説明

釣り糸の絡まり防止器具

【課題】 釣り糸が、釣り竿の先端部に絡まるのを防止する絡まり防止器具を提供する。
【解決手段】 釣り竿5の先端の糸通し輪具2に着脱自在に組付く組付部10と、組付部10から垂下設され、所定長さを有する連結棒部20と、連結棒部20の下端に連結され、釣り竿5の先端から垂れ下がる釣り糸3を挿通する挿通部30とで構成する。また、組付部10を、連結棒部20の上端に連設する円弧状の円弧部11と、当該円弧部の末端から、連結棒部20とで略ハの字を形成するように延設した延設部12と、連結棒部20に昇降自在に嵌合する円筒形状で、延設部12に連結棒部20と共に嵌合して円弧部を縮径して円形状とし、糸通し輪具2の先端部に組付ける円筒部13とで構成する。また、円筒部13を除く部分を、弾性に富む針金状の金属線で形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、魚の投げ釣りに使用する釣り竿の先端部に取付け、釣り糸が当該先端部に絡まるのを防止する絡まり防止器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
魚釣りの方法として、例えば、釣り竿(投げ竿)にリールを取付け、当該釣り竿を振ってリールに巻回している釣り糸を遠くに放つ投げ釣りがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
こうした投げ釣りに使用する釣り竿5には、釣り人を悩ます問題が頻繁に発生する。それは、釣り糸3を巻き上げた状態などにおいて、当該釣り糸3が風邪などの影響を受けた際に、図1に示すように、釣り竿5の先端部に絡まり付くことである。この問題は、釣り糸3が釣り竿5の先端から直接垂れ下がっているため、風などの影響で、当該釣り糸3が竿5の先端を支点として揺れて、そのすぐ近傍に位置する釣り竿5の先端部に容易に届いてしまうことによって発生するものである。
【0004】
釣り糸3が釣り竿5に絡まり付くと、それを解くために厄介な作業を必要とし、それに伴い余計な時間を費やさなければならない。また、絡まり付いたままで釣り竿5を振ってしまうと、釣り糸3がリールから放たれないと共に、周囲に危険を及ぼすといった問題も発生する。
【0005】
なお、こうした釣り糸3が釣り竿5の先端部に絡まるといった問題は、投げ竿のみでなく、リールを取付けていない通常の釣り竿においても発生する。
【0006】
本発明はこうした問題に鑑み創案されたもので、釣り糸が、釣り竿の先端部に絡まるのを防止する絡まり防止器具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
図2乃至図5を参照して説明する。請求項1に記載の釣り糸の絡まり防止器具1は、釣り竿5の先端の糸通し輪具2に取付けられ、釣り糸3が前記釣り竿5の先端部に絡まるのを防止するものであって、前記釣り竿5の先端部に着脱自在に組付く組付部10と、前記組付部10から垂下設され、所定長さを有する連結棒部20と、前記連結棒部20の下端に連結され、前記釣り竿5の先端から垂れ下がる釣り糸3を挿通する挿通部30とから構成されている。
【0008】
請求項2に記載の釣り糸の絡まり防止器具1は、釣り竿5の先端部に取付けられ、釣り糸3が前記釣り竿5の先端部に絡まるのを防止するものであって、前記釣り竿5の先端の糸通し輪具2に着脱自在に組付く組付部10と、前記組付部10から垂下設され、所定長さを有する連結棒部20と、前記連結棒部20の下端に連結され、前記釣り竿5の先端から垂れ下がる釣り糸3を挿通する円形状の挿通部30とから構成されている。
【0009】
そして、前記組付部10を、前記連結棒部20の上端に連設する円弧状の円弧部11と、当該円弧部の末端から、前記連結棒部20とで略ハの字を形成するように延設した延設部12と、前記連結棒部20に昇降自在に嵌合する円筒形状で、前記延設部12に前記連結棒部20と共に嵌合して前記円弧部を縮径して円形状とし、前記糸通し輪具2に強固に組付ける円筒部13とで構成されている。また、前記円筒部13を除く部分は、弾性に富む針金状の金属線で形成されている。
【0010】
請求項3に記載の釣り糸の絡まり防止器具1は、挿通部30を、連結棒部20より左右一方側に寄せて形成し、かつ、その開口空間部31を上向きに形成して構成されている。この上向きには、斜め上向きも含まれる。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の釣り糸の絡まり防止器具1は、釣り竿5の先端の糸通し輪具2に着脱自在に組付く組付部10と、その組付部10から垂下設され、所定長さを有する連結棒部20と、当該連結棒部20の下端に連結され、釣り竿5の先端から垂れ下がる釣り糸3を挿通する挿通部30とで構成したので、釣り糸3が釣り竿5の先端部に絡まるのを未然に防止することができる。
【0012】
すなわち、釣り竿5の先端から垂れ下がった状態の釣り糸3は、絡まり防止器具1の挿通部30を挿通しており、この挿通部30は、連結棒部20のはたらきによって釣り竿5から所定長さ離れた位置に存在する。従って、風邪などの影響で釣り糸3が揺れた場合、その揺れは釣り竿5の先端ではなく、釣り竿5から所定長さ離れた挿通部30を支点として生じる。そのため、釣り糸3が揺れても、当該釣り糸3は釣り竿5の先端部に達することがなく、よって、当該先端部に絡まることがない。
【0013】
請求項2に記載の釣り糸の絡まり防止器具1は、請求項1に記載の発明と同様に、釣り糸3が釣り竿5の先端部に絡まるのを未然に防止することができる。
【0014】
また、組付部10を、円弧部11と延設部12と円筒部13で形成したので、糸通し輪具2に容易に取付けることができる。すなわち、円弧部11を糸通し輪具2の先端部に嵌め込んだ後、連結棒部20に嵌合している円筒部13を押し上げて延設部12も嵌合することによって、円弧部11を縮径して円形状とし、糸通し輪具2に強固に組付けることができる。こうした作用は、円筒部13を除く部分を、弾性に富む針金状の金属線で形成していることによって円滑に達成される。なお、円筒部13を除く部分を針金状の金属線で形成しているので、強度に優れると共に軽量であり、その取扱いも容易である。
【0015】
なお、組付部10の取り外しは、円筒部13を押し下げて延設部12を開放し、円弧部11を原形に復帰させた後、糸通し輪具2から引き抜くことによって容易に行うことができる。
【0016】
請求項3に記載の釣り糸の絡まり防止器具1は、請求項1および2に記載の発明と同様の効果を発揮する。また、挿通部30を、連結棒部20より左右一方側に寄せて形成しているので、釣り竿5の先端から垂れ下がった釣り糸3は、連結棒部20と干渉すること当該挿通部30を挿通する。従って、釣り糸3を放つ際や巻取る際に、当該連結棒部20を含む絡まり防止器具1がその邪魔になることがない。
【0017】
さらに、挿通部30の開口空間部31を上向きに形成しているので、釣り糸3が挿通部30の枠部32に干渉することなく円滑に通過できる。従って、釣り糸3を放つ際や巻取る際に、釣り糸3が挿通部30の枠部32に当たって、それらの動作の邪魔になるといったことがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明に係る釣り糸の絡まり防止器具1の実施形態を、図2乃至図5に示す。これは、釣り竿(投げ竿)5の先端の糸通し輪具2に取付けられ、釣り糸3が釣り竿5の先端部に絡まるのを防止する器具1であって、組付部10、連結棒部20および挿通部30とで構成される。
【0019】
組付部10は、釣り竿5の先端部に着脱自在に組付くものである。また、連結棒部20は、組付部10から垂下設され、所定長さを有する。さらに、挿通部30は、連結棒部20の下端に連結され、釣り竿5の先端から垂れ下がる釣り糸3をその開口空間部31に挿通する。なお、当該防止器具1の大きさは限定されるものではなく、釣り竿5の大きさによって変わるが、本実施形態では、組付部10の径を10mm程度、連結棒部20の長さを80mm程度、挿通部30の経を5mm程度とし、全体の長さを100mm程度としている。
【0020】
そして、組付部10を、連結棒部20の上端に連設する円弧状の円弧部11と、その円弧部11の末端から、連結棒部20とで略ハの字を形成するように延設した延設部12と、連結棒部20に昇降自在に嵌合する円筒形状の円筒部13とで構成している。この円筒部13は、延設部12に連結棒部20と共に嵌合して円弧部11を縮径して円形状とし、釣り竿5の先端部に強固に組付けるものである。なお、円筒部13はゴムや樹脂などの軟質材で形成し、当該円筒部13を除く部分は、弾性に富む針金状の一本の金属線で一体成形している。
【0021】
さらに、挿通部30を、連結棒部20より左側(または右側)に寄せて形成し、かつ、その開口空間部31を斜め上向きに傾斜させている。
【0022】
本実施形態に係る釣り糸の絡み防止器具1は、次のようにして使用する。まず、組付部10を、その円筒部13を連結棒部20に嵌合した状態で降下させて延設部12を開放し、当該延設部12と円弧部11との間に形成される開口受入部14から釣り竿5の先端の糸通し輪具2に嵌合する。次に、当該絡み防止器具1の取付け位置を調整した後、円筒部13を押し上げて延設部12に連結棒部20と共に嵌合する。これによって、円弧部11が縮径されて円形状となり、糸通し輪具2に強く嵌合して組付く。なお、挿通部30の開口空間部31には、組付部10を釣り竿5に取付ける前、あるいは取付けた後のいずれかにおいて、釣り糸3を挿通する。
【0023】
こうして釣り竿5の先端部に取付けた釣り糸の絡まり防止器具1によって、釣り糸3が釣り竿5の先端部に絡まるのを未然に防止することができる。すなわち、釣り竿5の先端から垂れ下がった釣り糸3は、絡まり防止器具1の挿通部30を挿通しており、この挿通部30は、連結棒部20の作用によって釣り竿5から所定長さ離れた位置に位置している。従って、例えば、風邪の影響で釣り糸3が揺れても、その揺れは釣り竿5の先端ではなく、釣り竿5から所定距離離れた箇所に位置する挿通部30を支点として行われる。そのため、揺れた釣り糸3は、釣り竿5の先端部に達することがなく、よって、当該先端部に絡まることがない。
【0024】
また、本実施形態に係る釣り糸の絡まり防止器具1は、挿通部30を、連結棒部20より左側(または右側)に寄せて形成しているので、釣り竿5の先端から垂れ下がった釣り糸3がこの連結棒部20と干渉することなく当該挿通部30を挿通する。従って、釣り糸3を放つ際や巻取る際に、この絡まり防止器具1が邪魔になることがない。
【0025】
さらに、挿通部30の開口空間部31を釣り竿5の方向に向けているので、釣り糸3が挿通部30の開口空間部31に、その枠部32に干渉することなく円滑に通過できる。従って、釣り糸3を放つ際や巻取る際に、釣り糸3が枠部32に当たって、それらの動作の邪魔になることもない。
【0026】
なお、この釣り糸の絡み防止器具1は、円筒部13を除く部分を、弾性に富む一本の針金状の金属線で一体成形しているので、強度に優れると共に軽量であり、その取扱いも容易である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】釣り糸の絡み防止器具を取付けていない釣り竿を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る釣り糸の絡み防止器具を示す斜視図である。
【図3】図2に示す絡み防止器具を示すもので、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図4】図2に示す絡み防止器具の組付部の動きを示す正面図である。
【図5】図4(右側の図)のA−A線断面図である。
【符号の説明】
【0028】
1 釣り竿の絡み防止器具
2 糸通し輪具
3 釣り糸
4 おもり
5 釣り竿
10 組付部
11 円弧部
12 延設部
13 円筒部
14 開口受入部
20 連結棒部
30 挿通部
31 開口空間部
32 枠部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
釣り竿(5)の先端部に取付けられ,釣り糸(3)が前記釣り竿の先端部に絡まるのを防止する器具であって、前記釣り竿の先端の糸通し輪具(2)に着脱自在に組付く組付部(10)と、前記組付部から垂下設され,所定長さを有する連結棒部(20)と、前記連結棒部の下端に連結され,前記釣り竿の先端から垂れ下がる釣り糸を挿通する挿通部(30)とからなる釣り糸の絡まり防止器具。
【請求項2】
釣り竿(5)の先端部に取付けられ,釣り糸(3)が前記釣り竿の先端部に絡まるのを防止する器具であって、前記釣り竿の先端の糸通し輪具(2)に着脱自在に組付く組付部(10)と、前記組付部から垂下設され,所定長さを有する連結棒部(20)と、前記連結棒部の下端に連結され,前記釣り竿の先端から垂れ下がる釣り糸を挿通する円形状の挿通部(30)とからなり、前記組付部を,前記連結棒部の上端に連設する円弧状の円弧部(11)と,該円弧部の末端から,前記連結棒部とで略ハの字を形成するように延設した延設部(12)と,前記連結棒部に昇降自在に嵌合する円筒形状で,前記延設部を前記連結棒部と共に嵌合して前記円弧部を縮径して円形状とし,前記糸通し輪具(2)に強固に組付ける円筒部(13)とで構成し、前記円筒部を除く部分を,弾性に富む針金状の金属線で形成してなる釣り糸の絡まり防止器具。
【請求項3】
挿通部(30)を、連結棒部(20)より左右一方側に寄せて形成し、かつ、その開口空間部(31)を上向きに形成してなる請求項1または2に記載の釣り糸の絡まり防止器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−295837(P2007−295837A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−126079(P2006−126079)
【出願日】平成18年4月28日(2006.4.28)
【出願人】(506149276)
【Fターム(参考)】