鎮静および鎮痛を施行するシステムおよびシステムを使用する方法
【課題】臨床医がシステムを容易かつ安全に操作できるようにする、鎮静および鎮痛送出システムのユーザインタフェースを提供する。
【解決手段】本発明は、鎮静および鎮痛を送出するシステムおよび方法のユーザインタフェースを含む。ユーザインタフェースは、鎮静および鎮痛送出システムのユーザから入力を受け取り、システム、鎮静および鎮痛の施行、生理学的状況に関連する情報を状況依存的にユーザに中継して伝える。中継して伝えられる情報は、タッチセンシティブスクリーンまたは多層ディスプレイ装置上でユーザに表示することができる。表示は、組織配列上で分離したり、または表示装置上で色分けすることができ、表示された情報の組織配列での場所および/または色がさらなる情報をユーザに関連させる。
【解決手段】本発明は、鎮静および鎮痛を送出するシステムおよび方法のユーザインタフェースを含む。ユーザインタフェースは、鎮静および鎮痛送出システムのユーザから入力を受け取り、システム、鎮静および鎮痛の施行、生理学的状況に関連する情報を状況依存的にユーザに中継して伝える。中継して伝えられる情報は、タッチセンシティブスクリーンまたは多層ディスプレイ装置上でユーザに表示することができる。表示は、組織配列上で分離したり、または表示装置上で色分けすることができ、表示された情報の組織配列での場所および/または色がさらなる情報をユーザに関連させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、米国特許法119条(e)の下で、2001年11月1日に出願され、その全体が参照により本明細書に援用される米国特許出願第60/330,853号に対する優先権を主張するものである。
【0002】
[発明の分野]
本発明は、包括的には、医療装置制御の分野および臨床医(一人または複数)が同時に複数の作業を遂行することができる患者−臨床医−機械システム内での相互作用を向上させる分野に関する。より詳細には、本発明は、鎮静および鎮痛送出システム等の医療装置のユーザインタフェースおよび制御方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[発明の背景]
臨床医用にユーザインタフェース(UI)を設計することは、多くの臨床医が広範囲にわたる勤務時間中に座る時間または忍耐を有してない場合があるため、特に扱いにくい課題である。臨床医の中での一観点によれば、ある緊急の状況では、そのマニュアルがすぐに手に入らないか、臨床医がそれについて十分に訓練を受けていない、すなわち技能維持に最近その装置を使用していないときに、装置の操作が必要となる可能性があるため、医療装置の操作にマニュアルを読む必要があるならば、その装置の設計者は落第である。多くの医療装置は、この実際的な現実世界での直観性および有用性の定義を欠いている。有用性が不十分であることが臨床処置の最終的な結果に影響する可能性があるとすると、臨床医のニーズを見越した、うまく設計されたユーザインタフェースが極めて重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
安価なマイクロプロセッサの出現に伴い、ソフトウェアにプログラムされたUIの柔軟性および性能により、より多くのコマンドを実装し、より多くの選択肢および動作モードをユーザに提供するUIを設計する可能性が開けた。しかしながら、既存の特定の装置のインタフェースでは、こういったコマンドはサブメニューという多くの階層レベルの下に隠れ、ユーザに対してすぐに、または直観的に明確になっていないものがある。一方で、コマンドセットがキーパッドまたは論理的なメニュー構造において臨床の観点から論理的にグループ化されていない場合があり、そのため、ユーザが複数のボタンおよびサブメニュー選択肢を移動する際に道筋に迷う恐れがある。同様に、複数の操作モードが、現在実行されている操作モードをたどることをできなくなるユーザを混乱させる恐れがある。たとえば、実際の患者に接続されているのに、不注意でシミュレーションモードで実行されている生理学的モニタはユーザを混乱させる恐れがあり、モニタに表示されているデータが、モニタに接続されている患者からのデータではなくシミュレーションデータであった場合、危険である。
【0005】
タッチスクリーン入力デバイスは、新たなハードキーまたは入力デバイスを追加する必要なく、実質的に無限数のタッチスクリーンボタンまたはデータ入力ボックス、ならびに急場しのぎのソフトウェアでの追加物を実装する能力を含め、UI設計者に柔軟性をもたらす。したがって、タッチスクリーンによって制御されるデバイスは、関連するハードキーの数が少ないという傾向を有する。ユーザインタフェース設計の技術分野では、競合する要因のバランスを慎重にとることが必要である。たとえば、タッチスクリーンキーへの依存度が増すと、サイズの限られた1つの画面上にすべてのキーを表示することは通常許されないため、サブメニューの階層レベルの数が多くなることにつながりうる。しかしながら、ハードキーの数が少ない場合には、医療装置がタッチスクリーンキーに依存してしまい、タッチスクリーンが誤作動した場合にその医療装置が作動しなくなり、ユーザがもはやシステムの動作を制御することができなくなることを意味する。
【0006】
既存の医療装置に伴うさらに別の例では、別々の生理学的モニタが、互いに通信しないスタンドアロン型ユニットである場合がある。スタンドアロン型モニタは、異なる場所にある異なる機器の異なる位置に配置される可能性があるため、手術場所に基づいて複数のオフィスで開業している臨床医が、たとえば心電図を検査するために施設ごとに異なる場所を見る必要がある場合があり、これは決して望ましい状況ではない。複数の生理学的パラメータ(たとえば、心電図、パルスオキシメトリデータ、非侵襲性血圧、およびカプノメトリの読み)を監視しなければならないことを考えると、入手可能なデータを見つける臨床医の能力ですらかなり限定される恐れがあり、ましてやリアルタイムベースで関連情報を認知的に統合して解析することなどできない。さらに、麻酔機の例を用いると、送出サブシステムの監視される機器パラメータ(たとえば、O2およびN2Oの浮子式ロタメータセッティングによって設定される吸入酸素濃度)が、これに対応する監視中の生理学的パラメータである動脈血中酸素飽和度、SpO2から物理的に切り離される恐れがある。一例として、監視されるSpO2値は、送出される吸入酸素濃度(FiO2)の状況の中で解釈されるべきである。したがって、FiO2セッティング(機器パラメータ)とSpO2の表示(関連する生理学的パラメータ)が切り離されること、およびより一般的には医療装置において治療と監視されている対応するパラメータとが切り離されることは望ましくない。
【0007】
UIは、操作の透明性を向上させるため、ならびにユーザの要求が実行されたフィードバックを提供するために、医療装置の内部機能へのウィンドウとしての重要な機能を有することができる。透明性欠如の一例として、多くの既存の患者監視装置では、モニタの電源が切られたかまたはモニタが待機モードになっているときでさえ、断続的に取り込まれた古いデータが表示され続ける。ユーザがモニタの電源を切った後で再び電源を入れるのを忘れた場合、UIに、極めて重要な診断の決定および治療の決定に関連するその時の生理学的データが表示されているとユーザが勘違いする恐れがある。
【0008】
適切に設計されたUIは、臨床医−機械−患者システム内の相互作用を高めるべきである。ユーザの認知的な作業負荷または「データ過負荷」を軽減するために、UIは、生データを提示する代わりに、すでに処理されて一見して理解することができる意味のある情報になったデータを提示し、それによって適時の決定支援をユーザに提供すべきである。
【0009】
ユーザエラーは、わかりやすく明白な制御機構および入力デバイスによって回避することができる。しかしながら、現在のUI設計には他の故障モードが存在する。たとえば、デフォルト設定が、注入ポンプによって実証されているように小事故の原因となる場合がある。ユーザが、実際には、実際の薬物濃度よりも低いデフォルト濃度を誤って受け入れてしまうと、薬物の過剰投与、そして死亡に繋がる。単位(units)間の混乱もまた、特に、重量が薬物注入流量の算出に使用されることがある状況でエラーの原因になる可能性がある。
【0010】
UIは、記憶の負荷を低減するだけではなく、ユーザの忘れっぽさ、不正確なデータ入力、および判断力のなさを補うべきである。現在のUIによっては、複数のアラームがある場合に、時にはイライラさせるアラームの不協和音の真っ直中でどのパラメータ警報を出しているかを特定する際、ならびに最も優先度の高いアラームを決定する際に、装置の環境または表示をサーチする必要がある。現在のUI設計でのアラームは時折、脈絡なくアラームを生成することがある。たとえば、患者が医療装置に接続されていないとき、または処置の終わりにおいて患者が装置から外されようとするときにアラームが鳴ることがあり、これらはアラームが、すでにわかっている何かをユーザに伝えることで迷惑になるアラームのこの上ない例である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
[発明の概要]
本発明は、鎮静および鎮痛についての経験があったり、またはなかったりする臨床医がシステムを容易かつ安全に操作できるようにする、鎮静および鎮痛送出システムのユーザインタフェースを包含する。このユーザインタフェースは、鎮静および鎮痛処置に関わるプロセスについて、またはこのプロセスと相互作用する情報を示す、いくつかは状況依存式であることができる、いくつかの異なるウィンドウを表示可能なタッチスクリーン等の対話式装置と、タッチスクリーン上に何が表示されているかに関わりなく、システムの主要機能を起動または停止するいくつかのボタンからなる別個のキーパッドとからなる。表示は、Deep Video Imagingから入手できるもの等、高いデータ密度を実現しやすくする多層ディスプレイであってもよい。
【0012】
UIの表示は、患者モニタからのデータ(たとえば、心拍数、血圧、SpO2、ETCO2、および自動反応性試験(「ART」))および治療データ、すなわち薬物およびガスの送出に関連する情報を両方とも単一の画面上に配置し、この情報はグループ化されて、意味のある認知的な枠組みをユーザに提供する。たとえば、心臓血管/血流力学システムを理解する基礎を提供する、監視される生理学的パラメータが、単一のかたまり、まとまり、または単一のラインにグループ化される。同様に、情報は、酸素供給状態、換気状態、および薬物の作用を解析するユーザのメンタルモデルの実現に役立つように一緒にグループ化される。データは、処置全体を通して常に更新される。メンタルモデルの実現に役立つ状況では、患者パラメータの現在データは数値および図表波形の両方として表示される。ユーザによる参照および比較のため、ならびに傾向検出のために、履歴データも提示される。履歴データは、心拍数、SpO2、およびEtCO2の量および変化率についての情報を提供し、緊急時に助けに来た、または手術もしくは他の処置に専念していた臨床医が患者の状態を一見して迅速に評価することができるようにする。
【0013】
UIは、タッチスクリーンの組織配列上で、ユーザが各種ソースから報告されたデータを容易に比較することができるように患者のデータを表示する。そして、ユーザは、器具で一杯の部屋を見回して、異なるデータ間の関連付けまたは相互確認を行う必要がない。さらに、UIは、治療制御およびモニタデータを同じUI上に提示しながら、情報の組織配列ならびに色分けも利用する。たとえば、システムは、一貫したタイムラインに沿った薬物動態学的計算に基づいて、生理学的データ(たとえば、心拍数、SpO2、ECG、CO2等)の表示を薬物レベルの表示と統合し、それによってユーザがこれらパラメータを相互に関連付けられるようにする。
【0014】
UIは、患者状態アラームおよびシステム助言の容易な管理および提示を可能にする。UIの表示は、現在のアラームおよび助言のすべてがそれぞれの優先度に従って表示される専用部分を含む。ユーザは、画面上の1つの中心場所を見る必要があるだけであるため、すべてのアクティブな警告に遅れをとることがない。UIは、アラームおよび助言に、限られた時間の間ユーザが消音化することができる何重もの(redundant)音声警告をも提供する。警告を忘れないのを確実にするため、ユーザには消音化アラームに残っている残り時間が提示されるが、ユーザは、音声警告が鳴らないようにする予測的な(proactive)ステップを行わなければならない。
【0015】
鎮静および鎮痛処置の準備および施行(administration)中、ユーザが極めて重要な設定を変更するとき、入力エラーの可能性を低減するために、UIはユーザの行為を確認するプロンプトをユーザに表示する。ユーザには、要求された特定の行為の結果リストが提示され、システムが薬物を患者に投与する前に、鎮静および鎮痛の安全のための特定の必要前提条件が満たされているかチェックすることを思い出させる。
【0016】
システムは、有毒になる可能性のある薬物の用量の入力、一貫しない患者データの入力、または必要前提条件を最初に満たさずしての鎮静および鎮痛の開始等、ユーザが患者にとって危険である可能性のある特定の行為をとる場合、UIを介してユーザに警告し、鎮静および鎮痛の進行を許可しない。しかしながら、システムの設計はまた、「臨床医が一番よくわかっている」という見解に従う。換言すれば、ソフトウェアに考えられるすべての条件の組み合わせ、および条件の順列を見越させようと試みるのではなく、設計は、前もって、考えられる臨床状況をすべて見越すことができるわけではなく、適切なデータが与えられている場合、患者を引き受けている臨床医のほうが、予め定められたシステムアルゴリズムよりも良好な判断を下すということを認めている。
【0017】
鎮静および鎮痛中に薬物の滴定を行うなど時間および労力集約的な作業は、臨床上の発見的方法(heuristics)ならびにとりわけ薬物動態学モデルおよび目標制御静脈薬物注入に基づくことができる薬物状態モデルを賢く使用することによって部分的に自動化される。薬物注入の停止のような、安全な作用をもたらす可能性の高い行為のみが自動化される。目標制御注入(TCI)もまた、ユーザが時間の経過に伴う所望の注入流量プロファイルを算出する必要がある代わりに(これは、行うことが非常に難しく、また実施が面倒であり時間がかかる)、ユーザインタフェースが、TCIアルゴリズムと併せて、鎮静および鎮痛中に薬物の滴定を行うユーザフレンドリな方法および時間および労力集約度がはるかに低い方法を提供するため、ユーザインタフェースを向上させる方法の1つである。
【0018】
目標制御注入および臨床上の発見的方法は、薬物状態モデルで組み合わせられる。薬物状態モデルは、鎮静および鎮痛送出システムのUI、ARTモニタ、および薬物送出装置にも密に統合され、不注意により患者が意識不明に陥ってしまうことの回避に必要な時間および労力を低減する。
【0019】
臨床医によっては、コンピュータシステムが人間による監督なしで効力のある薬物の送出を制御することに疑いを持っている者もいる。UIは、適切な人間による監督になお対応しながら、薬物の滴定を行うなど時間および労力集約的な繰り返し作業を低減するなど、臨床上の発見的方法によってコンピュータ制御の恩恵を提供するシステム設計をサポートする。
【0020】
反対に、過度に保守的で安全偏重の臨床上の発見的方法アルゴリズムは、当面の疼痛処置を見越して、刺激を受けていない患者には意識消失を引き起こすであろう量の薬物を意図的に与えるなど、ユーザが特定の行為を実行しないようにして処置の臨床過程を妨害する場合がある。UIは、場合によっては、その前にメッセージをユーザに提供して本当にこれを行いたいのか確認し、また臨床医が安全偏重の発見的方法およびアルゴリズムをオーバーライドできるようにし、同様に提案されている行為の結果を説明することによってこのような臨床状況を見越す。
【0021】
UIは、特定のデフォルトが放棄されたことにシステムの考えられるユーザすべてが気付くことができるように、システムの設定に対して行われたあらゆる変更についての常時通知も提示する。多くの場合、システムの現在の状態またはシステムの機能の予期される達成についてのユーザの知識は、同じ情報の特性を示す何重ものアイコンおよびテキストをUIが表示することによって強化される。
【0022】
鎮静および鎮痛または麻酔薬および滴定薬を送出するという施行に時間のかかる局面の多くは、制御ソフトウェアにプログラムされた臨床上の発見的方法および薬物状態モデルを使用して自動化される。UIは、ユーザが医療装置をその潜在能力を最高まで使用することを妨げないように、ユーザが予めプログラムされた発見的方法をオーバーライドできるようにしながら、臨床上の発見的方法アルゴリズムおよび目標制御注入に対応するように設計される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明によるユーザインタフェースと併用する鎮静および鎮痛システムの一実施形態を表すブロック図を示す。
【図2】本発明の表示と併用可能なタッチセンシティブボタンおよびテキスト入力タッチボックスの例を示す。
【図3】本発明の一実施形態によるキーパッドの一例を示す。
【図4】本発明の一実施形態による患者の呼吸圧曲線の一例を示す。
【図5】本発明の一実施形態によるユーザインタフェースのモニタ表示の一例を示す。
【図6】本発明の一実施形態による心臓血管パラメータボックスの表示例を示す。
【図7】本発明の一実施形態による酸素パラメータボックスおよびCO2パラメータボックスの表示例を示す。
【図8】本発明の一実施形態による、ユーザが変更した非デフォルトのアラーム設定を表示するパラメータデータボックスの一表示例を示す。
【図9】本発明の一実施形態による、2つのパラメータに対する注意および警告アラームがアクティブになっているパラメータボックスの一表示例を示す。
【図10】本発明の一実施形態によるリアルタイムデータボックスの表示例を示す。
【図11】本発明の一実施形態によるパラメータ履歴ボックスの表示例を示す。
【図12】本発明の一実施形態によるプロポフォール注入ボックスの一表示例を示す。
【図13】本発明の一実施形態によるプロポフォール注入ボックスの別の表示例を示す。
【図14】本発明の一実施形態によるモニタ表示のART履歴セクションの一表示例を示す。
【図15】本発明の一実施形態によるモニタ表示のART状態セクションの表示例を示す。
【図16】本発明の一実施形態による減量確認メッセージの一表示例を示す。
【図17】本発明の一実施形態による反応性チェックメッセージの一表示例を示す。
【図18】本発明の一実施形態によるアクティブアラームおよび助言を示すスマートアラームボックスの一表示例を示す。
【図19】時刻、日付、および電力状態情報、ならびにO2流量を表すサーモメータバーを含む、モニタ表示のセクションの一表示例を示す。
【図20】本発明の一実施形態による患者情報表示の一例を示す。
【図21】本発明の一実施形態による患者データ入力確認表示の一例を示す。
【図22】本発明の一実施形態によるパージIV設定確認表示の一例を示す。
【図23】本発明の一実施形態による通常モード投与量表示の一例を示す。
【図24】本発明の一実施形態によるスタットモード投与量表示の一例を示す。
【図25】本発明の一実施形態による薬物警告画面の表示例を示す。
【図26】本発明の一実施形態による通常モード確認画面およびスタットモード確認画面の表示例を示す。
【図27】本発明の一実施形態による自動プロポフォール減量停止確認画面の一表示例を示す。
【図28】本発明の一実施形態によるシステム開始確認画面の一表示例を示す。
【図29】本発明の一実施形態によるARTセットアップ選好表示の一例を示す。
【図30】本発明の一実施形態によるプリントセットアップ選好表示の一例を示す。
【図31】本発明の一実施形態によるスタットプリントアウト画面の一表示例を示す。
【図32】本発明の一実施形態によるNIBPセットアップ選好表示の一例を示す。
【図33】本発明の一実施形態によるスケールセットアップ選好表示の一例を示す。
【図34】本発明の一実施形態による音声ボリュームセットアップ表示の一例を示す。
【図35】本発明の一実施形態によるアラーム設定表示の一例を示す。
【図36】本発明の一実施形態によるアラーム限度エラーメッセージの一表示例を示す。
【図37】本発明の一実施形態による保留アラーム確認表示の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[発明の詳細な説明]
機能的に鎮静および鎮痛送出システムに統合することができるユーザインタフェース(UI)について本明細書に述べる。このような鎮静および鎮痛送出システムの一例は、1999年6月3日に出願され、その全体が参照により本明細書に援用される米国特許出願第09/324,759号に記載されている。
【0025】
出願第09/324,759号の鎮静および鎮痛システムは、患者に接続され、患者の少なくとも1つの生理学的状況を反映した信号を生成するようになっている患者健康状態モニタデバイスと、1つまたは複数の薬物を患者に供給する薬物送出コントローラと、患者の監視される少なくとも1つの生理学的状況の安全なパラメータおよび望ましくないパラメータを反映した安全データセットを格納したメモリデバイスと、患者健康状態モニタ、薬物送出コントローラ、および安全データセットを格納したメモリデバイスの間に相互接続される電子的コントローラと、を備え、上記電子的コントローラは上記信号を受け取り、これに応答して、安全データセットに従って薬物の適用を管理する。
【0026】
図1は、UI1、電子的コントローラ4、周辺機器5、電源6、患者インタフェース7、および薬物送出器9を備えた、本発明によるこのような鎮静および鎮痛システム2の一実施形態を表すブロック図を示し、鎮静および鎮痛システム2は、鎮静および/または鎮痛を患者8に提供するためにユーザ3によって操作される。本発明のUI1と併用する鎮静および鎮痛送出システム2は、取り外し可能な、または使い捨ての薬物瓶とともに使用してもよく、また再利用可能な、または使い捨ての薬物カセットとともに使用してもよい。送出システム2には、患者8の患者インタフェース7の一例である自動化反応性試験(ART)を設けてもよい。送出システム2のART機能の例は、2001年12月28日に出願され、参照により本明細書に援用される米国特許出願第60/342,773号に記載されている。
【0027】
プロポフォール、レミフェンタニル、ケタミン、デキサメデトミジン、フェンタニル、モルヒネ、亜酸化窒素等の様々な薬物を送出システム1によって投与する、または送出システム1と併せて使用することができる。単に例示を目的として、UI1は本明細書では、プロポフォールを投与するシステムと併せて使用することができるものとして説明する。UI1は、臨床医ユーザ3に、予測される薬物の効果部位濃度を変更する注入アルゴリズムを含め、鎮静および鎮痛送出システム2の様々な特徴および能力の制御を提供する。このような特徴の例としては、2002年7月31日に出願され、参照により本明細書に援用される米国特許出願第10/208,183号に記載の薬物送出モードおよび薬物状態(state)が挙げられる。
【0028】
UI1の態様の多くは、鎮静および鎮痛の経験があったり、またはなかったりする臨床医にとって、おそらく複数の作業を行いながら、鎮静および鎮痛送出システム2を容易に操作するのに有用なように設計される。このような有用性を提供するUI1の1つの一般的な特徴は、送出システム2の安全アルゴリズムがそれぞれのデフォルト設定から変更されたときはいつでもユーザ3に一貫して常時警告することである。UI1の別の一般的な特徴は、真に意図する行為のみが送出システム2によって実施されることをチェックするさらなる機会をユーザ3に与えるように、ユーザ3が行う特定の行為を確認するようユーザ3に要求することである。UI1のこのおよび他のすべての確認画面に共通するのは、ユーザ3が先に開始したコマンドを確認するために触れる確認タッチボタンの位置が、コマンドを開始するためにユーザ3が最初に触れた開始ボタンと同じタッチスクリーンエリアに表示されないということである。この配置の相違により、ユーザ3が、単に指が開始ボタンと同じ画面上の位置に残っていただけのために、自動的に、すなわち不注意に確認ボタンに触れて承認してしまうことがないのを確実にすることができる。また、開始および確認タッチボタンの位置が異なる場所にある場合、開始および確認タッチボタンの互いの位置関係は、開始/確認タッチボタンの異なるセットを通して不変であることができる。
【0029】
UI1の別の一般的な特徴は、ユーザ3に対して表示される特定の情報が、グループ、位置、または配色から意味を引き出すことができるようにグループ化または配置されてユーザ3に表示されることである。これら一般的な特徴の例は、後述するUI1の特定の実施形態によって表される。
【0030】
図2は、他のタイプの入力デバイス(たとえば、固定式メンブレンキーパッド)では不可能でありうる、ユーザ3が直接かつ直観的に送出システム2のソフトウェアと状況依存的に相互作用するために設けることができる、タッチスクリーン入力デバイス90のエリアを示す。これらエリアはタッチセンシティブであり、3Dボタン10として、またはテキスト入力タッチボックス12としてユーザ3に提示することができる。エリアは、常に状況およびユーザ3に表示される情報のフォーマットに応じて様々である。ユーザ3によるコマンドの入力は、このようなコマンドに指定された3Dボックスに触れることによって実現することができる。データの入力は、所望のテキスト入力ボックス12に触れ、それからメンブレンキーパッドを介して、または画面上に表示されるタッチボックスキーパッドを介してデータを入力することによって実現することができる。
【0031】
図2は、送出システム2が、UI1を介して音声および/または視覚的なフィードバックを表示することにより、このテキスト入力ボックスの起動についてユーザ3に確認することができることも示す。たとえば、触れられると、3Dタッチボタン12の外観は反転画像14または他の変更版に変更することができる。テキスト入力ボックス起動に対する視覚的なフィードバックは、テキスト入力ボックス16のハイライトにより、かつ/またはカーソルの外観によって提供することができる。テキスト入力ボックスが起動されると、可聴クリック音等の音も再生して、ユーザフィードバックをさらに強化することもできる。ユーザ3が指をボタンから離すと、システムは機能を起動し、音声での合図を提供する。ユーザ3が指をボタンから滑らせて外すと、システムはボタンのハイライトを消し、それ以上行為は行われない。
【0032】
図3は、ユーザ3がデータを入力し、極めて重要な機能を起動することができるように、送出システム2のコンソール上に設けることができる固定式メンブレン(membrane)キーパッド34を示す。メンブレンキーパッド34上のキーは、それぞれの場所を触知できるように、それぞれを取り巻く隆起線を有することができる。ある特別な、または多くの場合に使用されるメンブレンキー(たとえば、特に「はい(OK)」、「キャンセル(Cancel)」、「<」、「>」および電話式番号配列の中央にある番号「5」)は、隆起したドット、ダッシュ、または他のこのような構造のような特徴的な触知可能要素を有して、ユーザ3が、実際にタッチスクリーン表示から目を離してキーパッドを見る必要なく、どのメンブレンキーに触れているかわかるようにすることができる。メンブレンキーは、触知できるクリックの前にメンブレンを物理的に動かすことを介して、起動(activation)フィードバックを有することもできる。送出システム2は、UI1のキーが起動されたときに、音声トーンを再生することも可能である。これら特徴により、キーパッド34上のボタンの押下で機能が起動されたという保証がユーザに与えられる。キーパッド34は、ユーザ3が容易に交換可能な、様々な言語でプリントされたオーバーレイを受け入れることができる。
【0033】
図3に示すように、キーパッド34は、標準的な数値キーパッド36、タブ35、前進矢印37、後進矢印39、および/またはデータ入力用のバックスペース41を備えることができる。起動されると、送出システム2を、それまで非アクティブであった場合は起動シーケンスに、それまでアクティブであった場合は待機モードおよびシャットダウンシーケンスにするシステムオン/オフ(On/Off)またはオン/待機(On/Standby)ボタン38が設けられる。送出システム2の多くの必要な機能は、それぞれを直接起動する専用ボタンをメンブレンキーパッド34上に有しうる。これらボタンにはテキストおよびアイコンの両方でラベル付けすることができ、点灯しているときは、対応する機能がアクティブであることを示す色付きLEDを関連付けることもできる。肯定40および非肯定42応答用のハードボタンは、タッチスクリーン上の「はい」、「いいえ(No)」、および「キャンセル(cancel)」タッチボタンに対応してキーパッド上に含めることができる。タッチスクリーン900のタッチセンシティブ機能が誤作動することがあっても、これらハードキーパッドボタンは、ユーザ3がそれでも、UI1の様々な表示に対してはい、いいえ、およびキャンセル要求に応答できるようにする役割を果たす。これらボタンは、システムメッセージおよび画面に応答する際に使用しやすさも提供する。
【0034】
新しい鎮静および鎮痛処置の開始に関連するシステム機能の起動用に、様々なシステムキーをキーパッド34上に設けることができる。このようなキーの例としては、患者情報(patient Info)17、システム情報(system info)43、スケール変更(change scales)302、音声ボリューム(audio volumes)301、新規ケース(new case)15、およびケース終了(end case)19が含まれる。これらのキーは、メンブレンキーパッド34の共通部分44内にグループ化される。これらのキーに関連するシステム機能については詳細に後述する。患者へのプロポフォールの投与に関連する機能の起動用に、他の様々なキーも設けることができる。このようなキーの例としては、パージIVライン(purge IV line)51、通常モード(normal mode)47、スタットモード(stat mode)49、およびプロポフォール停止(stop propofol)53が含まれる。これらのキーに関連するシステム機能については詳細に後述する。これらのキーは、メンブレンキーパッド34の共通部分46内にグループ化される。キーパッド46のプロポフォール送出セクションに隣接して一連のLED48を設けることができ、このLED48は、各LEDが点灯する時間量が、患者8に現在投与されているプロポフォールの注入流量に反比例するように、順次、たとえば米国およびテキストを左から右に読む国々では左から右に点灯する。代替として、LED配列を、薬物注入に通常関連するドリップチャンバのメンタルモデルを反映するように、上から下という順序で点灯してもよい。キーパッドのプロポフォール部分に隣接して、薬物カセットが送出システム2のハウジングの位置に適切に装填されたときに点灯する別のLED50も設けることができる。LED50は、カセットが正しく配置されているときは特定の色(たとえば、緑)で点灯し、カセットが存在するが、装填が正しくないとき、またはシステムコントローラ4により有効ではないと判定されたカセットであるときは別の色(たとえば、赤)で点灯することができる。プロポフォール瓶の位置および有効性を表す同様のLED52も設けることが可能である。
【0035】
引き続き図3を参照すると、アラームに関連するシステム機能の起動用に様々なキーを設けることができる。このようなキーの例としては、特に、アラーム消音(mute alarms)13、アラーム一時停止(suspend alarms)11、およびアラーム設定(alarm settings)45が含まれる。これらのキーに関連するシステム機能については詳細に後述する。これらのキーは、メンブレンキーパッド34の共通部分54内にグループ化される。
【0036】
ECG、SpO2、およびCO2モニタ等、患者健康状態モニタの起動用にキー56を設けることができる。各モニタのオン/オフトグルキー56等のスイッチにより、ユーザは各モニタを独立してオンまたはオフすることができる。モニタがオンのときに点灯する、LED58等、関連するインジケータを、各モニタに設けることができる。
【0037】
送出システム2のART機能用にオン/オフトグルキー56aも設けることができる。起動されると、送出システム2にARTクエリデバイスをオンにさせ、即座に反応性試験を施行させるARTスタットキー60も、オン/オフトグルボタン56aに隣接して設けることができる。ユーザの要求により、ARTスタット機能は、ユーザに、鎮静および鎮痛の開始前であっても、また単に教育目的のため、またはベースラインとなるART反応時間を設定するためだけであっても、ユーザが随時試験を開始できるようにすることによって患者が反応性試験に対する反応の仕方を学習するのに役立つ。ARTのセットアップキー62も、トグルキー56aおよびスタットキー60に隣接してキーパッド上に含めることができる。ARTセットアップについては詳細に後述する。
【0038】
同様のオン/オフ、スタット、およびセットアップキーを、システムの非侵襲性血圧(NIBP)機能用に設けることもできる。スタットNIBPおよびNIBPセットアップについては、詳細に後述する。同様のオン/オフ、スタット、およびセットアップキーを、システムのプリント機能用に設けることもできる。スタットプリントキーが起動されると、スタットプリントアウト画面(図31)がユーザに表示される。プリントセットアップについては詳細に後述する。点灯時、システム全体が故障していることを表すLED64、および/または点灯時、A/C電源が存在し、システムバッテリが充電中であることを表すLED66も、メンブレンキーパッド34に設けることができる。
【0039】
ECG、SpO2、CO2、NIBP、およびARTモニタの個々のオン/オフハードボタンにより、侵襲的血圧モニタがすでに心臓カテーテルラボに存在する場合、NIBPモニタをオフにするなど、システムを既存のモニタ機器に適合させるように独立してオフにすることができる。ケース終了時に患者から取り外されるときに個々のモニタをオフにすることができることにより、不適切かつ苛立たしいアラームの発生が低減されるとともに、処置の開始を待っている間に、不適切なアラームなしで、処置およびその後に続く個々のモニタの一時停止前にベースラインデータを取り込んでプリントすることができる。また、UI1のこの特徴により、ユーザ3は、患者の生理学的状況により不適切であると示される特定の場合に特定のモニタを使用しないことができる。誤りかつ不適切なアラームの別のコンテキストは、モニタがオンになっているが、患者が接続されていない場合である。たとえば、CO2モニタは、所与の時間量の間、特定のしきい値を越える呼気CO2がない場合に無呼吸アラームを鳴らしうる。UI1はまた、患者が鎮静および鎮痛機に接続されていない間に、ユーザがモニタをオフにする、またはアラームを一時停止できるようにして、誤ったアラームの発生を低減する。
【0040】
図3は、補充O2送出システム用に設けることができるオン/オフトグルキー56bも示す。補充O2送出システムがオンになっているときに点灯する、関連するLED58bも設けることができる。プリントオン/オフボタン56cを介して、自動プリントを選択または選択解除することができる。
【0041】
図4は、補充O2送出システムが起動されているときの、O2の固定高流量および固定低流量それぞれを示す呼吸圧曲線を示す。補充O2送出システムが特定の期間にわたり(たとえば、少なくとも30秒)、雰囲気圧以下、または正圧を記録しないとき、すなわち、患者が無呼吸であるか、あるいは自分の口で呼吸しているとき、固定中間流量のO2を患者に送り込ませる。鼻および口のカプノメータが両方とも、中間流量期間中に少なくとも2分間呼吸数を検出しない場合、補充O2送出システムは、補充O2送出をオフにしてO2を節約する。このシステムは、自動補充O2送出を提供し、O2投与アルゴリズムに従って患者の酸素供給を支援する。このアルゴリズムにより、システムは、カプノメータが最初に、0を越える呼吸数を報告した後、患者の左右の鼻孔においてサンプリングされた値(鼻圧変換器(nasal pressure transducer)によって読み取られる)の比較から決定される圧力の変動を記録し始める。システムは、概して雰囲気圧以下24であると決定するとき、すなわち患者が吸気しているときには固定高量のO2を患者に送り込ませ、概して正(雰囲気圧より上の)圧22があると決定するとき、すなわち患者が呼気しているときには、固定低量のO2を患者に送り込ませ、それによって、補充O2送出と同時にCO2を測定し、リアルタイムカプノグラムに、呼吸数および呼吸終期CO2等、導出された情報を加えた形で表示することができる。
【0042】
デフォルトにより、補充O2投与システムは、新たな患者処置を開始するときにはオフになっている。ユーザ3はイニシアティブを取り、O2投与アルゴリズムが自動補充O2送出を開始する前に、新たな鎮静および鎮痛処置の開始に先立ってO2の流入をオンにしなければならない。新たな処置が開始されるとき、ユーザ3には、O2の流入をオンにするか否かについてプロンプトを表示して明示的な決断を下すよう促す表示画面が提示される。したがって、ユーザは、補充酸素送出はいずれも有害でありうる、呼吸症候群(breathe syndrome、換気症候群)に低酸素刺激(hypoxic drive)を使用する患者について考慮する理由がある場合は、酸素補充をいずれも回避できる立場にある。ユーザが最初に、補充O2が患者に投与される前にこのような明示的な決断を確実に行わなければならないようにすることにより、補充O2投与システムは、酸素の補充が開始されていないときに、ユーザが不注意に薬物の投与を開始してしまう危険性、およびユーザが、呼吸症候群に低酸素刺激を使用する患者に対して不注意に酸素の補充を開始してしまう危険性の両方が最小化する。
【0043】
図5は、タッチスクリーン900の一例を示す。タッチスクリーン900は、メンブレンキーパッド等の構造を介して実施されるキーパッド34(図3)のわかりやすいハードキーの集まりと組み合わせて、最も適切に、ユーザが開始したいと考えうる任意特定の行為のために1レイヤよりも多く、またはサブメニューの深さまでサーチする必要が可能な限りないように、フラットなコマンド構造を提供するように構成される。薬物の流入の停止等極めて重要な行為は、プロポフォール停止ボタン53(図3)等ハードキーを介して実施され、それにより、常にすぐに見て利用することが可能である。さらに、極めて重要な行為をハードキーとして実施することにより、極めて重要な行為の開始は、タッチスクリーンまたはソフトボタンが適切に機能していることに依存しなくなる。この独自の混成タッチスクリーン/ハードキーの組み合わせは、データ入力デバイスとしてのタッチスクリーンが機能不全となった場合、患者の安全性を高めるために、データ入力の多重(redundant)手段も提供しながら、双方の入力様式の利点を提供する。
【0044】
図5は、タッチスクリーン900上の主モニタ表示70を示す。主モニタ表示70は、(1)患者の極めて重要なパラメータを表す信号の表示72、(2)患者の極めて重要なパラメータそれぞれの履歴データの表示74、(3)プロポフォール注入情報および効果部位レベルの表示76、(4)ART情報の表示78、(5)あらゆるシステム助言および/またはあらゆる患者状態アラームの表示80、(6)日時、および送出システムの電力状態の表示81、ならびに(7)異なる患者呼吸状態(吸気、呼気、無呼吸、完全な口呼吸)中に送出される異なるレベルのO2流量を伝える補充酸素投与状態(図4参照)のアイコン表示83、のうちのいずれかまたはすべてを提供することができる。主モニタ表示70は、システム開始後はいつでもユーザ3への表示に利用することができる。他の表示も、主モニタ表示70に重なるポップアップウィンドウとしてタッチスクリーン900上に提示することができる。
【0045】
主モニタ表示70は、対応するパラメータデータボックスに表示される、患者の極めて重要なパラメータそれぞれの現在値のデジタル表示82を含むことが可能である。これらボックスは、そこに表示される情報が常に、各種ポップアップオーバーレイウィンドウが表示されている場合であってもユーザ3への表示に利用可能なように主モニタ表示70上に配置される。パラメータデータボックスの背景色、ならびにパラメータを表す文字の色およびサイズは、離れたところからユーザ3が容易に読み取れ、UI1から物理的に離れたユーザが監視可能なように選択される。たとえば、背景は黒であり、文字は白であることができる。パラメータボックスは、ユーザ3が、極めて重要なすべてのデータを探して2箇所以上の場所に目を向ける必要なく、すべてのパラメータを容易に参照することができるように、主モニタ表示70の一部分内にグループ化することが可能である。パラメータ値は、関連する生理学的機能に従ってグループ化することができる。
【0046】
引き続き図5を参照すると、主モニタ表示70は、生理学的システム(たとえば、血流力学/心臓血管84、酸素供給86、および呼吸換気装置88)を表す有意なデータセットに編成された情報を有し、情報の組織配列またはセマンティック(semantic)が一度意味を有すると、安全データセットに格納されている正常範囲外にあるとき、アラームパラメータがコンテキストにおいて色分けされる。たとえば、BPおよびHR(血流力学/心臓血管パラメータの両方である)が非正常すなわち警告レベルである場合、コンテキストにおいて、その背景色が、異常の度合いに応じて、たとえば深刻な場合は赤色、警告レベルの場合は黄色に色分けされる。この色分けにより、ユーザ3は、生理学的システム(血流力学/心臓血管84、酸素供給86、呼吸/換気装置88、薬物レベル76、および患者反応性78)に関連する、有意にグループ化されたデータのコンテキストにおいて、警告レベルのパラメータを評価することができる。多くの臨床医は、手術、外来、および外来患者設定で異なるオフィスで作業し、一貫しないユーザインタフェースに混乱する場合がある。UI1は、異なる場所にある同じ設計の異なる機械が、あちこち移動するユーザに同じルックアンドフィールを表す。
【0047】
適切な装置によって感知され、プロポフォールまたは他の鎮静薬または鎮痛薬の投与、あるいは鎮静および鎮痛の送出に関連する患者の極めて重要なあらゆるパラメータは、送出システム2により使用することができ、UI1を介してユーザ3に表示することができると考えられる。以下のパラメータをユーザに表示することができる:心拍数、血圧(収縮期、平均、拡張期)、SpO2、呼吸終期CO2、および呼吸数。これらパラメータを主モニタ表示70においてどのようにグループ化することができるについての一例では、心拍数および血圧の読みは心臓血管パラメータボックス82a(図6により詳細に示す)に表示することができ、SpO2は酸素パラメータボックス82b(図7により詳細に示す)に表示され、呼吸終期CO2および呼吸数はCO2パラメータボックス82c(図7により詳細に示す)に表示される。
【0048】
また図5に示されるのは、患者モニタからの現在の信号がリアルタイムデータボックス72に表示される。これらボックスは、ECGデータ72a、SpO2モニタデータ72b、CO2モニタデータ72cを含むことができる。信号は、無彩色の背景上に有色の波形として表示することができ、周期的に更新することができる(たとえば、3Hz)。各信号は、異なる波形色を有することができる(たとえば、ECGデータ72aは赤、SpO2モニタデータ72bは緑、そしてCO2モニタデータ72cは灰色)。採用される色彩設計は、装置が使用される国に従って様々であってよい。たとえば、上記色彩設計は、米国でのガスの色の取り決めに適合している。各波形中のギャップ(すなわち、消去バー)72dが、現在ゼロ時間を示す。この消去バーは、信号が更新されると各リアルタイムデータボックス72をスクロールする。時刻マークが、リアルタイムデータボックス72のいずれかまたはすべての上または下の水平線に表示される。各信号のUI1での特定のデフォルトとして時刻スケール値が存在し、ユーザによる変更が可能である。
【0049】
各リアルタイムデータボックス72は、対応するモニタから得られた関連のパラメータ値を表示するパラメータデータボックス82に隣接して表示することができる。たとえば、ECGリアルタイム信号72aは心臓血管パラメータボックス82aに隣接して示され、SpO2リアルタイム信号72bは酸素飽和度パラメータボックス82bに隣接して表示され、CO2リアルタイム信号72cは呼吸パラメータボックス82cに隣接して表示される。CO2信号の縦のスケールは、隣接するCO2履歴グラフ74c(後述)のスケールと位置合わせすることができる。患者モニタがオフになった場合、信号波形の代わりに、そのことについてのメッセージが対応するリアルタイムデータボックス82に表示される。ガスの較正が行われるときはいつでも、そのことについてのメッセージ(たとえば、「CALIBRATION」の文字)がシステムによってCO2リアルタイム信号ボックス72cに、またはその付近に表示され、それによって、ユーザは、CO2リアルタイム信号を見て参照しようとした時に較正が行われていることに容易に気付くことができる。
【0050】
NIBP加圧帯がパルスオキシメータのプローブと同じ腕に配置されている場合、NIBP加圧帯がサイクリングしている間、「NIBP CYCLING(NIBPサイクリング)」メッセージがSpO2リアルタイムデータボックス72b上に配置され、NIBP加圧帯が膨張している間、SpO2アラームはディセーブルされる。UI1は、パルスオキシメータのプローブおよびNIBPの加圧帯が同じ腕にある場合のみ、NIBPサイクリング中にSpO2アラームのディセーブル化が行われるように、NIBP加圧帯がパルスオキシメータのプローブと同じ腕にあることをシステムに通知する手段もユーザに提供する。
【0051】
パルスオキシメータによって各パルス毎に発せられるビープの音調または頻度(frequency)は、SpO2値に対応する。SpO2が低いほど、ビープの頻度は低い。SpO2モニタがオフになった、または稼働していないがHRがECGモニタから利用可能な場合、デフォルトまたは中性的な音調が、実際には利用できないSpO2値またはSpO2モニタが機能していることに不適切に関連付けられる恐れがあるため、各心拍毎にビープはない。
【0052】
図5は、主モニタ表示70が、特定の極めて重要なパラメータそれぞれの最近の傾向を示す履歴グラフ74を含むことができることも示す。心拍数履歴グラフ74a、パルスオキシメトリ履歴ボックス74b、およびETCO2履歴ボックス74cを表示することができる。これらパラメータの履歴値は、システム内のデフォルトに設定されユーザにより変更可能な水平の時刻スケールを有する有色中実のグラフとして表示することができる。色は、リアルタイムデータボックス72の波形に使用される色に合わせて選択することができる。特定のパラメータに関連する垂直のスケールも、システム内のデフォルトに設定され、これもユーザにより変更可能である。CO2のように履歴グラフ74のいくつかの垂直スケールは、対応するリアルタイムデータボックス72のスケールと同じであってもよい。水平および/または垂直のスケール線は、各履歴グラフ74に表示することができる。
【0053】
履歴グラフ74は、対応するパラメータデータボックス82に隣接して主モニタ表示70上に配置される、対応するリアルタイムデータボックス72に隣接して配置することができ、それによって生理学的データライン74、86、および88が作成される。各生理学的データラインは、ユーザが迅速に目を通して参照することができる、主モニタ表示70の参照が容易な単一のエリアに配置された関連情報を含む。
【0054】
生理学的データライン84、86、および88は、ユーザ3が主モニタ表示70に表示されるデータの意味を解釈するのを支援するように主モニタ表示70上に配置することができる。たとえば、ユーザが一目で、2つのラインに図表化された現在データ間に対応があるか否かを評価することができるように、心臓血管ライン84をパルスオキシメトリライン86に隣接して配置することができる。対応する生理学的データラインには一貫したタイムラインが使用される。この対応性の有無は、あるラインにおけるデータに存在するアラーム状態が現実の深刻なアラームであるか、それともアーチファクトであるかを判断する際にユーザにとって有用でありうる。パルスオキシメトリデータに基づいてアラームが存在し、オキシメトリプロット72aおよびECGプロット72bに一対一の対応がある場合、アラームは本当である可能性が高いが、一対一の対応がない場合、アラームはアーチファクトである可能性が高い。
【0055】
図5は、互いに隣接して、有用に配置された生理学的データライン84、86、および88の一例を示す。図5は、監視されるパラメータ(ART)の次に配置された治療制御(プロポフォール)の一例も示し、プロポフォール表示76がART表示78の次に配置される形をとる。
【0056】
図6は、心臓血管パラメータボックス82a内の心拍数ボックス82a2に表示される心拍数を示す。心拍数は主にECGモニタから得ることができるが、ECGモニタがオフであるとき、有効なデータをECGモニタから受け取っていないとき、またはユーザがSpO2モニタを好ましい心拍数ソースとして指定したとき、SpO2モニタからも得ることができる。ECGデータがなく、SpO2モニタから入手可能な心拍数データがない場合、UI1は、心拍数ボックス82a2に心拍数パラメータの代わりに適切な指示(たとえば、「−」)を表示する。また、心臓血管パラメータボックス82aには、患者から測定された最後の収縮期血圧の読みが血圧ボックス82a4に表示される。血圧ボックスに表示しうる他のパラメータとしては、最新平均血圧、NIBP加圧帯の圧力を表示するアナログサーモメータバー82a6、および最後の加圧帯膨張から経過した時間82a8が含まれる。
【0057】
図6は、サーモメータバー82a6が表示されるUI1の実施形態では、加圧帯が血圧示度を測定しているとき、加圧帯の圧力が増すにつれてバーが上昇し、圧力が解放されるにつれて下降することを示す。血圧示度が提供されないとき(すなわち、NIBPモニタがオフになっているとき)、システムは、血圧ボックス82a4に血圧パラメータの代わりに適切な指示(たとえば、「−」)を表示する。
【0058】
図7は、酸素パラメータボックス82bのより詳細を示す。SpO2モニタがオフである、存在しない、または誤作動している場合、またはSpO2モニタから有効なデータを受け取っていない場合、システムは、酸素パラメータボックス82bにSpO2パラメータの代わりに適切な指示(たとえば、「−」)を表示する。
【0059】
図7は、CO2パラメータボックス82c内のETCO2ボックス82c2に表示される呼吸終期CO2(ETCO2)パラメータも示す。表示されるETCO2パラメータは、特定の期間(たとえば、最新の25秒)中に患者のいずれか一方のサンプリング箇所、すなわち口または鼻からのカプノメータから得られた最高値であることができる。CO2パラメータボックス内の呼吸数ボックス82c4に表示される呼吸数は、カプノメータから得られた、最新のいくつか(たとえば、4つ)の呼吸数を平均した値であることができる。カプノメータがオフである場合、またはカプノメータから有効なデータを受け取っていない場合、システムはETCO2ボックス82c2および呼吸数ボックス82c4に適切な指示(たとえば、「−」)を表示する。
【0060】
データ選択のため、カプノメータの各患者サンプリング箇所:口または鼻から集められたCO2波形値は、特定の期間(たとえば、15秒)にわたって合計することができる。このような合計後、ETCO2ボックス82c2に表示されるCO2パラメータは、特定の期間にわたってより大きな和を有する一箇所のカプノメータサンプル箇所から測定された値である。この比較は、鼻サンプルに有利なようにバイアスされる。このようなバイアスの一例では、口サンプル箇所からのデータは、鼻データの少なくとも1.5倍を超える場合にのみ表示される一方で、鼻サンプル箇所からのデータは、単に口データを越える場合に表示される。鼻カプノメータは、各鼻孔で見られる圧力信号の強度に基づいて、一方の鼻孔から他方の鼻孔にサンプリングを切り換えることができる。一方の鼻圧力センサの平均圧力値(たとえば、測定された最新の4つの値の平均)がある最小値を上回り、かつ他方のセンサの平均圧力値を少なくとも3倍上回る場合、送出システム2は、現在鼻カプノメータデータを表示している限りは、CO2波形表示用にその最初の鼻センサに切り換える。表示される(またアラームの生成に使用される)呼吸数は、波形が表示されている、口または鼻のカプノメータからの同じ入力に基づく。表示される(またアラームの生成に使用される)ETCO2値は、2つのうちの大きいほうになる。
【0061】
ガス較正が行われるときはいつでも、ユーザが、ETCO2あるいは呼吸数のいずれかのパラメータを見て参照しようとした時に較正が行われていることに容易に気付くことができるように、そのことについてのメッセージ(例えば、「CALIBRATION」という文字)が、ETCO2および/または呼吸数ボックスに、またはその付近にシステムによって表示される。したがって、メッセージは、ユーザが自然にカプノメータからの現在データを探すところに配置され、較正期間中、カプノメータからのデータがないのは、深刻な生理学的異常に起因するものではなく較正プロセスに起因するものであるという瞬間的かつ明確な指示を提供する。
【0062】
図8は、ユーザが変更した非デフォルトアラーム設定を表示するパラメータデータボックス82cの一例を示す。デフォルトアラーム設定がユーザによって変更された(後述)ときはいつでも、そのパラメータの新しいアラーム設定が、そのパラメータのデータボックス内のパラメータに隣接して表示され、それにより、ユーザは、システムの基本的なアラーム機能がそれぞれのデフォルト設定から変更されたか否かを一見して判断することができる。この特徴は、複雑な医療システムに複数人のユーザが同時に存在する場合に特に重要である。アラーム限度値はまた、ユーザがアラーム限度をアラーム設定表示から表示するように選択するときはいつでも(後述)、表示することができる。パラメータがアラーム状態にない場合、注意アラーム90の新しい非デフォルト値は注意アラーム色(たとえば、黄色)で表示することができ、警告アラーム92の新しい非デフォルト値は警告アラーム色(たとえば、赤色)で表示することができる。
【0063】
図9に示すように、パラメータがアラーム状態にあり、パラメータデータボックスの背景色がアラーム色(後述)に変更しているとき、非デフォルト値の色は、新しい背景から容易に読み取ることができる色に変更される。新しい値は、データボックスに表示されているパラメータの現在値のテキストからのオフセットであってよく、またそのテキストより小さくてもよい。
【0064】
図10は、リアルタイムデータボックス72の例をより詳細に示す。ECGリアルタイム信号72a、SpO2モニタデータ72b、およびCO2モニタデータ72cが示される。消去バー72dも示される。
【0065】
図11は、心拍数履歴グラフ74a、パルスオキシメトリ履歴ボックス74b、およびETCO2履歴ボックス74cの例を示す。
【0066】
図12はプロポフォール注入ボックス76を詳細に示す。プロポフォール注入ボックス76は、計画(projected)、現在、および履歴の計算効果部位プロポフォール濃度についての情報を示すことができる。特定期間中の履歴計算効果部位プロポフォールレベルは、現在ライン76dの一方の側にある有色グラフ76aとして示すことができ、有色計画目標効果部位グラフ76bをラインの他方の側に示すことができる。各グラフの色は同じであってもよいが、履歴データと計画データとの相違を強調するために、履歴グラフの色の輝度は異なる、たとえば、計画グラフ76bの色よりも低い。水平時間スケールはグラフ76aおよび76b両方の上あるいは下に示され、現在ライン76dの履歴側への時間は負の数として示される。効果部位レベルの履歴データおよび計画データがどの程度表示されるかについてのスケールは、システム内にデフォルトで存在するが、ユーザによる変更が可能である。効果部位における計算プロポフォール濃度の垂直スケールもデフォルトで存在するが、ユーザにより変更可能である。垂直スケールは、ユーザが新しい目標効果部位プロポフォールレベルを入力した場合に増やすこともでき、新しいレベルがグラフに確実に表示されるようにする。スケールラインは、履歴グラフおよび計画グラフの両方を横切って水平および/または垂直に表示することができる。計算効果部位プロポフォールレベルの現在値も、現在ラインの隣に、すなわち履歴グラフ76aあるいは計画グラフ76bの上にオーバーレイして表示することができる。
【0067】
プロポフォール注入ボックス76内のグラフに隣接して、プロポフォール設定ボックス76cがある。このボックスには、システムは、目標効果部位プロポフォールレベル(システムが通常モードまたはスタットモードである間)、プロポフォール設定ボックス76c内の効果部位レベルの値は単に目標レベルにすぎないことをユーザに中継して伝える「Target(目標)」という言葉または他の任意のメッセージ、プロポフォール注入の現在流量を図で示す回転流量アイコン76e、ならびに注入瓶内のプロポフォール量を示すアイコンおよび/またはグラフ76fを表示する。本発明の一実施形態では、量アイコン76fは注入瓶を模しており、瓶内に残っているプロポフォールの現在レベルの有色表現を示す。初期量の数値および現在量を決定するために、瓶アイコンの隣にスケール付きの印が示される。図12は、プロポフォール注入がアクティブであるときのプロポフォール注入ボックス76の一表示例を示している。
【0068】
図13は、プロポフォール注入ボックス76の一表示例を示す。UI1は、プロポフォール注入ボックス76を介して重要な薬物投与状態をユーザ3に明確に表示する。薬物投与の状態は、通常、減量、およびオフなどの状態を含むことができる。たとえば、減量モードの場合、適切なメッセージがプロポフォール設定ボックス76c中の目標効果部位レベルの代わりに表示され、下向きの矢印を計画グラフ76b上に表示することができる。図13は、システムが減量モードであるときのプロポフォール注入ボックス76の一表示例を示している。送出システム2がオフであり、かつプロポフォールが投与されていないときは、メッセージ「Off(オフ)」などがプロポフォール設定ボックス76cに表示されることになり、プロポフォール注入がアクティブであるときに存在する色とは異なるボックスの背景色が示される。薬物投与の履歴グラフ76aおよび現在ライン76dも示される。
【0069】
図14は、ART履歴78aセクションを含むART情報ボックス78の一表示例を示す。ART情報ボックス78は、ART状態セクション78bを含むこともできる。ART履歴セクション78a内に、UI1は、グラフのy軸に沿ったART刺激の開始と患者のARTクエリサイクルへの反応の間の時間間隔と、x軸に沿った各ART試験サイクルが開始された時間との間の関係としてプロットされる、各ARTクエリサイクルに対する患者反応のシンボルを表示することができる。自動ARTモードでは、クエリサイクルの開始から指定期間(たとえば、14秒)以内に現れた患者の反応が、ある色、たとえば緑色のシンボルとしてグラフに表示される。クエリサイクルの開始からt秒を越えて(たとえば、14.5秒または20秒)現れた、またはクエリサイクルへのまったくの反応なしを構成する患者の反応は、別の色、たとえば青色のシンボルとして表示される。t秒を越える反応時間はいずれも、または反応なしはいずれも、y軸上の時間t+1(たとえば、15秒)に表示することができる。したがって、グラフの垂直スケールに必要なのはt+1秒のみである。図14は、5つのART結果が患者クエリサイクルの開始からt秒(すなわち、14秒)越えたため、y軸に沿ってt+1秒(すなわち、15秒)に表示されている、ART履歴セクション78aの一表示例を示す。プロンプト手動ART試験に対する肯定反応は常に記録され、特定の時間tmanual(たとえば、5秒)に表示される。時間が進むにつれて、最近のART結果を表すシンボルはART履歴セクション78aの一方の側にスクロールし、所与の経過時間よりも古くなった後は表示から消えることになる。x軸スケールの範囲により、過去のART結果が表示からいつ消えることになるかが決まる。スケールは、システムにデフォルトとして存在するが、ユーザによる変更が可能である。
【0070】
図15は、ART状態セクション78bの例を示す。ART状態セクション78bは、ART試験サイクルまたは期間の持続時間中に、特定の背景色(たとえば、緑色)上に「Response Testing(反応性試験中)」または「Resposiveness Testing(反応性試験中)」という言葉を示すことができる。ART状態セクション78bは、最新のARTクエリサイクルから指定時間t秒以内であった患者反応時間に続けて、中実の特定の色(たとえば、緑色)を示す。ART状態セクション78bは、患者がクエリサイクルの開始からt秒以内に反応しない場合、または患者がクエリサイクルにまったく反応しない場合、異なる色(たとえば、青色)の背景および関連メッセージ、たとえば、「No Patient resonse(患者反応なし)」を示す。ART状態セクション78bは、クエリサイクルが現在施行されている場合もメッセージを表示し得る。ARTモードがプロンプト手動患者チェックに指定されている場合、ユーザに患者の状態を評価するよう警告するメッセージが、指定された各ART間隔で表示される。システムは、可聴トーンを再生することもでき、それによってユーザに患者を手動でチェックするよう促す。ユーザが指定時間限度、たとえば、45秒以内に患者の状態に関する情報をシステムに提供しない場合、システムは非反応患者であるものと仮定し、患者の反応を受け取らなかったことを示すメッセージを表示することができる。ユーザ3は、ARTセットアップ選好表示(後述)において手動反応性試験を促されるように選択することができる。この能力は、ユーザが適性または協力性を欠くと患者を特定した場合に使用することができる。ARTがディセーブルされている場合、適切なシンボル(たとえば、赤色の「X」)が状態セクション78b内に表示される。
【0071】
ユーザが自動反応性試験を起動すると(薬物投与を開始するとき、あるいはARTオン/オフボタン56a(図3に示す)を押下したとき)、ARTクエリサイクルが特定の間隔毎に患者に提示される。ARTクエリサイクル間の間隔は、デフォルトの期間(たとえば、3分)として存在するが、メンブレンキーパッド34上のARTセットアップボタン62を押下することによってアクセス可能なARTセットアップ選好表示(図34に示す)を介してユーザによる変更が可能である。システムは、ユーザが現在の効果部位濃度を変更した場合等の特定の状況下では、デフォルト間隔よりも短い間隔(たとえば、15秒毎)でARTクエリサイクルを自動的に提示することもできる。反応性試験は、特定の患者状態パラメータに警告または注意アラームがある(たとえば、低SpO2、低心拍数、低血圧、または低呼吸数アラーム)ときはいつでも、[いずれの間隔からも外れて]自動的に施行することもできる。ユーザ3は、ARTスタットボタン60を押下することによっていつでも自動反応性試験を手動で起動することもできる。ユーザがスタット反応性試験を要求すると、システムは、ARTクエリサイクル間の間隔に関連するタイマをリセットし、かつ/または、ユーザがスタットARTボタン60を押下したときにARTシステムがオンになっていなかった場合はARTシステムをオンにする。
【0072】
患者がn個、たとえば2つの連続した自動反応性試験サイクルに指定期間t秒以内に反応しなかったときはいつでも、システムは、特定の負のレートでのプロポフォールのゆっくりとした減量に自動的に進むことができる。次に、プロポフォール注入ボックス76に示される目標用量レベルが、減量状態の指示で置き換えられる。
【0073】
図16は、ユーザ3に短期間提示することもできる減量確認メッセージを示し、この間、ユーザは「レベルオフ(level off)」選択肢100を選択して薬物の減量を停止させ、目標効果部位レベルを現在効果部位レベルに設定させることができる。代替として、ユーザはメッセージクリア(Clear Message)選択肢102を選択して、減量確認メッセージ104を除去し、減量状態を継続させることができる。ユーザがいずれかの選択肢を選択する前に短期間が過ぎた場合、システムはメッセージを自動的にクリアする。また、患者が指定期間以内にクエリサイクルに反応しないと、患者が最初に反応しないときに、システムは可聴メッセージをユーザに向けて再生することができる。この可聴メッセージは、「Loss of Patient Response(患者反応なし)」等言葉のメッセージの形であってもよく、または患者がクエリサイクルに反応しなかったことをユーザに示唆することができる別の音であってもよい。万が一、患者が続くクエリサイクルに適時に反応するが、その後少ししてから反応しなくなった場合、可聴メッセージを再び再生することができる。ART状態セクション78b(図15)は、患者が指定期間以内にクエリサイクルに反応しないときはいつでも、反応がないことを示すメッセージを示すことができる。
【0074】
反応性試験は、患者がクエリサイクルに反応しなかった後、もう一度繰り返される。患者が2回目の試験サイクルに反応しない場合、システムは先に述べたように減量状態に入ることができる。患者反応性が回復すると、ART状態セクション78b(図15)は関連メッセージを示すことができる。ESC、レベル、または注入流量の自動減量はいずれも継続されることになるが、これは、減量確認メッセージ104においてユーザがレベルオフしない場合、またはユーザがプロポフォール用量、ESC、レベル、または注入流量を後述するように変更しない場合にである。
【0075】
ユーザがARTセットアップ選好表示においてプロンプト手動ART選択肢を選択すると、UI1は、可聴インジケータ、およびART状態セクション78bに関連メッセージを表示する反応性チェックメッセージウィンドウ106(図17)を使用して、予め定められた間隔でユーザ3を促し、ユーザ3に患者の反応性を手動で評価するように注意喚起する。ユーザ3が指定の期間以内にUIの注意喚起に応答しない場合、またはユーザ3が、患者が反応を示さないと応答する場合、UI1はメッセージを除去し、送出システム2は、上述した確認手順を用いて減量状態を起動する。失敗した手動ARTクエリの反応時間は、実際に45秒を越える場合、「15秒」における青色のシンボルとしてART履歴ボックス78a(図14)に示される。ユーザ3が、患者がまだ45秒以内で反応すると応答する場合、UI1はメッセージを除去し、送出システム2は既存の薬物体制を継続することになり、反応は、ユーザの応答時間と患者の反応時間の組み合わせが45秒未満の任意の時間でありうる場合であっても、「5」秒に対応する緑色のシンボルで示される。この方式は、合計反応時間に含められるユーザ3の応答時間が可変でありうること、および中間段階が含まれる場合、反応を得る時間がより長くかかることを考慮に入れている。図17における「はい(Yes)」ボタンの押下で示されるように、プロンプト手動クエリが指定の期間(たとえば、45秒)以内に応答されている限り、「Check patient(患者チェック)」等のテキストメッセージが、たとえば緑色の背景上に白色テキストでART状態セクション78b(図15)に表示される。
【0076】
ユーザ3は、メンブレンキーパッド34(図3)上のARTオン/オフボタン56aを押下することによってART機能をオフにすることで、反応性試験の自動施行をディセーブルすることができる。ART機能がオフであるときは、適切な指示またはメッセージがART状態セクション78b(図15)に示される。反応性試験はなお、これもまたART機能をオンにすることになるARTスタットボタン60を介して手動で開始することができる。患者が前のクエリまたはクエリサイクルに反応しないことからシステムがまだ減量状態にある間に、ユーザがART機能をオフにする場合、システムは、ユーザが薬物レベルをリセットしない限り、または薬物ESC、注入流量、またはレベルのレベルオフを選択しない限り、減量を続ける。
【0077】
図18は、ユーザ3が、鎮静および鎮痛処置中にどのアラームまたは助言が存在するかを迅速に評価する際に、目を配る必要があるのが一箇所のみであるように、患者アラームおよび/またはシステム助言を表示することができるスマートアラームボックス80の一例を示す。さらに、スマートアラームボックス80は、警告レベルのパラメータ(たとえば、SpO2)についてのラベルのみならず、完全な情報セット(たとえば、SpO2 83)も伝えるため、ユーザがアラーム状態に関連するすべての情報を導出する際に見る必要があるのは一箇所のみである。アラームまたは助言が存在しない場合、スマートアラームボックス80は特定の色(たとえば、緑色)を有する。この背景色は正常であるとみなされ、ユーザはボックスを一見してこの色を見る必要があるだけで、アラームまたは助言が存在するか否かが非常に迅速にわかる。しかし、アラームまたはシステム助言が存在する場合、スマートアラームボックス80の背景色は、正常背景色よりもコントラストが大きい、アラームおよび/または助言ブロックが目立つ異なる色(たとえば、黒色)になる。スマートアラームボックス80内のアラームおよび助言ブロックの背景は、強調のためにそれ自体色を有し(助言80cは灰色、注意80bは黄色、および警告80aは赤色)、後述する優先度でアラームボックス内に列挙される。アクティブアラームがユーザによって消音化されている場合(後述のように)、消音シンボル80dがスマートアラームボックス80の一部に現れる。アラームの消音化は、スマートアラームボックス80の残りの部分の視覚的表示、すなわちアラームおよび助言ブロックに影響しない。図18は、優先度の付いたアラームおよびシステム助言、ならびにアラーム消音シンボルを有するスマートアラームボックス80の一表示例を示す。ユーザが色盲でありうる場合に多重性を提供するために、シンボルも各種アラームの隣に提示される(助言80cには白色疑問符「?」、注意80bには黒い感嘆符を有する背景が黄色の黒い円、および警告80aには黒の感嘆符を有する白地の三角形)。
【0078】
システムは3つのレベルのアラームを提供することができる:システム助言、注意アラーム、および警告アラーム。これらアラームレベルの視覚的表示は色分けすることができる。たとえば、システム助言の表示は灰色であり、注意アラームは黄色であり、警告アラームは赤色であることができる。色分けにより、アラーム表示の意味を迅速に目で見て評価することができる。アラームまたは助言の表示は、スマートアラームボックス80の一部を占める他のアクティブアラームブロックの列内のブロックとして提示することができる。
【0079】
システム助言は、処置中の現在注意を引いている根拠となっている、送出システム2についての現在状況についてユーザ3に注意喚起させるためにユーザ3に提示される。助言は、必要でありうる(瓶の中の薬物の残量が少ない場合、またはモニタリングのリード線がほどけた場合等)が、必ずしも異常な患者状態に起因するものではないユーザの行為を示す。助言は、短く素早い音声トーンおよび/またはスマートアラームボックス80における視覚的表示によってユーザ3に提示することができる。システム助言の期間中、スマートアラームボックス80のブロックが灰色になり、特定の助言のテキスト指示がそのブロックに列挙される。アイコンまたはキャラクタ、たとえば、疑問符をテキストメッセージの隣に示すことができる。アイコンまたはキャラクタは、色色に加えて、助言とアラームとを線引きする多重手段をユーザに提供し、これは色盲のユーザに望ましいであろう。アイコンまたはキャラクタは明滅することができる。さらなる強調のため、「明滅」は「ズーム」的にシンボルのサイズを変更することができる。助言の開始後、音声トーンが規則正しい間隔で鳴り、助言の原因である問題が終わるまで、またはユーザがアラームを一時停止するまで同じ頻度で継続する。音声トーンは、周囲の状況を通して聞こえるようなボリュームで提示される。トーンの音量は調整することが可能である。
【0080】
助言の根拠となる送出システム状況は、スタートアップ診断プロセス中にユーザ3に示すことができる。助言メッセージは、特に、表5.1に列挙した状況について提示することができる。
【0081】
【表1】
【0082】
注意アラームまたは警告アラームは、患者状態パラメータが注意状態あるいは警告状態に指定されたアラーム限度または範囲を超えたときにいつでもユーザ3に提示することができる。注意アラームおよび警告アラームは、連続した音声トーンまたは一連のトーンによりユーザ3に示すことができる。音声トーンは、周囲条件にわたって聞こえるような音量で提示される。トーンの音量は調整することが可能である。注意アラームまたは警告アラームの期間中、スマートアラームボックス80の背景のブロックは特定の色(たとえば、注意の場合は黄色、または警告の場合は赤色)になり、アラームに関するテキストメッセージが、背景色上で容易に見ることができるような色を有する文字(たとえば、注意アラームの場合は黄色の背景上に黒色のテキスト、または警告アラームの場合は赤色の背景上に白色のテキスト)で、そのブロックに列挙される。アイコンまたはキャラクタをテキストメッセージの隣に示すことができる。アイコンまたはキャラクタは、色以外で助言とアラームとを線引きする多重手段をユーザに提供し、これは、色盲のユーザに望ましい。アイコンまたはキャラクタは明滅することができる。さらなる強調のため、「明滅」は「ズーム」的にシンボルのサイズを変更することができる。
【0083】
注意アラームまたは警告アラームの期間中、警告レベルのパラメータを、そのパラメータの現在値とともに、主モニタ表示70(図5)上の対応するパラメータデータボックス82に表示することができる。データボックスの背景色もまたアラームの色に変わり(たとえば、注意の場合は黄色、または警告の場合は赤色)、警告レベルのパラメータの現在値が、アラーム背景色から容易に読み取ることができる色で表示される。警告レベルのパラメータの現在値は、アラーム状況が存在する限り常に更新し表示することができる。上述した図9は、注意アラームおよび警告アラームが2つのパラメータに対してアクティブであるパラメータボックス300の一例を示す。
【0084】
アラームは、警告レベルの状況が終わるまで、ユーザがいくつかのアラームについてメンブレンキーパッド34(図3)上のアラーム消音ボタン13またはアラーム一時停止11ボタンを押下することで行動するまで、またはアラーム設定がリセットされるまで連続して鳴り、表示される。消音化されたアラームは、アラームの原因となった問題が終わっていない場合、指定された消音期間後に元の状態に戻される。アラームの視覚的表示は、音声の消音化による影響を受けない。アラームがクリアされた後、アラームクリア用の音声トーンが鳴り、そのアラームメッセージの視覚的表示が、正常の色彩設計(たとえば、黒色の背景上に白色の文字)に変わる。視覚的表示は、シンボルをズーム明滅することなく短期間残る。パラメータ値は、限られた期間、アラームがクリアされたことを示す(たとえば、「OK」)メッセージで置き換えられる。アラームが表示されていないとき、スマートアラームボックス80は正常背景色(たとえば、緑色)に戻る。
【0085】
低SpO2、低心拍数、低血圧、または低呼吸の注意アラームまたは警告アラームは、新しいアラームそれぞれについて、反応性試験がイネーブルされている場合、プロンプトを表示して送出システム2に新しいARTクエリを施行するように促すことができる。低または高血圧(収縮期、拡張期、または平均動脈血圧)の注意アラームまたは警告アラームは、新しいアラームそれぞれについて、送出システム2に新しい血圧示度をもう一度測定するように促すことができる。低SpO2、あるいは低または高心拍数の注意アラームまたは警告アラームは、NIBPモニタが起動されている場合、新しいアラームそれぞれについて、送出システム2に新しい血圧示度をもう一度測定するように促すことができる。
【0086】
低SpO2または呼吸数の注意アラームは、送出システム2に、プロポフォール薬物投与またはESCを現在レベルの何分の一かに即座に低減するように促すことができる。自動薬物低減では、送出システム2は、限られた期間、薬物低減オーバーライド画面を提示し、この期間中に、ユーザ3は、適切なボタンに触れることによって送出システムの自動薬物低減行為をオーバーライドすることができる。ユーザ3がオーバーライドボタンを選択する場合、オーバーライド確認画面が表示される。確認画面からユーザ3に、以下の選択肢を起動するボタンが提示される:アラーム前のレベルでのプロポフォールの投与を再開する、またはシステムの自動プロポフォール低減を継続させるようにオーバーライドをキャンセルする。ユーザ3が投与の再開を選択する場合、送出システム2は効果部位濃度、注入流量、またはレベルをアラーム前のレベルに戻すことになり、自動低減はアラームからユーザが再開機能を選択するときまでの合間に実施されることになる。
【0087】
低SpO2注意アラームまたは低呼吸数注意アラームが、最初の自動プロポフォール低減後に特定の期間(たとえば、4分)が過ぎた後でも存在し続ける場合、システムは、上述した同じこの手順を用いてプロポフォールを再び自動的に低減することになる。システムの自動プロポフォール低減のユーザオーバーライドは、影響を受けたアラームの持続期間中、実施されたままである。すなわち、送出システム2は、同じアラーム状態に応答して、2回目はプロポフォールを低減しようとしない。
【0088】
低SpO2または呼吸数の警告アラームは、送出システム2に、薬物投与を即座に停止するように促すことができる。薬物投与の停止と同時に、送出システム2は、限られた期間、薬物停止のオーバーライド画面を提示し、この期間中に、ユーザ3は、送出システムの自動薬物停止をオーバーライドすることができる。ユーザ3がオーバーライドボタンを選択する場合、オーバーライド確認画面が表示される。確認画面からユーザ3に、以下の選択肢を起動するボタンが提示される:アラーム前のレベルでのプロポフォールの投与を再開する、またはシステムの自動プロポフォール停止処置を継続させるようにオーバーライドをキャンセルする。ユーザ3が投与の再開を選択する場合、送出システム2は効果部位濃度、注入流量、またはレベルをアラーム前のレベルに戻すことになり、自動停止はアラームからユーザ3が再開機能を選択するときまでの合間に実施されることになる。
【0089】
システムの自動プロポフォール停止のユーザオーバーライドは、影響を受けたアラームの持続期間中、実施されたままである。すなわち、送出システム2は、同じアラーム状態に応答して、2回目はプロポフォール投与を停止しようとしない。
【0090】
引き続き図18を参照すると、複数のアラームおよび/またはシステム助言が提示されるとき、送出システム2は、最高優先度の音声アラームを示す音声トーンをユーザ3に提示する。アラームおよび/または助言の視覚的表示は、それぞれの優先度順に最高から最低に、主モニタ表示70上のスマートアラームボックス80に列挙される。本発明の一実施形態では、アラームおよび助言は、以下のように優先度が付けられる:警告、注意、助言、そしてそれからクリアされたアラーム。これら各カテゴリ内では、アラームまたは助言は、それぞれの発生順によって優先度が付けられ、最も新しいものに最高の優先度が与えられる。UI1は、スマートアラームボックス80のブロック内の列中の上から下にアラームおよび助言を表示し、最高優先度のメッセージが列の最上部に表示される。多くのメッセージを表示するために、スマートアラームボックス80内に2列以上が必要な場合、最高優先度のメッセージが最も左側の列に表示される。各アラームメッセージおよび助言のシンボルまたはアイコンは、上述したように適切な色で、適切な背景色に対して提示され、アラームメッセージを含まないスマートアラームボックス80の残りの部分は、正常とは異なる色、またアラーム背景色とは異なる色(たとえば、黒)で表示される。図18は、優先度の付いたアラームおよび助言ブロックを含むスマートアラームボックス80の一表示例を示す。
【0091】
メンブレンキーパッド(図3)に設けられるアラーム消音ボタン13は、触れられると、現在アラームの音声信号を消音化させる。消音化は特定の期間行われ、アラーム消音ボタン13に続けて触れると、特定の最長消音時間限度まで延長することができる。一例として、ボタンを一度押下すると、アラームが60秒間消音化され、最初の60秒が経過する前に再び押下すると、消音時間秒読みにさらに60秒が追加され、押下する毎に、最長で合計消音時間秒読み180秒までさらに60秒が追加される。消音期間に残っている時間は表示され、それによってユーザ3はアラーム音の再発生を予想することができ、再びボタンを押下して消音期間を適時に延長することによってこのような再発生を防止することが可能である。最長消音時間限度は、ユーザ3が可聴アラームなしで作業を続けるようにするには、少なくとも時折、たとえば180秒毎に、ユーザ3に予測的な対応ステップを強制的にとらせるようにすることによってアラームの現在性を確実に認めさせる。
【0092】
消音期間中に新しいアラームが発生すると、現在の消音期間が終了し、それによって新しいアラームの音声信号および視覚信号を提示させる。このような新しいアラーム後にアラーム消音ボタン13を押下すると、新しい消音期間が開始される。現在の消音期間およびそこに表示される残り時間は、すべての現在アラームに適用される。
【0093】
図19は、日時および電力状態情報を含むバー83の一表示例を示す。日付および時刻81は、表示バー83の別の部分の中に表示してもよく、両方とも後述するシステム情報表示からユーザ3により設定することが可能である。システムのバッテリの現在充電レベルを示すアイコン81bも表示することができる。充電レベルのパーセント値81cも示すことができる。代替または追加として、残りのバッテリ充電でどれくらいシステムを実行することができるかを示す時間値を表示してもよい。これらバッテリ指示は、システムがバッテリ電力で動作しているときと、システムが外部電源で動作しているときとで別の色を有することができる。
【0094】
患者に提供されている補充O2の現在レベル(たとえば、ゼロ、低、中間、または高)も状態ボックス83に示すことができる。この情報は、水平のサーモメータバーとして図表で示すことも、またはO2流量を表す値としてテキストで示すこともできる。図19は、中間速度のO2流量(O2 flow)を示すサーモメータバーの一表示例も示している。
【0095】
図20は、患者情報表示110の一表示例を示す。患者情報表示110は、患者の体重、身長、年齢、および性別を入力するデータ入力ボックスを提供することができる。患者の氏名およびIDも入力データの一部であってもよい。体重、身長、年齢、および性別情報は、プロポフォール効果部位濃度情報を算出するためにシステムの目標制御注入アルゴリズムによって使用される。データは、適切なテキスト入力ボックスに触れ、メンブレンキーパッドまたはタッチスクリーンキーパッドを介して関連情報を入力することによってこの画面に入力することができる。体重および身長情報はkgあるいはlb単位で入力することができ、身長情報はcm、またはフィートおよびインチで入力することができる。kgボックスに情報を入力すると、計算された変換値がlbボックスに現れ、またその逆も同様である。cmボックスに情報を入力すると、計算された変換値がフィートボックスおびインチボックスに現れ、またその逆も同様である。男性/女性ボックスはトグルし、デフォルトではいずれも選択されていない。これら入力変換の利便性により、ユーザにどの値が入力されているか考えるよう求めることから、ユーザが患者情報について入力した値が一層確実になる。パラメータフィールドに表示されるデフォルトがないため、誤った値が、単にユーザが変更を怠ったデフォルト値であるというだけでシステムに使用されることが確実にないようされる。
【0096】
ユーザ3は、メンブレンキーパッド34(図3)上の患者情報(Patient Info)ボタンに触れることによって患者情報表示110にアクセスすることができ、患者情報表示110は、ポップアップウィンドウとして主モニタ表示70の上に提示することができる。所与の患者に対して鎮静および鎮痛が開始されると、患者情報表示110は変更できず、その代わりに、ユーザが鎮静および鎮痛処置中に患者情報ボタン17(図3)に触れると、現在患者のデータを報告するポップアップウィンドウ120(図21)が提示される。
【0097】
データのひどい誤入力に対するさらなるセキュリティの層として、送出システム2は、入力された体重を入力された身長、年齢、および性別と関連付けて誤入力を捕らえる体重計算図表を使用する。これは、薬物注入は入力された体重に基づいて計算される場合が多く、ユーザが患者の体重を誤入力すると深刻な結果になりうることから特に重要である。送出システム2は、これら計算図表を参照して、ユーザが入力した患者情報に対して特定のチェックを行い、入力の明らかな誤りを捕らえるために、計算図法チェックに一致しないあらゆる入力の確認をプロンプトを表示してユーザに促す。たとえば、ユーザが患者の年齢の値に2歳と入力し、同じ患者の体重の値に300パウンドを入力した場合、システムソフトウェアは、先に進む前に、入力をさらに確認するようプロンプトを表示してユーザに促す。しかし、ユーザの入力がソフトウェアによって確認されると、システムは、新しい処置の開始にあたり次のステップに進む。さらなるセキュリティ対策として、単位間の混乱による誤入力を防止するために、身長および体重の単位が、一般に使用される単位のうちの少なくとも2つの組で表示される。体重はkgあるいはパウンドで入力することができ、いずれの体重単位入力フィールドが使用されるかに関わりなく両方の単位で表示される。身長は、cmあるいはフィートおよびインチで入力することができ、いずれの身長単位入力フィールドが使用されるに関わりなく両方の単位で表示される。
【0098】
ユーザが心臓蘇生キットの不正開封防止シール(tamper-proof seal)をチェックしたことを示すチェックボックス、心臓蘇生細動除去器の存在および適切に機能することをチェックしたことを示すチェックボックス、およびユーザが追加のプロポフォール瓶を得たことを示すチェックボックスを含む特定のチェックボックスを、ユーザはシステムにより患者情報の入力が完了したとみなされる前にチェックしなければならない。細動除去器のチェックボックスは、細動除去器が心臓蘇生キットに収容されている場合、UI1から省くことができる。心臓蘇生キットのシールが破れていないことは、その心臓蘇生キットが最後に在庫補充、または証明されてから使用されていないことをユーザに示し、必要な救急用品が手元にあり、必要な場合に作動可能であるという保証をユーザおよび患者に与える。この使用前チェックシーケンスは、システムが鎮静薬または効力のある薬物を患者に投与し始める前に、前提条件が満たされているか確認するようユーザに求める。ユーザにこれらおよび他の行動をとることを思い出させることは、鎮静および鎮痛の送出の経験が少ない、または鎮静および鎮痛の送出を最近行っていなくても、患者の安全を危険に曝すことがないことを確実にする多重手段としての役割を果たす。
【0099】
再び図20を参照すると、患者データ入力中にキャンセルボタン112に触れると、トランザクションを取り消し、患者情報をそれまで格納されていたあらゆる値に戻す。OKボタン114に触れると、システムが、入力データが完全であり有効であることをチェックして確認する。患者情報が完全ではない場合、患者データエラーメッセージが表示され、完全な情報の入力をプロンプトを表示してユーザに促すことができる。身長、年齢、および体重それぞれに特定の推奨限度がシステムに提供される。ユーザにより入力された患者情報がこれら推奨限度を超える場合、患者データ警告メッセージが表示され、ユーザが患者情報表示110に戻ることによって入力を変更できるようにする。
【0100】
図21は、患者データ入力確認表示120の一表示例を示す。入力データが完全であり、送出システム2によって有効性についてチェックされると、ユーザの意図を確認するために、患者データ入力確認表示120がユーザに提示される。ユーザ3に一度入力されたデータを確認するよう求めることで、どうにかしてユーザ3に入力の誤りを見つけさせ、それによってユーザ入力ミスにより患者が被害を受ける危険性を低減する。また、患者データ入力確認表示120上、または別個の画面上で、鎮静および鎮痛の開始前に患者について考慮すべき特定の要素をユーザ3に思い出させることができる。薬物の投与を開始する前に、鎮静および鎮痛に関連するリスクに直接関係する完全な履歴および身体の検査の極めて重要な要素をユーザ3に思い出させることで、ユーザは、プロポフォールの投与を開始する前に、現在のセットアップを使用して患者を鎮静させることに問題を生じさせうる状況を捕らえることができる。
【0101】
図22は、プロポフォールパージIVセット確認表示130の一例を示す。ユーザ3がメンブレンキーパッド34(図3)上のパージIVセット(purge IV set)ボタン51を押下すると、また特定の前提条件が満たされると、プロポフォールパージIVセット確認表示130がユーザ3に提示される。これら前提条件としては、送出システム2のハウジングの所定位置に適切に装填された有効な薬物カセットがあること、およびカセットの所定位置に適切に装填された有効なプロポフォール瓶があることを含むことができる。ユーザ3がパージIVセット機能を起動しようとするときにこれら前提条件がみたされていない場合、UI1は適切なエラーメッセージを表示する。プロポフォールパージIVセット確認表示130は、パージプロセス中、患者を注入システムに接続してはならないことをユーザ3に思い出させる。送出システム2は、ユーザ3にこの注意を提示し、その後、ユーザ3がパージシーケンスを進めたいことを示した場合にのみ、パージシーケンスを進める。パージIVセットボタン51を押下すると、ユーザ3は、ただ2つの簡単な行動をとるだけでパージシーケンスを開始することができる:ハードキーを押下した後に、タッチボタンを介して確認する。次に、送出システム2は、ユーザ3によるその1つの行動後、予め選択され、経験的に決定された薬物量でIVセットを自動的にパージする。プライミングまたはパージのために薬物容器から抜き取られる薬物の量は、薬物制御モデルによって計算される、患者に投与された薬物量には加えられず、薬物残量を計算し、薬物容器の枯渇を予測するアルゴリズムの一貫として、容器から抜き出された総量に加えられる。
【0102】
送出システム2は、注入システムに接続された患者にプロポフォールを投与する前に特定の前提条件を確実に満たすようにさせる。ユーザ1が通常またはスタットプロポフォール投与機能を起動しようとすると、送出システム2は、これら前提条件が確実に満たされるようにチェックする。3つの薬物送出モードのいずれの初期起動の必要前提条件も、必要な患者データの入力および確認、心臓蘇生キットのシールが存在し、完全な状態にあることの確認、所定位置に適切に装填された有効なカセットの存在、所定位置に適切に装填された有効な瓶の存在、メインA/C電源の存在、少なくとも80%のシステムバッテリ充電の存在、機能する細動除去器の存在の確認、処置前に注入管の少なくとも一回のパージが行われたこと、管中に空気があるという指示がIVポンプによって検出されていないこと、および以下の信号:呼吸数、SpO2、および心拍数の少なくとも1つの存在、を含むことができる。前提条件のいずれかが満たされていない場合、送出システム2は投与を開始せず、満たされていない特定の条件の説明を含むプロポフォール投与エラーメッセージをユーザ3に表示する。エラートーンも再生することができる。
【0103】
図23は、通常モード投与量表示140の一例を示す。ユーザ3は、メンブレンキーパッド34(図3)のプロポフォール部分中の通常モードキー47を起動することにより、プロポフォールの目標効果部位濃度(ESC)、注入流量、またはレベルまでの一定の流量での増量を開始することができる。このキーを起動すると、通常モード投与量表示140がユーザ3に提示される。たとえば、この表示内で、選択された、または現在投与されているプロポフォールの現在ESCがタッチ入力データボックスに示される。デフォルトのESC、注入流量、または投与量0をタッチ入力データボックスに示すことができる。ユーザは、キーパッドを介して、またはいくつかの通常選択されるESCS、注入流量、または投与量を表す通常モード投与量表示上のボタンを通して新しいESC、注入流量、または投与量レベルを入力することができる。通常モード投与量表示は、計画ESCまたは投与量の図的表現142も含むことができる。薬物注入モードのアイコン表現142は、その薬物注入モードが何を実現しようと意図しているか、およびそれをどのように実現するかをユーザが容易に認識することができるように、モニタ表示70内のプロポフォール注入ボックス76に表示されるESCの計画グラフまたは投与量に類似しうる。画面上に与えられるプロポフォールの値が効果部位濃度に関連することをユーザ3に思い出せるため、またはそのことについてのユーザの認識を強化するため、効果部位を示すアイコン144(たとえば、効果部位が患者の脳にある場合、人の頭部の輪郭内に示された有色シンボル)も通常モード投与量表示140上に含めることができる。SpO2または呼吸数(後述)のパラメータ値が低い場合、あるいはARTに対する反応が遅い、またはない(上述)場合、システムがESC、注入流量、または投与量を低減する自動プロポフォール低減機能をユーザがオン/オフすることができるボックス146も投与量表示に含めることができる。ボックス146は、機能がアクティブである場合、自動低減が作動した理由をユーザに通知するのに十分なメッセージ148も含む。
【0104】
図24は、スタットモード投与量表示150の一表示例を示す。ユーザ3は、メンブレンキーパッド34のプロポフォール部分46におけるスタットモードキー49を起動することにより、可能な限りはやく目標ESCまたは投与量に到達できる速度でのプロポフォールの供給も開始することができる(この投与モードでは、目標ESCの過渡的過剰も起こり得る)。このキーが起動されると、スタットモード投与量表示150がユーザ3に提示される。この表示内で、選択された、または現在投与されている現在ESC、注入流量、またはプロポフォール投与量がタッチ入力データボックスに示される。デフォルトのESCまたは投与量0をタッチ入力データボックスに示すことができる。ユーザは、キーパッドを介して、またはいくつかの通常選択されるESCまたは投与量を表すスタットモード投与量表示150上のボタンを通して新しい濃度を入力することができる。スタットモード投与量表示150は、計画効果部位レベルの図的表現152も含むことができる。この表現152は、スタットモード薬物状態が何を実現しようと意図しているか、およびそれをどのように実現するかをユーザ3が容易に認識することができるように、プロポフォール注入ボックス76(図5)に表示される効果部位レベルの計画グラフに類似しうる。この図的表現152は、目標ESCの起こりうる過渡的過剰を表すこぶも含むことができる。さらに、ユーザ3に起こりうる過渡的過剰について注意喚起させるため、テキストメッセージボックス154もスタットモード投与量表示150に含めることができる。このような表現を使用して、スタットモードにより過渡的過剰が生じる恐れのあることをユーザ3に思い出させる。画面上に与えられるプロポフォールの値が効果部位濃度に関連することをユーザ3に思い出せるため、またはそのことについてのユーザの認識を強化するため、効果部位を示すアイコン156(たとえば、効果部位位置が患者の脳にある場合、人の頭部の輪郭内に示された有色シンボル)もスタットモード投与量表示150に含めることができる。SpO2または呼吸数(後述)のパラメータ値が低い場合、またはARTに対する反応が遅い、またはない(上述)場合、送出システム2がESCまたは投与量を低減する自動プロポフォール低減機能をユーザ3がオン/オフすることができるボックス158も投与量表示に含めることができる。このボックスは、機能がアクティブである場合、自動低減が作動した理由をユーザ3に通知するのに十分なメッセージ159も含む。しかし、スタットモードが目標ESCまたは投与量に到達しようとしている間、自動プロポフォールESCまたは投与量低減機能は送出システム2によってオフに切り換えられる。この行為が行われる前、かつこの行為が行われている間に、ユーザ3に送出システム2によるこの行為について注意喚起させるのに適したテキストメッセージボックス157が、スタットモード投与量表示150に含められる。
【0105】
図25は、自動プロポフォール低減オフ確認画面160の一表示例を示す。ユーザ3がいずれかの投与量表示から自動低減機能をディセーブルする場合、UI1は、投与量画面上にオーバーレイされる自動プロポフォール低減オフ確認画面160をユーザに提示する。ユーザ3が確認画面上のOKボタン162に触れると、送出システム2は自動プロポフォール低減のディセーブル化に進む。ディセーブルされると、自動プロポフォール低減は、ユーザ3が上述した同じ画面を移動することによって再度イネーブルするまでディセーブルされたままである。自動プロポフォール低減がディセーブルされている期間中、そのことについてのメッセージをスマートアラームボックス80(図5)の一部に表示することができ、それによって、ユーザ3は、デフォルトの自動プロポフォール低減機能が非アクティブであることに常に注意喚起される。UI1は常に、送出システムの安全アルゴリズムおよびデータセットへの有意な変更が行われたとき、ユーザ3に警告するとともに、このような変更が行われる前にユーザの確認を求める。自動低減機能がアクティブである場合であっても、送出システム2がスタット送出モードで薬物を投与しているとき、プロポフォールESCまたはレベルが上がる期間中にも同様のメッセージをユーザ3に表示することができ、これは、このようなESCまたはレベルの増大が続けられている間、送出システム2は一時的にこの機能を使用しなくなるためである。スタットモードおよび通常モードの両方において、ユーザ3がプロポフォールの新しい目標効果部位濃度を選択し、それから新しいESC目標を確認すると、UI1はESCのそれ以降の計画を更新し、それをプロポフォール注入ボックス76の計画目標効果部位グラフ76b(図12に関連して上述)に表示する。送出システム2が患者に投与するプロポフォールESCの実際の変更は、ユーザ3が各投与量モード表示上のOKボタンに触れる場合にのみ開始される。送出システム2は、ユーザが各投与量モード表示上のキャンセルボタンに触れた場合、患者に投与される現在のプロポフォールESCを変更しない。
【0106】
図26は、通常モード170およびスタットモード178の確認画面の表示例を示す。変更に先立って、入力されたプロポフォールESCは目標効果部位レベルのみであることを理解しているかユーザ3に確認させるため、中間表示170をユーザ3に提示することができる。このような実施形態が実施される場合、送出システム2は、ユーザ3が通常モード確認画面170上のOKボタン172に触れた後でのみ、現在のプロポフォールESCを変更する。これら確認画面は、通常送出モードおよびスタット送出モードそれぞれに固有であることができ、触れられると、プロポフォールレベルの効果部位制御の背後にある理論および前提をユーザ3に思い出させる別の表示を起動するボタン174を含むことができる。確認画面は、入力した値が誤りであったと認識した場合、その変更をキャンセルする機会をユーザに与えるように、ユーザが選択したESCを再表示することもできる。
【0107】
図27は、薬物注意画面180および警告画面184の表示例を示す。送出システム2は、目標にする前に、ユーザによるさらなる確認を要求しうる、特定の範囲のユーザ入力レベル、投与量、注入流量、または効果部位濃度を認識する。これら値は、システムのメモリ内に格納される安全データセットに表すことができる。たとえば、ユーザが入力したESCが、患者の年齢に釣り合った安全データセット中の特定の値(たとえば、70歳未満の患者の場合は4.0□g/cc、または70歳以上の患者の場合は3.0□g/cc)未満である場合、送出システム2はプロポフォール投与の開始プロセスに進む、すなわち、現在の投与レベルを変更するか、またはシステム開始画面(後述)を新しい処置の開始時に表示することになる。たとえば、ユーザが入力したESCがその特定の値を越えるが、第2の値(例えば、15□g/cc)未満である場合、UI1は、ユーザが入力した値が鎮静および鎮痛の場合のプロポフォール推奨値最大限度を超えるとユーザ3に注意を促す鎮静および鎮痛の薬物警告画面180をユーザ3に表示する。この画面は、入力されたESCを実現するユーザの意図を確認またはキャンセルするようユーザ3に促す。これは、注意を表すテキストに色(たとえば、黄色)の付いた背景を含むことができる。例えば、ユーザが入力したESCが第2の値を超えるが、まだ第3の値(たとえば、20□g/cc)未満である場合、システムは、ユーザが入力した値が全身麻酔のプロポフォール推奨値最大限度を越えるとユーザに警告する全身麻酔の場合の薬物警告画面184をユーザ3に表示する。この画面は、入力されたESCを実現するユーザの意図を確認またはキャンセルするようユーザ3に促す。これは、警告を表すテキストに色(たとえば、赤)の付いた背景を含むことができる。ユーザ3がこれら警告画面の1つで、ユーザが入力したレベル値を確認すると、送出システム2は、現在投与レベルを変更するか、またはUI1が新しい処置の開始時にシステム開始画面(後述)を表示する。ユーザ3が入力したESCが第3の値さえも超える場合、UI1は、プロポフォール超過エラーメッセージをユーザ3に表示し、投与量モード画面の表示に戻り、送出システム2は、ユーザ3が新しい、より低いESC値を入力するまでプロポフォールの投与の開始を許可しない。システムのこういった値のチェックおよび多重確認機能により、ユーザ3による不注意な入力が、送出システム2が患者への過量投与を引き起こすのに十分なプロポフォールレベルを投与するポイントまで気付かれずに進んでしまうリスクを大幅に低減することができる。
【0108】
適切なユーザ確認が行われると、UI1は主モニタ表示70に戻り、プロポフォール目標レベルボックス中の流量インジケータ76eおよびキーパッド34(図3)上のプロポフォールLED48が、定められたシーケンスおよび速度で動き始める、または発光し始める。ユーザ3は、上記画面を移動し、0の効果部位レベルを入力することにより、またはメンブレンキーパッド34(図3)のプロポフォール部分46内にあるプロポフォール停止ボタン53を押下することにより、いつでもプロポフォールの投与を打ち切ることができる。
【0109】
図28は、システム開始確認画面190の一例を示す。新たな患者にプロポフォールの最初の投与を開始するとき、UI1は、システムスタートアップシーケンス中の都合のよい時点でモニタおよびサブシステムをオンにすることをユーザ3に思い出させ、それによって、気を散らせる偽陽性アラームを発生させうるサブシステムの早まった起動(たとえば、加圧帯が患者に取り付けられる前のNIBP起動、または患者がハンドピースを握る前のART起動)、サブシステムの危険な起動(たとえば、呼吸に低酸素刺激を用いる患者に対する補充酸素の投与)、およびサブシステムの都合の悪い起動(たとえば、適切なときよりも先のプリント開始)を防止する。これら注意は、送出システム2が、開始中に、関連するモニタまたはサブシステムの1つが非アクティブであることを感知する場合、システム開始確認画面190の形でユーザ3に提示することができる。関連するモニタまたはサブシステムそれぞれのデフォルト設定は、ユーザがプロポフォールを患者に投与する前に、予測的に、または意識してこれらモニタまたはサブシステムをオフにすると決めなければならないように、アクティブであることができる。
【0110】
ユーザ3が、まずNIBPモニタを起動することなく、プロポフォール等の鎮静薬を投与しようとする場合、送出システム2は、プロポフォール投与の確認画面上でのユーザ3による確認後、NIBPモニタリングを自動的に開始する。
【0111】
図29は、ARTセットアップ選好表示200の一例を示す。ユーザ3は、メンブレンキーパッド34(図3)上の適切なボタンを押下してポップアップウィンドウを出すことによって、特定のモニタおよびサブシステムの選好を変更することができる。たとえば、ユーザ3がARTセットアップボタン62を押下すると、ポップアップARTセットアップ選好表示200が現れ、ユーザ3がART送出モード、間隔、および言語に関連する選好を変更できるようにする。ユーザ3は、送出システム2に反応性試験を自動的に施行させるか、それとも患者の反応性を手動で評価するようユーザ3に促すかを選択することができる。ユーザ3は、間隔選好の下で、反応性クエリサイクル間に過ぎる時間量を選択することができ、言語選好の下で、送出システム2が促す、または患者に問い合わせる言語を選択することができる。
【0112】
図30は、重要な患者パラメータの自動プリントアウトを送出システム2が生成する頻度をユーザ3が選択することができる、UI1によって提示可能なプリントセットアップ選好表示210の一例を示す。自動プリントは、プリントオン/オフボタン56c(図3)を介して、またはシステム開始確認画面を介して選択または選択解除することができる。
【0113】
図31は、スタットプリントアウト画面の一表示例を示す。この画面から、ユーザ3は、ボタン30を選択してテキストおよび/または数値データをプリントすることもでき、またはボタン32を選択して図表波形をプリントすることもできる。UI1のプリント機能は、さらなる時間および労力集約的な局面、すなわち、患者の生理学的パラメータ、または薬物注入ならびにこれらイベントが行われた時間等、臨床的介入の書面記録を保持することを低減することを目的としている。スタンドアロン型モニタに表示されているパラメータを読み取り、医療記録に手動で書き写すのには時間および労力がかかる。時には、介入が行われているとき、特に、正確な記録保持が最も重要である緊急時に、臨床医が忙しすぎて記録を保持することができず、事後に、誤りがちでありうる記憶に頼って何が行われたかを再構成しようと試みる必要がある。UI1は、生理学的モニタ、薬物送出システム2、およびプリンタと密に統合されているため、半自動化を介して、正確な医療記録の保持に必要な時間および労力の多くが低減される。
【0114】
図32は、NIBP測定が送出システム2によって行われる頻度をユーザ3が選択することができる、送出システム2によって提示されうるNIBPセットアップ選好表示220の一例を示す。測定の間隔は、連続(continuous)に設定して送出システム2に前の測定直後に新しい測定を自動的に行わせることができる。送出システム2は、設定された時間量後にUI表示から古くなったNIBPデータを消去することもできる。
【0115】
図33は、他の表示のチャートおよびグラフ上の変更可能な各スケールのスケール範囲をユーザ3が選択することができる、送出システム2によって提示されうるスケールセットアップ選好表示230の一例を示す。スケールおよび現在データへの対応する変更を主モニタ表示70(図5)に示すことができる。各スケールは、システムソフトウェアに提供される限度内の値に変更することが可能である。ユーザ3がこれら限度外の値を選択する場合、スケール限度エラーメッセージが表示される。適正な表示データ分解能を確保するため、スケール最大値は、少なくとも、スケール最小値よりも特定数の単位分大きい必要がありうる。送出システム2は、変更を実現するようにスケールを自動的に調整することができる。この単位数は患者パラメータに応じて様々であり、システムソフトウェアに含められる。ユーザが予め設定された各パラメータの範囲を越えるスケール最小値および最大値を選択する場合、適切なエラーメッセージをユーザに表示することができる。
【0116】
図34は、可聴出力のボリューム、たとえば、患者への各ART音声提供、アラームおよび助言を表すトーンのボリューム、ならびにパルス/SpO2トーンのボリューム等をユーザ3が選択することができる、またUI1によって提供されうる音声ボリュームセットアップ表示240の一例を示す。パルス/SpO2トーンのボリュームのみ、この選好画面でゼロに設定することが可能である。
【0117】
メンブレンキーパッド34(図3)上のシステム情報(system info)ボタン43を押下すると、UI1はシステム情報表示も提供することができ、ユーザ3が、日付、時刻、システムコンソール上に提示される言語、およびコンソール表示画面の輝度制御のいずれか1つまたは複数を変更できるようにする。送出システム2は、コンソール言語に対する変更が、患者へのART提示に使用される言語と同時に行うことができるようにセットアップすることができる。
【0118】
図35は、ユーザ3がメンブレンキーパッド34(図3)上のアラーム設定(alarm settings)ボタン45を押下すると、主モニタ表示70(図5)の上にポップアップウィンドウとして提示することができるアラーム設定表示250の一例を示す。ソフトウェアは各アラームにデフォルト限度を含むが、ユーザは、システム内で限度を変更するいくらかの自由を有する。ユーザ3は、対応するテキスト入力ボックスに触れ、キーパッド36図3)を使用して新しい値を入力することにより、各アラーム限度(たとえば、警告上限、注意上限、注意下限、警告下限)に新しい値を入力することができる。入力された値は、キャンセルボタン252に触れることによって取り消すことが可能であり、これにより、アラーム設定表示250が除去され、変更が行われていない主モニタ表示70を前面に戻す。デフォルトリセット(reset defaults)ボタン254に触れると、すべてのアラーム限度値がそれぞれのデフォルト値に変更される。
【0119】
図36は、アラーム限度エラーメッセージ260の一例を示す。重要な生理学的パラメータそれぞれの注意アラームおよび警告アラームの限度は、安全データセットに格納される。ユーザ3が、そのパラメータの安全データセットに格納されている範囲限度外のアラーム限度を入力する場合、アラーム限度エラーメッセージ260がユーザ3に表示され、新しいアラーム限度の入力をユーザ3に促す。
【0120】
ユーザ3が特定の生理学的パラメータのアラーム上限のテキスト入力ボックスに入力した値が、アラーム下限(警告または注意)の値未満の場合、UI1は適切なエラーメッセージをユーザ3に提示する。ユーザ3が特定の生理学的パラメータのアラーム下限のテキスト入力ボックスに入力した値が、アラーム上限(警告または注意)の値よりも大きい場合、適切なエラーメッセージがユーザ3に提示される。
【0121】
ユーザ3が警告アラーム上限に入力した値が注意アラーム上限の値未満の場合、注意アラーム上限はあるレベル、たとえば、警告アラーム上限よりも1単位分低いレベルにリセットされる。ユーザ3が注意アラーム上限に入力した値が警告アラーム上限の値よりも大きい場合、警告アラーム上限はあるレベル、たとえば、注意アラーム上限よりも1単位分上のレベルにリセットされる。
【0122】
ユーザ3が警告アラーム下限に入力した値が、対応する黄色注意アラーム下限に入力した値よりも大きい場合、黄色注意アラーム下限はあるレベル、たとえば、赤色警告アラーム下限の1単位分上のレベルにリセットされる。黄色注意アラーム下限に入力された値が、赤色警告アラーム下限の値未満である場合、赤色警告アラーム下限はあるレベル、たとえば、黄色注意アラーム下限の1単位分下のレベルにリセットされる。
【0123】
現在のアラーム限度を主モニタ表示70上に表示するか否かの選択肢をユーザ3に与えることができる。アラーム限度を表示するボタンをアラーム設定表示250(図35)に表示することができる。このボタンがオンに切り換えられているとき、最も警告レベルのパラメータのアラーム限度が、図5に関連して上述した主モニタ表示70上のそれぞれのパラメータデータボックス82に表示される。
【0124】
可聴アラーム信号のボリュームも、アップおよびダウンのボリューム調整ボタンを介してアラーム設定表示250から制御することが可能である。アラームボリュームは、ダウンボリューム調整ボタンを使用することでゼロまで下がらないようにすることができる。ユーザ3がアラームボリューム調整を変更すると、新しいボリュームで短い音を再生することによって新しいボリュームレベルがユーザ3に提示される。
【0125】
図37は、メンブレンキーパッド34(図3)上のアラーム一時停止ボタン11を押下することによって、主モニタ表示70(図5)の上に持ってくることができるポップアップウィンドウであることができるアラーム一時停止確認表示270の一例を示す。特定の患者モニタに関連するパラメータアラームおよび助言は、患者信号が検出されない期間中、システムにより一時停止するよう設定することができる。ユーザ3は、アラーム一時停止確認表示270上の対応するタッチボタンにより、またはアラーム一時停止ボタン11を押下した後に、一時停止可能な各アラーム毎にこの選択肢を選択することができる。モニタが一時停止機能によってディセーブルされた後、患者信号が関連するパラメータセンタで検出された場合、そのパラメータのアラームを鳴らすことができ、またそのモニタに関連する助言を自動的に再起動することができる。ユーザ3は、アラーム一時停止確認表示270上の対応するアクティブボタン272に触れることによってアラームおよび助言を手動で再起動することもできる。
【0126】
ECG信号が利用可能ではない場合、ユーザに表示される心拍数示度(ひいては心拍数アラームアルゴリズムへの入力)のソースは、ECGモニタから、利用可能であればパルスオキシメータに切り換えられる。同様に、パルスオキシメータ信号が利用可能ではない場合、心拍数示度(およびアラーム入力)のソースは、利用可能であればECGモニタに切り替えられる。モニタ、たとえばNIBPモニタ、CO2モニタ、SpO2モニタ、およびECGモニタが一時停止中である、機能していない、オフになっている、または存在しないことにより利用することができないいずれのパラメータにも、示度なしの指示(たとえば、「−−−」)が、主モニタ表示70(図5)上の関連するパラメータボックス82に示される。一時停止である、機能していない、オフになっている、または存在しないモニタから導き出されるパラメータの表示を除去することで、もし表示されているならば、古いパラメータを、患者の現在の生理学的状態を示す最近のデータとして誤って解釈してしまい、ユーザが、対応するモニタがオンになっており、NIBPモニタに関して先に述べたように機能していると思い込んでしまうことを防止する。しかし、一時停止中のモニタからのデータがないことを履歴ボックスに引き続き表示して、ユーザにいつモニタが一時停止またはオフになっていたかを知らせることができる。また、装置が一時停止している場合、ラベル「SUSPENDED(一時停止)」が、主モニタ表示70上に関連するリアルタイムデータボックス72があればそこに表示される。
【0127】
送出システム2のスタートアッププロセスの一貫として、ユーザ3に案内画面、次に患者情報表示、次に患者情報確認表示、そして最後に主モニタ表示70(図5)を提示することができる。システムスタートアップシーケンス後、表示画面の選択はユーザの自由である。
【0128】
ユーザ3は、メンブレンキーパッド34(図3)上の新規ケースボタン15を押下することによって新しい処置を開始することができる。送出システム2が、処置においてプロポフォールを開始した後いつでも、新しいカセットを検出した場合、UI1は、カセットの使用が6時間未満であれば、新しいケースを開始する前に、(ケース終了キー19を押下することにより)前回の処置を適切に終了することをユーザ3に思い出させる。カセットが6時間使用されている場合、UI1は、カセットを交換し、患者がなお同じ患者であるかどうか、またケースが終了してないことを確認するようユーザ3に促す。ユーザ3が処置の終了を選択したことを受けて、送出システム2は、ケース情報の最終的なプリントアウト(プリントがイネーブルされている場合)した後に、前回の患者のデータをすべてメモリからクリアさせ、変更可能なシステム設定をそれぞれのデフォルト値にリセットする。次に、送出システム2は、患者情報表示110(図20に関連して上述)を提示することによってシステムスタートアッププロセスを繰り返す。
【0129】
送出システム2は、送出システム2がアクティブである間、ユーザがケース終了ボタン19またはメンブレンキーパッド34(図3)上のオン/オフボタン38を押下するときはいつでもケース終了を記録する。ケース終了が記録されると、送出システム2は、ユーザにシャットダウン確認表示を提示することによってシャットダウンするユーザの意図を確認する。次に、ユーザ3は、送出システム2がプロポフォールの投与をやめ、ARTおよびNIBPの施行をやめ、患者データの最終報告書をプリントする(プリントがイネーブルされている場合)ことになるケース終了をボタンに触れて承認しなければならない。
【0130】
送出システム2は、すべてのアクティブな健康状態モニタ(ECG、パルスオキシメータ、およびカプノメータ)からデータが検出されないときもケース終了を記録する。このような場合、ユーザ3に送出システム2をシャットダウンするか、すべてのアラームをある期間一時停止し、その後、送出システム2がカセットを無効とみなす前に固定数(たとえば、5)の追加アラーム一時停止のみを許可するという選択肢をユーザ3に与えるケース終了確認表示がユーザ3に提示される。一時停止期間後もなおデータが検出されない場合、送出システム2は自動的にシャットダウンモードになる。
【0131】
瓶の合計最長使用時間量(たとえば、6時間)が、任意特定の処置において、送出システム2によって許される。この時間量が過ぎると、瓶の時間限度を越えたことを示す助言アラームが生成される。カセットの最長使用時間量が過ぎた場合も、同様の助言アラームが生成される。
【0132】
AC電力が失われた場合、システム助言(上述)がユーザ3に提供される。UI1は、残りのバッテリ電力が特定のレベル(たとえば、残りの動作6分)よりも下に下がった場合、適切なメッセージでユーザ3に注意喚起することもできる。送出システム2は、残りのバッテリ電力が特定のレベル(たとえば、残りの動作5分)よりも下に下がった場合はいつでも、患者へのプロポフォールの投与を停止し、ユーザ3に適切なメッセージを提供するようにセットアップすることも可能である。したがって、送出システム2は、回復を通して患者を安全に見るのに十分な時間量、動作し続ける。送出システム2の電子的コントローラが故障した場合、可聴アラームが鳴り、システム故障LED64が発光する(図3)。送出システム2は、故障するときには安全な状態となるようにする。すなわち、プロポフォール流量はオフであり、新しいNIBP測定は開始されず、進行中のNIBP測定はいずれも中止されてNIBP加圧帯が減圧され、補充酸素は定常流量(酸素が故障時に投与されていた場合)となる。その際、補充O2を限られた時間量、投与して、それからやめることができる。
【0133】
所与のパラメータモニタがまず患者に接続された後、そのモニタからデータなしの状態が2分を越える場合(上述したようにユーザがそのモニタを一時停止していない場合)、UI1はモニタエラー表示をユーザ3に表示するであろう。この表示から、ユーザ3は、アラームまたは助言がそれ以上そのパラメータに関して提示しないことを選択する、すなわち、患者データがモニタから検出されない限り、そのパラメータのアラームを一時停止するという選択肢を有する。そして、適切なメッセージ(たとえば、ダッシュのセット「−−−」)が、主モニタ表示70上の対応するパラメータボックスに表示され、パラメータがシステムによって監視されていないことを示すとともに、メッセージも関連するリアルタイムデータボックス72に表示される。
【技術分野】
【0001】
本願は、米国特許法119条(e)の下で、2001年11月1日に出願され、その全体が参照により本明細書に援用される米国特許出願第60/330,853号に対する優先権を主張するものである。
【0002】
[発明の分野]
本発明は、包括的には、医療装置制御の分野および臨床医(一人または複数)が同時に複数の作業を遂行することができる患者−臨床医−機械システム内での相互作用を向上させる分野に関する。より詳細には、本発明は、鎮静および鎮痛送出システム等の医療装置のユーザインタフェースおよび制御方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[発明の背景]
臨床医用にユーザインタフェース(UI)を設計することは、多くの臨床医が広範囲にわたる勤務時間中に座る時間または忍耐を有してない場合があるため、特に扱いにくい課題である。臨床医の中での一観点によれば、ある緊急の状況では、そのマニュアルがすぐに手に入らないか、臨床医がそれについて十分に訓練を受けていない、すなわち技能維持に最近その装置を使用していないときに、装置の操作が必要となる可能性があるため、医療装置の操作にマニュアルを読む必要があるならば、その装置の設計者は落第である。多くの医療装置は、この実際的な現実世界での直観性および有用性の定義を欠いている。有用性が不十分であることが臨床処置の最終的な結果に影響する可能性があるとすると、臨床医のニーズを見越した、うまく設計されたユーザインタフェースが極めて重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
安価なマイクロプロセッサの出現に伴い、ソフトウェアにプログラムされたUIの柔軟性および性能により、より多くのコマンドを実装し、より多くの選択肢および動作モードをユーザに提供するUIを設計する可能性が開けた。しかしながら、既存の特定の装置のインタフェースでは、こういったコマンドはサブメニューという多くの階層レベルの下に隠れ、ユーザに対してすぐに、または直観的に明確になっていないものがある。一方で、コマンドセットがキーパッドまたは論理的なメニュー構造において臨床の観点から論理的にグループ化されていない場合があり、そのため、ユーザが複数のボタンおよびサブメニュー選択肢を移動する際に道筋に迷う恐れがある。同様に、複数の操作モードが、現在実行されている操作モードをたどることをできなくなるユーザを混乱させる恐れがある。たとえば、実際の患者に接続されているのに、不注意でシミュレーションモードで実行されている生理学的モニタはユーザを混乱させる恐れがあり、モニタに表示されているデータが、モニタに接続されている患者からのデータではなくシミュレーションデータであった場合、危険である。
【0005】
タッチスクリーン入力デバイスは、新たなハードキーまたは入力デバイスを追加する必要なく、実質的に無限数のタッチスクリーンボタンまたはデータ入力ボックス、ならびに急場しのぎのソフトウェアでの追加物を実装する能力を含め、UI設計者に柔軟性をもたらす。したがって、タッチスクリーンによって制御されるデバイスは、関連するハードキーの数が少ないという傾向を有する。ユーザインタフェース設計の技術分野では、競合する要因のバランスを慎重にとることが必要である。たとえば、タッチスクリーンキーへの依存度が増すと、サイズの限られた1つの画面上にすべてのキーを表示することは通常許されないため、サブメニューの階層レベルの数が多くなることにつながりうる。しかしながら、ハードキーの数が少ない場合には、医療装置がタッチスクリーンキーに依存してしまい、タッチスクリーンが誤作動した場合にその医療装置が作動しなくなり、ユーザがもはやシステムの動作を制御することができなくなることを意味する。
【0006】
既存の医療装置に伴うさらに別の例では、別々の生理学的モニタが、互いに通信しないスタンドアロン型ユニットである場合がある。スタンドアロン型モニタは、異なる場所にある異なる機器の異なる位置に配置される可能性があるため、手術場所に基づいて複数のオフィスで開業している臨床医が、たとえば心電図を検査するために施設ごとに異なる場所を見る必要がある場合があり、これは決して望ましい状況ではない。複数の生理学的パラメータ(たとえば、心電図、パルスオキシメトリデータ、非侵襲性血圧、およびカプノメトリの読み)を監視しなければならないことを考えると、入手可能なデータを見つける臨床医の能力ですらかなり限定される恐れがあり、ましてやリアルタイムベースで関連情報を認知的に統合して解析することなどできない。さらに、麻酔機の例を用いると、送出サブシステムの監視される機器パラメータ(たとえば、O2およびN2Oの浮子式ロタメータセッティングによって設定される吸入酸素濃度)が、これに対応する監視中の生理学的パラメータである動脈血中酸素飽和度、SpO2から物理的に切り離される恐れがある。一例として、監視されるSpO2値は、送出される吸入酸素濃度(FiO2)の状況の中で解釈されるべきである。したがって、FiO2セッティング(機器パラメータ)とSpO2の表示(関連する生理学的パラメータ)が切り離されること、およびより一般的には医療装置において治療と監視されている対応するパラメータとが切り離されることは望ましくない。
【0007】
UIは、操作の透明性を向上させるため、ならびにユーザの要求が実行されたフィードバックを提供するために、医療装置の内部機能へのウィンドウとしての重要な機能を有することができる。透明性欠如の一例として、多くの既存の患者監視装置では、モニタの電源が切られたかまたはモニタが待機モードになっているときでさえ、断続的に取り込まれた古いデータが表示され続ける。ユーザがモニタの電源を切った後で再び電源を入れるのを忘れた場合、UIに、極めて重要な診断の決定および治療の決定に関連するその時の生理学的データが表示されているとユーザが勘違いする恐れがある。
【0008】
適切に設計されたUIは、臨床医−機械−患者システム内の相互作用を高めるべきである。ユーザの認知的な作業負荷または「データ過負荷」を軽減するために、UIは、生データを提示する代わりに、すでに処理されて一見して理解することができる意味のある情報になったデータを提示し、それによって適時の決定支援をユーザに提供すべきである。
【0009】
ユーザエラーは、わかりやすく明白な制御機構および入力デバイスによって回避することができる。しかしながら、現在のUI設計には他の故障モードが存在する。たとえば、デフォルト設定が、注入ポンプによって実証されているように小事故の原因となる場合がある。ユーザが、実際には、実際の薬物濃度よりも低いデフォルト濃度を誤って受け入れてしまうと、薬物の過剰投与、そして死亡に繋がる。単位(units)間の混乱もまた、特に、重量が薬物注入流量の算出に使用されることがある状況でエラーの原因になる可能性がある。
【0010】
UIは、記憶の負荷を低減するだけではなく、ユーザの忘れっぽさ、不正確なデータ入力、および判断力のなさを補うべきである。現在のUIによっては、複数のアラームがある場合に、時にはイライラさせるアラームの不協和音の真っ直中でどのパラメータ警報を出しているかを特定する際、ならびに最も優先度の高いアラームを決定する際に、装置の環境または表示をサーチする必要がある。現在のUI設計でのアラームは時折、脈絡なくアラームを生成することがある。たとえば、患者が医療装置に接続されていないとき、または処置の終わりにおいて患者が装置から外されようとするときにアラームが鳴ることがあり、これらはアラームが、すでにわかっている何かをユーザに伝えることで迷惑になるアラームのこの上ない例である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
[発明の概要]
本発明は、鎮静および鎮痛についての経験があったり、またはなかったりする臨床医がシステムを容易かつ安全に操作できるようにする、鎮静および鎮痛送出システムのユーザインタフェースを包含する。このユーザインタフェースは、鎮静および鎮痛処置に関わるプロセスについて、またはこのプロセスと相互作用する情報を示す、いくつかは状況依存式であることができる、いくつかの異なるウィンドウを表示可能なタッチスクリーン等の対話式装置と、タッチスクリーン上に何が表示されているかに関わりなく、システムの主要機能を起動または停止するいくつかのボタンからなる別個のキーパッドとからなる。表示は、Deep Video Imagingから入手できるもの等、高いデータ密度を実現しやすくする多層ディスプレイであってもよい。
【0012】
UIの表示は、患者モニタからのデータ(たとえば、心拍数、血圧、SpO2、ETCO2、および自動反応性試験(「ART」))および治療データ、すなわち薬物およびガスの送出に関連する情報を両方とも単一の画面上に配置し、この情報はグループ化されて、意味のある認知的な枠組みをユーザに提供する。たとえば、心臓血管/血流力学システムを理解する基礎を提供する、監視される生理学的パラメータが、単一のかたまり、まとまり、または単一のラインにグループ化される。同様に、情報は、酸素供給状態、換気状態、および薬物の作用を解析するユーザのメンタルモデルの実現に役立つように一緒にグループ化される。データは、処置全体を通して常に更新される。メンタルモデルの実現に役立つ状況では、患者パラメータの現在データは数値および図表波形の両方として表示される。ユーザによる参照および比較のため、ならびに傾向検出のために、履歴データも提示される。履歴データは、心拍数、SpO2、およびEtCO2の量および変化率についての情報を提供し、緊急時に助けに来た、または手術もしくは他の処置に専念していた臨床医が患者の状態を一見して迅速に評価することができるようにする。
【0013】
UIは、タッチスクリーンの組織配列上で、ユーザが各種ソースから報告されたデータを容易に比較することができるように患者のデータを表示する。そして、ユーザは、器具で一杯の部屋を見回して、異なるデータ間の関連付けまたは相互確認を行う必要がない。さらに、UIは、治療制御およびモニタデータを同じUI上に提示しながら、情報の組織配列ならびに色分けも利用する。たとえば、システムは、一貫したタイムラインに沿った薬物動態学的計算に基づいて、生理学的データ(たとえば、心拍数、SpO2、ECG、CO2等)の表示を薬物レベルの表示と統合し、それによってユーザがこれらパラメータを相互に関連付けられるようにする。
【0014】
UIは、患者状態アラームおよびシステム助言の容易な管理および提示を可能にする。UIの表示は、現在のアラームおよび助言のすべてがそれぞれの優先度に従って表示される専用部分を含む。ユーザは、画面上の1つの中心場所を見る必要があるだけであるため、すべてのアクティブな警告に遅れをとることがない。UIは、アラームおよび助言に、限られた時間の間ユーザが消音化することができる何重もの(redundant)音声警告をも提供する。警告を忘れないのを確実にするため、ユーザには消音化アラームに残っている残り時間が提示されるが、ユーザは、音声警告が鳴らないようにする予測的な(proactive)ステップを行わなければならない。
【0015】
鎮静および鎮痛処置の準備および施行(administration)中、ユーザが極めて重要な設定を変更するとき、入力エラーの可能性を低減するために、UIはユーザの行為を確認するプロンプトをユーザに表示する。ユーザには、要求された特定の行為の結果リストが提示され、システムが薬物を患者に投与する前に、鎮静および鎮痛の安全のための特定の必要前提条件が満たされているかチェックすることを思い出させる。
【0016】
システムは、有毒になる可能性のある薬物の用量の入力、一貫しない患者データの入力、または必要前提条件を最初に満たさずしての鎮静および鎮痛の開始等、ユーザが患者にとって危険である可能性のある特定の行為をとる場合、UIを介してユーザに警告し、鎮静および鎮痛の進行を許可しない。しかしながら、システムの設計はまた、「臨床医が一番よくわかっている」という見解に従う。換言すれば、ソフトウェアに考えられるすべての条件の組み合わせ、および条件の順列を見越させようと試みるのではなく、設計は、前もって、考えられる臨床状況をすべて見越すことができるわけではなく、適切なデータが与えられている場合、患者を引き受けている臨床医のほうが、予め定められたシステムアルゴリズムよりも良好な判断を下すということを認めている。
【0017】
鎮静および鎮痛中に薬物の滴定を行うなど時間および労力集約的な作業は、臨床上の発見的方法(heuristics)ならびにとりわけ薬物動態学モデルおよび目標制御静脈薬物注入に基づくことができる薬物状態モデルを賢く使用することによって部分的に自動化される。薬物注入の停止のような、安全な作用をもたらす可能性の高い行為のみが自動化される。目標制御注入(TCI)もまた、ユーザが時間の経過に伴う所望の注入流量プロファイルを算出する必要がある代わりに(これは、行うことが非常に難しく、また実施が面倒であり時間がかかる)、ユーザインタフェースが、TCIアルゴリズムと併せて、鎮静および鎮痛中に薬物の滴定を行うユーザフレンドリな方法および時間および労力集約度がはるかに低い方法を提供するため、ユーザインタフェースを向上させる方法の1つである。
【0018】
目標制御注入および臨床上の発見的方法は、薬物状態モデルで組み合わせられる。薬物状態モデルは、鎮静および鎮痛送出システムのUI、ARTモニタ、および薬物送出装置にも密に統合され、不注意により患者が意識不明に陥ってしまうことの回避に必要な時間および労力を低減する。
【0019】
臨床医によっては、コンピュータシステムが人間による監督なしで効力のある薬物の送出を制御することに疑いを持っている者もいる。UIは、適切な人間による監督になお対応しながら、薬物の滴定を行うなど時間および労力集約的な繰り返し作業を低減するなど、臨床上の発見的方法によってコンピュータ制御の恩恵を提供するシステム設計をサポートする。
【0020】
反対に、過度に保守的で安全偏重の臨床上の発見的方法アルゴリズムは、当面の疼痛処置を見越して、刺激を受けていない患者には意識消失を引き起こすであろう量の薬物を意図的に与えるなど、ユーザが特定の行為を実行しないようにして処置の臨床過程を妨害する場合がある。UIは、場合によっては、その前にメッセージをユーザに提供して本当にこれを行いたいのか確認し、また臨床医が安全偏重の発見的方法およびアルゴリズムをオーバーライドできるようにし、同様に提案されている行為の結果を説明することによってこのような臨床状況を見越す。
【0021】
UIは、特定のデフォルトが放棄されたことにシステムの考えられるユーザすべてが気付くことができるように、システムの設定に対して行われたあらゆる変更についての常時通知も提示する。多くの場合、システムの現在の状態またはシステムの機能の予期される達成についてのユーザの知識は、同じ情報の特性を示す何重ものアイコンおよびテキストをUIが表示することによって強化される。
【0022】
鎮静および鎮痛または麻酔薬および滴定薬を送出するという施行に時間のかかる局面の多くは、制御ソフトウェアにプログラムされた臨床上の発見的方法および薬物状態モデルを使用して自動化される。UIは、ユーザが医療装置をその潜在能力を最高まで使用することを妨げないように、ユーザが予めプログラムされた発見的方法をオーバーライドできるようにしながら、臨床上の発見的方法アルゴリズムおよび目標制御注入に対応するように設計される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明によるユーザインタフェースと併用する鎮静および鎮痛システムの一実施形態を表すブロック図を示す。
【図2】本発明の表示と併用可能なタッチセンシティブボタンおよびテキスト入力タッチボックスの例を示す。
【図3】本発明の一実施形態によるキーパッドの一例を示す。
【図4】本発明の一実施形態による患者の呼吸圧曲線の一例を示す。
【図5】本発明の一実施形態によるユーザインタフェースのモニタ表示の一例を示す。
【図6】本発明の一実施形態による心臓血管パラメータボックスの表示例を示す。
【図7】本発明の一実施形態による酸素パラメータボックスおよびCO2パラメータボックスの表示例を示す。
【図8】本発明の一実施形態による、ユーザが変更した非デフォルトのアラーム設定を表示するパラメータデータボックスの一表示例を示す。
【図9】本発明の一実施形態による、2つのパラメータに対する注意および警告アラームがアクティブになっているパラメータボックスの一表示例を示す。
【図10】本発明の一実施形態によるリアルタイムデータボックスの表示例を示す。
【図11】本発明の一実施形態によるパラメータ履歴ボックスの表示例を示す。
【図12】本発明の一実施形態によるプロポフォール注入ボックスの一表示例を示す。
【図13】本発明の一実施形態によるプロポフォール注入ボックスの別の表示例を示す。
【図14】本発明の一実施形態によるモニタ表示のART履歴セクションの一表示例を示す。
【図15】本発明の一実施形態によるモニタ表示のART状態セクションの表示例を示す。
【図16】本発明の一実施形態による減量確認メッセージの一表示例を示す。
【図17】本発明の一実施形態による反応性チェックメッセージの一表示例を示す。
【図18】本発明の一実施形態によるアクティブアラームおよび助言を示すスマートアラームボックスの一表示例を示す。
【図19】時刻、日付、および電力状態情報、ならびにO2流量を表すサーモメータバーを含む、モニタ表示のセクションの一表示例を示す。
【図20】本発明の一実施形態による患者情報表示の一例を示す。
【図21】本発明の一実施形態による患者データ入力確認表示の一例を示す。
【図22】本発明の一実施形態によるパージIV設定確認表示の一例を示す。
【図23】本発明の一実施形態による通常モード投与量表示の一例を示す。
【図24】本発明の一実施形態によるスタットモード投与量表示の一例を示す。
【図25】本発明の一実施形態による薬物警告画面の表示例を示す。
【図26】本発明の一実施形態による通常モード確認画面およびスタットモード確認画面の表示例を示す。
【図27】本発明の一実施形態による自動プロポフォール減量停止確認画面の一表示例を示す。
【図28】本発明の一実施形態によるシステム開始確認画面の一表示例を示す。
【図29】本発明の一実施形態によるARTセットアップ選好表示の一例を示す。
【図30】本発明の一実施形態によるプリントセットアップ選好表示の一例を示す。
【図31】本発明の一実施形態によるスタットプリントアウト画面の一表示例を示す。
【図32】本発明の一実施形態によるNIBPセットアップ選好表示の一例を示す。
【図33】本発明の一実施形態によるスケールセットアップ選好表示の一例を示す。
【図34】本発明の一実施形態による音声ボリュームセットアップ表示の一例を示す。
【図35】本発明の一実施形態によるアラーム設定表示の一例を示す。
【図36】本発明の一実施形態によるアラーム限度エラーメッセージの一表示例を示す。
【図37】本発明の一実施形態による保留アラーム確認表示の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[発明の詳細な説明]
機能的に鎮静および鎮痛送出システムに統合することができるユーザインタフェース(UI)について本明細書に述べる。このような鎮静および鎮痛送出システムの一例は、1999年6月3日に出願され、その全体が参照により本明細書に援用される米国特許出願第09/324,759号に記載されている。
【0025】
出願第09/324,759号の鎮静および鎮痛システムは、患者に接続され、患者の少なくとも1つの生理学的状況を反映した信号を生成するようになっている患者健康状態モニタデバイスと、1つまたは複数の薬物を患者に供給する薬物送出コントローラと、患者の監視される少なくとも1つの生理学的状況の安全なパラメータおよび望ましくないパラメータを反映した安全データセットを格納したメモリデバイスと、患者健康状態モニタ、薬物送出コントローラ、および安全データセットを格納したメモリデバイスの間に相互接続される電子的コントローラと、を備え、上記電子的コントローラは上記信号を受け取り、これに応答して、安全データセットに従って薬物の適用を管理する。
【0026】
図1は、UI1、電子的コントローラ4、周辺機器5、電源6、患者インタフェース7、および薬物送出器9を備えた、本発明によるこのような鎮静および鎮痛システム2の一実施形態を表すブロック図を示し、鎮静および鎮痛システム2は、鎮静および/または鎮痛を患者8に提供するためにユーザ3によって操作される。本発明のUI1と併用する鎮静および鎮痛送出システム2は、取り外し可能な、または使い捨ての薬物瓶とともに使用してもよく、また再利用可能な、または使い捨ての薬物カセットとともに使用してもよい。送出システム2には、患者8の患者インタフェース7の一例である自動化反応性試験(ART)を設けてもよい。送出システム2のART機能の例は、2001年12月28日に出願され、参照により本明細書に援用される米国特許出願第60/342,773号に記載されている。
【0027】
プロポフォール、レミフェンタニル、ケタミン、デキサメデトミジン、フェンタニル、モルヒネ、亜酸化窒素等の様々な薬物を送出システム1によって投与する、または送出システム1と併せて使用することができる。単に例示を目的として、UI1は本明細書では、プロポフォールを投与するシステムと併せて使用することができるものとして説明する。UI1は、臨床医ユーザ3に、予測される薬物の効果部位濃度を変更する注入アルゴリズムを含め、鎮静および鎮痛送出システム2の様々な特徴および能力の制御を提供する。このような特徴の例としては、2002年7月31日に出願され、参照により本明細書に援用される米国特許出願第10/208,183号に記載の薬物送出モードおよび薬物状態(state)が挙げられる。
【0028】
UI1の態様の多くは、鎮静および鎮痛の経験があったり、またはなかったりする臨床医にとって、おそらく複数の作業を行いながら、鎮静および鎮痛送出システム2を容易に操作するのに有用なように設計される。このような有用性を提供するUI1の1つの一般的な特徴は、送出システム2の安全アルゴリズムがそれぞれのデフォルト設定から変更されたときはいつでもユーザ3に一貫して常時警告することである。UI1の別の一般的な特徴は、真に意図する行為のみが送出システム2によって実施されることをチェックするさらなる機会をユーザ3に与えるように、ユーザ3が行う特定の行為を確認するようユーザ3に要求することである。UI1のこのおよび他のすべての確認画面に共通するのは、ユーザ3が先に開始したコマンドを確認するために触れる確認タッチボタンの位置が、コマンドを開始するためにユーザ3が最初に触れた開始ボタンと同じタッチスクリーンエリアに表示されないということである。この配置の相違により、ユーザ3が、単に指が開始ボタンと同じ画面上の位置に残っていただけのために、自動的に、すなわち不注意に確認ボタンに触れて承認してしまうことがないのを確実にすることができる。また、開始および確認タッチボタンの位置が異なる場所にある場合、開始および確認タッチボタンの互いの位置関係は、開始/確認タッチボタンの異なるセットを通して不変であることができる。
【0029】
UI1の別の一般的な特徴は、ユーザ3に対して表示される特定の情報が、グループ、位置、または配色から意味を引き出すことができるようにグループ化または配置されてユーザ3に表示されることである。これら一般的な特徴の例は、後述するUI1の特定の実施形態によって表される。
【0030】
図2は、他のタイプの入力デバイス(たとえば、固定式メンブレンキーパッド)では不可能でありうる、ユーザ3が直接かつ直観的に送出システム2のソフトウェアと状況依存的に相互作用するために設けることができる、タッチスクリーン入力デバイス90のエリアを示す。これらエリアはタッチセンシティブであり、3Dボタン10として、またはテキスト入力タッチボックス12としてユーザ3に提示することができる。エリアは、常に状況およびユーザ3に表示される情報のフォーマットに応じて様々である。ユーザ3によるコマンドの入力は、このようなコマンドに指定された3Dボックスに触れることによって実現することができる。データの入力は、所望のテキスト入力ボックス12に触れ、それからメンブレンキーパッドを介して、または画面上に表示されるタッチボックスキーパッドを介してデータを入力することによって実現することができる。
【0031】
図2は、送出システム2が、UI1を介して音声および/または視覚的なフィードバックを表示することにより、このテキスト入力ボックスの起動についてユーザ3に確認することができることも示す。たとえば、触れられると、3Dタッチボタン12の外観は反転画像14または他の変更版に変更することができる。テキスト入力ボックス起動に対する視覚的なフィードバックは、テキスト入力ボックス16のハイライトにより、かつ/またはカーソルの外観によって提供することができる。テキスト入力ボックスが起動されると、可聴クリック音等の音も再生して、ユーザフィードバックをさらに強化することもできる。ユーザ3が指をボタンから離すと、システムは機能を起動し、音声での合図を提供する。ユーザ3が指をボタンから滑らせて外すと、システムはボタンのハイライトを消し、それ以上行為は行われない。
【0032】
図3は、ユーザ3がデータを入力し、極めて重要な機能を起動することができるように、送出システム2のコンソール上に設けることができる固定式メンブレン(membrane)キーパッド34を示す。メンブレンキーパッド34上のキーは、それぞれの場所を触知できるように、それぞれを取り巻く隆起線を有することができる。ある特別な、または多くの場合に使用されるメンブレンキー(たとえば、特に「はい(OK)」、「キャンセル(Cancel)」、「<」、「>」および電話式番号配列の中央にある番号「5」)は、隆起したドット、ダッシュ、または他のこのような構造のような特徴的な触知可能要素を有して、ユーザ3が、実際にタッチスクリーン表示から目を離してキーパッドを見る必要なく、どのメンブレンキーに触れているかわかるようにすることができる。メンブレンキーは、触知できるクリックの前にメンブレンを物理的に動かすことを介して、起動(activation)フィードバックを有することもできる。送出システム2は、UI1のキーが起動されたときに、音声トーンを再生することも可能である。これら特徴により、キーパッド34上のボタンの押下で機能が起動されたという保証がユーザに与えられる。キーパッド34は、ユーザ3が容易に交換可能な、様々な言語でプリントされたオーバーレイを受け入れることができる。
【0033】
図3に示すように、キーパッド34は、標準的な数値キーパッド36、タブ35、前進矢印37、後進矢印39、および/またはデータ入力用のバックスペース41を備えることができる。起動されると、送出システム2を、それまで非アクティブであった場合は起動シーケンスに、それまでアクティブであった場合は待機モードおよびシャットダウンシーケンスにするシステムオン/オフ(On/Off)またはオン/待機(On/Standby)ボタン38が設けられる。送出システム2の多くの必要な機能は、それぞれを直接起動する専用ボタンをメンブレンキーパッド34上に有しうる。これらボタンにはテキストおよびアイコンの両方でラベル付けすることができ、点灯しているときは、対応する機能がアクティブであることを示す色付きLEDを関連付けることもできる。肯定40および非肯定42応答用のハードボタンは、タッチスクリーン上の「はい」、「いいえ(No)」、および「キャンセル(cancel)」タッチボタンに対応してキーパッド上に含めることができる。タッチスクリーン900のタッチセンシティブ機能が誤作動することがあっても、これらハードキーパッドボタンは、ユーザ3がそれでも、UI1の様々な表示に対してはい、いいえ、およびキャンセル要求に応答できるようにする役割を果たす。これらボタンは、システムメッセージおよび画面に応答する際に使用しやすさも提供する。
【0034】
新しい鎮静および鎮痛処置の開始に関連するシステム機能の起動用に、様々なシステムキーをキーパッド34上に設けることができる。このようなキーの例としては、患者情報(patient Info)17、システム情報(system info)43、スケール変更(change scales)302、音声ボリューム(audio volumes)301、新規ケース(new case)15、およびケース終了(end case)19が含まれる。これらのキーは、メンブレンキーパッド34の共通部分44内にグループ化される。これらのキーに関連するシステム機能については詳細に後述する。患者へのプロポフォールの投与に関連する機能の起動用に、他の様々なキーも設けることができる。このようなキーの例としては、パージIVライン(purge IV line)51、通常モード(normal mode)47、スタットモード(stat mode)49、およびプロポフォール停止(stop propofol)53が含まれる。これらのキーに関連するシステム機能については詳細に後述する。これらのキーは、メンブレンキーパッド34の共通部分46内にグループ化される。キーパッド46のプロポフォール送出セクションに隣接して一連のLED48を設けることができ、このLED48は、各LEDが点灯する時間量が、患者8に現在投与されているプロポフォールの注入流量に反比例するように、順次、たとえば米国およびテキストを左から右に読む国々では左から右に点灯する。代替として、LED配列を、薬物注入に通常関連するドリップチャンバのメンタルモデルを反映するように、上から下という順序で点灯してもよい。キーパッドのプロポフォール部分に隣接して、薬物カセットが送出システム2のハウジングの位置に適切に装填されたときに点灯する別のLED50も設けることができる。LED50は、カセットが正しく配置されているときは特定の色(たとえば、緑)で点灯し、カセットが存在するが、装填が正しくないとき、またはシステムコントローラ4により有効ではないと判定されたカセットであるときは別の色(たとえば、赤)で点灯することができる。プロポフォール瓶の位置および有効性を表す同様のLED52も設けることが可能である。
【0035】
引き続き図3を参照すると、アラームに関連するシステム機能の起動用に様々なキーを設けることができる。このようなキーの例としては、特に、アラーム消音(mute alarms)13、アラーム一時停止(suspend alarms)11、およびアラーム設定(alarm settings)45が含まれる。これらのキーに関連するシステム機能については詳細に後述する。これらのキーは、メンブレンキーパッド34の共通部分54内にグループ化される。
【0036】
ECG、SpO2、およびCO2モニタ等、患者健康状態モニタの起動用にキー56を設けることができる。各モニタのオン/オフトグルキー56等のスイッチにより、ユーザは各モニタを独立してオンまたはオフすることができる。モニタがオンのときに点灯する、LED58等、関連するインジケータを、各モニタに設けることができる。
【0037】
送出システム2のART機能用にオン/オフトグルキー56aも設けることができる。起動されると、送出システム2にARTクエリデバイスをオンにさせ、即座に反応性試験を施行させるARTスタットキー60も、オン/オフトグルボタン56aに隣接して設けることができる。ユーザの要求により、ARTスタット機能は、ユーザに、鎮静および鎮痛の開始前であっても、また単に教育目的のため、またはベースラインとなるART反応時間を設定するためだけであっても、ユーザが随時試験を開始できるようにすることによって患者が反応性試験に対する反応の仕方を学習するのに役立つ。ARTのセットアップキー62も、トグルキー56aおよびスタットキー60に隣接してキーパッド上に含めることができる。ARTセットアップについては詳細に後述する。
【0038】
同様のオン/オフ、スタット、およびセットアップキーを、システムの非侵襲性血圧(NIBP)機能用に設けることもできる。スタットNIBPおよびNIBPセットアップについては、詳細に後述する。同様のオン/オフ、スタット、およびセットアップキーを、システムのプリント機能用に設けることもできる。スタットプリントキーが起動されると、スタットプリントアウト画面(図31)がユーザに表示される。プリントセットアップについては詳細に後述する。点灯時、システム全体が故障していることを表すLED64、および/または点灯時、A/C電源が存在し、システムバッテリが充電中であることを表すLED66も、メンブレンキーパッド34に設けることができる。
【0039】
ECG、SpO2、CO2、NIBP、およびARTモニタの個々のオン/オフハードボタンにより、侵襲的血圧モニタがすでに心臓カテーテルラボに存在する場合、NIBPモニタをオフにするなど、システムを既存のモニタ機器に適合させるように独立してオフにすることができる。ケース終了時に患者から取り外されるときに個々のモニタをオフにすることができることにより、不適切かつ苛立たしいアラームの発生が低減されるとともに、処置の開始を待っている間に、不適切なアラームなしで、処置およびその後に続く個々のモニタの一時停止前にベースラインデータを取り込んでプリントすることができる。また、UI1のこの特徴により、ユーザ3は、患者の生理学的状況により不適切であると示される特定の場合に特定のモニタを使用しないことができる。誤りかつ不適切なアラームの別のコンテキストは、モニタがオンになっているが、患者が接続されていない場合である。たとえば、CO2モニタは、所与の時間量の間、特定のしきい値を越える呼気CO2がない場合に無呼吸アラームを鳴らしうる。UI1はまた、患者が鎮静および鎮痛機に接続されていない間に、ユーザがモニタをオフにする、またはアラームを一時停止できるようにして、誤ったアラームの発生を低減する。
【0040】
図3は、補充O2送出システム用に設けることができるオン/オフトグルキー56bも示す。補充O2送出システムがオンになっているときに点灯する、関連するLED58bも設けることができる。プリントオン/オフボタン56cを介して、自動プリントを選択または選択解除することができる。
【0041】
図4は、補充O2送出システムが起動されているときの、O2の固定高流量および固定低流量それぞれを示す呼吸圧曲線を示す。補充O2送出システムが特定の期間にわたり(たとえば、少なくとも30秒)、雰囲気圧以下、または正圧を記録しないとき、すなわち、患者が無呼吸であるか、あるいは自分の口で呼吸しているとき、固定中間流量のO2を患者に送り込ませる。鼻および口のカプノメータが両方とも、中間流量期間中に少なくとも2分間呼吸数を検出しない場合、補充O2送出システムは、補充O2送出をオフにしてO2を節約する。このシステムは、自動補充O2送出を提供し、O2投与アルゴリズムに従って患者の酸素供給を支援する。このアルゴリズムにより、システムは、カプノメータが最初に、0を越える呼吸数を報告した後、患者の左右の鼻孔においてサンプリングされた値(鼻圧変換器(nasal pressure transducer)によって読み取られる)の比較から決定される圧力の変動を記録し始める。システムは、概して雰囲気圧以下24であると決定するとき、すなわち患者が吸気しているときには固定高量のO2を患者に送り込ませ、概して正(雰囲気圧より上の)圧22があると決定するとき、すなわち患者が呼気しているときには、固定低量のO2を患者に送り込ませ、それによって、補充O2送出と同時にCO2を測定し、リアルタイムカプノグラムに、呼吸数および呼吸終期CO2等、導出された情報を加えた形で表示することができる。
【0042】
デフォルトにより、補充O2投与システムは、新たな患者処置を開始するときにはオフになっている。ユーザ3はイニシアティブを取り、O2投与アルゴリズムが自動補充O2送出を開始する前に、新たな鎮静および鎮痛処置の開始に先立ってO2の流入をオンにしなければならない。新たな処置が開始されるとき、ユーザ3には、O2の流入をオンにするか否かについてプロンプトを表示して明示的な決断を下すよう促す表示画面が提示される。したがって、ユーザは、補充酸素送出はいずれも有害でありうる、呼吸症候群(breathe syndrome、換気症候群)に低酸素刺激(hypoxic drive)を使用する患者について考慮する理由がある場合は、酸素補充をいずれも回避できる立場にある。ユーザが最初に、補充O2が患者に投与される前にこのような明示的な決断を確実に行わなければならないようにすることにより、補充O2投与システムは、酸素の補充が開始されていないときに、ユーザが不注意に薬物の投与を開始してしまう危険性、およびユーザが、呼吸症候群に低酸素刺激を使用する患者に対して不注意に酸素の補充を開始してしまう危険性の両方が最小化する。
【0043】
図5は、タッチスクリーン900の一例を示す。タッチスクリーン900は、メンブレンキーパッド等の構造を介して実施されるキーパッド34(図3)のわかりやすいハードキーの集まりと組み合わせて、最も適切に、ユーザが開始したいと考えうる任意特定の行為のために1レイヤよりも多く、またはサブメニューの深さまでサーチする必要が可能な限りないように、フラットなコマンド構造を提供するように構成される。薬物の流入の停止等極めて重要な行為は、プロポフォール停止ボタン53(図3)等ハードキーを介して実施され、それにより、常にすぐに見て利用することが可能である。さらに、極めて重要な行為をハードキーとして実施することにより、極めて重要な行為の開始は、タッチスクリーンまたはソフトボタンが適切に機能していることに依存しなくなる。この独自の混成タッチスクリーン/ハードキーの組み合わせは、データ入力デバイスとしてのタッチスクリーンが機能不全となった場合、患者の安全性を高めるために、データ入力の多重(redundant)手段も提供しながら、双方の入力様式の利点を提供する。
【0044】
図5は、タッチスクリーン900上の主モニタ表示70を示す。主モニタ表示70は、(1)患者の極めて重要なパラメータを表す信号の表示72、(2)患者の極めて重要なパラメータそれぞれの履歴データの表示74、(3)プロポフォール注入情報および効果部位レベルの表示76、(4)ART情報の表示78、(5)あらゆるシステム助言および/またはあらゆる患者状態アラームの表示80、(6)日時、および送出システムの電力状態の表示81、ならびに(7)異なる患者呼吸状態(吸気、呼気、無呼吸、完全な口呼吸)中に送出される異なるレベルのO2流量を伝える補充酸素投与状態(図4参照)のアイコン表示83、のうちのいずれかまたはすべてを提供することができる。主モニタ表示70は、システム開始後はいつでもユーザ3への表示に利用することができる。他の表示も、主モニタ表示70に重なるポップアップウィンドウとしてタッチスクリーン900上に提示することができる。
【0045】
主モニタ表示70は、対応するパラメータデータボックスに表示される、患者の極めて重要なパラメータそれぞれの現在値のデジタル表示82を含むことが可能である。これらボックスは、そこに表示される情報が常に、各種ポップアップオーバーレイウィンドウが表示されている場合であってもユーザ3への表示に利用可能なように主モニタ表示70上に配置される。パラメータデータボックスの背景色、ならびにパラメータを表す文字の色およびサイズは、離れたところからユーザ3が容易に読み取れ、UI1から物理的に離れたユーザが監視可能なように選択される。たとえば、背景は黒であり、文字は白であることができる。パラメータボックスは、ユーザ3が、極めて重要なすべてのデータを探して2箇所以上の場所に目を向ける必要なく、すべてのパラメータを容易に参照することができるように、主モニタ表示70の一部分内にグループ化することが可能である。パラメータ値は、関連する生理学的機能に従ってグループ化することができる。
【0046】
引き続き図5を参照すると、主モニタ表示70は、生理学的システム(たとえば、血流力学/心臓血管84、酸素供給86、および呼吸換気装置88)を表す有意なデータセットに編成された情報を有し、情報の組織配列またはセマンティック(semantic)が一度意味を有すると、安全データセットに格納されている正常範囲外にあるとき、アラームパラメータがコンテキストにおいて色分けされる。たとえば、BPおよびHR(血流力学/心臓血管パラメータの両方である)が非正常すなわち警告レベルである場合、コンテキストにおいて、その背景色が、異常の度合いに応じて、たとえば深刻な場合は赤色、警告レベルの場合は黄色に色分けされる。この色分けにより、ユーザ3は、生理学的システム(血流力学/心臓血管84、酸素供給86、呼吸/換気装置88、薬物レベル76、および患者反応性78)に関連する、有意にグループ化されたデータのコンテキストにおいて、警告レベルのパラメータを評価することができる。多くの臨床医は、手術、外来、および外来患者設定で異なるオフィスで作業し、一貫しないユーザインタフェースに混乱する場合がある。UI1は、異なる場所にある同じ設計の異なる機械が、あちこち移動するユーザに同じルックアンドフィールを表す。
【0047】
適切な装置によって感知され、プロポフォールまたは他の鎮静薬または鎮痛薬の投与、あるいは鎮静および鎮痛の送出に関連する患者の極めて重要なあらゆるパラメータは、送出システム2により使用することができ、UI1を介してユーザ3に表示することができると考えられる。以下のパラメータをユーザに表示することができる:心拍数、血圧(収縮期、平均、拡張期)、SpO2、呼吸終期CO2、および呼吸数。これらパラメータを主モニタ表示70においてどのようにグループ化することができるについての一例では、心拍数および血圧の読みは心臓血管パラメータボックス82a(図6により詳細に示す)に表示することができ、SpO2は酸素パラメータボックス82b(図7により詳細に示す)に表示され、呼吸終期CO2および呼吸数はCO2パラメータボックス82c(図7により詳細に示す)に表示される。
【0048】
また図5に示されるのは、患者モニタからの現在の信号がリアルタイムデータボックス72に表示される。これらボックスは、ECGデータ72a、SpO2モニタデータ72b、CO2モニタデータ72cを含むことができる。信号は、無彩色の背景上に有色の波形として表示することができ、周期的に更新することができる(たとえば、3Hz)。各信号は、異なる波形色を有することができる(たとえば、ECGデータ72aは赤、SpO2モニタデータ72bは緑、そしてCO2モニタデータ72cは灰色)。採用される色彩設計は、装置が使用される国に従って様々であってよい。たとえば、上記色彩設計は、米国でのガスの色の取り決めに適合している。各波形中のギャップ(すなわち、消去バー)72dが、現在ゼロ時間を示す。この消去バーは、信号が更新されると各リアルタイムデータボックス72をスクロールする。時刻マークが、リアルタイムデータボックス72のいずれかまたはすべての上または下の水平線に表示される。各信号のUI1での特定のデフォルトとして時刻スケール値が存在し、ユーザによる変更が可能である。
【0049】
各リアルタイムデータボックス72は、対応するモニタから得られた関連のパラメータ値を表示するパラメータデータボックス82に隣接して表示することができる。たとえば、ECGリアルタイム信号72aは心臓血管パラメータボックス82aに隣接して示され、SpO2リアルタイム信号72bは酸素飽和度パラメータボックス82bに隣接して表示され、CO2リアルタイム信号72cは呼吸パラメータボックス82cに隣接して表示される。CO2信号の縦のスケールは、隣接するCO2履歴グラフ74c(後述)のスケールと位置合わせすることができる。患者モニタがオフになった場合、信号波形の代わりに、そのことについてのメッセージが対応するリアルタイムデータボックス82に表示される。ガスの較正が行われるときはいつでも、そのことについてのメッセージ(たとえば、「CALIBRATION」の文字)がシステムによってCO2リアルタイム信号ボックス72cに、またはその付近に表示され、それによって、ユーザは、CO2リアルタイム信号を見て参照しようとした時に較正が行われていることに容易に気付くことができる。
【0050】
NIBP加圧帯がパルスオキシメータのプローブと同じ腕に配置されている場合、NIBP加圧帯がサイクリングしている間、「NIBP CYCLING(NIBPサイクリング)」メッセージがSpO2リアルタイムデータボックス72b上に配置され、NIBP加圧帯が膨張している間、SpO2アラームはディセーブルされる。UI1は、パルスオキシメータのプローブおよびNIBPの加圧帯が同じ腕にある場合のみ、NIBPサイクリング中にSpO2アラームのディセーブル化が行われるように、NIBP加圧帯がパルスオキシメータのプローブと同じ腕にあることをシステムに通知する手段もユーザに提供する。
【0051】
パルスオキシメータによって各パルス毎に発せられるビープの音調または頻度(frequency)は、SpO2値に対応する。SpO2が低いほど、ビープの頻度は低い。SpO2モニタがオフになった、または稼働していないがHRがECGモニタから利用可能な場合、デフォルトまたは中性的な音調が、実際には利用できないSpO2値またはSpO2モニタが機能していることに不適切に関連付けられる恐れがあるため、各心拍毎にビープはない。
【0052】
図5は、主モニタ表示70が、特定の極めて重要なパラメータそれぞれの最近の傾向を示す履歴グラフ74を含むことができることも示す。心拍数履歴グラフ74a、パルスオキシメトリ履歴ボックス74b、およびETCO2履歴ボックス74cを表示することができる。これらパラメータの履歴値は、システム内のデフォルトに設定されユーザにより変更可能な水平の時刻スケールを有する有色中実のグラフとして表示することができる。色は、リアルタイムデータボックス72の波形に使用される色に合わせて選択することができる。特定のパラメータに関連する垂直のスケールも、システム内のデフォルトに設定され、これもユーザにより変更可能である。CO2のように履歴グラフ74のいくつかの垂直スケールは、対応するリアルタイムデータボックス72のスケールと同じであってもよい。水平および/または垂直のスケール線は、各履歴グラフ74に表示することができる。
【0053】
履歴グラフ74は、対応するパラメータデータボックス82に隣接して主モニタ表示70上に配置される、対応するリアルタイムデータボックス72に隣接して配置することができ、それによって生理学的データライン74、86、および88が作成される。各生理学的データラインは、ユーザが迅速に目を通して参照することができる、主モニタ表示70の参照が容易な単一のエリアに配置された関連情報を含む。
【0054】
生理学的データライン84、86、および88は、ユーザ3が主モニタ表示70に表示されるデータの意味を解釈するのを支援するように主モニタ表示70上に配置することができる。たとえば、ユーザが一目で、2つのラインに図表化された現在データ間に対応があるか否かを評価することができるように、心臓血管ライン84をパルスオキシメトリライン86に隣接して配置することができる。対応する生理学的データラインには一貫したタイムラインが使用される。この対応性の有無は、あるラインにおけるデータに存在するアラーム状態が現実の深刻なアラームであるか、それともアーチファクトであるかを判断する際にユーザにとって有用でありうる。パルスオキシメトリデータに基づいてアラームが存在し、オキシメトリプロット72aおよびECGプロット72bに一対一の対応がある場合、アラームは本当である可能性が高いが、一対一の対応がない場合、アラームはアーチファクトである可能性が高い。
【0055】
図5は、互いに隣接して、有用に配置された生理学的データライン84、86、および88の一例を示す。図5は、監視されるパラメータ(ART)の次に配置された治療制御(プロポフォール)の一例も示し、プロポフォール表示76がART表示78の次に配置される形をとる。
【0056】
図6は、心臓血管パラメータボックス82a内の心拍数ボックス82a2に表示される心拍数を示す。心拍数は主にECGモニタから得ることができるが、ECGモニタがオフであるとき、有効なデータをECGモニタから受け取っていないとき、またはユーザがSpO2モニタを好ましい心拍数ソースとして指定したとき、SpO2モニタからも得ることができる。ECGデータがなく、SpO2モニタから入手可能な心拍数データがない場合、UI1は、心拍数ボックス82a2に心拍数パラメータの代わりに適切な指示(たとえば、「−」)を表示する。また、心臓血管パラメータボックス82aには、患者から測定された最後の収縮期血圧の読みが血圧ボックス82a4に表示される。血圧ボックスに表示しうる他のパラメータとしては、最新平均血圧、NIBP加圧帯の圧力を表示するアナログサーモメータバー82a6、および最後の加圧帯膨張から経過した時間82a8が含まれる。
【0057】
図6は、サーモメータバー82a6が表示されるUI1の実施形態では、加圧帯が血圧示度を測定しているとき、加圧帯の圧力が増すにつれてバーが上昇し、圧力が解放されるにつれて下降することを示す。血圧示度が提供されないとき(すなわち、NIBPモニタがオフになっているとき)、システムは、血圧ボックス82a4に血圧パラメータの代わりに適切な指示(たとえば、「−」)を表示する。
【0058】
図7は、酸素パラメータボックス82bのより詳細を示す。SpO2モニタがオフである、存在しない、または誤作動している場合、またはSpO2モニタから有効なデータを受け取っていない場合、システムは、酸素パラメータボックス82bにSpO2パラメータの代わりに適切な指示(たとえば、「−」)を表示する。
【0059】
図7は、CO2パラメータボックス82c内のETCO2ボックス82c2に表示される呼吸終期CO2(ETCO2)パラメータも示す。表示されるETCO2パラメータは、特定の期間(たとえば、最新の25秒)中に患者のいずれか一方のサンプリング箇所、すなわち口または鼻からのカプノメータから得られた最高値であることができる。CO2パラメータボックス内の呼吸数ボックス82c4に表示される呼吸数は、カプノメータから得られた、最新のいくつか(たとえば、4つ)の呼吸数を平均した値であることができる。カプノメータがオフである場合、またはカプノメータから有効なデータを受け取っていない場合、システムはETCO2ボックス82c2および呼吸数ボックス82c4に適切な指示(たとえば、「−」)を表示する。
【0060】
データ選択のため、カプノメータの各患者サンプリング箇所:口または鼻から集められたCO2波形値は、特定の期間(たとえば、15秒)にわたって合計することができる。このような合計後、ETCO2ボックス82c2に表示されるCO2パラメータは、特定の期間にわたってより大きな和を有する一箇所のカプノメータサンプル箇所から測定された値である。この比較は、鼻サンプルに有利なようにバイアスされる。このようなバイアスの一例では、口サンプル箇所からのデータは、鼻データの少なくとも1.5倍を超える場合にのみ表示される一方で、鼻サンプル箇所からのデータは、単に口データを越える場合に表示される。鼻カプノメータは、各鼻孔で見られる圧力信号の強度に基づいて、一方の鼻孔から他方の鼻孔にサンプリングを切り換えることができる。一方の鼻圧力センサの平均圧力値(たとえば、測定された最新の4つの値の平均)がある最小値を上回り、かつ他方のセンサの平均圧力値を少なくとも3倍上回る場合、送出システム2は、現在鼻カプノメータデータを表示している限りは、CO2波形表示用にその最初の鼻センサに切り換える。表示される(またアラームの生成に使用される)呼吸数は、波形が表示されている、口または鼻のカプノメータからの同じ入力に基づく。表示される(またアラームの生成に使用される)ETCO2値は、2つのうちの大きいほうになる。
【0061】
ガス較正が行われるときはいつでも、ユーザが、ETCO2あるいは呼吸数のいずれかのパラメータを見て参照しようとした時に較正が行われていることに容易に気付くことができるように、そのことについてのメッセージ(例えば、「CALIBRATION」という文字)が、ETCO2および/または呼吸数ボックスに、またはその付近にシステムによって表示される。したがって、メッセージは、ユーザが自然にカプノメータからの現在データを探すところに配置され、較正期間中、カプノメータからのデータがないのは、深刻な生理学的異常に起因するものではなく較正プロセスに起因するものであるという瞬間的かつ明確な指示を提供する。
【0062】
図8は、ユーザが変更した非デフォルトアラーム設定を表示するパラメータデータボックス82cの一例を示す。デフォルトアラーム設定がユーザによって変更された(後述)ときはいつでも、そのパラメータの新しいアラーム設定が、そのパラメータのデータボックス内のパラメータに隣接して表示され、それにより、ユーザは、システムの基本的なアラーム機能がそれぞれのデフォルト設定から変更されたか否かを一見して判断することができる。この特徴は、複雑な医療システムに複数人のユーザが同時に存在する場合に特に重要である。アラーム限度値はまた、ユーザがアラーム限度をアラーム設定表示から表示するように選択するときはいつでも(後述)、表示することができる。パラメータがアラーム状態にない場合、注意アラーム90の新しい非デフォルト値は注意アラーム色(たとえば、黄色)で表示することができ、警告アラーム92の新しい非デフォルト値は警告アラーム色(たとえば、赤色)で表示することができる。
【0063】
図9に示すように、パラメータがアラーム状態にあり、パラメータデータボックスの背景色がアラーム色(後述)に変更しているとき、非デフォルト値の色は、新しい背景から容易に読み取ることができる色に変更される。新しい値は、データボックスに表示されているパラメータの現在値のテキストからのオフセットであってよく、またそのテキストより小さくてもよい。
【0064】
図10は、リアルタイムデータボックス72の例をより詳細に示す。ECGリアルタイム信号72a、SpO2モニタデータ72b、およびCO2モニタデータ72cが示される。消去バー72dも示される。
【0065】
図11は、心拍数履歴グラフ74a、パルスオキシメトリ履歴ボックス74b、およびETCO2履歴ボックス74cの例を示す。
【0066】
図12はプロポフォール注入ボックス76を詳細に示す。プロポフォール注入ボックス76は、計画(projected)、現在、および履歴の計算効果部位プロポフォール濃度についての情報を示すことができる。特定期間中の履歴計算効果部位プロポフォールレベルは、現在ライン76dの一方の側にある有色グラフ76aとして示すことができ、有色計画目標効果部位グラフ76bをラインの他方の側に示すことができる。各グラフの色は同じであってもよいが、履歴データと計画データとの相違を強調するために、履歴グラフの色の輝度は異なる、たとえば、計画グラフ76bの色よりも低い。水平時間スケールはグラフ76aおよび76b両方の上あるいは下に示され、現在ライン76dの履歴側への時間は負の数として示される。効果部位レベルの履歴データおよび計画データがどの程度表示されるかについてのスケールは、システム内にデフォルトで存在するが、ユーザによる変更が可能である。効果部位における計算プロポフォール濃度の垂直スケールもデフォルトで存在するが、ユーザにより変更可能である。垂直スケールは、ユーザが新しい目標効果部位プロポフォールレベルを入力した場合に増やすこともでき、新しいレベルがグラフに確実に表示されるようにする。スケールラインは、履歴グラフおよび計画グラフの両方を横切って水平および/または垂直に表示することができる。計算効果部位プロポフォールレベルの現在値も、現在ラインの隣に、すなわち履歴グラフ76aあるいは計画グラフ76bの上にオーバーレイして表示することができる。
【0067】
プロポフォール注入ボックス76内のグラフに隣接して、プロポフォール設定ボックス76cがある。このボックスには、システムは、目標効果部位プロポフォールレベル(システムが通常モードまたはスタットモードである間)、プロポフォール設定ボックス76c内の効果部位レベルの値は単に目標レベルにすぎないことをユーザに中継して伝える「Target(目標)」という言葉または他の任意のメッセージ、プロポフォール注入の現在流量を図で示す回転流量アイコン76e、ならびに注入瓶内のプロポフォール量を示すアイコンおよび/またはグラフ76fを表示する。本発明の一実施形態では、量アイコン76fは注入瓶を模しており、瓶内に残っているプロポフォールの現在レベルの有色表現を示す。初期量の数値および現在量を決定するために、瓶アイコンの隣にスケール付きの印が示される。図12は、プロポフォール注入がアクティブであるときのプロポフォール注入ボックス76の一表示例を示している。
【0068】
図13は、プロポフォール注入ボックス76の一表示例を示す。UI1は、プロポフォール注入ボックス76を介して重要な薬物投与状態をユーザ3に明確に表示する。薬物投与の状態は、通常、減量、およびオフなどの状態を含むことができる。たとえば、減量モードの場合、適切なメッセージがプロポフォール設定ボックス76c中の目標効果部位レベルの代わりに表示され、下向きの矢印を計画グラフ76b上に表示することができる。図13は、システムが減量モードであるときのプロポフォール注入ボックス76の一表示例を示している。送出システム2がオフであり、かつプロポフォールが投与されていないときは、メッセージ「Off(オフ)」などがプロポフォール設定ボックス76cに表示されることになり、プロポフォール注入がアクティブであるときに存在する色とは異なるボックスの背景色が示される。薬物投与の履歴グラフ76aおよび現在ライン76dも示される。
【0069】
図14は、ART履歴78aセクションを含むART情報ボックス78の一表示例を示す。ART情報ボックス78は、ART状態セクション78bを含むこともできる。ART履歴セクション78a内に、UI1は、グラフのy軸に沿ったART刺激の開始と患者のARTクエリサイクルへの反応の間の時間間隔と、x軸に沿った各ART試験サイクルが開始された時間との間の関係としてプロットされる、各ARTクエリサイクルに対する患者反応のシンボルを表示することができる。自動ARTモードでは、クエリサイクルの開始から指定期間(たとえば、14秒)以内に現れた患者の反応が、ある色、たとえば緑色のシンボルとしてグラフに表示される。クエリサイクルの開始からt秒を越えて(たとえば、14.5秒または20秒)現れた、またはクエリサイクルへのまったくの反応なしを構成する患者の反応は、別の色、たとえば青色のシンボルとして表示される。t秒を越える反応時間はいずれも、または反応なしはいずれも、y軸上の時間t+1(たとえば、15秒)に表示することができる。したがって、グラフの垂直スケールに必要なのはt+1秒のみである。図14は、5つのART結果が患者クエリサイクルの開始からt秒(すなわち、14秒)越えたため、y軸に沿ってt+1秒(すなわち、15秒)に表示されている、ART履歴セクション78aの一表示例を示す。プロンプト手動ART試験に対する肯定反応は常に記録され、特定の時間tmanual(たとえば、5秒)に表示される。時間が進むにつれて、最近のART結果を表すシンボルはART履歴セクション78aの一方の側にスクロールし、所与の経過時間よりも古くなった後は表示から消えることになる。x軸スケールの範囲により、過去のART結果が表示からいつ消えることになるかが決まる。スケールは、システムにデフォルトとして存在するが、ユーザによる変更が可能である。
【0070】
図15は、ART状態セクション78bの例を示す。ART状態セクション78bは、ART試験サイクルまたは期間の持続時間中に、特定の背景色(たとえば、緑色)上に「Response Testing(反応性試験中)」または「Resposiveness Testing(反応性試験中)」という言葉を示すことができる。ART状態セクション78bは、最新のARTクエリサイクルから指定時間t秒以内であった患者反応時間に続けて、中実の特定の色(たとえば、緑色)を示す。ART状態セクション78bは、患者がクエリサイクルの開始からt秒以内に反応しない場合、または患者がクエリサイクルにまったく反応しない場合、異なる色(たとえば、青色)の背景および関連メッセージ、たとえば、「No Patient resonse(患者反応なし)」を示す。ART状態セクション78bは、クエリサイクルが現在施行されている場合もメッセージを表示し得る。ARTモードがプロンプト手動患者チェックに指定されている場合、ユーザに患者の状態を評価するよう警告するメッセージが、指定された各ART間隔で表示される。システムは、可聴トーンを再生することもでき、それによってユーザに患者を手動でチェックするよう促す。ユーザが指定時間限度、たとえば、45秒以内に患者の状態に関する情報をシステムに提供しない場合、システムは非反応患者であるものと仮定し、患者の反応を受け取らなかったことを示すメッセージを表示することができる。ユーザ3は、ARTセットアップ選好表示(後述)において手動反応性試験を促されるように選択することができる。この能力は、ユーザが適性または協力性を欠くと患者を特定した場合に使用することができる。ARTがディセーブルされている場合、適切なシンボル(たとえば、赤色の「X」)が状態セクション78b内に表示される。
【0071】
ユーザが自動反応性試験を起動すると(薬物投与を開始するとき、あるいはARTオン/オフボタン56a(図3に示す)を押下したとき)、ARTクエリサイクルが特定の間隔毎に患者に提示される。ARTクエリサイクル間の間隔は、デフォルトの期間(たとえば、3分)として存在するが、メンブレンキーパッド34上のARTセットアップボタン62を押下することによってアクセス可能なARTセットアップ選好表示(図34に示す)を介してユーザによる変更が可能である。システムは、ユーザが現在の効果部位濃度を変更した場合等の特定の状況下では、デフォルト間隔よりも短い間隔(たとえば、15秒毎)でARTクエリサイクルを自動的に提示することもできる。反応性試験は、特定の患者状態パラメータに警告または注意アラームがある(たとえば、低SpO2、低心拍数、低血圧、または低呼吸数アラーム)ときはいつでも、[いずれの間隔からも外れて]自動的に施行することもできる。ユーザ3は、ARTスタットボタン60を押下することによっていつでも自動反応性試験を手動で起動することもできる。ユーザがスタット反応性試験を要求すると、システムは、ARTクエリサイクル間の間隔に関連するタイマをリセットし、かつ/または、ユーザがスタットARTボタン60を押下したときにARTシステムがオンになっていなかった場合はARTシステムをオンにする。
【0072】
患者がn個、たとえば2つの連続した自動反応性試験サイクルに指定期間t秒以内に反応しなかったときはいつでも、システムは、特定の負のレートでのプロポフォールのゆっくりとした減量に自動的に進むことができる。次に、プロポフォール注入ボックス76に示される目標用量レベルが、減量状態の指示で置き換えられる。
【0073】
図16は、ユーザ3に短期間提示することもできる減量確認メッセージを示し、この間、ユーザは「レベルオフ(level off)」選択肢100を選択して薬物の減量を停止させ、目標効果部位レベルを現在効果部位レベルに設定させることができる。代替として、ユーザはメッセージクリア(Clear Message)選択肢102を選択して、減量確認メッセージ104を除去し、減量状態を継続させることができる。ユーザがいずれかの選択肢を選択する前に短期間が過ぎた場合、システムはメッセージを自動的にクリアする。また、患者が指定期間以内にクエリサイクルに反応しないと、患者が最初に反応しないときに、システムは可聴メッセージをユーザに向けて再生することができる。この可聴メッセージは、「Loss of Patient Response(患者反応なし)」等言葉のメッセージの形であってもよく、または患者がクエリサイクルに反応しなかったことをユーザに示唆することができる別の音であってもよい。万が一、患者が続くクエリサイクルに適時に反応するが、その後少ししてから反応しなくなった場合、可聴メッセージを再び再生することができる。ART状態セクション78b(図15)は、患者が指定期間以内にクエリサイクルに反応しないときはいつでも、反応がないことを示すメッセージを示すことができる。
【0074】
反応性試験は、患者がクエリサイクルに反応しなかった後、もう一度繰り返される。患者が2回目の試験サイクルに反応しない場合、システムは先に述べたように減量状態に入ることができる。患者反応性が回復すると、ART状態セクション78b(図15)は関連メッセージを示すことができる。ESC、レベル、または注入流量の自動減量はいずれも継続されることになるが、これは、減量確認メッセージ104においてユーザがレベルオフしない場合、またはユーザがプロポフォール用量、ESC、レベル、または注入流量を後述するように変更しない場合にである。
【0075】
ユーザがARTセットアップ選好表示においてプロンプト手動ART選択肢を選択すると、UI1は、可聴インジケータ、およびART状態セクション78bに関連メッセージを表示する反応性チェックメッセージウィンドウ106(図17)を使用して、予め定められた間隔でユーザ3を促し、ユーザ3に患者の反応性を手動で評価するように注意喚起する。ユーザ3が指定の期間以内にUIの注意喚起に応答しない場合、またはユーザ3が、患者が反応を示さないと応答する場合、UI1はメッセージを除去し、送出システム2は、上述した確認手順を用いて減量状態を起動する。失敗した手動ARTクエリの反応時間は、実際に45秒を越える場合、「15秒」における青色のシンボルとしてART履歴ボックス78a(図14)に示される。ユーザ3が、患者がまだ45秒以内で反応すると応答する場合、UI1はメッセージを除去し、送出システム2は既存の薬物体制を継続することになり、反応は、ユーザの応答時間と患者の反応時間の組み合わせが45秒未満の任意の時間でありうる場合であっても、「5」秒に対応する緑色のシンボルで示される。この方式は、合計反応時間に含められるユーザ3の応答時間が可変でありうること、および中間段階が含まれる場合、反応を得る時間がより長くかかることを考慮に入れている。図17における「はい(Yes)」ボタンの押下で示されるように、プロンプト手動クエリが指定の期間(たとえば、45秒)以内に応答されている限り、「Check patient(患者チェック)」等のテキストメッセージが、たとえば緑色の背景上に白色テキストでART状態セクション78b(図15)に表示される。
【0076】
ユーザ3は、メンブレンキーパッド34(図3)上のARTオン/オフボタン56aを押下することによってART機能をオフにすることで、反応性試験の自動施行をディセーブルすることができる。ART機能がオフであるときは、適切な指示またはメッセージがART状態セクション78b(図15)に示される。反応性試験はなお、これもまたART機能をオンにすることになるARTスタットボタン60を介して手動で開始することができる。患者が前のクエリまたはクエリサイクルに反応しないことからシステムがまだ減量状態にある間に、ユーザがART機能をオフにする場合、システムは、ユーザが薬物レベルをリセットしない限り、または薬物ESC、注入流量、またはレベルのレベルオフを選択しない限り、減量を続ける。
【0077】
図18は、ユーザ3が、鎮静および鎮痛処置中にどのアラームまたは助言が存在するかを迅速に評価する際に、目を配る必要があるのが一箇所のみであるように、患者アラームおよび/またはシステム助言を表示することができるスマートアラームボックス80の一例を示す。さらに、スマートアラームボックス80は、警告レベルのパラメータ(たとえば、SpO2)についてのラベルのみならず、完全な情報セット(たとえば、SpO2 83)も伝えるため、ユーザがアラーム状態に関連するすべての情報を導出する際に見る必要があるのは一箇所のみである。アラームまたは助言が存在しない場合、スマートアラームボックス80は特定の色(たとえば、緑色)を有する。この背景色は正常であるとみなされ、ユーザはボックスを一見してこの色を見る必要があるだけで、アラームまたは助言が存在するか否かが非常に迅速にわかる。しかし、アラームまたはシステム助言が存在する場合、スマートアラームボックス80の背景色は、正常背景色よりもコントラストが大きい、アラームおよび/または助言ブロックが目立つ異なる色(たとえば、黒色)になる。スマートアラームボックス80内のアラームおよび助言ブロックの背景は、強調のためにそれ自体色を有し(助言80cは灰色、注意80bは黄色、および警告80aは赤色)、後述する優先度でアラームボックス内に列挙される。アクティブアラームがユーザによって消音化されている場合(後述のように)、消音シンボル80dがスマートアラームボックス80の一部に現れる。アラームの消音化は、スマートアラームボックス80の残りの部分の視覚的表示、すなわちアラームおよび助言ブロックに影響しない。図18は、優先度の付いたアラームおよびシステム助言、ならびにアラーム消音シンボルを有するスマートアラームボックス80の一表示例を示す。ユーザが色盲でありうる場合に多重性を提供するために、シンボルも各種アラームの隣に提示される(助言80cには白色疑問符「?」、注意80bには黒い感嘆符を有する背景が黄色の黒い円、および警告80aには黒の感嘆符を有する白地の三角形)。
【0078】
システムは3つのレベルのアラームを提供することができる:システム助言、注意アラーム、および警告アラーム。これらアラームレベルの視覚的表示は色分けすることができる。たとえば、システム助言の表示は灰色であり、注意アラームは黄色であり、警告アラームは赤色であることができる。色分けにより、アラーム表示の意味を迅速に目で見て評価することができる。アラームまたは助言の表示は、スマートアラームボックス80の一部を占める他のアクティブアラームブロックの列内のブロックとして提示することができる。
【0079】
システム助言は、処置中の現在注意を引いている根拠となっている、送出システム2についての現在状況についてユーザ3に注意喚起させるためにユーザ3に提示される。助言は、必要でありうる(瓶の中の薬物の残量が少ない場合、またはモニタリングのリード線がほどけた場合等)が、必ずしも異常な患者状態に起因するものではないユーザの行為を示す。助言は、短く素早い音声トーンおよび/またはスマートアラームボックス80における視覚的表示によってユーザ3に提示することができる。システム助言の期間中、スマートアラームボックス80のブロックが灰色になり、特定の助言のテキスト指示がそのブロックに列挙される。アイコンまたはキャラクタ、たとえば、疑問符をテキストメッセージの隣に示すことができる。アイコンまたはキャラクタは、色色に加えて、助言とアラームとを線引きする多重手段をユーザに提供し、これは色盲のユーザに望ましいであろう。アイコンまたはキャラクタは明滅することができる。さらなる強調のため、「明滅」は「ズーム」的にシンボルのサイズを変更することができる。助言の開始後、音声トーンが規則正しい間隔で鳴り、助言の原因である問題が終わるまで、またはユーザがアラームを一時停止するまで同じ頻度で継続する。音声トーンは、周囲の状況を通して聞こえるようなボリュームで提示される。トーンの音量は調整することが可能である。
【0080】
助言の根拠となる送出システム状況は、スタートアップ診断プロセス中にユーザ3に示すことができる。助言メッセージは、特に、表5.1に列挙した状況について提示することができる。
【0081】
【表1】
【0082】
注意アラームまたは警告アラームは、患者状態パラメータが注意状態あるいは警告状態に指定されたアラーム限度または範囲を超えたときにいつでもユーザ3に提示することができる。注意アラームおよび警告アラームは、連続した音声トーンまたは一連のトーンによりユーザ3に示すことができる。音声トーンは、周囲条件にわたって聞こえるような音量で提示される。トーンの音量は調整することが可能である。注意アラームまたは警告アラームの期間中、スマートアラームボックス80の背景のブロックは特定の色(たとえば、注意の場合は黄色、または警告の場合は赤色)になり、アラームに関するテキストメッセージが、背景色上で容易に見ることができるような色を有する文字(たとえば、注意アラームの場合は黄色の背景上に黒色のテキスト、または警告アラームの場合は赤色の背景上に白色のテキスト)で、そのブロックに列挙される。アイコンまたはキャラクタをテキストメッセージの隣に示すことができる。アイコンまたはキャラクタは、色以外で助言とアラームとを線引きする多重手段をユーザに提供し、これは、色盲のユーザに望ましい。アイコンまたはキャラクタは明滅することができる。さらなる強調のため、「明滅」は「ズーム」的にシンボルのサイズを変更することができる。
【0083】
注意アラームまたは警告アラームの期間中、警告レベルのパラメータを、そのパラメータの現在値とともに、主モニタ表示70(図5)上の対応するパラメータデータボックス82に表示することができる。データボックスの背景色もまたアラームの色に変わり(たとえば、注意の場合は黄色、または警告の場合は赤色)、警告レベルのパラメータの現在値が、アラーム背景色から容易に読み取ることができる色で表示される。警告レベルのパラメータの現在値は、アラーム状況が存在する限り常に更新し表示することができる。上述した図9は、注意アラームおよび警告アラームが2つのパラメータに対してアクティブであるパラメータボックス300の一例を示す。
【0084】
アラームは、警告レベルの状況が終わるまで、ユーザがいくつかのアラームについてメンブレンキーパッド34(図3)上のアラーム消音ボタン13またはアラーム一時停止11ボタンを押下することで行動するまで、またはアラーム設定がリセットされるまで連続して鳴り、表示される。消音化されたアラームは、アラームの原因となった問題が終わっていない場合、指定された消音期間後に元の状態に戻される。アラームの視覚的表示は、音声の消音化による影響を受けない。アラームがクリアされた後、アラームクリア用の音声トーンが鳴り、そのアラームメッセージの視覚的表示が、正常の色彩設計(たとえば、黒色の背景上に白色の文字)に変わる。視覚的表示は、シンボルをズーム明滅することなく短期間残る。パラメータ値は、限られた期間、アラームがクリアされたことを示す(たとえば、「OK」)メッセージで置き換えられる。アラームが表示されていないとき、スマートアラームボックス80は正常背景色(たとえば、緑色)に戻る。
【0085】
低SpO2、低心拍数、低血圧、または低呼吸の注意アラームまたは警告アラームは、新しいアラームそれぞれについて、反応性試験がイネーブルされている場合、プロンプトを表示して送出システム2に新しいARTクエリを施行するように促すことができる。低または高血圧(収縮期、拡張期、または平均動脈血圧)の注意アラームまたは警告アラームは、新しいアラームそれぞれについて、送出システム2に新しい血圧示度をもう一度測定するように促すことができる。低SpO2、あるいは低または高心拍数の注意アラームまたは警告アラームは、NIBPモニタが起動されている場合、新しいアラームそれぞれについて、送出システム2に新しい血圧示度をもう一度測定するように促すことができる。
【0086】
低SpO2または呼吸数の注意アラームは、送出システム2に、プロポフォール薬物投与またはESCを現在レベルの何分の一かに即座に低減するように促すことができる。自動薬物低減では、送出システム2は、限られた期間、薬物低減オーバーライド画面を提示し、この期間中に、ユーザ3は、適切なボタンに触れることによって送出システムの自動薬物低減行為をオーバーライドすることができる。ユーザ3がオーバーライドボタンを選択する場合、オーバーライド確認画面が表示される。確認画面からユーザ3に、以下の選択肢を起動するボタンが提示される:アラーム前のレベルでのプロポフォールの投与を再開する、またはシステムの自動プロポフォール低減を継続させるようにオーバーライドをキャンセルする。ユーザ3が投与の再開を選択する場合、送出システム2は効果部位濃度、注入流量、またはレベルをアラーム前のレベルに戻すことになり、自動低減はアラームからユーザが再開機能を選択するときまでの合間に実施されることになる。
【0087】
低SpO2注意アラームまたは低呼吸数注意アラームが、最初の自動プロポフォール低減後に特定の期間(たとえば、4分)が過ぎた後でも存在し続ける場合、システムは、上述した同じこの手順を用いてプロポフォールを再び自動的に低減することになる。システムの自動プロポフォール低減のユーザオーバーライドは、影響を受けたアラームの持続期間中、実施されたままである。すなわち、送出システム2は、同じアラーム状態に応答して、2回目はプロポフォールを低減しようとしない。
【0088】
低SpO2または呼吸数の警告アラームは、送出システム2に、薬物投与を即座に停止するように促すことができる。薬物投与の停止と同時に、送出システム2は、限られた期間、薬物停止のオーバーライド画面を提示し、この期間中に、ユーザ3は、送出システムの自動薬物停止をオーバーライドすることができる。ユーザ3がオーバーライドボタンを選択する場合、オーバーライド確認画面が表示される。確認画面からユーザ3に、以下の選択肢を起動するボタンが提示される:アラーム前のレベルでのプロポフォールの投与を再開する、またはシステムの自動プロポフォール停止処置を継続させるようにオーバーライドをキャンセルする。ユーザ3が投与の再開を選択する場合、送出システム2は効果部位濃度、注入流量、またはレベルをアラーム前のレベルに戻すことになり、自動停止はアラームからユーザ3が再開機能を選択するときまでの合間に実施されることになる。
【0089】
システムの自動プロポフォール停止のユーザオーバーライドは、影響を受けたアラームの持続期間中、実施されたままである。すなわち、送出システム2は、同じアラーム状態に応答して、2回目はプロポフォール投与を停止しようとしない。
【0090】
引き続き図18を参照すると、複数のアラームおよび/またはシステム助言が提示されるとき、送出システム2は、最高優先度の音声アラームを示す音声トーンをユーザ3に提示する。アラームおよび/または助言の視覚的表示は、それぞれの優先度順に最高から最低に、主モニタ表示70上のスマートアラームボックス80に列挙される。本発明の一実施形態では、アラームおよび助言は、以下のように優先度が付けられる:警告、注意、助言、そしてそれからクリアされたアラーム。これら各カテゴリ内では、アラームまたは助言は、それぞれの発生順によって優先度が付けられ、最も新しいものに最高の優先度が与えられる。UI1は、スマートアラームボックス80のブロック内の列中の上から下にアラームおよび助言を表示し、最高優先度のメッセージが列の最上部に表示される。多くのメッセージを表示するために、スマートアラームボックス80内に2列以上が必要な場合、最高優先度のメッセージが最も左側の列に表示される。各アラームメッセージおよび助言のシンボルまたはアイコンは、上述したように適切な色で、適切な背景色に対して提示され、アラームメッセージを含まないスマートアラームボックス80の残りの部分は、正常とは異なる色、またアラーム背景色とは異なる色(たとえば、黒)で表示される。図18は、優先度の付いたアラームおよび助言ブロックを含むスマートアラームボックス80の一表示例を示す。
【0091】
メンブレンキーパッド(図3)に設けられるアラーム消音ボタン13は、触れられると、現在アラームの音声信号を消音化させる。消音化は特定の期間行われ、アラーム消音ボタン13に続けて触れると、特定の最長消音時間限度まで延長することができる。一例として、ボタンを一度押下すると、アラームが60秒間消音化され、最初の60秒が経過する前に再び押下すると、消音時間秒読みにさらに60秒が追加され、押下する毎に、最長で合計消音時間秒読み180秒までさらに60秒が追加される。消音期間に残っている時間は表示され、それによってユーザ3はアラーム音の再発生を予想することができ、再びボタンを押下して消音期間を適時に延長することによってこのような再発生を防止することが可能である。最長消音時間限度は、ユーザ3が可聴アラームなしで作業を続けるようにするには、少なくとも時折、たとえば180秒毎に、ユーザ3に予測的な対応ステップを強制的にとらせるようにすることによってアラームの現在性を確実に認めさせる。
【0092】
消音期間中に新しいアラームが発生すると、現在の消音期間が終了し、それによって新しいアラームの音声信号および視覚信号を提示させる。このような新しいアラーム後にアラーム消音ボタン13を押下すると、新しい消音期間が開始される。現在の消音期間およびそこに表示される残り時間は、すべての現在アラームに適用される。
【0093】
図19は、日時および電力状態情報を含むバー83の一表示例を示す。日付および時刻81は、表示バー83の別の部分の中に表示してもよく、両方とも後述するシステム情報表示からユーザ3により設定することが可能である。システムのバッテリの現在充電レベルを示すアイコン81bも表示することができる。充電レベルのパーセント値81cも示すことができる。代替または追加として、残りのバッテリ充電でどれくらいシステムを実行することができるかを示す時間値を表示してもよい。これらバッテリ指示は、システムがバッテリ電力で動作しているときと、システムが外部電源で動作しているときとで別の色を有することができる。
【0094】
患者に提供されている補充O2の現在レベル(たとえば、ゼロ、低、中間、または高)も状態ボックス83に示すことができる。この情報は、水平のサーモメータバーとして図表で示すことも、またはO2流量を表す値としてテキストで示すこともできる。図19は、中間速度のO2流量(O2 flow)を示すサーモメータバーの一表示例も示している。
【0095】
図20は、患者情報表示110の一表示例を示す。患者情報表示110は、患者の体重、身長、年齢、および性別を入力するデータ入力ボックスを提供することができる。患者の氏名およびIDも入力データの一部であってもよい。体重、身長、年齢、および性別情報は、プロポフォール効果部位濃度情報を算出するためにシステムの目標制御注入アルゴリズムによって使用される。データは、適切なテキスト入力ボックスに触れ、メンブレンキーパッドまたはタッチスクリーンキーパッドを介して関連情報を入力することによってこの画面に入力することができる。体重および身長情報はkgあるいはlb単位で入力することができ、身長情報はcm、またはフィートおよびインチで入力することができる。kgボックスに情報を入力すると、計算された変換値がlbボックスに現れ、またその逆も同様である。cmボックスに情報を入力すると、計算された変換値がフィートボックスおびインチボックスに現れ、またその逆も同様である。男性/女性ボックスはトグルし、デフォルトではいずれも選択されていない。これら入力変換の利便性により、ユーザにどの値が入力されているか考えるよう求めることから、ユーザが患者情報について入力した値が一層確実になる。パラメータフィールドに表示されるデフォルトがないため、誤った値が、単にユーザが変更を怠ったデフォルト値であるというだけでシステムに使用されることが確実にないようされる。
【0096】
ユーザ3は、メンブレンキーパッド34(図3)上の患者情報(Patient Info)ボタンに触れることによって患者情報表示110にアクセスすることができ、患者情報表示110は、ポップアップウィンドウとして主モニタ表示70の上に提示することができる。所与の患者に対して鎮静および鎮痛が開始されると、患者情報表示110は変更できず、その代わりに、ユーザが鎮静および鎮痛処置中に患者情報ボタン17(図3)に触れると、現在患者のデータを報告するポップアップウィンドウ120(図21)が提示される。
【0097】
データのひどい誤入力に対するさらなるセキュリティの層として、送出システム2は、入力された体重を入力された身長、年齢、および性別と関連付けて誤入力を捕らえる体重計算図表を使用する。これは、薬物注入は入力された体重に基づいて計算される場合が多く、ユーザが患者の体重を誤入力すると深刻な結果になりうることから特に重要である。送出システム2は、これら計算図表を参照して、ユーザが入力した患者情報に対して特定のチェックを行い、入力の明らかな誤りを捕らえるために、計算図法チェックに一致しないあらゆる入力の確認をプロンプトを表示してユーザに促す。たとえば、ユーザが患者の年齢の値に2歳と入力し、同じ患者の体重の値に300パウンドを入力した場合、システムソフトウェアは、先に進む前に、入力をさらに確認するようプロンプトを表示してユーザに促す。しかし、ユーザの入力がソフトウェアによって確認されると、システムは、新しい処置の開始にあたり次のステップに進む。さらなるセキュリティ対策として、単位間の混乱による誤入力を防止するために、身長および体重の単位が、一般に使用される単位のうちの少なくとも2つの組で表示される。体重はkgあるいはパウンドで入力することができ、いずれの体重単位入力フィールドが使用されるかに関わりなく両方の単位で表示される。身長は、cmあるいはフィートおよびインチで入力することができ、いずれの身長単位入力フィールドが使用されるに関わりなく両方の単位で表示される。
【0098】
ユーザが心臓蘇生キットの不正開封防止シール(tamper-proof seal)をチェックしたことを示すチェックボックス、心臓蘇生細動除去器の存在および適切に機能することをチェックしたことを示すチェックボックス、およびユーザが追加のプロポフォール瓶を得たことを示すチェックボックスを含む特定のチェックボックスを、ユーザはシステムにより患者情報の入力が完了したとみなされる前にチェックしなければならない。細動除去器のチェックボックスは、細動除去器が心臓蘇生キットに収容されている場合、UI1から省くことができる。心臓蘇生キットのシールが破れていないことは、その心臓蘇生キットが最後に在庫補充、または証明されてから使用されていないことをユーザに示し、必要な救急用品が手元にあり、必要な場合に作動可能であるという保証をユーザおよび患者に与える。この使用前チェックシーケンスは、システムが鎮静薬または効力のある薬物を患者に投与し始める前に、前提条件が満たされているか確認するようユーザに求める。ユーザにこれらおよび他の行動をとることを思い出させることは、鎮静および鎮痛の送出の経験が少ない、または鎮静および鎮痛の送出を最近行っていなくても、患者の安全を危険に曝すことがないことを確実にする多重手段としての役割を果たす。
【0099】
再び図20を参照すると、患者データ入力中にキャンセルボタン112に触れると、トランザクションを取り消し、患者情報をそれまで格納されていたあらゆる値に戻す。OKボタン114に触れると、システムが、入力データが完全であり有効であることをチェックして確認する。患者情報が完全ではない場合、患者データエラーメッセージが表示され、完全な情報の入力をプロンプトを表示してユーザに促すことができる。身長、年齢、および体重それぞれに特定の推奨限度がシステムに提供される。ユーザにより入力された患者情報がこれら推奨限度を超える場合、患者データ警告メッセージが表示され、ユーザが患者情報表示110に戻ることによって入力を変更できるようにする。
【0100】
図21は、患者データ入力確認表示120の一表示例を示す。入力データが完全であり、送出システム2によって有効性についてチェックされると、ユーザの意図を確認するために、患者データ入力確認表示120がユーザに提示される。ユーザ3に一度入力されたデータを確認するよう求めることで、どうにかしてユーザ3に入力の誤りを見つけさせ、それによってユーザ入力ミスにより患者が被害を受ける危険性を低減する。また、患者データ入力確認表示120上、または別個の画面上で、鎮静および鎮痛の開始前に患者について考慮すべき特定の要素をユーザ3に思い出させることができる。薬物の投与を開始する前に、鎮静および鎮痛に関連するリスクに直接関係する完全な履歴および身体の検査の極めて重要な要素をユーザ3に思い出させることで、ユーザは、プロポフォールの投与を開始する前に、現在のセットアップを使用して患者を鎮静させることに問題を生じさせうる状況を捕らえることができる。
【0101】
図22は、プロポフォールパージIVセット確認表示130の一例を示す。ユーザ3がメンブレンキーパッド34(図3)上のパージIVセット(purge IV set)ボタン51を押下すると、また特定の前提条件が満たされると、プロポフォールパージIVセット確認表示130がユーザ3に提示される。これら前提条件としては、送出システム2のハウジングの所定位置に適切に装填された有効な薬物カセットがあること、およびカセットの所定位置に適切に装填された有効なプロポフォール瓶があることを含むことができる。ユーザ3がパージIVセット機能を起動しようとするときにこれら前提条件がみたされていない場合、UI1は適切なエラーメッセージを表示する。プロポフォールパージIVセット確認表示130は、パージプロセス中、患者を注入システムに接続してはならないことをユーザ3に思い出させる。送出システム2は、ユーザ3にこの注意を提示し、その後、ユーザ3がパージシーケンスを進めたいことを示した場合にのみ、パージシーケンスを進める。パージIVセットボタン51を押下すると、ユーザ3は、ただ2つの簡単な行動をとるだけでパージシーケンスを開始することができる:ハードキーを押下した後に、タッチボタンを介して確認する。次に、送出システム2は、ユーザ3によるその1つの行動後、予め選択され、経験的に決定された薬物量でIVセットを自動的にパージする。プライミングまたはパージのために薬物容器から抜き取られる薬物の量は、薬物制御モデルによって計算される、患者に投与された薬物量には加えられず、薬物残量を計算し、薬物容器の枯渇を予測するアルゴリズムの一貫として、容器から抜き出された総量に加えられる。
【0102】
送出システム2は、注入システムに接続された患者にプロポフォールを投与する前に特定の前提条件を確実に満たすようにさせる。ユーザ1が通常またはスタットプロポフォール投与機能を起動しようとすると、送出システム2は、これら前提条件が確実に満たされるようにチェックする。3つの薬物送出モードのいずれの初期起動の必要前提条件も、必要な患者データの入力および確認、心臓蘇生キットのシールが存在し、完全な状態にあることの確認、所定位置に適切に装填された有効なカセットの存在、所定位置に適切に装填された有効な瓶の存在、メインA/C電源の存在、少なくとも80%のシステムバッテリ充電の存在、機能する細動除去器の存在の確認、処置前に注入管の少なくとも一回のパージが行われたこと、管中に空気があるという指示がIVポンプによって検出されていないこと、および以下の信号:呼吸数、SpO2、および心拍数の少なくとも1つの存在、を含むことができる。前提条件のいずれかが満たされていない場合、送出システム2は投与を開始せず、満たされていない特定の条件の説明を含むプロポフォール投与エラーメッセージをユーザ3に表示する。エラートーンも再生することができる。
【0103】
図23は、通常モード投与量表示140の一例を示す。ユーザ3は、メンブレンキーパッド34(図3)のプロポフォール部分中の通常モードキー47を起動することにより、プロポフォールの目標効果部位濃度(ESC)、注入流量、またはレベルまでの一定の流量での増量を開始することができる。このキーを起動すると、通常モード投与量表示140がユーザ3に提示される。たとえば、この表示内で、選択された、または現在投与されているプロポフォールの現在ESCがタッチ入力データボックスに示される。デフォルトのESC、注入流量、または投与量0をタッチ入力データボックスに示すことができる。ユーザは、キーパッドを介して、またはいくつかの通常選択されるESCS、注入流量、または投与量を表す通常モード投与量表示上のボタンを通して新しいESC、注入流量、または投与量レベルを入力することができる。通常モード投与量表示は、計画ESCまたは投与量の図的表現142も含むことができる。薬物注入モードのアイコン表現142は、その薬物注入モードが何を実現しようと意図しているか、およびそれをどのように実現するかをユーザが容易に認識することができるように、モニタ表示70内のプロポフォール注入ボックス76に表示されるESCの計画グラフまたは投与量に類似しうる。画面上に与えられるプロポフォールの値が効果部位濃度に関連することをユーザ3に思い出せるため、またはそのことについてのユーザの認識を強化するため、効果部位を示すアイコン144(たとえば、効果部位が患者の脳にある場合、人の頭部の輪郭内に示された有色シンボル)も通常モード投与量表示140上に含めることができる。SpO2または呼吸数(後述)のパラメータ値が低い場合、あるいはARTに対する反応が遅い、またはない(上述)場合、システムがESC、注入流量、または投与量を低減する自動プロポフォール低減機能をユーザがオン/オフすることができるボックス146も投与量表示に含めることができる。ボックス146は、機能がアクティブである場合、自動低減が作動した理由をユーザに通知するのに十分なメッセージ148も含む。
【0104】
図24は、スタットモード投与量表示150の一表示例を示す。ユーザ3は、メンブレンキーパッド34のプロポフォール部分46におけるスタットモードキー49を起動することにより、可能な限りはやく目標ESCまたは投与量に到達できる速度でのプロポフォールの供給も開始することができる(この投与モードでは、目標ESCの過渡的過剰も起こり得る)。このキーが起動されると、スタットモード投与量表示150がユーザ3に提示される。この表示内で、選択された、または現在投与されている現在ESC、注入流量、またはプロポフォール投与量がタッチ入力データボックスに示される。デフォルトのESCまたは投与量0をタッチ入力データボックスに示すことができる。ユーザは、キーパッドを介して、またはいくつかの通常選択されるESCまたは投与量を表すスタットモード投与量表示150上のボタンを通して新しい濃度を入力することができる。スタットモード投与量表示150は、計画効果部位レベルの図的表現152も含むことができる。この表現152は、スタットモード薬物状態が何を実現しようと意図しているか、およびそれをどのように実現するかをユーザ3が容易に認識することができるように、プロポフォール注入ボックス76(図5)に表示される効果部位レベルの計画グラフに類似しうる。この図的表現152は、目標ESCの起こりうる過渡的過剰を表すこぶも含むことができる。さらに、ユーザ3に起こりうる過渡的過剰について注意喚起させるため、テキストメッセージボックス154もスタットモード投与量表示150に含めることができる。このような表現を使用して、スタットモードにより過渡的過剰が生じる恐れのあることをユーザ3に思い出させる。画面上に与えられるプロポフォールの値が効果部位濃度に関連することをユーザ3に思い出せるため、またはそのことについてのユーザの認識を強化するため、効果部位を示すアイコン156(たとえば、効果部位位置が患者の脳にある場合、人の頭部の輪郭内に示された有色シンボル)もスタットモード投与量表示150に含めることができる。SpO2または呼吸数(後述)のパラメータ値が低い場合、またはARTに対する反応が遅い、またはない(上述)場合、送出システム2がESCまたは投与量を低減する自動プロポフォール低減機能をユーザ3がオン/オフすることができるボックス158も投与量表示に含めることができる。このボックスは、機能がアクティブである場合、自動低減が作動した理由をユーザ3に通知するのに十分なメッセージ159も含む。しかし、スタットモードが目標ESCまたは投与量に到達しようとしている間、自動プロポフォールESCまたは投与量低減機能は送出システム2によってオフに切り換えられる。この行為が行われる前、かつこの行為が行われている間に、ユーザ3に送出システム2によるこの行為について注意喚起させるのに適したテキストメッセージボックス157が、スタットモード投与量表示150に含められる。
【0105】
図25は、自動プロポフォール低減オフ確認画面160の一表示例を示す。ユーザ3がいずれかの投与量表示から自動低減機能をディセーブルする場合、UI1は、投与量画面上にオーバーレイされる自動プロポフォール低減オフ確認画面160をユーザに提示する。ユーザ3が確認画面上のOKボタン162に触れると、送出システム2は自動プロポフォール低減のディセーブル化に進む。ディセーブルされると、自動プロポフォール低減は、ユーザ3が上述した同じ画面を移動することによって再度イネーブルするまでディセーブルされたままである。自動プロポフォール低減がディセーブルされている期間中、そのことについてのメッセージをスマートアラームボックス80(図5)の一部に表示することができ、それによって、ユーザ3は、デフォルトの自動プロポフォール低減機能が非アクティブであることに常に注意喚起される。UI1は常に、送出システムの安全アルゴリズムおよびデータセットへの有意な変更が行われたとき、ユーザ3に警告するとともに、このような変更が行われる前にユーザの確認を求める。自動低減機能がアクティブである場合であっても、送出システム2がスタット送出モードで薬物を投与しているとき、プロポフォールESCまたはレベルが上がる期間中にも同様のメッセージをユーザ3に表示することができ、これは、このようなESCまたはレベルの増大が続けられている間、送出システム2は一時的にこの機能を使用しなくなるためである。スタットモードおよび通常モードの両方において、ユーザ3がプロポフォールの新しい目標効果部位濃度を選択し、それから新しいESC目標を確認すると、UI1はESCのそれ以降の計画を更新し、それをプロポフォール注入ボックス76の計画目標効果部位グラフ76b(図12に関連して上述)に表示する。送出システム2が患者に投与するプロポフォールESCの実際の変更は、ユーザ3が各投与量モード表示上のOKボタンに触れる場合にのみ開始される。送出システム2は、ユーザが各投与量モード表示上のキャンセルボタンに触れた場合、患者に投与される現在のプロポフォールESCを変更しない。
【0106】
図26は、通常モード170およびスタットモード178の確認画面の表示例を示す。変更に先立って、入力されたプロポフォールESCは目標効果部位レベルのみであることを理解しているかユーザ3に確認させるため、中間表示170をユーザ3に提示することができる。このような実施形態が実施される場合、送出システム2は、ユーザ3が通常モード確認画面170上のOKボタン172に触れた後でのみ、現在のプロポフォールESCを変更する。これら確認画面は、通常送出モードおよびスタット送出モードそれぞれに固有であることができ、触れられると、プロポフォールレベルの効果部位制御の背後にある理論および前提をユーザ3に思い出させる別の表示を起動するボタン174を含むことができる。確認画面は、入力した値が誤りであったと認識した場合、その変更をキャンセルする機会をユーザに与えるように、ユーザが選択したESCを再表示することもできる。
【0107】
図27は、薬物注意画面180および警告画面184の表示例を示す。送出システム2は、目標にする前に、ユーザによるさらなる確認を要求しうる、特定の範囲のユーザ入力レベル、投与量、注入流量、または効果部位濃度を認識する。これら値は、システムのメモリ内に格納される安全データセットに表すことができる。たとえば、ユーザが入力したESCが、患者の年齢に釣り合った安全データセット中の特定の値(たとえば、70歳未満の患者の場合は4.0□g/cc、または70歳以上の患者の場合は3.0□g/cc)未満である場合、送出システム2はプロポフォール投与の開始プロセスに進む、すなわち、現在の投与レベルを変更するか、またはシステム開始画面(後述)を新しい処置の開始時に表示することになる。たとえば、ユーザが入力したESCがその特定の値を越えるが、第2の値(例えば、15□g/cc)未満である場合、UI1は、ユーザが入力した値が鎮静および鎮痛の場合のプロポフォール推奨値最大限度を超えるとユーザ3に注意を促す鎮静および鎮痛の薬物警告画面180をユーザ3に表示する。この画面は、入力されたESCを実現するユーザの意図を確認またはキャンセルするようユーザ3に促す。これは、注意を表すテキストに色(たとえば、黄色)の付いた背景を含むことができる。例えば、ユーザが入力したESCが第2の値を超えるが、まだ第3の値(たとえば、20□g/cc)未満である場合、システムは、ユーザが入力した値が全身麻酔のプロポフォール推奨値最大限度を越えるとユーザに警告する全身麻酔の場合の薬物警告画面184をユーザ3に表示する。この画面は、入力されたESCを実現するユーザの意図を確認またはキャンセルするようユーザ3に促す。これは、警告を表すテキストに色(たとえば、赤)の付いた背景を含むことができる。ユーザ3がこれら警告画面の1つで、ユーザが入力したレベル値を確認すると、送出システム2は、現在投与レベルを変更するか、またはUI1が新しい処置の開始時にシステム開始画面(後述)を表示する。ユーザ3が入力したESCが第3の値さえも超える場合、UI1は、プロポフォール超過エラーメッセージをユーザ3に表示し、投与量モード画面の表示に戻り、送出システム2は、ユーザ3が新しい、より低いESC値を入力するまでプロポフォールの投与の開始を許可しない。システムのこういった値のチェックおよび多重確認機能により、ユーザ3による不注意な入力が、送出システム2が患者への過量投与を引き起こすのに十分なプロポフォールレベルを投与するポイントまで気付かれずに進んでしまうリスクを大幅に低減することができる。
【0108】
適切なユーザ確認が行われると、UI1は主モニタ表示70に戻り、プロポフォール目標レベルボックス中の流量インジケータ76eおよびキーパッド34(図3)上のプロポフォールLED48が、定められたシーケンスおよび速度で動き始める、または発光し始める。ユーザ3は、上記画面を移動し、0の効果部位レベルを入力することにより、またはメンブレンキーパッド34(図3)のプロポフォール部分46内にあるプロポフォール停止ボタン53を押下することにより、いつでもプロポフォールの投与を打ち切ることができる。
【0109】
図28は、システム開始確認画面190の一例を示す。新たな患者にプロポフォールの最初の投与を開始するとき、UI1は、システムスタートアップシーケンス中の都合のよい時点でモニタおよびサブシステムをオンにすることをユーザ3に思い出させ、それによって、気を散らせる偽陽性アラームを発生させうるサブシステムの早まった起動(たとえば、加圧帯が患者に取り付けられる前のNIBP起動、または患者がハンドピースを握る前のART起動)、サブシステムの危険な起動(たとえば、呼吸に低酸素刺激を用いる患者に対する補充酸素の投与)、およびサブシステムの都合の悪い起動(たとえば、適切なときよりも先のプリント開始)を防止する。これら注意は、送出システム2が、開始中に、関連するモニタまたはサブシステムの1つが非アクティブであることを感知する場合、システム開始確認画面190の形でユーザ3に提示することができる。関連するモニタまたはサブシステムそれぞれのデフォルト設定は、ユーザがプロポフォールを患者に投与する前に、予測的に、または意識してこれらモニタまたはサブシステムをオフにすると決めなければならないように、アクティブであることができる。
【0110】
ユーザ3が、まずNIBPモニタを起動することなく、プロポフォール等の鎮静薬を投与しようとする場合、送出システム2は、プロポフォール投与の確認画面上でのユーザ3による確認後、NIBPモニタリングを自動的に開始する。
【0111】
図29は、ARTセットアップ選好表示200の一例を示す。ユーザ3は、メンブレンキーパッド34(図3)上の適切なボタンを押下してポップアップウィンドウを出すことによって、特定のモニタおよびサブシステムの選好を変更することができる。たとえば、ユーザ3がARTセットアップボタン62を押下すると、ポップアップARTセットアップ選好表示200が現れ、ユーザ3がART送出モード、間隔、および言語に関連する選好を変更できるようにする。ユーザ3は、送出システム2に反応性試験を自動的に施行させるか、それとも患者の反応性を手動で評価するようユーザ3に促すかを選択することができる。ユーザ3は、間隔選好の下で、反応性クエリサイクル間に過ぎる時間量を選択することができ、言語選好の下で、送出システム2が促す、または患者に問い合わせる言語を選択することができる。
【0112】
図30は、重要な患者パラメータの自動プリントアウトを送出システム2が生成する頻度をユーザ3が選択することができる、UI1によって提示可能なプリントセットアップ選好表示210の一例を示す。自動プリントは、プリントオン/オフボタン56c(図3)を介して、またはシステム開始確認画面を介して選択または選択解除することができる。
【0113】
図31は、スタットプリントアウト画面の一表示例を示す。この画面から、ユーザ3は、ボタン30を選択してテキストおよび/または数値データをプリントすることもでき、またはボタン32を選択して図表波形をプリントすることもできる。UI1のプリント機能は、さらなる時間および労力集約的な局面、すなわち、患者の生理学的パラメータ、または薬物注入ならびにこれらイベントが行われた時間等、臨床的介入の書面記録を保持することを低減することを目的としている。スタンドアロン型モニタに表示されているパラメータを読み取り、医療記録に手動で書き写すのには時間および労力がかかる。時には、介入が行われているとき、特に、正確な記録保持が最も重要である緊急時に、臨床医が忙しすぎて記録を保持することができず、事後に、誤りがちでありうる記憶に頼って何が行われたかを再構成しようと試みる必要がある。UI1は、生理学的モニタ、薬物送出システム2、およびプリンタと密に統合されているため、半自動化を介して、正確な医療記録の保持に必要な時間および労力の多くが低減される。
【0114】
図32は、NIBP測定が送出システム2によって行われる頻度をユーザ3が選択することができる、送出システム2によって提示されうるNIBPセットアップ選好表示220の一例を示す。測定の間隔は、連続(continuous)に設定して送出システム2に前の測定直後に新しい測定を自動的に行わせることができる。送出システム2は、設定された時間量後にUI表示から古くなったNIBPデータを消去することもできる。
【0115】
図33は、他の表示のチャートおよびグラフ上の変更可能な各スケールのスケール範囲をユーザ3が選択することができる、送出システム2によって提示されうるスケールセットアップ選好表示230の一例を示す。スケールおよび現在データへの対応する変更を主モニタ表示70(図5)に示すことができる。各スケールは、システムソフトウェアに提供される限度内の値に変更することが可能である。ユーザ3がこれら限度外の値を選択する場合、スケール限度エラーメッセージが表示される。適正な表示データ分解能を確保するため、スケール最大値は、少なくとも、スケール最小値よりも特定数の単位分大きい必要がありうる。送出システム2は、変更を実現するようにスケールを自動的に調整することができる。この単位数は患者パラメータに応じて様々であり、システムソフトウェアに含められる。ユーザが予め設定された各パラメータの範囲を越えるスケール最小値および最大値を選択する場合、適切なエラーメッセージをユーザに表示することができる。
【0116】
図34は、可聴出力のボリューム、たとえば、患者への各ART音声提供、アラームおよび助言を表すトーンのボリューム、ならびにパルス/SpO2トーンのボリューム等をユーザ3が選択することができる、またUI1によって提供されうる音声ボリュームセットアップ表示240の一例を示す。パルス/SpO2トーンのボリュームのみ、この選好画面でゼロに設定することが可能である。
【0117】
メンブレンキーパッド34(図3)上のシステム情報(system info)ボタン43を押下すると、UI1はシステム情報表示も提供することができ、ユーザ3が、日付、時刻、システムコンソール上に提示される言語、およびコンソール表示画面の輝度制御のいずれか1つまたは複数を変更できるようにする。送出システム2は、コンソール言語に対する変更が、患者へのART提示に使用される言語と同時に行うことができるようにセットアップすることができる。
【0118】
図35は、ユーザ3がメンブレンキーパッド34(図3)上のアラーム設定(alarm settings)ボタン45を押下すると、主モニタ表示70(図5)の上にポップアップウィンドウとして提示することができるアラーム設定表示250の一例を示す。ソフトウェアは各アラームにデフォルト限度を含むが、ユーザは、システム内で限度を変更するいくらかの自由を有する。ユーザ3は、対応するテキスト入力ボックスに触れ、キーパッド36図3)を使用して新しい値を入力することにより、各アラーム限度(たとえば、警告上限、注意上限、注意下限、警告下限)に新しい値を入力することができる。入力された値は、キャンセルボタン252に触れることによって取り消すことが可能であり、これにより、アラーム設定表示250が除去され、変更が行われていない主モニタ表示70を前面に戻す。デフォルトリセット(reset defaults)ボタン254に触れると、すべてのアラーム限度値がそれぞれのデフォルト値に変更される。
【0119】
図36は、アラーム限度エラーメッセージ260の一例を示す。重要な生理学的パラメータそれぞれの注意アラームおよび警告アラームの限度は、安全データセットに格納される。ユーザ3が、そのパラメータの安全データセットに格納されている範囲限度外のアラーム限度を入力する場合、アラーム限度エラーメッセージ260がユーザ3に表示され、新しいアラーム限度の入力をユーザ3に促す。
【0120】
ユーザ3が特定の生理学的パラメータのアラーム上限のテキスト入力ボックスに入力した値が、アラーム下限(警告または注意)の値未満の場合、UI1は適切なエラーメッセージをユーザ3に提示する。ユーザ3が特定の生理学的パラメータのアラーム下限のテキスト入力ボックスに入力した値が、アラーム上限(警告または注意)の値よりも大きい場合、適切なエラーメッセージがユーザ3に提示される。
【0121】
ユーザ3が警告アラーム上限に入力した値が注意アラーム上限の値未満の場合、注意アラーム上限はあるレベル、たとえば、警告アラーム上限よりも1単位分低いレベルにリセットされる。ユーザ3が注意アラーム上限に入力した値が警告アラーム上限の値よりも大きい場合、警告アラーム上限はあるレベル、たとえば、注意アラーム上限よりも1単位分上のレベルにリセットされる。
【0122】
ユーザ3が警告アラーム下限に入力した値が、対応する黄色注意アラーム下限に入力した値よりも大きい場合、黄色注意アラーム下限はあるレベル、たとえば、赤色警告アラーム下限の1単位分上のレベルにリセットされる。黄色注意アラーム下限に入力された値が、赤色警告アラーム下限の値未満である場合、赤色警告アラーム下限はあるレベル、たとえば、黄色注意アラーム下限の1単位分下のレベルにリセットされる。
【0123】
現在のアラーム限度を主モニタ表示70上に表示するか否かの選択肢をユーザ3に与えることができる。アラーム限度を表示するボタンをアラーム設定表示250(図35)に表示することができる。このボタンがオンに切り換えられているとき、最も警告レベルのパラメータのアラーム限度が、図5に関連して上述した主モニタ表示70上のそれぞれのパラメータデータボックス82に表示される。
【0124】
可聴アラーム信号のボリュームも、アップおよびダウンのボリューム調整ボタンを介してアラーム設定表示250から制御することが可能である。アラームボリュームは、ダウンボリューム調整ボタンを使用することでゼロまで下がらないようにすることができる。ユーザ3がアラームボリューム調整を変更すると、新しいボリュームで短い音を再生することによって新しいボリュームレベルがユーザ3に提示される。
【0125】
図37は、メンブレンキーパッド34(図3)上のアラーム一時停止ボタン11を押下することによって、主モニタ表示70(図5)の上に持ってくることができるポップアップウィンドウであることができるアラーム一時停止確認表示270の一例を示す。特定の患者モニタに関連するパラメータアラームおよび助言は、患者信号が検出されない期間中、システムにより一時停止するよう設定することができる。ユーザ3は、アラーム一時停止確認表示270上の対応するタッチボタンにより、またはアラーム一時停止ボタン11を押下した後に、一時停止可能な各アラーム毎にこの選択肢を選択することができる。モニタが一時停止機能によってディセーブルされた後、患者信号が関連するパラメータセンタで検出された場合、そのパラメータのアラームを鳴らすことができ、またそのモニタに関連する助言を自動的に再起動することができる。ユーザ3は、アラーム一時停止確認表示270上の対応するアクティブボタン272に触れることによってアラームおよび助言を手動で再起動することもできる。
【0126】
ECG信号が利用可能ではない場合、ユーザに表示される心拍数示度(ひいては心拍数アラームアルゴリズムへの入力)のソースは、ECGモニタから、利用可能であればパルスオキシメータに切り換えられる。同様に、パルスオキシメータ信号が利用可能ではない場合、心拍数示度(およびアラーム入力)のソースは、利用可能であればECGモニタに切り替えられる。モニタ、たとえばNIBPモニタ、CO2モニタ、SpO2モニタ、およびECGモニタが一時停止中である、機能していない、オフになっている、または存在しないことにより利用することができないいずれのパラメータにも、示度なしの指示(たとえば、「−−−」)が、主モニタ表示70(図5)上の関連するパラメータボックス82に示される。一時停止である、機能していない、オフになっている、または存在しないモニタから導き出されるパラメータの表示を除去することで、もし表示されているならば、古いパラメータを、患者の現在の生理学的状態を示す最近のデータとして誤って解釈してしまい、ユーザが、対応するモニタがオンになっており、NIBPモニタに関して先に述べたように機能していると思い込んでしまうことを防止する。しかし、一時停止中のモニタからのデータがないことを履歴ボックスに引き続き表示して、ユーザにいつモニタが一時停止またはオフになっていたかを知らせることができる。また、装置が一時停止している場合、ラベル「SUSPENDED(一時停止)」が、主モニタ表示70上に関連するリアルタイムデータボックス72があればそこに表示される。
【0127】
送出システム2のスタートアッププロセスの一貫として、ユーザ3に案内画面、次に患者情報表示、次に患者情報確認表示、そして最後に主モニタ表示70(図5)を提示することができる。システムスタートアップシーケンス後、表示画面の選択はユーザの自由である。
【0128】
ユーザ3は、メンブレンキーパッド34(図3)上の新規ケースボタン15を押下することによって新しい処置を開始することができる。送出システム2が、処置においてプロポフォールを開始した後いつでも、新しいカセットを検出した場合、UI1は、カセットの使用が6時間未満であれば、新しいケースを開始する前に、(ケース終了キー19を押下することにより)前回の処置を適切に終了することをユーザ3に思い出させる。カセットが6時間使用されている場合、UI1は、カセットを交換し、患者がなお同じ患者であるかどうか、またケースが終了してないことを確認するようユーザ3に促す。ユーザ3が処置の終了を選択したことを受けて、送出システム2は、ケース情報の最終的なプリントアウト(プリントがイネーブルされている場合)した後に、前回の患者のデータをすべてメモリからクリアさせ、変更可能なシステム設定をそれぞれのデフォルト値にリセットする。次に、送出システム2は、患者情報表示110(図20に関連して上述)を提示することによってシステムスタートアッププロセスを繰り返す。
【0129】
送出システム2は、送出システム2がアクティブである間、ユーザがケース終了ボタン19またはメンブレンキーパッド34(図3)上のオン/オフボタン38を押下するときはいつでもケース終了を記録する。ケース終了が記録されると、送出システム2は、ユーザにシャットダウン確認表示を提示することによってシャットダウンするユーザの意図を確認する。次に、ユーザ3は、送出システム2がプロポフォールの投与をやめ、ARTおよびNIBPの施行をやめ、患者データの最終報告書をプリントする(プリントがイネーブルされている場合)ことになるケース終了をボタンに触れて承認しなければならない。
【0130】
送出システム2は、すべてのアクティブな健康状態モニタ(ECG、パルスオキシメータ、およびカプノメータ)からデータが検出されないときもケース終了を記録する。このような場合、ユーザ3に送出システム2をシャットダウンするか、すべてのアラームをある期間一時停止し、その後、送出システム2がカセットを無効とみなす前に固定数(たとえば、5)の追加アラーム一時停止のみを許可するという選択肢をユーザ3に与えるケース終了確認表示がユーザ3に提示される。一時停止期間後もなおデータが検出されない場合、送出システム2は自動的にシャットダウンモードになる。
【0131】
瓶の合計最長使用時間量(たとえば、6時間)が、任意特定の処置において、送出システム2によって許される。この時間量が過ぎると、瓶の時間限度を越えたことを示す助言アラームが生成される。カセットの最長使用時間量が過ぎた場合も、同様の助言アラームが生成される。
【0132】
AC電力が失われた場合、システム助言(上述)がユーザ3に提供される。UI1は、残りのバッテリ電力が特定のレベル(たとえば、残りの動作6分)よりも下に下がった場合、適切なメッセージでユーザ3に注意喚起することもできる。送出システム2は、残りのバッテリ電力が特定のレベル(たとえば、残りの動作5分)よりも下に下がった場合はいつでも、患者へのプロポフォールの投与を停止し、ユーザ3に適切なメッセージを提供するようにセットアップすることも可能である。したがって、送出システム2は、回復を通して患者を安全に見るのに十分な時間量、動作し続ける。送出システム2の電子的コントローラが故障した場合、可聴アラームが鳴り、システム故障LED64が発光する(図3)。送出システム2は、故障するときには安全な状態となるようにする。すなわち、プロポフォール流量はオフであり、新しいNIBP測定は開始されず、進行中のNIBP測定はいずれも中止されてNIBP加圧帯が減圧され、補充酸素は定常流量(酸素が故障時に投与されていた場合)となる。その際、補充O2を限られた時間量、投与して、それからやめることができる。
【0133】
所与のパラメータモニタがまず患者に接続された後、そのモニタからデータなしの状態が2分を越える場合(上述したようにユーザがそのモニタを一時停止していない場合)、UI1はモニタエラー表示をユーザ3に表示するであろう。この表示から、ユーザ3は、アラームまたは助言がそれ以上そのパラメータに関して提示しないことを選択する、すなわち、患者データがモニタから検出されない限り、そのパラメータのアラームを一時停止するという選択肢を有する。そして、適切なメッセージ(たとえば、ダッシュのセット「−−−」)が、主モニタ表示70上の対応するパラメータボックスに表示され、パラメータがシステムによって監視されていないことを示すとともに、メッセージも関連するリアルタイムデータボックス72に表示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鎮静および鎮痛を施行するシステムであって、
少なくとも1つの生理学的状況を反映した信号を受け取るようになっている1つまたは複数の患者健康状態モニタデバイスと、
1つまたは複数の薬物を供給する薬物送出コントローラと、
ユーザ入力を受け取り、システム情報、前記鎮静および鎮痛の施行に関する情報、および前記少なくとも1つの生理学的状況に関する情報を中継して伝えるユーザインタフェースサブシステムであって、前記システムは、前記ユーザ入力が前記患者に対して有害となる可能性のある状況をもたらす命令を構成する場合には、前記ユーザインタフェースを介して前記ユーザに警告する、ユーザインタフェースサブシステムと、
前記1つまたは複数の患者健康状態モニタデバイス、前記薬物送出コントローラ、および前記ユーザインタフェースサブシステムに動作可能に接続された電子的コントローラであって、少なくとも1つの生理学的状況を反映した前記信号および前記ユーザ入力を受け取り、これに応答して、パラメータに従って前記1つまたは複数の薬物の適用を管理する電子的コントローラであって、前記パラメータは安全かつ効果的な鎮静に関連するものである、電子的コントローラと、
を備える鎮静および鎮痛を施行するシステム。
【請求項2】
前記ユーザインタフェースサブシステムは、
表示用であり、かつ前記システム、前記鎮静および鎮痛の施行、および前記少なくとも1つの生理学的状況に関連するユーザ入力を受け取るタッチスクリーンまたは多層ディスプレイの少なくとも一方と、
前記タッチスクリーンまたは多層ディスプレイとは無関係に、前記システムと相互作用する別個のハードボタンセットと、
を備える、請求項1記載の鎮静および鎮痛を施行するシステム。
【請求項3】
前記ユーザインタフェースサブシステムは、前記システム情報、前記鎮静および鎮痛の施行に関する情報、および前記パラメータに対する関係における前記少なくとも1つの生理学的状況に関する情報を監視する少なくとも1つのデバイスと、前記ユーザが前記薬物送出コントローラおよび前記電子的コントローラを制御できるようにする少なくとも1つのデバイスとを備える、請求項1記載の鎮静および鎮痛を施行するシステム。
【請求項4】
前記少なくとも1つの生理学的状況は、ECG、心拍数、血圧、SpO2、呼吸数、ETCO2、および患者の反応性からなる群から選択される、請求項3記載の鎮静および鎮痛を施行するシステム。
【請求項5】
前記1つまたは複数の患者健康状態モニタデバイスからのデータは、単一のスクリーンまたは多層ディスプレイ上に表示されるときに組織配列上のエリアにグループ化され、各組織配列上のエリアは、患者の特定の生理学的状況に関連するデータを含む、請求項3記載の鎮静および鎮痛を施行するシステム。
【請求項6】
前記1つまたは複数の患者健康状態モニタデバイスからのデータは、心臓血管データの組織配列上のエリア、酸素供給データの組織配列上のエリア、および換気データの組織配列上のエリアにグループ化される、請求項5記載の鎮静および鎮痛を施行するシステム。
【請求項7】
前記酸素供給データの組織配列上のエリアは、前記心臓血管データの組織配列上のエリアに隣接する、請求項6記載の鎮静および鎮痛を施行するシステム。
【請求項8】
前記酸素供給データの組織配列上のエリアは、前記換気データの組織配列上のエリアに隣接する、請求項6記載の鎮静および鎮痛を施行するシステム。
【請求項9】
前記鎮静および鎮痛の施行に関連する情報は、薬物動態学的計算に基づいた患者薬物レベルに関する情報を含み、前記患者薬物レベルに関する情報および前記少なくとも1つの生理学的状況に関する情報は、単一スクリーンまたは多層ディスプレイにおいて、前記ユーザが前記患者薬物レベルに関する情報および前記少なくとも1つの生理学的状況に関する情報を関係付けるのを容易にする位置に表示される、請求項3記載の鎮静および鎮痛を施行するシステム。
【請求項10】
前記単一スクリーンまたは多層ディスプレイは、患者状態アラームおよび助言ならびにシステム状態アラームおよび助言に関する情報を表示する専用部分を含む、請求項9記載の鎮静および鎮痛を施行するシステム。
【請求項11】
現在のアラームおよび助言に関する情報は、前記単一スクリーンまたは多層ディスプレイの、前記アラームおよび助言の優先度によって決められた位置に表示される、請求項10記載の鎮静および鎮痛を施行するシステム。
【請求項12】
前記ユーザインタフェースサブシステムは、前記ユーザに表示された前記患者状態アラームおよび助言ならびに前記システム状態アラームおよび助言に関する情報を多重的に示す可聴インジケータを前記ユーザに中継して伝える、請求項10記載の鎮静および鎮痛を施行するシステム。
【請求項13】
前記何重もの可聴インジケータは、前記ユーザインタフェースサブシステムを介して前記ユーザによって消音化可能である、請求項12記載の鎮静および鎮痛を施行するシステム。
【請求項14】
消音化された何重もの可聴インジケータは、予め設定された期間中消音化されたままであり、残っている消音化時間量が前記ユーザに表示される、請求項13記載の鎮静および鎮痛を施行するシステム。
【請求項15】
現在のアラームおよび助言に関する情報は色分けされ、表示される色は、前記アラームおよび助言の優先度を示す、請求項10記載の鎮静および鎮痛を施行するシステム。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか一項に記載のシステムを使用する方法。
【請求項1】
鎮静および鎮痛を施行するシステムであって、
少なくとも1つの生理学的状況を反映した信号を受け取るようになっている1つまたは複数の患者健康状態モニタデバイスと、
1つまたは複数の薬物を供給する薬物送出コントローラと、
ユーザ入力を受け取り、システム情報、前記鎮静および鎮痛の施行に関する情報、および前記少なくとも1つの生理学的状況に関する情報を中継して伝えるユーザインタフェースサブシステムであって、前記システムは、前記ユーザ入力が前記患者に対して有害となる可能性のある状況をもたらす命令を構成する場合には、前記ユーザインタフェースを介して前記ユーザに警告する、ユーザインタフェースサブシステムと、
前記1つまたは複数の患者健康状態モニタデバイス、前記薬物送出コントローラ、および前記ユーザインタフェースサブシステムに動作可能に接続された電子的コントローラであって、少なくとも1つの生理学的状況を反映した前記信号および前記ユーザ入力を受け取り、これに応答して、パラメータに従って前記1つまたは複数の薬物の適用を管理する電子的コントローラであって、前記パラメータは安全かつ効果的な鎮静に関連するものである、電子的コントローラと、
を備える鎮静および鎮痛を施行するシステム。
【請求項2】
前記ユーザインタフェースサブシステムは、
表示用であり、かつ前記システム、前記鎮静および鎮痛の施行、および前記少なくとも1つの生理学的状況に関連するユーザ入力を受け取るタッチスクリーンまたは多層ディスプレイの少なくとも一方と、
前記タッチスクリーンまたは多層ディスプレイとは無関係に、前記システムと相互作用する別個のハードボタンセットと、
を備える、請求項1記載の鎮静および鎮痛を施行するシステム。
【請求項3】
前記ユーザインタフェースサブシステムは、前記システム情報、前記鎮静および鎮痛の施行に関する情報、および前記パラメータに対する関係における前記少なくとも1つの生理学的状況に関する情報を監視する少なくとも1つのデバイスと、前記ユーザが前記薬物送出コントローラおよび前記電子的コントローラを制御できるようにする少なくとも1つのデバイスとを備える、請求項1記載の鎮静および鎮痛を施行するシステム。
【請求項4】
前記少なくとも1つの生理学的状況は、ECG、心拍数、血圧、SpO2、呼吸数、ETCO2、および患者の反応性からなる群から選択される、請求項3記載の鎮静および鎮痛を施行するシステム。
【請求項5】
前記1つまたは複数の患者健康状態モニタデバイスからのデータは、単一のスクリーンまたは多層ディスプレイ上に表示されるときに組織配列上のエリアにグループ化され、各組織配列上のエリアは、患者の特定の生理学的状況に関連するデータを含む、請求項3記載の鎮静および鎮痛を施行するシステム。
【請求項6】
前記1つまたは複数の患者健康状態モニタデバイスからのデータは、心臓血管データの組織配列上のエリア、酸素供給データの組織配列上のエリア、および換気データの組織配列上のエリアにグループ化される、請求項5記載の鎮静および鎮痛を施行するシステム。
【請求項7】
前記酸素供給データの組織配列上のエリアは、前記心臓血管データの組織配列上のエリアに隣接する、請求項6記載の鎮静および鎮痛を施行するシステム。
【請求項8】
前記酸素供給データの組織配列上のエリアは、前記換気データの組織配列上のエリアに隣接する、請求項6記載の鎮静および鎮痛を施行するシステム。
【請求項9】
前記鎮静および鎮痛の施行に関連する情報は、薬物動態学的計算に基づいた患者薬物レベルに関する情報を含み、前記患者薬物レベルに関する情報および前記少なくとも1つの生理学的状況に関する情報は、単一スクリーンまたは多層ディスプレイにおいて、前記ユーザが前記患者薬物レベルに関する情報および前記少なくとも1つの生理学的状況に関する情報を関係付けるのを容易にする位置に表示される、請求項3記載の鎮静および鎮痛を施行するシステム。
【請求項10】
前記単一スクリーンまたは多層ディスプレイは、患者状態アラームおよび助言ならびにシステム状態アラームおよび助言に関する情報を表示する専用部分を含む、請求項9記載の鎮静および鎮痛を施行するシステム。
【請求項11】
現在のアラームおよび助言に関する情報は、前記単一スクリーンまたは多層ディスプレイの、前記アラームおよび助言の優先度によって決められた位置に表示される、請求項10記載の鎮静および鎮痛を施行するシステム。
【請求項12】
前記ユーザインタフェースサブシステムは、前記ユーザに表示された前記患者状態アラームおよび助言ならびに前記システム状態アラームおよび助言に関する情報を多重的に示す可聴インジケータを前記ユーザに中継して伝える、請求項10記載の鎮静および鎮痛を施行するシステム。
【請求項13】
前記何重もの可聴インジケータは、前記ユーザインタフェースサブシステムを介して前記ユーザによって消音化可能である、請求項12記載の鎮静および鎮痛を施行するシステム。
【請求項14】
消音化された何重もの可聴インジケータは、予め設定された期間中消音化されたままであり、残っている消音化時間量が前記ユーザに表示される、請求項13記載の鎮静および鎮痛を施行するシステム。
【請求項15】
現在のアラームおよび助言に関する情報は色分けされ、表示される色は、前記アラームおよび助言の優先度を示す、請求項10記載の鎮静および鎮痛を施行するシステム。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか一項に記載のシステムを使用する方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【公開番号】特開2010−148964(P2010−148964A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−85410(P2010−85410)
【出願日】平成22年4月1日(2010.4.1)
【分割の表示】特願2003−540765(P2003−540765)の分割
【原出願日】平成14年11月1日(2002.11.1)
【出願人】(502451904)スコット・ラボラトリーズ・インコーポレイテッド (16)
【氏名又は名称原語表記】SCOTT LABORATORIES, INC.
【住所又は居所原語表記】2804 N. Loop 289, Lubbock, Texas 79415, United States of America
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月1日(2010.4.1)
【分割の表示】特願2003−540765(P2003−540765)の分割
【原出願日】平成14年11月1日(2002.11.1)
【出願人】(502451904)スコット・ラボラトリーズ・インコーポレイテッド (16)
【氏名又は名称原語表記】SCOTT LABORATORIES, INC.
【住所又は居所原語表記】2804 N. Loop 289, Lubbock, Texas 79415, United States of America
【Fターム(参考)】
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