説明

長時間持続型泡式捕虫器

【課題】泡の発生および消滅を繰り返しながら、泡を一定量に保つ方法及びその方法を用いた補注器。
【解決手段】発生させた泡3が所望の容器であるメインタンク5から溢れ出さないように、余分な泡に温・冷送風機6から温風または冷風を吹き付けて瞬時に消す事の出来る装置を作製し、これを泡式捕虫器に導入したところ、常時新鮮な泡を発生させながら余分な泡を順次消してゆくことが可能になり、長期間連続運転が可能となった。これにより、泡式捕虫器が食品工場などへ導入する可能性が大きく進歩した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
連続して発生してくる泡を所望の容器から溢れ出さないように瞬時に消滅させる方法。
【背景技術】
【0002】
界面活性剤に由来する泡にショウジョウバエや蛾などの虫が留まる事が出来るように、泡に虫が好む波長の光を照射したり、泡に虫に対する誘引物質を添加するなどして虫を集める方法おおよび装置が開発された。
【0003】
本方法および装置で虫が捕獲できる仕組みは、泡の界面活性作用により、泡に留まった虫の呼吸器である気孔の働きを失わせて、虫を呼吸困難に陥らせて死滅させるものである。
【0004】
このように本方法および装置で必要不可欠な泡は、発生させても数分から十数分程度で次第に消滅してしまう。一方連続的に泡を発生させると所望の容器から泡が溢れ出し、周囲に泡が散乱してしまう。
【0005】
そこで従来の泡式捕虫器は、泡が一定量に保たれるようにセンサーによって泡を発生させるポンプを制御する方法、もしくは所望の容器から溢れ出そうな泡に消泡剤を吹き付けて余分な泡を消滅させる方法がとられてきた。
【0006】
しかし、センサー方式では使用期間が長くなるに連れてセンサー部が汚染され感度が低下するため長時間使用には不向きな点が見られた。
【0007】
一方、消泡剤を用いる方法は、泡の素となる溶液に消泡剤が混入するため、次第に泡が発生しなくなり、泡の再利用が出来なくなるため長期間使用には不向きである。
【0008】
以上から、泡で虫を捕獲するという画期的な手法が開発されたにも関わらず、泡の量を確実に制御する方法は未だ見出されていない。
【非特許文献1】柘植秀樹・海野肇 著 「『泡』技術」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、泡を発生させた時、余分な泡を瞬時に消滅させ、容器から泡があふれ出さないようにするための技術である。
【0010】
消泡剤を使用しないため、消滅した泡は基の液に戻り再度、泡の発生に利用することが出来る。
【課題を解決するための手段】
【0011】
泡を発生させた時、泡の量が増大し、容器から溢れ出る直前に温風または熱風を吹き付けることで、泡が瞬時に消滅することが出来る。
【発明の効果】
【0012】
消泡剤を使用しなため、消滅させた泡を再度泡発生の材料に利用できることから、泡の発生と消滅を長期間安定に繰り返すことが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明を、泡式捕虫器として利用した場合の作製実施例および適応実施例を以下に示す。
【実施例1】
【0014】
(作製実施例)
本発明の実施例として、泡式捕虫器の仕組みを以下に説明する。
泡式捕虫器の概略図を図1に示した。
洗剤溶液を溜めたメインタンクの中央から任意の高さの管を立てた。管の中にエアーポンプから引いたエアーチューブを管の下部まで通し、先端にエアーストーンを取り付けた。一方、管の上端にはフタを取り付け、そのフタと管との間には任意幅の隙間を設けた。
【0015】
温・冷送風機からの風が入るようにメインタンクの側面に穴を開けた。本送風機から流入した風がメインタンクの中を対流する様にメインタンクの上部にヒサシを取り付けた。
【実施例2】
【0016】
(適応実施例)
作製実施例で示した捕虫器を使用した場合における捕虫器の泡制御について以下に説明する。
【0017】
エアーストーンから送った空気により管の中で泡を発生させる。発生した泡は管の内部を登り、管の上端より管の外壁面を伝ってメインタンクの方へ流れ落ちる。
【0018】
流れ落ちてきた泡がメインタンクの入り口にさしかかると、送風機より送られてきた風によって崩壊し、基の液に戻る。
【0019】
泡が崩壊して液に戻ると、その液は再び泡の発生に利用できるので、新しく発生した泡が常に管の外壁面に存在することになる。さらに、流れ落ちてきた余分な泡は風によって速やかに崩壊するため、メインタンクより泡が溢れる心配もなくなる。従って、新鮮な泡を長期間、持続的に供給することが可能となった。
【産業上の利用可能性】
【0020】
工場で生産された食品類や化粧品類などに対する消費者からのクレームの多くが異物混入に関するものである。混入した異物の大半はショウジョウバエなどの虫である。従って食品工場などでは虫の混入に対するチェックが厳重になされている。虫を捕獲する方法として、粘着テープの使用およびブラックライトに寄ってきた虫を感電死させる方法が用いられてきた。しかし、これらの方法は飛んでいる虫が粘着テープや電撃器に偶然衝突する確率に依存しているため、粘着テープや電撃器に虫が積極的に集まるという性質のものではない。従って、従来の方法では実際は虫が居るのに、居ないという判定が下されることが多かった。そこで、泡式捕虫器は泡自体が虫の好む光を発するように見せかけたり、泡自体に誘引剤を添加することから積極的にかつ効率よく虫を捕獲できるものである。しかし本捕虫方法は必要な泡の量を持続的に制御する方法が考案されていなかったため、食品工場などへの大規模な導入がなされなかった。本発明を泡式捕虫器に導入することで泡の生成と消滅を長期間繰り返すことが出来るようになり食品工場などにおける害虫チェックがより確実に行えることが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明を利用した泡式捕虫器の概略図である。
【符号の説明】
【0022】
1 エアーポンプ
2 泡フタ
3 泡
4 泡管
5 メインタンク
6 温・冷送風機
7 液面
8 エアーストーン










【特許請求の範囲】
【請求項1】
泡の発生および消滅を繰り返しながら、泡を一定量に保つ装置
【請求項2】
長時間使用できる請求項1の捕虫器

【図1】
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