説明

防水ケース

【課題】箱本体と該箱本体に取り付けられるカバー部材との間の隙間を通して水などの液体が浸入することを防止できる防水ケースを提供する。
【解決手段】防水ケースは複数の周板に囲まれて形成された開口部が設けられた箱本体と箱本体に取り付けられるとともに該箱本体に取り付けられると開口部を塞ぐ蓋体とグロメットと環状に形成されかつ蓋体に取り付けられて箱本体と蓋体との間を水密に保つシール部材5とを備えている。一つの周板には切欠き部が形成されている。グロメットは箱本体に取り付けられるとともに箱本体に取り付けられると切欠き部を塞ぐ。シール部材5の切欠き部が設けられた周板の縁と当接する当接部22の厚みTは他の部分の厚みtよりも厚く形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体としての自動車などに搭載される防水ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
移動体としての自動車には、一般に、ヘッドランプ及びテールランプなどのランプ類、スタータモータ及びエアコンディショナ用のモータ等のモータ類、などの多種多様な電子機器が搭載されている。
【0003】
前述した多種多様な電子機器に電力を供給するために、前記自動車は、ワイヤハーネスを配索している。ワイヤハーネスは、複数の電線と、該電線の端末に取り付けられたコネクタと、を備えている。電線は、勿論、導電性の芯線と該芯線を被覆した被覆部とを備えた所謂被覆電線である。コネクタは、導電性の板金などで構成されて前記芯線と接続した端子金具と、該端子金具を収容したコネクタハウジングとを備えている。ワイヤハーネスは、コネクタが電源や各種の電子機器に接続されて、前述した自動車に配索される。
【0004】
前述したワイヤハーネスのコネクタは、勿論、防水性が要求される。このため、例えば、前述したコネクタを防水ケース内に収容して、該コネクタ内に水などの液体が浸入することを防止することがある。この種の防水ケースは、開口部が設けられた箱本体と、該箱本体に着脱自在でかつ箱本体に取り付けられると開口部を塞ぐ蓋体と、前記開口部の外縁と略等しい形状の環状に形成されかつ箱本体と蓋体とのうち一方に取り付けられてこれらの間を水密に保つシール部材を備えている。
【0005】
箱本体には、囲むことで前述した開口部を形成する周板が複数設けられている。周板には、開口部寄りの縁から該開口部から離れる方向に周板の一部を切り欠いた切欠きが設けられている。また、箱本体には、内側に前述したワイヤハーネスの電線を通すカバー部材としてのグロメットが取り付けられる。グロメットは、箱本体に取り付けられると、前述した切欠きを塞ぐとともに、箱本体との間を水密に保つ。シール部材は、勿論、ゴムなどの弾性材料で構成されており、前述した周板の縁やグロメットの縁などに当接して、弾性変形することで箱本体と蓋体との間を水密に保つ。
【0006】
前述した防水ケースは、グロメット内に電線が通されたワイヤハーネスのコネクタを箱本体に収容して、グロメットを箱本体に取り付けた後、シール部材が固定された蓋体を箱本体に取り付けることで、内側にコネクタを収容する。こうして、防水ケースは、コネクタに水などの液体が付着することを防止する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前述した防水ケースは、箱本体に切欠きが設けられて、該切欠きを塞ぐグロメットが取り付けられているので、箱本体の周板とグロメットとの間にすきまが生じてしまう。このため、シール部材が、周板との間とグロメットとの間を水密に保っても、周板とグロメットとの間の隙間、特に前述した開口部付近に生じる隙間を通して、防水ケースは、内側に水などの液体が浸入してしまうことがあった。
【0008】
したがって、本発明の目的は、箱本体と該箱本体に取り付けられるカバー部材との間の隙間を通して水などの液体が浸入することを防止できる防水ケースを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決し目的を達成するために、請求項1に記載の本発明の防水ケースは、複数の周板に囲まれて形成された開口部が設けられた箱本体と、前記箱本体に取り付けられるとともに、該箱本体に取り付けられると前記開口部を塞ぐ蓋体と、環状に形成され、かつ前記箱本体と前記蓋体とのうち一方に取り付けられるとともに、前記周板の縁と当接して、前記箱本体と前記蓋体との間を水密に保つシール部材と、を備えた防水ケースにおいて、前記複数の周板のうち少なくとも一つには、前記開口部寄りの縁から該開口部から離れる方向に前記周板を切り欠いた切欠き部が形成され、前記箱本体に取り付けられるとともに、該箱本体に取り付けられると、切欠き部を塞ぐカバー部材を更に備え、前記シール部材の前記切欠き部が設けられた周板の縁及び前記カバー部材の縁と当接する当接部分は、他の部分よりも厚みが厚く形成されていることを特徴としている。
【0010】
請求項2に記載の本発明の防水ケースは、請求項1に記載された発明において、前記当接部分は、前記他の部分と厚みが等しい本体部と、該本体部に重ねられて前記他の部分よりも前記周板側に突出した突出部と、を備えていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように請求項1,2に記載の本発明は、箱本体と蓋体とが互いに取り付けられると、当接部分の弾性変形量が他の部分よりも大きくなるので、該当接部分の一部が箱本体とカバー部材との間の隙間に侵入する。このため、シール部材は、開口部寄りの箱本体とカバー部材との間の隙間を塞ぐこととなって、該隙間を通して水などの液体が浸入することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る防水ケースを分解して示す斜視図である。
【図2】図1に示された防水ケースの蓋体とシール部材を示す斜視図である。
【図3】図1に示された防水ケースのシール部材を示す斜視図である。
【図4】図1中のIV−IV線に沿う断面図である。
【図5】図1に示された防水ケースの要部の断面図である。
【図6】参考例のシール部材を示す斜視図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る防水ケースの蓋体とシール部材を示す斜視図である。
【図8】図7に示された防水ケースのシール部材を示す斜視図である。
【図9】図7中のIX−IX線に沿う断面図である。
【図10】図7に示された防水ケースの要部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の第1の実施形態にかかる防水ケースを、図1乃至図5に基づいて説明する。
【0014】
本実施形態にかかる図1に示す防水ケース1は、移動体としての自動車に搭載されて、該自動車に配索されたワイヤハーネスのコネクタを収容する。ワイヤハーネスは、複数の電線と、該電線の端末に取り付けられたコネクタと、を備えている。電線は、導電性の芯線と、該芯線を被覆した絶縁性の被覆部とを備えている。コネクタは、導電性の板金で構成されて電線の芯線と接続した端子金具と、該端子金具を収容した絶縁性のコネクタハウジングとを備えている。前述したワイヤハーネスは、コネクタが自動車に搭載される各種の電子機器に接続して、該電子機器に所望の電力や信号を供給する。また、ワイヤハーネスの一部のコネクタは、防水ケース1内に収容されて、水などの液体が付着することが防止される。
【0015】
防水ケース1は、図1に示すように、箱本体2と、蓋体3と、カバー部材としてのグロメット4と、シール部材(図2に示す)5とを備えている。
【0016】
箱本体2は、絶縁性の合成樹脂で構成されており、底板6と、該底板6の外縁から立設した複数の周板7と、フランジ8とを備えて、有底筒状に形成されている。フランジ8は、周板7の外表面から凸に形成されており、箱本体2の全周に設けられている。また、箱本体2には、複数の周板7で囲まれて形成された開口部9が設けられている。勿論、開口部9は、箱本体2の内外を連通している。
【0017】
また、周板7の底板6から離れた側の縁7aには、該縁7aから凸のリップ10が形成されている。さらに、箱本体2の一つの周板7には、切欠き部11が設けられている。切欠き部11は、図示例では、二つ設けられている。切欠き部11は、周板7を切り欠いているとともに、周板7の底板6から離れた側の縁7aから底板6に近づく方向即ち開口部9から離れる方向に延在している。
【0018】
さらに、周板7の内面側には、箱本体2内にナットが埋設されている。ナットは、箱本体2の隅部に配置されている。
【0019】
蓋体3は、絶縁性の合成樹脂で構成されており、平板状の天井板12と、該天井板12の外縁から立設した複数の周板13とを備えている。天井板12には、ボルト通し孔14が貫通している。ボルト通し孔14は、箱本体2に対して開口部9を塞ぐ位置に蓋体3が位置付けられると、前述した周板13の内側に設けられたナットと相対する。
【0020】
周板13の内側には、図2に示すように、蓋体3の全周に亘って、シール部材収容溝15が設けられている。シール部材収容溝15は、箱本体2に対して開口部9を塞ぐ位置に蓋体3が位置付けられると、前述した周板7及びグロメット4の後述の板部17に設けられたリップ10,20と相対する。蓋体3は、ボルト通し孔14内を通ったボルト16が前述したナットにねじ込まれることで、開口部9を塞ぐ格好で箱本体2に取り付けられる。なお、箱本体2と蓋体3とが互いに取り付けられた状態で、底板6と天井板12とが互いに相対する方向は、箱本体2と蓋体3とが互いに重なる方向K(図1中に矢印で示す)をなしている。このため、箱本体2と蓋体3とが互いに重なる方向Kは、底板6と天井板12との双方に対して直交している。
【0021】
グロメット4は、板部17と、チューブ部18とを一体に備えている。板部17は、平板状に形成されており、その平面形状が、切欠き部11の平面形状と略同形状に形成されている。板部17には、貫通孔(図5に示す)19が設けられている。チューブ部18は、筒状に形成されて、板部17の貫通孔19の外側に位置する部分に連なっている。
【0022】
グロメット4は、チューブ部18と貫通孔19の内側にワイヤハーネスの電線を通すとともに、板部17が切欠き部11を塞いだ格好で、箱本体2に取り付けられる。また、箱本体2に取り付けられると、周板7の縁7aと略面一になるグロメット4の板部17の縁17aには、該縁17aから凸のリップ20が設けられている。
【0023】
シール部材5は、クロロプレン系やEPDM系の発泡ゴムで構成されている。シール部材5は、図3に示すように、四つの柱状部21を備えて、環状に形成されている。柱状部21は、勿論、柱状に形成されている。柱状部21は、端部同士が連なっている。シール部材5は、図2及び図4に示すように、前述したシール部材収容溝15内に収容されて、蓋体3に取り付けられる。
【0024】
蓋体3に取り付けられると、シール部材5は、周板7の縁7a及びグロメット4の板部17の縁17aと当接して、該縁7a,17aに設けられたリップ10,20から押圧されて、弾性変形して、箱本体2と蓋体3との間を水密に保つ。シール部材5の切欠き部11が設けられた周板7の縁7a及びグロメット4の板部17の縁17aと当接する一つの柱状部21(以下、符号21aで示す)には、当接部分としての当接部22が設けられている。
【0025】
当接部22は、勿論、切欠き部11が設けられた周板7の縁7a及びグロメット4の板部17の縁17aと当接する。当接部22の厚みTは、シール部材5の該当接部22以外の他の部分の厚みtよりも厚く形成されている。なお、厚みT,tとは、蓋体3と箱本体2とが互いに重なる方向の寸法である。また、当接部22の幅Hは、シール部材5の他の部分の幅hと等しく形成されている。なお、幅H,hとは、蓋体3と箱本体2とが互いに重なる方向に対して直交する方向の寸法である。
【0026】
当接部22は、図3及び図4に示すように、本体部23と、突出部としての突出部材24とを備えている。本体部23は、シール部材5の該当接部22以外の他の部分と厚みと幅が等しく形成されているとともに、該他の部分と一体に形成されている。突出部材24は、本体部23の箱本体2側の表面に重ねられている。このため、突出部材24は、本体部23よりも箱本体2側に突出している。突出部材24は、シール部材5の該当接部22以外の他の部分と幅が等しく形成されている。当接部22は、本体部23よりも突出部材24が柔らかい材料で形成されている。前述した構成のシール部材5は、本体部23と他の部分とを一体に形成した後、該本体部23に突出部材24が取り付けられて、組み立てられる。
【0027】
前述した構成の防水ケース1は、グロメット4内にワイヤハーネスの電線を通した後、該グロメット4を箱本体2に取り付けて、該箱本体2内にワイヤハーネスのコネクタを収容する。そして、蓋体3を箱本体2に取り付けて、前述した構成の防水ケース1は、組み立てられる。すると、防水ケース1は、図5などに示すように、シール部材5がリップ10,20などから押圧されて弾性変形して、蓋体3と箱本体2との間を水密に保って、箱本体2に水などの液体が浸入することを防止する。
【0028】
本実施形態によれば、シール部材5の当接部22が他の部分よりも厚みTが厚く形成されているので、箱本体2と蓋体3とが互いに取り付けられると、当接部22が他の部分よりも大きく弾性変形する。このため、当接部22の一部が箱本体2とグロメット4の板部17との間の隙間に侵入するとともに、グロメット4のリップ20などを覆う。このため、シール部材5は、開口部9寄り(の近傍)の箱本体2とグロメット4の板部17との間の隙間を塞ぐこととなって、該隙間を通して水などの液体が箱本体2内に浸入することを防止できる。
【0029】
突出部材24が本体部23よりも柔らかい材料で構成されているので、当接部22が箱本体2と蓋体3との間で弾性変形する際に、突出部材24が本体部23よりも弾性変形する。このため、箱本体2とグロメット4の板部17との間の隙間寄りの突出部材24がより弾性変形することで、当該隙間を突出部材24が確実に塞ぐこととなる。したがって、箱本体2とグロメット4の板部17との間の隙間を通して水などの液体が浸入することを防止できる。
【0030】
また、図6は、本発明ではないが、参考となる参考例のシール部材を示す斜視図である。図6に示す参考例のシール部材5は、当接部22の幅Hが他の部分よりも広い。なお、図6において、前述した実施形態と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。この図6に示された場合において、シール部材5の当接部22が他の部分よりも幅Hが広く形成されているので、箱本体2と蓋体3とが互いに取り付けられると、当接部22が他の部分よりも大きく弾性変形する。このため、当接部22の一部が箱本体2とグロメット4の板部17との間の隙間に侵入するとともに、グロメット4のリップ20などを覆う。このため、シール部材5は、開口部9寄り(の近傍)の箱本体2とグロメット4の板部17との間の隙間を塞ぐこととなって、該隙間を通して水などの液体が箱本体2内に浸入することを防止できる。
【0031】
また、本発明では、図7ないし図10に示された第2の実施形態にかかる防水ケース1のように、当接部22の幅Hと厚みTの双方を、他の部分の幅hと厚みtの双方よりも大きくしても良い。なお、本実施形態において、前述した実施形態などと同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0032】
本実施形態において、当接部22は、図7ないし図9に示すように、前述した本体部23と、突出部材24とを備えている。本実施形態において、本体部23は、他の部分と厚みと幅が等しく形成されている。突出部材24は、その幅Hが本体部23の幅よりも広く形成されており、該本体部23の周板7の縁7a寄りに重ねられて、該本体部23に取り付けられている。さらに、突出部材24は、本体部23の外縁部寄りもシール部材5の外側に突出した格好で当該本体部23に取り付けられている。
【0033】
このため、突出部材24は、本体部23から箱本体2の周板7側に突出しているとともに、前記重なる方向Kに対して直交する方向C(図7乃至図9中に矢印で示す)に沿って、箱本体2及び蓋体3の外側に向かって突出している。即ち、本実施形態では、突出部材24は、特許請求の範囲に記載された突出部と第2突出部との双方をなしている。
【0034】
また、突出部材24には、図7ないし図9に示すように、当接面24aが形成されている。当接面24aは、突出部材24の内縁部でかつ周板7寄りに縁部に、該突出部材24の全長に亘って形成されている。当接面24aは、前述した重なる方向Kと、該重なる方向Kに対して直交する方向Cとの双方に対して傾斜しているとともに、その傾きが突出部材24の全長に亘って一定に形成されている。当接面24aは、前述した重なる方向Kに対して直交する方向Cに沿って、箱本体2及び蓋体3の外側に向かうにしたがって徐々に箱本体2の周板7の縁7aに近づく方向に傾斜している。また、当接面24aは、前述した重なる方向Kに沿って、グロメット4のリップ20の外縁部と相対する位置に配置されている。即ち、当接面24aは、箱本体2と蓋体3とが互いに取り付けられると、周板7の縁7aとグロメット4のリップ20との双方と当接する。また、本実施形態においても、突出部材24は、本体部23を構成する材料よりも柔らかい材料で形成されている。
【0035】
本実施形態においても、前述した構成の防水ケース1は、グロメット4内にワイヤハーネスの電線を通した後、該グロメット4を箱本体2に取り付けて、該箱本体2内にワイヤハーネスのコネクタを収容する。そして、柱状部21及び本体部23をシール部材収容溝15内に挿入してシール部材5を蓋体3に取り付けた後、蓋体3を箱本体2に取り付けて、前述した構成の防水ケース1は、組み立てられる。すると、防水ケース1は、図10などに示すように、シール部材5が周板7の縁7aに設けられたリップ10及びグロメット4のリップ20などから押圧されて弾性変形する。特に、シール部材5の突出部材24が、周板7の縁7aのリップ20と該リップ20よりも外側の部分に亘って、箱本体2に広範囲に当接する。そして、シール部材5は、蓋体3と箱本体2との間を水密に保って、箱本体2に水などの液体が浸入することを防止する。
【0036】
本実施形態によれば、シール部材5の当接部22の全長に亘って、箱本体2と蓋体3とが重なる方向Kと当該重なる方向Kに対して直交する方向Cとの双方に対して傾斜した当接面24aが設けられているので、該当接部22と周板7の縁7a及びグロメット4との接触面積が、シール部材5の他の部分よりも大きくなる。したがって、シール部材5は、開口部9寄り(の近傍)の箱本体2とグロメット4との間の隙間を塞ぐこととなって、該隙間を通して水などの液体が浸入することを防止できる。
【0037】
シール部材5の当接部22の全長に亘って設けられた当接面24aが、外側に向かうにしたがって周板7の縁7aに徐々に近づく方向に傾斜しているので、当接部22と周板7の縁7aとの当接箇所が箱本体2の内側に向かうにしたがって徐々に上方に位置することとなる。したがって、シール部材5と周板7の縁7aとの間から箱本体2内に水などの液体が浸入しにくくなる。
【0038】
当接部22が、本体部23と、本体部23から周板7に向かって突出した突出部と該突出部から外側に突出した第2突出部との双方をなす突出部材24を備えているので、この突出部材24の大部分が、周板7の縁7a及びグロメット4のリップ20よりも箱本体2の外側に位置付けられる。したがって、シール部材5と周板7の縁7aとの間から箱本体2内に水などの液体がより浸入しにくくなる。
【0039】
また、本発明では、当接部22の本体部23と突出部材24とを一体に形成しても良く即ちシール部材5の一つの部品としても良く、当接部22の本体部23と突出部材24とを同じ材料で形成しても良い。さらに、本発明では、当接面24aを第2の実施形態の逆向きに傾斜させてもよく、第2突出部即ち突出部材24を突出部即ち本体部23から第2の実施形態の逆向きに突出させても良い。
【0040】
また、前述した実施形態では、防水ケース1は、コネクタを収容している。しかしながら、本発明では、防水ケース1は、リレーボックスやヒューズボックスなどの所謂電気接続箱を収容しても良く、ECUなどの各種の電子機器を収容しても良い。さらに、本発明では、グロメット4に限らず、カバー部材としての種々の物品を用いても良い。
【0041】
また、本発明では、シール部材5を箱本体2に取り付けても良い。要するに、本発明では、シール部材5を箱本体2と蓋体3とのうち一方に取り付ければ良い。
【0042】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0043】
1 防水ケース
2 箱本体
3 蓋体
4 グロメット(カバー部材)
5 シール部材
7 周板
7a 縁
9 開口部
11 切欠き部
22 当接部(当接部分)
23 本体部
24 突出部材(突出部、第2突出部)
24a 当接面
T 当接部の厚み
t 他の部分の厚み
H 当接部の幅
h 他の部分の幅
K 重なる方向
C 直交する方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の周板に囲まれて形成された開口部が設けられた箱本体と、
前記箱本体に取り付けられるとともに、該箱本体に取り付けられると前記開口部を塞ぐ蓋体と、
環状に形成され、かつ前記箱本体と前記蓋体とのうち一方に取り付けられるとともに、前記周板の縁と当接して、前記箱本体と前記蓋体との間を水密に保つシール部材と、を備えた防水ケースにおいて、
前記複数の周板のうち少なくとも一つには、前記開口部寄りの縁から該開口部から離れる方向に前記周板を切り欠いた切欠き部が形成され、
前記箱本体に取り付けられるとともに、該箱本体に取り付けられると、切欠き部を塞ぐカバー部材を更に備え、
前記シール部材の前記切欠き部が設けられた周板の縁及び前記カバー部材の縁と当接する当接部分は、他の部分よりも厚みが厚く形成されている
ことを特徴とする防水ケース。
【請求項2】
前記当接部分は、前記他の部分と厚みが等しい本体部と、該本体部に重ねられて前記他の部分よりも前記周板側に突出した突出部と、を備えている
ことを特徴とする請求項1に記載の防水ケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−34377(P2013−34377A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−228226(P2012−228226)
【出願日】平成24年10月15日(2012.10.15)
【分割の表示】特願2006−217693(P2006−217693)の分割
【原出願日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】