説明

金属粉加圧装置とそのメンテナンス用の治具

【課題】金属粉加圧装置のメンテナンス性を向上させる。
【解決手段】加圧ブロックに嵌合するスリーブと、該スリーブ内の加圧室に挿入されるプランジャ30と、ロッド32によりプランジャ30を前進及び後退させる加圧用アクチュエータ3と、を備え、スリーブの他方をシャッタにより閉鎖してプランジャ30により加圧室内の金属粉を加圧し、シャッタを開いて加圧後の金属粉ペレットを排出する金属粉加圧装置において、加圧室から突出して露出するプランジャ30の後端に係合段差部30aを設け且つロッド32の先端に係合段差部32aを設け、両係合段差部30a,32aに係合する着脱可能な接続具31によって、プランジャ30及びロッド32を互いに接続する。プランジャ30を後退位置として接続具31を取り外せば簡単にプランジャ30をロッド32から切り離し、取り出すことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
金属加工時に発生する金属粉を押し固める装置に関する技術が以下に開示される。
【背景技術】
【0002】
例えば、プラズマアークやレーザによる金属の熱切断加工時には、ヒュームと呼ばれる酸化鉄を主成分とした金属粉が発生する。このヒュームに代表される金属加工時の金属粉は、特許文献1,2に開示されるような金属粉加圧装置を使用して押し固められ、ペレット状にして排出される。
【0003】
金属粉加圧装置は、ホッパ等に集められた金属粉を加圧室内に収容し、油圧シリンダ等の加圧用アクチュエータにより駆動されるプランジャで加圧することで、加圧室内の金属粉を押し固める装置である。加圧室は、加圧ブロックに嵌合した円筒状スリーブの内側に形成され、該スリーブの一端から加圧室内に挿入されたアクチュエータのロッド(ピストンロッド)の先端にプランジャが連結されて摺動し、スリーブの他端側へ金属粉を加圧する。当該加圧室は、スリーブの他端を通し開口しており、当該開口を開閉するシャッタが設けられている。シャッタは、開閉用アクチュエータにより駆動され、加圧ブロックに設けられたシャッタガイドに案内されて開閉動作し、加圧時に閉じてスリーブ開口を閉鎖し、金属粉加圧を可能とする一方、加圧後には開いて、スリーブ開口を開放し、加圧により形成された金属粉ペレットの排出を可能とする。なお、特許文献1,2において、加圧室は圧縮室、プランジャは圧縮部材、加圧ブロックはボックス本体、スリーブは内筒、シャッタはゲート、シャッタガイドはガイドブロックと呼ばれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−224892号公報
【特許文献2】特開2002−224893号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような金属粉加圧装置では、毎日の作業後あるいは定期的に、プランジャ及びスリーブを取り外して清掃等のメンテナンスを行う必要がある。しかし、プランジャはスリーブの中で可動ロッドに連結されており、スリーブは加圧ブロックに固く嵌合しているため、これらの取り外しには金属粉加圧装置全体の分解が必要で、手間がかかる。すなわち、メンテナンスの観点から見て、現在の金属粉加圧装置には改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題に対して提案する金属粉加圧装置は、加圧ブロックに嵌合し、内側に加圧室を形成するスリーブと、該スリーブの一端から前記加圧室に挿入されるプランジャと、ロッドの往復動作により前記プランジャを前進及び後退させる加圧用アクチュエータと、前記スリーブの他端が位置する前記加圧ブロックの側面に設けられたシャッタガイドと、該シャッタガイドに案内されて開閉し、前記スリーブ他端の開口を閉鎖及び開放するシャッタと、前記シャッタを駆動する開閉用アクチュエータと、を含んで構成される金属粉加圧装置であって、
前記プランジャは、後退したときに前記加圧室から突出して露出する後端に係合段差部を有し、前記加圧用アクチュエータは、前記ロッドの先端に係合段差部を有し、これら両係合段差部に係合する着脱可能な接続具によって、当該プランジャ及びロッドが互いに接続される、金属粉加圧装置である。
【0007】
また、このような金属粉加圧装置に使用する治具として、前記スリーブの一端から前記加圧室に挿入可能な小径部と、前記スリーブの外径に相当する径の大径部と、を含んで構成される治具を提案する。
この治具は、前記小径部を前記スリーブの一端から前記加圧室に挿入した当該治具の前記大径部を、前記加圧用アクチュエータのロッドで押すことにより、前記プランジャを前記スリーブの他端から押し出し、また、前記大径部端面を前記スリーブの一端側端面に当接させた当該治具の前記小径部を、前記加圧用アクチュエータのロッドで押すことにより、前記スリーブを前記加圧ブロックから押し出すための治具として使用される。
【発明の効果】
【0008】
上記提案に係る金属粉加圧装置は、加圧室から突出して露出する後端においてプランジャが、着脱可能な接続具によって加圧用アクチュエータのロッドと接続される。したがって、プランジャを後退位置として接続具を取り外せば簡単にプランジャをロッドから切り離し、取り出すことができる。
また、このようにロッドからプランジャを分離した後の金属粉加圧装置において、上記提案に係る治具を使用することにより、加圧用アクチュエータの力を利用して、スリーブからプランジャを押し出し、さらに、スリーブを加圧ブロックから押し出して、容易に分解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】金属粉加圧装置の実施形態を示した平面図。
【図2】図1中に示すY方向から見た一部断面を含む側面図。
【図3】図1中に示すX方向から見た側面図。
【図4】(A)開いたときのシャッタの状態を示す図3相当の図。(B)閉じたときのシャッタの状態を示す図3相当の図。
【図5A】金属粉加圧前の状態を示す要部断面図。
【図5B】金属粉加圧時の状態を示す要部断面図。
【図5C】金属粉ペレットを加圧室から押し出したときの状態を示す要部断面図。
【図5D】金属粉ペレットを装置外へ排出したときの状態を示す要部断面図。
【図6】プランジャ及びロッドの係合段差部と接続具の実施形態を示した図。
【図7】頭部に係合段差部を形成したボルトを後端面にねじ込むプランジャの実施形態を示した図。
【図8】治具の実施形態を示し、プランジャを押し出すときの状態を説明する図2相当の図。
【図9】治具の実施形態を示し、スリーブを押し出すときの状態を説明する図2相当の図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1〜図3に、金属粉加圧装置の実施形態を平面図と側面図で示す。図1が上方から見た平面図、図2が図1中X方向から見た側面図、図3が図1中Y方向から見た側面図である。図2中、加圧ブロック及びスリーブは断面で示している。
【0011】
金属粉加圧装置は、金属板のベース1上に、加圧ブロック2と、一例として油圧シリンダを使用した加圧用アクチュエータ3及び開閉用アクチュエータ4とを、それぞれ離間させて位置合わせし、ボルト止めすることで構成されている。加圧用及び開閉用アクチュエータ3,4としては、空気圧や水圧シリンダ、モータを使用してもよい。
【0012】
加圧ブロック2は、金属製直方体で、金属粉を貯留するホッパ等から金属粉を収容する受入孔20が形成される。この加圧ブロック2に、スリーブ21が、X方向を軸方向として嵌合している。スリーブ21は、例えばダイス鋼を材料とした円筒部品で、その内側に加圧室22が形成される。スリーブ21には加圧ブロック2の受入孔20に連通する貫通孔23が形成され、これら受入孔20及び貫通孔23を通して加圧室22内に金属粉が収容される。
【0013】
このスリーブ21の一端から加圧室22内に、プランジャ30が挿入される。プランジャ30は、後退したときに(図1及び図2は最も後退した位置)加圧室22から後端が突出して露出し、後に詳述する接続具31によって、加圧用アクチュエータ3のロッド(ピストンロッド)32に接続される。往復動作するロッド32により駆動されるプランジャ30は、加圧室22内でX方向に前進及び後退する。プランジャ30には、クロムモリブデン鋼を材料として表面にフッ素樹脂コーティングしたものを使用することができる。
【0014】
プランジャ30が挿入される一端とは反対側のスリーブ21の他端において、加圧室22は開口している。そして、この開口を閉鎖及び開放するシャッタ40が、シャッタガイド41に案内されるようにして設けられる。シャッタガイド41は、スリーブ21の他端が位置する加圧ブロック2の側面における上側と下側に、それぞれボルト止めされた断面鉤形のガイドレールである。この上下のシャッタガイド41の間に保持されて、シャッタ40がY方向において往復動作する。シャッタ40は、後端部で開閉用アクチュエータ4のロッド(ピストンロッド)42に接続され、駆動される。すなわち、ロッド42の先端部位に段差部43が周設されると共に、この段差部43を含んだロッド先端形状に相応する係合孔がシャッタ40の後端部に形成され、両者の係合によってシャッタ40がロッド42に接続される。
【0015】
スリーブ21の他端外縁にはフランジ24が周設されており、スリーブ21は、フランジ24を加圧ブロック2の側面に当接させた状態で嵌合している。周設されたフランジ24には上下に切欠平坦部があり、当該平坦部がシャッタガイド41の案内面に当接するので、スリーブ21の回転が防止され、これにより、受入孔21に対応するように貫通孔23の位置も決められる。なお、フランジ24については、部分的に形成したものでもよいし、あるいは、一端側同様にフランジを形成しない場合もあり得る。しかし、以下に説明するシャッタ40によるスリーブ押さえ機能を確実に発揮させるためには、フランジ24を全周に周設するのが好ましい。
【0016】
シャッタガイド41に沿って開閉するシャッタ40は、スリーブ21のフランジ24上を摺動する。本実施形態のシャッタ40は、図4の(A),(B)に示すように、先端部に凹部44が形成されている。なお、図4では、シャッタ40の全体が見えるように、シャッタガイド41を断面にしてある。
【0017】
図4(A)に示すように、凹部44は、シャッタ40が開いたときに、スリーブ21他端の開口(加圧室22)を開放する。一方このとき同時に、凹部44の両脇に形成される凸部45が、スリーブ21の他端面に、すなわち本実施形態の場合はフランジ24が形成されているので当該フランジ24に、当接する。この凹部44を形成したシャッタ40の先端部形状により、フランジ24のほぼ半分程度が、シャッタ40により押さえられることになる。つまり、シャッタ40を開けると共にプランジャ30を摺動させ、加圧室22から金属粉ペレットを排出するときに、シャッタ40の凹部44が金属粉ペレットの排出を許容すると共に、その凹部44の両脇にある凸部45が、スリーブ21の抜け出しを防止するスリーブ押さえとして機能し、スリーブ21の位置ずれ発生が抑止される。
【0018】
また、シャッタ40の先端部に凹部44及び凸部45が形成されることにより、シャッタ40の開閉ストロークの短縮と加圧時におけるシャッタ40の耐圧性の向上との両立が可能になる。図4(B)に示すように、凹部44を形成したことにより、シャッタ40の開から閉へのストロークは、凹部44の底面がスリーブ21の開口を超えるだけのストロークで良い。すなわち、シャッタ40のストロークは、スリーブ21の開口直径と同程度とすることができる。シャッタ40のストロークが短ければ、加圧後にシャッタ40を開くとき、加圧室22内でシャッタ40に押し付けられている金属粉ペレットとシャッタ40とがこすれる距離を短くすることができ、金属粉ペレットの型崩れを抑制することができる。
【0019】
一方で、このように開から閉へのシャッタストロークが短くとも、シャッタ40が閉じたとき、凹部44両脇にある凸部45がシャッタガイド41の端近くまで移動するので、シャッタ閉時におけるシャッタガイド41とシャッタ40との接触域を広く(長く)とることができる。当該接触域が広ければそれだけ圧力が分散されるので、プランジャ30の加圧に対するシャッタ40の耐圧性が、経時的な劣化も含め向上する。
【0020】
図5A〜図5Dに、本実施形態の金属粉加圧装置における金属粉ペレット成形工程につき順を追って示している。
【0021】
まず、図5Aに示すように、プランジャ30が後退位置にあり且つシャッタ40が閉じた状態で、金属粉を集めたホッパ等から受入孔20及び貫通孔23を通して加圧室22内に金属粉が収容される。次いで、図5Bに示すように、加圧用アクチュエータ3によりプランジャ30が前進し、加圧室22内の金属粉をシャッタ40に押し付けるように加圧する。このときのシャッタ40は、上述したように、凸部45がシャッタガイド41の端近くまで前進して閉じた状態にあり、シャッタガイド41とシャッタ40との接触域が広い。
【0022】
所定の圧力をかけて金属粉を加圧した後、図5Cに示すように、開閉用アクチュエータ4によりシャッタ40が後退して開き、スリーブ21の他端にある加圧室22の開口が開放される。このときのシャッタ40の閉から開へのストロークは、上述したように、凹部44の底面がほぼ加圧室22の開口直径分だけ移動する程度であり、加圧室22内の金属粉ペレットと開動作するシャッタ40とがこすれる距離は短い。
【0023】
シャッタ40が開くと、加圧用アクチュエータ3によりプランジャ30が金属粉ペレットの厚み分だけ前進し、金属粉ペレットをスリーブ21他端の開口から押し出す。このプランジャ30が前進して金属粉ペレットを押し出す際に、上述したように、凹部44及び凸部45を有するシャッタ40の先端部形状により、スリーブ21のフランジ24のほぼ半分程度がシャッタ40により押さえられ、スリーブ21の抜け出しを防止するスリーブ押さえの機能が発揮されて、スリーブ21の位置ずれ発生が抑止される。
【0024】
次いで、図5Dに示すように、開閉用アクチュエータ4によってシャッタ40が前進して閉じつつ、開口から押し出された金属粉ペレットを図示せぬ排出経路へ排出する。そして、シャッタ40が閉じると、加圧用アクチュエータ3によってプランジャ30が後退し、図5Aの状態へ復帰して後続工程が繰り返される。
【0025】
図6に、加圧用アクチュエータ3のロッド32とプランジャ30とを接続する接続具31について、詳細を示す。
図6(A)に示すように、プランジャ30は、後退したときに加圧室22から突出して露出する後端に係合段差部30aを有する。また、加圧用アクチュエータ3のロッド32も、先端に係合段差部32aを有する。具体的には、プランジャ30の係合段差部30aは、プランジャ30の後端から突出させた突出部分に小径部分30bと大径部分30cとを連続形成することにより形成される。また、ロッド32の係合段差部32aは、ロッド32の先端から突出させた突出部分に小径部分32bと大径部分32cとを連続形成することにより形成される。小径部分30b,32bと大径部分30c,32cとの段差により形成されるので、両係合段差部30a,32aは、プランジャ30及びロッド32の軸周りに周設されている。
【0026】
これら両係合段差部30a,32aに係合する着脱可能な接続具31は、図6(B)に具体例を示すように、プランジャ30の係合段差部30aにおける小径部分30bへ嵌合して段差に係合するようにU字状に形成した係合凸部31aと、ロッド32の係合段差部32aにおける小径部分32bへ嵌合して段差に係合するようにU字状に形成した係合凸部31bと、を両端の内方に有する。これら両端の係合凸部31a,31bの間は、プランジャ30及びロッド32の両大径部分30c,32cを受容するU字状の受容凹部31cとして形成されている。したがって、両端の係合凸部31a,31bを小径部分30b,32bへ嵌め込むと、突き合わせた両大径部分30c,32cが受容凹部31cに受容され、係合凸部31a,31bと受容凹部31cとの間の段差面が、小径部分30b,32bと大径部分30c,32cとの間の段差面に係合する。
【0027】
さらに、本実施形態の接続具31の場合、係合凸部31bにおいて、当該係合凸部31bの開口を塞いで接続具31の脱落を防止するビス31dがねじ込まれる。したがって、係合段差部30a,32aに接続具31を嵌合させ、そしてビス31dをねじ込めば、ロッド32にプランジャ30が接続され且つ作業中の接続具31の脱落が防止される。一方、ビス31dを外せば、接続具31を簡単に取り外すことができる。
【0028】
このように、後退したときに加圧室22から突出して露出する後端においてプランジャ30が、着脱可能な接続具31によって加圧用アクチュエータ3のロッド32と接続されるので、ロッド32を後退させてプランジャ30を後退位置とし、接続具31を取り外すだけで、簡単にプランジャ30をロッド32から切り離し、取り出すことができる。また、接続具31を取り外した状態で、加圧用アクチュエータ3を動作させロッド32を前進させると、プランジャ30をスリーブ21の前方へ押し出すことが可能である。
【0029】
本実施形態において、プランジャ30の係合段差部30aは、図7(A)に示すように、プランジャ30の後端面30dに設けられたねじ穴30eにねじ込まれるボルト30fの頭部に形成されている。そして、当該ボルト30fのねじ込み量を、例えばワッシャ30gを1枚以上使用して調整することにより、プランジャ30が最も前進したときの先端面位置を調整することができる。すなわち、図7(B)に示すように、ロッド32が前進してストロークの死点位置となったときに、プランジャ30の先端面は、スリーブ21のフランジ24(他端面)と面一になることが好ましい。そこで、ロッド32に当接するボルト30fのねじ込み量を適宜変更することで、ロッド32が最も前進したときのプランジャ30の先端面位置を調整する。
【0030】
次に、メンテナンスのために、プランジャ30をスリーブ21から取り出し、スリーブ21を加圧ブロック2から取り出す作業を説明する。当該メンテナンス作業には、図8及び図9に示す治具5が使用される。本実施形態の治具5は、小径部50及び大径部51を有する円柱体である。
【0031】
小径部50は、スリーブ21の一端から加圧室22に挿入可能な直径、例えば、プランジャ30よりも1mmほど短い直径とした断面円形の円柱に形成される。一方、大径部51は、スリーブ21の外径に相当する直径、例えば、スリーブ21の外径よりも0.5mmほど短い直径とした断面円形の円柱に形成される。このように、小径部50と大径部51とにはスリーブ21の内径と外径との差程度の直径差があり、これにより小径部50と大径部51との境には、段差面52が形成される。
【0032】
治具5における小径部50の軸方向長さは、プランジャ30をスリーブ21から押し出すことのできる適宜の長さに設計される。また、大径部51の軸方向長さは、少なくとも、ロッド32先端に設けられた係合段差部32aを挿入する装着穴53を形成可能な長さに設計される。装着穴53は、大径部51の端面中央に設けられ、係合段差部32aの全体を挿入可能な深さをもつ。
【0033】
この小径部50及び大径部51をもつ治具5は、次のように使用する。
まず、シャッタガイド41を加圧ブロック2から取り外し、シャッタ40を開閉用アクチュエータ4から取り外す。また、接続具31を外して、加圧用アクチュエータ3のロッド32とプランジャ30とを切り離し、この状態のままロッド32を前進させてプランジャ30を前方へ押し込んでおく。
【0034】
次いで、ロッド32を後退位置とし、大径部51端面の装着穴53を係合段差部32aに嵌着することで、ロッド32の先端に治具5を装着する。そして、図8に示すように、ロッド32を前進させ、小径部50をスリーブ21の一端から加圧室22に挿入してプランジャ30の係合段差部30aに当接させる。このようにして小径部50をスリーブ21の一端から加圧室22に挿入した治具5の大径部51を、ロッド32により押せば、加圧用アクチュエータ3の力を利用して、スリーブ21からプランジャ30を押し出すことができる。
【0035】
プランジャ30をスリーブ21から押し出して取り外した後、小径部50をスリーブ21の一端から加圧室22に挿入した状態で、ロッド32をさらに前進させて大径部51を押すと、図9(A)に示すように、小径部50と大径部51との間の段差面52がスリーブ21の一端側端面に当接し押圧する。したがって、このままロッド32を前進させれば、加圧用アクチュエータ3の力を利用して、スリーブ21を加圧ブロック2から少し押し出すことができる。
【0036】
次に、ロッド32を後退させて後退位置とし、治具5を一旦外して逆向きにし、図9(B)に示すように、大径部51の端面をスリーブ21の一端側端面に当接させた状態とする。そして、当該治具5の小径部50を、ロッド32を前進させて押すと、大径部51がスリーブ21を押し出し、加圧用アクチュエータ3の力を利用して、スリーブ21を加圧ブロック2から取り外すことができる。
【0037】
以上のように、接続具31を外してロッド32とプランジャ30とを分離した金属粉加圧装置において、治具5を使用することにより、加圧用アクチュエータ3の力を利用して、スリーブ21からプランジャ30を押し出し、さらに、スリーブ21を加圧ブロック2から押し出して、容易に分解することができる。
【符号の説明】
【0038】
1 ベース
2 加圧ブロック
20 受入孔
21 スリーブ
22 加圧室
23 貫通孔
24 フランジ
3 加圧用アクチュエータ
30 プランジャ
30a 係合段差部
30b 小径部分
30c 大径部分
30d 後端面
30e ねじ穴
30f ボルト
30g ワッシャ
31 接続具
31a,31b 係合凸部
31c 受容凹部
31d ビス
32 ロッド
32a 係合段差部
32b 小径部分
32c 大径部分
4 開閉用アクチュエータ
40 シャッタ
41 シャッタガイド
42 ロッド
43 段差部
44 凹部
45 凸部
5 治具
50 小径部
51 大径部
52 段差面
53 装着穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加圧ブロックに嵌合し、内側に加圧室を形成するスリーブと、
該スリーブの一端から前記加圧室に挿入されるプランジャと、
ロッドの往復動作により前記プランジャを前進及び後退させる加圧用アクチュエータと、
前記スリーブの他端が位置する前記加圧ブロックの側面に設けられたシャッタガイドと、
該シャッタガイドに案内されて開閉し、前記スリーブ他端の開口を閉鎖及び開放するシャッタと、
前記シャッタを駆動する開閉用アクチュエータと、
を含んで構成され、
前記プランジャは、後退したときに前記加圧室から突出して露出する後端に係合段差部を有し、
前記加圧用アクチュエータは、前記ロッドの先端に係合段差部を有し、
これら両係合段差部に係合する着脱可能な接続具によって、当該プランジャ及びロッドが互いに接続される、金属粉加圧装置。
【請求項2】
前記プランジャの係合段差部は、該プランジャの後端面にねじ込まれたボルトの頭部に形成される、請求項1記載の金属粉加圧装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の金属粉加圧装置に使用する治具であって、
前記スリーブの一端から前記加圧室に挿入可能な小径部と、
前記スリーブの外径に相当する径の大径部と、
を含んで構成され、
前記小径部を前記スリーブの一端から前記加圧室に挿入した当該治具の前記大径部を、前記加圧用アクチュエータのロッドで押すことにより、前記プランジャを前記スリーブの他端から押し出し、
前記大径部端面を前記スリーブの一端側端面に当接させた当該治具の前記小径部を、前記加圧用アクチュエータのロッドで押すことにより、前記スリーブを前記加圧ブロックから押し出すための、治具。
【請求項4】
前記小径部と前記大径部との境に段差面が形成され、
前記小径部を前記スリーブの一端から前記加圧室に挿入した当該治具の前記大径部を、前記加圧用アクチュエータのロッドで押すことにより、前記段差面が前記スリーブの一端側端面に当接して押圧する、請求項3記載の治具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−40579(P2012−40579A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−182179(P2010−182179)
【出願日】平成22年8月17日(2010.8.17)
【出願人】(000105394)コータキ精機株式会社 (16)