説明

鉄道線路パッド

線路の足部を受ける線路受部分2を有するパッド1において、線路受部分2は、少なくとも一方の主要面4A,4Bに複数の突出部5が不均等に設けられ、前記線路受部分2の縁領域6a、6bの突出部5により占められる面積と、突出部のない面積との割合が、前記線路受部分2の中央領域7におけるよりも大きく、縁領域6a、6bはパッド1の一方の縁領域6a、6bに隣接し、中央領域7は縁領域6a、6bに隣接する。スタッド5は、縦列a1〜a7に配置され、各スタッド5は実質的に同じ大きさのものであり、中央領域7の前記縁領域6a、6bに最も近い縦列7のスタッド5の数は、線路受部分7の中心により近い縦列ないにおけるよりも多い。また、スタッド5は横列b1〜b9に配置され、線路受部分2の中心と隣接し、中心から間隔を隔てた縦列の突出部の面積と突出部のない面積との割合は、中心からより遠い横列におけるよりも大きい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道線路パッドに関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道線路パッドは、鉄道線路の足部と、その下の線路の基礎との間に設けられ、線路の足部を受けるための線路座部分を有する。線路パッドは、典型的には、エチレンビニルアセテート(EVA)のような、弾力性のエラストマー材料で作られる。典型的な線路パッドでは、線路座部分は、片面又は両面にスタッド又はリブのような多数の突出部を備えている。パッドの形状及びパッドを作るのに用いられる材料は、パッドが用いられることになっている鉄道軌道の要求に従って、パッドが所望剛性と磨耗特性とを確実に有するように選ばれる。
【発明の概要】
【0003】
本発明によれば、鉄道線路の足部と、その下の基礎との間に配置される鉄道線路パッドであって、線路の足部を受けるための線路座部分を有し、前記線路座部分の二つの対向した縁が、当該パッドが使用中であるとき、線路の長手方向軸線と平行に延び、前記線路座部分は、少なくとも一方の主要面に複数のスタッドを備え、前記スタッドは、スタッドにより占められる前記主要面の面積と前記スタッドのない前記面の面積との割合が、前記線路座部分の縁領域では、前記線路座部分の中央領域におけるよりも大きくなるように前記線路座部分の前記面に亘って不均一に分配され、前記縁領域は前記縁の一方に隣接し、前記中央領域は前記縁領域に隣接しており、前記スタッドは、前記対向した縁と実質的に平行に延びる縦列内に配置され、各スタッドは実質的に同じ大きさのものであり、前記縁領域に最も近しい前記中央領域における縦列のスタッドの数が、線路座部分の中心に近い縦列におけるよりも多く、前記スタッドは、また、対向した縁と実質的に直交して延びる横列に配置され、前記線路座部分の中心に隣接するが、中心から間隔を隔てたスタッドの横列における、突出部と突出部のない面積との割合が、前記中心からより遠い横列における割合よりも大きい鉄道線路パッドを提供する。
【0004】
かかるパッドは、割合が線路座部分の全領域に亘って一定である従来のパッドと比較して剛性が減じるが、特に、パッドの、最も大きな荷重を受け、最も磨耗しやすい部分であるパッドの縁領域における線路の横揺れとパッドの磨耗を許容レベルまで抑制する。
【0005】
前記縁の他方に隣接した他方の縁領域での前記割合は、前記中央領域におけるよりも大きいことが好ましい。
【0006】
好ましい実施形態では、各スタッドの面積は等しく、スタッド間の間隔は変わる。
【0007】
前記スタッドは、好ましくは、前記線路の長手方向軸線と平行に延びる、前記線路座部分の第1の中心線に対して対称に配置される。前記スタッドは、また、前記線路の長手方向軸線と垂直に延びる、前記線路座部分の第2の中心線に対して対称に配置されているのが望ましい。
【0008】
今、添付の図面を例示として参照する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1A】本発明を具体化するパッドの平面図である。
【図1B】図1Aのパッドの側面図である。
【図1C】図1Aのパッドの端面図である。
【図1D】図1Aのパッドの斜視図である。
【図2】本発明を具体化する第1の変形実施形態のパッドを示す平面図である。
【図3】本発明を具体化する第2の変形実施形態のパッドを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1A乃至図1Dに示すように、本発明を具体化するパッド1は、略長方形の線路座部分2と、線路座部分2の四隅に夫々形成された4つの耳部3a、3b、3c、3dと、を有する。耳部3a、3b、3c、3dは、パッド1をクリップ固定肩部(図示せず)に関して、線路基礎(図示せず)に設置するのに役立つ。パッドが使用中、線路の下にあるとき、耳部3aと3bの間の線路座部分2の第1の縁2aと、耳部3cと3dの間の線路座部分2の第2の縁2bは線路の長手方向軸線と直交して位置し、耳部3aと3cの間の線路座部分2の第3の縁2cと、耳部3bと3dの間の線路座部分2の第4の縁2dは線路(図示せず)の長手方向軸線と実質的に平行となるように位置する。
【0011】
線路座部分2は、2つの主要面4A、4Bを有し、その各々には、実質的に円形断面で、同じ大きさの多数のスタッド5が形成されている。スタッド5は各主要面に亘って、他方の主要面のスタッド5と一致して不均一に分配され、線路座部分2の縁領域6a、6bでは、線路座部分2の面のスタッド5が占める面積と、スタッドがないその面の面積との割合が、線路座部分2の中央領域7におけるよりも大きく、縁領域6a、6bは、夫々、線路座部分2の第3及び第4の縁2c、2dに隣接しており、中央領域7は縁領域6a、6bに隣接している。上記の割合は、線路座部分2の縁2c、2dから中央2eまで線路座部分2に亘って次第に減少する。このようにして、パッドの剛性を減じ、線路の横揺れ及びパッドの磨耗を許容可能なレベルに抑制する。
【0012】
この実施形態では、所望の割合、それゆえに、特性は、縁領域6a、6b及び中央領域7のスタッド5の数と位置を選択することによって、得られる。
【0013】
特に、パッド1では、スタッド5は、線路座部分2の縁2c、2dと平行な縦列に配置される。縁2c、2dと平行な7つの縦列a1〜a7が存在する。図1Aに示すように、縦列a1、a7には9個のスタッドが、縦列a2、a6には6個のスタッドが、縦列a3、a5には4個のスタッドが、縦列a4には4個のスタッドが存在する。かくして、中央領域7の縁領域6a、6bに最も近い縦列のスタッドの数は、線路座部分2の中心2eに近い縦列におけるよりも大きい。
【0014】
また、縦列a1〜a7内のスタッドは、縁2a、2bに平行な横列に配置されている。9つの横列b1〜b9が存在する。図1Aに示すように、横列b1、b9には5個のスタッドが、横列b2、b8には4個のスタッドが、横列b3、b7には5個のスタッドが、横列b4、b6には6個のスタッドが、横列b5には2個のスタッドが存在する。かくして、本実施形態では、線路座部分の中心2eに隣接し、中心2eから間隔を隔てたスタッドの横列の、突出部と突出部のない面積との割合は、中心からより遠い横列における割合よりも大きい。
【0015】
パッド1は、その各面4A、4Bに合計42個のスタッドを有する。
【0016】
スタッド5のパターンは、スタッドが線路座部分2の2つの中心線CL1,CL2に対して、対称に配置されるようなものである。縦列a4は中心線CL1上に位置し、横列b5は中心線CL2上に位置する。
【0017】
このように、耳部3a〜3dがクリップ固定肩部に配置されるとすれば、パッドを鉄道の基礎上にどちらに廻しても正確に使用することができる。パッド1は、該パッドを抑えつけ、パッドを線路固定具により捕捉するために、縁2cに沿って耳部3aと3cの間に保持リップ8を、縁2dに沿った耳部3bと3dの間にもう一つの保持リップ8を、有する。もし、これらのリップが不要であり、省略する場合には、線路座部分の各主要面4A、4Bのスタッド5のパターンは同じであるため、どちらかを上にして使用してもよい。
【0018】
パッドの他の実施形態では、パッドの剛性を必要に応じて調整すべく、例えば、縦列a4に横列b2及びb8に、縦列a3及びa5に横列b5に、さらなるスタッド5を設けている。かかるパッド1´を図2に示す。このパッドは合計で46個のスタッドを有する。
【0019】
下記の表1は異なる数のスタッドを有し、異なる大きさのパッドA,B、C、及びDについての突出部と突出部のない面積との夫々の割合を示す。
【0020】
図1に示すパッド1は、タイプAのパッドであり、図2に示すパッド1´はタイプBのパッドである。図3はタイプCのパッド1´´を示す。
【0021】
スタッド5の間の部分が厚さ5.3mm、スタッド5の部分が厚さ9mmの線路座部分2を有するパッド1の1つの実施形態では、パッドはVA(ビニルアセテート)含有量が約9%の等級のEVA(エチレンビニルアセテート)材料で作られる。このパッドの力学的剛性は、193.8kN/mmである。このパッドは、基準の300万回の傾斜摩耗試験により、16.8%堅くなった。これに比べて、VA含有量が約14%である等級のEVA材料で作られた同じ大きさのスタッドを62個有していたが、より軟質のパッドは、196kN/mmの力学的剛性を有しているが、摩耗試験においては、より大きな程度まで、すなわち、27.8%堅くなった。
【0022】
[表1]


【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道線路の足部と、鉄道の基礎との間に配置される鉄道線路パッド(1)であって、
線路の足部を受けるための線路座部分(2)を有し、
前記線路座部分(2)の二つの対向した縁(2c、2d)は、パッドが使用中であるとき、線路の軸線方向に平行に延び、
前記線路座部分(2)は、少なくとも一方の主要面(4A)に複数のスタッド(5)を備え、
前記スタッド(5)が占める前記主要面(4A)の面積と、前記スタッド(5)のない前記主要面(4A)の面積との割合が、前記線路座部分(2)の縁領域(6a,6b)では、前記線路座部分(2)の中央領域(7)におけるよりも大きくなるように、前記スタッド(5)が線路座部分(2)の前記面(4A)に亘って不均一に分配され、
前記縁領域(6a、6b)は一方の前記縁(2c、2d)に隣接し、前記中央領域(7)は前記縁領域(6a、6b)に隣接し、
前記スタッド(5)は、また、前記対向した縁(2c、2d)と実質的に平行に延びる縦列(a1〜a7)に配置され、各スタッド(5)は、実質的に同じ大きさのものであり、
前記中央領域(7)の前記縁領域(6a,6b)に最も近い前記縦列のスタッドの数は、線路座部分(2)の中心に近い縦列におけるよりも多く、
前記スタッド(5)は、また、前記対向した縁(2c、2d)と実質的に直交して延びる横列(b1〜b9)に配置され、
前記線路座部分(2)の中心に隣接し、中心から間隔を隔てたスタッド(5)の横列の突出部と、突出部のない面積との割合が、前記中心からより遠い横列における割合よりも大きいパッド。
【請求項2】
前記割合は、前記線路座部分(2)の他方の前記縁(2c、2d)に隣接した、他方の縁領域(6a、6b)では前記中央領域(7)におけるよりも大きい請求項1記載のパッド。
【請求項3】
各スタッド(5)の面積は等しく、スタッド(5)の間の間隔は変わる請求項1又は2記載のパッド。
【請求項4】
前記スタッド(5)は、前記線路の長手方向軸線と平行に延びる、前記線路座部分(2)の第1の中心線(CL1)に対して対称に分配されている、請求項1から3のうち何れかに記載のパッド。
【請求項5】
前記スタッド(5)は、前記線路の長手方向軸線と垂直に延びる、前記線路座部分(2)の第2の中心線(CL2)に対して対称に分配されている、請求項4記載のパッド。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2011−500989(P2011−500989A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−528473(P2010−528473)
【出願日】平成20年10月8日(2008.10.8)
【国際出願番号】PCT/GB2008/003395
【国際公開番号】WO2009/047493
【国際公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【出願人】(595166446)パンドロール リミテッド (10)
【氏名又は名称原語表記】Pandrol Limited
【住所又は居所原語表記】63 Station Road,Addlestone,Surrey KT15 2AR,United Kingdom
【Fターム(参考)】