鉄筋コンクリート有孔梁の補強金具
【課題】鉄筋コンクリート有孔梁の配筋に用いる補強金具において、製作及び取付施工が容易で、施工不良を発生することなく、小型化が可能で、しかも十分な補強強度が得られる補強金具を提供する。
【解決手段】補強金具は、一本の鉄筋コンクリート用棒鋼を折り曲げて上下及び左右に角部2a、2b、2c、2dを有する四辺形に形成すると共に該棒鋼の両端部の端末部にそれぞれ瘤状の膨出部2e、2eを設けて、これら両端部を前記角部2cにおいて互いに交差させて形成した枠状体2と、両端部にあばら筋Aへの係止部3abを具備して前記枠状体2の上下の角部2a、2bの内方に互いに平行に固定されている2本の取付け杆3a、3bを有する上下の係止手段3と、スリーブBの3本の支持杆4a、4b、4cと、前記支持杆4aを前記枠状体2の中心部に向かって進退可能に係止する支持体4ab等を有する支持手段4とからなる。
【解決手段】補強金具は、一本の鉄筋コンクリート用棒鋼を折り曲げて上下及び左右に角部2a、2b、2c、2dを有する四辺形に形成すると共に該棒鋼の両端部の端末部にそれぞれ瘤状の膨出部2e、2eを設けて、これら両端部を前記角部2cにおいて互いに交差させて形成した枠状体2と、両端部にあばら筋Aへの係止部3abを具備して前記枠状体2の上下の角部2a、2bの内方に互いに平行に固定されている2本の取付け杆3a、3bを有する上下の係止手段3と、スリーブBの3本の支持杆4a、4b、4cと、前記支持杆4aを前記枠状体2の中心部に向かって進退可能に係止する支持体4ab等を有する支持手段4とからなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は鉄筋コンクリート有孔梁の配筋において、当該梁の孔部の補強に用いられる補強金具に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄筋コンクリート製の梁は一般にあばら筋と言われる鉄筋で補強されているが、梁に貫通孔を有する有孔梁においては、該孔部の周りを補強するための補強金具を配置して、孔部の周りのコンクリートのせん断ひび割れを防止するようにしている。
【0003】
このような鉄筋コンクリート有孔梁の補強金具の従来例を図25及び図26に示した。
【0004】
即ち、補強金具Aは複数の環状体aを共通1本の棒体により形成してこれら環状体aをその内外の移行部で交差し、最も外側の環状体aに相応する個所の前記棒体の両端末部cを内方に折り曲げて最も外側の環状体aの次の内側の環状体aに溶接し、内外の環状体aの下方部の両辺部に連結杆b、bを連結固定した例が知られている(例えば特許文献1参照。)。
【0005】
そして梁のあばら筋dに環状体aを針金により結束して補強金具Aを固定し、梁内に孔を形成するための円筒状スリーブBは、前記環状体aに挿通されると共に前記連結杆b、bの先端部にて支承されている。尚、Eは型枠を示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3556506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この従来の補強金具Aによれば、1本の棒状体を移行部で交差して内外の複数の環状体aに形成し、最も外側の環状体aに相応する個所の前記棒状体の両端末部cを内方に折り曲げて次の内側の環状体aに溶接している構成であるので、製作に手間がかかると共に重量が大となって施工が行いにくく、又環状体aとあばら筋dとの針金による結束が不充分であると枠体が斜めに取り付けられたりして施工不良が発生するという問題点があった。
【0008】
本発明はこれらの問題点を解消し、製作が容易になると共に、あばら筋への取り付けが正確に行えて施工不良を発生することがなく、小型化が可能で、しかも十分な補強強度の得られる鉄筋コンクリート有孔梁の補強金具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記の目的を達成すべく、棒体を曲げて枠状とし該枠状内をスリーブが挿通可能に形成した枠状体と、該枠状体に固定され該スリーブの左右に配置されているあばら筋に係止可能な係止部を具備する係止手段と、前記枠状体に設けられ前記スリーブをその外周より支持する支持手段とからなる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の効果として、製作が容易になると共に軽くなって施工上の取扱いが容易となり、又あばら筋への取付けが正確に行えて施工不良の発生がなく、枠体の小型化が可能で、しかも充分な補強強度の得られる鉄筋コンクリート有孔梁の補強金具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施例1の補強金具の正面図である。
【図2】同上補強金具の側面図である。
【図3】同上補強金具の上側の支持手段の個所で、上側支持杆の固定方法の第1ステップを示す正面側の斜視図である。
【図4】同固定方法の第2ステップを示す正面側の斜視図である。
【図5】同第2ステップを示す背面側の斜視図である。
【図6】同固定方法の最終ステップを示す正面側の斜視図である。
【図7】同最終ステップを示す背面側の斜視図である。
【図8】本発明の実施例2の補強金具の正面図である。
【図9】本発明の実施例3の補強金具の正面図である。
【図10】本発明の実施例4の補強金具の正面図である。
【図11】本発明の実施例5の補強金具の正面図である。
【図12】本発明の実施例6の補強金具の正面図である。
【図13】同上補強金具の側面図である。
【図14】同上補強金具の上側の支持手段の個所の斜視図である。
【図15】本発明の実施例7の補強金具の正面図である。
【図16】本発明の実施例8の補強金具の正面図である。
【図17】本発明の実施例9の補強金具の正面図である。
【図18】本発明の実施例10の補強金具の正面図である。
【図19】同上補強金具の側面図である。
【図20】本発明の実施例11の補強金具の正面図である。
【図21】本発明の実施例12の補強金具の正面図である。
【図22】本発明の実施例13の補強金具の正面図である。
【図23】本発明の実施例14の補強金具の正面図である。
【図24】本発明の実施例15の補強金具の正面図である。
【図25】従来の補強金具の使用状態の正面図である。
【図26】同上従来の補強金具の使用状態の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を実施するための形態の実施例を次に示す。
【実施例1】
【0013】
本発明の鉄筋コンクリート有孔梁の補強金具の実施例1を図1乃至図7により説明する。
【0014】
図1は本実施例の補強金具1の正面図であり、図2はその側面図である。尚、Aは梁のあばら筋であり、Bは孔形成用のスリーブを示し、Cは補強金具とあばら筋Aとを針金で結束した結束部を示す。
【0015】
補強金具1は主に鉄筋コンクリート用棒鋼からなり、一本の棒鋼を折り曲げて上下及び左右に角部2a、2b、2c、2dを有する一重の四辺形に形成されている枠状体2と、該枠状体2の上下にある各角部2a、2bの内方、即ち該枠状体2の上方部の左右の辺部と該枠状体2の下方部の左右の辺部に溶接して上下平行に固定されている取付け杆3a、3bからなる上下の係止手段3と、スリーブBを支承するための3本の支持杆4a、4b、4cからなる支持手段4とからなる。
【0016】
前記枠状体2は該枠状体2を形成する棒鋼の両端末にそれぞれ該棒鋼の直径よりも大径の瘤状に膨出させた膨出部2e、2eを形成し、これら両端末に連なる端部が枠状体2の側方の角部2cにおいて互いに交差して、前記膨出部2e、2eが該角部2cの外方へ少許突出するように形成されている。
【0017】
又、該枠状体2は該角部の前記交差個所2cにおいて、前記両端部を互いに溶接して固定している。
【0018】
前記取付け杆3a、3bは、鉄筋コンクリート用棒鋼製の棒状体の左右端部を直角に同一方向に折り曲げて形成した係止部3abを各端部に有しており、該取付け杆3a、3bにより係止手段3が形成されている。
【0019】
又、前記係止部3abの各先端部には、プラスチック等の可撓性を有する材料からなる円筒状のキャップ3dを被せてある。
【0020】
尚、上側の取付け杆3aの両端部のキャップ3dの色分けにより枠状体2の棒鋼の径を識別できるようにし、又下側の取付け杆3bの両端部のキャップ3dの色分けにより枠状体2のサイズを識別するようにした。これにより作業現場での施工、管理、検査等を容易に行うことができる。
【0021】
前記支持手段4は上側の支持杆4aと下側の左右の支持杆4b、4cとからなり、下側の左右の支持杆4b、4cは棒状体からなり前記枠状体2の下方部の左右の辺部に根部で固定されている。
【0022】
又、上側の支持杆4aは、上端部に横杆4aaを直交して固定した棒状体からなり、上方の取付け杆3aの中央部に、間隔を存して上下に延びる左右の棒体からなる支持体4abを固定し、該支持体4ab間に前記上側の支持杆4aを摺接しながら上下動可能に介在して支持されている。
【0023】
4eは前記上側の支持杆4a及び下側の支持杆4b、4cの先端部に被せたキャップであり、プラスチック等の可撓性を有する材料からなる。
【0024】
そして該キャップ4eの色分けにより支持されるスリーブBの径を識別できるようにし、作業現場での施工、管理、検査等を容易に行うことができる。
【0025】
4fは針金を示し、該針金4fは図3乃至図7に示す如く、上側の支持杆4aを上側の取付け杆3aに結え付けるのに使用する。
【0026】
ここで、コンクリートのかぶり厚が50mmとされている地中梁用には例えば赤色の針金4fを結着した補強金具1を、又はコンクリートのかぶり厚が40mmとされている一般梁用には青色の針金4fを結着した補強金具1を使用する如く針金4fの色別けにより地中梁用の補強金具1又は一般梁用の補強金具1を作業員が目で判別して施工の効率化を図るようにした。
【0027】
尚、左右の棒体からなる前記支持体4abは、各下方部で前記取付け杆3aに溶接固定すると共に各下端部を鍵状に折り曲げて、該折り曲げ部4ab1を前記取付け杆3aの後方へ突出させている。
【0028】
次に本実施例の鉄筋コンクリート有孔梁の補強金具1の使用方法及びその効果について説明する。
【0029】
補強金具1は、コンクリート型枠内の貫通孔設置個所の両側にあるあばら筋Aに、各取付け杆3a、3bの両端にある係合部3abを係合させて補強金具1をあばら筋Aに正確に位置決めセットをしてから、枠状体2をあばら筋Aに針金で結束して補強金具1を固定する。この結束部をCで示した。
【0030】
次に、前記枠状体2の中心部に孔を形成するためのスリーブBを挿通する。
【0031】
このとき、上側の支持杆4aは前記枠状体2より取り外しておき、前記下側の支持杆4b、4cの先端部上にスリーブBを載置する。
【0032】
その後上側の支持杆4aの下端部が前記スリーブBの上面に当たるように該支持杆4aを支持体4abの間に挿入する。
【0033】
このとき、支持杆4aの上端部にある横杆4aaが前記支持体4abの左右の棒状体をガイドとして昇降するので、支持杆4aが支持体4abの間から脱落することがない。
【0034】
次に針金4fを用いて前記支持杆4aを取付け杆3aに結着する方法について図3乃至図7により説明する。
【0035】
図3に示す如く、針金4fをループ状に形成し、その両端部を支持杆4aの中間部に巻き掛け、第1ステップとして中間折曲げ部4faは前記取付け杆3aの下方から後方を廻って上方へ引き上げるようにする。この針金4fの中間折曲げ部4faの引き上げにより上側の支持杆4aの下端部がスリーブBの上面を押圧する。
【0036】
次に図4及び図5に示す如く、第2ステップとして前記針金4fの上方へ引き上げた部分を支持杆4aの頂部及び横杆4aaの両端部に巻き付けてから中間折曲げ部4faを下方へ引き下げる。こうして支持杆4aの下端部をスリーブBの上面に強く当接保持させることができる。
【0037】
次に図6及び図7に示す如く、最終ステップとして前記下方に引き下げた針金4fの中間折曲げ部4faを、前記支持体4abの下端部の折り曲げ部4ab1掛け巻して係止する。
【0038】
かくて、スリーブBは支持杆4a、4b、4cにより確実に支持され、又、組み立てられた配筋間の狭い空間中でも針金4fの横杆4aa等への巻き付けが容易に行なえる。
【実施例2】
【0039】
本発明の鉄筋コンクリート有孔梁の補強金具の実施例2を図8により説明する。
【0040】
図8は本実施例の補強金具11の正面図である。
【0041】
本実施例の補強金具11においてその枠状体2Aは一本の棒鋼を折り曲げて内外二重の四辺形に形成されている。
【0042】
該枠状体2Aを形成する棒鋼は、その両端部の端部にそれぞれ該棒鋼の直径よりも大径の瘤状の膨出部2e、2eを有しており、これら両端部が前記枠状体2Aの側方の角部2Acにおいて互いに交差して、前記膨出部2e、2eが該角部2Acの外方へ少許突出するように形成されており、該交差個所2Acにおいて、前記両端部を互に溶接して固定している。
【0043】
前記枠状体2Aの上下の角部2Aa、2Abの内方には、2本の棒状の取付け杆3a、3bが互いに平行に前記内外二重の枠状体2Aに溶接して固定されている。
【0044】
スリーブBを支持する支持手段4は実施例1と同様に形成されており、内側の枠状体2Aの下方部の左右の辺部と上側に位置する取付け杆3aの中心部に設けられている。
【0045】
本実施例では枠状体2Aを内外二重の四辺形からなるものとしたが、これは実施例1の補強金具1では補強筋量が不足の場合に好適である。
【実施例3】
【0046】
本発明の鉄筋コンクリート有孔梁の補強金具の実施例3を図9により説明する。
【0047】
図9は本実施例の補強金具21の正面図である。
【0048】
本実施例の補強金具21において、その枠状体2Bは一本の棒鋼を折り曲げて内外三重の四辺形に形成されており、該枠状体2Bの両端部に前記実施例2と同様に膨出部2e、2eを有していると共にこれら膨出部2e、2eが前記両端部の交差部より少許突出しており、該交差個所2Bcにおいて、前記両端部を互に溶接して固定している。
【0049】
前記枠状体2Bの上下の角部2Ba、2Bbの内方には、2本の棒状の取付け杆3a、3bが互いに平行に内外三重の枠状体2Bの内方の二重の部分の枠状体2Bに溶接して固定されている。
【0050】
スリーブBを支持する支持手段4は実施例2と同様に内側の枠状体2Bの下方部の左右の辺部と上側の取付け杆3aの中心部に設けられている。
【0051】
本実施例では実施例2の補強金具11によっても補強筋量が不足している場合に更に補強するのに好適である。
【実施例4】
【0052】
本発明の鉄筋コンクリート有孔梁の補強金具の実施例4を図10により説明する。
【0053】
図10は本実施例の補強金具31の正面図である。
【0054】
本実施例の補強金具31は前記実施例3と同様に内外三重の四辺形の枠状体2Bからなると共に、支持手段4が実施例3と同様に設けられており、相違するところは、上下の取付け杆3a、3bが長く形成され、三重の枠状体2Bの全てにわたって溶接して固定されている点である。
【0055】
本実施例は、補強量が不足している場合の特に大径のスリーブBの支持に好適である。
【実施例5】
【0056】
本発明の鉄筋コンクリート有孔梁の補強金具の実施例5を図11により説明する。
【0057】
図11は本実施例の補強金具41の正面図であり、本実施例の補強金具41においては、一本の鋼棒を曲げて円形の枠状体2Dに形成し、該鋼棒の端部において交差して両端末に前記実施例1と同様に膨出部2e、2eを形成すると共に前述した交差個所2Dcにおいて、両端部を互いに溶接して固定した。
【0058】
そして前記枠状体2Dの上方部に上側の係止手段3の取付け杆3aを溶接固定すると共に、該枠状体2Aの下方部に下側の係止手段3の取付け杆3bを溶接固定した。
【0059】
又、支持手段4の下側の左右支持杆4b、4cは前記枠状体2Dの下方部の左右の湾曲状の辺部に前記実施例1と同様に溶接固定し、又前記支持手段4の上側の支持杆4aは前記上側の取付け杆3aの中間部に前記実施例1と同様に進退可能に設けた。
【0060】
この実施例の補強金具41は鉄筋コンクリートの梁において、スリーブBの外方に同芯状の湾曲状のひび割れに対しての防止に好適である。
【0061】
尚、前記実施例1乃至実施例4の補強金具1、11、21及び31は枠状体2、2A及び2Bが4角形の例を示したが、これらは6角形、8角形等の多角形に形成してもよい。
【0062】
又、前記実施例1乃至実施例5の補強金具1、11、21、31及び41においては、上側の支持手段4を上側の取付け杆3aの中央部に設けた例を示したが、前記枠状体2、2A、2B又は2Dの頂部に直接設けてもよい。
【0063】
更に又、前記実施例1乃至実施例5において、支持手段4の支持杆4a、4b、4cを棒状体により形成したがこれは帯状板等任意であり、特に上側の支持杆4aについては進退可能で且つ側方に突出する横杆を有していることが必要である。
【実施例6】
【0064】
本発明の鉄筋コンクリート有孔梁の補強金具の実施例6を図12乃至図14により説明する。
【0065】
図12は本実施例の補強金具51の正面図であり、図13はその側面図であり、図14は上側の支持手段の個所の斜視図である。
【0066】
補強金具51は、前記実施例1の補強金具1における支持手段4の代りに他の形態の支持手段5を用いるようにした以外は前記補強金具1と同一の構造である。
【0067】
即ち、前記支持手段5は上側の支持杆5aと下側の左右の支持杆5b、5cとからなり、これら支持杆5a、5b、5cは細目の棒鋼をコ字状に折り曲げて形成されており、下側の左右の支持杆5b、5cはそのコ字状の両脚部において前記枠状体2の下方部の左右の辺部に溶接固定されていると共にコ字状の中間辺部5dを前記枠状体2の中心部に向くように形成されている。
【0068】
又、上側の支持杆5aの第1支持体5a1、5a2は図14に示す如く同形で、帯状の鉄板をコ字状に折り曲げて形成されており、これら第1支持体5a1、5a2の上下にある水平板部に前記上側支持杆5aのコ字状の両辺垂直部(脚部)が挿通して進退可能な挿通孔を有すると共に、これら第1支持体5a1、5a2を並べて前記上側の取付け杆3aの中央部に間隔を存して溶接固定している。
【0069】
そして前記上側支持杆5aのコ字状の中間辺部5dは下側に位置して枠状体2の中心部に向いており、又該上側支持杆5aの該両辺垂直部の上端部には、棒状の係止杆5a3を溶接して固定しており、該係止杆5a3の両端部は支持杆5aの両辺垂直部の両側方へ突出して腕部5a6を形成している。
【0070】
5fは針金を示し、該針金5fは中間部で湾曲状に折り曲げて指の挿入が可能な中間折曲げ部5faに形成すると共に両端部において前記係止杆5a3の中間部に結着し、該両端部と前記中間折曲げ部5faの中間部において前記上側の取付け杆3aに引っ掛けて折り返して該中間折曲げ部5faを前記腕部5a6の上方に延長するようにした。
【0071】
次に本実施例の鉄筋コンクリート有孔梁の補強金具51の使用方法及びその効果について説明する。
【0072】
本実施例におけるスリーブBの支持手段5の使用方法は前記実施例1における支持手段4の場合とは少許異なる。
【0073】
即ち、前記枠状体2の中心部に孔を形成するためのスリーブBを挿通するときは、上側支持杆5aを上方に引き上げ、スリーブBを挿入し易いようにする。
【0074】
次いで前記下側支持杆5b、5cの先端部上にスリーブBを載置する。
【0075】
その後上側支持杆5aの下方の中間辺部5dが前記スリーブBの上面に当たるところまで、該上側支持杆5aを手で押し下げる。
【0076】
次に前記針金5fの中間折曲げ部5faに指を挿入して該針金5fを図14の矢印Zの如く上方へ引張って、前記上側支持杆5aの中間辺部5dがスリーブBの上面に強く当るようにしてから該針金5fの中間折曲げ部5faの近傍を図14の想像線の如く前記係止杆5a3の腕部5a6に巻き付けて固定する。
【0077】
本実施例の支持杆5a、5b及び5cは前記実施例1の支持杆4a、4b及び4cの如き可撓性を有するキャップ4eを有しないにも拘らず、作業者の手や指を傷つけることのないような平らな中間辺部5dを有しているので、配筋作業を安全に行なうことができる。
【実施例7】
【0078】
本発明の鉄筋コンクリート有孔梁の補強金具の実施例7を図15により説明する。
【0079】
図15は本実施例の補強金具61の正面図であり、本実施例の補強金具61において、上側の係止手段3の係止杆3aが前記枠状体2の上側の角部2aに1点で溶接固定されていると共に下側の係止手段3の係止杆3bが前記枠状体2の下側の角部2bに1点で溶接固定されている以外は前記第5実施例の補強金具1と同様である。
【0080】
この実施例の補強金具61は、係止杆3a、3bが枠状体2の上下の角部2a、2bにそれぞれ1点溶接で固定しているので、製作が簡単になると共に大径のスリーブに好適である。
【実施例8】
【0081】
本発明の鉄筋コンクリート有孔梁の補強金具の実施例8を図16により説明する。
【0082】
図16は本実施例の補強金具71の正面図である。
【0083】
本実施例の補強金具71においてその枠状体2Aは実施例2の枠状体2Aと同様の二重の四辺形である。
【0084】
そして該枠状体2Aの上下の角部2Aa、2Abの内方には、2本の棒状の取付け杆3a、3bが互いに平行に前記内外二重の枠状体2Aに溶接して固定されている。
【0085】
スリーブBを支持する支持手段5は実施例6と同様に形成されており、下側の支持杆5b、5cは内側の枠状体2Aの下方部の左右の辺部に、又、上側の支持杆5aは上側に位置する取付け杆3aの中心部に設けられている。
【0086】
本実施例では枠状体2Aを内外二重の四辺形からなるものとし、補強筋量が不足の場合に好適である。
【実施例9】
【0087】
本発明の鉄筋コンクリート有孔梁の補強金具の実施例9を図17により説明する。
【0088】
図17は本実施例の補強金具81の正面図であり、本実施例の補強金具81においてその枠状体2Dは実施例5の枠状体2Dと同様の円形である。
【0089】
そして前記枠状体2Dの上方部に上側の係止手段3の取付け杆3aを固定すると共に、該枠状体2Dの下方部に下側の係止手段3の取付け杆3bを固定した。
【0090】
又、支持手段5は前記実施例6と同様に形成されており、下側の左右支持杆5b、5cは前記枠状体2Dの下方部の左右の湾曲状の辺部に固定し、又上側の支持杆5aは前記上側の取付け杆3aの中間部に前記実施例と同様に進退可能に設けた。
【0091】
この実施例の補強金具81は鉄筋コンクリートの梁において、スリーブBの外方に同芯状の湾曲状のひび割れに対しての防止に好適である。
【0092】
尚、前記実施例6乃至実施例8の補強金具51、61、71は枠状体2、2Aが4角形又は円形の例を示したが、6角形、8角形等の多角形に形成してもよい。
【0093】
又、前記実施例6乃至実施例9の補強金具51、61、71、81においては、上側の支持手段5を上側の取付け杆3aの中央部に設けた例を示したが、前記枠状体2、2A、2Dの頂部に直接設けてもよい。
【実施例10】
【0094】
本発明の鉄筋コンクリート有孔梁の補強金具の実施例10を図18及び図19により説明する。
【0095】
図18は本実施例の補強金具91の正面図であり、図19はその側面図である。
【0096】
本実施例の補強金具91の前記実施例1における補強金具1との相違点は、スリーブBの支持手段6の構造が異なる点にある。
【0097】
前記実施例1における支持手段4は上側支持杆4aのみが上下方向に進退可能で下側支持杆4b、4cは枠状体2に固定されていたのに対して、本実施例の支持手段6は、棒状の支持杆6a、6b、6cを枠状体2の中心部に向かって三方から進退可能に係止した構造となっている。
【0098】
又、これら支持杆6a、6b、6cの両端部にはプラスチック等の可撓性を有する材料からなる円筒状のキャップ6dを被せて、これら支持杆の端部が作業者の手やスリーブBの表面を傷付けることのないように配慮してある。
【0099】
そして、これら支持杆6a、6b、6cを前記枠状体2の中心部に向かって三方から進退可能に係止するのが3組の支持体7a、7b、7cである。
【0100】
即ち、これら支持体7a、7b、7cは、帯状の鉄板をコ字状に折り曲げてその上下の水平板部に前記支持杆6a又は6b又は6cが遊嵌可能な挿通孔を設けると共に、縦板部にねじ孔を設けており、該ねじ孔に螺合するボルト8の先端部が前記挿通孔に遊嵌している支持杆6a、6b、6cの側部を押圧して係止するように形成されている。
【0101】
又、これら支持体7a、7b及び7cは、互いが略120度の等間隔となるように配置されている。
【0102】
この実施例の補強金具91はスリーブBの種々の相違する径のものに適用できる。
【0103】
尚、前記キャップ6dは、使用する鉄筋コンクリート用棒鋼の太さ毎、及び又は支承するスリーブBの直径毎に色を変えたものとした。
【0104】
このようなキャップ6dの色分けにより、作業現場での施工、管理、検査等を容易に行なうことができる。
【実施例11】
【0105】
本発明の鉄筋コンクリート有孔梁の補強金具の実施例11を図20により説明する。
【0106】
図20は本実施例の補強金具101の正面図である。
【0107】
本実施例においては、図8に示す実施例2の支持手段4の代りに図18及び図19に示す実施例10の支持手段6を設けており、種々の径のスリーブBに適用することができ、又実施例10の補強金具91では補強筋量が不足の場合に好適である。
【実施例12】
【0108】
本発明の鉄筋コンクリート有孔梁の補強金具の実施例12を図21により説明する。
【0109】
図21は本実施例の補強金具111の正面図である。
【0110】
本実施例の補強金具111において、その枠状体は図11の実施例5の枠状体2Dと同様であり、スリーブBの支持手段は同実施例5の支持手段4の代りに図18及び図19の実施例10の支持手段6を固定した。
【0111】
実施例10及び実施例11の補強金具91、101の場合に枠状体2、2Aが4角形の例を示したが、6角形、8角形等の多角形に形成してもよく、又、実施例10、実施例11及び実施例12と異なり、上側の支持杆6aの支持体7aを枠状体2、2A、2Dの頂部に設けるようにしてもよい。
【実施例13】
【0112】
本発明の鉄筋コンクリート有孔梁の補強金具の実施例13を図22により説明する。
【0113】
図22は本実施例の補強金具121の正面図である。
【0114】
補強金具121は、図1に示す実施例1の枠状体2の代りに枠状体2Eを用いるようにした点以外は、前記実施例1の補強金具1と同じである。
【0115】
本実施例の枠状体2Eは、該枠状体を構成する棒鋼の両端部を2Eaの如く突き合せ溶接によって接合し、該接合部2Eaの外方に膨出部2eを有しない構造の一重の四辺形に形成した。
【0116】
このように突き合せ溶接としたことにより、枠状体2Eの製作は前記枠状体2よりも簡単となる。
【実施例14】
【0117】
本発明の鉄筋コンクリート有孔梁の補強金具の実施例14を図23により説明する。
【0118】
図23は本実施例の補強金具131の正面図である。
【0119】
補強金具131は、図8に示す実施例2の枠状体2Aの代りに枠状体2Fを用いるようにした以外は、前記実施例2の補強金具11と同じである。
【0120】
本実施例の枠状体2Fは、該枠状体を構成する棒鋼の両端部を2Faの如く突き合せ溶接によって接合し、該接合部の外部に膨出部2eを有しない構造の内外二重の四辺形に形成した。
【0121】
本実施例の枠状体2Fも前記枠状体2Aよりも製作が容易となる。
【実施例15】
【0122】
本発明の鉄筋コンクリート有孔梁の補強金具の実施例15を図24により説明する。
【0123】
図24は本実施例の補強金具141の正面図である。
【0124】
補強金具141は、図11に示す実施例5の枠状体2Dの代りに枠状体2Gを用いるようにした点以外は前記実施例5の補強金具41と同じである。
【0125】
本実施例の枠状体2Gは、該枠状体を構成する棒鋼の両端部を2Gaの如く突き合せ溶接によって接合し、該接合部の外方に膨出部2eを有しない構造の円形に形成した。
【0126】
このように突き合せ溶接としたことにより、枠状体2Gの製作は前記枠状体2Dよりも容易となる。
【0127】
尚、図9の実施例3、図10の実施例4、図12乃至図14の実施例6、図15の実施例7、図16の実施例8、図17の実施例9、図18及び図19の実施例10、図20の実施例11及び図21の実施例12の各補強金具の枠状体に関しても、図22の実施例13、図23の実施例14及び図24の実施例15の各補強金具の枠状体の如く棒鋼の両端部を突き合せ溶接によって接合し、該接合部の外部に膨出部を有しない構造にしてもよい。
【0128】
又、前記実施例1乃至実施例12においては、交差個所2cにおいて棒鋼の両端部を溶接により固定しているが、該両端部を針金のバンドその他の手段により結着して固定するようにしてもよい。
【0129】
又、前記いずれの実施例においても、支持されるスリーブBの径の大きさに応じて、上方の取付け杆3aの枠状体の上方部への固定位置、及び又は下方の取付け杆3bの枠状体の下方部への固定位置の相違した種々の補強金具が用意される。
【産業上の利用可能性】
【0130】
本発明の鉄筋コンクリート有孔梁の補強金具は、梁に貫通孔を設ける際の配筋において利用される。
【符号の説明】
【0131】
1、11、21、31、41、51、61、71、81、
91、101、111、121、131、141 補強金具
2、2A、2B、2D、2E、2F、2G 枠状体
2c 交差部
2e、2e 膨出部
3 係止手段
3a、3b 取付け杆
3ab 係止部
4、5 支持手段
4a、5a 上側支持杆
4b、4c、5b、5c 下側支持杆
4aa 横杆
4f、5f 針金
4ab、5a1、5a2 支持体
5d ボルト
A あばら筋
B スリーブ
【技術分野】
【0001】
本発明は鉄筋コンクリート有孔梁の配筋において、当該梁の孔部の補強に用いられる補強金具に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄筋コンクリート製の梁は一般にあばら筋と言われる鉄筋で補強されているが、梁に貫通孔を有する有孔梁においては、該孔部の周りを補強するための補強金具を配置して、孔部の周りのコンクリートのせん断ひび割れを防止するようにしている。
【0003】
このような鉄筋コンクリート有孔梁の補強金具の従来例を図25及び図26に示した。
【0004】
即ち、補強金具Aは複数の環状体aを共通1本の棒体により形成してこれら環状体aをその内外の移行部で交差し、最も外側の環状体aに相応する個所の前記棒体の両端末部cを内方に折り曲げて最も外側の環状体aの次の内側の環状体aに溶接し、内外の環状体aの下方部の両辺部に連結杆b、bを連結固定した例が知られている(例えば特許文献1参照。)。
【0005】
そして梁のあばら筋dに環状体aを針金により結束して補強金具Aを固定し、梁内に孔を形成するための円筒状スリーブBは、前記環状体aに挿通されると共に前記連結杆b、bの先端部にて支承されている。尚、Eは型枠を示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3556506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この従来の補強金具Aによれば、1本の棒状体を移行部で交差して内外の複数の環状体aに形成し、最も外側の環状体aに相応する個所の前記棒状体の両端末部cを内方に折り曲げて次の内側の環状体aに溶接している構成であるので、製作に手間がかかると共に重量が大となって施工が行いにくく、又環状体aとあばら筋dとの針金による結束が不充分であると枠体が斜めに取り付けられたりして施工不良が発生するという問題点があった。
【0008】
本発明はこれらの問題点を解消し、製作が容易になると共に、あばら筋への取り付けが正確に行えて施工不良を発生することがなく、小型化が可能で、しかも十分な補強強度の得られる鉄筋コンクリート有孔梁の補強金具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記の目的を達成すべく、棒体を曲げて枠状とし該枠状内をスリーブが挿通可能に形成した枠状体と、該枠状体に固定され該スリーブの左右に配置されているあばら筋に係止可能な係止部を具備する係止手段と、前記枠状体に設けられ前記スリーブをその外周より支持する支持手段とからなる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の効果として、製作が容易になると共に軽くなって施工上の取扱いが容易となり、又あばら筋への取付けが正確に行えて施工不良の発生がなく、枠体の小型化が可能で、しかも充分な補強強度の得られる鉄筋コンクリート有孔梁の補強金具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施例1の補強金具の正面図である。
【図2】同上補強金具の側面図である。
【図3】同上補強金具の上側の支持手段の個所で、上側支持杆の固定方法の第1ステップを示す正面側の斜視図である。
【図4】同固定方法の第2ステップを示す正面側の斜視図である。
【図5】同第2ステップを示す背面側の斜視図である。
【図6】同固定方法の最終ステップを示す正面側の斜視図である。
【図7】同最終ステップを示す背面側の斜視図である。
【図8】本発明の実施例2の補強金具の正面図である。
【図9】本発明の実施例3の補強金具の正面図である。
【図10】本発明の実施例4の補強金具の正面図である。
【図11】本発明の実施例5の補強金具の正面図である。
【図12】本発明の実施例6の補強金具の正面図である。
【図13】同上補強金具の側面図である。
【図14】同上補強金具の上側の支持手段の個所の斜視図である。
【図15】本発明の実施例7の補強金具の正面図である。
【図16】本発明の実施例8の補強金具の正面図である。
【図17】本発明の実施例9の補強金具の正面図である。
【図18】本発明の実施例10の補強金具の正面図である。
【図19】同上補強金具の側面図である。
【図20】本発明の実施例11の補強金具の正面図である。
【図21】本発明の実施例12の補強金具の正面図である。
【図22】本発明の実施例13の補強金具の正面図である。
【図23】本発明の実施例14の補強金具の正面図である。
【図24】本発明の実施例15の補強金具の正面図である。
【図25】従来の補強金具の使用状態の正面図である。
【図26】同上従来の補強金具の使用状態の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を実施するための形態の実施例を次に示す。
【実施例1】
【0013】
本発明の鉄筋コンクリート有孔梁の補強金具の実施例1を図1乃至図7により説明する。
【0014】
図1は本実施例の補強金具1の正面図であり、図2はその側面図である。尚、Aは梁のあばら筋であり、Bは孔形成用のスリーブを示し、Cは補強金具とあばら筋Aとを針金で結束した結束部を示す。
【0015】
補強金具1は主に鉄筋コンクリート用棒鋼からなり、一本の棒鋼を折り曲げて上下及び左右に角部2a、2b、2c、2dを有する一重の四辺形に形成されている枠状体2と、該枠状体2の上下にある各角部2a、2bの内方、即ち該枠状体2の上方部の左右の辺部と該枠状体2の下方部の左右の辺部に溶接して上下平行に固定されている取付け杆3a、3bからなる上下の係止手段3と、スリーブBを支承するための3本の支持杆4a、4b、4cからなる支持手段4とからなる。
【0016】
前記枠状体2は該枠状体2を形成する棒鋼の両端末にそれぞれ該棒鋼の直径よりも大径の瘤状に膨出させた膨出部2e、2eを形成し、これら両端末に連なる端部が枠状体2の側方の角部2cにおいて互いに交差して、前記膨出部2e、2eが該角部2cの外方へ少許突出するように形成されている。
【0017】
又、該枠状体2は該角部の前記交差個所2cにおいて、前記両端部を互いに溶接して固定している。
【0018】
前記取付け杆3a、3bは、鉄筋コンクリート用棒鋼製の棒状体の左右端部を直角に同一方向に折り曲げて形成した係止部3abを各端部に有しており、該取付け杆3a、3bにより係止手段3が形成されている。
【0019】
又、前記係止部3abの各先端部には、プラスチック等の可撓性を有する材料からなる円筒状のキャップ3dを被せてある。
【0020】
尚、上側の取付け杆3aの両端部のキャップ3dの色分けにより枠状体2の棒鋼の径を識別できるようにし、又下側の取付け杆3bの両端部のキャップ3dの色分けにより枠状体2のサイズを識別するようにした。これにより作業現場での施工、管理、検査等を容易に行うことができる。
【0021】
前記支持手段4は上側の支持杆4aと下側の左右の支持杆4b、4cとからなり、下側の左右の支持杆4b、4cは棒状体からなり前記枠状体2の下方部の左右の辺部に根部で固定されている。
【0022】
又、上側の支持杆4aは、上端部に横杆4aaを直交して固定した棒状体からなり、上方の取付け杆3aの中央部に、間隔を存して上下に延びる左右の棒体からなる支持体4abを固定し、該支持体4ab間に前記上側の支持杆4aを摺接しながら上下動可能に介在して支持されている。
【0023】
4eは前記上側の支持杆4a及び下側の支持杆4b、4cの先端部に被せたキャップであり、プラスチック等の可撓性を有する材料からなる。
【0024】
そして該キャップ4eの色分けにより支持されるスリーブBの径を識別できるようにし、作業現場での施工、管理、検査等を容易に行うことができる。
【0025】
4fは針金を示し、該針金4fは図3乃至図7に示す如く、上側の支持杆4aを上側の取付け杆3aに結え付けるのに使用する。
【0026】
ここで、コンクリートのかぶり厚が50mmとされている地中梁用には例えば赤色の針金4fを結着した補強金具1を、又はコンクリートのかぶり厚が40mmとされている一般梁用には青色の針金4fを結着した補強金具1を使用する如く針金4fの色別けにより地中梁用の補強金具1又は一般梁用の補強金具1を作業員が目で判別して施工の効率化を図るようにした。
【0027】
尚、左右の棒体からなる前記支持体4abは、各下方部で前記取付け杆3aに溶接固定すると共に各下端部を鍵状に折り曲げて、該折り曲げ部4ab1を前記取付け杆3aの後方へ突出させている。
【0028】
次に本実施例の鉄筋コンクリート有孔梁の補強金具1の使用方法及びその効果について説明する。
【0029】
補強金具1は、コンクリート型枠内の貫通孔設置個所の両側にあるあばら筋Aに、各取付け杆3a、3bの両端にある係合部3abを係合させて補強金具1をあばら筋Aに正確に位置決めセットをしてから、枠状体2をあばら筋Aに針金で結束して補強金具1を固定する。この結束部をCで示した。
【0030】
次に、前記枠状体2の中心部に孔を形成するためのスリーブBを挿通する。
【0031】
このとき、上側の支持杆4aは前記枠状体2より取り外しておき、前記下側の支持杆4b、4cの先端部上にスリーブBを載置する。
【0032】
その後上側の支持杆4aの下端部が前記スリーブBの上面に当たるように該支持杆4aを支持体4abの間に挿入する。
【0033】
このとき、支持杆4aの上端部にある横杆4aaが前記支持体4abの左右の棒状体をガイドとして昇降するので、支持杆4aが支持体4abの間から脱落することがない。
【0034】
次に針金4fを用いて前記支持杆4aを取付け杆3aに結着する方法について図3乃至図7により説明する。
【0035】
図3に示す如く、針金4fをループ状に形成し、その両端部を支持杆4aの中間部に巻き掛け、第1ステップとして中間折曲げ部4faは前記取付け杆3aの下方から後方を廻って上方へ引き上げるようにする。この針金4fの中間折曲げ部4faの引き上げにより上側の支持杆4aの下端部がスリーブBの上面を押圧する。
【0036】
次に図4及び図5に示す如く、第2ステップとして前記針金4fの上方へ引き上げた部分を支持杆4aの頂部及び横杆4aaの両端部に巻き付けてから中間折曲げ部4faを下方へ引き下げる。こうして支持杆4aの下端部をスリーブBの上面に強く当接保持させることができる。
【0037】
次に図6及び図7に示す如く、最終ステップとして前記下方に引き下げた針金4fの中間折曲げ部4faを、前記支持体4abの下端部の折り曲げ部4ab1掛け巻して係止する。
【0038】
かくて、スリーブBは支持杆4a、4b、4cにより確実に支持され、又、組み立てられた配筋間の狭い空間中でも針金4fの横杆4aa等への巻き付けが容易に行なえる。
【実施例2】
【0039】
本発明の鉄筋コンクリート有孔梁の補強金具の実施例2を図8により説明する。
【0040】
図8は本実施例の補強金具11の正面図である。
【0041】
本実施例の補強金具11においてその枠状体2Aは一本の棒鋼を折り曲げて内外二重の四辺形に形成されている。
【0042】
該枠状体2Aを形成する棒鋼は、その両端部の端部にそれぞれ該棒鋼の直径よりも大径の瘤状の膨出部2e、2eを有しており、これら両端部が前記枠状体2Aの側方の角部2Acにおいて互いに交差して、前記膨出部2e、2eが該角部2Acの外方へ少許突出するように形成されており、該交差個所2Acにおいて、前記両端部を互に溶接して固定している。
【0043】
前記枠状体2Aの上下の角部2Aa、2Abの内方には、2本の棒状の取付け杆3a、3bが互いに平行に前記内外二重の枠状体2Aに溶接して固定されている。
【0044】
スリーブBを支持する支持手段4は実施例1と同様に形成されており、内側の枠状体2Aの下方部の左右の辺部と上側に位置する取付け杆3aの中心部に設けられている。
【0045】
本実施例では枠状体2Aを内外二重の四辺形からなるものとしたが、これは実施例1の補強金具1では補強筋量が不足の場合に好適である。
【実施例3】
【0046】
本発明の鉄筋コンクリート有孔梁の補強金具の実施例3を図9により説明する。
【0047】
図9は本実施例の補強金具21の正面図である。
【0048】
本実施例の補強金具21において、その枠状体2Bは一本の棒鋼を折り曲げて内外三重の四辺形に形成されており、該枠状体2Bの両端部に前記実施例2と同様に膨出部2e、2eを有していると共にこれら膨出部2e、2eが前記両端部の交差部より少許突出しており、該交差個所2Bcにおいて、前記両端部を互に溶接して固定している。
【0049】
前記枠状体2Bの上下の角部2Ba、2Bbの内方には、2本の棒状の取付け杆3a、3bが互いに平行に内外三重の枠状体2Bの内方の二重の部分の枠状体2Bに溶接して固定されている。
【0050】
スリーブBを支持する支持手段4は実施例2と同様に内側の枠状体2Bの下方部の左右の辺部と上側の取付け杆3aの中心部に設けられている。
【0051】
本実施例では実施例2の補強金具11によっても補強筋量が不足している場合に更に補強するのに好適である。
【実施例4】
【0052】
本発明の鉄筋コンクリート有孔梁の補強金具の実施例4を図10により説明する。
【0053】
図10は本実施例の補強金具31の正面図である。
【0054】
本実施例の補強金具31は前記実施例3と同様に内外三重の四辺形の枠状体2Bからなると共に、支持手段4が実施例3と同様に設けられており、相違するところは、上下の取付け杆3a、3bが長く形成され、三重の枠状体2Bの全てにわたって溶接して固定されている点である。
【0055】
本実施例は、補強量が不足している場合の特に大径のスリーブBの支持に好適である。
【実施例5】
【0056】
本発明の鉄筋コンクリート有孔梁の補強金具の実施例5を図11により説明する。
【0057】
図11は本実施例の補強金具41の正面図であり、本実施例の補強金具41においては、一本の鋼棒を曲げて円形の枠状体2Dに形成し、該鋼棒の端部において交差して両端末に前記実施例1と同様に膨出部2e、2eを形成すると共に前述した交差個所2Dcにおいて、両端部を互いに溶接して固定した。
【0058】
そして前記枠状体2Dの上方部に上側の係止手段3の取付け杆3aを溶接固定すると共に、該枠状体2Aの下方部に下側の係止手段3の取付け杆3bを溶接固定した。
【0059】
又、支持手段4の下側の左右支持杆4b、4cは前記枠状体2Dの下方部の左右の湾曲状の辺部に前記実施例1と同様に溶接固定し、又前記支持手段4の上側の支持杆4aは前記上側の取付け杆3aの中間部に前記実施例1と同様に進退可能に設けた。
【0060】
この実施例の補強金具41は鉄筋コンクリートの梁において、スリーブBの外方に同芯状の湾曲状のひび割れに対しての防止に好適である。
【0061】
尚、前記実施例1乃至実施例4の補強金具1、11、21及び31は枠状体2、2A及び2Bが4角形の例を示したが、これらは6角形、8角形等の多角形に形成してもよい。
【0062】
又、前記実施例1乃至実施例5の補強金具1、11、21、31及び41においては、上側の支持手段4を上側の取付け杆3aの中央部に設けた例を示したが、前記枠状体2、2A、2B又は2Dの頂部に直接設けてもよい。
【0063】
更に又、前記実施例1乃至実施例5において、支持手段4の支持杆4a、4b、4cを棒状体により形成したがこれは帯状板等任意であり、特に上側の支持杆4aについては進退可能で且つ側方に突出する横杆を有していることが必要である。
【実施例6】
【0064】
本発明の鉄筋コンクリート有孔梁の補強金具の実施例6を図12乃至図14により説明する。
【0065】
図12は本実施例の補強金具51の正面図であり、図13はその側面図であり、図14は上側の支持手段の個所の斜視図である。
【0066】
補強金具51は、前記実施例1の補強金具1における支持手段4の代りに他の形態の支持手段5を用いるようにした以外は前記補強金具1と同一の構造である。
【0067】
即ち、前記支持手段5は上側の支持杆5aと下側の左右の支持杆5b、5cとからなり、これら支持杆5a、5b、5cは細目の棒鋼をコ字状に折り曲げて形成されており、下側の左右の支持杆5b、5cはそのコ字状の両脚部において前記枠状体2の下方部の左右の辺部に溶接固定されていると共にコ字状の中間辺部5dを前記枠状体2の中心部に向くように形成されている。
【0068】
又、上側の支持杆5aの第1支持体5a1、5a2は図14に示す如く同形で、帯状の鉄板をコ字状に折り曲げて形成されており、これら第1支持体5a1、5a2の上下にある水平板部に前記上側支持杆5aのコ字状の両辺垂直部(脚部)が挿通して進退可能な挿通孔を有すると共に、これら第1支持体5a1、5a2を並べて前記上側の取付け杆3aの中央部に間隔を存して溶接固定している。
【0069】
そして前記上側支持杆5aのコ字状の中間辺部5dは下側に位置して枠状体2の中心部に向いており、又該上側支持杆5aの該両辺垂直部の上端部には、棒状の係止杆5a3を溶接して固定しており、該係止杆5a3の両端部は支持杆5aの両辺垂直部の両側方へ突出して腕部5a6を形成している。
【0070】
5fは針金を示し、該針金5fは中間部で湾曲状に折り曲げて指の挿入が可能な中間折曲げ部5faに形成すると共に両端部において前記係止杆5a3の中間部に結着し、該両端部と前記中間折曲げ部5faの中間部において前記上側の取付け杆3aに引っ掛けて折り返して該中間折曲げ部5faを前記腕部5a6の上方に延長するようにした。
【0071】
次に本実施例の鉄筋コンクリート有孔梁の補強金具51の使用方法及びその効果について説明する。
【0072】
本実施例におけるスリーブBの支持手段5の使用方法は前記実施例1における支持手段4の場合とは少許異なる。
【0073】
即ち、前記枠状体2の中心部に孔を形成するためのスリーブBを挿通するときは、上側支持杆5aを上方に引き上げ、スリーブBを挿入し易いようにする。
【0074】
次いで前記下側支持杆5b、5cの先端部上にスリーブBを載置する。
【0075】
その後上側支持杆5aの下方の中間辺部5dが前記スリーブBの上面に当たるところまで、該上側支持杆5aを手で押し下げる。
【0076】
次に前記針金5fの中間折曲げ部5faに指を挿入して該針金5fを図14の矢印Zの如く上方へ引張って、前記上側支持杆5aの中間辺部5dがスリーブBの上面に強く当るようにしてから該針金5fの中間折曲げ部5faの近傍を図14の想像線の如く前記係止杆5a3の腕部5a6に巻き付けて固定する。
【0077】
本実施例の支持杆5a、5b及び5cは前記実施例1の支持杆4a、4b及び4cの如き可撓性を有するキャップ4eを有しないにも拘らず、作業者の手や指を傷つけることのないような平らな中間辺部5dを有しているので、配筋作業を安全に行なうことができる。
【実施例7】
【0078】
本発明の鉄筋コンクリート有孔梁の補強金具の実施例7を図15により説明する。
【0079】
図15は本実施例の補強金具61の正面図であり、本実施例の補強金具61において、上側の係止手段3の係止杆3aが前記枠状体2の上側の角部2aに1点で溶接固定されていると共に下側の係止手段3の係止杆3bが前記枠状体2の下側の角部2bに1点で溶接固定されている以外は前記第5実施例の補強金具1と同様である。
【0080】
この実施例の補強金具61は、係止杆3a、3bが枠状体2の上下の角部2a、2bにそれぞれ1点溶接で固定しているので、製作が簡単になると共に大径のスリーブに好適である。
【実施例8】
【0081】
本発明の鉄筋コンクリート有孔梁の補強金具の実施例8を図16により説明する。
【0082】
図16は本実施例の補強金具71の正面図である。
【0083】
本実施例の補強金具71においてその枠状体2Aは実施例2の枠状体2Aと同様の二重の四辺形である。
【0084】
そして該枠状体2Aの上下の角部2Aa、2Abの内方には、2本の棒状の取付け杆3a、3bが互いに平行に前記内外二重の枠状体2Aに溶接して固定されている。
【0085】
スリーブBを支持する支持手段5は実施例6と同様に形成されており、下側の支持杆5b、5cは内側の枠状体2Aの下方部の左右の辺部に、又、上側の支持杆5aは上側に位置する取付け杆3aの中心部に設けられている。
【0086】
本実施例では枠状体2Aを内外二重の四辺形からなるものとし、補強筋量が不足の場合に好適である。
【実施例9】
【0087】
本発明の鉄筋コンクリート有孔梁の補強金具の実施例9を図17により説明する。
【0088】
図17は本実施例の補強金具81の正面図であり、本実施例の補強金具81においてその枠状体2Dは実施例5の枠状体2Dと同様の円形である。
【0089】
そして前記枠状体2Dの上方部に上側の係止手段3の取付け杆3aを固定すると共に、該枠状体2Dの下方部に下側の係止手段3の取付け杆3bを固定した。
【0090】
又、支持手段5は前記実施例6と同様に形成されており、下側の左右支持杆5b、5cは前記枠状体2Dの下方部の左右の湾曲状の辺部に固定し、又上側の支持杆5aは前記上側の取付け杆3aの中間部に前記実施例と同様に進退可能に設けた。
【0091】
この実施例の補強金具81は鉄筋コンクリートの梁において、スリーブBの外方に同芯状の湾曲状のひび割れに対しての防止に好適である。
【0092】
尚、前記実施例6乃至実施例8の補強金具51、61、71は枠状体2、2Aが4角形又は円形の例を示したが、6角形、8角形等の多角形に形成してもよい。
【0093】
又、前記実施例6乃至実施例9の補強金具51、61、71、81においては、上側の支持手段5を上側の取付け杆3aの中央部に設けた例を示したが、前記枠状体2、2A、2Dの頂部に直接設けてもよい。
【実施例10】
【0094】
本発明の鉄筋コンクリート有孔梁の補強金具の実施例10を図18及び図19により説明する。
【0095】
図18は本実施例の補強金具91の正面図であり、図19はその側面図である。
【0096】
本実施例の補強金具91の前記実施例1における補強金具1との相違点は、スリーブBの支持手段6の構造が異なる点にある。
【0097】
前記実施例1における支持手段4は上側支持杆4aのみが上下方向に進退可能で下側支持杆4b、4cは枠状体2に固定されていたのに対して、本実施例の支持手段6は、棒状の支持杆6a、6b、6cを枠状体2の中心部に向かって三方から進退可能に係止した構造となっている。
【0098】
又、これら支持杆6a、6b、6cの両端部にはプラスチック等の可撓性を有する材料からなる円筒状のキャップ6dを被せて、これら支持杆の端部が作業者の手やスリーブBの表面を傷付けることのないように配慮してある。
【0099】
そして、これら支持杆6a、6b、6cを前記枠状体2の中心部に向かって三方から進退可能に係止するのが3組の支持体7a、7b、7cである。
【0100】
即ち、これら支持体7a、7b、7cは、帯状の鉄板をコ字状に折り曲げてその上下の水平板部に前記支持杆6a又は6b又は6cが遊嵌可能な挿通孔を設けると共に、縦板部にねじ孔を設けており、該ねじ孔に螺合するボルト8の先端部が前記挿通孔に遊嵌している支持杆6a、6b、6cの側部を押圧して係止するように形成されている。
【0101】
又、これら支持体7a、7b及び7cは、互いが略120度の等間隔となるように配置されている。
【0102】
この実施例の補強金具91はスリーブBの種々の相違する径のものに適用できる。
【0103】
尚、前記キャップ6dは、使用する鉄筋コンクリート用棒鋼の太さ毎、及び又は支承するスリーブBの直径毎に色を変えたものとした。
【0104】
このようなキャップ6dの色分けにより、作業現場での施工、管理、検査等を容易に行なうことができる。
【実施例11】
【0105】
本発明の鉄筋コンクリート有孔梁の補強金具の実施例11を図20により説明する。
【0106】
図20は本実施例の補強金具101の正面図である。
【0107】
本実施例においては、図8に示す実施例2の支持手段4の代りに図18及び図19に示す実施例10の支持手段6を設けており、種々の径のスリーブBに適用することができ、又実施例10の補強金具91では補強筋量が不足の場合に好適である。
【実施例12】
【0108】
本発明の鉄筋コンクリート有孔梁の補強金具の実施例12を図21により説明する。
【0109】
図21は本実施例の補強金具111の正面図である。
【0110】
本実施例の補強金具111において、その枠状体は図11の実施例5の枠状体2Dと同様であり、スリーブBの支持手段は同実施例5の支持手段4の代りに図18及び図19の実施例10の支持手段6を固定した。
【0111】
実施例10及び実施例11の補強金具91、101の場合に枠状体2、2Aが4角形の例を示したが、6角形、8角形等の多角形に形成してもよく、又、実施例10、実施例11及び実施例12と異なり、上側の支持杆6aの支持体7aを枠状体2、2A、2Dの頂部に設けるようにしてもよい。
【実施例13】
【0112】
本発明の鉄筋コンクリート有孔梁の補強金具の実施例13を図22により説明する。
【0113】
図22は本実施例の補強金具121の正面図である。
【0114】
補強金具121は、図1に示す実施例1の枠状体2の代りに枠状体2Eを用いるようにした点以外は、前記実施例1の補強金具1と同じである。
【0115】
本実施例の枠状体2Eは、該枠状体を構成する棒鋼の両端部を2Eaの如く突き合せ溶接によって接合し、該接合部2Eaの外方に膨出部2eを有しない構造の一重の四辺形に形成した。
【0116】
このように突き合せ溶接としたことにより、枠状体2Eの製作は前記枠状体2よりも簡単となる。
【実施例14】
【0117】
本発明の鉄筋コンクリート有孔梁の補強金具の実施例14を図23により説明する。
【0118】
図23は本実施例の補強金具131の正面図である。
【0119】
補強金具131は、図8に示す実施例2の枠状体2Aの代りに枠状体2Fを用いるようにした以外は、前記実施例2の補強金具11と同じである。
【0120】
本実施例の枠状体2Fは、該枠状体を構成する棒鋼の両端部を2Faの如く突き合せ溶接によって接合し、該接合部の外部に膨出部2eを有しない構造の内外二重の四辺形に形成した。
【0121】
本実施例の枠状体2Fも前記枠状体2Aよりも製作が容易となる。
【実施例15】
【0122】
本発明の鉄筋コンクリート有孔梁の補強金具の実施例15を図24により説明する。
【0123】
図24は本実施例の補強金具141の正面図である。
【0124】
補強金具141は、図11に示す実施例5の枠状体2Dの代りに枠状体2Gを用いるようにした点以外は前記実施例5の補強金具41と同じである。
【0125】
本実施例の枠状体2Gは、該枠状体を構成する棒鋼の両端部を2Gaの如く突き合せ溶接によって接合し、該接合部の外方に膨出部2eを有しない構造の円形に形成した。
【0126】
このように突き合せ溶接としたことにより、枠状体2Gの製作は前記枠状体2Dよりも容易となる。
【0127】
尚、図9の実施例3、図10の実施例4、図12乃至図14の実施例6、図15の実施例7、図16の実施例8、図17の実施例9、図18及び図19の実施例10、図20の実施例11及び図21の実施例12の各補強金具の枠状体に関しても、図22の実施例13、図23の実施例14及び図24の実施例15の各補強金具の枠状体の如く棒鋼の両端部を突き合せ溶接によって接合し、該接合部の外部に膨出部を有しない構造にしてもよい。
【0128】
又、前記実施例1乃至実施例12においては、交差個所2cにおいて棒鋼の両端部を溶接により固定しているが、該両端部を針金のバンドその他の手段により結着して固定するようにしてもよい。
【0129】
又、前記いずれの実施例においても、支持されるスリーブBの径の大きさに応じて、上方の取付け杆3aの枠状体の上方部への固定位置、及び又は下方の取付け杆3bの枠状体の下方部への固定位置の相違した種々の補強金具が用意される。
【産業上の利用可能性】
【0130】
本発明の鉄筋コンクリート有孔梁の補強金具は、梁に貫通孔を設ける際の配筋において利用される。
【符号の説明】
【0131】
1、11、21、31、41、51、61、71、81、
91、101、111、121、131、141 補強金具
2、2A、2B、2D、2E、2F、2G 枠状体
2c 交差部
2e、2e 膨出部
3 係止手段
3a、3b 取付け杆
3ab 係止部
4、5 支持手段
4a、5a 上側支持杆
4b、4c、5b、5c 下側支持杆
4aa 横杆
4f、5f 針金
4ab、5a1、5a2 支持体
5d ボルト
A あばら筋
B スリーブ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒体を曲げて枠状とし該枠状内をスリーブが挿通可能に形成した枠状体と、該枠状体に固定され該スリーブの左右に配置されているあばら筋に係止可能な係止部を具備する係止手段と、前記枠状体に設けられ前記スリーブをその外周より支持する支持手段とからなる鉄筋コンクリート有孔梁の補強金具。
【請求項2】
前記枠状体は、鉄筋コンクリート用棒鋼を折り曲げて角部を有する多角形に形成すると共に該棒鋼の両端部において交差させてその端末部に膨出部を設けた請求項1に記載の鉄筋コンクリート有孔梁の補強金具。
【請求項3】
前記枠状体は、鉄筋コンクリート用棒鋼を曲げて円形に形成すると共に該棒鋼の両端部において交差させてその端末部に膨出部を設けた請求項1に記載の鉄筋コンクリート有孔梁の補強金具。
【請求項4】
前記枠状体は、コンクリート用棒鋼を折り曲げて角部を有する多角形に形成すると共に、該棒鋼の両端末を溶着した請求項1に記載の鉄筋コンクリート有孔梁の補強金具。
【請求項5】
前記枠状体は、鉄筋コンクリート用棒鋼を曲げて円形に形成すると共に、該棒鋼の両端末を溶着した請求項1に記載の鉄筋コンクリート有孔梁の補強金具。
【請求項6】
前記枠状体は、一本の鉄筋コンクリート用棒鋼を曲げて形成した少なくとも内外二重の環状体からなる請求項1乃至請求項5のいずれか1に記載の鉄筋コンクリート有孔梁の補強金具。
【請求項7】
前記係止手段は鉄筋コンクリート用棒鋼製の上下の取付け杆からなり、該取付け杆はその左右端部に前記あばら筋に係止可能に折曲げ形成した前記係止部を具備する請求項1乃至請求項6のいずれか1に記載の鉄筋コンクリート有孔梁の補強金具。
【請求項8】
前記取付け杆の端部に、外方から識別可能な色のキャップを被せた請求項7に記載の鉄筋コンクリート有孔梁の補強金具。
【請求項9】
前記支持手段は、前記枠状体の下方部の左右の辺部に固定した左右の下側支持杆と、該枠状体の上方或いは上側の係止手段の取付け杆の中心部に固定した支持体と、該支持体に係合支持され前記枠状体の中心部に向って進退する上側支持杆とからなる請求項1乃至請求項7のいずれか1に記載の鉄筋コンクリート有孔梁の補強金具。
【請求項10】
前記支持体は間隔を存して上下に延びる左右の棒体からなり、これら左右の棒体間に前記上側支持杆を介在して支持するようにした請求項9に記載の鉄筋コンクリート有孔梁の補強金具。
【請求項11】
前記上側支持杆の上方部に横杆を固定し、該上側支持杆の中間部に端部を結着した針金を垂下させて、該針金の中間部を前記枠状体の上側辺部或いは前記上側の係止手段の取付け杆に引っ掛けて折り返しその先端部を前記横杆に巻付けて係止する請求項10に記載の鉄筋コンクリート有孔梁の補強金具。
【請求項12】
前記支持体は、鉄板をコ字状に折曲げ形成した左右のコ字状板からなり、これら左右のコ字状板の上下の水平部の透孔に、棒体をコ字状に折曲げ形成した上側支持杆を前記枠状体の中心部に向って進退可能に両側支持杆部において挿通した請求項9に記載の鉄筋コンクリート有孔梁の補強金具。
【請求項13】
前記上側支持杆の上端部に係止杆を側方に突出し、該係止杆に根部を結着した針金を垂下させて、該針金の中間部を前記枠状体の上側辺部或いは上側の係止手段の取付け杆に引っ掛けて折り返しその先端部を前記係止杆に巻付け係止する請求項12に記載の鉄筋コンクリート有孔梁の補強金具。
【請求項14】
前記針金は外方から識別可能な色の針金からなる請求項11又は請求項13に記載の鉄筋コンクリート有孔梁の補強金具。
【請求項15】
前記支持手段は、前記スリーブの外周に先端が当接する複数の支持杆と、前記枠状体に設けられ各支持杆をそれぞれ該枠状体の中心部に向かって進退して係止する支持体とからなる請求項1乃至請求項7のいずれか1に記載の鉄筋コンクリート有孔梁の補強金具。
【請求項16】
前記支持体は鉄板をコ字状に折り曲げ形成したコ字状板からなり、該コ字状板の上下の水平板部に前記支持杆を挿通する挿通孔を設けると共に、前記コ字状板の縦板部にねじ孔を設け、該ねじ孔に螺合するボルトの先端部が前記挿通孔に挿通する前記支持杆の側部を押圧するように形成した請求項15に記載の鉄筋コンクリート有孔梁の補強金具。
【請求項17】
前記支持杆の端部に外方から識別可能な色のキャップを被せた請求項9又は請求項10又は請求項11又は請求項15又は請求項16に記載の鉄筋コンクリート有孔梁の補強金具。
【請求項1】
棒体を曲げて枠状とし該枠状内をスリーブが挿通可能に形成した枠状体と、該枠状体に固定され該スリーブの左右に配置されているあばら筋に係止可能な係止部を具備する係止手段と、前記枠状体に設けられ前記スリーブをその外周より支持する支持手段とからなる鉄筋コンクリート有孔梁の補強金具。
【請求項2】
前記枠状体は、鉄筋コンクリート用棒鋼を折り曲げて角部を有する多角形に形成すると共に該棒鋼の両端部において交差させてその端末部に膨出部を設けた請求項1に記載の鉄筋コンクリート有孔梁の補強金具。
【請求項3】
前記枠状体は、鉄筋コンクリート用棒鋼を曲げて円形に形成すると共に該棒鋼の両端部において交差させてその端末部に膨出部を設けた請求項1に記載の鉄筋コンクリート有孔梁の補強金具。
【請求項4】
前記枠状体は、コンクリート用棒鋼を折り曲げて角部を有する多角形に形成すると共に、該棒鋼の両端末を溶着した請求項1に記載の鉄筋コンクリート有孔梁の補強金具。
【請求項5】
前記枠状体は、鉄筋コンクリート用棒鋼を曲げて円形に形成すると共に、該棒鋼の両端末を溶着した請求項1に記載の鉄筋コンクリート有孔梁の補強金具。
【請求項6】
前記枠状体は、一本の鉄筋コンクリート用棒鋼を曲げて形成した少なくとも内外二重の環状体からなる請求項1乃至請求項5のいずれか1に記載の鉄筋コンクリート有孔梁の補強金具。
【請求項7】
前記係止手段は鉄筋コンクリート用棒鋼製の上下の取付け杆からなり、該取付け杆はその左右端部に前記あばら筋に係止可能に折曲げ形成した前記係止部を具備する請求項1乃至請求項6のいずれか1に記載の鉄筋コンクリート有孔梁の補強金具。
【請求項8】
前記取付け杆の端部に、外方から識別可能な色のキャップを被せた請求項7に記載の鉄筋コンクリート有孔梁の補強金具。
【請求項9】
前記支持手段は、前記枠状体の下方部の左右の辺部に固定した左右の下側支持杆と、該枠状体の上方或いは上側の係止手段の取付け杆の中心部に固定した支持体と、該支持体に係合支持され前記枠状体の中心部に向って進退する上側支持杆とからなる請求項1乃至請求項7のいずれか1に記載の鉄筋コンクリート有孔梁の補強金具。
【請求項10】
前記支持体は間隔を存して上下に延びる左右の棒体からなり、これら左右の棒体間に前記上側支持杆を介在して支持するようにした請求項9に記載の鉄筋コンクリート有孔梁の補強金具。
【請求項11】
前記上側支持杆の上方部に横杆を固定し、該上側支持杆の中間部に端部を結着した針金を垂下させて、該針金の中間部を前記枠状体の上側辺部或いは前記上側の係止手段の取付け杆に引っ掛けて折り返しその先端部を前記横杆に巻付けて係止する請求項10に記載の鉄筋コンクリート有孔梁の補強金具。
【請求項12】
前記支持体は、鉄板をコ字状に折曲げ形成した左右のコ字状板からなり、これら左右のコ字状板の上下の水平部の透孔に、棒体をコ字状に折曲げ形成した上側支持杆を前記枠状体の中心部に向って進退可能に両側支持杆部において挿通した請求項9に記載の鉄筋コンクリート有孔梁の補強金具。
【請求項13】
前記上側支持杆の上端部に係止杆を側方に突出し、該係止杆に根部を結着した針金を垂下させて、該針金の中間部を前記枠状体の上側辺部或いは上側の係止手段の取付け杆に引っ掛けて折り返しその先端部を前記係止杆に巻付け係止する請求項12に記載の鉄筋コンクリート有孔梁の補強金具。
【請求項14】
前記針金は外方から識別可能な色の針金からなる請求項11又は請求項13に記載の鉄筋コンクリート有孔梁の補強金具。
【請求項15】
前記支持手段は、前記スリーブの外周に先端が当接する複数の支持杆と、前記枠状体に設けられ各支持杆をそれぞれ該枠状体の中心部に向かって進退して係止する支持体とからなる請求項1乃至請求項7のいずれか1に記載の鉄筋コンクリート有孔梁の補強金具。
【請求項16】
前記支持体は鉄板をコ字状に折り曲げ形成したコ字状板からなり、該コ字状板の上下の水平板部に前記支持杆を挿通する挿通孔を設けると共に、前記コ字状板の縦板部にねじ孔を設け、該ねじ孔に螺合するボルトの先端部が前記挿通孔に挿通する前記支持杆の側部を押圧するように形成した請求項15に記載の鉄筋コンクリート有孔梁の補強金具。
【請求項17】
前記支持杆の端部に外方から識別可能な色のキャップを被せた請求項9又は請求項10又は請求項11又は請求項15又は請求項16に記載の鉄筋コンクリート有孔梁の補強金具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
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【図25】
【図26】
【公開番号】特開2010−242482(P2010−242482A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−127214(P2009−127214)
【出願日】平成21年5月27日(2009.5.27)
【出願人】(000109406)テイエム技研株式会社 (10)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月27日(2009.5.27)
【出願人】(000109406)テイエム技研株式会社 (10)
【Fターム(参考)】
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