釣竿玩具
【課題】 魚を釣りあげる疑似体験を堪能できる安価な釣竿玩具を提供すること。
【解決手段】 回転操作可能なハンドル4が付設された玩具本体1と、玩具本体1の先端側に付設され当該玩具本体1に対して竿先が上下動可能に構成された竿部2と、玩具本体1の後端側に付設されプレイヤーが握持可能なグリップ部3と、モータMと、モータMの動力によって竿部2の竿先を上下動させる竿部動作機構100と、モータMの動力によって動作して摩擦によって竿部2の竿先の上下方向位置に応じた回転抵抗をハンドル4に付与する抵抗調整手段400と、を備える。
【解決手段】 回転操作可能なハンドル4が付設された玩具本体1と、玩具本体1の先端側に付設され当該玩具本体1に対して竿先が上下動可能に構成された竿部2と、玩具本体1の後端側に付設されプレイヤーが握持可能なグリップ部3と、モータMと、モータMの動力によって竿部2の竿先を上下動させる竿部動作機構100と、モータMの動力によって動作して摩擦によって竿部2の竿先の上下方向位置に応じた回転抵抗をハンドル4に付与する抵抗調整手段400と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は釣竿玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、玩具本体と、可撓性を有する竿部と、該竿部を振る動作をプレイヤーが行うために握るグリップ部と、モータと、上記竿部を撓ませる駆動機構(竿部動作機構)と、回転操作可能なハンドルと、ハンドルの回転を検出する回転検出部と、上記駆動機構を制御する制御装置とを備える釣竿玩具が知られている(例えば、特許文献1)。
ところで、実際の釣りにあっては、魚が食い付いた場合には、釣り糸が魚によって引っ張られるので、ハンドルが重くなるのが普通である。
しかし、この釣竿玩具では、竿部が撓んだ場合つまり魚が食い付いた場合であっても、ハンドルの重さは一定に維持されることから、釣りの疑似体験が十分に堪能できないという問題がある。
一方、フィッシングゲームシステムにおいて、ハンドルの回転抵抗を変化させる抵抗調整手段を設けたものが知られている(例えば、特許文献2)。
このフィッシングゲームシステムでは、竿部が撓んだ場合つまり魚が食い付いた場合には、ハンドルの重さが変化することから、釣りの疑似体験が十分に堪能できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−254346号公報
【特許文献2】特開平11−226261号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献2に記載の技術では、電磁ブレーキによって抵抗調整手段を構成しているため、高価なものとなってしまう。
【0005】
本発明は、上記問題点を解消するためなされたもので、魚を釣りあげる疑似体験を堪能できる安価な釣竿玩具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、
回転操作可能なハンドルが付設された玩具本体と、
前記玩具本体の先端側に付設され当該玩具本体に対して竿先が上下動可能に構成された竿部と、
前記玩具本体の後端側に付設されプレイヤーが握持可能なグリップ部と、
モータと、
前記モータの動力によって前記竿部の竿先を上下動させる竿部動作手段と、
前記モータの動力によって動作して摩擦によって前記竿部の竿先の上下方向位置に応じた回転抵抗を前記ハンドルに付与する抵抗調整手段と、
を備えることを特徴とする釣竿玩具である。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の釣竿玩具において、
前記抵抗調整手段は、
前記モータの動力によって第1の軸を中心に回転動作する板カムと、
前記板カム近くの第2の軸を中心に回転動作可能に設けられ外周が当該板カムの外周に対して摺動しその摺動によって当該第2の軸が移動可能に構成された円板と、
前記第2の軸を付勢して前記円板の外周を前記板カムの外周に押し当てる付勢手段と、
前記円板と前記ハンドルとを連結する回転動力伝達手段と、
を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載の釣竿玩具において、
前記竿部動作手段は、
前記モータの動力によって第3の軸を中心に回転動作する第1の回転体と、
前記第3の軸を中心に前記第1の回転体とは独立して回転可能に構成されると共に偏心位置に突起が付設された第2の回転体と、
前記第1の回転体と前記第2の回転体とを連結可能な一方向クラッチと、
前記突起に係合する長孔を有し当該突起と当該長孔との係合によって前記第2の回転体が回転した際に前記第3の軸と平行な第4の軸を中心に揺動する揺動体と、
初期状態にある前記第2の回転体が前記一方向クラッチによって連結され付勢力に抗して前記第1の回転体に追従して所定位置まで回転した際に、当該第2の回転体を付勢力によって前記第1の回転体よりも高速で回転させて初期状態に復帰させる付勢手段と、を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1から3に係る発明によれば、ハンドルに回転抵抗を付与する抵抗調整手段は、モータの動力によって動作して摩擦によって竿部の竿先の上下方向位置に応じた回転抵抗をハンドルに付与するので、電磁ブレーキ等の電気的な手段が不要となり、安価な釣竿玩具が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施形態に係る釣竿玩具の側面図である。
【図2】図1の釣竿玩具の平面図である。
【図3】図1の釣竿玩具の竿部が撓んだ状態を示す側面図である。
【図4】図1の釣竿玩具に設けられた組立体を右後方斜め上方から見た場合の斜視図である。
【図5】図4の組立体の右枠体を取り除いた状態を示す斜視図である。
【図6】図4の組立体における動力伝達部品を右後方斜め上方から見た場合の斜視図である。
【図7】図4の組立体における動力伝達部品を左後方斜め上方から見た場合の斜視図である。
【図8】図4の組立体の右枠体を取り除き且つ一部部品を取り除いた状態を示す右側面図である。
【図9】図4の組立体の中の回転検出手段の構成を示す右側面図である。
【図10】図4の組立体の中の竿部動作機構におけるクラッチ及びその周辺部品を一方向から見た場合の分解斜視図である。
【図11】図4の組立体の中の竿部動作機構におけるクラッチ及びその周辺部品を他方向から見た場合の分解斜視図である。
【図12】竿部が伸長しているときの図11のクラッチの状態を示す側面図である。
【図13】竿部が撓んでいるときの図11のクラッチの状態を示す側面図である。
【図14】図4の組立体の中の加振機構におけるクラッチ及びその周辺部品を一方向から見た場合の分解斜視図である。
【図15】図4の組立体の中の加振機構におけるクラッチ及びその周辺部品を他方向から見た場合の分解斜視図である。
【図16】図4の組立体の中の抵抗調整機構の構成を後方から見た図である。
【図17】図4の組立体の中の抵抗調整機構におけるカムのカム線図である。
【図18】図1の釣竿玩具の回路構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は実施形態に係る釣竿玩具の側面図、図2はその釣竿玩具の平面図、図3はその釣竿玩具の竿部が撓んだ状態を示す側面図である。
この釣竿玩具は、中間部に位置する玩具本体1と、この玩具本体1の先端側に付設された可撓性を有する竿部2と、玩具本体1の後端側に付設されたグリップ部3とを備える。そして、玩具本体1には、ハンドル4を有するリール部5と、ゲーム画面を表示する表示部6と、各種ボタン7a,7b,7c,7dとが設けられている。なお、ハンドル4は玩具本体1に対して着脱可能となっており、玩具本体1の左右に選択的に装着できるように構成されている。
【0012】
玩具本体1には、図4に示すように、各種部品を枠体101に組み付けてなる組立体10が設けられている。
この組立体10には、モータMと、このモータMの動力によって竿部2を撓ませる竿部動作機構(竿部動作手段)100(図6参照)と、モータMの動力によって玩具本体1を振動させる加振機構(加振手段)200と、ハンドル4を回転動作させるハンドル動作機構300と、ハンドル4に回転負荷を与える抵抗調整機構(抵抗調整手段)400とが配置されている。
【0013】
続いて、この組立体10の細部について説明する。
この組立体10には、図5から図7に示すように、動力源であるモータMが設置されている。このモータMとしては、ロータが一方向及び他方向に選択的に回転可能なモータが使用されている。なお、このモータMの電源としては、外部電源や、グリップ部3に設置される電池が使用される。
【0014】
上記竿部動作機構100は、図6及び図7に示すように、小径歯車111、大径歯車112、小径歯車113、大径歯車114、クラッチ115、回転体116、コイルスプリング117(図8及び図9参照)、揺動体118及び紐体119を備えている。
このうち小径歯車111はモータMのロータ軸に付設されている。この小径歯車111は隣に位置する大径歯車112に噛合している。大径歯車112はハンドル軸120に空転可能に付設されている。小径歯車113は、大径歯車112と軸心が合致するように当該大径歯車112の端面に固定して設けられている。この小径歯車113は隣に位置する大径歯車114に噛合している。大径歯車114と回転体116とは同軸に設けられている。そして、この大径歯車114と回転体116との間にはクラッチ115が設けられている。このクラッチ115の構造及び作用については後述する。
回転体116は、図8及び図11に示すように、端面の偏心位置に突起116aを有している。そして、この突起116aと枠体101との間には図12及び図13に示すようにコイルスプリング117が掛けられている。このコイルスプリング117の作用については上記クラッチ115の作用と共に後述する。
また、回転体116の突起116aは、図8、図12及び図13に示すように、回転体116の軸と平行で且つ当該回転体116の外方に位置する軸118aを中心に揺動可能な揺動体118の長孔118bに挿入されている。そして、揺動体118の自由端側には紐体119の後端が結合されている。この紐体119の前端は竿部2の先端に結合されている。
【0015】
ここで、上記クラッチ115の構造について説明する。
このクラッチ115は、図10及び図11に示すように、3個の爪部材130と、この3個の爪部材130に内周で噛み合う内周歯131aを有する爪車131とを備えている。後者の爪車131は回転体116と一体に構成されている。
3個の爪部材130は、一端に軸孔132を有し、この軸孔132は大径歯車114の端面に付設された軸133と嵌まり合っている。そして、この3個の爪部材130は、対応する軸133を中心に回動可能となっている。
この3個の爪部材130は、図12において、大径歯車114が時計方向に回転した際に爪車131の歯131aと重力作用によって噛み合う。したがって、大径歯車114の回転に伴って、コイルスプリング117の付勢力に抗して爪車131ひいては回転体116が同じ方向に回転する。これによって、揺動体118が軸118aを中心に時計方向に回転し、紐体119が玩具本体1側に引き込まれることから、竿部2が撓み始める。そして、コイルスプリング117の軸線が図13に示すように回転体116の中心に合致した後には、今度は、コイルスプリング117の付勢力によって爪車131ひいては回転体116が大径歯車114を追い越すように時計方向に急速に回転させられる。これによって、揺動体118が初期位置(図12の状態)に戻り、竿部2が再び伸長状態となる。
なお、3個の爪部材130は、図12において、大径歯車114が反時計方向に回転する際には、歯部131aに連なる斜面131bによって蹴り上げられるので、爪車131ひいては回転体116は図12の状態を維持する。その結果、この場合には、竿部2は伸長したままの状態を維持する。
【0016】
上記加振機構200は、図6及び図7に示すように、小径歯車111、大径歯車112、小径歯車211、クラッチ212及び回転体213を備えている。このうち小径歯車111及び大径歯車112は竿部動作機構100の構成部品と兼用されている。
ここで、小径歯車211は大径歯車112に噛合している。図14及び図14に示すように、回転体213は小径歯車211と同じ軸214に設けられている。そして、この小径歯車211と回転体213との間にはクラッチ212が設けられている。このクラッチ212の構造及び作用については後述する。
回転体213には重りホルダ241が付設されている。この重りホルダ241には偏心位置に3個の穴241aが形成されている。そして、この3個の穴241aには1個ずつ円柱状の重り240が嵌合している。
【0017】
ここで、上記クラッチ212の構造について説明する。
このクラッチ212は、図14及び図15に示すように、2個の爪部材230と、この爪部材230に内周で噛み合う内周歯231aを有する爪車231とを備えている。この爪車231は回転体213に構成されている。
2個の爪部材230は一端に軸孔232を有しており、この軸孔232は小径歯車211の端面に付設された軸233と嵌まり合っている。そして、2個の爪部材230は、対応する軸233を中心に回動可能となっている。
この2個の爪部材230は、小径歯車111が正方向に回転した場合、小径歯車211が図15の矢印方向に回転して爪車231の歯231aと噛み合う。そして、小径歯車211の回転に伴って、爪車231ひいては回転体213が同じ方向に回転して振動を生じさせる。
一方、2個の爪部材230は、小径歯車111が反対方向に回転した場合、歯部231aに連なる斜面231bによって蹴り上げられるので、爪車231ひいては回転体213は供回りしない。
【0018】
上記ハンドル動作機構300は、図4から図7に示すように、ハンドル4を着脱可能に支持するハンドル軸120を備える。このハンドル軸120は枠体101に回転自在に取り付けられている。
このハンドル軸120の両端は角軸となっていて、ハンドル4の基端部の角穴を角軸に嵌合させることによって、ハンドル4がハンドル軸120に取り付けられるようになっている。
なお、ハンドル軸120には歯車301が設けられている。この歯車301はハンドル軸120に一方向クラッチ(図示せず)を介して取り付けられ、ハンドル軸120がリールの巻き上げ方向に回転した際に一体的に回転する。この歯車301の近くには、図5及び図8に示すように、板ばね302が設けられている。そして、ハンドル4が回転した際に、歯車301の歯部によって、板ばね302が一旦弾かれた後、歯部と歯部との間に係合するようになっている。これによって、ハンドル4が回転した際の音出しがなされると共に、クリック感が醸し出されるようになっている。
【0019】
上記抵抗調整機構400は、図6,図7及び図16に示すように、小径歯車111、大径歯車112、小径歯車113、大径歯車114、クラッチ115、回転体116、コイルスプリング117、カム機構401、コイルスプリング402、軸403、大径歯車404、小径歯車405、大径歯車406及び小径歯車407を備えている。このうち小径歯車111、大径歯車112、小径歯車113、大径歯車114、クラッチ115、回転体116及びコイルスプリング117は竿部動作機構100の構成部品と兼用されている。
カム機構401及びコイルスプリング402の構造及び作用については後述する。
大径歯車404はハンドル軸120に固定して設けられている。この大径歯車404は隣に位置する小径歯車405に噛合している。大径歯車406は小径歯車405と一体の歯車である。また、小径歯車407は軸403に固定され、大径歯車406に噛合している。
【0020】
ここで、上記カム機構401の構造について説明する。このカム機構401は、図16に示すように、回転体116の外周に形成された板カム401a(図10参照)と、上記軸403に固定して設けられ板カム401aに当接可能な円板401bとによって構成されている。そして、上記軸403は枠体101に形成された長孔101aに通されて一端が枠体101の外側に延出されている。この延出部と枠体101との間には上記コイルスプリング402が掛けられている。
図17は板カム401aのカム線図を示している。横軸には回転体116の回転角度が示され、縦軸には板カム401aの中心から外周までの距離が示されている。
この実施形態では、板カム401aがθ1の角度まで回転した際に円板401bの外周が板カム401aの外周にコイルスプリング402の付勢力により当接し、この当接状態がθ2まで保持されるように、長孔101aの形成位置及び円板401bの大きさが設定されている。
そのため、板カム401aがθ1からθ2の角度まで回転するに従って、コイルスプリング402の付勢力が大きくなり、円板401bの外周が強く板カム401aの外周に押し付けられることになる。これによって、ハンドル4を回す場合、円板401bに連結されたハンドル4には摩擦による大きな回転抵抗が生じることになる。
また、板カム401aの外周に円板401bの外周が押し付けられることにより、軸403が長孔101aに沿って移動するので、軸403とコイルスプリング402の当接する部分にも摩擦による大きな抵抗が生じることになる。
【0021】
また、上記組立体10には、竿部2の撓み具合を検出するための撓み検出部500と、ハンドル4の回転状態を検出するための回転検出部600と、竿部2の振りを検出するための振り検出部700とが設けられている。
【0022】
このうち撓り検出手段500は、図8、図12及び図13に示すように、揺動体118の軸118aに形成された突起118cと、この突起118cを上下方向から挟むように配置された2個のリーフスイッチSW1,SW2とから構成されている。
このうちリーフスイッチSW1は、竿部2が伸長状態にあるときに突起118cに当接してONされ、一方、リーフスイッチSW2は、竿部2が撓んだ状態にあるときに突起118cに当接してONされる。
このように撓み検出手段500で竿部2の撓み具合を検出することとしたのは、竿部2の撓み具合を表示部6上で展開されるゲームに反映させるためである。
【0023】
上記回転検出手段600は、図9に示すように、ハンドル軸120に設けられた歯車301の端面に形成された突起601と、歯車301の近くに配置されたリーフスイッチSW3とから構成されている。
このリーフスイッチSW3は、ハンドル4が1回転する毎に突起601に当接してONされる。
このように回転検出手段600でハンドル4の回転を検出することとしたのは、ハンドル4の回転状態を表示部6上で展開されるゲームに反映させるためである。
【0024】
上記振り検出手段700は、図8に示すように、竿部2を振った際に軸703を中心に揺動する揺動体702と、この揺動体702の先端部の上下に配置された2個のリーフスイッチSW4,SW5とから構成されている。
揺動体702の先端側には重り701が付設されている。そして、揺動体702の先端部702aは、常態では、コイルスプリング(図示せず)にて2個のリーフスイッチSW4,SW5のいずれにも当接しない位置に保持されている。
この振り検出手段700では、グリップ部3を握って竿先を一旦ゆっくり持ち上げた後、竿先を下方に強く振ると、玩具本体1に遅れて先端部702aがスイッチSW5に当接し、スイッチSW5が最初にONする。すなわち、ルアーを投げる動作をすると、スイッチSW5が最初にONする。これによって、プレイヤーがルアーを投げる動作をしたことが検出される。
一方、この振り検出手段700では、グリップ部3を握って竿先を急速に持ち上げ、竿先を上方に振ると、玩具本体1に遅れて先端部702aがスイッチSW4に当接し、スイッチSW4が最初にONする。すなわち、合わせ動作をすると、スイッチSW4が最初にONする。これによって、プレイヤーが合わせ動作をしたことが検出される。
【0025】
また、図18に示すように、玩具本体1内には制御装置8が設けられている。この制御装置8はCPU、ROM、RAM及び補助記憶手段からなる記憶手段を備えている。この記憶手段には、ゲームプログラムや当該ゲームプログラムの実行に必要なデータが格納されていると共に、ゲーム途中で各種データが一時的に記憶される。
また、制御装置8には撓み検出手段500、回転検出手段600、振り検出手段700、音出力手段800、操作手段7及び表示手段900が接続されている。表示手段900は表示部6によって構成されている。
【0026】
ここで、操作手段7は、上記ボタン7a,7b,7c,7dから構成されている。
特に限定はされないが、このうちボタン7aはメニューボタン、ボタン7b,7cは選択ボタン、ボタン7dは決定ボタンとしてゲーム開始時に機能する。
そして、例えば、ゲーム開始時にメニューボタンであるボタン7aを押すと、制御装置8は、ゲームモード一覧を示すメニュー画面を表示部6に表示させる。この表示部6に表示されたゲームモード一覧を見ながら、プレイヤーは、選択ボタンであるボタン7b,7cを押して所望のゲームモードにカーソルを合わせて、決定ボタンであるボタン7dを押す。これによって、1つのゲームモードが決定される。
1つのゲームモードが決定されると、制御装置8は、レベル一覧を示すレベル選択画面を表示部6に表示させる。そして、この表示部6に表示されたレベル一覧を見ながら、プレイヤーは、ボタン7a,7b,7c,7dを使用してレベルを選択・決定する。このレベルとしては、例えば「ビギナー」、「スタンダード」、「マスター」の各レベルが用意されている。
これらレベルのうちの1つが決定されると、制御装置8は、釣り場選択画面を表示部6に表示させる。この釣り場の選択・選択も、プレイヤーがボタン7a,7b,7c,7dを使用して行う。
【0027】
以上で釣り場が決定され、制御装置8は釣り場を表示部6に表示させる。
そして、プレイヤーは、ボタン7b,7cを押して表示部6上でルアーを投げるポイントを選択し、ボタン7dを押して1つのポイントを決定する。
その後、プレイヤーは、ボタン7dを再度押しながら釣竿玩具を振った後、ボタン7dから手を離す。すると、制御装置8は、振り検出手段700からの信号によって、ルアーが投げられたことを検出し、ボタン7dが押されていた時間に対応した距離だけ、表示部6上でルアーを飛ばす。
【0028】
ルアーが沈んだら、リールが巻かれる方向にハンドル7を少し回転操作する。この回転量、正確には回転数は回転検出手段600によって検出される。プレイヤーは、ハンドル4の回転操作を繰り返し行う。制御装置8は、ルアーが投げられたポイントやハンドル4の回転数や繰り返し回数に基づいて、モータMにより竿部動作機構100を動作させて竿部2を撓ませる。この場合の竿部2の撓みの大きさは、食い付いた魚の大きさに対応している。この撓みの大きさの調整は、制御装置8によるモータMの回転量によって調整している。なお、竿部2が撓む際には、モータMにより加振機構200が動作して釣竿玩具が振動する。
また、制御装置8は、魚が食い付いた際に、糸の張りを示すテンションメータを表示部6に表示させる。制御装置8は、竿部2が撓んでいる間、プレイヤーがボタン7b,7cを押した際にテンションメータのレベルを変更させる。すなわち、制御装置8は、プレイヤーがボタン7bを押すと、ドラグを締めたと判断してテンションメータのレベルを上げ、一方、プレイヤーがボタン7bを押すと、ドラグを緩めたと判断してテンションメータのレベルを下げる。なお、制御装置8は、テンションメータの示すレベルを自動的に変更し、テンションメータの示すレベルが設定最大値を超えた場合や設定最小値を下回った場合、竿部動作機構100を動作させて、魚がばれたものとして、竿部2を伸長状態に戻す。その際、モータMは正方向に回転させても、逆方向に回転させてもよい。好ましくは、レベルが設定最大値を超えた場合にはモータMを正方向に回転させることが好ましい。正方向に回転させた場合には、竿部動作機構100の回転体116が急速に初期位置に復帰する。
このようにして、ドラグが適切である状態が所定時間維持され且つリールが適切に巻き上げられたなら、制御装置8は、魚が釣れたものと扱う。
【0029】
本実施形態によれば、次のような効果が得られる。
すなわち、ハンドル4に回転抵抗を付与する抵抗調整機構400は、モータMの動力によって動作して摩擦によって竿部2の竿先の上下方向位置に応じた回転抵抗をハンドル4に付与するので、電磁ブレーキ等の電気的な手段が不要となり、安価な釣竿玩具が実現できる。
【0030】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されるものではなく、その発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であることはいうまでもない。
【0031】
例えば、上記実施形態では、抵抗調整機構400で板カム401aの中心から外周までの距離を変更させることによって、抵抗の大きさを変えるようにしたが、板カム401aの外周に弾性率の異なるゴムなどを複数種類配置し、これによって、抵抗の大きさを変えるようにしてもよい。
【0032】
また、上記実施形態では、表示部6は玩具本体1に設けられているが、表示部6は釣竿玩具の外側のゲーム機本体に設けられ、実施形態の釣竿玩具をゲーム機のコントローラとして用いてもよい。
【0033】
また、紐体119を介さずに、リンクやカム機構その他の機構によって竿部2の竿先を上下動させてもよい。
【符号の説明】
【0034】
1 玩具本体
2 竿部
3 グリップ部
4 ハンドル
10 組立体
100 竿部動作機構
200 加振機構
300 ハンドル回転機構
400 抵抗調整機構
【技術分野】
【0001】
本発明は釣竿玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、玩具本体と、可撓性を有する竿部と、該竿部を振る動作をプレイヤーが行うために握るグリップ部と、モータと、上記竿部を撓ませる駆動機構(竿部動作機構)と、回転操作可能なハンドルと、ハンドルの回転を検出する回転検出部と、上記駆動機構を制御する制御装置とを備える釣竿玩具が知られている(例えば、特許文献1)。
ところで、実際の釣りにあっては、魚が食い付いた場合には、釣り糸が魚によって引っ張られるので、ハンドルが重くなるのが普通である。
しかし、この釣竿玩具では、竿部が撓んだ場合つまり魚が食い付いた場合であっても、ハンドルの重さは一定に維持されることから、釣りの疑似体験が十分に堪能できないという問題がある。
一方、フィッシングゲームシステムにおいて、ハンドルの回転抵抗を変化させる抵抗調整手段を設けたものが知られている(例えば、特許文献2)。
このフィッシングゲームシステムでは、竿部が撓んだ場合つまり魚が食い付いた場合には、ハンドルの重さが変化することから、釣りの疑似体験が十分に堪能できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−254346号公報
【特許文献2】特開平11−226261号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献2に記載の技術では、電磁ブレーキによって抵抗調整手段を構成しているため、高価なものとなってしまう。
【0005】
本発明は、上記問題点を解消するためなされたもので、魚を釣りあげる疑似体験を堪能できる安価な釣竿玩具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、
回転操作可能なハンドルが付設された玩具本体と、
前記玩具本体の先端側に付設され当該玩具本体に対して竿先が上下動可能に構成された竿部と、
前記玩具本体の後端側に付設されプレイヤーが握持可能なグリップ部と、
モータと、
前記モータの動力によって前記竿部の竿先を上下動させる竿部動作手段と、
前記モータの動力によって動作して摩擦によって前記竿部の竿先の上下方向位置に応じた回転抵抗を前記ハンドルに付与する抵抗調整手段と、
を備えることを特徴とする釣竿玩具である。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の釣竿玩具において、
前記抵抗調整手段は、
前記モータの動力によって第1の軸を中心に回転動作する板カムと、
前記板カム近くの第2の軸を中心に回転動作可能に設けられ外周が当該板カムの外周に対して摺動しその摺動によって当該第2の軸が移動可能に構成された円板と、
前記第2の軸を付勢して前記円板の外周を前記板カムの外周に押し当てる付勢手段と、
前記円板と前記ハンドルとを連結する回転動力伝達手段と、
を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載の釣竿玩具において、
前記竿部動作手段は、
前記モータの動力によって第3の軸を中心に回転動作する第1の回転体と、
前記第3の軸を中心に前記第1の回転体とは独立して回転可能に構成されると共に偏心位置に突起が付設された第2の回転体と、
前記第1の回転体と前記第2の回転体とを連結可能な一方向クラッチと、
前記突起に係合する長孔を有し当該突起と当該長孔との係合によって前記第2の回転体が回転した際に前記第3の軸と平行な第4の軸を中心に揺動する揺動体と、
初期状態にある前記第2の回転体が前記一方向クラッチによって連結され付勢力に抗して前記第1の回転体に追従して所定位置まで回転した際に、当該第2の回転体を付勢力によって前記第1の回転体よりも高速で回転させて初期状態に復帰させる付勢手段と、を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1から3に係る発明によれば、ハンドルに回転抵抗を付与する抵抗調整手段は、モータの動力によって動作して摩擦によって竿部の竿先の上下方向位置に応じた回転抵抗をハンドルに付与するので、電磁ブレーキ等の電気的な手段が不要となり、安価な釣竿玩具が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施形態に係る釣竿玩具の側面図である。
【図2】図1の釣竿玩具の平面図である。
【図3】図1の釣竿玩具の竿部が撓んだ状態を示す側面図である。
【図4】図1の釣竿玩具に設けられた組立体を右後方斜め上方から見た場合の斜視図である。
【図5】図4の組立体の右枠体を取り除いた状態を示す斜視図である。
【図6】図4の組立体における動力伝達部品を右後方斜め上方から見た場合の斜視図である。
【図7】図4の組立体における動力伝達部品を左後方斜め上方から見た場合の斜視図である。
【図8】図4の組立体の右枠体を取り除き且つ一部部品を取り除いた状態を示す右側面図である。
【図9】図4の組立体の中の回転検出手段の構成を示す右側面図である。
【図10】図4の組立体の中の竿部動作機構におけるクラッチ及びその周辺部品を一方向から見た場合の分解斜視図である。
【図11】図4の組立体の中の竿部動作機構におけるクラッチ及びその周辺部品を他方向から見た場合の分解斜視図である。
【図12】竿部が伸長しているときの図11のクラッチの状態を示す側面図である。
【図13】竿部が撓んでいるときの図11のクラッチの状態を示す側面図である。
【図14】図4の組立体の中の加振機構におけるクラッチ及びその周辺部品を一方向から見た場合の分解斜視図である。
【図15】図4の組立体の中の加振機構におけるクラッチ及びその周辺部品を他方向から見た場合の分解斜視図である。
【図16】図4の組立体の中の抵抗調整機構の構成を後方から見た図である。
【図17】図4の組立体の中の抵抗調整機構におけるカムのカム線図である。
【図18】図1の釣竿玩具の回路構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は実施形態に係る釣竿玩具の側面図、図2はその釣竿玩具の平面図、図3はその釣竿玩具の竿部が撓んだ状態を示す側面図である。
この釣竿玩具は、中間部に位置する玩具本体1と、この玩具本体1の先端側に付設された可撓性を有する竿部2と、玩具本体1の後端側に付設されたグリップ部3とを備える。そして、玩具本体1には、ハンドル4を有するリール部5と、ゲーム画面を表示する表示部6と、各種ボタン7a,7b,7c,7dとが設けられている。なお、ハンドル4は玩具本体1に対して着脱可能となっており、玩具本体1の左右に選択的に装着できるように構成されている。
【0012】
玩具本体1には、図4に示すように、各種部品を枠体101に組み付けてなる組立体10が設けられている。
この組立体10には、モータMと、このモータMの動力によって竿部2を撓ませる竿部動作機構(竿部動作手段)100(図6参照)と、モータMの動力によって玩具本体1を振動させる加振機構(加振手段)200と、ハンドル4を回転動作させるハンドル動作機構300と、ハンドル4に回転負荷を与える抵抗調整機構(抵抗調整手段)400とが配置されている。
【0013】
続いて、この組立体10の細部について説明する。
この組立体10には、図5から図7に示すように、動力源であるモータMが設置されている。このモータMとしては、ロータが一方向及び他方向に選択的に回転可能なモータが使用されている。なお、このモータMの電源としては、外部電源や、グリップ部3に設置される電池が使用される。
【0014】
上記竿部動作機構100は、図6及び図7に示すように、小径歯車111、大径歯車112、小径歯車113、大径歯車114、クラッチ115、回転体116、コイルスプリング117(図8及び図9参照)、揺動体118及び紐体119を備えている。
このうち小径歯車111はモータMのロータ軸に付設されている。この小径歯車111は隣に位置する大径歯車112に噛合している。大径歯車112はハンドル軸120に空転可能に付設されている。小径歯車113は、大径歯車112と軸心が合致するように当該大径歯車112の端面に固定して設けられている。この小径歯車113は隣に位置する大径歯車114に噛合している。大径歯車114と回転体116とは同軸に設けられている。そして、この大径歯車114と回転体116との間にはクラッチ115が設けられている。このクラッチ115の構造及び作用については後述する。
回転体116は、図8及び図11に示すように、端面の偏心位置に突起116aを有している。そして、この突起116aと枠体101との間には図12及び図13に示すようにコイルスプリング117が掛けられている。このコイルスプリング117の作用については上記クラッチ115の作用と共に後述する。
また、回転体116の突起116aは、図8、図12及び図13に示すように、回転体116の軸と平行で且つ当該回転体116の外方に位置する軸118aを中心に揺動可能な揺動体118の長孔118bに挿入されている。そして、揺動体118の自由端側には紐体119の後端が結合されている。この紐体119の前端は竿部2の先端に結合されている。
【0015】
ここで、上記クラッチ115の構造について説明する。
このクラッチ115は、図10及び図11に示すように、3個の爪部材130と、この3個の爪部材130に内周で噛み合う内周歯131aを有する爪車131とを備えている。後者の爪車131は回転体116と一体に構成されている。
3個の爪部材130は、一端に軸孔132を有し、この軸孔132は大径歯車114の端面に付設された軸133と嵌まり合っている。そして、この3個の爪部材130は、対応する軸133を中心に回動可能となっている。
この3個の爪部材130は、図12において、大径歯車114が時計方向に回転した際に爪車131の歯131aと重力作用によって噛み合う。したがって、大径歯車114の回転に伴って、コイルスプリング117の付勢力に抗して爪車131ひいては回転体116が同じ方向に回転する。これによって、揺動体118が軸118aを中心に時計方向に回転し、紐体119が玩具本体1側に引き込まれることから、竿部2が撓み始める。そして、コイルスプリング117の軸線が図13に示すように回転体116の中心に合致した後には、今度は、コイルスプリング117の付勢力によって爪車131ひいては回転体116が大径歯車114を追い越すように時計方向に急速に回転させられる。これによって、揺動体118が初期位置(図12の状態)に戻り、竿部2が再び伸長状態となる。
なお、3個の爪部材130は、図12において、大径歯車114が反時計方向に回転する際には、歯部131aに連なる斜面131bによって蹴り上げられるので、爪車131ひいては回転体116は図12の状態を維持する。その結果、この場合には、竿部2は伸長したままの状態を維持する。
【0016】
上記加振機構200は、図6及び図7に示すように、小径歯車111、大径歯車112、小径歯車211、クラッチ212及び回転体213を備えている。このうち小径歯車111及び大径歯車112は竿部動作機構100の構成部品と兼用されている。
ここで、小径歯車211は大径歯車112に噛合している。図14及び図14に示すように、回転体213は小径歯車211と同じ軸214に設けられている。そして、この小径歯車211と回転体213との間にはクラッチ212が設けられている。このクラッチ212の構造及び作用については後述する。
回転体213には重りホルダ241が付設されている。この重りホルダ241には偏心位置に3個の穴241aが形成されている。そして、この3個の穴241aには1個ずつ円柱状の重り240が嵌合している。
【0017】
ここで、上記クラッチ212の構造について説明する。
このクラッチ212は、図14及び図15に示すように、2個の爪部材230と、この爪部材230に内周で噛み合う内周歯231aを有する爪車231とを備えている。この爪車231は回転体213に構成されている。
2個の爪部材230は一端に軸孔232を有しており、この軸孔232は小径歯車211の端面に付設された軸233と嵌まり合っている。そして、2個の爪部材230は、対応する軸233を中心に回動可能となっている。
この2個の爪部材230は、小径歯車111が正方向に回転した場合、小径歯車211が図15の矢印方向に回転して爪車231の歯231aと噛み合う。そして、小径歯車211の回転に伴って、爪車231ひいては回転体213が同じ方向に回転して振動を生じさせる。
一方、2個の爪部材230は、小径歯車111が反対方向に回転した場合、歯部231aに連なる斜面231bによって蹴り上げられるので、爪車231ひいては回転体213は供回りしない。
【0018】
上記ハンドル動作機構300は、図4から図7に示すように、ハンドル4を着脱可能に支持するハンドル軸120を備える。このハンドル軸120は枠体101に回転自在に取り付けられている。
このハンドル軸120の両端は角軸となっていて、ハンドル4の基端部の角穴を角軸に嵌合させることによって、ハンドル4がハンドル軸120に取り付けられるようになっている。
なお、ハンドル軸120には歯車301が設けられている。この歯車301はハンドル軸120に一方向クラッチ(図示せず)を介して取り付けられ、ハンドル軸120がリールの巻き上げ方向に回転した際に一体的に回転する。この歯車301の近くには、図5及び図8に示すように、板ばね302が設けられている。そして、ハンドル4が回転した際に、歯車301の歯部によって、板ばね302が一旦弾かれた後、歯部と歯部との間に係合するようになっている。これによって、ハンドル4が回転した際の音出しがなされると共に、クリック感が醸し出されるようになっている。
【0019】
上記抵抗調整機構400は、図6,図7及び図16に示すように、小径歯車111、大径歯車112、小径歯車113、大径歯車114、クラッチ115、回転体116、コイルスプリング117、カム機構401、コイルスプリング402、軸403、大径歯車404、小径歯車405、大径歯車406及び小径歯車407を備えている。このうち小径歯車111、大径歯車112、小径歯車113、大径歯車114、クラッチ115、回転体116及びコイルスプリング117は竿部動作機構100の構成部品と兼用されている。
カム機構401及びコイルスプリング402の構造及び作用については後述する。
大径歯車404はハンドル軸120に固定して設けられている。この大径歯車404は隣に位置する小径歯車405に噛合している。大径歯車406は小径歯車405と一体の歯車である。また、小径歯車407は軸403に固定され、大径歯車406に噛合している。
【0020】
ここで、上記カム機構401の構造について説明する。このカム機構401は、図16に示すように、回転体116の外周に形成された板カム401a(図10参照)と、上記軸403に固定して設けられ板カム401aに当接可能な円板401bとによって構成されている。そして、上記軸403は枠体101に形成された長孔101aに通されて一端が枠体101の外側に延出されている。この延出部と枠体101との間には上記コイルスプリング402が掛けられている。
図17は板カム401aのカム線図を示している。横軸には回転体116の回転角度が示され、縦軸には板カム401aの中心から外周までの距離が示されている。
この実施形態では、板カム401aがθ1の角度まで回転した際に円板401bの外周が板カム401aの外周にコイルスプリング402の付勢力により当接し、この当接状態がθ2まで保持されるように、長孔101aの形成位置及び円板401bの大きさが設定されている。
そのため、板カム401aがθ1からθ2の角度まで回転するに従って、コイルスプリング402の付勢力が大きくなり、円板401bの外周が強く板カム401aの外周に押し付けられることになる。これによって、ハンドル4を回す場合、円板401bに連結されたハンドル4には摩擦による大きな回転抵抗が生じることになる。
また、板カム401aの外周に円板401bの外周が押し付けられることにより、軸403が長孔101aに沿って移動するので、軸403とコイルスプリング402の当接する部分にも摩擦による大きな抵抗が生じることになる。
【0021】
また、上記組立体10には、竿部2の撓み具合を検出するための撓み検出部500と、ハンドル4の回転状態を検出するための回転検出部600と、竿部2の振りを検出するための振り検出部700とが設けられている。
【0022】
このうち撓り検出手段500は、図8、図12及び図13に示すように、揺動体118の軸118aに形成された突起118cと、この突起118cを上下方向から挟むように配置された2個のリーフスイッチSW1,SW2とから構成されている。
このうちリーフスイッチSW1は、竿部2が伸長状態にあるときに突起118cに当接してONされ、一方、リーフスイッチSW2は、竿部2が撓んだ状態にあるときに突起118cに当接してONされる。
このように撓み検出手段500で竿部2の撓み具合を検出することとしたのは、竿部2の撓み具合を表示部6上で展開されるゲームに反映させるためである。
【0023】
上記回転検出手段600は、図9に示すように、ハンドル軸120に設けられた歯車301の端面に形成された突起601と、歯車301の近くに配置されたリーフスイッチSW3とから構成されている。
このリーフスイッチSW3は、ハンドル4が1回転する毎に突起601に当接してONされる。
このように回転検出手段600でハンドル4の回転を検出することとしたのは、ハンドル4の回転状態を表示部6上で展開されるゲームに反映させるためである。
【0024】
上記振り検出手段700は、図8に示すように、竿部2を振った際に軸703を中心に揺動する揺動体702と、この揺動体702の先端部の上下に配置された2個のリーフスイッチSW4,SW5とから構成されている。
揺動体702の先端側には重り701が付設されている。そして、揺動体702の先端部702aは、常態では、コイルスプリング(図示せず)にて2個のリーフスイッチSW4,SW5のいずれにも当接しない位置に保持されている。
この振り検出手段700では、グリップ部3を握って竿先を一旦ゆっくり持ち上げた後、竿先を下方に強く振ると、玩具本体1に遅れて先端部702aがスイッチSW5に当接し、スイッチSW5が最初にONする。すなわち、ルアーを投げる動作をすると、スイッチSW5が最初にONする。これによって、プレイヤーがルアーを投げる動作をしたことが検出される。
一方、この振り検出手段700では、グリップ部3を握って竿先を急速に持ち上げ、竿先を上方に振ると、玩具本体1に遅れて先端部702aがスイッチSW4に当接し、スイッチSW4が最初にONする。すなわち、合わせ動作をすると、スイッチSW4が最初にONする。これによって、プレイヤーが合わせ動作をしたことが検出される。
【0025】
また、図18に示すように、玩具本体1内には制御装置8が設けられている。この制御装置8はCPU、ROM、RAM及び補助記憶手段からなる記憶手段を備えている。この記憶手段には、ゲームプログラムや当該ゲームプログラムの実行に必要なデータが格納されていると共に、ゲーム途中で各種データが一時的に記憶される。
また、制御装置8には撓み検出手段500、回転検出手段600、振り検出手段700、音出力手段800、操作手段7及び表示手段900が接続されている。表示手段900は表示部6によって構成されている。
【0026】
ここで、操作手段7は、上記ボタン7a,7b,7c,7dから構成されている。
特に限定はされないが、このうちボタン7aはメニューボタン、ボタン7b,7cは選択ボタン、ボタン7dは決定ボタンとしてゲーム開始時に機能する。
そして、例えば、ゲーム開始時にメニューボタンであるボタン7aを押すと、制御装置8は、ゲームモード一覧を示すメニュー画面を表示部6に表示させる。この表示部6に表示されたゲームモード一覧を見ながら、プレイヤーは、選択ボタンであるボタン7b,7cを押して所望のゲームモードにカーソルを合わせて、決定ボタンであるボタン7dを押す。これによって、1つのゲームモードが決定される。
1つのゲームモードが決定されると、制御装置8は、レベル一覧を示すレベル選択画面を表示部6に表示させる。そして、この表示部6に表示されたレベル一覧を見ながら、プレイヤーは、ボタン7a,7b,7c,7dを使用してレベルを選択・決定する。このレベルとしては、例えば「ビギナー」、「スタンダード」、「マスター」の各レベルが用意されている。
これらレベルのうちの1つが決定されると、制御装置8は、釣り場選択画面を表示部6に表示させる。この釣り場の選択・選択も、プレイヤーがボタン7a,7b,7c,7dを使用して行う。
【0027】
以上で釣り場が決定され、制御装置8は釣り場を表示部6に表示させる。
そして、プレイヤーは、ボタン7b,7cを押して表示部6上でルアーを投げるポイントを選択し、ボタン7dを押して1つのポイントを決定する。
その後、プレイヤーは、ボタン7dを再度押しながら釣竿玩具を振った後、ボタン7dから手を離す。すると、制御装置8は、振り検出手段700からの信号によって、ルアーが投げられたことを検出し、ボタン7dが押されていた時間に対応した距離だけ、表示部6上でルアーを飛ばす。
【0028】
ルアーが沈んだら、リールが巻かれる方向にハンドル7を少し回転操作する。この回転量、正確には回転数は回転検出手段600によって検出される。プレイヤーは、ハンドル4の回転操作を繰り返し行う。制御装置8は、ルアーが投げられたポイントやハンドル4の回転数や繰り返し回数に基づいて、モータMにより竿部動作機構100を動作させて竿部2を撓ませる。この場合の竿部2の撓みの大きさは、食い付いた魚の大きさに対応している。この撓みの大きさの調整は、制御装置8によるモータMの回転量によって調整している。なお、竿部2が撓む際には、モータMにより加振機構200が動作して釣竿玩具が振動する。
また、制御装置8は、魚が食い付いた際に、糸の張りを示すテンションメータを表示部6に表示させる。制御装置8は、竿部2が撓んでいる間、プレイヤーがボタン7b,7cを押した際にテンションメータのレベルを変更させる。すなわち、制御装置8は、プレイヤーがボタン7bを押すと、ドラグを締めたと判断してテンションメータのレベルを上げ、一方、プレイヤーがボタン7bを押すと、ドラグを緩めたと判断してテンションメータのレベルを下げる。なお、制御装置8は、テンションメータの示すレベルを自動的に変更し、テンションメータの示すレベルが設定最大値を超えた場合や設定最小値を下回った場合、竿部動作機構100を動作させて、魚がばれたものとして、竿部2を伸長状態に戻す。その際、モータMは正方向に回転させても、逆方向に回転させてもよい。好ましくは、レベルが設定最大値を超えた場合にはモータMを正方向に回転させることが好ましい。正方向に回転させた場合には、竿部動作機構100の回転体116が急速に初期位置に復帰する。
このようにして、ドラグが適切である状態が所定時間維持され且つリールが適切に巻き上げられたなら、制御装置8は、魚が釣れたものと扱う。
【0029】
本実施形態によれば、次のような効果が得られる。
すなわち、ハンドル4に回転抵抗を付与する抵抗調整機構400は、モータMの動力によって動作して摩擦によって竿部2の竿先の上下方向位置に応じた回転抵抗をハンドル4に付与するので、電磁ブレーキ等の電気的な手段が不要となり、安価な釣竿玩具が実現できる。
【0030】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されるものではなく、その発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であることはいうまでもない。
【0031】
例えば、上記実施形態では、抵抗調整機構400で板カム401aの中心から外周までの距離を変更させることによって、抵抗の大きさを変えるようにしたが、板カム401aの外周に弾性率の異なるゴムなどを複数種類配置し、これによって、抵抗の大きさを変えるようにしてもよい。
【0032】
また、上記実施形態では、表示部6は玩具本体1に設けられているが、表示部6は釣竿玩具の外側のゲーム機本体に設けられ、実施形態の釣竿玩具をゲーム機のコントローラとして用いてもよい。
【0033】
また、紐体119を介さずに、リンクやカム機構その他の機構によって竿部2の竿先を上下動させてもよい。
【符号の説明】
【0034】
1 玩具本体
2 竿部
3 グリップ部
4 ハンドル
10 組立体
100 竿部動作機構
200 加振機構
300 ハンドル回転機構
400 抵抗調整機構
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転操作可能なハンドルが付設された玩具本体と、
前記玩具本体の先端側に付設され当該玩具本体に対して竿先が上下動可能に構成された竿部と、
前記玩具本体の後端側に付設されプレイヤーが握持可能なグリップ部と、
モータと、
前記モータの動力によって前記竿部の竿先を上下動させる竿部動作手段と、
前記モータの動力によって動作して摩擦によって前記竿部の竿先の上下方向位置に応じた回転抵抗を前記ハンドルに付与する抵抗調整手段と、
を備えることを特徴とする釣竿玩具。
【請求項2】
前記抵抗調整手段は、
前記モータの動力によって第1の軸を中心に回転動作する板カムと、
前記板カム近くの第2の軸を中心に回転動作可能に設けられ外周が当該板カムの外周に対して摺動しその摺動によって当該第2の軸が移動可能に構成された円板と、
前記第2の軸を付勢して前記円板の外周を前記板カムの外周に押し当てる付勢手段と、
前記円板と前記ハンドルとを連結する回転動力伝達手段と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の釣竿玩具。
【請求項3】
前記竿部動作手段は、
前記モータの動力によって第3の軸を中心に回転動作する第1の回転体と、
前記第3の軸を中心に前記第1の回転体とは独立して回転可能に構成されると共に偏心位置に突起が付設された第2の回転体と、
前記第1の回転体と前記第2の回転体とを連結可能な一方向クラッチと、
前記突起に係合する長孔を有し当該突起と当該長孔との係合によって前記第2の回転体が回転した際に前記第3の軸と平行な第4の軸を中心に揺動する揺動体と、
初期状態にある前記第2の回転体が前記一方向クラッチによって連結され付勢力に抗して前記第1の回転体に追従して所定位置まで回転した際に、当該第2の回転体を付勢力によって前記第1の回転体よりも高速で回転させて初期状態に復帰させる付勢手段と、
を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の釣竿玩具。
【請求項1】
回転操作可能なハンドルが付設された玩具本体と、
前記玩具本体の先端側に付設され当該玩具本体に対して竿先が上下動可能に構成された竿部と、
前記玩具本体の後端側に付設されプレイヤーが握持可能なグリップ部と、
モータと、
前記モータの動力によって前記竿部の竿先を上下動させる竿部動作手段と、
前記モータの動力によって動作して摩擦によって前記竿部の竿先の上下方向位置に応じた回転抵抗を前記ハンドルに付与する抵抗調整手段と、
を備えることを特徴とする釣竿玩具。
【請求項2】
前記抵抗調整手段は、
前記モータの動力によって第1の軸を中心に回転動作する板カムと、
前記板カム近くの第2の軸を中心に回転動作可能に設けられ外周が当該板カムの外周に対して摺動しその摺動によって当該第2の軸が移動可能に構成された円板と、
前記第2の軸を付勢して前記円板の外周を前記板カムの外周に押し当てる付勢手段と、
前記円板と前記ハンドルとを連結する回転動力伝達手段と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の釣竿玩具。
【請求項3】
前記竿部動作手段は、
前記モータの動力によって第3の軸を中心に回転動作する第1の回転体と、
前記第3の軸を中心に前記第1の回転体とは独立して回転可能に構成されると共に偏心位置に突起が付設された第2の回転体と、
前記第1の回転体と前記第2の回転体とを連結可能な一方向クラッチと、
前記突起に係合する長孔を有し当該突起と当該長孔との係合によって前記第2の回転体が回転した際に前記第3の軸と平行な第4の軸を中心に揺動する揺動体と、
初期状態にある前記第2の回転体が前記一方向クラッチによって連結され付勢力に抗して前記第1の回転体に追従して所定位置まで回転した際に、当該第2の回転体を付勢力によって前記第1の回転体よりも高速で回転させて初期状態に復帰させる付勢手段と、
を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の釣竿玩具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2013−22179(P2013−22179A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−158754(P2011−158754)
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(000003584)株式会社タカラトミー (248)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(000003584)株式会社タカラトミー (248)
【Fターム(参考)】
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