説明

鉄筋コンクリート構造物におけるコンクリートのかぶり厚さの測定又は検査方法及びかぶり厚さ検査器具

【課題】コンクリート構造物各部のコンクリートのかぶり厚さの検査を行う際に、予備的な検査としては必要十分な精度での検査を簡単かつ安価に行うことができ、コンクリートのかぶり厚さの検査の効率化と検査費用の低減を図ることができる、コンクリートのかぶり厚さの検査方法を提供する。
【解決手段】鉄筋コンクリート構造物において、鉄筋(102)に対するコンクリート(100)のかぶり厚さの検査対象となるコンクリート表面(101)に、かぶり厚さが基準値L0未満のときに磁着する強さの磁力を有するかぶり厚さ検査体(2)を接触させ、検査体(2)を転がしながらコンクリート表面(101)を移動し、磁着しなければコンクリートのかぶり厚さが基準値L0を満たしているとし、磁着すればコンクリートのかぶり厚さが基準値L0を満たしていないとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄筋コンクリート構造物におけるコンクリートのかぶり厚さの測定又は検査方法及びかぶり厚さ検査器具に関するものである。
更に詳しくは、鉄筋コンクリート構造物の各部において、鉄筋に対するコンクリートのかぶり厚さが、規定されている基準値を満たしているかどうかを測定又は検査する方法及びそれに使用する検査器具に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄筋コンクリート構造物において、鉄筋に対するコンクリートのかぶり厚さは、コンクリートの品質とともに、構造物の耐久性を左右する重要な要素である。このかぶり厚さとは、コンクリート表面から鉄筋までの最短距離であり、構造物における各部のかぶり厚さの基準値は、建築基準法施行令、第79条に規定されている。
【0003】
建築基準法施行令第79条で規定されたかぶり厚さの基準値は次のとおりである。
すなわち、「鉄筋に対するコンクリートのかぶり厚さは、1.耐力壁以外の壁又は床にあっては2cm以上、2.耐力壁、柱又は梁にあっては3cm以上、3.直接土に接する壁、柱、床若しくは梁又は布基礎の立上り部分にあっては4cm以上、4.基礎(布基礎の立上り部分を除く)にあっては捨コンクリートの部分を除いて6cm以上としなければならない。」
【0004】
コンクリート構造物の施工後においてコンクリートのかぶり厚さが十分に確保されていない場合は、鉄筋が腐蝕しやすくなるので所定の耐久性が得られない。そこで、この課題を解決するものとして、構造物の施工後に、鉄筋に対するコンクリートのかぶり厚さが、規定されている基準値を満たしているかどうかを非破壊で測定又は検査する方法及び装置がすでに提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
特許文献1には、電磁波を発生させて鉄筋コンクリート壁内に送信し、その反射波を受信して鉄筋のコンクリート壁面における埋設位置を検出する電磁探査法を実施する第1の過程と、コンクリート壁面の検出された埋設位置から鉄筋に対し、コイルによって磁界を発生させて送信し、鉄筋から電磁誘導により発生される磁界強度を観測する磁気探査法を実施する第2の過程とを有し、鉄筋が埋設されるコンクリート壁の鉄筋埋設位置までのコンクリート厚を測定する鉄筋コンクリート壁内における鉄筋のかぶり厚さ測定方法及びそれを実現するための装置が開示されている。
【0006】
なお、コンクリートのかぶり厚さが、規定されている基準値を満たしているかどうかを非破壊で測定又は検査する方法及び装置としては、前記電磁波を利用するタイプの他にも、例えば(a)レーダーを利用するタイプ、(b)放射線を利用するタイプ、(c)超音波を利用するタイプ等があるが、特に(b)については適用範囲や安全性に課題があり、また(c)については他の方法との併用が必要で作業効率に課題があるため、実質的には前記電磁波を利用するタイプと(a)のレーダーを利用するタイプが現場において使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−315004公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載の方法及び装置には、次のような課題があった。
すなわち、従来の検査装置は精密で複雑な構造を有しており、精密な診断が可能ではあるものの、装置そのものがきわめて高価である。したがって、その装置を使用した検査費用も同様に高価であり、検査を依頼する側にとっては費用負担がきわめて大きいという課題があった。なお、前記(a)のレーダーを利用するタイプも、これと同様の課題を有している。
【0009】
本発明者は、前記課題を解消するために、まずコンクリートのかぶり厚さの検査において、必要十分な検査精度を有する簡単かつ安価な方法によって予備的な検査を行うことに着目した。つまり、予備的な検査によって、コンクリートのかぶり厚さの基準値を満たしていることが明確なものを抽出してこれを除外し、残りのボーダーライン上のものを含め基準値を満たしていないものについてだけ、従来の検査装置を使用して精密な診断を行えば、検査を効率的に行うことができ、検査費用も低減できるとの考えに至り、本発明を完成させたものである。
【0010】
(本発明の目的)
本発明の目的は、コンクリート構造物各部のコンクリートのかぶり厚さの測定又は検査を行う際に、予備的な検査として必要十分な精度での検査を簡単かつ安価に行うことができるとともに、予備的な測定又は検査に止まらず、単独で前記測定又は検査を行うこともでき、コンクリートのかぶり厚さの検査の効率化と検査費用の低減を図ることができる、コンクリートのかぶり厚さの測定又は検査方法及びかぶり厚さ検査器具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するために本発明が講じた手段は次のとおりである。
【0012】
本発明は、
コンクリート構造物外面とコンクリート内に埋設されている磁性体との距離を測定又は検査する方法であって、
磁石でできているか又は磁石を含む検査体をコンクリート構造物外面に接触させ、検査体を転がしながら又は転がり手段によってコンクリート構造物外面を移動し、コンクリート構造物外面とコンクリート内に埋設されている磁性体との距離が所定の範囲内のときは検査体がコンクリート構造物外面に磁着し、所定の範囲外のときは磁着しないことを含む、
コンクリート構造物外面とコンクリート内に埋設されている磁性体との距離を測定又は検査する方法である。
【0013】
本発明は、
鉄筋コンクリート構造物において、鉄筋に対するコンクリートのかぶり厚さの検査対象となるコンクリート構造物外面に、かぶり厚さが基準値未満のときに磁着する強さの磁力を有する検査体を接触させ、該検査体を転がしながら又は転がり手段によってコンクリート構造物外面を移動し、コンクリートのかぶり厚さが基準値を満たしていれば検査体は磁着せず、コンクリートのかぶり厚さが基準値を満たしていなければ検査体は磁着することを含む、
鉄筋コンクリート構造物におけるコンクリートのかぶり厚さの測定又は検査方法である。
【0014】
本発明は、
鉄筋コンクリート構造物におけるコンクリートのかぶり厚さを測定又は検査するかぶり厚さ検査器具であって、
軸柄と、該軸柄の先端側に設けられている検査体を有し、該検査体は磁石でできているか又は磁石を含み、コンクリート構造物外面を転がって移動するか又は転がり手段によって移動するものであり、
前記検査体は鉄筋に対するコンクリートのかぶり厚さが規定されている基準値未満のときにコンクリート構造物外面に磁着する磁力を有する、
コンクリートのかぶり厚さ検査器具である。
【0015】
前記軸柄と検査体の間に、検査体の向きを変える手段を備えるのが好ましい。
【0016】
前記検査体が取り替え可能であり、磁力が異なる複数の検査体から検査対象に合わせて選択できるようにするのが好ましい。
【0017】
本明細書及び特許請求の範囲における「磁着」の用語は、コンクリート内部の磁性体、具体的には鉄筋とコンクリート外部の検査体との間に介在しているかぶり厚部分のコンクリートの表面に、検査体が鉄筋に作用している磁力によって引きつけられて直接に接着又は密着するほかに、コンクリート面との間に若干の空隙を有する場合も含むものとして使用している。
【0018】
かぶり厚さ検査体に使用する磁石は、永久磁石であってもよいし電磁石でもよい。かぶり厚さ検査体が電磁石である場合は、磁力をコントロールすることによって、一台で鉄筋コンクリート構造物においてかぶり厚さの基準値が異なる各部の検査を行うことができるようにしてもよい。
【0019】
検査体が磁石を含む場合としては、例えば、検査体に貫通穴を形成し、その貫通穴に棒状の永久磁石を挿入して固定する構造、検査体に複数の穴を穿ち、その穴に棒状の永久磁石を挿入して固定する構造等を挙げることができる。
また、検査体の表面を合成または天然の樹脂で被覆することもできる。
【0020】
検査体はコンクリート面を転がって移動するか又は転がり手段によって移動するものであれば、その形状は限定されない。
転がって移動するものの例としては、実施例に示した球形状の他に、車輪形状、円柱形状、紡錘形状、六面体形状(立方体、直方体)、その他の多面体形状(正八面体、正十二面体)等を挙げることができる。外面に大小の凹凸面があってもよい。
転がり手段としては、検査体に設けられる各種形状の車輪、転等を挙げることができる。無限軌道状のものも含まれる。
【0021】
「検査体の向きを変える手段」は、検査体の向きを変えることによって検査又は測定箇所(例えば壁、床、天井、梁、橋脚、橋桁等)に合わせた検査又は測定が容易に出来るようにするものであり、その構造を限定するものではない。
実施例で示す変向継手(玉継ぎ手を含む構造)、部材の角度を変える回転自在な滑節点を有するもの、自在(フレキシブル)な構造を有するものなどを挙げることができる。
【0022】
(作用)
本発明に係るコンクリートのかぶり厚さ検査器具の作用を、鉄筋に対するコンクリートのかぶり厚さが規定された基準値未満のときに被検査面に磁着する磁力を有する、耐力壁、柱又は梁用のコンクリートのかぶり厚さ検査器具を例に採り説明する。
【0023】
〔被検査面のコンクリートのかぶり厚さが基準値を満たしている場合〕
検査に当たっては、検査体をコンクリート構造物外面である耐力壁のコンクリート表面に当てて、コンクリート表面を転がし又は転がり手段によって移動させ位置を変えながら、検査体が磁着するところを探索する。
【0024】
鉄筋が本来あるべき場所で、検査体がコンクリート表面に磁着しなければ、コンクリート構造物外面とコンクリート内に埋設されている鉄筋(磁性体)との距離、すなわちコンクリートのかぶり厚さは基準値を満たしていると診断する。
このように、コンクリートのかぶり厚さが基準値を満たしていると診断された場合、このコンクリート構造物外面については、電磁波を利用するタイプやレーダーを利用するタイプの装置を使用した精密な診断は行わない。
【0025】
〔被検査面のコンクリートのかぶり厚さが基準値を満たしていない場合〕
検査に当たっては、検査体をコンクリート構造物外面である耐力壁のコンクリート表面に当てて、検査体をコンクリート表面で転がし又は転がり手段によって移動させ位置を変えながら、かぶり厚さ検査体が磁着するところを探索する。
【0026】
鉄筋があるところで、かぶり厚さ検査体がコンクリート表面に磁着すると、コンクリートのかぶり厚さは基準値を満たしていないと診断する。
このように、コンクリートのかぶり厚さが基準値を満たしていないと診断された場合、このコンクリート構造物外面については、電磁波を利用するタイプやレーダーを利用するタイプの従来の装置を使用した精密な診断をあらためて行うようにする。
【0027】
検査体をタイル面上で転がす場合は、タイル間の目地の部分で打撃音を発生する。コンクリート中に空洞があれば、空洞のない箇所とは異なる音が発生するので、いわゆる「打診棒」としての機能をも有し、コンクリートのかぶり厚さの検査とコンクリート中の空洞の検査の両方の検査を同時にすることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明は、コンクリート構造物各部のコンクリートのかぶり厚さの測定又は検査を行う際に、予備的な検査としては必要十分な精度での検査を簡単かつ安価に行うことができ、コンクリートのかぶり厚さの測定又は検査の効率化と費用の低減を図ることができる、コンクリートのかぶり厚さの測定又は検査方法及びかぶり厚さ検査器具を提供することができる。
また、本発明は、前記予備的な測定又は検査に止まらず、単独で前記測定又は検査を行うこともできる。
なお、軸柄を有し先端の検査体でコンクリート構造物外面(タイル面等)を打撃する、いわゆる打診棒としても使用することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】コンクリートのかぶり厚さ検査器具の一実施の形態を示し、検査体を取り外した状態の分解斜視図である。
【図2】(a)検査体を取り付けた検査器具の側面図、(b)同検査器具の正面図である。
【図3】コンクリートのかぶり厚さ検査器具を使用した測定又は検査方法を示し、かぶり厚さが基準値を満たしている場合の説明図である。
【図4】コンクリートのかぶり厚さ検査器具を使用した測定又は検査方法を示し、かぶり厚さが基準値を満たしていない場合の説明図である。
【図5】床スラブ又は梁のかぶり厚さを測定又は検査している状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明を図面に示した実施の形態に基づき詳細に説明する。
【実施例】
【0031】
図1を参照する。
【0032】
かぶり厚さ検査器具Aは、軸柄1と、軸柄1の先端側に設けられている検査体2を有する。検査体2は永久磁石を球形状に形成したもので、図において水平方向に磁極を配置し、垂直方向には上下を貫通して軸穴21が形成されている。
本実施例では軸柄1は伸縮構造を備え、軸柄1の長さを変えることができる。
【0033】
軸穴21には、頭部が軸穴径より大きい軸22を上から挿入して貫通させ、下端は検査体2から突出し、突出部分にナットNが螺着されている。ナットNは台座3の上面に設けられている筒状の収容部31に収容され、固定ネジ32で締め付け固定される。
【0034】
軸柄1と検査体2の間には、検査体2の向きを変える手段である変向継手4が設けられている。変向継手4は、軸柄1の軸線方向に対する検査体2の回転中心軸である軸22の角度を調節することができる。
変向継手4は、軸柄1の先端に設けられている軸柄側球41と検査体2を取着する台座3の基端に設けられている台座側球42と、軸柄側球41と台座側球42の両側から軸柄側球41、台座側球42を挟むように配置されている一対の挟持板43、44を有する。
【0035】
挟持板43,44の長手方向両側には、軸柄側球41、台座側球42より径小の保持穴45が形成され、保持穴45には軸柄側球41、台座側球42の一部が入り込んで位置を決め、保持されている。向かい合う一対の挟持板43,44間には、締め付けボルト46が挟持板43,44の中央部分を貫通しており、締め付けボルト46に蝶ナット47を締め付けることによって挟持板43,44で軸柄側球41、台座側球42を締め付け固定し、検査体2の向きを設定する。
【0036】
蝶ナット47を緩めることによって、挟持板43,44による軸柄側球41、台座側球42の締め付けを緩和し、台座3の方向を垂直方向から水平方向、あるいは斜めの方向など、コンクリートのかぶり厚さの測定又は検査しやすい方向に変えることができる。
【0037】
(作用)
かぶり厚さ検査器具Aを使用したコンクリートのかぶり厚さの測定又は検査方法を、耐力壁のコンクリートのかぶり厚さを測定又は検査する場合を例に採り説明する。したがって、使用するかぶり厚さ検査器具Aの検査体2は、磁性体である鉄筋102に対するコンクリートのかぶり厚さが3cm未満のときに検査対象となるコンクリート構造物外面(コンクリート表面101)に磁着する磁力を有するものである。
【0038】
〔ケース1〕
図3を参照して被検査面であるコンクリート表面101のコンクリートのかぶり厚さが基準値を満たしている場合の検査の流れを説明する。
【0039】
この場合は、コンクリートのかぶり厚さの基準値L0=3cmである。また、コンクリート表面101における実際のかぶり厚さ(コンクリート表面101から鉄筋102までの最短距離)は、L1=4cmとする。
【0040】
検査に当たっては、まず、かぶり厚さ検査器具Aの検査体2を耐力壁100のコンクリート表面101に当てて、検査体2をコンクリート表面101で転がしながら位置を変え、検査体2が磁着するところを探索する。なお、検査体2を転がして検査を行うことにより、例えばスライドさせる場合と比較して、検査体2の表面の摩耗を低減できる。
【0041】
鉄筋102が本来あるべき場所で、前記磁力を持つ検査体2がコンクリート表面101に磁着しなければ、L1は3cm以上(この場合では4cm)であることになるので、コンクリートのかぶり厚さL1は基準値を満たしていると診断する。
このように、コンクリートのかぶり厚さL1が基準値を満たしていると診断された場合、このコンクリート表面101については、前記電磁波を利用するタイプやレーダーを利用するタイプの装置を使用した精密な診断は行わない。
【0042】
なお、検査効率を上げるために、検査がしやすいように、コンクリート表面101にカラーテープなどで鉄筋102が配されている位置をあらかじめマーキングしておくこともできる。
【0043】
〔ケース2〕
図4を参照して被検査面であるコンクリート表面101のコンクリートのかぶり厚さが基準値を満たしていない場合の検査の流れを説明する。
【0044】
この場合は、コンクリートのかぶり厚さの基準値L0=3cmである。また、コンクリート表面101における実際のかぶり厚さ(コンクリート表面101から鉄筋102までの最短距離)は、L2=2.5cmとする。
【0045】
図4に示すように、検査に当たっては、まず、かぶり厚さ検査器具Aの検査体2を耐力壁100のコンクリート表面101に当てて、コンクリート表面101で転がしながら位置を変え、検査体2が磁着するところを探索する。
【0046】
鉄筋102があるところで、前記磁力を持つ検査体2がコンクリート表面101に磁着すると、L2は3cm未満(この場合では2.5cm)であることになるので、コンクリートのかぶり厚さL2は基準値を満たしていないと診断する。
このように、コンクリートのかぶり厚さL2が基準値を満たしていないと診断された場合、このコンクリート表面101については、前記電磁波を利用するタイプやレーダーを利用するタイプの従来の装置を使用した精密な診断をあらためて行うようにする。
【0047】
図5を参照して床スラブ又は梁のかぶり厚さを測定又は検査している状態を説明する。
図1,2に示す状態の検査器具Aの蝶ナット47を緩め、挟持板43,44による軸柄側球41、台座側球42の締め付けを緩和する。その後、挟持板43,44の方向を垂直方向から斜め、例えば45度程度にし、更に軸22が床スラブ又は梁のコンクリート表面200と平行になるように台座3の方向を動かす。
その後、蝶ナット47を締め挟持板43,44で軸柄側球41、台座側球42を締め付け固定する。
【0048】
後は,前記のように床スラブ又は梁のコンクリート表面200に検査体2を当て、コンクリート表面200で転がしてコンクリートかぶり厚を検査又は測定する。
このように、軸柄1と検査体2の間には、検査体2の向きを変える手段である変向継手4を設けているので、垂直方向から水平方向、あるいは斜めの方向など、コンクリートのかぶり厚さの測定又は検査がしやすい方向に変えることができる。
【0049】
本明細書で使用している用語と表現は、あくまでも説明上のものであって、なんら限定的なものではなく、本明細書に記述された特徴およびその一部と等価の用語や表現を除外する意図はない。また、本発明の技術思想の範囲内で、種々の変形態様が可能であるということは言うまでもない。
【符号の説明】
【0050】
A かぶり厚さ検査器具
1 軸柄
2 検査体
3 台座
4 変向継手
101 コンクリート表面
100 耐力壁
102 鉄筋
200 コンクリート表面
0 かぶり厚さの基準値
1 かぶり厚さ
2 かぶり厚さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート構造物外面とコンクリート内に埋設されている磁性体との距離を測定又は検査する方法であって、
磁石でできているか又は磁石を含む検査体(2)をコンクリート構造物外面(101)に接触させ、検査体(2)を転がしながら又は転がり手段によってコンクリート構造物外面(101)を移動し、コンクリート構造物外面(101)とコンクリート内に埋設されている磁性体(102)との距離が所定の範囲内のときは検査体(2)がコンクリート構造物外面(101)に磁着し、所定の範囲外のときは磁着しないことを含む、
コンクリート構造物外面とコンクリート内に埋設されている磁性体との距離を測定又は検査する方法。
【請求項2】
鉄筋コンクリート構造物において、鉄筋(102)に対するコンクリートのかぶり厚さの検査対象となるコンクリート構造物外面(101)に、かぶり厚さが基準値未満のときに磁着する強さの磁力を有する検査体(2)を接触させ、該検査体(2)を転がしながら又は転がり手段によってコンクリート構造物外面(101)を移動し、コンクリートのかぶり厚さが基準値を満たしていれば検査体(2)は磁着せず、コンクリートのかぶり厚さが基準値を満たしていなければ検査体(2)は磁着することを含む、
鉄筋コンクリート構造物におけるコンクリートのかぶり厚さの測定又は検査方法。
【請求項3】
鉄筋コンクリート構造物におけるコンクリートのかぶり厚さを測定又は検査するかぶり厚さ検査器具であって、
軸柄(1)と、該軸柄(1)の先端側に設けられている検査体(2)を有し、該検査体(2)は磁石でできているか又は磁石を含み、コンクリート構造物外面(101)を転がって移動するか又は転がり手段によって移動するものであり、
前記検査体(2)は鉄筋(102)に対するコンクリートのかぶり厚さが規定されている基準値未満のときにコンクリート構造物外面(101)に磁着する磁力を有する、
コンクリートのかぶり厚さ検査器具。
【請求項4】
軸柄(1)と検査体(2)の間に、検査体(2)の向きを変える手段(4)を備えている、
請求項3記載のコンクリートのかぶり厚さ検査器具。
【請求項5】
検査体(2)が取り替え可能であり、磁力が異なる複数の検査体から検査対象に合わせて選択できるようにした、請求項3または4記載のコンクリートのかぶり厚さ検査器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−102743(P2011−102743A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−257441(P2009−257441)
【出願日】平成21年11月10日(2009.11.10)
【特許番号】特許第4493727号(P4493727)
【特許公報発行日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(509100450)
【出願人】(509311263)
【Fターム(参考)】