にも、当該内周側から隣接する外殻部材部分14の端面の間の空隙にまで延びるような延在部を有する構成を採用してもよい。さらに、補強部材24として、当該延在部が上記外殻部材部分14の端部の外周側にまで延びる外周側フランジ部を含んでいてもよい。
【0162】
また、上述した各実施の形態では、外殻部材部分14の端部の外周面上に弾性体12が回り込んでいてもよい。たとえば、図36に示したバット1において、バット1の延在方向における外殻部材部分14の端部の外周面上にまで、弾性体12の一部が延在していてもよい。この場合、外殻部材部分14の端部を弾性体12の一部が把持した状態となるため、外殻部材部分14と弾性体12との間の接続強度を高めることができる。また、バット1の延在方向において隣接する2つの外殻部材部分14の接続部に、弾性体12の一部が延在していてもよい。また、当該接続部から、外殻部材部分14の端部の外周面上に、弾性体12の一部がさらに延在していてもよい。この場合も、外殻部材部分14と弾性体12との間の接続強度を高めることができる。
【0163】
ここで、上述した実施の形態と一部重複する部分もあるが、本発明の特徴的な構成を列挙する。
【0164】
この発明に従った野球用またはソフトボール用バットであるバット1は、打球部3、テーパー部4およびグリップ部5を含む野球用またはソフトボール用バットであって、打球部3は、芯材としての打球部芯材11と、弾性体12と、外殻部材13とを供える。弾性体12は、打球部芯材11の外周上に配置される。外殻部材13は、弾性体12の外周上に配置される。外殻部材13は、互いに独立して弾性変形可能な複数の部分である外殻部材部分14を含む。
【0165】
このようにすれば、外殻部材13が独立して弾性変形可能な複数の外殻部材部分14により構成されるので、打球時にボールが接触した外殻部材13の外殻部材部分14にボールからの衝撃が伝わる一方、当該外殻部材部分14に隣接する他の外殻部材部分14には直接的には当該衝撃が伝わらない。そのため、ボールが接触した当該外殻部材部分14および当該部分下に位置する弾性体12を容易に弾性変形させることができる。この結果、打球時のボールの変形を抑制することでエネルギーロスを低減し、結果的にバット1の反発特性を向上させることができる。
【0166】
また、従来のように外殻部材13が一体のパイプ状部材である場合には、ボールが接触した部分に加えられる衝撃荷重をパイプ状部材の全体で分散して受けることになる。そのため、ボールの変形を抑制することができる程度に十分なパイプ状部材の変形を実現するためには当該パイプ状部材の剛性を極めて低くする(たとえばパイプ状部材の厚みを極薄くする)ことが必要となる。一方、本発明によるバット1のように外殻部材13を複数の外殻部材部分14により構成すれば、打球時のボールからの衝撃荷重を、当該ボールが接触した個々の外殻部材部分14で受けることになるので、外殻部材13を構成する複数の外殻部材部分14の剛性をある程度高くする(たとえば十分な耐久性が確保できる程度に複数の外殻部材部分14の厚みを厚くする)ことが可能になる。このため、バット1の耐久性を維持しつつ、反発特性を向上させることができる。
【0167】
上記バット1において、実施の形態1〜16に示すように、複数の外殻部材部分14は互いに分離独立した部材であってもよい。この場合、外殻部材13において打球時にボールの接触した外殻部材部分14だけを容易に弾性変形させることができる。そのため、打球時のボールの変形を抑制することでエネルギーロスを低減し、結果的にバットの反発特性を向上させることができる。
【0168】
また、分離独立した複数の外殻部材部分14によって外殻部材13を構成するので、材質や特性などを複数の外殻部材部分14ごとに変更することが可能になる。このため、バット1の設計の自由度を大きくすることができる。
【0169】
上記バット1において、複数の外殻部材部分14は、互いに対向する部分(境界部)のうちの一部が接続されていてもよい。この場合、複数の外殻部材部分の境界部の一部が互いに接続されることで、外殻部材13として複数の外殻部材部分14の互いに接続された群を(好ましくは全体を)1つの部材として取り扱うことができる。このため、バット1の製造時に、複数の外殻部材部分14が完全に独立した別部材となっている場合より、外殻部材13のハンドリングが容易になる。また、たとえば外殻部材13となるべきパイプ状の素材を準備し、当該素材において、複数の外殻部材部分14を区画する複数のスリット42を形成することで、複数の外殻部材部分14からなる外殻部材13を容易に形成することができる。
【0170】
上記バット1は、複数の外殻部材部分14の間に配置されるスペーサー31をさらに備えていてもよい。この場合、打球時に複数の外殻部材部分14が変形、移動することで、複数の外殻部材部分14のうち隣接する外殻部材部分14同士が直接接触し、破損するといった問題の発生を抑制できる。
【0171】
上記バット1において、外殻部材13と弾性体12とは固着されていてもよい。この場合、打球時におけるボールからの衝撃を外殻部材13から弾性体12へと確実に伝えることができる。このため、弾性体12が変形することによりボールの変形を抑制し、結果的にエネルギーロスを低減してバット1の反発特性を向上させるという効果を確実に得ることができる。
【0172】
上記バット1において、外殻部材13は弾性体12に対して相対位置を変更できるように設置されていてもよい(別の観点から言えば独立して変形可能(移動可能)であってもよい)。この場合、バット1の打球部3において打球部芯材11の周囲に弾性体12が配置されたバット部品を用意し、当該バット部品の弾性体12の外周上に外殻部材13となる複数の外殻部材部分14を後から配置する、さらに複数の外殻部材部分14の一部が破損した場合など、当該破損した外殻部材部分14のみを交換する、といったことが可能になる。
【0173】
上記バット1において、複数の外殻部材部分14の間の境界部は、実施の形態3、7、11に示したバット1のように、打球部3の中心軸(バット1の中心軸)に対して傾斜して設けられていてもよい。この場合、外殻部材13を構成する複数の外殻部材部分14が打球部3の中心軸に対して斜めに交差するように延びて配置されることになる。このため、打球部3の中心軸に対して垂直な方向や当該中心軸に沿った方向にバット1を曲げるような応力が加わった場合のいずれにおいても、外殻部材13をバット1の補強部材として利用することができる。このため、バット1の強度を向上させることができる。
【0174】
上記バット1において、弾性体12は、実施の形態14に示したバット1のように、複数の弾性体部分としての弾性体12に分割されていてもよい。この場合、打球時にボールが接触した外殻部材部分14下に位置する弾性体部分が主に変形することになるので、当該弾性体12の材質を同じものとすると、弾性体12が打球部3全体において一体の部材として形成されている場合よりも当該弾性体部分の変形を大きくすることができる。このため、弾性体12の材質を変更することなく結果的にバット1の反発特性を向上させることができる。
【0175】
上記バット1において、弾性体12には中空部16が形成されていてもよい。この場合、弾性体12の材質を変更することなく、当該弾性体12をより変形しやすくできる。このため、バット1の反発特性をより向上させることができる。
【0176】
上記バット1は、図4に示すように、外殻部材13から見てテーパー部4側に配置され、テーパー部4側への外殻部材13の移動を規制する固定部材20をさらに備えていてもよい。この場合、当該固定部材20により外殻部材13がテーパー部4側へ移動することを確実に防止できる。また、打球部芯材11を含むバット本体において打球部3のテーパー部4側端部の外径を、外殻部材13の内径より小さくしておけば、当該バット本体に後から外殻部材13をテーパー部4側から設置することができる。そして、固定部材20をバット本体に設置することで、外殻部材13を容易に固定することができる。さらに、固定部材20をバット本体から着脱自在に構成しておけば、バット本体から外殻部材13を交換する作業を容易に行なうことができる。また、外殻部材13をバット本体から着脱可能にしておけば、バット本体を構成する弾性体12を露出させることができるので、当該弾性体12を交換、補修する作業を容易に行なうことができる。なお、ここでバット本体とは、少なくとも打球部芯材11、弾性体12を含むバットの構成部材であり、外殻部材13、あるいは外殻部材13と固定部材20とを追加することでバット1を構成することができる構成部材を意味する。
【0177】
上記バット1は、外殻部材13を覆うカバー部材23をさらに備えていてもよい。この場合、カバー部材23によって、外殻部材13の保護、また外殻部材13端部からの水や砂等の浸入を防ぐ事ができるので、バット1の耐久性を向上させることができる。
【0178】
上記バット1は、複数の外殻部材部分14の間の境界部の内周側において、外殻部材13と弾性体12との間に配置される補強部材24をさらに備えていてもよい。この場合、外殻部材部分14が弾性変形したときに外殻部材部分14の端部が弾性体12にめり込み弾性体12が破損するといった可能性を低減できる。
【0179】
なお、上述した外殻部材部分14の構成材料としては、任意の材料を用いることができる。たとえば、外殻部材部分14の構成材料として、金属(たとえばアルミニウム、鉄、チタン、マグネシウム、ステンレス鋼など)、あるいは繊維強化プラスチック(FRP)、木材、樹脂(たとえばTPU(熱可塑性ウレタン樹脂)、ナイロン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ABS樹脂、塩化ビニル)などを用いることができる。また、外殻部材部分14の構造としては、単純な中実体(板状体)であってもよいが、他の構造(たとえばハニカム構造など)を採用してもよい。
【0180】
また、弾性体12としては、マトリックスとしてゴム、樹脂などを含有する弾性体が好ましく用いられる。ゴムとしては、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエン−ゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、イソプレンゴム(IR)、エチレン−プロピレン−ゴム(EPR)、エチレン−プロピレン−ジエン3元共重合体(EPDM)ゴム、シリコンゴム(SiR)または天然ゴム(NR)などの架橋した架橋ゴムが挙げられる。樹脂としては、エーテル系ウレタン樹脂、エステル系ウレタン樹脂などのウレタン系樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)樹脂、スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)樹脂などのスチレン系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂などのオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂またはアイオノマー樹脂などが挙げられる。エラストマーとしては、エーテル系ウレタンエラストマー、エステル系ウレタンエラストマーなどのウレタン系エラストマー、ポリスチレンエラストマー、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)エラストマー、スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)エラストマーなどのスチレン系エラストマー、ポリエチレンエラストマー、ポリプロピレンエラストマーなどのオレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマーまたはポリアミド系エラストマーなどが挙げられる。
【0181】
また、打球部芯材11の材料としては、金属(たとえばアルミニウムやステンレス鋼など)、FRP、木材など、任意の材料を用いることができる。
【0182】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0183】
この発明は、打球部に弾性体を適用した野球用またはソフトボール用バットに適用することで、特に顕著な効果が得られる。
【符号の説明】
【0184】
1 バット、2 先端部、3 打球部、4 テーパー部、5 グリップ部、11 打球部芯材、12,12a,12b 弾性体、13 外殻部材、14,14a,14b 外殻部材部分、15 凹部、16 中空部、20 固定部材、21 固定部材保持部、23 カバー部材、24 補強部材、31 スペーサー、35 表面、41 接続部、42 スリット。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
打球部、テーパー部およびグリップ部を含む野球用またはソフトボール用バットであって、
前記打球部は、
芯材と、
前記芯材の外周上に配置された弾性体と、
前記弾性体の外周上に配置された外殻部材とを備え、
前記外殻部材は、互いに独立して弾性変形可能な複数の部分を含む、野球用またはソフトボール用バット。
【請求項2】
前記複数の部分は互いに分離独立した部材である、請求項1に記載の野球用またはソフトボール用バット。
【請求項3】
前記複数の部分は、互いに対向する部分のうちの一部が接続されている、請求項1に記載の野球用またはソフトボール用バット。
【請求項4】
前記複数の部分の間に配置されるスペーサーをさらに備える、請求項1〜3のいずれか1項に記載の野球用またはソフトボール用バット。
【請求項5】
前記外殻部材と前記弾性体とは固着されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の野球用またはソフトボール用バット。
【請求項6】
前記外殻部材は前記弾性体に対して相対位置を変更できるように設置されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の野球用又はソフトボール用バット。
【請求項7】
前記複数の部分の間の境界部は、前記打球部の中心軸に対して傾斜して設けられている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の野球用またはソフトボール用バット。
【請求項8】
前記弾性体は、複数の弾性体部分に分割されている、請求項1〜7のいずれか1項に記載の野球用またはソフトボール用バット。
【請求項9】
前記弾性体には中空部が形成されている、請求項1〜8のいずれか1項に記載の野球用またはソフトボール用バット。
【請求項10】
前記外殻部材から見て前記テーパー部側に配置され、前記テーパー部側への前記外殻部材の移動を規制する固定部材をさらに備える、請求項1〜9のいずれか1項に記載の野球用またはソフトボール用バット。
【請求項11】
前記外殻部材を覆うカバー部材をさらに備える、請求項1〜10のいずれか1項に記載の野球用またはソフトボール用バット。
【請求項12】
前記複数の部分の間の境界部の内周側において、前記外殻部材と前記弾性体との間に配置される補強部材をさらに備える、請求項1〜11のいずれか1項に記載の野球用またはソフトボール用バット。
【請求項1】
打球部、テーパー部およびグリップ部を含む野球用またはソフトボール用バットであって、
前記打球部は、
芯材と、
前記芯材の外周上に配置された弾性体と、
前記弾性体の外周上に配置された外殻部材とを備え、
前記外殻部材は、互いに独立して弾性変形可能な複数の部分を含む、野球用またはソフトボール用バット。
【請求項2】
前記複数の部分は互いに分離独立した部材である、請求項1に記載の野球用またはソフトボール用バット。
【請求項3】
前記複数の部分は、互いに対向する部分のうちの一部が接続されている、請求項1に記載の野球用またはソフトボール用バット。
【請求項4】
前記複数の部分の間に配置されるスペーサーをさらに備える、請求項1〜3のいずれか1項に記載の野球用またはソフトボール用バット。
【請求項5】
前記外殻部材と前記弾性体とは固着されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の野球用またはソフトボール用バット。
【請求項6】
前記外殻部材は前記弾性体に対して相対位置を変更できるように設置されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の野球用又はソフトボール用バット。
【請求項7】
前記複数の部分の間の境界部は、前記打球部の中心軸に対して傾斜して設けられている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の野球用またはソフトボール用バット。
【請求項8】
前記弾性体は、複数の弾性体部分に分割されている、請求項1〜7のいずれか1項に記載の野球用またはソフトボール用バット。
【請求項9】
前記弾性体には中空部が形成されている、請求項1〜8のいずれか1項に記載の野球用またはソフトボール用バット。
【請求項10】
前記外殻部材から見て前記テーパー部側に配置され、前記テーパー部側への前記外殻部材の移動を規制する固定部材をさらに備える、請求項1〜9のいずれか1項に記載の野球用またはソフトボール用バット。
【請求項11】
前記外殻部材を覆うカバー部材をさらに備える、請求項1〜10のいずれか1項に記載の野球用またはソフトボール用バット。
【請求項12】
前記複数の部分の間の境界部の内周側において、前記外殻部材と前記弾性体との間に配置される補強部材をさらに備える、請求項1〜11のいずれか1項に記載の野球用またはソフトボール用バット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【図54】
【図55】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【図54】
【図55】
【公開番号】特開2010−284520(P2010−284520A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−113204(P2010−113204)
【出願日】平成22年5月17日(2010.5.17)
【出願人】(000005935)美津濃株式会社 (239)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月17日(2010.5.17)
【出願人】(000005935)美津濃株式会社 (239)
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