説明

鉄道保守支援システム

【課題】鉄道施設に係る保守要員の運用を迅速且つ効率的に行うことが可能な鉄道保守支援システムを提供する。
【解決手段】保守要員が携帯可能な複数の携帯通信端末から送信される、現在位置情報と当該送信元携帯通信端末を識別する端末識別情報とを対応付けて記憶する端末情報記憶手段と、鉄道施設を識別する施設識別情報と当該鉄道施設の位置を示す施設位置情報とを対応付けて記憶する施設情報記憶手段と、保守対象領域の指定入力を行う保守対象領域入力手段と、この保守対象領域に関連する位置に存在する携帯通信端末及び鉄道施設に関する情報を読み出す読出手段と、読み出された情報を出力する出力手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道保守支援システムに関し、特に、鉄道施設の保守に係る鉄道保守支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
列車の運行に供される線路や架線、トンネル等(以下、鉄道施設という)の保守は、列車の安全な運行のために不可欠の重要な作業となっている。このような鉄道施設の保守は、所定の運行区間毎に管理する現業機関(支社)が担当するよう定められており、各支社に所属する一又は複数の保守作業員からなる保守要員により行われている。
【0003】
上記保守作業に関して、従来、中央列車制御装置や列車に搭載されたGPS電波受信装置等により取得される列車の位置情報と、GPS衛星を用いて取得される保守要員の現在位置と、に基づいて列車の接近を報知する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−41284号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の技術では、保守要員の線路上での位置特定を主要な目的としており、また、保守要員の現在位置を列車との接近判断のために用いることとしている。そのため、線路上以外の位置(例えば、一般道等)と保守対象位置との位置関係については、何ら考慮されておらず、障害発生時や点検時等においては、保守対象となる鉄道施設(以下、保守対象施設という)に適した保守要員を特定することができず、対応が遅れる可能性がある。
【0005】
また、保守要員が保守対象施設に移動するような場合であっても、保守要員の現在位置から保守対象施設までの移動に要する時間を見積もることができず、作業計画を立てることが困難であった。特に、新幹線や都市鉄道等のように、鉄道の一定区間が高架化されているような場合、線路内への立ち入り可能な地点(以下、立ち入り先という)までの移動時間と、この立ち入り先から保守対象位置までの移動時間とを、その移動手段が異なることになるため、これら移動時間を統括的に見積もることはできなかった。
【0006】
本発明の課題は、鉄道施設に係る保守要員の運用を迅速且つ効率的に行うことが可能な鉄道保守支援システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
GPS衛星からのGPS信号を受信するGPS受信手段及び受信したGPS信号に基づいて自己の現在位置情報を生成し外部に送信する通信手段を有し保守要員が携帯可能な複数の携帯通信端末と、
前記複数の携帯通信端末から送信された自己の現在位置情報と当該送信元携帯通信端末を識別する端末識別情報とを対応付けて記憶する端末情報記憶手段と、
鉄道施設を識別する施設識別情報と当該鉄道施設の位置を示す施設位置情報とを対応付けて記憶する施設情報記憶手段と、
保守対象領域の指定入力を行う保守対象領域入力手段と、
前記入力手段から指定された保守対象領域の指定入力情報に基づいて、当該保守対象領域に関連する位置に存在する携帯通信端末の端末識別情報及び現在位置情報を前記端末情報記憶手段から読み出し、且つ前記保守対象領域に関連する位置に存在する鉄道施設の施設識別情報及び施設位置情報を前記施設情報記憶手段から読み出す読出手段と、
前記読み出された情報を出力する出力手段と、
を備えたことを特徴としている。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
前記出力手段は、表示手段であって、
前記読出手段により読み出された端末識別情報、現在位置情報、施設識別情報及び施設位置情報に基づいて、前記携帯通信端末及び鉄道施設の相対的な位置関係を示した情報を前記表示手段に表示させる表示制御手段を備えたことを特徴としている。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、
前記表示制御手段は、前記携帯通信端末及び鉄道施設の相対的な位置関係を示した情報を、前記保守対象領域に関連する地図データ上に重畳表示させることを特徴としている。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか一項に記載の発明において、
前記複数の携帯通信端末のうち、特定の携帯通信端末に係る現在位置情報の取得を指示可能な現在位置要求手段と、
前記現在位置要求手段で指示された携帯通信端末から現在位置情報を取得し、前記端末情報記憶手段に記憶された当該携帯通信端末に対応する端末識別情報の現在位置情報を更新する現在位置更新手段と、
を備えたことを特徴としている。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4の何れか一項に記載の発明において、
保守対象施設となる鉄道施設の施設識別情報を指定可能な施設指定手段と、
前記保守対象施設の保守を行う保守要員の携帯通信端末の端末識別情報を指定可能な出動者指定手段と、
前記指定された施設識別情報の施設位置情報と端末識別情報の端末位置情報とに基づいて、前記携帯通信端末の現在位置から前記保守対象施設までの移動に要する時間を算出し、到着予測時刻情報として当該携帯通信端末の端末識別情報と対応付けて前記端末情報記憶手段に記憶させる算出手段と、
を備え、
前記読出手段は、前記出動者指定手段により指定された端末識別情報に対応付けられた到着予測時刻情報を前記端末情報記憶手段から読み出すことを特徴としている。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、
前記施設指定手段は、前記保守対象施設に至る経由位置を指定可能であり、
前記算出手段は、前記施設指定手段により経由位置が指定された場合に、前記携帯通信端末の現在位置から前記経由位置までの移動に要する時間と、当該経由位置から前記保守対象施設までの移動に要する時間とを個別的に算出することを特徴としている。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、
前記施設情報記憶手段は、前記鉄道施設のキロ程を当該鉄道施設の施設識別情報と対応付けて記憶し、
前記算出手段は、前記経由位置として前記保守対象施設とは異なる他の鉄道施設の施設識別情報が指定された場合に、当該他の鉄道施設から前記保守対象施設までの移動に要する時間を、前記施設情報記憶手段に記憶されたキロ程に基づいて算出することを特徴としている。
【0014】
請求項8に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、
前記施設情報記憶手段は、前記鉄道施設のキロ程を当該鉄道施設の施設識別情報と対応付けて記憶し、
前記算出手段は、前記経由位置として特定のキロ程が指定された場合に、このキロ程から前記保守対象施設までの移動に要する時間を、前記施設情報記憶手段に記憶されたキロ程に基づいて算出することを特徴としている。
【0015】
請求項9に記載の発明は、請求項5〜8の何れか一項に記載の発明において、
前記出動者指定手段により指定された端末識別情報の現在位置情報と、前記施設指定手段により指定された保守対象施設の施設位置情報と、が示す位置間の距離に基づいて保守作業の状態を判定し、この判定結果を保守状態情報として当該保守対象施設の保守に係る前記端末識別情報と対応付けて前記施設情報記憶手段に記憶させる状態判定手段を備え、
前記読出手段は、前記出動者指定手段により指定された端末識別情報に対応付けられた保守状態情報を前記端末情報記憶手段から読み出すことを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の発明によれば、保守対象領域に関連する位置に存在する携帯通信端末及び鉄道施設に関する情報を読み出して出力する。これにより、保守対象施設に適した保守要員を特定することが可能となるため、保守要員の運用を迅速且つ効率的に行うことができる。
【0017】
請求項2に記載の発明によれば、携帯通信端末及び鉄道施設の相対的な位置関係を示した情報を表示手段に表示させる。これにより、保守対象施設に適した保守要員を容易に特定することが可能となるため、保守要員の運用を迅速且つ効率的に行うことができる。
【0018】
請求項3に記載の発明によれば、携帯通信端末及び鉄道施設の相対的な位置関係を示した情報を、保守対象領域に関連する地図データ上に重畳表示させる。これにより、保守対象施設に適した保守要員を容易且つ直感的に特定することが可能となるため、保守要員の運用を迅速且つ効率的に行うことができる。
【0019】
請求項4に記載の発明によれば、指示された携帯通信端末から現在位置情報を取得し、当該携帯通信端末に対応する端末識別情報の現在位置情報を更新するため、この携帯通信端末の現在位置をリアルタイムで監視することができる。
【0020】
請求項5に記載の発明によれば、携帯通信端末の現在位置から保守対象施設までの移動に要する時間を算出し、当該携帯通信端末の端末識別情報と対応付けて記憶する。これにより、保守要員の現在位置から保守対象施設までの移動に要する時間を見積もることが可能となるため、作業計画の立案に供することができ、保守要員の運用を迅速且つ効率的に行うことができる。
【0021】
請求項6に記載の発明によれば、携帯通信端末の現在位置から前記経由位置までの移動に要する時間と、当該経由位置から前記保守対象施設までの移動に要する時間とを個別的に算出する。これにより、保守対象施設に至る途中に経由すべき鉄道施設があった場合でも、保守要員の現在位置から経由位置までの移動時間、経由位置から保守対象施設までの移動時間を夫々算出することが可能であるため、保守要員の現在位置から保守対象施設までの移動時間を、より正確に算出することができる。
【0022】
請求項7に記載の発明によれば、経由位置として前記保守対象施設とは異なる他の鉄道施設の施設識別情報が指定された場合に、この経由位置から保守対象施設までの移動に要する時間をキロ程に基づいて算出する。これにより、保守対象施設に至る途中に経由すべき鉄道施設があった場合でも、保守要員の現在位置から経由位置までの移動時間、経由位置から保守対象施設までの移動時間を夫々算出することが可能であるため、保守要員の現在位置から保守対象施設までの移動時間を、より正確に算出することができる。
【0023】
請求項8に記載の発明によれば、経由位置として特定のキロ程が指定された場合に、このキロ程から保守対象施設までの移動に要する時間をキロ程に基づいて算出する。これにより、保守対象施設に至る途中に経由すべき鉄道施設があった場合でも、保守要員の現在位置から経由位置までの移動時間、経由位置から保守対象施設までの移動時間を夫々算出することが可能であるため、保守要員の現在位置から保守対象施設までの移動時間を、より正確に算出することができる。
【0024】
請求項9に記載の発明によれば、出動者指定手段により指定された端末識別情報の現在位置情報と、施設指定手段により指定された保守対象施設の施設位置情報と、が示す位置間の距離に基づいて判定された保守状態情報を、当該保守対象施設の保守に係る端末識別情報と対応付けて記憶する。これにより、保守作業の状態を確認することが可能となるため、保守要員の運用を迅速且つ効率的に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、図を参照して本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。ただし、本発明の範囲は、図示例に限定されないものとする。
【0026】
図1に、本実施の形態における鉄道保守支援システム100の構成を示す。
図1に示すように、鉄道保守支援システム100は、携帯通信端末としての携帯電話機10、端末管理サーバ20、管理端末30、地図データ提供サーバ40等から構成される。ここで、端末管理サーバ20、管理端末30及び地図データ提供サーバ40は、ネットワークNを介して相互に通信可能に接続されている。
【0027】
まず、携帯電話機10の構成について説明する。
携帯電話機10は、保守作業に従事する一又は複数の保守作業員からなる保守要員が所持する携帯通信端末であって、保守要員毎に予め配布されている。
【0028】
図2に示すように、携帯電話機10は制御部11、操作部12、表示部13、記憶部14、音声入出力部15、無線通信部16を備え、各部はバス17を介して互いに接続されている。
【0029】
制御部11は、図示しないCPU(Central Processing Unit)等の演算装置、RAM(Random Access Memory)等の記憶装置からなり、演算装置は、記憶部14に記憶された所定のプログラムとの協働により各種処理を実行し、携帯電話機10を構成する各部の動作を統括的に制御する。
【0030】
また制御部11は、記憶部14に記憶された所定のプログラムとの協働により、無線通信部16により生成された自己の携帯電話機10の現在位置を示す現在位置情報を、無線通信部16を介して外部の装置(端末管理サーバ20)に送信する。
【0031】
操作部12は、各種入力キー等を備え、ユーザからの操作により入力される操作信号を制御部11に出力する。表示部13は、LCD(Liquid Crystal Display)やELD(Electro Luminescence Display)パネル等により構成され、制御部11からの表示信号に基づいて各種情報を表示する。また、表示部13は、操作部12と一体的にタッチパネルを構成する態様としてもよい。
【0032】
記憶部14は、磁気的、光学的記録媒体若しくは半導体メモリで構成される不揮発性の記憶媒体を備え、携帯電話機10の動作に必要なプログラム及び当該プログラムの実行に係る各種設定情報を記憶する。
【0033】
音声入出力部15は、音声用スピーカ及びマイクなどからなり、通話時のユーザの音声等を前記マイクにより音声入力信号として制御部11へ出力し、制御部11からの音声出力信号を前記音声用スピーカにより音声として出力する。
【0034】
無線通信部16は、無線通信回路161、GPS回路162、通信処理回路163を有し、所定の通信方式により、外部機器(GPS衛星、端末管理サーバ20)との間でデータ又は音声信号の送受信を行う。
【0035】
無線通信回路161は、通信処理回路163からのアナログ信号を元に、GSM(Global System for Mobile communication)方式、GPRS(General Packet Radio System ;汎用パケット無線システム)方式、PDC(Personal Digital Cellular)方式、CDMA(Code Division Multiple Access)方式、PHS(Personal Handyphone System)方式、Bluetooth無線通信方式、IEEE802.11諸規格に準拠した無線LAN(Local Area Network)等のように各種携帯電話や無線モデムの規格や通信方式により、図示しない通信業者の無線基地局と携帯電話機10に備えられた図示しない通信用アンテナとの間で、データ通信や通話データなどを無線で送受信し、受信されたアナログ信号を通信処理回路163に出力する。
【0036】
また、無線通信回路161は、図示しないGPSアンテナにより、GPS衛星から送信されるGPS信号を受信し、GPS回路162に出力する。
【0037】
GPS回路162は、上記複数のGPS衛星からのGPS信号に基づいて緯度、経度等からなる自己の携帯電話機10の現在位置を示した現在位置情報を生成し、制御部11に出力する。
【0038】
通信処理回路163は、AFE(Analog Front End)、通信用DSP(Digital Signal Processor)等からなり(いずれも図示せず)、無線通信回路161から入力されるアナログ受信信号を、通信データ、画像データ、音声データ等の各種デジタルデータに復号化した後、制御部11に出力する。また、通信処理回路163は、制御部11から入力される上記各種デジタルデータを圧縮等の処理を行った後、アナログ信号に変換して、無線通信回路161に出力する。
【0039】
端末管理サーバ20は、鉄道保守支援システム100に係る鉄道施設、携帯電話機10に関する各種情報を記憶・管理し、これら各種情報をネットワークNを介して接続された管理端末30に提供する。
【0040】
図3に示すように、端末管理サーバ20は制御部21、操作部22、表示部23、記憶部24、DB(DataBase)部25、無線通信部26、通信部27を備え、これら各部はバス28を介して互いに接続されている。
【0041】
制御部21は、図示しないCPU等の演算装置、RAM等の記憶装置からなり、演算装置は、記憶部24に記憶された所定のプログラムとの協働により各種処理を実行し、端末管理サーバ20を構成する各部の動作を統括的に制御する。
【0042】
また、制御部21は、水晶発振器等の時間を計時する計時手段(図示せず)を有し、この計時手段により計時される時間に基づいて所定時間のカウントを行い、また、現在の日時を表す時刻情報を生成する。
【0043】
操作部22は、各種入力キーや、マウス、トラックボール等のポインティングデバイス等を備え、ユーザからの操作により入力される操作信号を制御部21に出力する。表示部23は、LCDやELDパネル等により構成され、制御部21からの表示信号に基づいて各種情報を表示する。また、表示部23は、操作部22と一体的にタッチパネルを構成する態様としてもよい。
【0044】
記憶部24は、磁気的、光学的記録媒体若しくは半導体メモリで構成される不揮発性の記憶媒体を備え、端末管理サーバ20の動作に必要なプログラム及び当該プログラムの実行に係る各種設定情報(後述する端末位置情報の取得時間T1、T2等)を記憶する。
【0045】
DB部25は、データベース手段であって、図3に示すように、路線管理テーブル251、鉄道施設管理テーブル252、端末管理テーブル253、端末位置管理テーブル254、障害位置管理テーブル255、出動者管理テーブル256、到着予測時刻管理テーブル257等を記憶・管理する。
【0046】
図4は、路線管理テーブル251の一例を示した図である。
図4に示すように、路線管理テーブル251には、本鉄道保守支援システム100が管理する路線名(上越新幹線、東北新幹線等)と、各路線に含まれる駅の名称(駅名)、始点駅から各駅までのキロ程、このキロ程算出の起点となった駅の名称(起点駅名)、各駅の位置を表す位置情報(緯度、経度)、各駅の保守を担当する支社名等が対応付けて予め格納されている。
【0047】
図5は、鉄道施設管理テーブル252の一例を示した図である。図5に示すように、鉄道施設管理テーブル252には、鉄道施設に係る路線名、支社名、保守対象となる系統種別、鉄道施設の種別を表す施設種別、各鉄道施設に固有の施設識別情報(施設名)、始点駅から各鉄道施設までのキロ程、各施設の位置を表す位置情報(緯度、経度)、各鉄道施設に関する関連情報等が対応付けて予め格納されている。なお、図5(a)では、系統種別「保線」、施設種別「門扉」に関する鉄道施設管理テーブル252を、図5(b)では、系統種別「土木」、施設種別「橋りょう」に関する鉄道施設管理テーブル252を示したが、他の系統種別(電力、信号通信等)、他の施設種別(トンネル、高架橋、変電ポスト、配電所、消雪基地、機械室等)についても同様の態様で記憶されているものとする。
【0048】
図6は、端末管理テーブル253の一例を示した図である。図6に示すように、端末管理テーブル253には、保守要員が所持する携帯電話機10の端末識別情報、この保守要員が所属する支社名、系統名(保線、土木、電力、信号通信)、現業機関、保守要員名等の保守要員に関する情報(保守要員情報)等が対応付けて予め格納されている。ここで、端末識別情報とは、携帯電話機10の電話番号製造番号等の各個体に固有の識別情報であって、本実施形態では、携帯電話機10の電話番号を端末識別情報として用いるものとする。
【0049】
図7は、端末位置管理テーブル254の一例を示した図である。図7に示すように、端末位置管理テーブル254には、端末識別情報、この端末識別情報に対応する携帯電話機10の現在位置を示した位置情報(緯度、経度)、位置情報の取得を行った日時(測位日時)、位置情報で示された位置に直近の路線名、キロ程等が対応付けて格納される。
【0050】
制御部21は、後述する端末位置取得処理(図14参照)を実行することにより、端末管理テーブル253に格納され何れか又は全ての端末識別情報に対応する携帯電話機10から現在位置情報を取得し、この取得した現在位置情報を位置情報として、取得した際の日時情報(測位日時)とともに、対応する端末識別情報と対応付けて端末位置管理テーブル254に格納する。また、制御部21は、現在位置情報で示された携帯電話機10の現在位置と、路線管理テーブル251及び鉄道施設管理テーブル252に格納された位置情報及びキロ程で示される位置との間の距離に基づいて、携帯電話機10の現在位置に直近の路線名及びキロ程を特定し、対応する端末識別情報に対応付けて端末位置管理テーブル254に格納する。
【0051】
図8は、障害位置管理テーブル255の一例を示した図である。図8に示すとおり、障害位置管理テーブル255には、各障害位置を識別するために付与される障害地ID、障害位置に係る路線名、障害位置の名称(障害位置名)、経由種別(障害位置直接、門扉、キロ程)、立ち入り先の名称(立ち入り先名)、点検開始キロ程、登録日時、登録支社名等が対応付けて格納される。ここで経由種別とは、障害位置に至るまでに他の位置を経由するか否かを設定する項目である。なお、「障害位置直接」とは、他の位置を経由せずに障害位置に直行することを意味している。また、「門扉」とは、線路内等に立ち入り可能な位置、即ち立ち入り先を意味しており、この「門扉」に対応する「立ち入り先の名称」の鉄道施設(例えば、朝日川斜路)を経由して障害位置に至ることを意味している。また、「キロ程」とは、「点検開始キロ程」で指示されたキロ程を始点とし、障害位置に至ることを意味している。
【0052】
制御部21は、管理端末30から後述する障害位置登録情報を受信すると、この障害位置登録情報に含まれた各種指定情報に基づいて、障害位置管理テーブル255の各項目(路線名、障害位置名称、経由種別、立ち入り先名、点検開始キロ程)を登録するとともに、この障害位置登録情報を受信した日時(登録日時)と、送信元となった管理端末30の支社名(登録支社名)と、を対応付けて格納する。
【0053】
図9は、出動者管理テーブル256の一例を示した図である。図9に示すとおり、出動者管理テーブル256には、障害位置管理テーブル255の障害地IDと対応する障害地ID、障害地IDの障害位置に対応するよう指示された保守要員(出動者)が所持する携帯電話機10の端末識別情報、保守要員の作業状態を示す状態種別等が対応付けて格納される。ここで、作業状態とは、保守要員の状態を意味しており、本実施形態では「移動中」、「点検中」、「その他」の3つの状態が定義されているものとするが、これに限らず、他の状態を定義することとしてもよい。
【0054】
制御部21は、管理端末30から後述する出動者指定情報を受信すると、この出動者指定情報に基づいて、指定された端末識別情報を出動者管理テーブル256の対応する障害地IDに対応付けて登録する。また。制御部21は、端末位置管理テーブル254に格納されたこの端末識別情報の最新位置と、出動者管理テーブル256に登録された対応する障害地IDの障害地点名、立ち入り先名、開始キロ程等に関係する位置情報(緯度、経度)、キロ程と、に基づいて端末識別情報に対応する携帯電話機10(保守要員)の作業状態を判定し、当該端末識別情報に対応付けて出動者管理テーブル256に格納する。
【0055】
図10は、到着予測時刻管理テーブル257の一例を示した図である。図10に示すとおり、到着予測時刻管理テーブル257には、出動者管理テーブル256の端末識別情報と対応する端末識別情報、端末識別情報(携帯電話機10)の現在位置から立ち入り先又は開始キロ程に到着するまでの予測時間(経由地到着予測時間)、端末識別情報(携帯電話機10)の現在位置から障害位置に到着するまでの予測時間(障害地到着予測時間)等が対応付けて格納される。なお、経由地到着予測時間及び障害地到着予測時間の算出については後述する。
【0056】
制御部21は、管理端末30から送信される種々の参照要求に応じ、当該参照要求に該当するレコードを上記した各テーブルから検索して読み出し、この読み出したレコードを管理端末30に送信(提供)する。
【0057】
無線通信部26は、無線通信回路261、通信処理回路262を有し、所定の通信方式により、外部機器(携帯電話機10)との間でデータ又は音声信号の送受信を行う。
【0058】
無線通信回路261は、通信処理回路262からのアナログ信号を元に、GSM方式、GPRS方式、PDC方式、CDMA方式、PHS方式、Bluetooth無線通信方式、IEEE802.11諸規格に準拠した無線LAN(Local Area Network)等のように各種携帯電話や無線モデムの規格や通信方式により、図示しない通信業者の無線基地局と端末管理サーバ20に備えられた図示しない通信用アンテナとの間で、データ通信や通話データなどを無線で送受信し、受信されたアナログ信号を通信処理回路262に出力する。
【0059】
通信処理回路262は、AFE、通信用DSP等からなり(いずれも図示せず)、無線通信回路261から入力されるアナログ受信信号を、通信データ、画像データ、音声データ等の各種デジタルデータに復号化した後、制御部21に出力する。また、通信処理回路262は、制御部21から入力される上記各種デジタルデータを圧縮等の処理を行った後、アナログ信号に変換して、無線通信回路261に出力する。
【0060】
通信部27は、モデム(MODEM:MOdulator/DEModulator)、ターミナルアダプタ(Terminal Adapter)、LANアダプタ等のネットワークインターフェースであって、制御部21の制御の下、本端末管理サーバ20とネットワークNで接続された管理端末30、地図データ提供サーバ40との間で授受される各種情報の通信制御を行う。なお、端末管理サーバ20と管理端末30及び/又は地図データ提供サーバ40との間のデータ通信プロトコルは、特に限らないものとするが、例えば、TLS/SSL、S/MIME、IPsec等のセキュリティを考慮したプロトコルを使用することが好ましい。また、独自のプロトコルを使用することとしてもよい。
【0061】
管理端末30は、鉄道保守支援システム100に係わる各社に備えられる端末装置(30a〜30c)であって、当該管理端末30を介して端末管理サーバ20から鉄道保守に供する各種情報を取得することが可能となっている。なお、本実施形態では、管理端末30aを、鉄道保守支援システム100全体を統括する運行本部に備えられた管理端末30であるとし、管理端末30b、30cを、鉄道保守支援システム100を構成する各支社(例えば、高崎支社、新潟支社)に備えられた管理端末30であるとする。
【0062】
図11に示すように、管理端末30は制御部31、操作部32、表示部33、記憶部34、通信部35を備え、これら各部はバス36を介して互いに接続されている。
【0063】
制御部31は、図示しないCPU等の演算装置、RAM等の記憶装置からなり、演算装置は、記憶部34に記憶された所定のプログラムとの協働により各種処理を実行し、管理端末30を構成する各部の動作を統括的に制御する。
【0064】
操作部32は、各種入力キーや、マウス、トラックボール等のポインティングデバイス等を備え、ユーザからの操作により入力される操作信号を制御部31に出力する。表示部33は、LCDやELDパネル等により構成され、制御部31からの表示信号に基づいて各種情報を表示する。また、表示部33は、操作部32と一体的にタッチパネルを構成する態様としてもよい。
【0065】
管理端末30のユーザは、操作部32を介した所定の操作により、端末管理サーバ20のDB部25に記憶された各種情報を取得(参照)することが可能となっている。制御部31は、操作部32を介してこの操作信号を受信すると、端末管理サーバ20に対し各種情報の取得を要求する要求情報を送信し、この要求情報に応じて端末管理サーバ20から送信された情報を、表示部33に表示させる。
【0066】
また、管理端末30のユーザは、操作部32を介した所定の操作により、鉄道保守支援システム100が管理する領域のうち、保守対象となる特定の領域を指定することが可能となっている。制御部31は、操作部32を介してこの操作信号を受信すると、指定された領域を指示する領域指定情報を端末管理サーバ20及び地図データ提供サーバ40にネットワークNを介して送信する。
【0067】
また、管理端末30のユーザは、操作部32を介した所定の操作により、特定の鉄道施設等の障害位置を指定することが可能となっている。制御部31は、操作部32を介してこの操作信号を受信すると、指定された鉄道施設を障害位置として登録を要求する障害位置登録情報を端末管理サーバ20に送信することで、この指定された鉄道施設が端末管理サーバ20の障害位置が障害位置管理テーブル255に登録(格納)されるようになっている。
【0068】
さらに、管理端末30のユーザは、操作部32を介した所定の操作により、障害対応を行う保守要員(出動員)に係る端末識別情報を指定することが可能となっている。制御部31は、操作部32を介してこの操作信号を受信すると、指定された端末識別情報を出動者として登録を要求する出動者指定情報を端末管理サーバ20に送信することで、この指定された端末識別情報が端末管理サーバ20の出動者管理テーブル256に登録されるようになっている。
【0069】
記憶部34は、磁気的、光学的記録媒体若しくは半導体メモリで構成される不揮発性の記憶媒体を備え、管理端末30の動作に必要なプログラム及び当該プログラムの実行に係る各種設定情報を記憶する。
【0070】
通信部35は、モデム、ターミナルアダプタ、LANアダプタ等のネットワークインターフェースであって、制御部31の制御の下、本管理端末30とネットワークNで接続された端末管理サーバ20、地図データ提供サーバ40との間で授受される各種情報の通信制御を行う。なお、管理端末30と端末管理サーバ20及び/又は地図データ提供サーバ40との間のデータ通信プロトコルは、特に限らないものとするが、例えば、TLS/SSL、S/MIME、IPsec等のセキュリティを考慮したプロトコルを使用することが好ましい。また、独自のプロトコルを使用することとしてもよい。
【0071】
地図データ提供サーバ40は、後述する地図データDB部45に記憶された地図データや当該地酢データに係る各種情報をネットワークNに接続された外部の装置(端末管理サーバ20、管理端末30)に提供する。また
【0072】
図12に示すように、地図データ提供サーバ40は制御部41、操作部42、表示部43、記憶部44、地図データDB部45、通信部46を備え、これら各部はバス47を介して互いに接続されている。
【0073】
制御部41は、図示しないCPU等の演算装置、RAM等の記憶装置からなり、演算装置は、記憶部44に記憶された所定のプログラムとの協働により各種処理を実行し、地図データ提供サーバ40を構成する各部の動作を統括的に制御する。
【0074】
また、制御部41は、端末管理サーバ20又は管理端末30から特定の領域を指定する領域指定情報を受信すると、記憶部44に記憶された所定のプログラムとの協働により、この指定された領域に対応する地図データを地図データDB45から読み出し、端末管理サーバ20又は管理端末30に送信する。
【0075】
また、制御部41は、端末管理サーバ20又は管理端末30から移動開始位置と目的位置との位置情報(緯度、経度)を含んだ到着予測時刻要求情報を受信すると、記憶部44に記憶された所定のプログラムとの協働により、移動開始位置から目的位置までの経路を探索し、この探索された経路に基づいて、移動開始位置から目的位置までの移動に要する時間を算出し、この時間を到着予測時刻として端末管理サーバ20又は管理端末30に送信する。
【0076】
操作部42は、各種入力キーや、マウス、トラックボール等のポインティングデバイス等を備え、ユーザからの操作により入力される操作信号を制御部41に出力する。表示部43は、LCDやELDパネル等により構成され、制御部41からの表示信号に基づいて各種情報を表示する。また、表示部43は、操作部42と一体的にタッチパネルを構成する態様としてもよい。
【0077】
記憶部44は、磁気的、光学的記録媒体若しくは半導体メモリで構成される不揮発性の記憶媒体を備え、地図データ提供サーバ40の動作に必要なプログラム及び当該プログラムの実行に係る各種設定情報を記憶する。具体的には、鉄道保守支援システム100が管轄する全ての領域の地図データや、当該地図データに係る各種プログラム(例えば、経路探索や特定の目的地までの到着予測時間の算出に係るプログラム)や設定情報等を予め記憶する。
【0078】
地図データDB45は、磁気的、光学的記録媒体若しくは半導体メモリで構成される不揮発性の記憶媒体に構築されたデータベース手段であって、鉄道保守支援システム100が管轄する領域の地図データ、経路探索や到着予測時刻の算出に供する各種データ等を予め格納する。
【0079】
制御部41は、端末管理サーバ20又は管理端末30から特定の領域を指示する領域指定情報を受信すると、この領域指定情報により指定された領域に対応する地図データを地図データDB45から読み出し、端末管理サーバ20又は管理端末30に送信する。
【0080】
また、制御部41は、端末管理サーバ20又は管理端末30から経路情報の取得を要求する経路要求情報を受信すると、記憶部44に記憶された所定のプログラムとの協働により、この経路要求情報に含まれた携帯電話機10の端末位置情報と目的位置となる障害位置等の目的位置情報とに基づいて、端末位置から目的位置までの経路を探索し、この探索された結果を経路情報として端末管理サーバ20又は管理端末30に送信する。
【0081】
さらに、制御部41は、端末管理サーバ20又は管理端末30から到着予測時間の取得を要求する到着予測時間要求情報を受信すると、記憶部44に記憶された所定のプログラムとの協働により、この到着予測時間要求情報に含まれた携帯電話機10の端末位置情報と目的位置となる障害位置等の目的位置情報とに基づいて、端末位置から目的位置に到着するまでに要する予測時間を算出し、到着予測時間として端末管理サーバ20又は管理端末30に送信する。
なお、上記した地図データ、経路情報、到着予測時間の提供に係る機能は、公知のナビゲーション法を適用することが可能である。
【0082】
通信部46は、モデム、ターミナルアダプタ、LANアダプタ等のネットワークインターフェースであって、制御部41の制御の下、本地図データ提供サーバ40とネットワークNで接続された端末管理サーバ20、管理端末30との間で授受される各種情報の通信制御を行う。なお、地図データ提供サーバ40と端末管理サーバ20及び/又は管理端末30との間のデータ通信プロトコルは、特に限らないものとするが、例えば、TLS/SSL、S/MIME、IPsec等のセキュリティを考慮したプロトコルを使用することが好ましい。また、独自のプロトコルを使用することとしてもよい。
【0083】
以下、鉄道保守支援システム100の動作について説明する。
まず、各保守要員が所持する携帯電話機10の現在位置情報の取得に係る動作を説明する。
図13は、現在位置情報の取得に係る処理(位置情報取得処理)の手順を示したフローチャートである。なお、本処理は、端末管理サーバ20の制御部21と記憶部24に記憶された所定のプログラムとの協働により実行される処理を示している。
【0084】
まず、設定情報として予め設定された取得時間T1が読み出され、この取得時間T1を経過するまで待機が行われる(ステップS11)。ここで、取得時間T1の値は、任意に設定可能であるものとし、例えば、10分間隔や1時間間隔等と設定することとしてもよい。また、例えば12:00等の特定の時間を設定する態様としてもよい。
【0085】
ステップS11において、取得時間T1を経過したと判定された場合には(ステップS11;Yes)、DB部25に記憶された端末管理テーブル253が参照され、この端末管理テーブル253に格納された端末識別情報が順次読み出される(ステップS12)。そして、読み出された一の端末識別情報が位置情報取得対象として設定された後(ステップS13)、ステップS14の端末位置取得処理へと移行する。以下、図14を参照してステップS14の端末位置取得処理について説明する。
【0086】
図14は、端末位置取得処理の手順を示したラダーチャートである。なお、本処理において、ステップS31〜S33は、携帯電話機10の制御部11と記憶部14に記憶された所定のプログラムとの協働により実行される処理を示している。
【0087】
まず、位置情報取得対象に設定された端末識別情報の携帯電話機10宛に、現在位置情報の取得を要求する現在位置取得要求情報が送信される(ステップS21)。
【0088】
一方、携帯電話機10では、端末管理サーバ20から送信された現在位置取得要求情報が受信されると(ステップS31)、この現在位置取得要求情報をトリガとして、GPS衛星との通信が行われ、当該GPS衛生からのGPS信号に基づいて現在位置情報が生成される(ステップS32)。そして、生成された現在位置情報が端末管理サーバ20へと送信され(ステップS33)、携帯電話機10の処理は終了する。
【0089】
端末管理サーバ20では、携帯電話機10から送信された現在位置情報が受信されると(ステップS22)、この現在位置情報及び現在位置情報を受信した日時が、夫々位置情報(緯度、経度)及び測位日時として、端末位置管理テーブル254の対応する端末識別情報と対応付けて格納される(ステップS23)。
【0090】
続いて、ステップS23で格納された位置情報と、路線管理テーブル251に格納された各駅の位置情報(緯度、経度)及び鉄道施設管理テーブル252に格納された鉄道施設のキロ程及び位置情報(緯度、経度)と、の間の距離が比較されることで、携帯電話機10の現在位置に直近する路線名及びキロ程が特定され(ステップS24)、この路線名及びキロ程が、端末位置管理テーブル254の対応する端末識別情報と対応付けて格納された後(ステップS25)、次の処理へと移行する。
【0091】
図13に戻り、続くステップS15では、端末管理テーブル253に格納された全ての端末識別情報を読み出したか否かが判定され、全ての端末識別情報を読み出していないと判定された場合には(ステップS15;No)、ステップS12へと再び戻り、次の端末識別情報が端末管理テーブル253から読み出される。
【0092】
一方、ステップS15において、全ての端末識別情報が読み出されたと判定された場合には(ステップS15;Yes)、本処理は終了する。
【0093】
なお、本処理は端末管理サーバ20の稼働時において常時実行されることにより、取得時間T1毎に各保守要員が所持する携帯電話機10から現在位置情報が取得される。これにより、鉄道施設の保守に係わる全保守要員の現在位置を所定時間毎に取得することができるため、保守要員の現在位置を把握することが可能となる。
【0094】
また、本実施形態では、端末管理テーブル253に格納された端末識別情報に対応する携帯電話機10から現在位置情報の取得を順次行う態様としたが、これに限らず、例えば、端末管理テーブル253に格納された端末識別情報に対応する全ての携帯電話機10から一度に現在位置情報の取得を行う態様としてもよい。
【0095】
図15は、地図データの表示に係る処理(以下、地図データ表示処理という)の手順を示したラダーチャートである。なお、本処理において、ステップS41〜S45は、管理端末30の制御部31と記憶部34に記憶された所定のプログラムとの協働により実行される処理を、ステップS51〜S53は、端末管理サーバ20の制御部21と記憶部24に記憶された所定のプログラムとの協働により実行される処理を、ステップS61〜S63は、地図データ提供サーバ40の制御部41と記憶部44に記憶された所定のプログラムとの協働により実行される処理を示している。
【0096】
まず、操作部32を介した所定の操作により、ユーザから鉄道保守支援システム100が管轄する領域のうち保守対象となる特定の領域(保守対象領域)が指定され、この操作信号が入力されると(ステップS41)、指定された領域を指示する領域指定情報が端末管理サーバ20及び地図データ提供サーバ40へと送信される(ステップS42)。
【0097】
なお、本実施形態では、保守対象領域の指定方法として、対象となる領域(地域)の経度及び緯度が指定されるものとするが、これに限らず、例えば、住所や郵便番号等を指定することや、特定の鉄道施設等のランドマーク等を指定することで対象となる領域を特定することとしてもよい。この場合、住所や郵便番号、ランドマークから、経度及び緯度を導出可能な変換テーブルが、端末管理サーバ20及び地図データ提供サーバ40に備えられているものとし、例えば、端末管理サーバ20のDB部25に記憶された鉄道施設管理テーブル252を参照し、このテーブルに格納された路線名や駅名、鉄道施設等を指定することで対象となる領域を特定することとしてよい。
【0098】
端末管理サーバ20では、管理端末30から送信された領域指定情報が受信されると(ステップS51)、鉄道施設管理テーブル252、端末位置管理テーブル254が参照され、これら各テーブルに格納された位置情報(緯度、経度)のうち、領域指定情報で指定された領域に関連する位置に存在する携帯電話機10及び鉄道施設の位置情報が特定され、この位置情報に対応するレコードが読み出される(ステップS52)。そして、読み出されたレコードが保守対象領域情報として管理端末30に送信され(ステップS53)、端末管理サーバ20の処理は終了する。
【0099】
なお、ここで関連する保守対象領域は、管理端末30における表示部33の表示領域の大きさや、後述する地図データが表示される際の縮尺等に基づいて設定されていることが好ましく、これら表示領域の大きさやす縮尺等の世程情報を含んだ領域指定情報が管理端末30から送信される態様としてもよい。
【0100】
また、地図データ提供サーバ40では、管理端末30から送信された領域指定情報が受信されると(ステップS61)、この領域指定情報で指示された保守対象領域の緯度及び経度に対応する地図データが地図データDB部45から読み出され(ステップS62)、管理端末30に送信される(ステップS63)。
【0101】
管理端末30では、保守対象領域情報及び地図データが受信されると(ステップS43)、地図データが表示部33に表示されるとともに、鉄道保守支援情報として送信された携帯電話機10及び鉄道施設の位置情報に基づいて、携帯電話機10及び施設施設の相対的な位置関係を示したテキスト情報やアイコン画像等(以下、総じてアイコン画像という)が、地図データ上に重畳表示される(ステップS44)。
【0102】
図16は、表示部33に表示された地図データ及びアイコン画像の一例を示した図である。同図に示すように、地図データMAPに重畳して、鉄道保守支援情報に含まれた鉄道施設の名称(田河川、宮内橋りょう、朝日川斜路、新長岡SS、長岡SCH等)や各鉄道施設の種別を示したアイコン画像(T1〜T5等)が、位置情報に応じた位置に表示されている。また、地図データMAPに重畳して、保守対象領域情報に含まれた端末識別情報に対応する携帯電話機10の位置を表すアイコン画像(M1〜M3等)が、位置情報に応じた位置に表示されている。
【0103】
ここで、表示されたアイコン画像は、当該アイコン画像が表す鉄道施設の施設識別情報又は携帯電話機10の端末識別情報と対応付けられており、特定のアイコン画像を指定することで、当該アイコン画像に対応付けられた施設識別情報及び端末識別情報に関する詳細情報の取得を要求する要求情報を端末管理サーバ20に送信することが可能となっている。なお、施設識別情報及び端末識別情報に係る詳細情報の読み出しについては後述する詳細情報表示処理(図17参照)で説明する。
【0104】
なお、表示部33に表示されるアイコン画像は、記憶部34に予め記憶されているものとし、鉄道施設の種別や端末識別情報の種別、状態に応じて、表示されるアイコン画像が異なるよう制御部31により制御されるものとする。また、本実施形態では、鉄道施設の種別や端末識別情報の状態種別に応じて表示される画像データの色や模様等を異ならしめるものとする。
【0105】
図15に戻り、本処理を終了するか否かが判定され、操作部32を介した所定の操作により、本処理の終了を指示する操作信号が入力された場合には(ステップS45;Yes)、本処理は終了する。また、操作部32を介した所定の操作により、本処理の継続を指示する操作信号が入力された場合には(ステップS45;No)、ステップS41へと再び戻る。なお、この場合、表示部33に表示された地図データを上下左右の何れかの方向にスクロールさせることで、保守対象となる領域を変更したり、地図データの縮尺を変更することで保守対象となる領域を変更したりすることとしてもよい。
【0106】
このように、所望する領域の地図データ上に、当該領域に関係する携帯電話機10(端末識別情報)及び鉄道施設(施設識別情報)の相対的な位置関係を示したアイコン画像を重畳表示させるため、ユーザは、当該携帯電話機10を所持する保守要員の位置を直感的に把握することができ、また、保守対象となる鉄道施設に適した保守要員を容易且つ直感的に特定することが可能となるため、保守要員の運用を迅速且つ効率的に行うことができる。なお、表示態様は、上記例に限らないものとする。
【0107】
次に、図17を参照して、鉄道施設及び携帯電話機10に関する詳細情報の表示に係る処理(詳細情報表示処理)の手順を説明する。なお、本処理において、ステップS71〜S75は、管理端末30の制御部31と記憶部34に記憶された所定のプログラムとの協働により実行される処理を、ステップS81〜S86は、端末管理サーバ20の制御部21と記憶部24に記憶された所定のプログラムとの協働により実行される処理を示している。また、本処理の前提として、上述した地図データ表示処理(図15参照)により、表示部33に地図データ及びアイコン画像が表示されているものとする。
【0108】
まず、操作部32を介した所定の操作により、表示部33に表示されたアイコン画像のうち、特定のアイコン画像が指定され、この操作信号が入力されると(ステップS71)、このアイコン画像に対応する施設識別情報又は端末識別情報が特定され(ステップS72)、この鉄道施設識別情報又は端末識別情報に関する詳細情報の取得を要求する要求情報が、端末管理サーバ20に送信される(ステップS73)。
【0109】
端末管理サーバ20では、管理端末30から送信された要求情報が受信されると(ステップS81)、この要求情報が施設識別情報に関するものか端末識別情報に関するものかが判定される(ステップS82)。ここで、要求情報が施設識別情報に関する詳細情報を要求するものと判定された場合には(ステップS82;施設)、この施設識別情報に対応するレコードが鉄道施設管理テーブル252から読み出される(ステップS83)。そして、読み出されたレコードが、施設詳細情報として管理端末30に送信され(ステップS84)、端末管理サーバ20の処理は終了する。
【0110】
一方、要求情報が端末識別情報に関する詳細情報を要求するものと判定された場合には(ステップS82;端末)、この端末識別情報に対応するレコードが、端末管理テーブル253、端末位置管理テーブル254及び出動者管理テーブル256から読み出される(ステップS85)。そして、読み出されたレコードが、端末詳細情報として管理端末30に送信され(ステップS86)、端末管理サーバ20の処理は終了する。
【0111】
管理端末30では、端末管理サーバ20から送信された施設詳細情報又は端末詳細情報が受信されると(ステップS74)、この受信された施設詳細情報又は端末詳細情報が所定の表示形式で表示部33に表示され(ステップS75)、本処理は終了する。
【0112】
図18は、表示部33に表示された施設詳細情報の一例を示した図である。なおここでは、地図データに重畳表示された図形データのうち、施設識別情報「朝日川斜路」に対応するアイコン画像が指定された場合の表示例を示している。同図に示すように、端末管理サーバ20の鉄道施設管理テーブル252に格納された内容を、表示部33を介して確認することができる。なお、表示領域A1に表示された内容は、鉄道施設管理テーブル252の関連情報に含まれた情報であって、関連情報に含まれる内容は本図示例に限らないものとする。
【0113】
図19は、表示部33に表示された端末詳細情報の一例を示した図である。なおここでは、端末識別情報「090−XXXX−0001」に対応するアイコン画像が指定された場合の表示例を示している。同図に示すように、端末管理サーバ20の端末管理テーブル253、端末位置管理テーブル254、出動者管理テーブル256、到着予測時刻管理テーブル257に格納された内容を、表示部33を介して確認することができる。
【0114】
なお、図18及び図19で示した画面は、表示部33に表示された地図データ上に重畳表示されるものとするが、その表示態様はこれに限らず、例えば、指定されたアイコン画像に対応するようポップアップ表示させる態様としてもよい。
【0115】
図19において、位置更新ボタンB1は、現在位置の更新を指示する操作ボタンであって、この位置更新ボタンB1が操作部32を介して押下されると、制御部31は、表示された端末詳細情報に対応する携帯電話機10の現在位置の更新を指示する位置更新要求情報を端末管理サーバ20へと送信する。以下、この位置更新ボタンB1が押下された場合の動作について、図20を参照して説明する。
【0116】
図20は、携帯電話機10の位置情報の更新に係る処理(位置更新処理)の手順を示したラダーチャートである。なお、本処理において、ステップS91〜S94は、管理端末30の制御部31と記憶部34に記憶された所定のプログラムとの協働により実行される処理を、ステップS101〜S105は、端末管理サーバ20の制御部21と記憶部24に記憶された所定のプログラムとの協働により実行される処理を示している。なお、本処理の前提として、表示部33に図19で示した画面が表示されているものとする。
【0117】
まず、操作部32を介して位置更新ボタンB1が押下され、この操作信号が入力されると(ステップS91)、表示部33に表示された端末識別情報に対応する位置情報の更新を要求する位置更新要求情報が、端末管理サーバ20に送信される(ステップS92)。
【0118】
端末管理サーバ20では、管理端末30から送信された位置更新要求情報が受信されると(ステップS101)、この位置更新要求情報で指示された端末識別情報が位置情報取得対象として設定され(ステップS102)、ステップS103の端末位置取得処理へと移行する。なお、ステップS103の端末位置情報取得処理は、上述したステップS14(図14参照)と同様の処理であるため説明は省略する。
【0119】
ステップS103の後、更新要求情報で指示された端末識別情報に対応するレコードが、端末位置管理テーブル254及び出動者管理テーブル256から読み出され(ステップS104)、位置更新情報として管理端末30に送信された後(ステップS105)、端末管理サーバ20の処理は終了する。
【0120】
一方、管理端末30では、端末管理サーバ20から送信された位置更新情報が受信されると(ステップS93)、この位置更新情報に応じて表示部33に表示された端末詳細情報の各種情報が更新されるとともに、地図データ上に重畳されたアイコン画像の位置及び表示画像が更新され(ステップS94)、本処理は終了する。
【0121】
このように、ユーザからの指示に応じて、特定の携帯電話機10の現在位置を更新することができるため、この携帯電話機10の現在位置をリアルタイムで監視することができる。
【0122】
次に、鉄道保守支援システム100が管轄する鉄道施設に障害が発生した際の動作について説明する。
まず、障害位置の登録及び障害対応を行う保守要員(以下、出動者という)の登録に係る処理(障害対応処理)の流れを説明する。なお、鉄道施設の障害はCTC(Centralized Traffic Control)等の障害検知システム(図示せず)により検知されるものとし、障害が発生した鉄道施設の名称(施設識別情報)や位置等が管理端末30を操作するユーザに報知されるものとする。
【0123】
図21は、障害対応処理の手順を示したラダーチャートである。なお、本処理において、ステップS111〜S121の処理は、管理端末30の制御部31と記憶部34に記憶された所定のプログラムとの協働により実行される処理を、ステップS131〜S134は、端末管理サーバ20の制御部21と記憶部24に記憶された所定のプログラムとの協働により実行される処理を示している。また、本処理の前提として、上述した地図データ表示処理(図15参照)により、鉄道施設及び携帯電話機10の相対的な位置関係と種別を示したアイコン画像が表示部33に表示された地図データ上に重畳表示されているものとする。
【0124】
まず、操作部32を介した所定の操作により、障害位置の登録の開始が指示され、この操作信号が入力されると(ステップS111)、障害位置の登録に供する画面が表示部33に表示される(ステップS112)。
【0125】
図22は、表示部33に表示された障害位置の登録に供する画面の一例を示した図である。同図に示すとおり、障害位置特定のための「対象路線」、「駅間」又は「キロ程」、「系統種別」、「施設種別」が表示領域A2の各項目から指定できるようになっている。これら各条件が指定された後、検索ボタンB2が押下されると、これら各条件に該当するレコードを要求する要求情報が端末管理サーバ20に送信されるようになっている。これら条件に該当するレコードが端末管理サーバ20の鉄道施設管理テーブル252から取得されると、このレコードに含まれた施設識別情報(施設名)、キロ程等が図22の表示領域A2に一覧表示される。本実施形態では、表示領域A3に一覧表示された施設名から特定の施設名が選択されることで、障害位置候補となる鉄道施設が指定されるものとする。
【0126】
図21に戻り、操作部32を介した所定の操作により、障害位置候補となる鉄道施設を指定する操作信号が入力されると(ステップS113)、この指定された鉄道施設が障害位置候補として設定されるとともに(ステップS114)、当該障害位置への経由種別(障害位置直行、キロ程、門扉)の選択を促す画面が表示される(ステップS115)。
【0127】
図23は、表示部33に表示された経由種別の選択を促す画面の一例を示した図である。同図に示すとおり、表示領域A4に表示された各項目から「障害位置直行」、「キロ程」の値、「門扉」となる立ち入り先名を経由種別として指定することが可能となっている。これら各条件のうち「門扉指定」が指定された後、門扉検索ボタンB3が押下されると、ステップS114で設定された内容が表示された表示領域A5の各条件に該当する「門扉」に関するレコードを要求する要求情報が端末管理サーバ20に送信されるようになっている。これら条件に該当するレコードが端末管理サーバ20の鉄道施設管理テーブル252から取得されると、このレコードに含まれた施設識別情報(門扉)、キロ程等が図23の表示領域A6に一覧表示される。
【0128】
ここで、表示領域A4の「障害位置直接」又は「キロ程指定」が選択され、或いは、表示領域A4の「門扉指定」が選択された後、表示領域A6に一覧表示された施設識別情報(施設名)から特定の施設識別情報が指定され、出動先登録ボタンB4が押下されることで、障害位置管理テーブル255に対応する経由種別。立ち入り先名、点検開始キロ程が決定されるものとする。また、障害位置登録ボタンB5が押下されることで、表示領域A5に設定された内容が、障害位置として決定されるものとする。
【0129】
図21に戻り、表示部33に表示された画面に基づいて操作部32を介した所定の操作により、障害位置及び経由種別の決定を指示する操作信号が入力されると(ステップS116)、この障害位置及び経由種別の登録を指示する障害位置登録情報が端末管理サーバ20に送信される(ステップS117)。
【0130】
一方、端末管理サーバ20では、管理端末30から送信された障害位置登録情報が受信されると(ステップS131)、障害地IDが付与されるとともに、この障害地IDに障害位置登録情報に含まれた障害位置及び経由種別が対応付けて障害位置管理テーブル255に格納される(ステップS132)。
【0131】
続いて、管理端末30では、操作部32を介した所定の操作により、障害対応を行う出動者(保守要員)の登録の開始を指示する操作信号が入力されると(ステップS118)、保守要員の登録に供する画面が表示部33に表示される(ステップS119)。
【0132】
図24は、表示部33に表示された保守要員の登録に供する画面の一例を示した図である。ここで、表示領域A7には、先に障害位置管理テーブル255に登録されたレコードが一覧表示されており、この一覧表示された障害位置のうち特定の障害位置が選択され、この障害位置の出動者が表示領域8、9に基づいて選択されようになっている。なお、表示領域A10には、既に登録された出動者に関する情報が、出動者管理テーブル256に基づいて一覧表示されるようになっており、この一覧表示された出動者のうち、特定の出動者を選択後、出動者削除ボタンB6を押下することで、出動者管理テーブル256から登録を削除することが可能となっている。
【0133】
表示領域8では、出動者特定のための「支社」、「系統」、「現業種別」等の各条件を指定することが可能となっており、これら各条件が指定された後、検索ボタンB7が押下されると、これら各条件に該当する出動者(端末識別情報)に関するレコードを要求する要求情報が端末管理サーバ20に送信されるようになっている。これら条件に該当するレコードが端末管理サーバ20の端末管理テーブル253から取得されると、このレコードに含まれた端末識別情報(電話番号)、関連情報(出動者名)等が図24の表示領域A9に一覧表示される。
【0134】
ここで、表示領域A9に一覧表示された端末識別情報(関連情報)から特定の端末識別情報が指定され、出動者登録ボタンB8が押下されることで、表示領域A7で選択した障害位置に対応する出動者が決定されるものとする。
【0135】
図21に戻り、表示部33に表示された画面に基づいて操作部32を介した所定の操作により、障害位置への出動者(端末識別情報)を指定する操作信号が入力されると(ステップS120)、この障害位置と、当該障害位置の出動者に対応する端末識別情報とが、出動者登録情報として端末管理サーバ20に送信され(ステップS121)、管理端末30の処理は終了する。
【0136】
一方、端末管理サーバ20では、管理端末30から送信された出動者登録情報が受信されると(ステップS133)、この出動者登録情報に含まれた障害位置に対応する障害地IDと、出動者登録情報に含まれた端末識別情報と、出動者登録情報の登録日時(登録日時)と、作業員の登録を行った支社名(登録支社名)とが対応付けて出動者管理テーブル256に格納され(ステップS134)、端末管理サーバ20の処理は終了する。
【0137】
なお、上記の処理により障害位置に出動するよう指示された出動者(保守要員)は、携帯電話機10等の通知手段により障害位置(又は立ち入り先)への移動が通知され、障害位置へと移動するようになっている。この出動者の状態は、当該出動者が所持する携帯電話機10の現在位置情報に基づいて端末管理サーバ20により監視される
【0138】
以下、図25を参照して、出動者の状態監視に係る処理(状態監視処理)について説明する
図25は、状態監視処理の手順を示したフローチャートである。なお、本処理は、端末管理サーバ20の制御部21と記憶部24に記憶された所定のプログラムとの協働により実行される処理を示している。
【0139】
まず、DB部25に記憶された出動者管理テーブル256が参照され、この出動者管理テーブル256に端末識別情報が格納されているか否かが判定される(ステップS141)。ここで、端末識別情報が格納されていないと判定された場合には(ステップS141;No)、本処理は直ちに終了する。
【0140】
また、ステップS141において、出動者管理テーブル256に端末識別情報が格納されていると判定された場合には(ステップS141;Yes)、設定情報として予め設定された取得時間T2が読み出され、この取得時間T2を経過するまで待機が行われる(ステップS142;No)。なお、ここで、取得時間T2は、平常時における端末位置情報の取得時間T1よりも短時間(例えば、1分等)に設定されていることが好ましい。
【0141】
ステップS142において、取得時間T2を経過したと判定された場合には(ステップS142;Yes)、出動者管理テーブル256に格納された端末識別情報が順次読み出される(ステップS143)。そして、読み出された一の端末識別情報が位置情報取得対象として設定された後(ステップS144)、ステップS145の端末位置取得処理へと移行する。なお、ステップS145の端末位置情報取得処理は、上述したステップS14(図14参照)と同様の処理であるため説明は省略する。
【0142】
続くステップS146では、出動者の状態を判定する状態判定処理が行われる。以下、図26を参照して、ステップS146の状態判定処理を説明する。
まず、位置情報取得対象に設定された端末識別情報の位置情報が端末位置管理テーブル254から読み出される(ステップS151)。次いで、障害位置管理テーブル255が参照され、この端末識別情報に対応する障害地IDの経由種別に「障害位置直接」が設定されているか否かが判定される(ステップS152)。
【0143】
ここで、経由種別に「障害位置直接」が設定されていると判定された場合には(ステップS152;Yes)、障害位置管理テーブル255の障害位置に格納された施設識別情報が読み出され(ステップS153)、この施設識別情報の位置情報が鉄道施設管理テーブル252から読み出される(ステップS154)。
【0144】
また、経由種別に「障害位置直接」が設定されていないと判定された場合には(ステップS152;No)、「立ち入り先名」又は「経由キロ程」に格納された情報(施設識別情報称又はキロ程)が読み出され(ステップS155)、この読み出された情報に対応する位置情報が、障害位置管理テーブル255に基づいて鉄道施設管理テーブル252から読み出される(ステップS156)。なお、経由キロ程に対応する位置情報(緯度、軽度)は、同一の障害地IDに対応付けられた「路線名」と経由キロ程が示す「キロ程」とにも基づいて特定されるものとし、各路線のキロ程と位置情報とを対応付けた図示しないテーブルが記憶部24に記憶されているものとする。
【0145】
続いて、先のステップS151と、ステップS154又はステップS156とで読み出された位置情報で示された両位置間の距離が、所定の閾値(例えば、100m)以内か否かが判定される(ステップS157)。ここで、両位置間の距離が、閾値を上回ると判定された場合には(ステップS157;No)、出動者管理テーブル256の状態種別に「移動中」が格納された後(ステップS158)、ステップS147の到着予測時間算出処理へと移行する。
【0146】
また、両位置間の距離が、閾値以内と判定された場合には(ステップS157;Yes)、出動者管理テーブル256の状態種別に「点検中」が格納された後(ステップS159)、ステップS147の到着予測時間算出処理へと移行する。ここで、一旦「点検中」が設定された後は、管理端末30から出動者の削除を指示する指示情報が入力されるまで、この設定は変更されないものとする。
【0147】
なお、図9に示した出動者管理テーブル256において、状態種別「その他」とは、上記した「移動中」及び「点検中」以外の状態を示しており、例えば、位置情報を取得できなかった場合に格納されるものとする。
【0148】
以下、図27を参照して、ステップS147の到着予測時間算出処理を説明する。
図27は、到着予測時間算出処理の手順を示したラダーチャートである。なお、本処理において、ステップS181〜S183は、地図データ提供サーバ40の制御部41と記憶部44に記憶された所定のプログラムとの協働により実行される処理を示している。
【0149】
まず、ステップS151で読み出されたこの端末識別情報の位置情報を移動開始位置とし、さらにステップS154又はステップS156で読み出された位置情報を目的位置とする到着予測時刻要求情報が、地図データ提供サーバ40に送信される(ステップS161)。
【0150】
地図データ提供サーバ40では、端末管理サーバ20から送信された到着予測時刻要求情報が受信されると(ステップS181)、この到着予測時刻要求情報に含まれた移動開始位置及び目的位置の位置情報に基づいて経路探索が行われることで、移動開始位置から目的位置に至るまでの移動に要する時間が算出される(ステップS182)。そして、この算出された時間が、到着予測時刻として端末管理サーバ20に送信され(ステップS183)、地図データ提供サーバ40の処理は終了する。
【0151】
一方、端末管理サーバ20では、地図データ提供サーバ40から送信された到着予測時刻が取得されると(ステップS162)、この到着予測時刻を経由地到着予測時刻及び障害地到着予測時刻として、位置情報取得対象に設定された端末識別情報と対応付け、到着予測時刻管理テーブル257に格納する(ステップS163)。
【0152】
次いで、障害位置管理テーブル255が参照され、この端末識別情報に対応する障害地IDの経由種別に「障害位置直接」が設定されているか否かが判定される(ステップS164)。ここで、経由種別に「障害位置直接」が設定されていると判定された場合には(ステップS164;Yes)、図25のステップS148へと直ちに移行する。
【0153】
また、経由種別に「障害位置直接」が設定されていないと判定された場合には(ステップS164;No)、「立ち入り先名」又は「経由キロ程」に格納された情報(施設識別情報又はキロ程)が読み出され(ステップS165)、この読み出された情報に対応するキロ程が、鉄道施設管理テーブル252等に基づいて読み出される(ステップS166)。なお、経由キロ程として、特定のキロ程が格納されたいた場合には、この値がそのまま読み出されることは言うまでもない。
【0154】
続いて、位置情報取得対象に設定された端末識別情報の直近するキロ程が、端末位置管理テーブル254から読み出され(ステップS167)、この端末識別情報のキロ程と、ステップS166で読み出された経由位置に対応するキロ程との差分から、両位置間の距離が算出され、この距離が立ち入り先又は経由キロ程から障害位置までの移動手段(例えば、徒歩や保線車、レールカート等)の平均速度等で除算されることで、立ち入り先又は経由キロ程から障害位置までの移動に要する時間が算出される(ステップS168)。なお、立ち入り先又は経由キロ程から障害位置までの移動手段の速度は、設定情報として予め設定されているものとするが、これに限らず、管理端末30から移動手段の速度が指示される態様としてもよい。
【0155】
続いて、ステップS168で算出された時間が、出動者管理テーブル256の経由地到着予測時間に格納された到着予想時間と加算され(ステップS169)、この加算された値が、出動者管理テーブル256の障害位置到着予測時間に格納された後(ステップS170)、図25のステップS148へと移行する。
【0156】
図25に戻り、ステップS148では、出動者管理テーブル256に格納された全ての端末識別情報を読み出したか否かが判定され、全ての端末識別情報を読み出していないと判定された場合には(ステップS148;No)、ステップS143へと再び戻り、出動者管理テーブル256から次の端末識別情報が読み出される。
【0157】
一方、ステップS148において、全ての端末識別情報が読み出されたと判定された場合には(ステップS148;Yes)、本処理は終了する。なお、本処理は端末管理サーバ20の稼働時において常時実行されることにより、取得時間T2毎に出動員が所持する携帯電話機10から現在位置情報が取得される。
【0158】
このように、保守要員の現在位置から保守対象施設(障害位置)までの移動に要する時間を見積もることが可能となるため、作業計画の立案に供することができ、保守要員の運用を迅速且つ効率的に行うことができる。
また、保守対象施設に至る途中に経由すべき鉄道施設等があった場合でも、保守要員の現在位置から経由位置までの移動時間、経由位置から保守対象施設までの移動時間を夫々算出することが可能であるため、保守要員の現在位置から保守対象施設までの移動時間を、より正確に算出することができる。
さらに、携帯電話機10の現在位置情報と、保守対象施設の位置情報とが示す位置間の距離に基づいて判定された状態種別により、保守作業の状態を確認することが可能となるため、保守要員の運用を迅速且つ効率的に行うことができる。
【0159】
前述したように、管理端末30は、制御部31の制御の下、端末管理サーバ20のDB部25に記憶された障害位置管理テーブル255、出動者管理テーブル256及び到着予測時刻管理テーブル257に格納されたレコードを取得することが可能となっており、この取得されたレコードを表示部33に表示することができる。
【0160】
図28は、表示部33に表示された出動員の状態に関する情報の一例を示した図である。ここでは、図24の表示領域A7と同様に障害位置及び経由位置に関するレコードが表示領域A11に一覧表示されており、この一覧表示された障害位置から特定の障害位置が指定されると、この指定された障害位置に係る出動者に関するレコードが端末管理サーバ20の出動者管理テーブル256、端末管理テーブル253から取得され、表示領域A12に表示されるようになっている。
【0161】
また、上記した表示領域A12で表示された出動者(端末識別情報)の状態が、出動者管理テーブル256から取得され、表示領域A13に表示されるようになっている。さらに、この出動者に係る経由位置及び障害位置のキロ程、経由位置到着予測時刻、障害位置到着予測時刻等に対応するレコードが、障害位置管理テーブル255及び到着予測時刻管理テーブル257から取得され、表示領域A14に表示されるようになっている。なお、障害位置に直行の場合には、立ち入り先の「キロ程」及び「到着予測時刻」は、障害位置と同様の値が表示されるものとする。
【0162】
図28において、状態更新ボタンB9は、表示領域A13に表示された「状態」の更新を指示する操作ボタンであって、この状態更新ボタンB9が操作部32を介して押下されると、制御部31は、表示領域A12に表示された出動者(端末詳細情報)の状態の更新を指示する状態更新要求情報を端末管理サーバ20へと送信する。以下、この状態更新ボタンB9が押下された場合の動作について、図29を参照して説明する。
【0163】
図29は、出動員の状態の更新に係る処理(状態更新処理)の手順を示したラダーチャートである。なお、本処理において、ステップS191〜S194は、管理端末30の制御部31と記憶部34に記憶された所定のプログラムとの協働により実行される処理を、ステップS201〜S207は、端末管理サーバ20の制御部21と記憶部24に記憶された所定のプログラムとの協働により実行される処理を示している。なお、本処理の前提として、表示部33に図28で示した画面が表示されているものとする。
【0164】
まず、操作部32を介して状態更新ボタンB9が押下され、この操作信号が入力されると(ステップS191)、表示部33の表示領域A12に表示された出動員(端末識別情報)の状態の更新を要求する状態要求情報が、端末管理サーバ20に送信される(ステップS192)。
【0165】
端末管理サーバ20では、管理端末30から送信された状態更新要求情報が受信されると(ステップS201)、この状態更新要求情報で指示された端末識別情報が位置情報取得対象として設定され(ステップS202)、ステップS203の端末位置取得処理へと移行する。なお、ステップS203の端末位置情報取得処理は、上述したステップS14(図14参照)と同様の処理であるため説明は省略する。
【0166】
続いて、位置情報取得対象として設定された端末識別情報に基づいて、状態判定処理(ステップS204)、到着予測時間算出処理(ステップS205)が行われる。なお、ステップS204及びステップS205の状態判定処理及び到着予測時間算出処理は、上述したステップS146(図26参照)、ステップS147(図27参照)と同様の処理であるため説明は省略する。
【0167】
ステップS205の後、状態更新要求情報で指示された端末識別情報に対応するレコードが、端末位置管理テーブル254、出動者管理テーブル256及び到着予測時刻管理テーブル257から読み出され(ステップS206)、状態更新情報として管理端末30に送信された後(ステップS207)、端末管理サーバ20の処理は終了する。
【0168】
一方、管理端末30では、端末管理サーバ20から送信された状態更新情報が受信されると(ステップS193)、この状態更新情報に応じて表示部33に表示された端末詳細情報の各種情報を更新するとともに、地図データ上に重畳されたアイコン画像の位置及び表示が更新され(ステップS194)、本処理は終了する。
【0169】
このように、ユーザからの指示に応じて、出動者に係る(端末識別情報)の位置情報や状態を更新することができるため、この出場者の状態をリアルタイムで監視することができる。
【0170】
以上のように、管理端末30から指示された保守対象領域に関連する位置に存在する携帯電話機10及び鉄道施設に関する各種情報を、端末管理サーバ20のDB部25から読み出して管理端末30の表示部33に出力するため、保守対象施設に適した保守要員を特定することが可能となるため、保守要員の運用を迅速且つ効率的に行うことができる。
【0171】
上記実施形態における鉄道保守支援システム100の細部構成および詳細動作に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0172】
例えば、上記実施形態では、端末管理サーバ20のDB部25に記憶された各テーブルを全ての管理端末30が参照可能な態様としたが、これに限らず、障害位置管理テーブル255、出動者管理テーブル256のように登録を行った支社名が対応付けられたレコードに関しては、該当する支社名に所属する管理端末30からの要求にのみ参照可能にアクセス制御を行うこととしてもよい。なお、この場合、運行本部に備えられた管理端末30aからの要求に対しては、DB部25に記憶された全てのテーブルを参照可能に制御することが好ましい。
【0173】
また、上記実施形態では、地図データ提供サーバ40が地図データDB部45を備える構成としたが、これに限らず、端末管理サーバ20が地図データDB部45を備える態様としてもよい。
【0174】
また、上記実施形態では、携帯通信端末として携帯電話機10とすることとしたが、これに限らず、GPS機能を備えたPDA(Personal Digital Assistant)やノートパソコン等であってもよい。また、端末管理サーバ20はインターネット等の網を利用して、携帯通信端末から現在位置情報を取得する態様としてもよい。
【0175】
また、上記実施形態では、保守対象施設(障害位置)として特定の鉄道施設を指定する態様としたが、これに限らず、例えば、路線上の所定区間(例えば、205K820mから235K500mのキロ邸区間等)を点検対象区間として指定する態様としてもよい。この場合、点検対象区間の起点側を経由位置(経由キロ程)とし、終点側を所望するキロ程とすることで点検対象区間を指定することが可能であり、例えば、地震発生時等における路線やトンネル内の点検作業の支援に供することが可能となる。
【0176】
保守対象施設を点検対象区間として指定するような場合、端末管理サーバ20のDB部25に記憶された各テーブルに格納されたレコードに基づいて、出動員の作業状態を図30に示す態様で、表示することとしてもよい。この図では、保守対象となった特定の路線に係るキロ程を基準軸として表示しており、点検対象区間となるキロ程に対応する位置に、当該区間の作業員に係る端末詳細情報及び作業状態を示す各種情報が表示されている(図中、表示領域A15〜A18参照)。
【0177】
表示領域A15〜A18の下部には、作業状態を表すチャートが各作業員に対応して表示されている(図中、チャートC1〜C4参照)。作業状態は、上記実施形態と同様、出動員が所持する携帯電話機10の現在位置情報と障害位置(経由位置)の位置情報とに基づいて判定されており、既に通過した位置(キロ程)と未通過の位置と、を夫々「点検済」、「未点検」として表示形式を異ならしめている。また、点検を行わない区間として、「点検不要」区間を上記「点検済」、「未点検」とは異なる表示形式で表している(チャートC5参照)。なお、所定区間の点検を行う場合には、路線に沿って特定の方向(上り方面又は下り方面)に移動することになるため、この移動方向に応じた向きが、矢印として表示領域A15〜A18の作業状態に併せて表示されている。
【0178】
このように、図30のような表示態様とすることで、路線における所定区間の保守作業の状態を直感的に把握することが可能となる。なお、表示態様はこれに限らないものとする。
【0179】
また、上記実施形態では、到着予測時刻を端末管理サーバ20が算出する態様としたが、これに限らず、各管理端末30において算出する態様としてもよい。なお、この場合、各管理端末30と地図データ提供サーバ40との間で授受されるトラフィック量が増大し、且つ、同一の作業員に係る到着予測時刻が重複して算出される可能性があるため、上記した実施形態のように、端末管理サーバ20が統括して行う態様が好ましい。
【0180】
また、上記実施形態では、作業者の現在位置から障害位置までの到着予測時刻を管理端末30のみに提供する態様ととしたが、これに限らず、例えば、作業員の携帯電話機10に送信する態様としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0181】
【図1】鉄道保守支援システムの構成を示した図である。
【図2】携帯電話機の要部構成を示したブロック図である。
【図3】端末管理サーバの要部構成を示すブロック図である。
【図4】DB部に記憶された路線管理テーブルの一例を示した図である。
【図5】DB部に記憶された鉄道施設管理テーブルの一例を示した図である。
【図6】DB部に記憶された端末管理テーブルの一例を示した図である。
【図7】DB部に記憶された端末位置管理テーブルの一例を示した図である。
【図8】DB部に記憶された障害地管理テーブルの一例を示した図である。
【図9】DB部に記憶された出動者管理テーブルの一例を示した図である。
【図10】DB部に記憶された到着予測時刻管理テーブルの一例を示した図である。
【図11】管理端末の要部構成を示したブロック図である。
【図12】地図データ提供サーバの要部構成を示したブロック図である。
【図13】位置情報取得処理の手順を示したフローチャートである。
【図14】端末位置取得処理の手順を示したラダーチャートである。
【図15】地図データ表示処理の手順を示したラダーチャートである。
【図16】管理端末の表示部に表示された画面の一例を示す図である。
【図17】詳細情報表示処理の手順を示したラダーチャートである。
【図18】管理端末の表示部に表示された画面の一例を示す図である。
【図19】管理端末の表示部に表示された画面の一例を示す図である。
【図20】位置更新処理の手順を示したラダーチャートである。
【図21】障害対応処理の手順を示したラダーチャートである。
【図22】管理端末の表示部に表示された画面の一例を示す図である。
【図23】管理端末の表示部に表示された画面の一例を示す図である。
【図24】管理端末の表示部に表示された画面の一例を示す図である。
【図25】状態監視処理の手順を示したフローチャートである。
【図26】状態判定処理の手順を示したフローチャートである。
【図27】到着予測時間算出処理の手順を示したラダーチャートである。
【図28】管理端末の表示部に表示された画面の一例を示す図である。
【図29】状態更新処理の手順を示したラダーチャートである。
【図30】管理端末の表示部に表示された画面の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0182】
100 鉄道保守支援システム
10 携帯電話機
11 制御部
12 操作部
13 表示部
14 記憶部
15 音声入出力部
16 無線通信部
161 無線通信回路
162 GPS回路
163 通信処理回路
17 バス
20 端末管理サーバ
21 制御部
22 操作部
23 表示部
24 記憶部
25 DB部
251 路線管理テーブル
252 鉄道施設管理テーブル
253 端末管理テーブル
254 端末位置管理テーブル
255 障害地管理テーブル
256 出動者管理テーブル
257 到着予測時刻管理テーブル
26 無線通信部
261 無線通信回路
262 通信処理回路
27 通信部
28 バス
30 管理端末
31 制御部
32 操作部
33 表示部
34 記憶部
35 通信部
36 バス
40 地図データ提供サーバ
41 制御部
42 操作部
43 表示部
44 記憶部
45 地図データDB部
46 通信部
47 バス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
GPS衛星からのGPS信号を受信するGPS受信手段及び受信したGPS信号に基づいて自己の現在位置情報を生成し外部に送信する通信手段を有し保守要員が携帯可能な複数の携帯通信端末と、
前記複数の携帯通信端末から送信された自己の現在位置情報と当該送信元携帯通信端末を識別する端末識別情報とを対応付けて記憶する端末情報記憶手段と、
鉄道施設を識別する施設識別情報と当該鉄道施設の位置を示す施設位置情報とを対応付けて記憶する施設情報記憶手段と、
保守対象領域の指定入力を行う保守対象領域入力手段と、
前記入力手段から指定された保守対象領域の指定入力情報に基づいて、当該保守対象領域に関連する位置に存在する携帯通信端末の端末識別情報及び現在位置情報を前記端末情報記憶手段から読み出し、且つ前記保守対象領域に関連する位置に存在する鉄道施設の施設識別情報及び施設位置情報を前記施設情報記憶手段から読み出す読出手段と、
前記読み出された情報を出力する出力手段と、
を備えたことを特徴とする鉄道保守支援システム。
【請求項2】
前記出力手段は、表示手段であって、
前記読出手段により読み出された端末識別情報、現在位置情報、施設識別情報及び施設位置情報に基づいて、前記携帯通信端末及び鉄道施設の相対的な位置関係を示した情報を前記表示手段に表示させる表示制御手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の鉄道保守支援システム。
【請求項3】
前記表示制御手段は、前記携帯通信端末及び鉄道施設の相対的な位置関係を示した情報を、前記保守対象領域に関連する地図データ上に重畳表示させることを特徴とする請求項2に記載の鉄道保守支援システム。
【請求項4】
前記複数の携帯通信端末のうち、特定の携帯通信端末に係る現在位置情報の取得を指示可能な現在位置要求手段と、
前記現在位置要求手段で指示された携帯通信端末から現在位置情報を取得し、前記端末情報記憶手段に記憶された当該携帯通信端末に対応する端末識別情報の現在位置情報を更新する現在位置更新手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の鉄道保守支援システム。
【請求項5】
保守対象施設となる鉄道施設の施設識別情報を指定可能な施設指定手段と、
前記保守対象施設の保守を行う保守要員の携帯通信端末の端末識別情報を指定可能な出動者指定手段と、
前記指定された施設識別情報の施設位置情報と端末識別情報の端末位置情報とに基づいて、前記携帯通信端末の現在位置から前記保守対象施設までの移動に要する時間を算出し、到着予測時刻情報として当該携帯通信端末の端末識別情報と対応付けて前記端末情報記憶手段に記憶させる算出手段と、
を備え、
前記読出手段は、前記出動者指定手段により指定された端末識別情報に対応付けられた到着予測時刻情報を前記端末情報記憶手段から読み出すことを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の鉄道保守支援システム。
【請求項6】
前記施設指定手段は、前記保守対象施設に至る経由位置を指定可能であり、
前記算出手段は、前記施設指定手段により経由位置が指定された場合に、前記携帯通信端末の現在位置から前記経由位置までの移動に要する時間と、当該経由位置から前記保守対象施設までの移動に要する時間とを個別的に算出することを特徴とする請求項5に記載の鉄道保守支援システム。
【請求項7】
前記施設情報記憶手段は、前記鉄道施設のキロ程を当該鉄道施設の施設識別情報と対応付けて記憶し、
前記算出手段は、前記経由位置として前記保守対象施設とは異なる他の鉄道施設の施設識別情報が指定された場合に、当該他の鉄道施設から前記保守対象施設までの移動に要する時間を、前記施設情報記憶手段に記憶されたキロ程に基づいて算出することを特徴とする請求項6に記載の鉄道保守支援システム。
【請求項8】
前記施設情報記憶手段は、前記鉄道施設のキロ程を当該鉄道施設の施設識別情報と対応付けて記憶し、
前記算出手段は、前記経由位置として特定のキロ程が指定された場合に、このキロ程から前記保守対象施設までの移動に要する時間を、前記施設情報記憶手段に記憶されたキロ程に基づいて算出することを特徴とする請求項6に記載の鉄道保守支援システム。
【請求項9】
前記出動者指定手段により指定された端末識別情報の現在位置情報と、前記施設指定手段により指定された保守対象施設の施設位置情報と、が示す位置間の距離に基づいて保守作業の状態を判定し、この判定結果を保守状態情報として当該保守対象施設の保守に係る前記端末識別情報と対応付けて前記施設情報記憶手段に記憶させる状態判定手段を備え、
前記読出手段は、前記出動者指定手段により指定された端末識別情報に対応付けられた保守状態情報を前記端末情報記憶手段から読み出すことを特徴とする請求項5〜8の何れか一項に記載の鉄道保守支援システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2007−296945(P2007−296945A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−125930(P2006−125930)
【出願日】平成18年4月28日(2006.4.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(592145268)ジェイアール東日本コンサルタンツ株式会社 (53)
【出願人】(000102717)エヌ・ティ・ティ・ソフトウェア株式会社 (43)