説明

鉄道車両の側天井構造

【課題】天井部パネルの取付け精度が側部パネルの取付け精度に影響せず、天井部パネル及び側部パネルにおける平面出しが容易である鉄道車両の側天井構造を提供すること。
【解決手段】鉄道車両の側天井構造GTは、屋根構体10から垂下している垂下骨13と、側天井パネル50とを備える構造である。側天井パネル50は、天井部パネル51と側部パネル52とに分割されている。垂下骨13は、鉛直方向下向きに延びる鉛直部13aと、この鉛直部13aから枕木方向外側に向かって下がるように傾斜した取付け部13bとを有する。天井部パネル51は、枕木方向に延びる平面部51aと、平面部51aの枕木方向外側で鉛直方向下向きに屈曲した屈曲部51bとを有し、屈曲部51bで垂下骨13の鉛直部13aに取付けられる。側部パネル52は、垂下骨13の取付け部13bと平行である傾斜部52aを有し、この傾斜部52aで取付け部13bに取付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、側天井パネルが配置されている鉄道車両の側天井構造に関し、特に、側天井パネルが屋根構体の内骨に取付けられる天井部パネルと側構体の内骨に取付けられる側部パネルとに分割されている鉄道車両の側天井構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の鉄道車両の側天井構造として、例えば、下記特許文献1に記載されたものがある。下記特許文献1に記載された側天井構造では、図4に示したように、屋根構体110から懸架された支持骨111と屋根構体110に固着された内骨112とに灯具140が取付けられている。そして、灯具140等の車両内装部品より枕木方向外側に、側天井パネル150が配置されている。
【0003】
ここで、側天井パネル150は、枕木方向に延びる平面部150aと、枕木方向外側に向かって下がるように傾斜した傾斜部150bと、平面部150aと傾斜部150bとの間に一体的に形成された曲面部150cとを有するものである。この側天井パネル150の取付けにおいては、先ず、屋根構体110に固着された内骨112にライナー171を接着するとともに側構体120に固着された内骨121,122にライナー172,173を接着し、次いで、これらライナー171,172,173の上に側天井パネル150の平面部150a,曲面部150c,傾斜部150bをそれぞれ接着している。ライナー171,172,173は、ハードボード(木を圧縮したもの)で構成されていて、削ることによってその厚さを調整できるものである。このため、ライナー171,172,173の厚さを調整することで、室内の高さ寸法及び幅寸法を調整できるようになっている。
【0004】
また、従来の鉄道車両の側天井構造として、例えば、下記特許文献2に記載されたものもある。下記特許文献2に記載された側天井構造では、図5に示したように、屋根構体210のレール211に内骨212が固着されていて、側構体220のレール221に内骨222が固着されている。また、側天井パネル250が、屋根構体210の図5下側に配置されて枕木方向に延びる天井部パネル251と、側構体220の図5左側に配置されて枕木方向外側に向かって下がるように傾斜した側部パネル252とに分割されている。
【0005】
そして、天井部パネル251の枕木方向内側の部位が内骨212に接合されるとともに、天井部パネル251の枕木方向外側の部位が内骨222に接合されている。また、側部パネル252の上端部252aがばね261及びばね受け262を用いて天井部パネル251の下端部251aに接合されている。この側天井構造GBでは、側天井パネル250が天井部パネル251と側部パネル252とに分割されているため、天井部パネル251,側部パネル252は、上記特許文献1に記載されている側天井パネル150に比べて、それ自体の大きさが小さくなっているものであり、取付けの際に取り扱い易くなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−329865号公報
【特許文献2】特開平10−175543号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に記載された側天井構造GA、及び上記特許文献2に記載された側天井構造GBには、それぞれ以下の問題点がある。即ち、側天井構造GAでは、図4に示したように、側天井パネル150を接着する際、側天井パネル150自体の大きさが大きく且つ曲面部150cが湾曲しているため、ライナー172の調整で曲面部150cを精度良く貼り付け難い。このため、曲面部150cと連続している平面部150a及び傾斜部150bにおいて目標とする枕木方向及びレール方向に対して正確に延びるように、平面出しをすることが難しい。こうして、この側天井構造GAでは、側天井パネル150を定められた室内の高さ寸法及び幅寸法の条件で取付け難いという問題がある。
【0008】
また、上記特許文献2に記載された側天井構造GBでは、図5に示したように、天井部パネル251を取付けるために、湾曲した曲面部を有するように天井部パネル251を形成する必要があり、曲面部を有する天井部パネル251において目標とする枕木方向及びレール方向に対して正確に延びるように、平面出しをすることが難しい。また、天井部パネル251と側部パネル252とは独立したパネルであるが、側部パネル252の上端部252aはばね261及びばね受け262を介して天井部パネル251の下端部251aに取付けられるため、天井部パネル251の取付けと側部パネル252の取付けとが完全に独立していない。即ち、天井部パネル251の取付け精度が、側部パネル252の取付け精度に影響する。このため、天井部パネル251の取付け精度が悪い場合には、側部パネル252の平面出しが難しくなるという問題がある。
【0009】
本発明は、上記した課題を解決すべく、天井部パネルの取付け精度が側部パネルの取付け精度に影響せず、天井部パネル及び側部パネルにおける平面出しが容易であって、側天井パネルを定められた室内の高さ寸法及び幅寸法の条件で取付け易くすることができる鉄道車両の側天井構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)本発明に係る鉄道車両の側天井構造は、屋根構体の枕木方向外側の部位から垂下している垂下骨と、この垂下骨に対して枕木方向内側に配置され屋根構体の内骨に取付けられる天井部パネルと、前記垂下骨に対して枕木方向外側に配置され側構体の内骨に取付けられる側部パネルとに分割された側天井パネルと、を備えたものであって、前記垂下骨は、鉛直方向下向きに延びる鉛直部と、この鉛直部から枕木方向外側に向かって下がるように傾斜した取付け部とを有し、前記天井部パネルは、枕木方向に延びる平面部と、この平面部の枕木方向外側で鉛直方向下向きに屈曲した屈曲部とを有し、この屈曲部で前記垂下骨の鉛直部に取付けられるものであり、前記側部パネルは、前記垂下骨の取付け部と平行である傾斜部を有し、この傾斜部で前記取付け部に取付けられるものであることを特徴とする。
【0011】
(2)(1)に記載された鉄道車両の側天井構造において、前記側部パネルは、前記傾斜部の上端から鉛直方向上向きに延び前記天井部パネルの屈曲部と前記垂下骨の鉛直部との接合部分を覆う被覆部を有することを特徴とする。
(3)(2)に記載された鉄道車両の側天井構造において、前記側部パネルの被覆部と前記垂下骨の屈曲部との間に弾性部材が介装されていることを特徴とする。
(4)(2)又は(3)に記載された鉄道車両の側天井構造において、前記側部パネルは、前記被覆部の上端から枕木方向外側に折り曲げられた折り曲げ部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
(1)本発明に係る鉄道車両の側天井構造によれば、側天井パネルを取付ける際に、先ず天井部パネルの屈曲部を垂下骨の鉛直部に取付ける。次いで、側部パネルの傾斜部を垂下骨の取付け部に取付ける。このように、天井部パネルの枕木方向外側の部位(屈曲部)及び側部パネルの上端部(傾斜部)は、共に垂下骨に取付けられるため、天井部パネルの取付けと側部パネルの取付けとが完全に独立している。即ち、天井部パネルの取付け精度が側部パネルの取付け精度に影響することを防止できる。また、この側天井構造によれば、天井部パネル及び側部パネルを、緩やかに湾曲した曲面部を有しない平面的なパネル(断面が直線状部分のみで構成されたパネル)で構成することができる。これにより、天井部パネル及び側部パネルにおいてそれぞれ平面出しが容易であり、側天井パネル(天井部パネル及び側部パネル)を定められた室内の高さ寸法及び幅寸法の条件で取付け易くすることができる。
(2)この場合には、側部パネルの被覆部が天井部パネルの屈曲部と垂下骨の鉛直部との接合部分を覆うため、この接合部分で用いられたボルト等の接合部品が車室内に露出しなくて、見た目が損なわれることを防止できる。
(3)この場合には、側部パネルの被覆部と天井部パネルの屈曲部との間に介装される弾性部材を弾性変形させつつ、側部パネルの傾斜部を垂下骨の取付け部に取付ける。これにより、側部パネルの枕木方向における取付け位置を容易に調整でき、車体の枕木方向における製作誤差(例えば、垂下骨が溶接されている場合の垂下骨の熱歪み等)に対処しながら、側部パネルを取付けることができる。また、被覆部と屈曲部との間で弾性部材を弾性変形させつつ側部パネルを取付けるため、弾性部材が介装されていない場合に比して、側部パネルをより安定した状態で取付けることができる。
(4)この場合には、折り曲げ部によって側部パネルの剛性を上げることができ、側部パネルがより安定して取付けられている状態にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】側天井構造をレール方向から見た正面図である。
【図2】図1のX部分の拡大図である。
【図3】第2実施形態における図2相当の拡大図である。
【図4】特許文献1に記載されている従来の側天井構造をレール方向から見た正面図である。
【図5】特許文献2に記載されている従来の側天井構造をレール方向から見た正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る鉄道車両の側天井構造について、図面を参照しながら以下に説明する。鉄道車両の車体は、台枠、側構体、屋根構体、妻構体の六面体で構成されている。図1は、側天井構造GTをレール方向(車両長手方向)から見た正面図である。ここで、側天井構造GTは、屋根構体10の枕木方向(車両幅方向)外側の部位から側構体20の上部にかけて構成された構造をいう。
【0015】
側天井構造GTは、図1に示したように、吊手受け30と、灯具40と、側天井パネル50とを備えている。図1では、一側の側天井構造GTが示されている。しかし、一側の側天井構造GTと他側の側天井構造とは同一の構成であるため、一側の側天井構造GTについてのみ説明して、他側の側天井構造の説明は省略する。
【0016】
屋根構体10の車両内側には、図1に示したように、断面がハット形状の支持骨11が固着されている。支持骨11は、吊手受け30、灯具40及び中央天井パネル60を支持するためのものである。吊手受け30、灯具40の枕木方向内側の部位、及び中央天井パネル60の枕木方向外側の部位は、ライナー71,71及び図示しないボルトを用いて支持骨11に取付けられている。ライナー71,71は、中央天井パネル60の枕木方向外側の部位における平面度(水平度合い)を調整するとともに、室内の高さ寸法を調整するためのものである。
【0017】
また、屋根構体10の車両内側には、図1に示したように、断面がL字状の内骨12が固着されている。内骨12は、灯具40及び側天井パネル50を支持するためのものである。この内骨12は、支持骨11より枕木方向外側に配置されている。灯具40の枕木方向外側の部位及び側天井パネル50の枕木方向内側の部位は、ライナー72及び図示しないボルトを用いて内骨12に取付けられている。ライナー72は、側天井パネル50の枕木方向内側の部位(後述する天井部パネル51の平面部51a)における平面度(水平度合い)を調整するとともに、室内の高さ寸法を調整するためのものである。
【0018】
また、屋根構体10の車両内側には、図1に示したように、断面が略J字状の垂下骨13が固着されている。垂下骨13は、側天井パネル50を支持するためのものである。この垂下骨13は、内骨12より枕木方向外側に配置されていて、屋根構体10の枕木方向外側の部位から垂下している。側天井パネル50は、吊手受け30や灯具40等の車両内装部品より枕木方向外側であり且つ側構体20の図示しない荷棚部分より上方に配置される化粧パネルである。この側天井パネル50は、例えばメラミン樹脂で構成されたものである。側天井パネル50の垂下骨13に対する取付け構造については、後に説明する。
【0019】
側構体20の上部の車両内側(枕木方向内側)には、図1に示したように、断面が略U字状の内骨21が固着されている。内骨21は、側天井パネル50を支持するためのものである。側天井パネル50の枕木方向外側の部位は、ライナー73及び図示しないボルトを用いて内骨21に取付けられている。ライナー73は、側天井パネル50の枕木方向外側の部位(後述する側部パネル52の傾斜部52a)における平面度(傾斜度合い)を調整するとともに、室内の高さ寸法及び幅寸法を調整するためのものである。なお、側天井パネル50の下端部50aは、鉛直方向下向きに延びていて、ライナー74及び図示しないボルトを介して側構体20の側壁に取付けられている。
【0020】
ここで、側天井パネル50、及び側天井パネル50の垂下骨13に対する取付け構造について説明する。側天井パネル50は、図1に示したように、垂下骨13に対して枕木方向内側に配置される天井部パネル51と、垂下骨13に対して枕木方向外側に配置される側部パネル52とに分割されたものである。これは、以下の理由に基づく。側天井パネルが仮に一枚の化粧パネルで構成されている場合には、側天井パネルはそれ自体の大きさが大きいものであり、側天井パネルの取付けの際の取り扱いが大変である。一方、本実施形態のように、側天井パネル50が天井部パネル51と側部パネル52とに分割されている場合には、天井部パネル51,側部パネル52はそれ自体の大きさが小さいものであり、天井部パネル51,側部パネル52の取付けの際の取り扱いが容易になるためである。ここで、図2は、図1に示したX部分の拡大図である。
【0021】
図2に示したように、垂下骨13は、鉛直方向下向きに延びる鉛直部13aと、この鉛直部13aの下端から枕木方向外側に向かって下がるように傾斜した取付け部13bと、この取付け部13bの下端から枕木方向外側に向かって上がるように折り曲げられた折り曲げ部13cとを有する。鉛直部13aは天井部パネル51を取付けるための部分である。取付け部13bは側部パネル52を取付けるための部分である。折り曲げ部13cは垂下骨13自体の剛性を上げるための部分である。
【0022】
天井部パネル51は、枕木方向に延びる平面部51aと、この平面部51aの枕木方向外側で鉛直方向下向きに屈曲した屈曲部51bとを有している。平面部51aは、側天井構造GTにおける天井面を形成する部分である。屈曲部51bは、垂下骨13の鉛直部13aに取付けられる部分であり、垂下骨13の鉛直部13aと平行になるように形成されている。こうして、この天井部パネル51は、屈曲部51bでライナー53及びボルト54を用いて垂下骨13の鉛直部13aに取付けられるようになっている。なお、天井部パネル51は、側部パネル52が垂下骨13に取付けられる前に、垂下骨13に取付けられる。
【0023】
ライナー53は、天井部パネル51の枕木方向の取付け位置を調整するためのものであり、且つ天井部パネル51の平面部51aの平面度(水平度合い)を調整するためのものである。ライナー53は、屈曲部51bと鉛直部13aとの間に介装されている。このライナー53は、ハードボード(木を圧縮したもの)で構成されていて、削ることによってその厚さを調整できるものである。このため、ライナー53の厚さを調整することで、天井部パネル51の枕木方向の取付け位置及び天井部パネル51の平面部51aの平面度を調整することができる。
【0024】
側部パネル52は、垂下骨13の取付け部13bと平行である傾斜部52aと、この傾斜部52aの上端から鉛直方向上向きに延びる被覆部52bとを有している。傾斜部52aは、垂下骨13の取付け部13bに取付けられる部分である。こうして、この側部パネル52は、天井部パネル51の屈曲部51bが垂下骨13の鉛直部13aに取付けられた後に、傾斜部52aでライナー55及びボルト56を用いて垂下骨13の取付け部13bに取付けられるようになっている。
【0025】
被覆部52bは、天井部パネル51の屈曲部51bと垂下骨13の鉛直部13aとの接合部分を覆うための部分である。この被覆部52bは、天井部パネル51の屈曲部51bと平行になるように形成されている。こうして、被覆部52bは、ボルト54の頭部及び後述するスポンジ57が車室内の乗客から見えないように覆っていて、見た目が損なわれることを防止している。スポンジ57は、天井部パネル51の屈曲部51bと側部パネル52の被覆部52bとの間に介装されている。このスポンジ57は、天井部パネル51の屈曲部51b又は側部パネル52の被覆部52bに予め接着されている。スポンジ57の作用効果については後に説明する。
【0026】
ライナー55は、側部パネル52の枕木方向及び上下方向の取付位置を調整するためのものであり、且つ側部パネル52の傾斜部52aの平面度(傾斜度合い)を調整するためのものである。ライナー55は、傾斜部52aと取付け部13bとの間に介装されている。このライナー55は、ハードボード(木を圧縮したもの)で構成されていて、削ることによってその厚さを調整できるものである。このため、ライナー55の厚さを調整することで、側部パネル52の枕木方向及び上下方向の取付け位置を調整できるとともに、側部パネル52の傾斜部52bの平面度を調整することができる。
【0027】
ところで、本実施形態における側天井構造GTでは、図1及び図2に示したように、天井部パネル51及び側部パネル52は、緩やかに湾曲した曲面部を有していない。即ち、天井部パネル51及び側部パネル52は、平面的なパネル(断面が直線状部分のみで構成されたパネル)である。このため、天井部パネル51及び側部パネル52の平面出しが容易であり、天井部パネル51及び側部パネル52の取付け精度が向上する。従って、天井部パネル51及び側部パネル52を定められた室内の高さ寸法及び幅寸法の条件で取付け易くすることができる。
【0028】
また、この側天井構造GTでは、図2に示したように、天井部パネル51の屈曲部51b及び側部パネル52の傾斜部52aは、共に垂下骨13に取付けられるため、天井部パネル51の取付けと側部パネル52の取付けとが完全に独立している。即ち、天井部パネル51の取付け精度が側部パネル52の取付け精度に影響しない。このため、仮に天井部パネル51の取付け精度が悪い場合であっても、側部パネル52の平面出しが難しくなることはなく、側部パネル52を目標とする取付け位置へ取付けることができる。
【0029】
また、この側天井構造GTでは、側部パネル52の傾斜部52aを垂下骨13の取付け部13bに取付ける際に、側部パネル52の被覆部52bと天井部パネル51の屈曲部51bとの間に介装されたスポンジ57が弾性変形する。これにより、側部パネル52の枕木方向における取付け位置を容易に調整でき、車体の枕木方向における製作誤差(例えば、垂下骨13が溶接されている場合の垂下骨13の熱歪み等)に対処しながら、側部パネル52を取付けることができる。また、被覆部52bと屈曲部51bとの間でスポンジ57を弾性変形させつつ側部パネル52を取付けるため、スポンジ57が介装されていない場合に比して、側部パネル52を安定した状態で取付けることができる。更に、被覆部52bと屈曲部51bとの間の隙間Aがスポンジ57によって埋まるため、車室内のダスト等が隙間Aに侵入することを防止できる。
【0030】
また、この天井構造GTでは、天井部パネル51の平面部51aの下面と側部パネル52の被覆部52bの上端との間に隙間Bが形成されている。このため、側部パネル52を、図2に示した取付け位置から隙間Bの寸法だけ更に上方に取付けることができる。また、側部パネル52を図2に示した取付け位置から隙間Aの寸法だけ更に右方に取付けることもできる。このように、側部パネル52の取付け位置には余裕があるため、垂下骨13、天井部パネル51、側部パネル52自体の寸法精度が低かったり、天井部パネル51の取付け精度が低い場合であっても、側部パネル52を取付けることができるようになっている。
【0031】
本実施形態における鉄道車両の側天井構造GTの作用効果について説明する。
この側天井構造GTによれば、側天井パネル50を取付ける際に、先ず天井部パネル51の屈曲部51bを垂下骨13の鉛直部13aに取付ける。次いで、側部パネル52の傾斜部52aを垂下骨13の取付け部13bに取付ける。このように、天井部パネル51の枕木方向外側の部位(屈曲部51b)及び側部パネル52の上端部(傾斜部52a)は、共に垂下骨13に取付けられるため、天井部パネル51の取付けと側部パネル52の取付けとが完全に独立している。即ち、天井部パネル51の取付け精度が側部パネル52の取付け精度に影響することを防止できる。また、この側天井構造GTによれば、天井部パネル51及び側部パネル52を、緩やかに湾曲した曲面部を有しない平面的なパネル(断面が直線状部分のみで構成されたパネル)で構成することができる。これにより、天井部パネル51及び側部パネル52においてそれぞれ平面出しが容易であり、側天井パネル50(天井部パネル51及び側部パネル52)を定められた室内の高さ寸法及び幅寸法の条件で取付け易くすることができる。
【0032】
次に、第2実施形態について図3を用いて説明する。図3は、第2実施形態における側天井パネル50Aの垂下骨13に対する取付け構造を示した図2相当の拡大図である。側天井パネル50Aの側部パネル52は、被覆部52bの上端から枕木方向外側に折り曲げられた折り曲げ部52cを有する。第2実施形態のその他の構成は、第1実施形態の構成と同様であるため、その説明を省略する。
【0033】
第2実施形態によれば、折り曲げ部52cによって、側部パネル52の剛性が、第1実施形態における側部パネル52の剛性に比して大きくなっている。このため、第2実施形態では、側部パネル52がより安定して取付けられている状態になっている。第2実施形態のその他の作用効果は、第1実施形態の作用効果と同様であるため、その説明を省略する。
【0034】
以上、本発明に係る鉄道車両の側天井構造について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、各実施形態において、天井部パネル51の屈曲部51bの取付けは、ボルト54による取付けであったが、接着材による取付け(接着)であっても良い。また、側部パネル52の傾斜部52aの取付けは、ボルト56による取付けであったが、接着材による取付け(接着)であっても良い。
【0035】
また、各実施形態において、側部パネル52の被覆部52bと天井部パネル51の屈曲部51bとの間に介装される弾性部材はスポンジ57であるが、弾性部材はスポンジ57に限定されるものではなく、例えば、ゴム、樹脂であっても良い。
また、各実施形態において、側部パネル52の被覆部52bと天井部パネル51の屈曲部51bとの間に弾性部材を介装しなくても良い。また、側部パネル52の被覆部52bを設けなくても良い。
【符号の説明】
【0036】
GT 側天井構造
10 屋根構体
12 内骨
13 垂下骨
13a 鉛直部
13b 取付け部
20 側構体
21 内骨
50 側天井パネル
51 天井部パネル
51a 平面部
51b 屈曲部
52 側部パネル
52a 傾斜部
52b 被覆部
52c 折り曲げ部
57 スポンジ




【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋根構体の枕木方向外側の部位から垂下している垂下骨と、
この垂下骨に対して枕木方向内側に配置され屋根構体の内骨に取付けられる天井部パネルと、前記垂下骨に対して枕木方向外側に配置され側構体の内骨に取付けられる側部パネルとに分割された側天井パネルと、を備えた鉄道車両の側天井構造において、
前記垂下骨は、鉛直方向下向きに延びる鉛直部と、この鉛直部から枕木方向外側に向かって下がるように傾斜した取付け部とを有し、
前記天井部パネルは、枕木方向に延びる平面部と、この平面部の枕木方向外側で鉛直方向下向きに屈曲した屈曲部とを有し、この屈曲部で前記垂下骨の鉛直部に取付けられるものであり、
前記側部パネルは、前記垂下骨の取付け部と平行である傾斜部を有し、この傾斜部で前記取付け部に取付けられるものであることを特徴とする鉄道車両の側天井構造。
【請求項2】
請求項1に記載された鉄道車両の側天井構造において、
前記側部パネルは、前記傾斜部の上端から鉛直方向上向きに延び前記天井部パネルの屈曲部と前記垂下骨の鉛直部との接合部分を覆う被覆部を有することを特徴とする鉄道車両の側天井構造。
【請求項3】
請求項2に記載された鉄道車両の側天井構造において、
前記側部パネルの被覆部と前記垂下骨の屈曲部との間に弾性部材が介装されていることを特徴とする鉄道車両の側天井構造。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載された鉄道車両の側天井構造において、
前記側部パネルは、前記被覆部の上端から枕木方向外側に折り曲げられた折り曲げ部を有することを特徴とする鉄道車両の側天井構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−236497(P2012−236497A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−106585(P2011−106585)
【出願日】平成23年5月11日(2011.5.11)
【出願人】(000004617)日本車輌製造株式会社 (722)