説明

開口部装置

【課題】 障子に手をかけたままで障子を開閉しても戸先框と縦枠の間に指を挟む恐れが少ない開口部装置を提供する。
【解決手段】 四辺の枠体110と、該枠体内を左右方向に移動可能に構成された少なくとも一枚の障子120、130とを備えた開口部装置において、前記枠体と障子との相対位置を感知する相対位置感知手段30と該相対位置感知手段と協働するストッパ60とを具備し、前記障子が開放位置から閉鎖位置直前の所定位置に達すると前記相対位置感知手段がそれを感知することにより前記ストッパが前記障子の閉鎖方向への移動を規制し、さらにその位置から前記障子を開放方向に所定距離移動させるとともに再び閉鎖方向に移動させると前記相対位置感知手段がそれを感知して前記ストッパによる規制が解除されるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開口部装置に関し、特に障子を閉鎖する際に該障子と縦框との間に指を挟むことが防止される開口部装置に関する。
【背景技術】
【0002】
開口部装置であるサッシは、上枠、下枠及び左右の縦枠からなる枠体と、この枠体内に左右方向に開閉移動自在に設けられた障子とを備えている。障子は、通常、上桟、下桟及び左右の縦框からなる框体内にガラスパネルを嵌め込んで構成されている。
【0003】
かかるサッシにおいて、障子を閉める際に、戸先框を横から握った状態で無意識に障子を閉めたりすることがあり、このとき、障子と枠体の間、すなわち障子の戸先框(戸先側の縦框)と枠体の縦枠との間に指を挟む恐れがある。特に近年、障子自体は複層ガラスパネル化などにより重量が増加の傾向にあり、かつ障子の動き自体は構造の改良により軽くなる傾向にあるため、上記の指を挟む事故が起きやすくなっている。
【0004】
特許文献1には、縦枠又は障子の縦框にこれら縦枠と縦框の間に所定の隙間を確保するためのストッパを設け、該ストッパーを手動でストッパ部材のセット及びリセットが可能に構成することによって、戸先框と縦枠の間に指を挟む事故を未然に防止することができる開口部装置が開示されている。
【特許文献1】特開2003−314140号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に開示された開口部装置の構造によると、障子を完全に閉状態するには、一旦障子から手を離してリセットボタンを押すことが必要であり、操作が面倒であるという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、障子に手をかけたままで障子を開閉しても戸先框と縦枠の間に指を挟む恐れが少ない開口部装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、本発明について説明する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【0008】
請求項1に記載の発明は、四辺の枠体(110)と、該枠体内を左右方向に移動可能に構成された障子(120、130)と、この障子の移動を規制するストッパ(60)とを備え、前記障子が閉鎖位置に近づくと前記ストッパにより前記障子の閉鎖が規制され、この状態から前記障子を開放方向に移動させた後再び閉鎖方向に移動させると、前記ストッパの規制が解除される、開口部装置(100、200、300)である。
【0009】
請求項2に記載の発明は、四辺の枠体(110)と、該枠体内を左右方向に移動可能に構成された少なくとも一枚の障子(120、130)とを備えた開口部装置であって、前記枠体と障子との相対位置を感知する相対位置感知手段(30)と、前記障子の閉鎖動作を規制するストッパ(60)と、前記相対位置感知手段により感知された前記枠体と障子との相対位置に基づいて前記ストッパの動作を制御する制御手段(40、50、35、65)とを具備し、前記障子が開放位置から閉鎖位置直前の所定位置に達すると前記相対位置感知手段がそれを感知することにより前記ストッパが前記障子の閉鎖方向への移動を規制し、さらにその位置から前記障子を開放方向に所定距離移動させるとともに再び閉鎖方向に移動させると前記相対位置感知手段がそれを感知して前記ストッパによる規制が解除されることを特徴とする開口部装置(100、200、300)である。ここに「所定位置」とは、障子縦框(123)と枠体縦枠(113)との間の距離が人の指の太さより大きく取れる位置であり、本発明において上記距離は特に限定されるものではないが、例えば15〜50mm程度に設定されても良い。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の開口部装置(100、200、300)において、前記ストッパ(60)は、前記枠体(110)と障子(120、130)とがなす相対移動面に対し、突没自在に構成されていることを特徴とする。ここに、「相対移動面」とは、ストッパが枠体に取り付けられているときには、障子の上桟側面、若しくは上面、又は下桟の側面、若しくは下面であり、下記請求項6の場合のようにストッパが障子に取り付けられる場合には、上枠又は下枠に取り付けられる干渉部材の先端を含む障子移動方向に平行な面である。さらに、ストッパや下記請求項4に規定されるトリガーが、ボックス内に取り付けられている場合、相対移動面はこれらトリガー、及びストッパが突没する該ボックスの一つの外表面に一致する。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載の開口部装置(100、200、300)において、前記相対位置感知手段は前記相対移動面に対し突没自在に構成されたトリガー(30)であり、該トリガーは前記障子(120、130)が開放位置にあるときは前記相対移動面から突出するとともに前記ストッパ(60)は該相対移動面下に没しており、前記障子の最初の閉鎖動作により前記トリガーは前記相対移動面下に没するとともに、前記ストッパが前記相対移動面上に突出されて前記障子の閉鎖動作を規制し、次の前記障子の開放側への動作により前記トリガーは再び前記相対移動面上に突出され、さらに前記障子を閉鎖方向に移動することにより、前記トリガー及びストッパが前記相対移動面下に没することを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の開口部装置(100、200、300)において、前記トリガー(30)及びストッパ(60)は、前記枠体(110)側から突没自在に構成されていることを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項4に記載の開口部装置(100、200、300)において、前記トリガー(30)及びストッパ(60)は前記障子(120、130)側から突没自在に構成されるとともに、前記枠体には前記障子移動の際に突出されたトリガー及びストッパと位置的に干渉する干渉部材(250A、250B)が備えられていることを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項5に記載の開口部装置(100、200、300)において、前記トリガー(30)及びストッパ(60)は前記相対移動する枠体(110)内部に回動自在に固定されるとともに該回動により前記トリガー及びストッパの他端(34、63)側が前記相対移動面に対して突没し、前記トリガーは前記障子(120、130)の開方向に第一弾性部材(70)により回動付勢されるとともに前記回動面の直交方向に突出する接触子(35)を備え、さらに前記相対移動面に平行に移動可能に構成されるとともに一端側が前記ストッパとカム機構(45、65)を構成し他端方向へと第二弾性部材(80)により付勢されているスライダ(40)と、このスライダの他端側に配置され第三弾性部材(90)により上方に付勢されて前記スライダとの間に前記接触子(35)を受け入れ可能な空隙を形成するスライド規制ピース(50)とを具備し、
前記障子の最初の閉鎖動作がされると、前記トリガーは前記第一弾性部材の付勢に抗して回動されて前記相対移動面下に没して前記障子の所定区間の通過を許容するとともに、このトリガーの回動により前記スライド規制ピース、及びスライダが前記第二弾性部材の付勢に抗して前記障子の閉鎖方向に前記接触子により押圧移動され、このスライダの移動により前記カム機構を介して前記ストッパが回動されて前記相対移動面上に突出することにより、前記障子の前記所定区間から閉方向への移動を規制し、
次の前記障子の開放側への動作により前記トリガーは前記第一弾性部材の付勢により再び前記相対移動面上に突出されるとともに、前記接触子は、前記空隙を移動して、前記スライド規制ピースと接触することにより、前記スライダが前記第二弾性部材により付勢方向に移動されるのを規制し、
さらに前記障子が閉鎖方向に移動されると、前記トリガーは再び前記第一弾性部材の付勢に抗して回動されて前記相対移動面下に没して前記障子の所定区間の通過を許容するとともに、前記接触子は前記空隙から脱出されてスライド規制ピースへの接触がなくなることにより、前記スライダが第二弾性部材の付勢により再び元の位置に復帰し、前記カム機構によって前記ストッパが回動されて前記相対移動面下に没し、前記所定区間以降の前記障子の閉動作を許容することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明によれば、障子が枠体の縦枠に近づくと、ストッパによりそれ以上の閉鎖が規制されるので、勢いよく閉めた障子の縦框と縦枠とに指を挟む事故が防止される。その後一旦開放方向に障子を移動した後に障子の最後までの閉鎖動作が許容されるので、この間の障子移動距離はわずかであり、障子に勢いを付けることが困難であるので指をはさむことが防止される。また例え万が一、指を挟んだとしても障子の勢いがないので、大きな怪我をすることが防止される。
【0016】
請求項2の発明によれば、障子と枠体との間の距離が所定距離になると相対位置感知手段がそれを感知して、その感知結果に基づき又は連動して制御手段がストッパの動作を制御する。動作制御されたストッパはそれ以上の障子の閉鎖動作を規制する。さらにその位置から障子を開放方向に所定距離移動させて再び閉鎖方向に移動させると、相対位置感知手段がそれを感知してこれに基づく制御手段の動作制御を受けて、ストッパによる規制が解除される。したがって、勢いよく閉めた障子の縦框と縦枠とに指を挟む事故が防止される。その後一旦開放方向に障子を移動した後に障子の最後までの閉鎖動作が許容されるので、この間の障子移動距離はわずかであり、障子に勢いを付けることが困難であるので指をはさむことが防止される。またたとえ指を挟んだとしても障子の勢いがないので、大きな怪我をすることがない。
【0017】
請求項3の発明によれば、ストッパを相対移動面上に突出させることにより、障子の閉鎖動作を規制し、ストッパを相対移動面下に没することにより、障子の閉鎖動作を許容することができる。
【0018】
請求項4の発明によれば、障子の動作によりトリガーを動作させ、該トリガーの動作によりストッパを動作させることができるので、特に高度な制御装置を使用することなく、障子の動作により自動的に閉鎖動作の規制、解除を実現することができる。
【0019】
請求項5の発明によれば、ストッパ及びトリガーを枠体側に取り付けて障子の動作を規制することができる。
【0020】
請求項6の発明によれば、ストッパ及びトリガーを障子側に取り付けて、これと枠体側に取り付けた干渉部材との協働により、障子の動作を規制することができる。
【0021】
請求項7の発明によれば、障子の開放状態ではトリガーは相対移動面上に突出されているが、障子の最初の閉鎖動作がされると、障子により第一弾性部材の付勢に抗して回動されて相対移動面下に押し込まれ没する。これによって障子の所定区間の通過を許容する。また、このトリガーの回動によりスライド規制ピース、及びスライダが第二弾性部材の付勢に抗して障子の閉鎖方向に接触子により押圧移動される。このスライダの移動によりカム機構を介してストッパが回動されて前記相対移動面上に突出する。これにより、障子の所定区間から閉方向への移動を規制することができる。さらに、次の障子の開放側への動作により、トリガーは第一弾性部材の付勢により、再び相対移動面上に突出される。そして接触子は、空隙を移動して、スライド規制ピースと接触する。この接触により、スライダが第二弾性部材により付勢方向に移動されるのが規制される。さらに障子が閉鎖方向に移動されると、トリガーは再び第一弾性部材の付勢に抗して回動されて相対移動面下にして、障子の所定区間の通過を許容する。このとき接触子は空隙から脱出されて、スライド規制ピースへの接触がなくなるので、スライダが第二弾性部材の付勢により再び元の位置に復帰する。そしてカム機構によってストッパが回動されて相対移動面下に没し、障子動作の規制が解除される。かくして所定区間以降の障子の閉動作を許容され、障子の閉動作を完了することができる。
【0022】
本発明のこのような作用及び利得は、次に説明する発明を実施するための最良の形態から明らかにされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明は、上下左右の四辺の枠体と、該枠体内を左右方向に移動可能に構成された少なくとも一枚の障子とを備えた開口部装置に関するものである。障子は典型的には、左右2枚の引き違い障子が挙げられるが、片側はめ殺しの一枚障子、あるいは4枚障子等であってもよい。本発明の特徴的部分であるストッパを含む機構は、水平方向に関し、障子が閉鎖されるときに障子縦框と枠体の縦枠とが当接される近傍に適用される。上記ストッパを含む機構は、前記枠体と障子との相対位置を感知する相対位置感知手段と、該相対位置感知手段と協働するストッパとを具備する。以下に説明する各実施形態では、これら相対位置感知手段とストッパとは一つのボックス内に収められて、上下いずれかの枠体、又は障子の桟に取り付けられている。障子が開放位置から閉鎖位置直前の所定位置に達すると、相対位置感知手段がそれを感知することによりストッパが障子の閉鎖方向への移動を規制する。さらにその位置から障子を開放方向に所定距離移動させるとともに再び閉鎖方向に移動させると、相対位置感知手段がそれを感知して、ストッパによる規制が解除される。かかる障子動作の規制によって、使用者が障子の縦框と枠体縦枠との間に指をはさんで怪我をする事故を防止することが容易となる。
【0024】
以下本発明を図面に示す実施形態に基づき説明する。
【0025】
図1は、本発明の一実施形態にかかる開口部装置を室内側から示す正面図である。図示の開口部装置100は、枠体110の内部に左右に移動可能な外障子120と内障子130とを備えている。枠体110は、上枠111及び下枠112、並びに左縦枠113及び右縦枠114が四辺に配置され、縦通しの枠体に組み上げられている。
【0026】
外障子120は、上桟121、下桟122、及び左右の縦框123、124(右縦框124は後述する内障子130の左縦框133と召し合っているため図面には現れていない。)を四辺に配し、これら桟及び框の内部にガラスパネル126が嵌め込まれている。不図示の右縦框124には、後述する内障子130の左縦框133に取り付けられたクレッセント135と係合されるクレッセント受け125(不図示)が取り付けられている。
【0027】
一方、内障子130は、上桟131、下桟132、及び左右の縦框133、134が四辺に配され、これら桟及び框の内部にガラスパネル136が嵌め込まれている。外障子の右縦框125と召し合う右縦框135には、内障子の右縦框125に取り付けられたクレッセント受け125に係合するクレッセント135が取り付けられている。
【0028】
開口部装置100の図1において「A」で示されている左上部、及び「B」で示されている右上部には、本発明の特徴的部分である動作規制ボックスが取り付けられている。
【0029】
図2Aは、図1のA部の縦断面図である。この図では、上下の枠111、112の間に外障子120が表されている。外障子の左縦框123及び右縦框(召し合せ框)124の上端には振れ止めピース129が取り付けられており、この振れ止めピース129の上向きに開口するスリット部に上枠111から下方に延設された振れ止め片115が差し入れられて、外障子120上部の見込み方向への振れが防止されている。外障子の上下の桟121、122のそれぞれ下面側、上面側にはグレージングチャネル127p、127qが配置され、これらグレージングチャネル127p、127qを介して上下の桟121、122にガラスパネル126が固定されている。
【0030】
下枠112には、レール116が上向きに延設されている。一方、外障子の下桟122には、下面から下方にその一部が突出するように戸車128が回転自在に取り付けられている。そして戸車128がレール116上を、紙面手前/奥方向に転動することにより、外障子120は枠体110内を左右水平方向(図では紙面の手前/奥方向)に移動可能に構成されている。
【0031】
上枠111には、動作規制ボックス10aが取り付けられている。動作規制ボックス10aは、その下面側からネジが上方に向けて差し入れられて、上枠111の下面に固定されている(これらについては図2Aでは不図示である。)。図において動作規制ボックス10aの左側面側からは、外障子120の上桟121室内側に向けて、後述するトリガー30a(不図示)及びストッパ60aが突没する。ストッパ60aが動作規制ボックス10aの左側面側から突出することにより、外障子120の水平方向の動きが規制される。これについては後に詳しく説明する。なお、同一開口部装置の左右に動作規制ボックスが備えられている場合、本明細書においては、上記のように動作規制ボックス、ストッパ、トリガーの参照符号にa、bを付して左右の別を表す。左右の別を要しないときは上記「a、b」を付さずに表す。
【0032】
図2Bは、図1のB部の縦断面図である。この図では、上下の枠111、112の間に内障子130が表されている。内障子の左縦框(召し合せ框)133、及び右縦框134の上端には振れ止めピース139が取り付けられており、この振れ止めピース139の上向きに開口するスリット部に上枠111から下方に延設された振れ止め片117が差し入れられて、内障子130上部の見込み方向への振れが防止されている。内障子の上下の桟131、132のそれぞれ下面側、上面側にはグレージングチャネル137p、137qが配置され、これらグレージングチャネル137p、137qを介して上下の桟131、132にガラスパネル136が固定されている。
【0033】
下枠112には、レール118が上向きに延設されている。一方、内障子の下桟132には、下面から下方にその一部が突出するように戸車138が回転自在に取り付けられている。そして戸車138がレール118上を転動することにより、内障子130は枠体110内を左右水平方向(図では紙面の手前/奥方向)に移動可能に構成されている。
【0034】
上枠111の室内側には動作規制ボックス10bが取り付けられている。動作規制ボックス10bは、その下面側からネジが上方に向けて差し入れられて、上枠111の下面に固定されている(これらについては、図2Bでも不図示である。)。図において動作規制ボックス10bの左側面側からは、後述するトリガー30b及びストッパ60bが突没する。ストッパ60bが動作規制ボックス10bの左側面側から突出することにより、内障子130の水平方向の動きが規制される。
【0035】
図2Cは、図2Bの上部を拡大し、併せて外障子120を書き加えた縦断面図である。具体的には内外の障子130、120が重なって配置された場合の当該重なった部分の垂直断面を表している。ここに表されている各部材はすでに図2A、及び2Bにおいて説明したので、ここではそれらと同一参照符号を付してその説明は省略する。
【0036】
図3Aは、図1のA部に注目して示す横断面図である。この図においては、外障子120は、閉鎖されて左縦框123が左縦枠113に当接されている。なお、内障子130に対応する動作規制ボックス10bの図示は省略されている。外障子120の室内側には、その左端面を左縦枠113に接するようにして動作規制ボックス10aが配置されている。動作規制ボックス10aの外障子120と接する側には、後述するねじりばね70(本図には図示されていない。)により外障子120の方向に回転付勢されたトリガー30aの先端部が、外障子上桟の室内側面に当接されている様子が表されている。前記したとおり、動作規制ボックス10aは、孔11p、12pより差し入れられたネジにより上枠111(図2A〜C参照)の下面側に取り付けられている。右縦枠114には外障子120の動作軌道延長上に戸当たりストッパ140が接するように配置されている。下枠112(図2A〜C参照)には、レール116(図2A参照)が外障子120の下側にその左右動作方向に延設されている。レール116の右端は、戸当たりストッパ140のわずかに手前に設定されている。かかる構成により外障子120が図の右方向に引き寄せられても、右縦枠114と外障子右縦框124との衝突が回避され、これらの間に指を挟むことがない。なお、戸当たりストッパ140は、右縦枠114の上下端部2箇所に配置することが好ましいが、一箇所でも良い。外障子120を開放位置から図示の閉鎖位置まで動作させる際の、動作規制ボックス10aとの関係に付いては後に詳しく説明する。
【0037】
図3Bは、図1のB部に注目して示す横断面図である。この図においては、内障子130は、閉鎖されて右縦框134が右縦枠114に当接されている。なお、外障子120に対応する動作規制ボックス10aの図示は省略されている。内障子130の室内側には、その右端面を右縦枠114に接するようにして動作規制ボックス10bが配置されている。動作規制ボックス10bの内障子130と接する側には、後述するねじりばね70(本図には図示されていない。)により内障子130の方向に回転付勢されたトリガー30bの先端部が、内障子上桟の室内側の面に当接されている様子が表されている。動作規制ボックス10bは、孔11q、12qより差し入れられたネジにより、上枠111(図2A〜C参照)の室内側かつ下面側に接するように取り付けられている。左縦枠113と、下枠112とのコーナー部には内障子130の動作軌道延長上に戸当たりストッパ150がこれら両枠の内側の面に接するように配置されている。戸当たりストッパ150の左右方向の幅は動作規制ボックス10a(図3A参照)の左右方向の幅と略同一に形成されている。下枠112(図2A〜C参照)には、レール118(図2B参照)が内障子130の下側にその左右動作方向に延設されている。レール118の左端は、戸当たりストッパ150のわずかに手前に設定されている。かかる構成により、内障子130が図の左方向に引き寄せられると、内障子の左縦框133の上端部が動作規制ボックス10aの右端面に、左縦框133の下端部が戸当たりストッパ150の右端面に当設されて、内障子130がそれ以上左方向へ移動することが規制される。かくして、内障子130と左縦枠113との衝突が回避される。したがって本実施形態の開口部装置100においては、動作規制ボックス10aが上部に配設されるべき戸当たりストッパの機能を兼ね備えている。障子120、130を開放位置から図示の閉鎖位置まで動作させる際の、動作規制ボックス10a、10bとの関係に付いても後に詳しく説明する。
【0038】
図4は、図3Bにおける動作規制ボックス10bの納まり図である。この図は、内障子130の閉鎖動作と、動作規制ボックス10bに備えられたトリガー30b、及びストッパ60bの動作との関係を概略的に示すものである。図4(a)では、内障子130は、開放位置にあり、このときトリガー30bは、動作規制ボックス10bから内障子130の閉鎖動作軌道上に突出しており、一方ストッパ60bは動作規制ボックス10b内に没している。
【0039】
次に図4(b)では、内障子130が閉鎖軌道上を右方向に移動され、トリガー30bは内障子130の右縦框134による押圧を受けて動作規制ボックス10b内に押し込まれる。このトリガー30bの動作により動作規制ボックス10b内の機構(後に詳しく説明する。)を介してストッパ60bが動作規制ボックス10b内から起立し、閉鎖軌道上に突出して内障子130の閉鎖を規制する。
【0040】
さらに、図4(c)では、一旦図4(b)の状態から内障子130を開放側に後退させている。そうするとトリガー30bが再び動作規制ボックス10b内から起立して、内障子の動作軌道上に突出する。このときストッパ60bは動作規制ボックス10bから突出したままである。そしてまたさらに、図4(d)に示すように、内障子130を閉鎖動作させると、トリガー30bは再び内障子130の右縦框134による押圧を受けて動作規制ボックス10b内に押し込まれる。このトリガー30bの動作により動作規制ボックス10b内の機構(これについても後に詳しく説明する。)を介してストッパ60bが動作規制ボックス10b内に没して、内障子130の閉鎖方向への動作規制が解除され、閉鎖動作が完了される。
【0041】
したがって、本実施形態の開口部装置100によれば、内障子130が右縦枠114に近づくと、ストッパ60bによりそれ以上の閉鎖が規制されるので、勢いよく閉めた内障子130の右縦框134と右縦枠114とに指を挟む事故が防止される。その後一旦開放方向に内障子130を移動した後に障子の最後までの閉鎖動作が許容されるので、この間の障子移動距離はわずかであり、内障子130に勢いを付けることが困難なので指をはさむことが防止される。また仮に、指を挟んだとしても内障子130の勢いがないので、大きな怪我をすることが防止される。
【0042】
図5は、動作規制ボックス10の分解斜視図である。また、図6は、組み立てられた動作規制ボックス10の斜視図である。これらの図は図3Aにおける動作規制ボックス10aを左縦枠113の室外側斜め上方の視点から表したものである。第一実施形態の開口部装置100における動作規制ボックス10の取り付け姿勢は、図5、6の上面(水平面に見える。)が、紙面奥向きの垂直面となる。図6(a)は、障子が開放されている状態における、トリガー30、及びストッパ60の姿勢を示すもの、図6(b)は、ストッパ60が障子の閉鎖を規制している状態を示すものである。さらに、図7(a)、(b)は、それぞれ図6(a)、(b)に対応する垂直方向の断面を示す図である。
【0043】
動作規制ボックス10は、外殻としてのケース20、及びケース裏蓋95とを備え、それらの内側にトリガー30とストッパ60とが回動自在に取り付けられている。以下に動作規制ボックス10の構造を詳しく説明する。
【0044】
ケース20は、全体が略直方体形状であり、ケース自体を開口部装置の枠体等にネジ等で取り付けるための孔11、12が両側面を貫いている。下面側は、組み立てのためにほぼ全面が開口されており、この開口を裏蓋95が閉鎖する。裏蓋95の両端にも孔96、97が設けられており、これら孔96、97は、裏蓋95がケース20に組み付けられた時に、ケースの孔12、11と連通される。上面はトリガー30、及びストッパ60が突没するための、二つのスリット状開口23、24が設けられている。また、ケース側面にはトリガー30、及びストッパ60を回動自在に取り付けるための軸1、2を通す孔21、22がそれぞれ設けられている。
【0045】
トリガー30の一端側には、垂直方向に、孔31が設けられている。孔31に軸1が差し入れられて、トリガー30はケース20に回動自在に取り付けられている。軸1にはねじりばね70が取り付けられている。ねじりばね70の一端側はトリガー30に当接され、他端側はその弾性に抗するようにケース20の内壁に当接されている。かかる構成により、トリガー30は、紙面右奥方向に回転付勢されている。障子が開放されている状態(例えば図4(a)に表されている状態)において、トリガー30はケース20の上面から突出して、スリット状開口23の端部に当接されている。トリガー30の長手方向中ほどにも、孔31と平行な方向に孔32が設けられている。孔32には針状の接触子35が差し入れられて固定されている。接触子35の先端側は紙面左奥方向にトリガー30から突出している。この接触子35は、トリガー30の動作を後述するスライド規制ピース50及びスライダ40に伝え、これらの部材とともに当該動作規制ボックス10の機能の中心的な役割を果たす。その詳細については後述する。
【0046】
スライダ40は、ケース20内で、水平方向(障子120、130の開閉方向)に摺動自由に納められている。スライダ40の長手方向一端側には、長手方向に穴41が形成され、その穴41には自由状態において穴41の深さより長いコイルばね80が差し入れられている。当該コイルばね80の他端側はケース20の内壁に当接され、スライダ40はかかる構成によって、障子120、130の開方向に付勢されている。さらにスライダ40の室内側の面には、略「へ」の字を左右反転させた形状のカム溝45が形成されている。このカム溝45は、後述するストッパの接触子65とカム機構を形成している。当該カム機構においてはカム溝45が主節、接触子65が従節となっている。
【0047】
スライダ40のコイルばね80当接部とは反対側の端部には陥没部42が形成されている。陥没部42には、上方からスライド規制ピース50が嵌入される。陥没部42の底面と、スライド規制ピース50との間にはコイルばね90が配置されている。コイルばね90は十分な長さを有し、スライド規制ピース50は上方に付勢されて、通常状態ではその上面がケース20の上面を構成する壁の下面に当接されている。
【0048】
ストッパ60は、孔61に軸2が差し入れられてケース20に回動自在に取り付けられている。さらにストッパ60の略中央部には孔61に平行な孔62が設けられている。この孔62に円柱状の接触子65が差し入れられて固定されている。接触子65の先端側は紙面左奥方向にストッパ60から突出している。接触子65は前記の通り、スライダ40のカム溝45とカム機構を構成する。
【0049】
図8は、動作規制ボックス10のケース20を示す斜視図である。(a)は図6と同一方向の視点から表した図であり、(b)は、(a)とは反対側の視点から表したものである。これらの図には、ケース20の上面に形成されたスリット状開口23、24が示されている。開口23からはトリガー30が、開口24からはストッパ60が回動により突没可能となるように構成されている。
【0050】
図9は、トリガー30を示す斜視図である。(a)、(b)はそれぞれ異なる視点から表したトリガー30を示している。トリガー30は、孔31に嵌め入れられた軸1によりケース20に回動自在に取り付けられ、本実施形態の開口部装置100の取り付け状態において、その回動面は水平である。したがって、軸1は鉛直方向にケース20に取り付けれている。トリガー30の略中央部の孔32には接触子35が嵌め入れられ、その一端側はスライダ40側に突出している。孔31の反対側には頂部34が形成され、頂部34から中央部方向に向けて被接触面33が形成されている。被接触面33は障子が閉鎖されて
来ると、障子の縦框に接触され、押圧を受ける。
【0051】
図10は、スライダ40を示す斜視図である。図示のスライダ40は、スライダ本体46と、トリガー30、ストッパ60が配置されている紙面右手前側の一端側に突出するようにカム溝部47が設けられている。カム溝部47はその内部にカム溝45が形成されている。スライダ本体46のカム溝部47が形成された一端側とは反対側の端部には、陥没部42が形成されている。前述したようにこの陥没部42には、スライド規制ピース50が上方から差し入れられる。陥没部42の中央寄りトリガー30と対向する側には動作規制部43がトリガー30側に突出するように設けられている。動作規制部43には、上記スライド規制ピース50の受け入れ方向に向く規制面44が形成されている。
【0052】
図11は、スライド規制ピース50を示す斜視図である。図11(a)には、スライド規制ピース50とスライダ40との位置関係を示すため、スライダ40を鎖線でスライド規制ピース50とともに表している。スライド規制ピース50は、本体である嵌合部51と、嵌合部51からトリガー30の方向に突出する動作規制部52とを備えている。動作規制部52には、上記接触子35の突出方向に平行な3つの面、すなわち立設面53、傾斜面54、規制対向面55が形成されている。スライダ40にスライド規制ピース50が組み込まれると、スライダの規制面44と、スライド規制ピース50の規制対向面55とが対向して配置される。さらに嵌合部51の下面には非貫通孔56が設けられている。非貫通孔56にはコイルばね90が差し入れられる。コイルばね90の下端はスライダ陥没部42の底板上面に、上端は非貫通孔56の天井面に当接されて、スライド規制ピース50を上方に付勢している。かかる構成によって、自由状態ではスライダ40の規制面44と、スライド規制ピース50の規制対向面55との間には所定の隙間が保たれている。
【0053】
図12は、ストッパ60を示す斜視図である。(a)、(b)いずれも図5に表されているのとは手前/奥方向が逆に描かれている。孔62には軸2が嵌め入れられ、軸2はケース20の孔22に取り付けられる。かくしてストッパ60はケース20に対して回動自在とされている。孔61には接触子65が嵌めいれられて固定されている。接触子65の一端側(紙面手前側)はストッパ60から突出しており、スライダ40のカム溝45とともに、カム機構を形成する。ストッパ60の紙面手前側は略「V」字形状をなし、一方の端部はケース20の上部に形成されたスリット状開口24から突出して障子120、130の閉鎖を規制する障子当接部63とされ、他方の端部はケース20の上板下面に当接されて、ストッパ60の回動範囲を規制する(図7(b)参照)回動規制部64として構成されている。ストッパ60の上記「V」字状に形成された部位とは反対側の部位は略直角に形成された先端部67を備えている。先端部67の下面側は回動規制面66であり、ストッパ60の回動範囲を規制している(図7(b)参照)。
【0054】
ここで念のために、スライダ40、スライド規制ピース50、トリガー30、及びストッパ60の位置関係に付いて整理すると、図5において、軸1、2と直交する方向に図面手前側から平行な3枚の平面、I、II、IIIが観念される。面I上にはトリガー30、及びストッパ60が配置されている。面IIには、スライダの動作規制部43、及びカム溝部47、並びにスライド規制ピースの動作規制部52が配設されている。面III上にはスライダのスライダ本体46が配置されている。軸1、2は、これら3平面を直交方向に貫き、接触子35、65は、面Iに固定されるとともに面II内に浸入している。
【0055】
図13Aは、スライダ40の動作規制部43、及びスライド規制ピース50の動作規制部52と、その周囲を移動される接触子35とを概念的に示す図である。障子120、130の閉鎖動作に伴い、接触子35は概略図の鎖線で示される軌道上を巡回する。以下にその詳細を図13B、図14、及び図15を参照しつつ説明する。
【0056】
図13Bは、動作規制ボックス10と、障子130との関係を示す第一図である。(a)は、障子(本図では内障子130である。)が開放されている状態を示しており、このときトリガー30はケース20の上面から突出しており、接触子35は動作規制部52の立設面53上部に当接されている。一方、ストッパ60は、ケース20内に没しており、このとき接触子65はカム溝45の最下端に配置されている。
【0057】
(a)の状態から障子130が閉鎖されてくると、障子の右縦框がトリガー30の頂部34に当接され被接触面33上を摺動しつつ、トリガー頂部34をストッパ60方向に回動させる((a)〜(f))。この回動により接触子35は立設面53上を下方に摺動しつつスライド規制ピースの動作規制部52を図面右方向に押し込む。スライド規制ピース50と嵌合されているスライダ40はこの押し込みにより、コイルばね80の付勢に抗して図面右方向に移動される。これによって、カム溝45も図面右方向に移動されるので、カム機構により接触子65は上方に押し上げられ、ストッパ60は軸2の周りに回動させられる。而して、ストッパ60の障子当接部63がケース20の上面から突出されて、障子130の右方向への移動(閉鎖動作)を規制する。障子130がストッパ60に当接される位置まで来ると(図13Bの(g)、図14の(h))、トリガー30の頂部34は障子130上枠131側面に接し、接触子35は動作規制部52の立設面53から脱落し、スライダの動作規制部43に接触している。
【0058】
かかる状態から、一旦障子130を開放側に引き戻すと、トリガー30は、図の左方向に戻るように回動されるが、接触子35は、スライド規制ピースの動作規制面52と、スライダの動作規制部43との間の隙間を移動される(図14(h)〜(k))。この間に接触子35はスライド規制ピース動作規制部52とスライダ40の動作規制部43との間を移動した後、スライド規制ピース動作規制部52の上面(図13Aにおける参照符号55が指し示している近傍)に当接される(図14(k)〜(j))。すると、その位置以上に接触子35は上方に移動することができなくなる。一方、スライダ40は若干図面左方向に移動するが、スライド規制ピース動作規制部52の右テーパー面と接触子35とが当接されるとそれ以上は移動ができなくなる。この状態において、トリガー30がねじりばね70で戻ろうとする力と、スライダ40がコイルばね80で戻ろうとする力とが釣り合って、図14(k)の状態が保持される。
【0059】
再び、障子130を閉鎖方向に移動させると(図14(l))、トリガー30の頂部34が再び図面右方向に回動される。このとき接触子35は、さらにスライド規制ピースの動作規制面52と、スライダの動作規制部43との間の隙間を移動され(図14(l)〜(m))、遂にはこの隙間から脱出して図面右方向に移動される(図14(n)〜(o))。接触子35が上記の状態になると、スライダ40が自由となり、再びコイルばね80の付勢により図面左方向に移動する(図14(n)〜(o))。かかるスライダ40の動作によって、カム機構を介してストッパ60が反時計回りの方向に回動されて、ストッパの障子当接部63がケース20の内部に没し、障子130の閉鎖動作の規制が解除されて閉鎖が完了する(図14(o)、図15(p))。
【0060】
再び障子130を開放すると、接触子35は、スライド規制ピース動作規制部52の傾斜面54上をコイルばね90の付勢に抗しつつ図面左方向に移動し、(図15(p)〜(x))さらにトリガー30から障子130が離れた状態では接触子35は元の動作規制部52の立設面53に当接する位置に復帰する(図15(y)。この間、スライダ40は接触子35による水平方向の押圧を受けないので、動作が行われることがない。したがって、ストッパ60もこの間には動作しない。
【0061】
図16は、本発明の第二実施形態にかかる開口部装置の室内側から示す正面図である。図示の開口部装置200は、内障子230の下桟232右縦框234寄り(図面において「C1」にて表されている部位)、及び外障子220の下桟222左縦框223寄り(図面において「C2」にて表されている部位)にそれぞれ動作規制ボックス10A、10Bを備えている。なお、第一実施形態にかかる開口部装置100と同一の部材には参照符号の数字一桁目を「1」から「2」に変更して表し、それらの説明は省略する。以下の図においても同様である。
【0062】
図17は、図16のC1部を拡大して示す透視図である。また、図18は、外障子220と内障子230を重ねたときの状態において、見込み方向垂直断面を拡大して示す図である。これらの図からも明らかなように、本実施形態においては、動作規制ボックス10A、10Bは障子220、230の下面側にトリガー、及びストッパが突出するように各障子の下桟222、232に取り付けられている。下枠212には、これら障子から下方に突出するトリガー、ストッパと位置的な干渉をするように、干渉ピース250A、250Bが取り付けられている。かかる構成をとることによっても、開口部装置200は、開口部装置100と同様の効果を奏することができる。
【0063】
図19は、本発明の第三実施形態にかかる開口部装置の室内側から示す正面図である。図示の開口部装置300は、上枠311の左右両端部近傍(図面においてD1、D2にて表されている部位)にそれぞれ動作規制ボックス10a、10bを備えている。なお、第一実施形態にかかる開口部装置100と同一の部材には参照符号の数字一桁目を「1」から「3」に変更して表し、それらの説明は省略する。以下の図においても同様である。
【0064】
図20は、図19のD2部を拡大して示す透視図である。また、図21は、D2部の見込み方向垂直断面を拡大して示す図である。なお、この図にはD1部の動作規制ボックス10aもいわゆる見え線として併記されている。これらの図からも明らかなように、本実施形態の開口部装置300においては、動作規制ボックス10a、10bは上枠311の下面側にトリガー30、及びストッパ60が下向に突出するように取り付けられている。障子320、330の開閉動作により、外障子320の左縦框323の上端、及び内障子330の右縦框334の上端が、動作規制ボックス10a、10bの下面側から突出するトリガー30、ストッパ60と位置的に干渉する。かかる構成の開口部装置300も、開口部装置100、200と同様の効果を奏する機能を備えることができる。なお、開口部装置300においては、動作規制ボックスを上枠内に設けたが、下枠内に配置してトリガー30、ストッパ60をボックス10の上面側に上方に突出させるように構成しても良い。
【0065】
また、上記各実施形態では、トリガー、スライド規制ピース、スライダ、ストッパ等をケース内に配設して動作規制ボックスを構成し、この動作規制ボックスを上又は下の枠体、あるいは障子の上又は下の桟に取り付ける例を説明したが、トリガー、スライド規制ピース、スライダ、ストッパ等を直接上又は下の枠体、あるいは障子の上又は下の桟に取り付けるように構成しても良い。
【0066】
本発明において、トリガー、スライド規制ピース、スライダ、ストッパ、ケース等を形成する材料は特に限定されず、鋼、アルミニウム、銅、チタン等の金属材料、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、PET、PBT、POM、ポリカーボネート、ABS樹脂や、各種エンジニアリングプラスチック等の合成樹脂等を使用することが可能である。
【0067】
さらに、上記本発明においては、相対位置感知手段として、トリガーを使用した構成を開示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば相対位置感知手段として、位置センサを使用し、かかる位置センサからの情報に基づいて制御手段を介してストッパの動作を制御しても良い。
【0068】
以上、現時点において、もっとも、実践的であり、かつ、好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う開口部装置もまた本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の一実施形態にかかる開口部装置を室内側から示す正面図である。
【図2A】図1のA部の縦断面図である。
【図2B】図1のB部の縦断面図である。
【図2C】図2Bの上部を拡大し、併せて外障子を書き加えた縦断面図である。
【図3A】図1のA部の横断面図である。
【図3B】図1のB部の横断面図である。
【図4】図3Bにおける動作規制ボックスの納まり図である。
【図5】動作規制ボックスの分解斜視図である。
【図6】動作規制ボックスの斜視図である。
【図7】動作規制ボックスの断面を示す図である。
【図8】動作規制ボックスのケースを示す斜視図である。
【図9】トリガーを示す斜視図である。
【図10】スライダを示す斜視図である。
【図11】スライド規制ピースを示す斜視図である。
【図12】ストッパを示す斜視図である。
【図13A】スライダの動作規制部、及びスライド規制ピースの動作規制部と、その周囲を移動されるトリガーの接触子とを概念的に示す図である。
【図13B】動作規制ボックスと、障子との関係を示す第一図である。
【図14】動作規制ボックスと、障子との関係を示す第二図である。
【図15】動作規制ボックスと、障子との関係を示す第三図である。
【図16】本発明の第二実施形態にかかる開口部装置の室内側から示す正面図である。
【図17】図16のC1部を拡大して示す透視図である
【図18】図16の見込み方向垂直断面を拡大して示す図である。
【図19】本発明の第三実施形態にかかる開口部装置の室内側から示す正面図である。
【図20】図19のD部を拡大して示す透視図である
【図21】図19のD部の見込み方向垂直断面を示す図である。
【符号の説明】
【0070】
1 軸
2 軸
3 孔
4 孔
5 孔
10、10a、10b、10A、10B 動作規制ボックス
11、11p、11q 孔
12、12p、12q 孔
20 ケース
21 孔
22 孔
23 スリット状開口
24 スリット状開口
30 トリガー
31 孔
32 孔
33 被接触面
34 頂部
35 接触子
40 スライダ
41 穴
42 陥没部
43 動作規制部
44 規制面
45 カム溝
46 スライダ本体
47 カム溝部
50 スライド規制ピース
51 篏合部
52 動作規制部
53 立設面
54 傾斜面
55 規制対向面
56 非貫通孔
60 ストッパ
61 孔
62 孔
63 障子当接部
64 回動規制部
65 接触子(従節)
66 回動規制面
67 先端部
70 ねじりばね(第一弾性部材)
80 コイルばね(第二弾性部材)
90 コイルばね(第三弾性部材)
95 ケース裏蓋
96 孔
97 孔
100 第一実施形態にかかる開口部装置
110 枠体
111 上枠
112 下枠
113 左縦枠
114 右縦枠
115 振れ止め片
116 レール
117 振れ止め片
118 レール
120 外障子
121 上桟
122 下桟
123 左縦框
124 右縦框
125 クレッセント受け
126 ガラスパネル
127p グレージングチャネル
127q グレージングチャネル
128 戸車
129 振れ止めピース
130 内障子
131 上桟
132 下桟
133 左縦框
134 右縦框
135 クレッセント受け
136 ガラスパネル
137p グレージングチャネル
137q グレージングチャネル
138 戸車
139 振れ止めピース
140 戸当たりストッパ
150 戸当たりストッパ
200 第二実施形態にかかる開口部装置
210 枠体
211 上枠
212 下枠
213 左縦枠
214 右縦枠
216 レール
218 レール
220 外障子
221 上桟
222 下桟
223 左縦框
224 右縦框
225 クレッセント受け
226 ガラスパネル
228 戸車
230 内障子
231 上桟
232 下桟
233 左縦框
234 右縦框
235 クレッセント受け
236 ガラスパネル
240 戸車ユニット
241 戸車
242 戸車
250A 干渉ピース(干渉部材)
250B 干渉ピース(干渉部材)
300 第三実施形態にかかる開口部装置
200 第二実施形態にかかる開口部装置
310 枠体
311 上枠
312 下枠
313 左縦枠
314 右縦枠
315 振れ止め片
317 振れ止め片
320 外障子
321 上桟
322 下桟
323 左縦框
324 右縦框
325 クレッセント受け
326 ガラスパネル
328 戸車
330 内障子
331 上桟
332 下桟
333 左縦框
334 右縦框
335 クレッセント受け
336 ガラスパネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
四辺の枠体と、該枠体内を左右方向に移動可能に構成された障子と、この障子の移動を規制するストッパとを備え、
前記障子が閉鎖位置に近づくと前記ストッパにより前記障子の閉鎖が規制され、この状態から前記障子を開放方向に移動させた後再び閉鎖方向に移動させると、前記ストッパの規制が解除される、開口部装置。
【請求項2】
四辺の枠体と、該枠体内を左右方向に移動可能に構成された少なくとも一枚の障子と、を備えた開口部装置であって、
前記枠体と障子との相対位置を感知する相対位置感知手段と、前記障子の閉鎖動作を規制するストッパと、前記相対位置感知手段により感知された前記枠体と障子との相対位置に基づいて前記ストッパの動作を制御する制御手段とを具備し、
前記障子が開放位置から閉鎖位置直前の所定位置に達すると前記相対位置感知手段がそれを感知することにより前記ストッパが前記障子の閉鎖方向への移動を規制し、
さらにその位置から前記障子を開放方向に所定距離移動させるとともに、再び閉鎖方向に移動させると前記相対位置感知手段がそれを感知して、前記ストッパによる規制が解除されることを特徴とする、開口部装置。
【請求項3】
前記ストッパは、前記枠体と障子とがなす相対移動面に対し、突没自在に構成されていることを特徴とする請求項2に記載の開口部装置。
【請求項4】
前記相対位置感知手段は、前記相対移動面に対し、突没自在に構成されたトリガーであり、
該トリガーは前記障子が開放位置にあるときは前記相対移動面から突出するとともに、前記ストッパは該相対移動面下に没しており、
前記障子の最初の閉鎖動作により前記トリガーは前記相対移動面下に没するとともに、前記ストッパが、前記相対移動面上に突出されて、前記障子の閉鎖動作を規制し、
次の前記障子の開放側への動作により前記トリガーは再び前記相対移動面上に突出され、 さらに前記障子を閉鎖方向に移動することにより、前記トリガー及びストッパが前記相対移動面下に没する、ことを特徴とする請求項2又は3に記載の開口部装置。
【請求項5】
前記トリガー及びストッパは、前記枠体側から突没自在に構成されていることを特徴とする、請求項4に記載の開口部装置。
【請求項6】
前記トリガー及びストッパは、前記障子側から突没自在に構成されるとともに、
前記枠体には、前記障子移動の際に突出されたトリガー及びストッパと、位置的に干渉する干渉部材が備えられていることを特徴とする、請求項4に記載の開口部装置。
【請求項7】
前記トリガー及びストッパは、前記相対移動する枠体内部に回動自在に固定されるとともに、該回動により前記トリガー及びストッパの他端側が前記相対移動面に対して突没し、
前記トリガーは前記障子の開方向に第一弾性部材により回動付勢されるとともに前記回動面の直交方向に突出する接触子を備え、
さらに、前記相対移動面に平行に移動可能に構成されるとともに一端側が前記ストッパとカム機構を構成し、他端方向へと第二弾性部材により付勢されているスライダと、このスライダの他端側に配置され、第三弾性部材により上方に付勢されて前記スライダとの間に前記接触子を受け入れ可能な空隙を形成するスライド規制ピースと、を具備し、
前記障子の最初の閉鎖動作がされると、前記トリガーは前記第一弾性部材の付勢に抗して回動されて前記相対移動面下に没して前記障子の所定区間の通過を許容するとともに、このトリガーの回動により前記スライド規制ピース、及びスライダが前記第二弾性部材の付勢に抗して前記障子の閉鎖方向に前記接触子により押圧移動され、このスライダの移動により前記カム機構を介して前記ストッパが回動されて前記相対移動面上に突出することにより、前記障子の前記所定区間から先の閉方向への移動を規制し、
次の前記障子の開放側への動作により前記トリガーは前記第一弾性部材の付勢により再び前記相対移動面上に突出されるとともに、前記接触子は、前記空隙を移動して、前記スライド規制ピースと接触することにより、前記スライダが前記第二弾性部材により付勢方向に移動されるのを規制し、
さらに前記障子が閉鎖方向に移動されると、前記トリガーは再び前記第一弾性部材の付勢に抗して回動されて前記相対移動面下に没して前記障子の所定区間の通過を許容するとともに、前記接触子は前記空隙から脱出されてスライド規制ピースへの接触がなくなることにより、前記スライダが第二弾性部材の付勢により再び元の位置に復帰し、前記カム機構によって前記ストッパが回動されて前記相対移動面下に没し、前記所定区間以降の前記障子の閉動作を許容することを特徴とする請求項5項に記載の開口部装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2006−22616(P2006−22616A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−203651(P2004−203651)
【出願日】平成16年7月9日(2004.7.9)
【出願人】(302045705)トステム株式会社 (949)