説明

釣用エプロン

【課題】釣りの際の動き易さを確保し、釣人の臀部及びその周辺を保護し、釣用小物を収容して快適な釣りを実現する釣用エプロンの提供。
【解決手段】この釣用エプロン10はエプロン本体11を備え、釣人の腰に巻き付けられる。エプロン本体11は、所定肉厚のクロロプレンゴムシートからなる。エプロン本体11に面ファスナー及びバックル13が設けられ、釣用エプロン10が確実に釣人の腰に巻かれる。釣人の腰部、臀部、大腿部は、釣用エプロン10によって保護される。釣用エプロン10は、ポケット14、15及び内ポケット16を備える。ポケット14、15は、釣道具を収容する。内ポケット16は、発熱体等を収容する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば磯釣り等に使用されるエプロンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
たとえば磯釣りでは、釣人は磯の上から釣りを行うが、休息時等には磯(岩)に腰掛けることがある。一般に磯の表面は鋭利に尖っており、釣人が磯に安易に腰掛けた場合には衣類(釣用ウェア等)が損傷を受けてしまうこともある。そのため、従来から、釣人の臀部及びウェアを保護するためのヒップガードが提案されている(たとえば、特許文献1〜特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−13540号公報
【特許文献2】特開2006−169695号公報
【特許文献3】特開2005−42233号公報
【特許文献4】特開2004−232152号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなヒップガードは、釣人の腰部、臀部及び大腿部を包み込むような構造を有するため、釣人は、着用時の違和感を否めなかった。しかし、磯釣り等では、釣人にとってウェアも含めて動きやすい装備であることがきわめて重要である。また、従来のヒップガードは、機能が優先されるあまり、釣人の臀部及びウェアの保護以外の機能を備えていなかった。ところが、磯釣りでは、釣糸、釣針、ウキ、その他仕掛け用小物、ラインカッター、針外し、プライヤー等、さまざまな道具が必要である。そして、釣人は、これらの道具を所要時に直ぐに使用することができるように携帯することが重要である。
【0005】
本発明はこのような背景のもとになされたものであり、その目的は、釣りの際の動きやすさを犠牲にすることなく釣人の臀部およびその周辺を保護すると共に、実釣に要求される釣用小物類を装備して快適な釣りを実現する釣用エプロンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1) 本発明に係る釣用エプロンは、上縁部を有し、当該上縁部が釣人の腰部に巻き付けられることによって当該釣人の腰部、臀部及び大腿部を囲繞するシート状のエプロン本体を備える。上記上縁部に、上記エプロン本体が上記釣人の腰部に巻き付けられた状態を保持する面ファスナー並びにソケット及びスタッドを有するバックルが設けられている。上記エプロン本体は、クロロプレンゴムを含み、釣用小物を収容することができるポケットが設けられている。
【0007】
この構成によれば、釣用エプロンは、いわゆる巻きスカートのようにして釣人に装着される。すなわち、エプロン本体が釣人の腰部に巻き付けられる。エプロン本体は面ファスナーを備えているから、エプロン本体が釣人の腰部に巻き付けられた状態が保持される。さらに、この状態でソケットにスタッドが嵌め込まれることにより、エプロン本体は、確実に釣人の腰部に巻き付いた状態が維持され、釣人の腰部、臀部及び大腿部は、エプロン本体によって囲繞される。このエプロン本体はクロロプレンゴムを含んでいるから、緩衝材として機能する。したがって、釣人が磯に腰を下ろしたとしても、釣人の臀部およびその周辺が保護される。しかも、エプロン本体がポケットを備えているから、これに釣用小物等が収容される。
【0008】
(2) 上記ポケットは、釣人の手を収容することができる容量を備えているのが好ましい。
【0009】
この構成では、たとえば冬季の実釣において、釣人は手を温めることができる。
【0010】
(3) 上記エプロン本体の内側に開閉用ファスナーを備えた内ポケットが設けられていてもよい。
【0011】
この構成では、内ポケットにたとえば発熱体が収容されることにより、釣人は、冬季の実釣における防寒対策を施すことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、釣用エプロンが巻きスカートのように着用されるので、実釣において釣人はきわめて動きやすい。しかも、エプロン本体が緩衝材として機能するので、磯釣りにおいて安全が確保される。さらに、釣人は、エプロン本体のポケットに釣用小物を収容して常に携帯することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る釣用エプロンの正面図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態に係る釣用エプロンの背面図である。
【図3】図3は、本発明の一実施形態に係る釣用エプロンの展開図である。
【図4】図4は、本発明の一実施形態に係る釣用エプロンの斜視図である。
【図5】図5は、本発明の一実施形態に係る釣用エプロンの装着要領を示す斜視図である。
【図6】図6は、本発明の一実施形態に係る釣用エプロンの腰部拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。なお、本実施形態は本発明の一実施態様にすぎず、本発明の要旨が変更されない範囲で実施態様が変更され得る。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係る釣用エプロンの正面図であり、図2は背面図である。また、図3は、この釣用エプロンの展開図である。
【0016】
この釣用エプロン10は、たとえば磯釣りの際に使用される。釣用エプロン10は、図3が示すように、単一のシート状に形成されている。釣人は、釣用ウェアの上に釣用エプロン10を巻き付けることによって、これを着用する(図4参照)。
【0017】
釣用エプロン10は、シート状に形成されたエプロン本体11と、エプロン本体11に設けられた面ファスナー12及びバックル13とを備えている。また、このエプロン本体11にポケット14、15及び内ポケット16が設けられている。
【0018】
エプロン本体11は、クロロプレンゴムシートとジャージーとを備える。このジャージーはたとえばナイロンからなり、クロロプレンゴムシートの表裏に貼着されている。エプロン本体11を構成するクロロプレンゴムシートの肉厚は、2.5mmに設定されている。ただし、この肉厚寸法は、1.0mm〜10.0mmの範囲で適宜変更され得る。クロロプレンゴムシートの肉厚が上記寸法に設定されることにより、エプロン本体11が緩衝材として機能する。しかも、上記ジャージーが設けられることにより、見栄え、手触りがきわめて良くなる。
【0019】
図4は、釣人が釣用エプロン10を装着した状態を示す斜視図である。
【0020】
釣人が釣用エプロン10を装着した状態で、エプロン本体11の上縁部17は、釣人の腰部に沿って当該腰部を取り囲む。
【0021】
図5は、釣用エプロン10が装着される要領を示す斜視図である。
【0022】
すなわち、釣人は、釣用エプロン10を図3が示す状態で手に持ち、図5が示すように自己の腰部に巻き付ける。エプロン本体11は、上記面ファスナー12が設けられている。この面ファスナー12は、フックテープ18とループテープ19とを有する。フックテープ18は、エプロン本体11の上縁部17の一端部20に配置されており、エプロン本体11の表面に露出している。ループテープ19は、上記上縁部17の他端部21側に設けられており、当該上縁部17に沿って上記一端部19側へ延びている。釣人は、図5が示すように、釣用エプロン10を装着する際に、フックテープ18の上にループテープ19を重ねるようにして両者を接着する。このとき、エプロン本体11がクロロプレンゴムシートからなるので、釣用エプロン10は弾性に富む。したがって、釣人は、自己のウエストサイズに合わせて釣用エプロン10を腰部に巻き付けることができる。この面ファスナー12により、釣用エプロン10は、釣人の腰部に仮保持される。
【0023】
図1ないし図3が示すように、エプロン本体11の上縁部17にバックル13が設けられている。このバックル13は、既知の構造であって、ソケット22及びスタッド23を備えている。スタッド23がソケット22に嵌め込まれることによって両者が結合する。釣人がスタッド23を摘むことにより、簡単に両者の結合が解除される。本実施形態では、スタッド23は、ベルト24を介してエプロン本体11に取り付けられている。このベルト24の長さは調整され得る。前述のように、釣用エプロン10が面ファスナー12によって釣人の腰部に仮保持された状態で(図5参照)、スタッド23がソケット22に嵌め込まれる(図4参照)。上記ベルト24の長さが釣人のウエストサイズに合わせて調整されることにより、釣用エプロン10は、バックル13を介して釣人の体格に合わせて確実に装着される。なお、図2が示すように、エプロン本体11の上縁部17にベルト係止用リング25が設けられている。長さが調整されたベルト24は、このベルト係止用リング25に挿入され、保持される。
【0024】
図1及び図3が示すように、釣用エプロン10は、上記ポケット14、15を備えている。ポケット14は、図4が示すように、釣人にとって身体の右側に配置されており、ポケット15は身体の左側に配置されている。これらポケット14、15は、エプロン本体11の表面に生地が縫い付けられることにより構成されている。ポケット14、15を形成する生地は、エプロン本体11を構成する生地と同様であり、クロロプレンゴムシートである。
【0025】
実釣において必要とされる釣糸、釣針、錘、針外し、ギャフ、ウキその他の仕掛用小物等は、ポケット14、15に収容される。本実施形態では、ポケット14は2つに分割されており、釣人は、上記釣道具を整理して収容することができる。ポケット14、15の大きさは適宜設計変更され得る。本実施形態では、各ポケット14、15の大きさ(容量)は、釣人の手が収容される程度に設定されている。
【0026】
ポケット14は2分割されていなくてもよい。また、エプロン本体11にフックその他の釣道具を係止するための係止具が設けられていてもよい。この係止具にプライヤ、針外し、タオル、ヤエン、ルアー等のさまざまな釣道具が係止される。これにより、釣人は、実釣においてさまざまな釣道具を携帯することができる。
【0027】
図6は、上記エプロン本体11の腰部拡大斜視図である。同図は、上記内ポケット16の構造を詳細に示している。
【0028】
この内ポケット16は、エプロン本体11の上縁部17に設けられている。ただし、この内ポケット16は、上記上縁部17の内側に配置されている。本実施形態では、内ポケット16は、上記上縁部17の中央部に配置されている。したがって、釣人が釣用エプロン10を装着した状態で(図4参照)、内ポケット16が釣人の腰部とエプロン本体11との間に挟み込まれた状態となる。図6が示すように、内ポケット16の開口縁部26に面ファスナー27(本発明における「開閉用ファスナー」の一例)が設けられている。この面ファスナー27は、上記面ファスナー12と同様にフックテープ及びループテープを備えており、これらが接着することによって内ポケット16の開口が閉じられる。面ファスナー27が開かれれることにより(図6参照)、内ポケット16が開く。
【0029】
本実施形態に係る釣用エプロン10は、いわゆる巻きスカートのようにして釣人の腰に装着されるので、実釣において釣人はきわめて動きやすい。また、エプロン本体に面ファスナー12及びバックル13が設けられているから、釣人が磯で激しい運動をしても、釣用エプロン10は確実に釣人の身体にフィットし、釣人の腰部、臀部及び大腿部を囲繞し保護する。この釣用エプロン10は、クロロプレンゴムシートから構成されるので、前述のように緩衝材として機能する。したがって、釣人が磯に腰を下ろしたとしても、あるいは磯に身体を接触させたとしても、釣人の臀部およびその周辺が保護され、釣人の安全が確保される、しかも、釣用エプロン10が上記ポケット14、15を備えているから、釣人は、さまざまな釣道具を携帯することができる。加えて、従来のヒップガードは、いわゆる「おむつ」を連想させる形態であって、釣人から敬遠される傾向にあったが、本実施形態に係る釣用エプロン10は、機能的且つスタイリッシュであり、釣りをさらに楽しくするものである。
【0030】
本実施形態では、ポケット14、15は、釣人の手を収容することができるので、たとえば冬季の磯釣りにおいて、釣人は手を温めることができるという利点がある。また、釣用エプロン10は、上記内ポケット16を備えており、釣人は、内ポケット16に発熱体等を収容することができる。これにより、釣人は、冬季の実釣において防寒対策をすることができ、快適な釣りが可能である。
【符号の説明】
【0031】
10・・・釣用エプロン
11・・・エプロン本体
12・・・面ファスナー
13・・・バックル
14・・・ポケット
15・・・ポケット
16・・・内ポケット
17・・・上縁部
18・・・フックテープ
19・・・ループテープ
22・・・ソケット
23・・・スタッド
27・・・面ファスナー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上縁部を有し、当該上縁部が釣人の腰部に巻き付けられることによって当該釣人の腰部、臀部及び大腿部を囲繞するシート状のエプロン本体と、
上記上縁部に設けられ、上記エプロン本体が上記釣人の腰部に巻き付けられた状態を保持する面ファスナー並びにソケット及びスタッドを有するバックルを備え、
上記エプロン本体は、クロロプレンゴムを含み、釣用小物を収容することができるポケットが設けられている釣用エプロン。
【請求項2】
上記ポケットは、釣人の手を収容することができる容量を備えている請求項1に記載の釣用エプロン。
【請求項3】
上記エプロン本体の内側に開閉用ファスナーを備えた内ポケットがさらに設けられている請求項1又は2に記載の釣用エプロン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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