説明

門型洗車機

【課題】使用者が洗車受付装置で洗車受付および洗車料金の精算を行なうセルフ方式の洗車機において、釣り銭の取り忘れを確実に防止する。
【解決手段】洗車受付装置4の返却口20に払い出された釣り銭の有無を検知する釣り銭検知手段と、釣り銭の取り出しを促す報知を行なう報知手段と、釣り銭検知手段の出力信号を基に報知手段で釣り銭の取り出しを促す制御を行なう制御手段とを備え、釣り銭の取り残しを報知し、釣り銭が返却口内に残っていない状態で洗車を開始する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車を跨ぐように門型状に形成され、洗車受付装置の操作パネルより入力された洗車内容に基づいて洗車機本体と自動車を相対的に移動させ自動車の洗浄・乾燥等を行なう洗車機に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の洗車機の洗車受付は、洗車受付装置を操作することにより行なわれる。洗車受付装置としては、洗車エリアの入場口に設置されるタイプのものと洗車機本体に一体に設けられたタイプのものが知られており、使用者は、それぞれの指定位置に自動車を停車してから洗車受付装置の操作パネル上のキーを操作して洗車コースの選択と洗車料金の精算を行なう。
洗車受付の手順としては、前者のタイプの洗車受付装置の場合、先ず使用者が料金投入口に料金を投入し、次に洗車コースと装備品の選択を行なう。最後に洗車予約キーを押すと、選択内容が確定し、釣り銭がある場合は返却口から釣り銭が払い出され、入場口に設けられているゲートが開き洗車エリアへの入場を許可し、ドライバーが自動車を乗り入れて所定の洗車位置に停車したことが検出されると、所定時間後に洗車が開始される。ここで、返却口に払い出された釣り銭は、洗車予約キーが押されてから洗車が開始されるまでの間に取り出す必要があるが、使用者が釣り銭を取り残してしまったり、釣り銭に気づかずに通過してしまうことがあった。
また、後者のタイプの洗車受付装置の場合は、洗車受付の停車位置が洗車開始の停車位置であり、前者の洗車予約キーにあたる洗車開始キーを押してから所定時間後に洗車が開始される。したがって、使用者は洗車開始キーが押されてから洗車が開始されるまでの所定時間内に取り出さなければならないが、釣り銭を返却口から取り出すのに手間取ると、釣り銭を全て取り出し終わる前に洗車が始まってしまうという問題があった。
【0003】
そこで、特許文献1では、釣り銭の取り忘れや取り残しを防止するため、洗車コースと装備品の選択操作後に押す洗車内容の決定ボタンを設け、この決定ボタンを押すと操作パネル上に設けられた表示画面に「カード・つり銭の取り忘れはありませんか?」というメッセージを表示し、さらに洗車スタートボタンを押すことにより洗車が開始されるようにした洗車機が知られている。
しかし、上記のような注意喚起メッセージの表示を行なっても、使用者が釣り銭の取り残しを見落としたり、よく確認しないままスタートボタンを押してしまうことが考えられ、確実に釣り銭の取り忘れを防止できるものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−148882号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明の解決しようとする問題点は、使用者が洗車受付装置で洗車受付および洗車料金の精算を行なうセルフ方式の洗車機において、釣り銭の取り忘れを確実に防止できる洗車機が得られないか、という点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、洗車機本体と自動車を相対的に移動させ自動車の車体を自動洗浄する洗車機本体と、洗車料金の精算および洗車内容の選択入力等を受け付ける洗車受付装置とを備えた洗車機において、前記洗車受付装置の返却口に払い出された釣り銭の有無を検知する釣り銭検知手段と、釣り銭の取り出しを促す報知を行なう報知手段と、釣り銭検知手段の出力信号に基づいて報知手段で釣り銭の取り出しを促す制御を行なう制御手段とを備えたことを特徴として、上記課題の解決を図ったものである。
【0007】
また、洗車機本体と自動車を相対的に移動させ自動車の車体を自動洗浄する洗車機本体と、洗車料金の精算および洗車内容の選択入力等を受け付ける洗車受付装置とを備えた洗車機において、前記洗車受付装置の返却口に払い出された釣り銭の有無を検知する釣り銭検知手段と、釣り銭の取り出しを促す報知を行なう報知手段と、洗車内容の選択と洗車料金の精算完了後に押される洗車開始キーと、釣り銭検知手段の出力信号に基づいて報知手段で釣り銭の取り出しを促すとともに洗車開始キーの入力を受け付けない制御を行なう制御手段とを備えるようにした。
【0008】
さらに、洗車機本体と自動車を相対的に移動させ自動車の車体を自動洗浄する洗車機本体と、洗車料金の精算および洗車内容の選択入力等を受け付ける洗車受付装置と、洗車機本体と洗車受付装置の間に設置され洗車エリアへの自動車の進入を制限するゲート装置を備えた洗車機において、前記洗車受付装置の返却口に払い出された釣り銭の有無を検知する釣り銭検知手段と、釣り銭の取り出しを促す報知手段と、釣り銭検知手段の出力信号に基づいて報知手段で釣り銭の取り出しを促すとともにゲート装置を閉鎖する制御手段とを備えるようにした。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、釣り銭の取り忘れを検知し、報知手段により釣り銭の取り出しを促すため、釣り銭を取り忘れることがない。また、釣り銭が返却口に残っている間は洗車内容の選択が完了しないので、使用者は洗車受付装置の操作中に確実に洗車内容の選択と洗車料金の精算が行え、スムーズに洗車に移ることができる。さらに、ゲート装置を備えた洗車機の場合、釣り銭が返却口に残っている間はゲート装置が開かないため、使用者は洗車開始前に安全に釣り銭を取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は実施例1の平面図である。
【図2】図2は実施例1の側面図である。
【図3】図3は実施例1の正面図である。
【図4】図4は実施例1の洗車受付装置の正面説明図である。
【図5】図5は実施例1の釣り銭返却口の構成図である。
【図6】図6は実施例1の制御系を示すブロック図である。
【図7】図7は実施例1の制御部における動作を表すフローチャート図である。
【図8】図8は実施例2の平面図である。
【図9】図9は実施例2の制御部における動作を表すフローチャート図である。
【図10】図10は実施例3の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
洗車受付装置を備えた洗車機において、使用者の釣り銭の取り忘れを防ぎ、安全に洗車工程に移行できるようにするため、釣り銭検知を行ない、洗車工程開始前に確実に釣り銭を取り出すことができるようにした。
【実施例1】
【0012】
以下、図面を基に本発明の実施例1について説明する。図1、図2はそれぞれ本発明の実施例1による洗車機の平面図および側面図である。1は洗車機本体で、門型に形成され洗車エリア内に敷設されたレール2・2上を往復走行する。洗車エリアへの進入口となるレール2・2手前にはゲート装置3が設けられ、その手前に洗車受付装置4が配置されている。6は本体1の後方にあって洗車位置にある自動車Aの運転席から視認可能な位置に設けられる退場誘導灯である。
【0013】
本体1には、ブラシ装置7・8・8・9・9,ブロワノズル10・11・11をはじめ散水ノズル、液剤タンク(図示しない)等が備えられ、走行に伴って水,洗剤,ワックス等を散布してブラッシングする洗浄作業やブロワノズルより空気を吹き付ける乾燥作業を行う。
前記ブラシ装置は、本体1前側に位置し車体上面に沿って昇降し同上面をブラッシングする上面ブラシ装置7と、該上面ブラシ装置7の下方に位置し車体に対して接離(開閉)動作し主に車体側面下部をブラッシングする左右一対のロッカーブラシ装置9・9と、上面ブラシ装置7およびロッカーブラシ装置9・9の後方に位置し車体に対して接離(開閉)動作し車体の前後面および側面をブラッシングする左右一対の側面ブラシ装置8・8とからなる。また、前記ブロワノズルは、各ブラシ装置7・8・8・9・9の後方にあって車体上面に沿って昇降し同上面に空気を吹き付けて乾燥をはかる上面ブロワノズル10と、該上面ブロワノズル10より更に本体1後方に位置し車体側面に空気を吹き付けて乾燥をはかる左右一対のサイドブロワノズル11・11とからなる。
【0014】
前記洗車受付装置4は、自動車の運転席から操作可能な高さに設けられ、図4に示すように、プリペイドカードのカードリーダライタ12とコイン投入機13と紙幣投入機14を備えた料金精算部15と、洗車コースを選択するための洗車コース選択キー16と、サイドポールやドアミラーなどの装備品を選択するための装備品選択キー17と、選択した洗車内容を決定し洗車予約を行なうための洗車予約キー18と、操作案内や料金精算部15に投入した金額などを表示する表示部19と、釣り銭返却口20と、音声ガイドを行なうスピーカ21が備えられている。
図5は釣り銭返却口の構成図である。釣り銭返却口20内部には、釣り銭払い出し機22から払い出された釣り銭の受け皿23と、受け皿上の釣り銭の荷重を検知する釣り銭検知手段であるロードセル24と、ロードセル24で釣り銭を検知した時に点灯もしくは点滅し返却口内の釣り銭の存在を確認する照明灯25が備えられている。
【0015】
図6は実施例1の制御系を示すブロック図で、26はマイクロコンピュータを備えた制御部、27は制御部からの信号に応じて各モータ等の通電制御を行なう駆動部、24は釣り銭返却口20内の釣り銭の有無を検知するロードセルである。制御部26は、洗車受付装置4で受け付けた洗車内容とロードセル24からの信号に基づき予めプログラムされたシーケンスに従って、駆動部27へ信号出力を行なう。
【0016】
本発明は前述のように構成されており、釣り銭の有無を検知し、釣り銭の取り残しを使用者に報知するものである。以下その動作例を図7を基に説明する。図7は本発明の実施例1のフローチャート図である
洗車受付にあたり、先ず使用者は洗車受付装置4のコイン投入機13および紙幣投入機14に料金を投入する(2)。続いて洗車コースの選択(3)と、装備品の選択(4)を行ない、洗車予約キー18を押す(5)。投入した料金に対して釣り銭がある場合、釣り銭払い出し機22より釣り銭が払い出される(6)。払い出された釣り銭は返却口内の受け皿23に落下し、ロードセル24によって受け皿23上の釣り銭の有無が検知される(7)。釣り銭を検知している間は、返却口内の照明灯25の点灯・点滅(8)と、スピーカ21による「釣り銭の取り忘れにご注意ください」といった音声報知(9)と、表示部19、退場誘導灯6への釣り銭取り出しを促す案内表示(10),(11)をそれぞれ行ない、釣り銭が残らず取り出されるまで釣り銭が返却口内にあることを光、音、文字で報知し、使用者が釣り銭を取ることを促す。ステップ(12)において、返却口20から釣り銭が全て取り出され検知されなくなると、洗車機の受入状態を確認し(13)、準備が整うと、ゲート装置3が開放され(14)、自動車が洗車エリアに進入可能となる。そして、自動車が洗車エリア内の所定位置に停車すると、洗車が開始される(15)。一方、ステップ(7)で釣り銭の払い出しが無く検知がない場合は、ステップ(13)へ進み、使用者は、ゲート装置3が開放されたら自動車を洗車エリアへ進入させ、所定位置に停車し洗車開始を待つ。
【0017】
実施例1は以上のように構成されるもので、釣り銭返却口内の釣り銭を検知し、釣り銭が残っている場合は、使用者に対して釣り銭の取り出しを音声や案内表示、照明灯の点灯によって促し、使用者の釣り銭取り忘れを防止する。さらに、釣り銭が返却口内に残っている間は、ゲート装置を開放しないため、使用者は次の手順に急かされることなく、安全にまた確実に釣り銭を取り出すことができる。
【実施例2】
【0018】
図8は、本発明の実施例2の平面図である。洗車受付装置4は、洗車機本体1に一体に設けられ、使用者は自動車Aを洗車機手前の所定位置に停車し洗車受付操作を行なう。
次にその動作例を図9を基に説明する。図9は本発明の実施例2のフローチャート図である。先ず、洗車料金を料金投入機に投入し(202)、洗車コースと装備品をキー操作により選択(203),(204)し、選択した洗車内容を決定する洗車予約キーを押す(205)。釣り銭が払い出され(206)、釣り銭検知手段から検知信号が出力されている間は洗車開始キーの入力を受け付けず(212)、釣り銭返却口内の照明灯の点灯・点滅(208)、スピーカによる音声ガイド(209)、表示部および誘導灯の表示(210),(211)によって釣り銭返却口から釣り銭を取り出すよう促す報知が実行される。使用者は釣り銭を全て取り出し、自動車の窓締めなど洗車準備をしてから洗車開始キーを押す(214)と所定時間後に洗車が開始される(215)。自分のタイミングで洗車開始することができるため、慣れていない人でも慌てずに洗車ができる。
【実施例3】
【0019】
図10は、本発明の実施例3の平面図である。洗車機本体1はレール2・2上を自動車Aを跨ぐように往復走行する。30は洗車機本体の走行範囲とその手前に敷設されるコンベアで、コンベア上に自動車の車輪を支持して搬送する。洗車機本体1とコンベア30上の自動車は相対的に移動し短時間で効率よく洗車処理を行なうことができる。洗車受付装置4は、コンベア30上の所定位置に停車した自動車Aの運転席から操作可能な位置に設置され、使用者は自動車に乗ったまま洗車受付操作を行なう。洗車料金を料金投入機に投入し、洗車コースと装備品をキー操作により選択し、選択した洗車内容を決定する洗車予約キーを押した後、払い出された釣り銭を回収するなど洗車準備ができたら洗車開始キーを押すと所定時間後にコンベア30が動きだし洗車が開始される。洗車予約キー入力後に釣り銭が払い出された場合は、釣り銭検知手段から検知信号が出力されている間、洗車開始キーの入力を受け付けず、釣り銭返却口内の照明灯、スピーカによる音声ガイド、表示部および誘導灯で釣り銭返却口から釣り銭を取り出すよう促す報知が実行される。使用者が釣り銭を全て取り出し釣り銭が検知されなくなると、洗車開始キーが入力可能状態となる。使用者が洗車開始キーを押すと所定時間後にコンベアが動き出し洗車が開始される。使用者は釣り銭の回収や自動車の窓締めなど洗車準備をしてから洗車開始キーを押し、自分のタイミングで洗車を開始することができるため、釣り銭を取り出している最中にコンベアが動き出して釣り銭を取り落としたりする心配がない。慣れていない人でも慌てずに安心して洗車ができる。
【0020】
なお、この発明は上記実施例に限定されるものではない。釣り銭検知手段はロードセルに限らず、リミットスイッチ、光センサ等でもよい。
【符号の説明】
【0021】
1 洗車機本体
3 ゲート装置
4 洗車受付装置
5 進入誘導灯
6 退場誘導灯
7・8・8・9・9 ブラシ装置
10・11・11 ブロワノズル
15 料金精算部
16 洗車メニュー選択キー
17 装備品選択キー
18 洗車予約キー
19 表示部
20 釣り銭返却口
21 スピーカ
22 釣り銭払い出し機
23 釣り銭受け皿
24 ロードセル
25 照明灯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗車機本体と自動車を相対的に移動させ自動車の車体を自動洗浄する洗車機本体と、洗車料金の精算および洗車内容の選択入力等を受け付ける洗車受付装置とを備えた洗車機において、
前記洗車受付装置の返却口に払い出された釣り銭の有無を検知する釣り銭検知手段と、釣り銭の取り出しを促す報知を行なう報知手段と、釣り銭検知手段の出力信号に基づいて報知手段で釣り銭の取り出しを促す制御を行なう制御手段とを備えたことを特徴とする門型洗車機。
【請求項2】
洗車機本体と自動車を相対的に移動させ自動車の車体を自動洗浄する洗車機本体と、洗車料金の精算および洗車内容の選択入力等を受け付ける洗車受付装置とを備えた洗車機において、
前記洗車受付装置の返却口に払い出された釣り銭の有無を検知する釣り銭検知手段と、釣り銭の取り出しを促す報知を行なう報知手段と、洗車内容の選択と洗車料金の精算完了後に押される洗車開始キーと、釣り銭検知手段の出力信号に基づいて報知手段で釣り銭の取り出しを促すとともに洗車開始キーの入力を受け付けない制御を行なう制御手段とを備えたことを特徴とする門型洗車機。
【請求項3】
洗車機本体と自動車を相対的に移動させ自動車の車体を自動洗浄する洗車機本体と、洗車料金の精算および洗車内容の選択入力等を受け付ける洗車受付装置と、洗車機本体と洗車受付装置の間に設置され洗車エリアへの自動車の進入を制限するゲート装置を備えた洗車機において、
前記洗車受付装置の返却口に払い出された釣り銭の有無を検知する釣り銭検知手段と、釣り銭の取り出しを促す報知手段と、釣り銭検知手段の出力信号に基づいて報知手段で釣り銭の取り出しを促すとともにゲート装置を閉鎖する制御手段とを備えたことを特徴とする門型洗車機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−105189(P2011−105189A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−263482(P2009−263482)
【出願日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(000103138)エムケー精工株式会社 (174)
【Fターム(参考)】