説明

開閉装置

【課題】開閉体の閉鎖移動開始を補助するための閉鎖移動開始補助手段を小型化できる開閉装置を提供すること。
【解決手段】巻取軸10に巻き取られていて下方へ閉鎖移動する開閉体となっているシャッターカーテン12には、ウエイト部材40を受けるための受け部50が設けられ、ウエイト部材40は、シャッターカーテン12に対して不動部材となっているまぐさ部材3に、シャッターカーテン12の開閉移動時に変形可能な変形可能連結手段となっているローラーチェーン41を介して連結され、自重によるシャッターカーテン12の閉鎖移動開始はウエイト部材40の重量によって補助され、ウエイト部材40は、ローラーチェーン41が緊張するまで、シャッターカーテン12と共に下降する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下方へ閉鎖移動する開閉体を備えた開閉装置に係り、例えば、防災用シャッター装置を含む各種のシャッター装置や防煙垂れ幕装置、オーニング装置等に利用することができるものである。
【背景技術】
【0002】
下方へ閉鎖移動する開閉体を備えた開閉装置では、安全性向上等のために開閉体の下端部の重量を軽量化すると、開閉体の閉鎖移動が開始されない場合があり、このため、従来の開閉装置には、開閉体の閉鎖移動開始のためにウエイト部材の重量を利用するようにしたものがある。下記の特許文献1に示されている開閉装置は、自重によって下方へ閉鎖移動する開閉体と、この開閉体に設けられた受け部で受けられ、開閉体の閉鎖移動開始時に重量によってこの閉鎖移動開始を補助するウエイト部材とを含んで構成されている。
【0003】
この開閉装置は具体的には防災用シャッター装置であり、開閉体となっているシャッターカーテンの座板の上面が、シャッターカーテンの全開時において、縦長形状の箱形に形成されたウエイト部材を受けるための受け部となっており、シャッターカーテンがウエイト部材の重量で補助されて閉鎖移動を開始すると、この閉鎖移動の途中において、ウエイト部材の上端が、シャッターカーテンが上下に挿通するまぐさ部材に係止することによってウエイト部材の下降が停止し、これ以後、シャッターカーテンは自分自身の重量によって全閉位置まで下降する。そして、シャッターカーテンが全開位置まで上昇するときの途中において、ウエイト部材は座板の上面で受けられ、シャッターカーテンが全開位置に達すると、ウエイト部材は初期の高さ位置に復帰する。
【特許文献1】特許第3622106号公報(段落番号0018、図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上の開閉装置によると、シャッターカーテンの閉鎖移動開始を補助するための閉鎖移動開始補助手段は、縦長形状のウエイト部材によって形成されているため、この閉鎖移動開始補助手段は高さ寸法が大きい大型のものとなってしまい、好ましくない。
【0005】
本発明の目的は、開閉体の閉鎖移動開始を補助するための閉鎖移動開始補助手段を小型化できるようになる開閉装置を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る開閉装置は、少なくとも下方へ閉鎖移動する開閉体と、この開閉体に設けられた受け部で受けられ、前記開閉体の閉鎖移動開始時に重量によってこの閉鎖移動開始を補助するウエイト部材とを含んで構成されている開閉装置において、前記ウエイト部材は、前記開閉体に対して不動となっている不動部材に、前記開閉体の開閉移動時に変形可能となっている変形可能連結手段を介して連結されていることを特徴とするものである。
【0007】
この開閉装置では、開閉体に設けられている受け部でウエイト部材が受けられるため、このウエイト部材の重量によって開閉体の閉鎖移動開始が補助され、この後、ウエイト部材は変形可能連結手段の変形により開閉体と一体になって下降するとともに、ウエイト部材の下降は変形可能連結手段の変形限界位置で停止し、これ以後のウエイト部材は変形可能連結手段で吊り下げられた状態になるとともに、開閉体は自分自身の重量によって所定位置まで閉鎖移動する。開閉体が上方へ開き移動したときには、この開き移動の途中において、前記受け部でウエイト部材は受けられ、このまま開閉体が開き移動することにより、変形可能連結手段の変形によりウエイト部材は開閉体と一体になって上昇し、開閉体が全開位置に達することによってウエイト部材も所定の高さ位置の初期位置に戻ることになる。
【0008】
この開閉装置によると、開閉体の上下方向の開閉移動と共に行われるウエイト部材の所定の高さ範囲内の上下動は、変形可能連結手段の変形によって実行されることになり、この変形可能連結手段は、変形によって上下方向等の寸法が小さくなるため、ウエイト部材と変形可能連結手段によって構成されていて開閉体の閉鎖移動を補助するための閉鎖移動開始補助手段を小型化できるようになる。
【0009】
本発明において、変形可能連結手段は、開閉体の開閉移動時に変形可能となっているものであれば、任意なものでよく、その一例は紐状部材である。この紐状部材は、例えば、ローラーチェーンを含むチェーンでもよく、ワイヤーでもよく、充分な強度を有する合成樹脂製紐やゴム紐等でもよい。
【0010】
なお、変形可能連結手段は、ウエイト部材の上下動に追従して変形するものでよいため、その変形方向は、上下方向と、開閉体の幅方向である左右方向とであり、開閉体の厚さ方向には変形不能又は変形困難となっていることが好ましい。変形可能連結手段をローラーチェーンを含むチェーンとし、このローラーチェーンのリンク同士を連結するピンの向きを開閉体の厚さ方向とすると、このチェーンは、上下方向と左右方向とに変形可能となり、開閉体の厚さ方向には変形不能又は変形困難となるため、変形可能連結手段として有効に用いることができる。
【0011】
また、変形可能連結手段はリンク機構でもよく、このリンク機構は、前記不動部材と前記ウエイト部材とを繋ぐリンクの個数が、1個のものでもよく、複数個のものでもよい。
【0012】
また、ウエイト部材には、開閉体が全開位置に達しているときの変形可能連結手段を収納するための収納部材を設けることが好ましい。
【0013】
このような収納手段がウエイト部材に設けられていると、開閉体が全開位置に達しているときの変形可能連結手段が弛み等の収縮変形した状態となっていても、この変形可能連結手段は収納部材に収納されているため、変形可能連結手段がウエイト部材よりも下に垂れ下がるなどの事態が生ずることを防止できる。
【0014】
さらに、開閉体に対して不動となっていて、変形可能連結手段が連結される前記不動部材は、任意な部材でよく、その一例は、開閉体が上下に挿通するスリットが形成されたまぐさ部材である。
【0015】
また、変形可能連結手段の変形によって行われるウエイト部材の上下動を、ウエイト部材用ガイド部材によって案内させてもよい。このように本発明に係る開閉装置に、ウエイト部材の上下動を案内するウエイト部材用ガイド部材を設けると、ウエイト部材の上下動を、ウエイト部材に振れ等の変動が生ずることを防止して円滑に行わせることができる。
【0016】
また、このようなウエイト部材用ガイド部材を本発明に係る開閉装置に設ける場合には、変形可能連結手段が連結される前記不動部材をこのウエイト部材用ガイド部材としてもよい。
【0017】
さらに、ウエイト部材の形状は任意であり、その一例は、ウエイト部材を開閉体の幅方向である左右方向に長くなった細長部材とすることである。ウエイト部材を左右方向に長くなった細長部材とする場合には、開閉体にウエイト部材を受けるために設ける前記受け部を、一例として、開閉体に左右方向に複数個並設された受け部材によって形成することができる。
【0018】
本発明に係る開閉装置における開閉体の開閉移動方式は任意である。すなわち、開閉体の開閉移動を巻取軸の回転と関係させて行わせるために、開閉体の上端を回転自在となっている巻取軸に結合し、開閉体の開閉移動がこの巻取軸の回転と関係して行われるようにしてもよく、あるいは、開閉体の開閉移動が、オーバーヘッドドアのように、開閉体が平坦形状等の所定形状を維持したまま又は少し湾曲等して行うようにしてもよい。
【0019】
また、開閉体自体の構成も任意であり、開閉体は、例えば、少なくとも閉鎖側となっている下側部分がシートで形成されていてもよく、これには、開閉体の全体又は略全体がシートで形成されている場合が含まれる。また、開閉体を、閉鎖側となっている下側部分がシートで形成されたものとする場合には、その上側部分は、例えば、スラットやパネル等の硬質部材で形成することができる。また、開閉体の全体又は略全体をスラットやパネル等の硬質部材で形成してもよい。
【0020】
また、開閉体の少なくとも一部をシートで形成する場合には、そのシート部分は1枚のシートで形成してもよく、互いに縫着された又は互いに分離した複数枚のシートで形成してもよい。
【0021】
さらに、上記シート部分を形成するシートについての開閉体の厚さ方向の撓みを抑制するために、このシート部分に金属等の硬質材で形成された撓み抑制部材を配置してもよい。
【0022】
また、本発明は、少なくとも下方へ閉鎖移動する開閉体を備えている任意な開閉装置に適用することができ、この開閉装置には、シャッター装置や防煙垂れ幕装置、オーニング装置が含まれ、また、シャッター装置には、全閉位置に達したシャッターカーテン(開閉体)で防災区画を形成するための防災用シャッター装置が含まれ、この防災用シャッター装置は、通常の室内空間のためのものでもよく、エレベータやエスカレータ、階段等の昇降手段のためのものでもよい。また、シャッター装置は、出入口等の開口部をシャッターカーテンで開閉する開口部用シャッター装置でもよく、窓用シャッター装置等でもよい。
【0023】
さらに、開閉体が下方へ閉鎖移動するための駆動力は、開閉体自身の自重でもよく、電動モータ等の駆動源からの駆動力でもよく、火災発生時に消防車等から噴出される水の圧力でもよく、人力等でもよい。
【0024】
また、本発明がシャッター装置に適用される場合には、このシャッター装置に、下方へ閉鎖移動しているときのシャッターカーテンの下端部に障害物が当接したときにこの障害物を検知し、シャッターカーテンの閉鎖移動を停止等させるための障害物検知装置を装備してもよく、装備しなくてもよい。
【0025】
さらに、このシャッター装置のシャッターカーテンには、座板を設けてもよく、設けなくてもよい。
【0026】
さらに、本発明をシャッター装置に適用する場合には、開閉体であるシャッターカーテンの上方への開き移動は、電動モータ等の自動駆動手段で行われてもよく、火災発生時に消防車等から噴出される水の圧力で行われてもよく、手操作で行われてもよく、また、シャッターカーテンの下方への閉鎖移動時に戻しばねに戻しばね力が蓄圧されるタイプのシャッター装置の場合には、この蓄圧された戻しばね力が補助力となってシャッターカーテンの上方への開き移動が行われてもよい。
【0027】
なお、以上の本発明に関する説明において、ウエイト部材を受けるために、開閉体に左右方向に複数個並設される受け部材等で形成される前記受け部は、前述した変形可能連結手段が用いられない開閉装置にも適用することができる。このような開閉装置の開閉体に受け部を設けた場合には、ウエイト部材が受け部で受けられながら、開閉体は全開位置から全閉位置まで達する。ウエイト部材が受け部で受けられることは、開閉体が全閉位置から全開位置へ開き移動するときに行われてもよく、あるいは、全閉位置に達した開閉体の受け部から作業者等がウエイト部材を取り外し、これにより、受け部でウエイト部材を受けることなく開閉体が全閉位置から全開位置へ開き移動し、このウエイト部材を、全開位置に達した開閉体の受け部に作業者等が受けさせる作業を行うようにしてもよい。
【発明の効果】
【0028】
本発明によると、開閉体の閉鎖移動開始を補助するための閉鎖移動開始補助手段を小型化できるという効果を得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。本実施形態に係る開閉装置は、開閉体がシャッターカーテンとなっていて、自重で下方へ閉鎖移動するこのシャッターカーテンが全閉位置に達することにより、建物や地下街等の構造物の空間内にシャッターカーテンで防災区画を形成するための防災用シャッター装置である。
【0030】
図1は、この防災用シャッター装置の全体を示す正面図であって、シャッターカーテンの全閉時を示している。天井部材1で室内空間S1から仕切られている天井裏空間S2には、防災用シャッター装置の巻取軸10が水平又は略水平に配置されており、この巻取軸10は、天井裏空間S2に存在する建物躯体2に結合された左右のブラケット11に正逆回転自在に支持されている。上端が巻取軸10に結合されているシャッターカーテン12は、天井部材1に設けられているまぐさ部材3のスリットから室内空間S1に垂下され、シャッターカーテン12の幅方向となっているシャッターカーテン12の左右方向の両端部は、室内空間S1に立設されている柱や壁等の建物躯体4に取り付けられたガイドレール5の内部に上下スライド自在に挿入されているため、シャッターカーテン12は、巻取軸10の正逆回転により、シャッターカーテン用ガイド部材となっているこれらの左右のガイドレール5で案内されながら上下方向の開閉移動を行うようになっている。
【0031】
上記左右のブラケット11のうちの一方には、電動モータとブレーキを含んで構成されている開閉機13が取り付けられ、この開閉機13の駆動軸は、スプロケットホイールとチェーン等からなる伝動手段14を介して巻取軸10と接続されている。図2に示されているように、シャッターカーテン12の閉鎖側の先端部が、言い換えると、シャッターカーテン12の下側の先端部が上記まぐさ部材3の位置に達しているとき、シャッターカーテン12は全開となっている。
【0032】
このようにシャッターカーテン12が全開となっているときには、開閉機13の上記ブレーキはオンとなっているため、シャッターカーテン12は、巻取軸10に略全体が巻き取られて全開位置を維持している。図示しない煙検出器等のセンサによって火災の発生が検出されたときには、このセンサからの信号が入力する制御装置によって開閉機13のブレーキはオフとなり、あるいは、この防災用シャッター装置のメンテナンス作業時等において、図示しない手動操作装置を作業者が操作することによって開閉機13のブレーキはオフとなり、これにより、シャッターカーテン12は自重と後述するウエイト部材の重量とによって巻取軸10からこの巻取軸10を正回転させながら閉鎖移動を開始する。このように下方向へ閉鎖移動したシャッターカーテン12は、シャッターカーテン12の下端部が室内空間S1の床6に着床することにより、図1で示されているように、全閉位置に達する。
【0033】
そして、図示しないスイッチ装置を操作すると、開閉機13の上記電動モータは駆動し、これによって逆回転する巻取軸10でシャッターカーテン12は巻き取られて上方へ開き移動し、図2で示されているように、シャッターカーテン12の下側の先端部がまぐさ部材3の高さ位置に達すると、これを検出したセンサからの信号が入力する上記制御装置によって開閉機13の電動モータは停止するとともに、上記ブレーキはオンとなる。
【0034】
本実施形態に係るシャッターカーテン12は、図1に示されているとおり、巻取軸10に連結された上端部から下方向への大きな面積を占める硬質部20と、この硬質部20の下側、すなわちシャッターカーテン12の閉鎖側となっている下側部分に設けられたシート部30との組み合わせからなる。硬質部20は、耐火性を有する鋼板製の複数のスラット21を上下に連設したスラット連設体によって形成され、シート部30は、シート31によって形成されている。このシート31は、耐火塗料を塗布及び/又は含浸させた耐火性を有するシリカクロスやガラスクロスによって形成されているとともに、上下方向等に弛み変形自在である。
【0035】
そして、硬質部20とシート部30は、連結部材22で連結されている。
【0036】
図3は、シャッターカーテン12等を除外し、まぐさ部材3と、左右のシャッターカーテン用ガイドレール5と、シャッターカーテン12の閉鎖移動開始を重量で補助するウエイト部材40と、このウエイト部材40の関連部材のみを示す正面図である。ウエイト部材40は、シャッターカーテン12の幅方向である左右方向に長くなった細長部材となっており、このウエイト部材40は、上下方向に開閉移動するシャッターカーテン12に対して不動部材となっているまぐさ部材3に、ローラーチェーン41によって連結されており、このローラーチェーン41は、本実施形態では左右方向に2本設けられている。また、それぞれのローラーチェーン41は、後述するようにシャッターカーテン12の開閉移動時に弛み、緊張等の変形を行うことが可能となっているため、変形可能連結手段となっており、また、ローラーチェーン41は紐状部材にもなっている。
【0037】
図4は、図3のS4−S4線断面図であり、この図4には、ローラーチェーン41によるウエイト部材40とまぐさ部材3との連結構造が示されている。ウエイト部材40の上面には、開口部を上向きとした溝型部材42が取り付けられ、ウエイト部材40の全長に渡る左右方向の長さを有しているこの溝型部材42にそれぞれのローラーチェーン41の下端がピン43で連結され、それぞれのローラーチェーン41の上端は、まぐさ部材3におけるシャッターカーテン12が上下に挿通するスリット3Aの部分において、まぐさ部材3にピン44で連結されている。
【0038】
溝型部材42の溝部42Aの幅寸法(シャッターカーテン12の厚さ方向の寸法)は、ローラーチェーン41の厚さ寸法(シャッターカーテン12の厚さ方向の寸法)よりも大きくなっており、このため、後述するように、この溝部42Aにローラーチェーン41を収納することができ、したがって、溝型部材42は、ローラーチェーン41を収納するための収納部材ともなっている。
【0039】
図5は、シャッターカーテン12の前記シート部30の構造を示す図1のS5−S5線断面図である、シート部30の下端部には、シート部30を形成しているシート31の折り返しと縫着によって左右方向に長くなっている袋部45が形成され、この袋部45の内部に、シャッターカーテン12の座板部材46が収納されており、この座板部材46は、本実施形態ではフラットバーによるものとなっている。
【0040】
また、図1に示されているように、シャッターカーテン12のシート部30には、ウエイト部材40を受けるための受け部50が設けられている。この受け部50は、左右方向に並設された複数の受け部材51によって形成されており、この受け部材51は、図1のS6−S6線断面図である図6に示されている。受け部材51は、シート部30に沿って下方へ延びる第1延出部51Aと、この第1延出部51Aの下端からシャッターカーテン12の厚さ方向外側へ延びる第2延出部51BとからなるL字形状となっており、第1延出部51Aは、受け部材51とはシート部30の反対側の面に当てがわれた板状の補強部材52と共に、シート部30を貫通した止着具53によってシート部30に止着されている。
【0041】
受け部材51と補強部材52は、図1から分かるように、左右方向に複数個配置され、これらが配置された箇所では、前記袋部45が潰されているため、図1に示されているように、この袋部45は、受け部材51と補強部材52が配置された箇所で分断された複数の短寸袋部45Aによって形成されており、前記座板部材46も、左右方向に直列的に並んでいるこれらの短寸袋部45Aごとに収納された短寸座板部材46Aによって形成されている。なお、シャッターカーテン12の幅方向両端部であるシート部30の左右両端部は縫着等によって塞がれているため、上記複数の短寸袋部45Aのうち、左右両側の短寸袋部45Aのそれぞれの端部も塞がれている。
【0042】
図2で示すようにシャッターカーテン12が全開位置に達しているときには、ウエイト部材40は受け部材51の第2延出部51Bの上に載っていて、図4で示したまぐさ部材3のスリット3Aの内部に収納された状態になっている。また、このときには、ローラーチェーン41は弛み変形していて、ウエイト部材40の上面に設けられた溝型部材42の溝部42Aに収納されている。
【0043】
前述したように、火災の発生等によって開閉機13のブレーキがオフになると、シャッターカーテン12は、座板部材46の重量を含む自重によって巻取軸10を回転させながら閉鎖移動を開始しようとするが、この閉鎖移動の開始は、受け部材51で受けられているウエイト部材40の自重によって補助される。このため、シャッターカーテン12の全開時において、シャッターカーテン12の大きな重量割合を占めている前記硬質部20が巻取軸10に巻き取られ、重量の軽いシート部30が巻取軸10から垂下していても、ウエイト部材40の重量による補助によってシャッターカーテンは速い速度で閉鎖移動を開始することになる。これにより、シャッターカーテン12が全閉位置に達するまでの時間が短縮され、火災の発生時等に短時間でシャッターカーテン12による防災区画を形成することができるようになる。
【0044】
なお、前述したようにシャッターカーテン12が、軽量部となっている下部のシート部30と、重量部となっている上部の硬質部20とによって形成されているため等の理由により、シャッターカーテン12の全体又は略全体が巻取軸10に巻き取られていて、シャッターカーテン12が全開位置に達しているときにおけるシャッターカーテン12の全体重心位置が、巻取軸10の回転中心部に対し、シャッターカーテン12を本来自重で閉鎖移動させるべき側とは反対側の位置にあっても、ウエイト部材40の重量により、シャッターカーテン12を所定どおり閉鎖移動させることができる。
【0045】
また、上述のようにシャッターカーテン12が閉鎖移動を開始し、この閉鎖移動が所定距離に達すると、すなわち、まぐさ部材3とウエイト部材40とを繋いでいるローラーチェーン41が緊張する距離に達すると、それまで受け部材51の第2延出部51Aの上に載ってシャッターカーテン12と一体になって下降していたウエイト部材40は、ローラーチェーン41の緊張力で受け部材51から分離し、言い換えると、ウエイト部材40はローラーチェーン41でまぐさ部材3から吊り下げられた状態となり、シャッターカーテン12だけがシャッターカーテン12自体の自重によって全閉位置まで下降する。
【0046】
そして、前述したようにシャッターカーテン12が開閉機13の電動モータの駆動による巻取軸10の回転によって上方へ開き移動すると、この開き移動の途中において、ウエイト部材40が、シャッターカーテン12の開き移動によって上昇してきた受け部材51の第2延出部51Bの上に載り、これ以後は、図7で示されているように、ウエイト部材40は受け部材51で受けられながらシャッターカーテン12と一体に上昇し、シャッターカーテン12が全開位置に達することにより、ウエイト部材40は、シャッターカーテン12の閉鎖移動開始前の初期に位置に戻ることになる。
【0047】
このときには、ローラーチェーン41は弛んでいて溝型部材42の溝部42Aに収納されているため、弛んだローラーチェーン41がウエイト部材40から垂れ下がるなどの事態が生ずることを防止できる。
【0048】
なお、ローラーチェーン41は、リンク同士を連結するピンの向きがシャッターカーテン12の厚さ方向となって用いられている。このため、ローラーチェーン41は、上下方向と、シャッターカーテン12の幅方向である左右方向とに変形可能であり、シャッターカーテン12の厚さ方向には変形不能又は変形困難となっている。このため、ローラーチェーン41は、移動方向が上下方向となっているウエイト部材40を、不動部材となっている前記まぐさ部材3に連結させるための変形可能連結手段として用いるに好適なものとなっている。また、ローラーチェーン41は、シャッターカーテン12の厚さ方向には変形不能又は変形困難であるため、シャッターカーテン12が全閉位置から全開位置に戻るときに、ローラーチェーン41を上記溝型部材42の溝部42Aに一層確実に収納させることができる。
【0049】
また、シャッターカーテン12の閉鎖移動中に、このシャッターカーテン12の下側に図8で示す障害物55が存在し、床6の上にあるこの障害物55にシート部30の下端部が当った場合には、このシート部30に配置されている座板部材46は、左右方向に分割状態となって配置された複数の短寸座板部材46Aによって形成されているため、障害物55に対してシート部30の下端部は比較的柔軟に変形することが可能となり、これにより、シート部30の下端部と床6との間に生ずる隙間56を小さくできるとともに、障害物55に大きな荷重が作用せず、障害物55に作用する荷重を分散させることができる。
【0050】
なお、図6及び図7に示されているように、受け部材51を、第2延出部51Bの先端から立ち上がった第3延出部51Cを有するJ字形状又は略J字形状とすることにより、第2延出部51Bからのウエイト部材40の脱落を第3延出部51Cによって有効に防止することができる。
【0051】
また、本実施形態に係る防災用シャッター装置を、障害物検知装置を装備したものとすることもでき、この場合には、この障害物検知装置からの障害物検知信号により、前述した開閉機13のブレーキをオンさせるようにしてもよく、あるいは、手操作によってブレーキをオンさせるようにしてもよい。このようにブレーキをオンさせることにより、ウエイト部材40の重量がシャッターカーテン12に作用しているときでも、作用していないときでも、シャッターカーテン12の閉鎖移動を停止させることができる。
【0052】
以上説明した本実施形態によると、シャッターカーテン12の自重による閉鎖移動開始を重量で補助するためのウエイト部材40は、シャッターカーテン12に対して不動部材となっているまぐさ部材3にローラーチェーン41によって連結され、このローラーチェーン41は、シャッターカーテン12の開閉移動時に弛み等の変形可能となっている変形可能連結手段になっており、シャッターカーテン12の上下方向の開閉移動と共に行われるウエイト部材40の所定の高さ範囲内の上下動は、ローラーチェーン41の変形によって行われるため、ウエイト部材40とローラーチェーン41とで構成される閉鎖移動開始補助手段を、上下方向の寸法がシャッターカーテン12の開閉移動と共に変化するローラーチェーン41により、小型化することができる。
【0053】
図9は、まぐさ部材3にウエイト部材40を連結するための変形可能連結手段の別実施形態を示す。この実施形態における変形可能連結手段はリンク機構61となっており、このリンク機構61は、左右方向に2個設けられている。それぞれのリンク機構61は、上端がピン62でまぐさ部材3に回動自在に取り付けられた第1リンク部材63と、第1リンク部材63の下端にピン64で回動自在に連結された第2リンク部材65とからなり、第2リンク部材65の下端は、ウエイト部材40に設けられているブラケット66にピン67に回動自在に連結されている。
【0054】
シャッターカーテン12が全開位置に達していてウエイト部材40が受け部50で受けられているときには、2個のリンク部材63,65は折り畳まれ、これらのリンク部材63,65とウエイト部材40は、まぐさ部材3の前述したスリット3Aの内部に収納されている。
【0055】
シャッターカーテン12がウエイト部材40の重量で補助されて下方への閉鎖移動を開始すると、2個のリンク部材63,65がなす角度が次第に大きくなり、この角度が所定の大きさになると、言い換えると、シャッターカーテン12及びウエイト部材40の下降距離が所定の距離になると、2個のリンク部材63,65のうちの一方のリンク部材に設けたストッブ部68が他方のリンク部材に当接する。これにより、2個のリンク部材63,65がなす角度が大きくなるリンク機構61の変形は停止して、ウエイト部材40はこれ以上下降せず、シャッターカーテン12だけが下降する。
【0056】
シャッターカーテン12が全閉位置から開き移動したときには、前述の実施形態と同じく、この開き移動の途中において、ウエイト部材40は、シャッターカーテン12の開き移動で上昇してきた受け部50で受けられ、引き続いてシャッターカーテン12が開き移動することにより、リンク機構61は、2個のリンク部材63,65がなす角度が次第に小さくなる変形を行い、シャッターカーテン12が全閉位置に達したとき、リンク機構61は、シャッターカーテン12の閉鎖移動開始前の折り畳み形状に戻っている。
【0057】
そして、この実施形態では、シャッターカーテン12の開き移動の途中でウエイト部材40が受け部50で受けられるときには、2個のリンク部材63,65は一直線状に並んでおらず、これらのリンク部材63,65の間には、ストップ部68による図9で示す所定の屈曲角度が設けられている。このように、シャッターカーテン12の開き移動の途中でウエイト部材40が受け部50で受けられるときのリンク機構61の形状をくの字状とすることにより、これ以後、シャッターカーテン12が開き移動を継続することにより、リンク機構61を、シャッターカーテン12の閉鎖移動開始前の折り畳み形状に一層確実に戻すことができる。
【0058】
図10は、ウエイト部材の上下動を案内するためのウエイト部材用ガイド部材を設けた実施形態を示す。この実施形態のウエイト部材70は、シャッターカーテン用ガイドレール5と一体化されたウエイト部材用ガイド部材となっているウエイト部材用ガイドレール73まで達する左右方向の長さを有し、言い換えると、ウエイト部材70は、前記実施形態のウエイト部材40よりも左右方向の長さが一層長くなった細長部材となっており、ウエイト部材70の両端部と、このウエイト部材70の上面に取り付けられ、ウエイト部材70に全長に渡る左右方向の長さを有する溝型部材72の両端部とが、左右2本のウエイト部材用ガイドレール73の内部に上下スライド自在に挿入されている。また、ウエイト部材用ガイドレール73の上端と、溝型部材72とには、変形可能連結手段であるローラーチェーン71の上下端が連結され、これにより、ウエイト部材70は、まぐさ部材3と同じくシャッターカーテン12に対して不動部材となっているウエイト部材用ガイドレール73に、左右2本のローラーチェーン71によって連結されている。
【0059】
この実施形態では、受け部50の上昇、下降によるウエイト部材70の所定高さ範囲内での上下動は、ウエイト部材用ガイドレール73で案内されながら行われることになり、このため、この上下動を、ウエイト部材70にシャッターカーテン12の厚さ方向への振れ等の変動が生ずることを防止して行わせることができる。また、シャッターカーテン12が全開位置に達したときには、前記実施形態と同じく、弛んだローラーチェーン71を溝型部材72の溝部に収納することができる。
【0060】
なお、ローラーチェーン71の上端を連結する不動部材をまぐさ部材3としてもよい。また、不動部材とウエイト部材70とを連結する変形可能手段を、図9で示したリンク機構61としてもよい。
【0061】
また、ウエイト部材用ガイドレール73とシャッターカーテン用ガイドレール5とを別部材とし、ウエイト部材用ガイドレール73を、シャッターカーテン用ガイドレール5及び/又はまぐさ部材3に結合してもよく、ウエイト部材用ガイドレール73をシャッターカーテン用ガイドレール5の一部として形成してもよい。
【0062】
図11及び図12は、ウエイト部材を受けるためにシャッターカーテン12のシート部30に設けられる受け部50の受け部材についての別実施形態を示す。この実施形態では、板状のベース部材82がシート部30に補強部材52と共に止着具53で止着され、このベース部材82にヒンジ83で受け部材81が取り付けられている。この受け部材81は、下方へ延びる第1延出部81Aと、この第1延出部81Aの下端からシャッターカーテン12の厚さ方向外側へ延びる第2延出部81Bと、この第2延出部81Bの先端から立ち上がった第3延出部81CとからなるJ字形状又は略J字形状になっており、第1延出部81Aの上端がヒンジ83によってベース部材82のボス部82Aに結合されている。
【0063】
この受け部材81がシャッターカーテン12の幅方向に複数個並設されることにより、この実施形態における上記受け部50が形成されている。
【0064】
図11に示されているように、ウエイト部材40を受けていないときの受け部材81は、ヒンジ83を板ばね等のばね作用を有する材料で形成することにより、又はベース部材82と受け部材81との間にばね等の弾性部材を介設することにより、ヒンジ83を中心にシャッターカーテン12の厚さ方向外側へ回動した傾き姿勢となっている。受け部材81がこの傾き姿勢となっているときに、シャッターカーテン12が全閉位置から上方へ開き移動することにより、図12に示されているとおり、ウエイト部材40が受け部材81の第2延出部81Bの上に載るとともに、受け部材81は、ウエイト部材40の重量でヒンジ83を中心に回動することによって鉛直姿勢になり、この後、シャッターカーテン12と共にウエイト部材40は上昇する。
【0065】
この実施形態によると、全閉位置からのシャッターカーテン12の上昇によってウエイト部材40を受けるときの受け部材81の姿勢は、ヒンジ83を中心にシャッターカーテン12の厚さ方向外側へ回動した傾き姿勢となっているため、このときのウエイト部材40の位置がシャッターカーテン12の厚さ方向外側へずれていても、一層確実に受け部材81によってウエイト部材40を受けることができる。
【0066】
この実施形態は、ウエイト部材が、図10のウエイト部材70と異なり、ウエイト部材用ガイドレールで上下動が案内されていないウエイト部材40となっている場合に、特にその作用効果を発揮する。しかし、この実施形態は、ウエイト部材が図10のウエイト部材70となっている場合にも適用することができる。また、ウエイト部材を不動部材に連結する変形可能連結手段は、ローラーチェーン41,71でもよく、図9のリンク機構61でもよい。
【0067】
図13及び図14は、受け部50の受け部材についてのさらなる別実施形態を示す。この実施形態では、板状のベース部材92がシート部30に補強部材52と共に止着具53で止着され、このベース部材92は、下方へ延びる第1延出部92Aと、この第1延出部92Aの下端からシャッターカーテン12の厚さ方向外側へ延びる第2延出部92Bと、この第2延出部92Bの先端からシャッターカーテン12の厚さ方向外側へ斜めに立ち上がった第3延出部92Cとからなる。第2延出部92Bと第3延出部92Cとに跨ってヒンジ93がベース部材92に結合され、このヒンジ93に受け部材91が取り付けられている。
【0068】
この受け部材91は、下方へ延びる第1延出部91Aと、この第1延出部91Aの下端からベース部材92の第2延出部92Bとは反対側へ延びる第2延出部91BとからなるL字形状となっており、ヒンジ93は、第1延出部91Aの下部に結合されている。この受け部材91がシャッターカーテン12の幅方向に複数個並設されることにより、この実施形態における上記受け部50が形成されている。
【0069】
図13に示されているように、ウエイト部材40を受けていないときの受け部材91は、ヒンジ93を板ばね等のばね作用を有する材料で形成することにより、又はベース部材92と受け部材91との間にばね等の弾性部材を介設することにより、ヒンジ93を中心にシャッターカーテン12の厚さ方向外側へ回動した傾き姿勢となっている。受け部材91が、受け部材91の第1延出部91Aとベース部材92の第3延出部92Cとが平行となっているこの傾き姿勢になっているときに、シャッターカーテン12が全閉位置から上方へ開き移動することにより、図14に示されているとおり、ウエイト部材40が、シャッターカーテン12の開き移動で上昇してきた受け部材91の第2延出部91Bの上に載るとともに、ウエイト部材40の重量により、受け部材91の第2延出部91Bがベース部材92の第2延出部92Bの上面に設けられたストップ部92Dに当るまで、受け部材91がヒンジ93を中心に回動することにより、受け部材91は鉛直姿勢になり、この後、シャッターカーテン12と共にウエイト部材40は上昇する。
【0070】
この実施形態でも、全閉位置からのシャッターカーテン12の上昇によってウエイト部材40を受けるときの受け部材91の姿勢は、ヒンジ93を中心にシャッターカーテン12の厚さ方向外側へ回動した傾き姿勢となっているため、このときのウエイト部材40の位置がシャッターカーテン12の厚さ方向外側へずれていても、一層確実に受け部材91によってウエイト部材40を受けることができる。
【0071】
また、この実施形態も、ウエイト部材が、図10のウエイト部材70と異なり、ウエイト部材用ガイドレールで上下動が案内されていないウエイト部材40となっている場合に、特にその作用効果を発揮するが、この実施形態は、ウエイト部材が図10のウエイト部材70となっている場合にも適用することができる。また、ウエイト部材を不動部材に連結する変形可能連結手段は、ローラーチェーン41,71でもよく、図9のリンク機構61でもよい。
【0072】
なお、ウエイト部材を受けるために、シャッターカーテン12に左右方向に複数個並設される図6等の受け部材51や、図11等の受け部材81、図13等の受け部材91は、前述したローラーチェーン41,71やリンク機構61による変形可能連結手段が採用されないシャッター装置にも適用することができる。このようなシャッター装置のシャッターカーテン12に受け部材51,81,91を設けた場合には、ウエイト部材が受け部材51,81,91で受けられながら、シャッターカーテン12は全開位置から全閉位置まで達することになる。そして、受け部材51,81,91でウエイト部材が受けられることは、シャッターカーテン12が全閉位置から全開位置へ開き移動するときに行われてもよく、あるいは、全閉位置に達したシャッターカーテン12の受け部材51,81,91から作業者等がウエイト部材を取り外し、これにより、受け部材51,81,91でウエイト部材を受けることなくシャッターカーテン12が全閉位置から全開位置へ開き移動し、このウエイト部材を、全開位置に達したシャッターカーテン12の受け部材51,81,91に作業者等が受けさせる作業を行うようにしてもよい。
【0073】
また、図10で示したウエイト部材用ガイドレール73は、前述したローラーチェーン41,71やリンク機構61による変形可能連結手段が採用されないシャッター装置にも適用することができる。この場合には、ウエイト部材用ガイドレール73の上下長さによってウエイト部材の上下動距離を規定し、シャッターカーテン12に図6等の受け部材51や、図11等の受け部材81、図13等の受け部材91を設けることにより、シャッターカーテン12の下方への閉鎖移動を、ウエイト部材がシャッターカーテン12と共に下降する受け部材51,81,91で受けられながら行われるようにするとともに、ウエイト部材がウエイト部材用ガイドレール73の閉じられた下端部に達することにより、ウエイト部材の下降が停止するようにしてよい。そして、この場合には、シャッターカーテン12が全閉位置から全開位置に向かって開き移動したときには、シャッターカーテン12の開き移動で上昇した受け部材51,81,91によってウエイト部材は受け取られ、この後、ウエイト部材はウエイト部材用ガイドレール73に案内されてシャッターカーテン12と共に上昇することになる。
【0074】
図15と、図15のS16−S16線断面図である図16は、シャッターカーテン12のシート部30を形成するシートが、火災の煙等の圧力によってシャッターカーテン12の厚さ方向に撓むことを防止できるようにした実施形態を示す。この実施形態のシート部30は、シャッターカーテン12の幅方向である左右方向に並設されたシート101,102で形成されており、これらのシート101,102の互いに対向する端部に金属等の硬質材料で形成された縦長の補強部材103〜106が配置され、シャッターカーテン12の表裏両側に配置された補強部材103,104は、シート101の端部に止着具107で止着され、シャッターカーテン12の表裏両側に配置された補強部材105,106は、シート102の端部に止着具108で止着されている。それぞれ上下方向に複数個ある止着具107,108のうち、最上部の止着具107,108は、シャッターカーテン12の前述したスラット21による硬質部20とシート部30とを連結している連結部材22に結合されている。
【0075】
また、図16に示されているように、それぞれの補強部材103〜106は、上下方向である長手方向と直交する水平断面形状がL字形状となっており、これにより、シャッターカーテン12の幅方向に並んでいる補強部材103と105がシャッターカーテン12の厚さ方向に噛み合った状態になっており、シャッターカーテン12の幅方向に並んでいる補強部材104と106もシャッターカーテン12の厚さ方向に噛み合った状態になっており、補強部材103と104同士がシャッターカーテン12の厚さ方向に当接し、補強部材105と106同士がシャッターカーテン12の厚さ方向に当接している。
【0076】
このため、この実施形態では、シート部30を形成する左右方向に長いシートの途中部に、金属等の硬質材料による縦長の強度部材が補強部材103〜106によって設けられていることと同じになり、補強部材103〜106は、これらの補強部材103〜106の上述の噛み合い状態により、シャッターカーテン12の厚さ方向にずれないため、火災の煙等の圧力がシート101又は102に作用しても、シート101,102がシャッターカーテン12の厚さ方向に大きく撓むことが抑制され、補強部材103〜106は撓み抑制部材となる。
【0077】
この実施形態は、シャッターカーテン12の左右方向の幅寸法が大きい大スパン用シャッター装置に特に有効に用いることができる。この大スパン用シャッター装置のスパンの長さに応じて、上記強度部材の左右方向の本数を、1本にしてもよく、複数本としてもよい。
【0078】
なお、補強部材103と104を1本の部材で形成し、補強部材105と106も1本の部材で形成し、これらの部材同士を、図16の噛み合い状態が実現されるように凹凸係合させてもよい。
【0079】
また、この実施形態における受け部50を形成する受け部材は、図6等で示した受け部材51でもよく、図11等で示した受け部材81でもよく、図13等で示した受け部材91でもよく。
【0080】
また、この実施形態は、補強部材103〜106が変形不能の強度部材となっていることから、巻取軸10によるシャッターカーテン12の巻き取りが硬質部20で行われ、シート部30は巻き取られないシャッター装置に適用される。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明は、少なくとも下方へ閉鎖移動する開閉体を備えている防災用シャッター装置を含む各種のシャッター装置や防煙垂れ幕装置、オーニング装置等に利用することができる
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る開閉装置である防災用シャッター装置の全体を示す正面図であって、開閉体であるシャッターカーテンが全閉位置に達しているときを示す図である。
【図2】図2は、図1の防災用シャッター装置のシャッターカーテンが全開位置に達しているときを示す正面図である。
【図3】図3は、まぐさ部材と左右のシャッターカーテン用ガイドレールとウエイト部材とウエイト部材関連部材のみを示す正面図である。
【図4】図4は、変形可能連結手段であるローラーチェーンによるウエイト部材と不動部材であるまぐさ部材との連結構造を示す図3のS4−S4線断面図である。
【図5】図5は、図1のS5−S5線断面図である。
【図6】図6は、図1のS6−S6線断面図である。
【図7】図7は、ウエイト部材がシャッターカーテンに設けられた受け部で受けられたときを示す図6と同様の図である。
【図8】図8は、シャッターカーテンの下端部が床に存在する障害物に当ったときを示すシャッターカーテンの一部拡大正面図である。
【図9】図9は、変形可能連結手段をリンク機構とした実施形態を示す図3と同様の図である。
【図10】図10は、ウエイト部材の上下動を案内するためのウエイト部材用ガイド部材を設けた実施形態を示す図3と同様の図である。
【図11】図11は、ウエイト部材を受ける受け部の受け部材についての別実施形態を示す図6と同様の図である。
【図12】図12は、図11の実施形態における図7と同様の図である。
【図13】図13は、ウエイト部材を受ける受け部の受け部材についてのさらなる別実施形態を示す図6と同様の図である。
【図14】図14は、図13の実施形態における図7と同様の図である。
【図15】図15は、シャッターカーテンのシート部を形成するシートがシャッターカーテンの厚さ方向に撓むことを防止できるようにした実施形態を示すシャッターカーテンの一部拡大正面図である。
【図16】図16は、図15のS16−S16線断面図である。
【符号の説明】
【0083】
3 不動部材であるまぐさ部材
3A スリット
10 巻取軸
12 開閉体であるシャッターカーテン
20 硬質部
21 スラット
30 シート部
31,101,102 シート
40,70 ウエイト部材
41,71 変形可能連結手段であるローラーチェーン
42,72 ローラーチェーンを収納するための収納部材になっている溝型部材
50 受け部
51,81,91 受け部材
61 変形可能連結手段であるリンク機構
73 ウエイト部材用ガイド部材であるウエイト部材用ガイドレール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも下方へ閉鎖移動する開閉体と、この開閉体に設けられた受け部で受けられ、前記開閉体の閉鎖移動開始時に重量によってこの閉鎖移動開始を補助するウエイト部材とを含んで構成されている開閉装置において、前記ウエイト部材は、前記開閉体に対して不動となっている不動部材に、前記開閉体の開閉移動時に変形可能となっている変形可能連結手段を介して連結されていることを特徴とする開閉装置。
【請求項2】
請求項1に記載の開閉装置において、前記変形可能連結手段は紐状部材であることを特徴とする開閉装置。
【請求項3】
請求項1に記載の開閉装置において、前記変形可能連結手段はリンク機構であることを特徴とする開閉装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の開閉装置において、前記ウエイト部材には、前記開閉体が全開位置に達しているときの前記変形可能連結手段を収納するための収納部材が設けられていることを特徴とする開閉装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の開閉装置において、前記不動部材は、前記開閉体が上下に挿通するスリットが形成されたまぐさ部材であることを特徴とする開閉装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の開閉装置において、前記ウエイト部材の上下動を案内するウエイト部材用ガイド部材を備えていることを特徴とする開閉装置。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれかに記載の開閉装置において、前記ウエイト部材の上下動を案内するウエイト部材用ガイド部材を備えており、前記不動部材はこのウエイト部材用ガイド部材であることを特徴とする開閉装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の開閉装置において、前記ウエイト部材は前記開閉体の幅方向である左右方向に長くなった細長部材となっており、前記受け部は、前記開閉体に左右方向に複数個並設された受け部材によって形成されていることを特徴とする開閉装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の開閉装置において、前記開閉体の上端は回転自在となっている巻取軸に結合されており、前記開閉体の開閉移動はこの巻取軸の回転との関係で行われることを特徴とする開閉装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の開閉装置において、前記開閉体のうち、少なくとも閉鎖側となっている下側部分はシートで形成されていることを特徴とする開閉装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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