説明

釣り用手袋

【課題】収納した釣り用小物を取り出す時にこぼれ落ちが防止され、また開閉操作が容易にできる収納部を有する釣り用手袋を提供することである。
【解決手段】釣り用手袋1は、掌挿通部2と指挿通部3を有し、掌挿通部2の甲部2a
上面には、互いに重合するようにして第2ポケット5の上に第1ポケット4が設けられている。
第1ポケット4の開口K1側の開口端部KTは、折曲部SKにてカバー体5aから立ち上がり、開口端部KTは、折曲部SKにて折り返すことで第1ポケット4の上面に係合し閉塞状態を維持可能になっている。
第1ポケット4の開口端部KT近傍に磁性体Jが取り付けられ収納した釣り針等の釣り用小物Tを吸着できるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣り用小物を収納できる釣り用手袋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から釣りにおいては、寒さから手を守りながら釣り竿やリール操作、仕掛け直しなど釣りの操作をスムーズに行うことができるようにしたり、釣り針や魚の歯やとげ、または岩場で手をついた時の安全ために手袋が使用されている。
これらの手袋は、釣種やその用途によって餌付けや仕掛け直しがし易いよう、さらに魚の当たりを直接感じることができるように手袋から指先が出せるようになったものなどがある。
そして、釣りをしている時は、主に釣り用ベスト等に仕掛け類などの釣り用小物を収納しているが、仕掛け作り、直しなど手元で作業することが多いため、すぐにこれら小物が取り出せるように手袋に収納部を設けたものがある。
例えば特許文献1には、甲部にスライド式チャックの付いたポケットを設けた手袋が記載され、ポケットに取り外した指先の保護カバー体が収納できるようになっている。
しかし、チャック付きポケットを設けただけでは釣り用小物を取り出す時にこぼれ落ちてしまう虞があり、スライド式チャックの開閉操作が面倒であった。
【特許文献1】特開平11−247009号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
解決しようとする問題点は、釣り用手袋にチャック付きポケットを設けただけでは釣り用小物を取り出す時にこぼれ落ちてしまう虞がありスライド式チャックの開閉操作が面倒であることである。
【0004】
本発明の目的は前記欠点に鑑み、収納した釣り用小物を取り出す時にこぼれ落ちが防止され、また開閉操作が容易にできる収納部を有する釣り用手袋を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1は、甲部にポケットを設けた釣り用手袋において、前記甲部から前記ポケットの開口端部を立ち上げて、前記開口端部を折曲してポケット上面に係止可能としたことを要旨とするものである。
本発明の請求項2は、ポケットは、甲部の開口端部近傍に磁性体を有していることを要旨とするものである。
本発明の請求項3は、ポケットの磁性体を設けた部分はポケットの内方に向けて突部が形成されていることを要旨とするものである。
本発明の請求項4は、ポケットの開口は親指側に向かって形成されていることを要旨とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明の請求項1から3によると、ポケットはその開放端部が立ち上がっているため収納した釣り用小物を取り出す時にこぼれ落ちを防止することができる。
本発明の請求項2によると、甲部の開口端部近傍に磁性体を有しているため、磁性体に吸着されてポケット内にて開口側に移動した釣り用小物を取り出す時にこぼれ落ちが防止される。
本発明の請求項3によると、ポケットの磁性体を設けた部分はポケットの内方に向けて突部が形成されているため、ポケット内にて開口側に移動した釣り用小物は突部に当たって移動が規制されて釣り用小物を取り出す時にこぼれ落ちが防止される。
本発明の請求項4によると、ポケットの開口は親指側に向かって形成されているため釣り用小物の取り出し作業で手袋をした手を手元に寄せるとポケットの開口が釣り人側を向いて作業がし易くなる。
【産業上の利用可能性】
【0007】
本発明は釣り用手袋全般に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、釣り用手袋の正面図である。
【図2】図2は、釣り用手袋のポケット部分の断面図である。
【図3】図3は、開口を開いた釣り用手袋のポケット部分の断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本願発明を図示の実施例によって本発明を説明すると、図示した手袋は左手側の手袋で、図1は釣り用手袋の正面図、図2は釣り用手袋のポケット部分の断面図、図3は開口を開いた釣り用手袋のポケット部分の断面図である。
【0010】
釣り用手袋1は、掌挿通部2と指挿通部3を有し、掌挿通部2は甲部2aと平部2bを有し手を差し込んだ時に内部に掌が差し込まれる部分で下端側に手の挿通口2cが開口し、指挿通部3は内部にそれぞれの指が挿通できるように形成されている。
釣り用手袋1の掌挿通部2と指挿通部3は柔軟性を有するゴムや合成樹脂繊維のシートや布帛、合成樹脂をシート状に形成した人工皮革、天然皮革等で形成されている。
【0011】
指挿通部3はそれぞれ親指挿通部3a、人差し指挿通部3b、中指挿通部3c、薬指挿通部3d、小指挿通部3eを有し、このうち親指挿通部3a、人差し指挿通部3b、中指挿通部3cは先端側にそれぞれ指出し穴Yが開口して差し込んだ指が先端から突出し釣りにおける仕掛け作りや仕掛け直し、餌付け作業がし易いようになっている。
【0012】
釣り用手袋1の甲部2aの上面には、互いに重合するようにして第1ポケット4と第2ポケット5が設けられている。
甲部2aの上面の略全面に亘って甲部2aの上面を覆うカバー体5aがその周辺部を甲部2aの上面に止着して設けられ内部に収納部5bが形成されている。
そして、第2ポケット5のカバー体5aの上面に第1ポケット4が設けられている。
【0013】
第2ポケット5は、甲部2aの上面にて手の挿通部2c近傍から人差し指挿通部3b近傍にかけて親指挿通部3a側に直線的に向かう開口K2が形成されて内部の収納部5bに釣り用小物T等が収納でき、その開口K2は面貼着テープ等の係合部S2が設けられ甲部2aの上面とカバー体5aの内側にそれぞれ面貼着テープの雄、雌が設けられ、開口K2はポケット内部側で互いに係合して閉じることができるようになっている。
【0014】
第2ポケット5の開口K2には、その開閉操作を容易にするために舌片5cが形成され、この舌片5cを摘んで上方に引き上げると第2ポケット5の開口K2が開き、離すとカバー体5aが甲部2a方向に引かれるように落下して開口K2が閉じて係合部S2(面貼着テープの雄、雌)が係合するようになっている。
なお、第2ポケット5は図3のように袋に収納された重りなどの釣り用小物Tを収納するとよい。
【0015】
第1ポケット4は、上側カバー4aと下側カバー4bがその周辺で張り合わされて袋状に形成され内部に収納部4cが形成され、下側カバー4b側が甲部2a上面のカバー体5aの上面側に取り付けられている。
【0016】
第1ポケット4はその一端側に開口K1が形成され袋の底にあたる他端側が甲部2aの上面のカバー体5aの上面側に取り付けられている。
第1ポケット4の開口K1が形成された開口端部KTは、甲部2aの上面とカバー体5aに止着されないで上方に向かって折れ曲がる折曲部SKが形成され甲部2aの上面のカバー体5aから上方に立ち上がっている。
【0017】
第1ポケット4の開口端部KTは、折曲部SKにて上側カバー4aと下側カバー4bを揃えて第1ポケット4側(上側カバー4a側)に折り返すことで開口K1を閉じることができ、下側カバー4b側の第1ポケット4の内側と上側カバー4aの上面に互いに係合する面貼着テープ等の係合部S1を設けて折り曲げた開口端部KTは第1ポケット4の上面に係合し閉塞状態を維持可能になっている。
【0018】
甲部2aの第1ポケット4の開口端部KT近傍に磁性体Jが取り付けられている。
磁性体Jは柔軟性を有する樹脂磁石が用いられ、第1ポケット4の下側カバー4bを通じて第1ポケット4内の収納部4Cに収納した釣り針等の釣り用小物Tを吸着できるようになっている。
また、磁性体Jが設けられた位置に対応する第1ポケット4の内側(収納部4C側)は内側に向けて突出部4dが形成され、磁性体Jに吸着されない釣り用小物Tが開口K1に向けて移動しても突出部4dに当たって開口K1からの脱落が防止される。
第1ポケット4は磁性体Jまで甲部2aに止着され、これより先端側が折曲部SKとなって甲部2aに止着しない開口端部KTが形成されている。
なお、磁性体Jは第1ポケット4の内側の収納部4C側に取り付けて直接釣り用小物Tを吸着したり、直接釣り用小物がT当接して移動を阻止してもよい。
【0019】
第1ポケット4を開くと開口端部KTが立ち上がり開口K1は上方を向いた状態が維持される。
この状態で第1ポケット4の収納部4Cに収納した釣り用小物Tは開口K1側に移動したものは磁性体Jに吸着されるか、突出部4dに当たって止まり、折曲部SKより開口K1側に移動が規制されている。
【0020】
したがって、開口端部KTが立ち上がり開口K1は上方を向いた状態で開いた状態が維持され、開口K1のすぐ内方(すぐ下方)の収納部4Cに磁性体Jに吸着されるか、突出部4dに当たって止まった収納物の釣り用小物Tが位置するためすぐに取り出すことができる。
【0021】
なお、折曲部SKは折り曲げ状態が維持されるようにプレスして癖付けされて形成されている。
また、開口K1は折曲部SKにて下側カバー4b側と共に上側カバー4a側も折り曲げられるため収納物が脱落しにくい。
【0022】
また、第1ポケット4が取り付けられたカバー体5aは甲部2aを形成する材料よりも大きな伸縮性を有しているため、第1ポケット4がカバー体5aを介して甲部2aに設けられていることによって釣り用手袋1を付けた手を動かしてもカバー体5aがその動きを吸収して緩和するため第1ポケット4が不用意に開くことが防止され、また、第1ポケット4に収納した釣り用小物Tの圧迫感が手に伝わりにくくなるため違和感がない。
【0023】
前記のように釣り用手袋1が形成されると、第1ポケット4に収納した釣り用小物Tが脱落しにくく、また、取り出しも容易に行える。
【符号の説明】
【0024】
1 釣り用手袋
4 第1ポケット
5 第2ポケット
SK 折曲部
KT 開口端部
J 磁性体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
甲部にポケットを設けた釣り用手袋において、前記甲部から前記ポケットの開口端部を立ち上げて、前記開口端部を折曲してポケット上面に係止可能としたことを特徴とする釣り用手袋。
【請求項2】
ポケットは、甲部の開口端部近傍に磁性体を有していることを特徴とする請求項1に記載の釣り用手袋。
【請求項3】
ポケットの磁性体を設けた部分はポケットの内方に向けて突部が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の釣り用手袋。
【請求項4】
ポケットの開口は親指側に向かって形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の釣り用手袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−233557(P2010−233557A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−88403(P2009−88403)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000002495)グローブライド株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】