説明

釣竿及びその製造方法

【課題】遊動釣糸ガイドの竿体に対する回転を防止することができる釣竿及びその製造方法を提供する。
【解決手段】継合可能に構成された複数の竿体10に釣糸を案内する複数の遊動釣糸ガイド20が装着される釣竿において、複数の竿体10の複数の遊動釣糸ガイド20をそれぞれ装着する外周面11の所定区域12に、それぞれ遊動釣糸ガイド20を係止する複数の凸部121を不連続的に設ける。その製造方法は、竿体10における外周面11の所定区域12に凸部121が複数設けられるように印刷する印刷工程と、所定区域12を加熱して凸部121を硬化させる硬化工程とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣竿及びその製造方法に関し、特に遊動釣糸ガイドの竿体表面での回転を防止することができる釣竿及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一本型であれ、継合型であれ、現在の釣竿は、通常、釣糸を案内する遊動釣糸ガイドが少なくとも一基装着される竿体を主体としている。この竿体は、従来では、成型されてから、表面粗化され、塗装されてなるのである。しかし、竿体は通常断面円形のものであるうえ、釣りに際しても釣糸の張力により遊動釣糸ガイドには回転力がかかるので、遊動釣糸ガイドが竿体の粗化だけ施された表面の摩擦抵抗に阻まれえず回転し始める。また、竿体そのものや遊動釣糸ガイド、継合部位などに釣糸が絡んだりして、切れることが多い。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記問題に鑑みて、本発明は、その遊動釣糸ガイドが竿体にしっかりと係止保持され、釣りをする際に竿体に対して回転しにくい釣竿及びその製造方法を提供しようとすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記課題を解決するために、本発明は、竿体に釣糸を案内する遊動釣糸ガイドが装着される釣竿において、前記竿体の前記遊動釣糸ガイドを装着する外周面の所定区域に、前記遊動釣糸ガイドを係止する複数の凸部を設けたことを特徴とする釣竿を提供する。
【0005】
具体的に言えば、本発明は、継合可能に構成された複数の竿体に釣糸を案内する複数の遊動釣糸ガイドが装着される釣竿において、前記複数の竿体の前記複数の遊動釣糸ガイドをそれぞれ装着する外周面の所定区域に、それぞれ前記遊動釣糸ガイドを係止する複数の凸部を不連続的に設けたことを特徴とする釣竿を提供する。
【0006】
また、本発明は、竿体における外周面の所定区域に凸部を複数設けるように印刷する印刷工程と、前記所定区域を加熱して前記凸部を硬化させる硬化工程と、を備えることを特徴とする釣竿の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0007】
前記本発明によれば、釣竿における竿体の遊動釣糸ガイドを装着する外周面の所定区域に、遊動釣糸ガイドを係止する複数の凸部が不連続的に設けられているので、遊動釣糸ガイドが竿体にしっかりと係止保持され、遊動釣糸ガイドの竿体に対する回転を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る釣竿及びその製造方法の実施形態を説明する。なお、以下の説明には、類似した部材について同一の符号を付与することにする。
【0009】
図1は本発明の釣竿における竿体の部分断面正面図であり、図2は本発明の釣竿における竿体と遊動釣糸ガイドとの装着関係を示す正面図であり、図3は図2における3−3線断面図である。
【0010】
本発明の実施形態としての釣竿は、一本型の釣竿として形成されても良く、継合型の釣竿として形成されても良いが、継合型の釣竿として形成される場合には、その竿体全体は、長手方向に沿って継合可能な複数の竿体10から構成されている。複数の竿体10には、そうでないものも偶にあるが、その多くは、釣糸を案内する遊動釣糸ガイド20を遊動可能に装着され得るように構成されている。即ち、この実施形態としての釣竿は、その竿体全体に釣糸を案内する遊動釣糸ガイド20が少なくとも1つ、好ましくは複数装着されるものである。
【0011】
図1及び図3を併せて参照してみると、釣糸を案内する遊動釣糸ガイド20が装着される竿体10の外周面11には、遊動釣糸ガイド20を装着する所定区域12がある。この所定区域12には、遊動釣糸ガイド20を係止する複数の凸部121が竿体10の外周面11から外へと突出するように設けられている。図示のように、この複数の凸部121は竿体10の円周方向において不連続的になっているが、場合によっては、竿体10の軸線方向Lにおいて不連続的になっていても良い。つまり、複数の凸部121は、少なくとも竿体10の軸線方向L又は円周方向において不連続的になっていれば良い。また、本実施形態では、図1に示すように、凸部121の表面を含めた所定区域12は、すべて塗装層13Aに覆われている。但し、図4に示すように、凸部121の表面でなく凸部121と外周面11との間の部分を含めた所定区域12が、塗装層13Bに覆われるようになっていても良い。
【0012】
この例においては、凸部121は、インキ(例えば台湾明太印刷機械株式会社の商品「SCREEN PRINTING INK 670A/670B」)からなったものである。また、複数の凸部121は、いずれも、0.15〜0.30mmの範囲内の高さと0.50〜1.00mmの範囲内の直径を有する部分的な球状体になっている。
【0013】
図2及び図3に示すように、竿体10に装着される遊動釣糸ガイド20は、正面視がレバーのような二端部を有するようになっており、その一端部は竿体10に装着される装着筒21となり、他端部は釣糸を案内するガイドリング22になっている。図3に詳細に示すように、装着筒21の内周面211、即ち竿体10の外周面11における所定区域12と接触する面には、前記複数の凸部121と離脱可能に係止する複数の凹部212が形成されている。
【0014】
前記構成によれば、遊動釣糸ガイド20の装着筒21における複数の凹部212が、竿体10の所定区域12にある複数の凸部121に係止され得るので、遊動釣糸ガイド20は竿体10にしっかりと回転不可能に保持される。そのため、釣りに際して釣糸の張力により遊動釣糸ガイド20に回転力がかかる時、遊動釣糸ガイド20の竿体10に対する回転を防止することができ、竿体10そのものや遊動釣糸ガイド20、継合部位などに釣糸が絡んだり、切れたりすることを防ぐことができる。
【0015】
次に、本発明に係る釣竿、特にその竿体10の製造方法の実施形態を2つ説明する。その1つは、図1に示す竿体を製造する第1の実施形態であり、他の1つは、図4に示す竿体を製造する第2の実施形態である。
【0016】
第1の実施形態の方法を図5のフローチャートに照らして説明すると、まず、竿体10が成型された後、竿体10の遊動釣糸ガイド20を装着する位置に対応して所定区域12を決めた後、竿体10の外周面11を粗化させる(第1工程)。
【0017】
そして、鋼板の転写印刷で竿体10の外周面11における所定区域12に凸部121が複数突出して設けられるように印刷する(第2工程)。
【0018】
そして、65℃〜85℃の温度で、前記所定区域12を加熱して、凸部121を硬化させる(第3工程)。
【0019】
そして、凸部121の表面を含めた所定区域12に対し、すべてペンキを塗って、塗装層13Aを形成する(第4工程)。
【0020】
また、第2の実施形態の方法を図6のフローチャートに照らして説明すると、まず、竿体10が成型された後、竿体10の遊動釣糸ガイド20を装着する位置に対応して所定区域12を決めた後、竿体10の外周面11を粗化させる(第一工程)。
【0021】
そして、前記竿体10の外周面11に対し、すべてペンキを塗って、塗装層13Bを形成する(第二工程)。
【0022】
そして、鋼板の転写印刷で竿体10の外周面11における所定区域12に凸部121が複数突出して設けられるように印刷する(第三工程)。
【0023】
そして、65℃〜85℃の温度で、前記所定区域12を加熱して、凸部121を硬化させる(第四工程)。
【0024】
これらの製造方法によれば、簡単な工程で遊動釣糸ガイド20が竿体10にしっかりと係止保持され、釣りをする際に竿体10に対して回転しにくい釣竿を製造することができる。従って、竿体10そのものや遊動釣糸ガイド20、継合部位などに釣糸が絡んだり、切れたりすることを防ぐことができると共に、釣竿の使用耐久性もより長く延ばすことができる。
【0025】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定して狭義に解釈されるものではなく、本発明の精神の範囲内において種々の変形や変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施形態に係る釣竿における竿体の部分断面正面図。
【図2】本発明の釣竿における竿体と遊動釣糸ガイドとの装着関係を示す正面図。
【図3】図2における3−3線断面図。
【図4】本発明の釣竿における竿体の部分断面正面図。
【図5】第1実施形態の釣竿の製造方法を説明するためのフローチャート。
【図6】第2実施形態の釣竿の製造方法を説明するためのフローチャート。
【符号の説明】
【0027】
10…竿体
11…外周面
12…所定区域
121…凸部
13A,13B…塗装層
20…遊動釣糸ガイド
21…装着筒
211…内周面
212…凹部
22…ガイドリング
L…軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
竿体に釣糸を案内する遊動釣糸ガイドが装着される釣竿において、
前記竿体の前記遊動釣糸ガイドを装着する外周面の所定区域に、前記遊動釣糸ガイドを係止する複数の凸部を設けたことを特徴とする釣竿。
【請求項2】
継合可能に構成された複数の竿体に釣糸を案内する複数の遊動釣糸ガイドが装着される釣竿において、
前記複数の竿体の前記複数の遊動釣糸ガイドをそれぞれ装着する外周面の所定区域に、それぞれ前記遊動釣糸ガイドを係止する複数の凸部を不連続的に設けたことを特徴とする釣竿。
【請求項3】
前記各遊動釣糸ガイドの前記所定区域と接触する面に、前記複数の凸部と離脱可能に係止する複数の凹部を設けたことを特徴とする請求項2に記載の釣竿。
【請求項4】
前記各竿体の前記所定区域にある複数の凸部は、少なくとも当該竿体の軸線方向に対して不連続的になっていることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の釣竿。
【請求項5】
前記各竿体の前記所定区域にある複数の凸部は、少なくとも当該竿体の円周方向に対して不連続的になっていることを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれか1項に記載の釣竿。
【請求項6】
前記複数の凸部は、いずれも部分的な球状体になっていることを特徴とする請求項2乃至請求項5のいずれか1項に記載の釣竿。
【請求項7】
前記凸部の表面を含めた前記所定区域は、すべて塗装層で覆われていることを特徴とする請求項2乃至請求項6のいずれか1項に記載の釣竿。
【請求項8】
前記凸部と前記外周面との間の部分を含めた前記所定区域は、すべて塗装層に覆われていることを特徴とする請求項2乃至請求項6のいずれか1項に記載の釣竿。
【請求項9】
前記凸部は、インキからなったものであることを特徴とする請求項2乃至請求項8のいずれか1項に記載の釣竿。
【請求項10】
前記凸部は、0.15〜0.30mmの範囲内の高さと0.50〜1.00mmの範囲内の直径を有することを特徴とする請求項6に記載の釣竿。
【請求項11】
竿体における外周面の所定区域に凸部を複数設けるように印刷する印刷工程と、
前記所定区域を加熱して前記凸部を硬化させる硬化工程と、
を備えることを特徴とする釣竿の製造方法。
【請求項12】
前記印刷工程の前に、前記竿体の遊動釣糸ガイドを装着する位置に対応して前記所定区域を決めた後、粗化させる粗化工程を備えることを特徴とする請求項11に記載の釣竿の製造方法。
【請求項13】
前記硬化工程の後に、前記所定区域に対してペンキを塗る塗装工程を備えることを特徴とする請求項11又は請求項12に記載の釣竿の製造方法。
【請求項14】
前記粗化工程と前記印刷工程の間に、前記所定区域に対してペンキを塗る塗装工程を備えることを特徴とする請求項11又は請求項12に記載の釣竿の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−125465(P2008−125465A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−315796(P2006−315796)
【出願日】平成18年11月22日(2006.11.22)
【出願人】(502045530)
【Fターム(参考)】