説明

金型の冷却構造

【課題】 冷却穴内を流通する冷媒が冷却穴の内壁面にできるだけ多く接触すると同時に、冷却穴の内壁面に接触しながら流通する冷媒の流速を部分的に速くすることにより、当該冷却穴周辺における金型からの奪取熱量に部分的に差を付けられるようにし、もって冷却が必要な部分を選択的に冷却することが可能であり、しかも、その構造がきわめて簡単であり且つ既存の金型構造及び設備に何等の変更を加える必要もない安価な金型の冷却構造を提供すること。
【解決手段】 金型の内部に設けられた冷却穴C内に流動性を有する冷媒を流通させることにより当該冷却穴周辺部分を冷却する金型の冷却構造であって、冷却穴C内に、その外周縁が当該冷却穴の内壁面C’と近接するようにガイド板3を設置せしめ、冷却穴C内を流通する冷媒の全部又は一部を当該冷却穴の内壁面C’とガイド板3の外周縁3aとの間に流通させるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイカスト鋳造等に用いられる金型の冷却構造に関し、更に詳しくは、金型の内部に設けられた冷却穴内に流動性を有する冷媒を流通させることにより当該冷却室周辺部分を冷却する金型の冷却構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ダイカスト鋳造等に用いられる金型を冷却する場合、一般的に、冷却水の往路と復路を備えた二重パイプ構造からなる金型冷却パイプを金型冷却穴に装着し、金型冷却パイプから冷却水を冷却穴内に供給することにより冷却穴の周辺部分を冷却している(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
しかし、従来の金型冷却パイプを用いたものでは、金型の冷却穴内に流入した冷却水の多くは冷却穴の内壁に直接触れることがなく、従って冷却穴内で十分な熱交換がなされないまま冷却水が金型冷却穴から排出されてしまい、供給される冷却水の量の割には金型の冷却効率が悪かった。この傾向は、冷却穴内部の容積が大きいほど顕著となる。
【0004】
また、鋳抜きピンのように内径の割に奥行きのある冷却穴に上記した冷却パイプを装着して冷却しようとすると、鋳抜きピンの先端部分は良く冷えるが、基部に近くなるほど冷却不足をきたし、焼付きを起こしやすかった。特に、図1に例示したごとき先端部分と基部との間に外径が異なる段部(肩部)がある場合や製品鋳抜き部位の肉厚が厚くなる場合に、当該段部(肩部)や肉厚部位に焼付きが生じやすかった。
【0005】
加えて、1組の金型には製品形状に応じて内径及び深さの異なる大小さまざまな大きさの冷却穴が多数穿設され、各冷却穴(冷却パイプ)には多くの場合1つ(場合によって数本)の冷却水マニホールドからホースを介して冷却水を分配供給している。その為に、冷却水は相対的に内径の細い冷却穴よりも内径の大きな冷却穴に流れ易くなるが、冷却穴が大きくなるにつれて当該冷却穴内に流入した冷却水の多くが冷却穴の内壁に直接触れることなく無駄に排出される傾向があるので、製品肉厚部付近の鋳抜きピンに焼付きが生じ易い。
【0006】
【特許文献1】特開2004−298921号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この種の冷却構造では、金型に形成された冷却穴内に供給された冷媒に熱を奪われることにより当該冷却穴の周辺部分が冷却されるので、冷媒は冷却室内に滞留するより流通させた方が良く、しかも冷媒を冷却穴の内壁面にできるだけ多く接触させながら速い流速で流通させることが好ましい。そうすれば、金型から熱を奪った冷媒の入れ替わりが速くなることで金型(の冷却室周辺)からの奪取熱量が多くなるので金型との熱交換率が向上し、その分金型(の冷却室周辺)の冷却効果を高めることが出来るようになる。
【0008】
本発明はこの様な知見に基づいてなされたものであり、その目的とするところは、冷却穴内を流通する冷媒が冷却穴の内壁面にできるだけ多く接触すると同時に、冷却穴の内壁面に接触しながら流通する冷媒の流速を部分的に速くすることにより、当該冷却穴周辺における金型からの奪取熱量に部分的に差を付けられるようにし、もって、内径が小さい細長い冷却穴でも或いは内径の大きな冷却穴でもその周辺部分において冷却が必要な部分を選択的に冷却することが可能であり、しかも、その構造がきわめて簡単であり且つ既存の金型構造及び設備に何等の変更を加える必要もない安価な金型の冷却構造を提供せんとするものである。
ちなみに、本明細書で流動性を有する冷媒とは、金型の冷却に通常使用されている冷却水や冷却オイルなどを言う。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成する本発明に係る金型の冷却構造は、金型の内部に設けられた冷却穴内に流動性を有する冷媒を流通させることにより当該冷却穴周辺部分を冷却する金型の冷却構造であって、前記冷却穴内にガイド板を、その外周縁が当該冷却穴の内壁面と近接するように当該冷却穴の軸(深さ)方向に対して直交するように設置せしめ、冷却穴内を流通する冷媒の全部又は一部を当該冷却穴の内壁面と前記ガイド板の外周縁との間に流通させることを特徴としたものである(請求項1)。
【0010】
係る本発明の金型冷却構造は、冷却穴内で熱交換された冷媒が再び供給側の方向へ戻るいわゆる往復式の流通形態だけでなく、冷媒の供給側から一方向に流れる一通式の流通形態のものにも適用し得ることは容易に理解されるだろう。
また、本発明に係る金型冷却構造は、金型のキャビティを構成するすべての部分に適用可能であるが、金型に一体的に組み込まれる鋳抜きピンに適用すると最も効果的である。
【0011】
本発明に係る金型の冷却構造では、金型冷却穴の内壁面と前記ガイド板の外周縁との間を流通する冷媒により前記ガイド板を配設した冷却穴周辺部分の金型が冷却されるので、前記ガイド板は、冷却したい部分をメインにして配置される。従って、前記ガイド板は冷却穴の大きさや形状に応じて1枚のみ用いる場合もあるし、前記冷却穴内を流通する冷媒の流れる方向に沿って適宜間隔をおいて複数枚設置される場合もある(請求項2)。
【0012】
また、前記ガイド板を冷却穴内に、その外周縁が当該冷却穴の内壁面と近接するように設置する場合に、当該ガイド板を、中空管で形成された支持パイプに串刺し状に取り付け(請求項3)、その支持パイプを前記冷却穴内に配設された冷媒供給管の外周に取り外し自在もしくは固定状に嵌挿装着する(請求項4)か、或いは、支持パイプ自体を前記冷却穴内に冷媒を供給するための冷媒供給管と兼用させ、冷媒供給管にガイド板を直接取り付ける(請求項5)ようにしても良い。
【0013】
更に、周知の二重パイプ構造を有する金型冷却パイプを利用して、前記冷媒供給管の外側に、冷媒排出管を同心状に配設せしめ、該冷媒排出管の内周と冷媒供給管の外周との間を冷媒の排出口としても良い(請求項6)。
【0014】
また、前記ガイド板は、その一部が切り欠き形成されていても良い(請求項7)。すなわち、ガイド板は、金型の冷却穴内にあってその外周縁が当該冷却穴の内壁面と近接するように設置されるが、冷却穴周辺における冷却条件によっては、ガイド板の外周縁の全周が冷却穴の内壁面と近接している必要はなく、外周縁の一部が冷却穴の内壁面から遠く離れていても良い。その場合に、ガイド板の外周縁の一部を内側方に切り欠き形成しても良いし、ガイド板自体が冷却穴の内壁面と相似しない形状に形成されその一部を冷却穴の内壁面から遠く離して設置しても良いし、冷却穴の軸心に対して周方向に変異した位置に設置しても良い。
更に、ガイド板に冷媒が通過する通口が開口形成されていても良い。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る金型の冷却構造によれば、金型の冷却穴内に、その外周縁が当該冷却穴の内壁面と近接するようにガイド板を設置せしめ、冷却穴内を流通する冷媒の全部又は一部を当該冷却穴の内壁面と前記ガイド板の外周縁との間に流通させるように構成してなるので、冷却穴内を流通する多くの冷媒が冷却穴の内壁面とガイド板の外周縁との間を通過する際に冷却穴の内壁面と接触することとなり且つ冷却穴の内壁面とガイド板の外周縁との間を通過する時の流速は他の部分より相対的に速くなる。
従って、ガイド板が設置された部分の冷却穴周辺では、ガイド板が設置されていない部分の冷却穴周辺と比較して、金型からの奪取熱量が多くなるので冷却効果が高くなる。その結果、1つの冷却穴周辺において部分的に金型からの奪取熱量に差を付けることができので、冷却が必要な部分を選択的に冷却することが可能となり、冷媒の供給量が同じであれば全体として金型の冷却効果を高めることが出来、内径が小さく細長い冷却穴でも或いは内径の大きな冷却穴でも、その周辺部分において冷却が必要な部分を選択的に冷却することが可能となる。
【0016】
しかも、金型冷却穴内に、ガイド板をその外周縁が当該冷却穴の内壁面と近接するように設置するだけのきわめてシンプルな構造であるので、メンテナンスも容易で安価に提供することが出来る。
【0017】
また、特に請求項3と4に記載の金型の冷却構造によれば、ガイド板が、中空管で形成された支持パイプに串刺し状に取り付けられ、その支持パイプを冷却穴内に配設された冷媒供給管の外周に嵌挿装着させてなるので、ガイド板と支持パイプを別加工で一体化したものを、例えば二重パイプ構造を有する周知の金型冷却パイプに簡便に装着して利用することが出来る。
【0018】
また、特に請求項6に記載の金型の冷却構造によれば、前記冷媒供給管の外側に、冷媒排出管を同心状に配設せしめ、該冷媒排出管の内周と冷媒供給管の外周との間を冷媒の排出口としたので、市販されている安価な二重パイプ型の冷却パイプをそのまま使用することが出来る。
なお、前記冷媒供給管の内側に冷媒排出管を同心状に配設して、冷媒排出管の外側と冷媒供給管の内側との間を冷媒の往路としても良いことは理解されるべきである。
【0019】
更に、特に請求項7に記載の金型の冷却構造のように、前記ガイド板の一部を切り欠き形成することにより、冷却穴内を流通する冷媒の一部は冷却穴の内壁面とガイド板の外周縁との間を流通し他の一部はガイド板の切り欠かれた部分を流通するようになるが、冷却穴の内壁面とガイド板の外周縁との間よりもガイド板の切り欠かれた部分の方の単位容積を大きく設定することにより、冷却穴内を流通する冷媒の流れる方向をガイド板の切り欠かれた部分で誘導することが可能となる。すなわち、ガイド板の切り欠き形状の具合や、切り欠かれたガイド板の配置具合によって、冷却穴内を流通する冷媒の流れる方向を、例えば冷却穴の内壁面に沿って螺旋を描くように誘導させることも可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の好適実施例を、図面を参照しながら詳細に説明するが、本発明は図示した実施例のものに限定されるものではなく、その要旨を超えない範囲において自由に変更可能である。
また、全図面を通して同様の部材には同じ符号を付してある。
【0021】
図1は、本発明に係る冷却構造が適用された金型、特に鋳抜きピンに適用した実施の一例を断面して示すものであり、冷媒の往路と復路を備えた二重パイプ構造からなる周知の金型冷却パイプAを金型Bの冷却穴Cに装着し、冷却パイプAから冷却穴C内に冷却水等の流動性を有する冷媒を流通させることにより冷却穴Cの周辺部分が冷却されるように構成されている。
【0022】
この冷却用パイプAは、内パイプ1aが、外パイプ1bの中に同心状に配置されると共に冷却穴Cの内奥まで突出し得るように外パイプ1bより長く形成され、これら内パイプ1a及び外パイプ1bの一端側に一体的に取付けられるホース接続口金1c等で構成され、金型Bの背面側からキャビティ方に向けて穿設された冷却穴Cに対して取外し可能に且つ当該冷却穴C内から冷媒が漏出しないように挿入装着される。
ちなみにこの実施例では、外パイプ1bの先端部外周に螺子1dを形成して金型Bに螺合装着することにより、冷却穴Cに対して取外し可能に且つ冷却穴C内から冷媒が漏出しないように挿入装着されている。
【0023】
従って、通常このような実施例の場合、内パイプ1aが冷却穴C内に冷媒を供給する冷媒供給管となって冷媒の往路となり、内パイプ(冷媒供給管)1aから吐出された冷媒は冷却穴C内で熱交換され、内パイプ(冷媒供給管)1aの外周と冷却穴Cの内壁面C’ないし外パイプ1b内周との間で形成される冷媒の復路を通ってホース接続口金1cから排出される。
なお、図中の符号2は、冷却用パイプAが冷却穴Cから不用意に脱落しないように保持するための押え板である。
【0024】
そして金型冷却穴Cの内部には、ガイド板3が、その外周縁3aが当該冷却穴の内壁面C’と近接するように当該冷却穴の軸(深さ)方向(冷媒が流通する方向)に対して直交するように設置され、冷却穴C内を流通する冷媒の全部又は一部を冷却穴Cの内壁面C’とガイド板3の外周縁3aとの間に流通させるようにする。
【0025】
ガイド板3は、耐熱性プラスチックスやステンレス,アルミ,真鍮,銅等の金属材などを用いて、冷媒の流れに抗して変形しない程度の剛性を有する平板状に形成すると共に、その外周縁3aの形状を冷却穴Cの内壁面C’と沿う相似形状に形成される。
すなわち、ガイド板3の外周縁3aは、冷却穴Cをその深さ方向に対して輪切りした時の内壁面C’の形状に沿った形状で且つ冷却穴Cの内壁面C’に近接する大きさに形成される。
【0026】
なお、ガイド板3の外周縁3aは、その全周にわたって冷却穴Cの内壁面C’と厳密に沿うように形成されていなくとも良く、図2の(c)に例示するごとく一部3cが切り欠き形成されていても良いし、或いは図2の(d)に例示するごとく冷却穴Cの軸心に対して周方向に変位した形状に形成されていても良い。
この様に、ガイド板3に形成される切り欠き3cの形状や、変位或いは切り欠かれたガイド板3の配置具合等によって、冷却穴C内を流通する冷媒の流れる方向を、例えば冷却穴Cの内壁面C’に沿って螺旋を描くように誘導させることも可能となる。
【0027】
また、通常ガイド板3は適宜厚さの平板状に形成されるが、図2の(b)に例示するごとく冷媒が流通する通口3bを複数個形成しても良いし、図2の(e)に例示するごとく冷却穴C内を流通する冷媒の流れと対向する側の面3dを略傘形状に形成しても良い。
この様に、通口3bや切り欠き3cを有するガイド板3は、当該ガイド板3が設置される冷却穴Cの直径が大きくそれに応じてガイド板3の直径も大きく形成しなければならず、そのためにガイド板3が冷媒の流通を妨げる恐れがあるような場合に使用すると有効である。
【0028】
ガイド板3は、冷却穴Cの内部に、その外周縁3aが当該冷却穴の内壁面C’と近接するように設置される。言い換えると、ガイド板3は冷却穴C内を流通する冷媒の流れと対向するように設置される。その場合に、当該ガイド板3を、中空管で形成された支持パイプ4に、接着,溶接又はロー付け、或いはC型止め輪等でもって串刺し状に取り付け、その支持パイプ4を冷却穴C内に配設された内パイプ(冷媒供給管)1aの外周に嵌挿装着するか、或いは上記支持パイプ4を冷却穴C内に冷媒を供給するための内パイプ(冷媒供給管)1aと兼用させ、内パイプ(冷媒供給管)1aにガイド板3を直接取り付けるようにする。
【0029】
更に、冷却穴Cの内径が比較的小さい場合には、JIS規格のC型止め輪やワッシャ類、或いはO-リングなどをガイド板3として利用し、支持パイプ4もしくは内パイプ(冷媒供給管)1aに取り付けることが可能である。
【0030】
支持パイプ4は、ガイド板3と同様に耐熱性プラスチックスやステンレス,アルミ,真鍮,銅等の金属材などからなる中空パイプ材を用いて、冷却穴Cの深さ(L)に応じて所要の長さに形成され、その基端側にストッパー5が設けられる。
【0031】
ストッパー5は、支持パイプ4が外パイプ1b側へ移動しないようにするためのものであり、図示例のストッパー5は、ガイド板3とほぼ同様の形状に形成すると共に強度を損なわない範囲で十分に大きな通水口5aを形成してなるが、内パイプ1aの外周と外パイプ1bの内周で形成される冷媒の復路を塞がないように工夫されていれば、図示例の構造に限定されるものではない。
【0032】
また、支持パイプ4の内径は、内パイプ(冷媒供給管)1aの外径より若干大きい程度に設定することが好ましい。そうすれば、内パイプ(冷媒供給管)1aの外周に嵌挿装着された支持パイプ4が、内パイプ(冷媒供給管)1aの軸心に対して周方向にぶれるようなことがなくなり、冷却穴Cの内壁面C’とガイド板3の外周縁3aとの間の設定された距離を安定して維持することができる。
【0033】
そして、本発明に係る金型冷却構造は、冷却穴C内を流通する冷媒の全部又は一部を冷却穴Cの内壁面C’とガイド板3の外周縁3aとの間に流通させることにより当該部分における冷却効果を他の部分より高める仕組みになっているので、ガイド板3を冷却穴Cの内部に設置する場合、冷却穴C周辺部における特に冷却したい部分をメインにして配置される。
【0034】
従って、冷却穴Cの内部に設置されるガイド板3は、冷却穴Cの大きさ(深さ)や形状など冷却したい部位に応じて1枚のみ用いる場合もあるし、冷却穴内を流通する冷媒の流れる方向に沿って適宜間隔をおいて複数枚を並列に設置する場合もあり、複数枚を並列に設置する場合に、図2の(a)〜(e)に例示した形態のものも含めてそれ以外の形態のものを適宜組み合わせて使用することもある。更に、複数枚のガイド板3を並列に設置する場合に、互いに等間隔に配列されることもあるし不等間隔に配列されることもある。
【0035】
ちなみに、図1及び図2の(a)に示した実施例では、複数枚のガイド板3をほぼ等間隔を置いて配列すると共に、冷却穴Cの奥側に配置されるガイド板3(31)を冷却穴Cの内径に応じて他のガイド板3(32)より少し小径に形成したものを使用し、更に、形状的に最も焼付きが生じやすい段部(肩部)B’に対応した部分に、他の場所に設置したガイド板3(31,32)よりも肉厚く形成され且つその外周縁3aが段部(肩部)B’の内壁に沿って傾斜状に形成されたガイド板3(33)を使用したものである。
【0036】
また、図2の(c)に示した実施例では、複数枚のガイド板3を不等間隔に配列すると共に、各ガイド板3に形成された切り欠き3cの位置を45度ずつずらして配置したものである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に係る冷却構造の実施の一例が適用された金型の断面図。
【図2】本発明に係るガイド板と支持パイプの実施例を説明する模式図。
【符号の説明】
【0038】
A:冷却パイプ B:金型
C:冷却穴 C’:内壁面
1a:内パイプ 1b:外パイプ
1c:ホース接続口金 1d:螺子
2:押え板 3:ガイド板
3a:外周縁 3b:通口
3c:切り欠き 3d:冷媒の流れと対向する側の面
4:支持パイプ 5:ストッパー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金型の内部に設けられた冷却穴内に流動性を有する冷媒を流通させることにより当該冷却穴周辺部分を冷却する金型の冷却構造であって、
前記冷却穴内に、その外周縁が当該冷却穴の内壁面と近接するようにガイド板を設置せしめ、冷却穴内を流通する冷媒の全部又は一部を当該冷却穴の内壁面と前記ガイド板の外周縁との間に流通させることを特徴とする金型の冷却構造。
【請求項2】
前記ガイド板が、前記冷却穴内を流通する冷媒の流れる方向に沿って適宜間隔をおいて複数枚設置されていることを特徴とする請求項1に記載の金型の冷却構造。
【請求項3】
前記ガイド板が、中空管で形成された支持パイプに串刺し状に取り付けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の金型の冷却構造。
【請求項4】
前記支持パイプを、前記冷却穴内に配設された冷媒供給管の外周に嵌挿装着させてなることを特徴とする請求項3に記載の金型の冷却構造。
【請求項5】
前記支持パイプが、前記冷却穴内に冷媒を供給するための冷媒供給管と兼用されていることを特徴とする請求項3に記載の金型の冷却構造。
【請求項6】
前記冷媒供給管の外側に、冷媒排出管を同心状に配設せしめ、該冷媒排出管の内周と冷媒供給管の外周との間を冷媒の排出口としたことを特徴する請求項4又は5記載の金型の冷却構造。
【請求項7】
前記ガイド板の一部が切り欠き形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の金型の冷却構造。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−307593(P2007−307593A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−140038(P2006−140038)
【出願日】平成18年5月19日(2006.5.19)
【出願人】(000005256)株式会社アーレスティ (44)