防音パネルの固定構造及びその固定方法
【課題】自動車の道路脇や鉄道の線路脇などに設置される防音壁において、防音パネルを支柱に弾性的に固定する防音パネルの固定構造及びその固定方法を提供する。
【解決手段】防音パネル3の横端部4は、支柱1の受け溝2を形成するフランジ内面20と対向する面に、フランジ内面20との間に隙間を形成する高さ突出する突枠部40が設けられ、同突枠部40にボルト孔が設けられ、突枠部40には、前面部70とボルト孔を有する側面部71とを備える平面視略コ字形状の固定部材7がボルト8で取り付けられており、固定部材7は側面部71同士の間隔をボルト8の締結により狭められ、前面部70が外側へ膨らむ態様で支柱1の受け溝2のフランジ内面20を押して固定する。
【解決手段】防音パネル3の横端部4は、支柱1の受け溝2を形成するフランジ内面20と対向する面に、フランジ内面20との間に隙間を形成する高さ突出する突枠部40が設けられ、同突枠部40にボルト孔が設けられ、突枠部40には、前面部70とボルト孔を有する側面部71とを備える平面視略コ字形状の固定部材7がボルト8で取り付けられており、固定部材7は側面部71同士の間隔をボルト8の締結により狭められ、前面部70が外側へ膨らむ態様で支柱1の受け溝2のフランジ内面20を押して固定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動車の道路脇や鉄道の線路脇などに設置される防音壁について、防音パネルを支柱に弾性的に固定する構造及びその固定方法の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高速道路の道路脇や鉄道の線路脇など、大きな風圧が作用するような箇所に防音パネルが設置されている。こうした防音パネルは、間隔を空けて立設された一対の支柱の対向面に形成された受け溝内に挿着され、前記受け溝の内壁面と、内壁面に対向する防音パネルの外周面との隙間に固定部材を介在して、同防音パネルを前記支柱の受け溝内に弾性的に固定することが好適に実施されている。
前記固定部材として例えば、特許文献1には、図10Aに示すような、挿入片21と押圧片22を有する横断面U字状の固定部材29が用いられている。具体的には、間隔おいて立設されたH型支柱23のフランジ23a内に防音パネル24が挿入されると共に、防音パネル24をフランジ23a内とは、図10Bに示すように、同パネル24の正面側Wに隙間Sを有している。この隙間Sには、上述した固定部材29の挿入片21が挿入され、押圧片22をフランジ23aの外面に位置するように配設し、前記支柱23のフランジ23a面に設けられたボルト孔から、同フランジ23aの内側から挿入されて突き出たボルト25を、前記フランジ23aの外面に位置する押圧片22に設けられたボルト装通部22aへ通しナット26で締め付けることにより、固定部材29を反発弾性させて防音パネル24を支柱23へ固定する構成が記載されている。
【0003】
しかし、特許文献1は幾つかの問題点がある。
先ず、固定部材29は防音パネル24の車両が走行する正面側Wから取り付けている。したがって、固定部材29の押圧片22やボルト25、ナット26がフランジ23aの外側へ飛び出るので意匠性が悪くなるだけでなく、二次災害を引き起こす要因となる虞がある。また、固定部材29が防音パネル24と一体構造ではないため、取付作業が非常に面倒となる。
【0004】
さて、上記の問題点を鑑みた特許文献2が開示されて公知である。
この固定構造は、図11Aに示すように、防音パネル24の側周縁に、矩形額縁形状の枠部材27が取り付けられており、その水平縦方向の縦枠27aに複数の固定部材28が一体的に取り付けられる構成とされている。この固定部材28は、図11Bに示すように、支柱23のフランジ23a内において防音パネル24の正面側Wに設けられる隙間S内に収められて支柱のフランジの外側に部材の一部が飛び出ることがない構成とされており、その構成は上縁部28aが上方へ折れ曲がり、下縁部28bが下方に折れ曲がった「フ」字断面形状に形成され、下縁部28bと縦枠27aとがビス止めにより固定されている。上記固定部材28を一体的に取り付けた防音パネル24を、H型支柱23のフランジ23a内へ挿入すると、前記固定部材28の上縁部28aは縦枠27aに当接し、フ字形状の頂部28Jが支柱23のフランジ23aの内壁面と当接した状態で装着される構成である。
したがって、風圧を受けると、固定部材28は頂部28Jを有するフ字形状であるために、反発弾性が生じて防音パネル24のガタつきを吸収しつつ支柱23内に固定できる点が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許3357633号公報
【特許文献2】特開2009−161942号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献2は、固定部材28を防音パネル24へ取り付けて一体化することで、作業性を向上させた点は認められる。しかし、以下のような問題点がある。
上記のように固定部材28を取り付けて防音パネル24と一体化したことにより、同防音パネル24を支柱23のフランジ23a内へ挿入する際に、その内部は図11Bに示したように、固定部材28の上縁部28aと頂部28Jとが縦枠27aとフランジ23a内にそれぞれ当接して隙間S内にしっかりと収まった状態となっている。
つまり、防音パネル24の挿入に必要な隙間Sがなくなる構成である。したがって、同パネル24の挿入作業は非常に至難となり、防音パネルの上面をハンマーなどで叩いて挿入しなければならず、面倒と騒音を生じさせる要因となるし、挿入時に固定部材28に変形が生じ効果的に防音パネルを固定することができない虞がある。
【0007】
本発明の目的は、上記問題点を解決することであり、防音パネルは支柱の受け溝内において両者の隙間に介在させた固定部材が効果的に防音パネルの横端部を固定でき、固定部材を一体的に取り付けた防音パネルの支柱への挿入作業、及び固定作業の効率を飛躍的に向上でき、静音施工ができ、固定部材のメンテナンスや取り替え作業も容易にならしめる防音パネルの固定構造及び固定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明に係る防音パネルの固定構造は、
一定の間隔をあけて支柱が立設され、隣り合う支柱の水平断面がコ字形状の受け溝に、防音パネルの水平横方向の横端部が挿入され、前記支柱の受け溝におけるフランジ内面と、これに対向する防音パネルの横端部との隙間に固定部材を嵌めて前記横端部を固定する防音パネルの固定構造であって、
前記横端部は、支柱の受け溝を形成するフランジ内面と対向する面に、同フランジ内面との間に隙間を形成する高さ突出する突枠部が設けられ、同突枠部にボルト孔が設けられていること、
前記突枠部には、前面部とボルト孔を有する側面部とを備える平面視略コ字形状の固定部材がボルトで取り付けられており、前記固定部材の前面部と前記支柱のフランジが対向していること、
前記固定部材は、その側面部同士の間隔を前記ボルトの締結により狭められ、フランジ内面と対向する前面部が外側へ膨らむ態様で支柱の受け溝のフランジ内面を押して防音パネルの横端部が固定されていることを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載した防音パネルの固定構造において、
横端部の突枠部に取り付けられる固定部材は、防音パネルの車両が走行する正面側に取り付けられていることを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2に記載した防音パネルの固定構造において、
固定部材は、そのボルト孔と突枠部のボルト孔とが一致され、前記一致したボルト孔へ突枠部及び固定部材を貫通するように、防音パネルの外側から水平横方向に向けてボルトが挿入され、同突枠部及び固定部材を貫通して突き出たボルトの先端にナットが締結されて突枠部へ取り付けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一に記載した防音パネルの固定構造において、
固定部材の前面部は、アーチ形状とされその頂部をフランジ内面の内寄り位置となるように偏心させていることを特徴とする。
【0012】
請求項5記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一に記載した防音パネルの固定構造において、
防音パネルの縦枠にL字形状のストッパーが、その先端部がフランジの側周面と一定間隔を空けて同フランジの外面に位置するように取り付けられていることを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載した発明に係る防音パネルの固定方法は、
一定の間隔をあけて支柱が立設され、隣り合う支柱の水平断面がコ字形状の受け溝に、防音パネルの水平横方向の横端部が挿入され、前記支柱の受け溝におけるフランジ内面と、これに対向する防音パネルの横端部との隙間に固定部材を嵌めて前記横端部を固定する防音パネルの固定方法であって、
前記横端部は、支柱の受け溝を形成するフランジ内面と対向する面に、同フランジ内面との間に隙間を形成する高さ突出する突枠部が設けられ、同突枠部にボルト孔が複数設けられており、
前記固定部材は、前面部とボルト孔を有する側面部とを備える平面視略コ字形状で、前記突枠部の両端部から隙間を有するように挟み、前記固定部材及び突枠部のボルト孔へ通したボルトへナットを緩くねじ込んで前記突枠部に仮保持されており、
前記支柱の受け溝に前記固定部材が仮保持された前記突枠部が挿入されて、隣り合う支柱間に防音パネルが配置されることで、前記支柱のフランジ内面と対向する前記固定部材の前面部との間に隙間が形成されており、
前記固定部材のナットを緊結して、その側面部同士の間隔を狭め、フランジ内面と対向する前面部が外側へ膨らむ態様で支柱の受け溝のフランジ内面を押して防音パネルの横端部を固定していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1〜6に記載した防音パネルの固定構造及び固定方法は、以下の効果を奏する。
本発明の固定構造は、防音パネルの水平横方向の横端部に、支柱の受け溝を形成するフランジ内面と対向する面に突枠部が設けられ、この突枠部に平面視略コ字形状の固定部材をボルトにより取り付けられ、前記固定部材は、前記フランジ内面においてその側面部同士の間隔を前記ボルトの締結により狭められ、フランジ内面と対向する前面部が外側へ膨らむ態様で支柱の受け溝のフランジ内面を押して防音パネルの横端部が固定される構造である。つまり、上記支柱の受け溝内に挿入された防音パネルは、その固定部材のナットを緊結するのみで、支柱の受け溝内に効果的に固定することができるので作業効率を著しく向上できるし、ナットの締結により固定部材の前面部を積極的に変形させて一定の反発弾性を安心して得られる。また、ナットの締め込み力によりその弾性力を適切に調整できるため、設置環境に適宜合わせて固定でき汎用性が高い。
【0015】
のみならず、上記縦枠の突枠部に取り付けられる固定部材は、車両の走行時に風圧が生じる防音パネルの正面側に取り付けられている構成とされている。また、前記固定部材を突枠部へ取り付けるボルト挿入作業は、ボルト孔へ突枠部及び固定部材を貫通するように、防音パネルの外側から水平横方向に向けてボルトが挿入され、突枠部及び固定部材を貫通して突き出たボルトの先端にナットが締結する構成としている。
したがって、防音パネルの挿入作業、及び固定部材の取付、固定作業を安全な道路又は線路側から行うことができるし、固定部材を目視することが可能であるため管理やメンテナンスも非常に容易で、固定部材の取り替え作業やメンテナンスを行う際には、単に正面側から上記ナットを緩めるのみで行うことができ非常に利便性に富む。
【0016】
請求項5に記載した発明によれば、防音パネルの縦枠にL字形状のストッパーが、その先端部がフランジの側周面と一定間隔を空けて同フランジの外面に位置するように取付けたので、地震や風圧により防音パネルが水平方向に移動しても、上記L字形状のストッパーがフランジの側周面と接触するので最小限のがたつきで抑えることができ安全である。
【0017】
また、請求項6に記載したように防音パネルの固定方法は、
防音パネルの水平横方向の横端部に設けられた突枠部に、前面部とボルト孔を有する側面部とを備える平面視略コ字形状の固定部材を、前記突枠部の両端部から隙間を有するように挟み、前記固定部材及び突枠部のボルト孔へ通したボルトへナットを緩くねじ込んで前記突枠部に仮保持される。そして、前記支柱の受け溝に前記固定部材が仮保持された前記突枠部が挿入され、隣り合う支柱間に防音パネルが配置される際に、前記支柱のフランジ内面と対向する前記固定部材の前面部との間に確実に隙間が形成されているので、その挿入作業は非常に簡単であり、静音施工をならしめるし、特許文献2のように挿入時の固定部材の変形により弾性力が低下する虞を一切排除できる。
また、防音パネルを隣接する支柱の受け溝内へ挿入した後、その固定部材のナットを更に緊結するだけで、その側面部同士の間隔を狭め、フランジ内面と対向する前面部が外側へ膨らむ態様で支柱の受け溝のフランジ内面を押して防音パネルの横端部を固定できるので、非常に作業性が良い。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る防音パネルの固定構造を実施した一例を示す全体正面斜視図である。
【図2】防音パネルの構造を具体的に示す分解斜視図である。
【図3】固定部材を取り付けた防音パネルの正面図である。
【図4】固定部材を取り付けた防音パネルを支柱へ挿入する状態を示す斜視図である。
【図5】Aは、支柱の受け溝内へ防音パネルを挿入した状態を示した平面図である。Bは、防音パネルを支柱の受け溝内へ固定部材により弾性的に固定した状態を示す平面図である。
【図6】A、Bは、本発明の異なる固定構造を示す平面図である。
【図7】本発明の異なる固定構造を示す平面図である。
【図8】本発明の異なる固定構造を示す平面図である。
【図9】図5Bに示す固定構造にストッパを取り付けた一例を示す参考平面図である。
【図10】Aは、従来の固定部材を示す斜視図である。Bは、Aの固定部材を使用して防音パネルを支柱の受け溝内へ固定する要領を示した平面図である。
【図11】Aは、従来の固定部材を一体的に取り付けた防音パネルを示した斜視図である。Bは、支柱の受け溝内における固定部材の収まりを示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、一定の間隔をあけて支柱1、1が立設され、隣り合う支柱1の水平断面がコ字形状の受け溝2に、防音パネル3の水平横方向の横端部4が挿入され、前記支柱1の受け溝2におけるフランジ内面20と、これに対向する防音パネル3の横端部4との隙間Sに固定部材7を嵌めて前記横端部4を固定する防音パネル3の固定構造である。
前記横端部4は、支柱1の受け溝2を形成するフランジ内面20と対向する面に、同フランジ内面20との間に隙間Sを形成する高さ突出する突枠部40が設けられ、同突枠部40にボルト孔40aが複数設けられている。
前記突枠部40には、前面部70とボルト孔7aを有する側面部71とを備える平面視略コ字形状の固定部材7がボルト8で取り付けられており、前記固定部材7の前面部70と支柱1のフランジ内面20が対向している。
前記横端部4の突枠部40に取り付けられる固定部材7は、防音パネル3の車両が走行する正面側Wに取り付けられている。
前記固定部材7は、その側面部71、71同士の間隔を前記ボルト8のナット9による締結により狭められ、フランジ内面20と対向する前面部70が外側へ膨らむ態様で支柱1の受け溝2のフランジ内面20を押して防音パネル3の横端部4が固定される。
【実施例1】
【0020】
以下に、本発明を図示した実施例に基づいて説明する。
本発明は、図1に示すように、例えば高速道路の道路脇や鉄道の道路脇など大きな風圧が作用するような箇所に設置される防音壁に使用される防音パネル3の固定構造及びその固定方法として好適に実施される。この防音パネル3は、一定の間隔を空けて立設された支柱1、1の対向する受け溝2、2間に挿着されて防音壁に構築している。図4などで示すように本実施例では、支柱1とはH型鋼を使用するため、受け溝2はフランジとウエブで囲まれた凹溝であり、符号20はフランジ内面を指す。前記防音パネル3は、実施例では透光パネル3を使用している。しかし、この限りではなく箱形の防音パネルにおいても、以下に示す防音パネル3の水平横方向の横端部4に取り付ける固定部材7により同様の固定構造及び固定方法を実施できる。
また、本実施例の防音パネル3の外周縁は矩形額縁形状の枠部材である水平縦方向の縦枠4と水平横方向の横枠5とをボルト6により連結して構成される。したがって、上記横端部4の記載は縦枠4として以下に説明する。
【0021】
本実施例の固定構造は、例えば図5Aに示すように、前記縦枠4、横枠5を有する防音パネル3が支柱1の受け溝2、2間へ挿入された際、前記支柱1の受け溝2の正面側Wのフランジ内面20と、同フランジ内面20に対向する防音パネル3の縦枠4の正面側Wとの隙間Sに構成される防音パネル3の固定構造である。以下に、その固定構造を図1〜5に基づいて説明する。本実施例では云う正面側Wとは、道路側または線路側であり車両の走行により風圧が生じる側を指している。
【0022】
上記防音パネル3を構成する縦枠4には、正面側Wにコ字形状の突枠部40が設けられている。この突枠部40は、図5に示すように、支柱1の受け溝2内において、同受け溝2のフランジ内面20との間に隙間Sを有する程度の高さ突出しており、その両側面(以下、内側側面41と外側側面42と区別して表記する。)には図2に示すように、防音パネル3の水平横方向に貫通するボルト孔40aが上下方向に複数設けられている。
【0023】
この突枠部40の外周面には、同突枠部40と略同形に形成された平面視が略コ字形状の固定部材7が被せられて取り付けられている。この固定部材7は、図3に示すように突枠部40の上下方向に3箇所設けられることが好ましいが、この限りではない。
前記固定部材7は、アーチ形状に湾曲する形状の前面部70と、同前面部70の両端と繋がる左右の側面部71、71と、前記左右の側面部71の各下端から直角に伸びる支持片72とから構成されている。前記前面部70は、図示例ではアーチ形状に湾曲されているが、単にコ字形状やへ字形状に屈曲した形状で実施することもできる。因みに前面部70とは支柱1の受け溝2のフランジ内面20と対向する面である。
【0024】
前記左右の側面部71、71には、ボルト8を防音パネル3の横枠5と平行する方向に貫通させるボルト孔7a、7aが形成されており、同側面部71、71の間隔は、図5Aに示すように、突枠部40の幅と隙間Dを有する幅広に形成され、その高さは支柱1の受け溝2の正面側Wのフランジ内面20との隙間S2を保持する程度とされている。
【0025】
上記固定部材7と防音パネル3の突枠部40とは、図2に示すように、同固定部材7をそのボルト孔7a、7aと突枠部40のボルト孔40aとを一致させて被せ、前記一致したボルト孔40aへ突枠部40及び固定部材7を貫通するように、防音パネル3の外側位置から水平横方向に向けてボルト8が挿入され、同突枠部40及び固定部材7を貫通して突き出たボルト8の先端にナット9が締結されて、同固定部材7を防音パネル3へ一体的に取り付けている。
【0026】
上記構成の防音パネル3は、支柱1、1の対向する受け溝2、2間で固定部材7を取り付けた側面を正面側Wへ向けて挿入されている。この防音パネル3は上記支柱1の受け溝2内において(図5Aの状態)、図5Bに示すように、前記固定部材7は、その側面部71、71同士の間隔を前記ボルト8のナット9による締結により狭められて、突枠部40の内側側面41と固定部材7の側面部71とが当接状態で、フランジ内面20と対向する前面部70が外側へ膨らむ態様で支柱1の受け溝2のフランジ内面20を押(接触)して防音パネル3の縦枠4が固定される。
この接触点J1により防音パネル3を支柱1の受け溝2内に弾性的に固定することができるのである。したがって、防音パネル3が風圧を受けても、受け溝2と接触しているアーチ形状の前面部70が、弾性曲げ変形をしながら外力を受け止めて、がたつきを抑制することができる。本実施例の緊結は、ナット9の上面に更にナット90をねじ込んでナット9を緊結するダブルナット形式を示したが、この限りではなく単にナット9を更に締め込んで緊結することもできる。
【0027】
次に、防音パネルの固定方法を簡単に説明する。
防音パネル3には、その縦枠4に形成されたボルト孔40aを有する略コ字形状の突枠部40に、同突枠部40の両側面部71、71を挟む平面視略コ字形状の固定部材7が、工場又は現場で取り付けられる。
その取付状態は、図4及び図5Aに示すように、支柱1のフランジ内面20と対向する固定部材7の前面部70が同フランジ内面20との間に隙間S2を確保し、且つ、ボルト孔7a、7aを有する側面部71、71が突枠部40より幅広(隙間D)が保持できる状態に、前記ボルト孔7aと前記突枠部40のボルト孔40aとへ挿入したボルト8へナット9を緩くねじ込んで一体的に取り付けて用意されている。つまり、前記ナット9は、固定部材7の上記隙間Dを確保する程度に緩くねじ込んで、固定部材7を縦枠4の突枠部40に仮保持される。したがって、上記構成の防音パネル3を隣接する支柱1の受け溝2内へ挿入する際、防音パネル3の固定部材7と支柱1のフランジ内面20とは、挿入に必要な隙間S2を十分に保持しているので、その挿入作業は非常に簡単であり、挿入時に変形する虞がない。
因みに、前記ボルト8の挿入は、防音パネル3の外側位置から水平横方向に向けて、突枠部40及び固定部材7を貫通するように、固定部材7のボルト孔7aと突枠部40のボルト孔40aとへ挿入し、同突枠部40及び固定部材7を貫通して突枠部40の内方へ突き出たボルト8の先端にナット9が締結されている。
【0028】
上記の如く固定部材7を仮保持した防音パネル3を隣接する支柱1の受け溝2内へ挿入して落とし込んだ後、前記突枠部40及び固定部材7を貫通して、突枠部40の内方へ突き出たボルト8へねじ込まれたナット9を緊結又は、ナット90を更に嵌め入れて、前記固定部材7と突枠部40との上記隙間Dが無くなるまで、つまり突枠部40の内側側面41と固定部材7の側面部71とが近接するようにねじ込んで緊結する。すると、固定部材7のアーチ形状の前面部70は上方へ膨らみ変形し、支柱1の受け溝2のフランジ内面20と接触して、防音パネル3を弾性的に固定できる。
図5では、突枠部40の内側側面41と固定部材7の側面部71が当接した状態となっているが、必ずしも当接する必要はなく、ナット9の緊結により膨らんだ固定部材7の前面部70がフランジ内面20と接触して防音パネル3を弾性的に固定できれば、隙間Dを狭める程度にナット9を緊結するのでもよい。これは、以下の全ての実施例において同様である。
【実施例2】
【0029】
本発明の実施例において、固定部材7は図2、図5に示した形状で使用しているがこの限りではなく、図6に示す固定部材7…においても同様の技術的思想に基づいて実施できる。
即ち、実施例1において、固定部材7のアーチ形状の前面部70はその頂部が中央位置となるように形成されている。したがって、防音パネル3を受け溝2内に緊結して固定した際、上記前面部70と受け溝2と接触する接触点J1もやはり中央位置である。
しかし、防音パネル3を受け溝2内へ固定するには、前記接触点をフランジ内面20の内側寄り(支柱1のウエブ寄り)の方が望ましい。
したがって、図6に示す固定部材7Xは、その前面部70Xの頂部が縦枠4に対して外寄り位置、受け溝2のフランジ内面20に対して内方寄り(支柱1のウエブ寄り)となるように偏心して形成されている。その幅は図5Aに示すように隙間Dを有し高さもS2を有する点は同じであるが、同前面部70Xと繋がる側面部71Xは突枠部40の根元に向かって徐々に内側へ傾斜して先端部が突枠部40の内側側面41と接触し、支持片72Xへ直角して繋がる形状である。この形状により、ナット90による固定部材7Xの締め込みを行った際に、前面部70Xの膨らみの頂点が確実に受け溝2のフランジ内面20に対して内方寄りとなるように導かれる。
したがって、図6Bに示すように、ナット90を締め付けると固定部材7Xの前面部70Xの頂点が受け溝2のフランジ内面20の内方寄りの接触点J2となり、より安定した固定力を得ることができる。
【実施例3】
【0030】
固定部材7の実施例はこの限りではなく、実施例2と同様の技術的思想に基づいて、図7に示す固定部材7Yも実施できる。
固定部材7Yは、上記固定部材7Xと略同形で頂点が受け溝2の内方寄り(支柱1のウエブ寄り)である点は同じであるが、前面部70Yのアーチ形状が二段階に分けて湾曲している点が相違している。
上記のように二段階湾曲した前面部70Yに形成すると、ボルト90による緊結の際に膨らみ変形の頂点が確実に受け溝2のフランジ内面20の内方寄りに導くことができる。
【実施例4】
【0031】
固定部材7の実施例はこの限りではなく、実施例3と同様の技術的思想に基づいて、図8に示す固定部材7Zも実施できる。
前記固定部材7Zは、図5に示した実施例1の固定部材7と略同様であるが、前面部70Zがへ字形状に屈曲している点が相違する。勿論、その膨らみ変形の頂点がフランジ内面20の内側寄りである。
【実施例5】
【0032】
本発明は、図9に示す実施形態で実施することもできる。
即ち、防音パネル3が地震や風圧により水平方向への外力が加わる際に、その外力により防音パネル3の横移動を最小限に抑制するストッパー機構を介在して実施することである。
具体的には、L字形状のストッパー部材10が用いられるが、ストッパー部材10は長辺部10aと、同長辺側10aと直角に連結される短辺部10bとから構成され、前記長辺部10aの先端にはボルト孔が設けられており、上記突枠部40と固定部材7とを固定するべく各ボルト孔へ挿通され、固定部材7の内側側面部70から突き出たボルト8の先端へ、前記長辺部10aのボルト孔を嵌め入れて、短辺部10bが受け溝2の側周面と一定の間隔を空け、且つ受け溝2の外周面に位置する設置となるように位置決めして、ナット9(ナット90を含む)を締め付けて取り付けられている。
したがって、水平方向の外力が加わり、防音パネル3が水平方向へ移動しても、前記ストッパー部材10の長辺部10aと受け溝2の側周面とが接触して水平移動を最小限に止めることができる。
【0033】
ストッパー部材10の取付位置はこの限りではなく、縦枠4の背面側Nに上記した要領で取り付けて実施することもできる。また、支柱の受け溝2のウエブ面と縦枠4の外側側面との隙間に例えばゴムのような弾性部材11を介在させて防音パネルの水平移動を抑制する構成として実施しても良い。
固定部材7を取り付けるボルト8が、ナット9や90を締め付ける際に供回りしないように、上下のボルト8を板材で連結したり、ボルト8の頭部を囲むように突枠部40の外側側面41に突起を設けてもよい。
【0034】
以上に本発明を図示した実施例に基づいて説明したが、本発明は、上記実施例の構成に限定されない。その目的と要旨を逸脱しない範囲において、当業者が必要に応じて行う設計変更、応用のバリエーションの範囲を含むことを念のため言及する。
【符号の説明】
【0035】
1 支柱
2 受け溝
20 フランジ内面
3 防音パネル
4 縦枠(横端部)
4a ボルト孔
40 突枠部
41 外側側面
42 内側側面
5 横枠
6 ボルト
7 固定部材
7a ボルト孔
70 前面部
71 側面部
72 支持片
8 ボルト
9、90 ナット
10 ストッパー部材
W 正面側
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動車の道路脇や鉄道の線路脇などに設置される防音壁について、防音パネルを支柱に弾性的に固定する構造及びその固定方法の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高速道路の道路脇や鉄道の線路脇など、大きな風圧が作用するような箇所に防音パネルが設置されている。こうした防音パネルは、間隔を空けて立設された一対の支柱の対向面に形成された受け溝内に挿着され、前記受け溝の内壁面と、内壁面に対向する防音パネルの外周面との隙間に固定部材を介在して、同防音パネルを前記支柱の受け溝内に弾性的に固定することが好適に実施されている。
前記固定部材として例えば、特許文献1には、図10Aに示すような、挿入片21と押圧片22を有する横断面U字状の固定部材29が用いられている。具体的には、間隔おいて立設されたH型支柱23のフランジ23a内に防音パネル24が挿入されると共に、防音パネル24をフランジ23a内とは、図10Bに示すように、同パネル24の正面側Wに隙間Sを有している。この隙間Sには、上述した固定部材29の挿入片21が挿入され、押圧片22をフランジ23aの外面に位置するように配設し、前記支柱23のフランジ23a面に設けられたボルト孔から、同フランジ23aの内側から挿入されて突き出たボルト25を、前記フランジ23aの外面に位置する押圧片22に設けられたボルト装通部22aへ通しナット26で締め付けることにより、固定部材29を反発弾性させて防音パネル24を支柱23へ固定する構成が記載されている。
【0003】
しかし、特許文献1は幾つかの問題点がある。
先ず、固定部材29は防音パネル24の車両が走行する正面側Wから取り付けている。したがって、固定部材29の押圧片22やボルト25、ナット26がフランジ23aの外側へ飛び出るので意匠性が悪くなるだけでなく、二次災害を引き起こす要因となる虞がある。また、固定部材29が防音パネル24と一体構造ではないため、取付作業が非常に面倒となる。
【0004】
さて、上記の問題点を鑑みた特許文献2が開示されて公知である。
この固定構造は、図11Aに示すように、防音パネル24の側周縁に、矩形額縁形状の枠部材27が取り付けられており、その水平縦方向の縦枠27aに複数の固定部材28が一体的に取り付けられる構成とされている。この固定部材28は、図11Bに示すように、支柱23のフランジ23a内において防音パネル24の正面側Wに設けられる隙間S内に収められて支柱のフランジの外側に部材の一部が飛び出ることがない構成とされており、その構成は上縁部28aが上方へ折れ曲がり、下縁部28bが下方に折れ曲がった「フ」字断面形状に形成され、下縁部28bと縦枠27aとがビス止めにより固定されている。上記固定部材28を一体的に取り付けた防音パネル24を、H型支柱23のフランジ23a内へ挿入すると、前記固定部材28の上縁部28aは縦枠27aに当接し、フ字形状の頂部28Jが支柱23のフランジ23aの内壁面と当接した状態で装着される構成である。
したがって、風圧を受けると、固定部材28は頂部28Jを有するフ字形状であるために、反発弾性が生じて防音パネル24のガタつきを吸収しつつ支柱23内に固定できる点が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許3357633号公報
【特許文献2】特開2009−161942号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献2は、固定部材28を防音パネル24へ取り付けて一体化することで、作業性を向上させた点は認められる。しかし、以下のような問題点がある。
上記のように固定部材28を取り付けて防音パネル24と一体化したことにより、同防音パネル24を支柱23のフランジ23a内へ挿入する際に、その内部は図11Bに示したように、固定部材28の上縁部28aと頂部28Jとが縦枠27aとフランジ23a内にそれぞれ当接して隙間S内にしっかりと収まった状態となっている。
つまり、防音パネル24の挿入に必要な隙間Sがなくなる構成である。したがって、同パネル24の挿入作業は非常に至難となり、防音パネルの上面をハンマーなどで叩いて挿入しなければならず、面倒と騒音を生じさせる要因となるし、挿入時に固定部材28に変形が生じ効果的に防音パネルを固定することができない虞がある。
【0007】
本発明の目的は、上記問題点を解決することであり、防音パネルは支柱の受け溝内において両者の隙間に介在させた固定部材が効果的に防音パネルの横端部を固定でき、固定部材を一体的に取り付けた防音パネルの支柱への挿入作業、及び固定作業の効率を飛躍的に向上でき、静音施工ができ、固定部材のメンテナンスや取り替え作業も容易にならしめる防音パネルの固定構造及び固定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明に係る防音パネルの固定構造は、
一定の間隔をあけて支柱が立設され、隣り合う支柱の水平断面がコ字形状の受け溝に、防音パネルの水平横方向の横端部が挿入され、前記支柱の受け溝におけるフランジ内面と、これに対向する防音パネルの横端部との隙間に固定部材を嵌めて前記横端部を固定する防音パネルの固定構造であって、
前記横端部は、支柱の受け溝を形成するフランジ内面と対向する面に、同フランジ内面との間に隙間を形成する高さ突出する突枠部が設けられ、同突枠部にボルト孔が設けられていること、
前記突枠部には、前面部とボルト孔を有する側面部とを備える平面視略コ字形状の固定部材がボルトで取り付けられており、前記固定部材の前面部と前記支柱のフランジが対向していること、
前記固定部材は、その側面部同士の間隔を前記ボルトの締結により狭められ、フランジ内面と対向する前面部が外側へ膨らむ態様で支柱の受け溝のフランジ内面を押して防音パネルの横端部が固定されていることを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載した防音パネルの固定構造において、
横端部の突枠部に取り付けられる固定部材は、防音パネルの車両が走行する正面側に取り付けられていることを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2に記載した防音パネルの固定構造において、
固定部材は、そのボルト孔と突枠部のボルト孔とが一致され、前記一致したボルト孔へ突枠部及び固定部材を貫通するように、防音パネルの外側から水平横方向に向けてボルトが挿入され、同突枠部及び固定部材を貫通して突き出たボルトの先端にナットが締結されて突枠部へ取り付けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一に記載した防音パネルの固定構造において、
固定部材の前面部は、アーチ形状とされその頂部をフランジ内面の内寄り位置となるように偏心させていることを特徴とする。
【0012】
請求項5記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一に記載した防音パネルの固定構造において、
防音パネルの縦枠にL字形状のストッパーが、その先端部がフランジの側周面と一定間隔を空けて同フランジの外面に位置するように取り付けられていることを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載した発明に係る防音パネルの固定方法は、
一定の間隔をあけて支柱が立設され、隣り合う支柱の水平断面がコ字形状の受け溝に、防音パネルの水平横方向の横端部が挿入され、前記支柱の受け溝におけるフランジ内面と、これに対向する防音パネルの横端部との隙間に固定部材を嵌めて前記横端部を固定する防音パネルの固定方法であって、
前記横端部は、支柱の受け溝を形成するフランジ内面と対向する面に、同フランジ内面との間に隙間を形成する高さ突出する突枠部が設けられ、同突枠部にボルト孔が複数設けられており、
前記固定部材は、前面部とボルト孔を有する側面部とを備える平面視略コ字形状で、前記突枠部の両端部から隙間を有するように挟み、前記固定部材及び突枠部のボルト孔へ通したボルトへナットを緩くねじ込んで前記突枠部に仮保持されており、
前記支柱の受け溝に前記固定部材が仮保持された前記突枠部が挿入されて、隣り合う支柱間に防音パネルが配置されることで、前記支柱のフランジ内面と対向する前記固定部材の前面部との間に隙間が形成されており、
前記固定部材のナットを緊結して、その側面部同士の間隔を狭め、フランジ内面と対向する前面部が外側へ膨らむ態様で支柱の受け溝のフランジ内面を押して防音パネルの横端部を固定していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1〜6に記載した防音パネルの固定構造及び固定方法は、以下の効果を奏する。
本発明の固定構造は、防音パネルの水平横方向の横端部に、支柱の受け溝を形成するフランジ内面と対向する面に突枠部が設けられ、この突枠部に平面視略コ字形状の固定部材をボルトにより取り付けられ、前記固定部材は、前記フランジ内面においてその側面部同士の間隔を前記ボルトの締結により狭められ、フランジ内面と対向する前面部が外側へ膨らむ態様で支柱の受け溝のフランジ内面を押して防音パネルの横端部が固定される構造である。つまり、上記支柱の受け溝内に挿入された防音パネルは、その固定部材のナットを緊結するのみで、支柱の受け溝内に効果的に固定することができるので作業効率を著しく向上できるし、ナットの締結により固定部材の前面部を積極的に変形させて一定の反発弾性を安心して得られる。また、ナットの締め込み力によりその弾性力を適切に調整できるため、設置環境に適宜合わせて固定でき汎用性が高い。
【0015】
のみならず、上記縦枠の突枠部に取り付けられる固定部材は、車両の走行時に風圧が生じる防音パネルの正面側に取り付けられている構成とされている。また、前記固定部材を突枠部へ取り付けるボルト挿入作業は、ボルト孔へ突枠部及び固定部材を貫通するように、防音パネルの外側から水平横方向に向けてボルトが挿入され、突枠部及び固定部材を貫通して突き出たボルトの先端にナットが締結する構成としている。
したがって、防音パネルの挿入作業、及び固定部材の取付、固定作業を安全な道路又は線路側から行うことができるし、固定部材を目視することが可能であるため管理やメンテナンスも非常に容易で、固定部材の取り替え作業やメンテナンスを行う際には、単に正面側から上記ナットを緩めるのみで行うことができ非常に利便性に富む。
【0016】
請求項5に記載した発明によれば、防音パネルの縦枠にL字形状のストッパーが、その先端部がフランジの側周面と一定間隔を空けて同フランジの外面に位置するように取付けたので、地震や風圧により防音パネルが水平方向に移動しても、上記L字形状のストッパーがフランジの側周面と接触するので最小限のがたつきで抑えることができ安全である。
【0017】
また、請求項6に記載したように防音パネルの固定方法は、
防音パネルの水平横方向の横端部に設けられた突枠部に、前面部とボルト孔を有する側面部とを備える平面視略コ字形状の固定部材を、前記突枠部の両端部から隙間を有するように挟み、前記固定部材及び突枠部のボルト孔へ通したボルトへナットを緩くねじ込んで前記突枠部に仮保持される。そして、前記支柱の受け溝に前記固定部材が仮保持された前記突枠部が挿入され、隣り合う支柱間に防音パネルが配置される際に、前記支柱のフランジ内面と対向する前記固定部材の前面部との間に確実に隙間が形成されているので、その挿入作業は非常に簡単であり、静音施工をならしめるし、特許文献2のように挿入時の固定部材の変形により弾性力が低下する虞を一切排除できる。
また、防音パネルを隣接する支柱の受け溝内へ挿入した後、その固定部材のナットを更に緊結するだけで、その側面部同士の間隔を狭め、フランジ内面と対向する前面部が外側へ膨らむ態様で支柱の受け溝のフランジ内面を押して防音パネルの横端部を固定できるので、非常に作業性が良い。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る防音パネルの固定構造を実施した一例を示す全体正面斜視図である。
【図2】防音パネルの構造を具体的に示す分解斜視図である。
【図3】固定部材を取り付けた防音パネルの正面図である。
【図4】固定部材を取り付けた防音パネルを支柱へ挿入する状態を示す斜視図である。
【図5】Aは、支柱の受け溝内へ防音パネルを挿入した状態を示した平面図である。Bは、防音パネルを支柱の受け溝内へ固定部材により弾性的に固定した状態を示す平面図である。
【図6】A、Bは、本発明の異なる固定構造を示す平面図である。
【図7】本発明の異なる固定構造を示す平面図である。
【図8】本発明の異なる固定構造を示す平面図である。
【図9】図5Bに示す固定構造にストッパを取り付けた一例を示す参考平面図である。
【図10】Aは、従来の固定部材を示す斜視図である。Bは、Aの固定部材を使用して防音パネルを支柱の受け溝内へ固定する要領を示した平面図である。
【図11】Aは、従来の固定部材を一体的に取り付けた防音パネルを示した斜視図である。Bは、支柱の受け溝内における固定部材の収まりを示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、一定の間隔をあけて支柱1、1が立設され、隣り合う支柱1の水平断面がコ字形状の受け溝2に、防音パネル3の水平横方向の横端部4が挿入され、前記支柱1の受け溝2におけるフランジ内面20と、これに対向する防音パネル3の横端部4との隙間Sに固定部材7を嵌めて前記横端部4を固定する防音パネル3の固定構造である。
前記横端部4は、支柱1の受け溝2を形成するフランジ内面20と対向する面に、同フランジ内面20との間に隙間Sを形成する高さ突出する突枠部40が設けられ、同突枠部40にボルト孔40aが複数設けられている。
前記突枠部40には、前面部70とボルト孔7aを有する側面部71とを備える平面視略コ字形状の固定部材7がボルト8で取り付けられており、前記固定部材7の前面部70と支柱1のフランジ内面20が対向している。
前記横端部4の突枠部40に取り付けられる固定部材7は、防音パネル3の車両が走行する正面側Wに取り付けられている。
前記固定部材7は、その側面部71、71同士の間隔を前記ボルト8のナット9による締結により狭められ、フランジ内面20と対向する前面部70が外側へ膨らむ態様で支柱1の受け溝2のフランジ内面20を押して防音パネル3の横端部4が固定される。
【実施例1】
【0020】
以下に、本発明を図示した実施例に基づいて説明する。
本発明は、図1に示すように、例えば高速道路の道路脇や鉄道の道路脇など大きな風圧が作用するような箇所に設置される防音壁に使用される防音パネル3の固定構造及びその固定方法として好適に実施される。この防音パネル3は、一定の間隔を空けて立設された支柱1、1の対向する受け溝2、2間に挿着されて防音壁に構築している。図4などで示すように本実施例では、支柱1とはH型鋼を使用するため、受け溝2はフランジとウエブで囲まれた凹溝であり、符号20はフランジ内面を指す。前記防音パネル3は、実施例では透光パネル3を使用している。しかし、この限りではなく箱形の防音パネルにおいても、以下に示す防音パネル3の水平横方向の横端部4に取り付ける固定部材7により同様の固定構造及び固定方法を実施できる。
また、本実施例の防音パネル3の外周縁は矩形額縁形状の枠部材である水平縦方向の縦枠4と水平横方向の横枠5とをボルト6により連結して構成される。したがって、上記横端部4の記載は縦枠4として以下に説明する。
【0021】
本実施例の固定構造は、例えば図5Aに示すように、前記縦枠4、横枠5を有する防音パネル3が支柱1の受け溝2、2間へ挿入された際、前記支柱1の受け溝2の正面側Wのフランジ内面20と、同フランジ内面20に対向する防音パネル3の縦枠4の正面側Wとの隙間Sに構成される防音パネル3の固定構造である。以下に、その固定構造を図1〜5に基づいて説明する。本実施例では云う正面側Wとは、道路側または線路側であり車両の走行により風圧が生じる側を指している。
【0022】
上記防音パネル3を構成する縦枠4には、正面側Wにコ字形状の突枠部40が設けられている。この突枠部40は、図5に示すように、支柱1の受け溝2内において、同受け溝2のフランジ内面20との間に隙間Sを有する程度の高さ突出しており、その両側面(以下、内側側面41と外側側面42と区別して表記する。)には図2に示すように、防音パネル3の水平横方向に貫通するボルト孔40aが上下方向に複数設けられている。
【0023】
この突枠部40の外周面には、同突枠部40と略同形に形成された平面視が略コ字形状の固定部材7が被せられて取り付けられている。この固定部材7は、図3に示すように突枠部40の上下方向に3箇所設けられることが好ましいが、この限りではない。
前記固定部材7は、アーチ形状に湾曲する形状の前面部70と、同前面部70の両端と繋がる左右の側面部71、71と、前記左右の側面部71の各下端から直角に伸びる支持片72とから構成されている。前記前面部70は、図示例ではアーチ形状に湾曲されているが、単にコ字形状やへ字形状に屈曲した形状で実施することもできる。因みに前面部70とは支柱1の受け溝2のフランジ内面20と対向する面である。
【0024】
前記左右の側面部71、71には、ボルト8を防音パネル3の横枠5と平行する方向に貫通させるボルト孔7a、7aが形成されており、同側面部71、71の間隔は、図5Aに示すように、突枠部40の幅と隙間Dを有する幅広に形成され、その高さは支柱1の受け溝2の正面側Wのフランジ内面20との隙間S2を保持する程度とされている。
【0025】
上記固定部材7と防音パネル3の突枠部40とは、図2に示すように、同固定部材7をそのボルト孔7a、7aと突枠部40のボルト孔40aとを一致させて被せ、前記一致したボルト孔40aへ突枠部40及び固定部材7を貫通するように、防音パネル3の外側位置から水平横方向に向けてボルト8が挿入され、同突枠部40及び固定部材7を貫通して突き出たボルト8の先端にナット9が締結されて、同固定部材7を防音パネル3へ一体的に取り付けている。
【0026】
上記構成の防音パネル3は、支柱1、1の対向する受け溝2、2間で固定部材7を取り付けた側面を正面側Wへ向けて挿入されている。この防音パネル3は上記支柱1の受け溝2内において(図5Aの状態)、図5Bに示すように、前記固定部材7は、その側面部71、71同士の間隔を前記ボルト8のナット9による締結により狭められて、突枠部40の内側側面41と固定部材7の側面部71とが当接状態で、フランジ内面20と対向する前面部70が外側へ膨らむ態様で支柱1の受け溝2のフランジ内面20を押(接触)して防音パネル3の縦枠4が固定される。
この接触点J1により防音パネル3を支柱1の受け溝2内に弾性的に固定することができるのである。したがって、防音パネル3が風圧を受けても、受け溝2と接触しているアーチ形状の前面部70が、弾性曲げ変形をしながら外力を受け止めて、がたつきを抑制することができる。本実施例の緊結は、ナット9の上面に更にナット90をねじ込んでナット9を緊結するダブルナット形式を示したが、この限りではなく単にナット9を更に締め込んで緊結することもできる。
【0027】
次に、防音パネルの固定方法を簡単に説明する。
防音パネル3には、その縦枠4に形成されたボルト孔40aを有する略コ字形状の突枠部40に、同突枠部40の両側面部71、71を挟む平面視略コ字形状の固定部材7が、工場又は現場で取り付けられる。
その取付状態は、図4及び図5Aに示すように、支柱1のフランジ内面20と対向する固定部材7の前面部70が同フランジ内面20との間に隙間S2を確保し、且つ、ボルト孔7a、7aを有する側面部71、71が突枠部40より幅広(隙間D)が保持できる状態に、前記ボルト孔7aと前記突枠部40のボルト孔40aとへ挿入したボルト8へナット9を緩くねじ込んで一体的に取り付けて用意されている。つまり、前記ナット9は、固定部材7の上記隙間Dを確保する程度に緩くねじ込んで、固定部材7を縦枠4の突枠部40に仮保持される。したがって、上記構成の防音パネル3を隣接する支柱1の受け溝2内へ挿入する際、防音パネル3の固定部材7と支柱1のフランジ内面20とは、挿入に必要な隙間S2を十分に保持しているので、その挿入作業は非常に簡単であり、挿入時に変形する虞がない。
因みに、前記ボルト8の挿入は、防音パネル3の外側位置から水平横方向に向けて、突枠部40及び固定部材7を貫通するように、固定部材7のボルト孔7aと突枠部40のボルト孔40aとへ挿入し、同突枠部40及び固定部材7を貫通して突枠部40の内方へ突き出たボルト8の先端にナット9が締結されている。
【0028】
上記の如く固定部材7を仮保持した防音パネル3を隣接する支柱1の受け溝2内へ挿入して落とし込んだ後、前記突枠部40及び固定部材7を貫通して、突枠部40の内方へ突き出たボルト8へねじ込まれたナット9を緊結又は、ナット90を更に嵌め入れて、前記固定部材7と突枠部40との上記隙間Dが無くなるまで、つまり突枠部40の内側側面41と固定部材7の側面部71とが近接するようにねじ込んで緊結する。すると、固定部材7のアーチ形状の前面部70は上方へ膨らみ変形し、支柱1の受け溝2のフランジ内面20と接触して、防音パネル3を弾性的に固定できる。
図5では、突枠部40の内側側面41と固定部材7の側面部71が当接した状態となっているが、必ずしも当接する必要はなく、ナット9の緊結により膨らんだ固定部材7の前面部70がフランジ内面20と接触して防音パネル3を弾性的に固定できれば、隙間Dを狭める程度にナット9を緊結するのでもよい。これは、以下の全ての実施例において同様である。
【実施例2】
【0029】
本発明の実施例において、固定部材7は図2、図5に示した形状で使用しているがこの限りではなく、図6に示す固定部材7…においても同様の技術的思想に基づいて実施できる。
即ち、実施例1において、固定部材7のアーチ形状の前面部70はその頂部が中央位置となるように形成されている。したがって、防音パネル3を受け溝2内に緊結して固定した際、上記前面部70と受け溝2と接触する接触点J1もやはり中央位置である。
しかし、防音パネル3を受け溝2内へ固定するには、前記接触点をフランジ内面20の内側寄り(支柱1のウエブ寄り)の方が望ましい。
したがって、図6に示す固定部材7Xは、その前面部70Xの頂部が縦枠4に対して外寄り位置、受け溝2のフランジ内面20に対して内方寄り(支柱1のウエブ寄り)となるように偏心して形成されている。その幅は図5Aに示すように隙間Dを有し高さもS2を有する点は同じであるが、同前面部70Xと繋がる側面部71Xは突枠部40の根元に向かって徐々に内側へ傾斜して先端部が突枠部40の内側側面41と接触し、支持片72Xへ直角して繋がる形状である。この形状により、ナット90による固定部材7Xの締め込みを行った際に、前面部70Xの膨らみの頂点が確実に受け溝2のフランジ内面20に対して内方寄りとなるように導かれる。
したがって、図6Bに示すように、ナット90を締め付けると固定部材7Xの前面部70Xの頂点が受け溝2のフランジ内面20の内方寄りの接触点J2となり、より安定した固定力を得ることができる。
【実施例3】
【0030】
固定部材7の実施例はこの限りではなく、実施例2と同様の技術的思想に基づいて、図7に示す固定部材7Yも実施できる。
固定部材7Yは、上記固定部材7Xと略同形で頂点が受け溝2の内方寄り(支柱1のウエブ寄り)である点は同じであるが、前面部70Yのアーチ形状が二段階に分けて湾曲している点が相違している。
上記のように二段階湾曲した前面部70Yに形成すると、ボルト90による緊結の際に膨らみ変形の頂点が確実に受け溝2のフランジ内面20の内方寄りに導くことができる。
【実施例4】
【0031】
固定部材7の実施例はこの限りではなく、実施例3と同様の技術的思想に基づいて、図8に示す固定部材7Zも実施できる。
前記固定部材7Zは、図5に示した実施例1の固定部材7と略同様であるが、前面部70Zがへ字形状に屈曲している点が相違する。勿論、その膨らみ変形の頂点がフランジ内面20の内側寄りである。
【実施例5】
【0032】
本発明は、図9に示す実施形態で実施することもできる。
即ち、防音パネル3が地震や風圧により水平方向への外力が加わる際に、その外力により防音パネル3の横移動を最小限に抑制するストッパー機構を介在して実施することである。
具体的には、L字形状のストッパー部材10が用いられるが、ストッパー部材10は長辺部10aと、同長辺側10aと直角に連結される短辺部10bとから構成され、前記長辺部10aの先端にはボルト孔が設けられており、上記突枠部40と固定部材7とを固定するべく各ボルト孔へ挿通され、固定部材7の内側側面部70から突き出たボルト8の先端へ、前記長辺部10aのボルト孔を嵌め入れて、短辺部10bが受け溝2の側周面と一定の間隔を空け、且つ受け溝2の外周面に位置する設置となるように位置決めして、ナット9(ナット90を含む)を締め付けて取り付けられている。
したがって、水平方向の外力が加わり、防音パネル3が水平方向へ移動しても、前記ストッパー部材10の長辺部10aと受け溝2の側周面とが接触して水平移動を最小限に止めることができる。
【0033】
ストッパー部材10の取付位置はこの限りではなく、縦枠4の背面側Nに上記した要領で取り付けて実施することもできる。また、支柱の受け溝2のウエブ面と縦枠4の外側側面との隙間に例えばゴムのような弾性部材11を介在させて防音パネルの水平移動を抑制する構成として実施しても良い。
固定部材7を取り付けるボルト8が、ナット9や90を締め付ける際に供回りしないように、上下のボルト8を板材で連結したり、ボルト8の頭部を囲むように突枠部40の外側側面41に突起を設けてもよい。
【0034】
以上に本発明を図示した実施例に基づいて説明したが、本発明は、上記実施例の構成に限定されない。その目的と要旨を逸脱しない範囲において、当業者が必要に応じて行う設計変更、応用のバリエーションの範囲を含むことを念のため言及する。
【符号の説明】
【0035】
1 支柱
2 受け溝
20 フランジ内面
3 防音パネル
4 縦枠(横端部)
4a ボルト孔
40 突枠部
41 外側側面
42 内側側面
5 横枠
6 ボルト
7 固定部材
7a ボルト孔
70 前面部
71 側面部
72 支持片
8 ボルト
9、90 ナット
10 ストッパー部材
W 正面側
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定の間隔をあけて支柱が立設され、隣り合う支柱の水平断面がコ字形状の受け溝に、防音パネルの水平横方向の横端部が挿入され、前記支柱の受け溝におけるフランジ内面と、これに対向する防音パネルの横端部との隙間に固定部材を嵌めて前記横端部を固定する防音パネルの固定構造であって、
前記横端部は、支柱の受け溝を形成するフランジ内面と対向する面に、同フランジ内面との間に隙間を形成する高さ突出する突枠部が設けられ、同突枠部にボルト孔が設けられていること、
前記突枠部には、前面部とボルト孔を有する側面部とを備える平面視略コ字形状の固定部材がボルトで取り付けられており、前記固定部材の前面部と前記支柱のフランジが対向していること、
前記固定部材は、その側面部同士の間隔を前記ボルトの締結により狭められ、フランジ内面と対向する前面部が外側へ膨らむ態様で支柱の受け溝のフランジ内面を押して防音パネルの横端部が固定されていることを特徴とする、防音パネルの固定構造
【請求項2】
横端部の突枠部に取り付けられる固定部材は、防音パネルの車両が走行する正面側に取り付けられていることを特徴とする、請求項1に記載した防音パネルの固定構造。
【請求項3】
固定部材は、そのボルト孔と突枠部のボルト孔とが一致され、前記一致したボルト孔へ突枠部及び固定部材を貫通するように、防音パネルの外側から水平横方向に向けてボルトが挿入され、同突枠部及び固定部材を貫通して突き出たボルトの先端にナットが締結されて突枠部へ取り付けられていることを特徴とする、請求項1又は2に記載した防音パネルの固定構造。
【請求項4】
固定部材の前面部は、アーチ形状とされその頂部をフランジ内面の内寄り位置となるように偏心させていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一に記載した防音パネルの固定構造。
【請求項5】
防音パネルの横端部にL字形状のストッパーが、その先端部がフランジの側周面と一定間隔を空けて同フランジの外面に位置するように取り付けられていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一に記載した防音パネルの固定構造。
【請求項6】
一定の間隔をあけて支柱が立設され、隣り合う支柱の水平断面がコ字形状の受け溝に、防音パネルの水平横方向の横端部が挿入され、前記支柱の受け溝におけるフランジ内面と、これに対向する防音パネルの横端部との隙間に固定部材を嵌めて前記横端部を固定する防音パネルの固定方法であって、
前記横端部は、支柱の受け溝を形成するフランジ内面と対向する面に、同フランジ内面との間に隙間を形成する高さ突出する突枠部が設けられ、同突枠部にボルト孔が複数設けられており、
前記固定部材は、前面部とボルト孔を有する側面部とを備える平面視略コ字形状で、前記突枠部の両端部から隙間を有するように挟み、前記固定部材及び突枠部のボルト孔へ通したボルトへナットを緩くねじ込んで前記突枠部に仮保持されており、
前記支柱の受け溝に前記固定部材が仮保持された前記突枠部が挿入されて、隣り合う支柱間に防音パネルが配置されることで、前記支柱のフランジ内面と対向する前記固定部材の前面部との間に隙間が形成されており、
前記固定部材のナットを緊結して、その側面部同士の間隔を狭め、フランジ内面と対向する前面部が外側へ膨らむ態様で支柱の受け溝のフランジ内面を押して防音パネルの横端部を固定していることを特徴とする、防音パネルの固定方法。
【請求項1】
一定の間隔をあけて支柱が立設され、隣り合う支柱の水平断面がコ字形状の受け溝に、防音パネルの水平横方向の横端部が挿入され、前記支柱の受け溝におけるフランジ内面と、これに対向する防音パネルの横端部との隙間に固定部材を嵌めて前記横端部を固定する防音パネルの固定構造であって、
前記横端部は、支柱の受け溝を形成するフランジ内面と対向する面に、同フランジ内面との間に隙間を形成する高さ突出する突枠部が設けられ、同突枠部にボルト孔が設けられていること、
前記突枠部には、前面部とボルト孔を有する側面部とを備える平面視略コ字形状の固定部材がボルトで取り付けられており、前記固定部材の前面部と前記支柱のフランジが対向していること、
前記固定部材は、その側面部同士の間隔を前記ボルトの締結により狭められ、フランジ内面と対向する前面部が外側へ膨らむ態様で支柱の受け溝のフランジ内面を押して防音パネルの横端部が固定されていることを特徴とする、防音パネルの固定構造
【請求項2】
横端部の突枠部に取り付けられる固定部材は、防音パネルの車両が走行する正面側に取り付けられていることを特徴とする、請求項1に記載した防音パネルの固定構造。
【請求項3】
固定部材は、そのボルト孔と突枠部のボルト孔とが一致され、前記一致したボルト孔へ突枠部及び固定部材を貫通するように、防音パネルの外側から水平横方向に向けてボルトが挿入され、同突枠部及び固定部材を貫通して突き出たボルトの先端にナットが締結されて突枠部へ取り付けられていることを特徴とする、請求項1又は2に記載した防音パネルの固定構造。
【請求項4】
固定部材の前面部は、アーチ形状とされその頂部をフランジ内面の内寄り位置となるように偏心させていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一に記載した防音パネルの固定構造。
【請求項5】
防音パネルの横端部にL字形状のストッパーが、その先端部がフランジの側周面と一定間隔を空けて同フランジの外面に位置するように取り付けられていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一に記載した防音パネルの固定構造。
【請求項6】
一定の間隔をあけて支柱が立設され、隣り合う支柱の水平断面がコ字形状の受け溝に、防音パネルの水平横方向の横端部が挿入され、前記支柱の受け溝におけるフランジ内面と、これに対向する防音パネルの横端部との隙間に固定部材を嵌めて前記横端部を固定する防音パネルの固定方法であって、
前記横端部は、支柱の受け溝を形成するフランジ内面と対向する面に、同フランジ内面との間に隙間を形成する高さ突出する突枠部が設けられ、同突枠部にボルト孔が複数設けられており、
前記固定部材は、前面部とボルト孔を有する側面部とを備える平面視略コ字形状で、前記突枠部の両端部から隙間を有するように挟み、前記固定部材及び突枠部のボルト孔へ通したボルトへナットを緩くねじ込んで前記突枠部に仮保持されており、
前記支柱の受け溝に前記固定部材が仮保持された前記突枠部が挿入されて、隣り合う支柱間に防音パネルが配置されることで、前記支柱のフランジ内面と対向する前記固定部材の前面部との間に隙間が形成されており、
前記固定部材のナットを緊結して、その側面部同士の間隔を狭め、フランジ内面と対向する前面部が外側へ膨らむ態様で支柱の受け溝のフランジ内面を押して防音パネルの横端部を固定していることを特徴とする、防音パネルの固定方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−207401(P2012−207401A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−72298(P2011−72298)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000006839)日鐵住金建材株式会社 (371)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000006839)日鐵住金建材株式会社 (371)
【Fターム(参考)】
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