除振システム
【課題】複数の除振台に設置された機器類の相対位置を設定範囲内に維持する。
【解決手段】除振システム10は、除振台16、26を支持し床面34からの振動の伝達を抑制する除振手段18、28と、除振手段18と並列に配置され、除振台16の振動を検出して除振台16を拘束し、除振台16の支持剛性を高くする可変剛性手段20と、除振台16、26に設けられ、隣り合う除振台16、26の相対変位量を検出する相対変位検出手段29と、相対変位検出手段29で検出された相対変位量に基づいて、除振手段18及び可変剛性手段20を制御して、隣り合う除振台16、26との相対変位量を許容範囲内に抑える制御手段40とを有している。
【解決手段】除振システム10は、除振台16、26を支持し床面34からの振動の伝達を抑制する除振手段18、28と、除振手段18と並列に配置され、除振台16の振動を検出して除振台16を拘束し、除振台16の支持剛性を高くする可変剛性手段20と、除振台16、26に設けられ、隣り合う除振台16、26の相対変位量を検出する相対変位検出手段29と、相対変位検出手段29で検出された相対変位量に基づいて、除振手段18及び可変剛性手段20を制御して、隣り合う除振台16、26との相対変位量を許容範囲内に抑える制御手段40とを有している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除振台を制御する除振システムに関する。
【背景技術】
【0002】
超LSIや液晶ディスプレイなどの精密機器の製造装置では、嫌振機器類(以下機器類と記す。)が載せられる載置台(除振台)に、周辺機器類の稼働に伴う床振動等が伝わらないように、除振台を空気バネ等の除振手段で柔らかく支持して床振動の伝播を抑制している。
【0003】
しかし、除振台に設置される機器類を大型化したり、機器類の数を増やしたりすれば、除振台が大きくなると共に重くなる。この結果、除振台の振動を抑制するための除振手段の大型化と共に剛性が必要となり、応答速度の低下や柔軟性の欠如等を招く。
この課題を解決するため、例えば、ワークの受け渡しを実行する機器類を、2つの除振台にそれぞれ搭載させる方法が提案されている(特許文献1)。
ここに、特許文献1の方法は、相対変位検出装置と位置制御装置がそれぞれ設けられた2つの除振台に、ワークの受け渡しを実行する機器類をそれぞれ設置し、2つの除振台の相対位置を設定範囲内に維持することで、除振手段の大型化を回避している。
【0004】
しかし、特許文献1の方法は、除振台が空気バネ等の除振手段で柔らかく支持されているため、機器類の稼動に伴い発生する除振台の荷重変動による変位を抑制することができない。この結果、2つの除振台に設置された機器類の相対位置を設定範囲内に維持することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−3473972号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記事実に鑑み、複数の除振台に設置された機器類の相対位置を設定範囲内に維持することができる除振システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明に係る除振システムは、除振台を支持し、床面からの振動の伝達を抑制する除振手段と、前記除振手段と並列に配置され、前記除振台の振動を検出して前記除振台を拘束し、前記除振台の支持剛性を高くする可変剛性手段と、前記除振台に設けられ、隣り合う除振台との相対変位量を検出する相対変位検出手段と、前記相対変位検出手段で検出された前記相対変位量に基づいて、前記除振手段及び前記可変剛性手段を制御して、隣り合う除振台との相対変位量を許容範囲内に抑える制御手段と、を有することを特徴としている。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、除振手段により除振台が支持され、床面からの振動の伝達が抑制される。また、除振手段と並列に配置された可変剛性手段により、除振台の振動を検出して除振台が拘束され、除振台の支持剛性が高くされる。更に、除振台に設けられた相対変位検出手段により、隣り合う除振台との相対変位量が検出される。また、制御手段により、相対変位検出手段で検出された相対変位量に基づいて、除振手段及び可変剛性手段が制御され、隣り合う除振台との相対変位量が許容範囲内に抑えられる。
【0009】
これにより、例えばワークの受け渡しを実行する隣の除振台との相対変位量を、許容範囲内に抑えることができる。また、可変剛性手段により除振台の支持剛性が可変とされているので、除振台に設置された機器類の移動時に、機器類の位置を一定に維持できる。
この結果、複数の除振台に設置された機器類の相対位置を、設定範囲内に維持することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の除振システムにおいて、前記相対変位検出手段は、直交する3軸(X軸、Y軸及びZ軸)方向の相対変位量を検出する検出部を有し、前記除振台には、前記除振台を移動させる移動手段が設けられ、前記制御手段は、前記相対変位検出手段の検出結果に基づいて前記除振手段、前記可変剛性手段及び前記移動手段を制御して、隣合う除振台との相対変位量を許容範囲内に抑えることを特徴としている。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、相対変位検出手段により直交する3軸(X軸、Y軸及びZ軸)方向の相対変位量が検出され、移動手段により、除振台が移動させられる。また、制御手段により、相対変位検出手段の検出結果に基づいて除振手段、可変剛性手段及び移動手段が制御され、隣り合う除振台との相対変位量が許容範囲内に抑えられる。
これにより、除振台を3次元に制御することが可能となり、複数の除振台に設置された機器類の相対位置を、設定範囲内に維持することができる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の除振システムにおいて、前記除振台が直状又は環状に複数個配置され、隣合う除振台との間において、前記相対変位量が一方向に順次伝達されることを特徴としている。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、直状又は環状に複数個配置された除振台において、相対変位量が、隣合う除振台との間で一方向に順次伝達されている。
これにより、直状又は環状に複数個配置された除振台に設置された機器類の相対位置を、設定範囲内に維持することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、上記構成としてあるので、複数の除振台に設置された機器類の相対位置を設定範囲内に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る除振システムの基本構成を示す概念図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る除振システムの除振台の基本構成を示す側面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る除振システムの剛性制御機構の基本構成を示す斜視図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る除振システムの基本構成を示す概念図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態に係る除振システムの基本構成を示す概念図である。
【図6】本発明の第4の実施の形態に係る除振システムの基本構成を示す概念図である。
【図7】本発明の第4の実施の形態に係る除振システムの除振テーブル基本構成を示す平面図である。
【図8】本発明の第5の実施の形態に係る除振システムの基本構成を示す概念図である。
【図9】本発明の第6の実施の形態に係る除振システムの基本構成を示す概念図である。
【図10】本発明の第7の実施の形態に係る除振システムの基本構成を示す概念図である。
【図11】本発明の第8の実施の形態に係る除振システムの概要を示す概念図である。
【図12】本発明の第8の実施の形態に係る除振システムの概要を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1の実施の形態)
図1に示すように、第1の実施の形態に係る除振システム10は、床面34上に隣り合って配置された第1除振装置12と第2除振装置22とを有している。
【0017】
第1除振装置12は、床面34上に設置された第1架台14と、第1架台14の上面に設けられた第1空気バネ18と、第1空気バネ18で支持された第1除振テーブル16と、第1空気バネ18と並列に配置された可変剛性機構20と、を備えている。第1除振テーブル16の上には、図示しない機器類が載置される可動ステージ36と、相対変位検出装置29を構成しガイド光源30からのガイド光(レーザー光)31をガイド光源30へ向けて反射させるターゲットポイント32が載置されている。
【0018】
第2除振装置22は、床面34上に設置された第2架台24と、第2架台24の上面に設けられた第2空気バネ28と、第2空気バネ28で支持された第2除振テーブル26と、を備えている。第2除振テーブル26の上には、相対変位検出装置29を構成し、ターゲットポイント32に向けてガイド光31を照射させる、ガイド光源30が載置されている。ガイド光源30には、ターゲットポイント32で反射されたガイド光33を受光する、図示しない受光部が設けられている。
【0019】
更に、除振システム10はコントローラ40を有している。コントローラ40には、第1架台14で検出された振動情報62、可動ステージ36の位置情報64、ガイド光源30で検出されたターゲットポイント32の位置情報66が入力される。
コントローラ40は、上述の入力情報等に基づいて、第1空気バネ18の弾性を制御する空気バネ制御信号68を、第1空気バネ18の圧力調整部(図示せず)へ出力する。また、可変剛性機構20の剛性を制御する可変剛性機構制御信号70を、可変剛性機構20の剛性調整部(図示せず)へ出力する。
【0020】
ここで、コントローラ40からの制御信号について説明する。
第1空気バネ18は、空気バネ制御信号68に基づいて、後述する、第2除振テーブル26との相対位置制御68A、アクティブ除振制御68B及びステージ偏荷重制御68Cを実行する。
即ち、第1空気バネ18は、ターゲットポイント32の位置情報66を基に、第2除振テーブル26との相対位置を設定範囲内に制御する相対位置制御68Aを実行し、第1除振テーブル16の位置を制御する。これにより、第1除振テーブル16と第2除振テーブル26の相対位置のズレを設定範囲内に収めることができる。
【0021】
また、第1空気バネ18は、アクティブ除振制御68Bに基づいて、第1除振テーブル16又は床面34に設置された、図示しない加速度センサからの情報を基に第1除振テーブル16を制御し、第1除振テーブル16へ伝播する振動を抑制する。
更に、第1空気バネ18は、ステージ偏荷重制御68Cを実行し、可動ステージ36の位置や動きに応じて、可動ステージ36の位置や傾きを補正し、第1除振テーブル16へ伝播する振動を抑制する。
【0022】
可変剛性機構20は、可変剛性機構制御信号70に基づいて、第2除振テーブル26との相対位置制御70A、可変剛性制御70B及びステージ反力制御70Cを実行する。
即ち、可変剛性機構20は、ガイド光源30で検出されたターゲットポイント32の位置情報66を基に、第1除振テーブル16との相対位置制御70Aを実行し、第1除振テーブル16と第2除振テーブル26の相対位置のズレを設定範囲内に収める。
また、可変剛性機構20は、可変剛性制御70Bを実行し、第1除振テーブル16の支持剛性を変更する。
更に、可変剛性機構20は、ステージ反力制御70Cを実行し、可動ステージ36の位置や動きに応じて、可動ステージ36の位置や傾きを補正し、第1除振テーブル16へ伝播する振動を抑制する。
【0023】
なお、第1空気バネ18を用いて制御するか、可変剛性機構20を用いて制御するかは、相対位置決めの必要応答速度、相対位置決めに必要なストローク、相対位置決め時に必要な除振性能、第1除振テーブル16上の可動ステージ36の動きの有無等の要件から、最適なものを適宜選択すればよい。
これらの制御において、第1空気バネ18と可変剛性機構20は並列に設置されているので、発生するストロークをダイレクトに第1除振テーブル16に伝えることができ、第1空気バネ18の柔らかさが位置決めを阻害する問題も生じない。
【0024】
次に、第1架台14について説明する。
図2の側面図を示すように、第1除振装置12の土台となる第1架台14は鋼材製とされ、4本の脚部44を有している。4本の脚部44の上面には、空気が充填された空気バネ18がそれぞれ設けられ、第1除振テーブル16を柔らかく支持している。これにより、床面34から脚部44を介して第1除振テーブル16へ伝達される振動が抑制される。
【0025】
脚部44の側壁には、隣り合う脚部44同士を連結する横部材46が固定されている。第1架台14は、平面視が矩形状に形成され、四隅に設けられた脚部44の上面で、平板状に形成された第1除振テーブル16を支持している。脚部44の上下端部にはフランジ44Fが取り付けられ、下部のフランジ44Fは、ボルト48で床面34に固定されている。第2架台24も、基本的に第1架台14と同じ構成であり、説明は省略する。
【0026】
第1空気バネ18は、4本の脚部44の上面に配置され、第1除振テーブル16を柔らかく支持している。第1空気バネ18は、図示しない空気圧調整手段を有し、空気圧調整手段で空気圧がそれぞれ独立して調整される。第1空気バネ18の空気圧を調整することにより、第1除振テーブル16の位置をZ軸方向(上下方向)に調整することができる。
【0027】
なお、第1空気ばね18の周囲には、第1除振装置12を支持する補助支柱42が着脱可能に設けられており、第1除振装置12が稼働していないときには、第1除振テーブル16を脚部44に固く支持する。第2空気バネ28も、基本的に第1架台14と同じ構成であり、説明は省略する。
【0028】
次に、可変剛性機構20について説明する。
図2、3に示すように、第1除振装置12には、第1除振テーブル16の支持剛性を高くする可変剛性機構20が配置されている。可変剛性機構20は空気ばね18と並列に配置され、第1除振テーブル16の振動を検出して第1除振テーブル16を後述する挟持手段54で拘束する。
可変剛性機構20は、横部材46の上面に設けられ、空気ばね18の間に2個ずつ(合計8個)設けられ、それぞれが独立して制御されている。なお、可変剛性機構20は、第2除振装置22には設けられていない。
【0029】
横部材46はH形鋼で形成され、横方向に配置された上下フランジ46Fの間の空間には、空気ばね18及び可変剛性機構20を制御するコントローラ40が設けられている。また、コントローラ40の隣には、電流を制御するレギュレータ38が設けられている。ここに、配線類の記載は省略している。なお、可変剛性機構20の数量は、第1除振テーブル16の仕様により決定されるものであり、本実施の形態の数量に限定されるものではない。
【0030】
図2、3に示すように可変剛性機構20は、振動を抑制する部材を両側から挟む挟持部54を有している。挟持部54は、上側板ばね50と下側板ばね52を備えている。上側板ばね50と下側板ばね52はいずれもアーチ状に形成され、アーチ部で上下から固定板56を挟持する構成である。固定板56は、第1除振テーブル16の裏面に固定された平板であり、第1除振テーブル16の振動が伝えられる。固定板56は鋼板製とされ、平板状の中央部56Cが水平に設けられ、両端部には第1除振テーブル16の方向に折り曲げられた鉛直部56Eを有している。
【0031】
第1除振テーブル16の下には、第1除振テーブル16と、第1除振テーブル16の底面に固定された固定板56とで矩形状に区画された空間が形成されている。この矩形状に区画された空間の内部には、鋼板製とされた上側板ばね取付台58の中央部58Cが挿入されている。中央部58Cは、中央部56Cと平板部が平行に設けられている。取付台58の両端部には、鉛直部(脚部)58Eが設けられている。脚部58Eは、第1架台14の上面に設けられた取付台17の方向に折り曲げられ、脚部58Eの下端は、取付台17の上面に固定されている。
【0032】
固定板56の中央部56Cの両側面には、挟持部54が設けられている。挟持部54は、アーチ部の先端を固定板56に向けて取り付けられ、固定板56を上下方向から挟んで挟持する。上側板ばね50及び下側板ばね52の表面には、アクチュエータ60が貼り付けられている。このとき、アーチ部の先端は、固定板56の表面と所定の隙間S(数十μm程度)を開けて取り付けられている。
【0033】
アクチュエータ60の内部構造の図示は省略するが、膜状とされた繊維状の圧電セラミックの両側面に、電極が印刷されたポリイミドフィルムをエポキシ樹脂で接合した膜型圧電素子が使用されている。この膜型圧電素子は、圧電セラミックの両側面に取り付けられたリード線を介してコントローラから電圧を印加すれば、印加された電圧値に従った歪が圧電セラミックに生じ、膜型圧電素子が変形する特性を有している。
更に、膜型圧電素子は、圧電セラミックが折り曲げられ歪が生じると、歪量に比例した電圧を発生する特性を有している。
【0034】
即ち、アクチュエータ60に、コントローラ40から所定の電圧を印加すれば、アクチュエータ60を固定板56Cの方向に伸張させ、固定板56Cを上下から挟持することができる。このとき、上側板ばね50及び下側板ばね52のそれぞれのアクチュエータ60に加える電圧を調整することで、それぞれの伸張量が調整され、固定板56Cの挟持位置を上下方向に変更することができる。
【0035】
ここに、アクチュエータ60は、上述した膜型圧電素子を積層して複数個使用した構成とされており、その中の一部を歪センサとして作用させ、残りをアクチュエータ60として作用させることができる。
即ち、アーチ状の上側板ばね50及び下側板ばね52の変形に伴い膜型圧電素子で発生した電圧を、コントローラ40に導けば、コントローラ40で電圧を計測することができる。この電圧を利用すれば、アクチュエータ60を制御することができる。
【0036】
次に、相対変位検出装置29について説明する。
図1に示すように、相対変位検出装置29は、ガイド光源30とターゲットポイント32とを有している。
ガイド光源30は、第2除振テーブル26の上に設けられ、ガイド光31を照射すると共に、反射されたガイド光33を受光する受光部を備えている。ターゲットポイント32は、第1除振テーブル16の上に設けられ、照射されたガイド光31をガイド光源30へ向けて反射させる。
【0037】
ガイド光源30には、受光したガイド光33の受光位置を検出する図示しない検出部が設けられている。検出部で検出されたガイド光33のデータからターゲットポイント32の位置情報が算出される。ターゲットポイント32の位置情報は、通信ケーブル66によりコントローラ40へ出力される。
【0038】
コントローラ40は、第1除振テーブル16と第2除振テーブル26が、相対的なズレがなく配置されている場合の基準位置のデータを有しており、第1除振テーブル16と第2除振テーブル26の間で相対的なズレが生じた場合に、基準位置からのずれ量(相対変位量)を算出する。
また、コントローラ40は、算出された相対変位量に基づいて、第1空気バネ18、及び可変剛性機構20に制御信号を出力し、第1除振テーブル16の位置を、相対変位量が許容範囲内となるよう制御する。
【0039】
具体的には、第1空気バネ18については、それぞれに充填する空気量を調節し、Z軸方向の位置を調整する。更に、第1除振テーブル16の弾性力、上下方向の位置、傾きを制御することができる。可変剛性機構20については、第1除振テーブル16の剛性を増大させたり、挟持部54の挟持位置をZ軸方向にずらす等により、第1除振テーブル16の上下方向(Z軸方向)の位置や傾きを制御する。
【0040】
次に、効果について説明する。
以上説明したように、本実施の形態によれば、第1除振テーブル16を調整して第2除振テーブル26との相対位置のずれを設定範囲に収めることができる。この結果、第1除振テーブル16及び第2除振テーブル26に設置された機器類の相対位置を、設定範囲内に維持することができる。
【0041】
更に、本実施の形態においては、空気ばね18で柔らかく支持されていた第1除振テーブル16を、挟持部54で固く支持することができる。これにより、第1除振テーブル16に載置された、作業機器の移動に伴い発生する第1除振テーブル16の振動を抑制することができる。また、作業機器類の移動の終了を検知して、挟持部54での挟持を解除させ、第1除振テーブル16を再び空気ばね18で柔らかく支持させることができる。
これにより、作業機器が第1除振テーブル16の上を移動しても、第1除振テーブル16に生じる振動を効果的に抑制することができる。
【0042】
(第2の実施の形態)
図4に示すように、第2の実施の形態に係る除振システム98は、床面34上に隣り合って配置された第1除振装置12と第2除振装置22とを有し、第1除振装置12と第2除振装置22の相対位置を検出する相対変位検出装置39を備えている。
第2の実施の形態に係る除振システム98は、第1の実施の形態に係る除振システム10と相対変位検出装置39の構成のみが相違している。以下、相対変位検出装置39を中心に説明する。
【0043】
相対変位検出装置39は、ガイド光源154とターゲットポイント35を有している。
ガイド光源154は、第2除振テーブル26の上に設けられガイド光31を照射する。ターゲットポイント35は、第1除振テーブル16の上に設けられ、ガイド光31を受光する。
ターゲットポイント35には、ガイド光31を受光する受光部が設けられ、受光部には、ガイド光31の受光位置を検出する図示しない検出部が設けられている。一方、ガイド光源154には、反射されたガイド光を受光する受光部は設けられていない。
検出部で検出されたガイド光31の受光位置データは、通信ケーブル65によりコントローラ43に出力される。
【0044】
コントローラ43は、第1の実施の形態と同様に、第1除振テーブル16と第2除振テーブル26が、相対的なズレがなく配置されている場合の基準位置のデータを有しており、第1除振テーブル16と第2除振テーブル26の間で相対的なズレが生じた場合に、基準位置からのずれ量(相対変位量)を算出する。
また、コントローラ43は、算出された相対変位量に基づいて、第1空気バネ18、及び可変剛性機構20に制御信号を出力し、第1除振テーブル16の位置を、相対変位量が許容範囲内となるよう制御する。
これにより、第1の実施の形態と同じ作用、効果を得ることができる。他の構成は第1の実施の形態と同じであり、説明は省略する。
【0045】
(第3の実施の形態)
図5に示すように、第3の実施の形態に係る除振システム72は、床面34上に隣り合って配置された第3除振装置13と第4除振装置23とを有している。
除振システム72は、第1の実施の形態で説明した除振システム10と、相対位置制御の方法が相違する。具体的には、第1の実施の形態の除振システム10では、第1除振装置12で相対位置制御を行っていたが、第2の実施の形態に係る除振システム72では、第4除振装置23で相対位置制御を実行する。
第1の実施の形態との相違点を中心に以下説明する。
【0046】
第3除振装置13は、床面34上に設置された第1架台14と、第1架台14で第1空気バネ18を介して支持された第1除振テーブル16を備えている。また、第1空気バネ18と並列に可変剛性機構20が配置されている。第1除振テーブル16には、可動ステージ76A、76Bが載置されている。また、第1除振テーブル16の上には、相対変位検出装置29を構成するターゲットポイント32が載置されている。
【0047】
第4除振装置23は、床面34上に設置された第2架台24と、第2架台24の上面に設けられた第2空気バネ28と、第2空気バネ28で支持された第2除振テーブル26と、を備えている。また、第2除振テーブル26には、相対変位検出装置29を構成するガイド光源30が載置されている。ガイド光源30には、ターゲットポイント32で反射されたガイド光33を受光する図示しない受光部を備えている。
【0048】
更に、除振システム72は、第3除振装置13と第4除振装置23を制御するコントローラ41を有している。
コントローラ41には、第1架台14の振動情報62、可動ステージ76A、76Bの位置情報64、及びガイド光源30で検出されたターゲットポイント32の位置情報66等が入力される。
【0049】
コントローラ41は、入力された情報に基づいて、第3除振装置13へ空気バネ制御信号69、及び可変剛性機構制御信号71を出力する。更に、第4除振装置23へ空気バネ制御信号78を出力する。
これにより、第1空気バネ18は、空気バネ制御信号69に基づいて、上述したアクティブ除振制御69A及びステージ偏荷重制御69Bを実行する。又、可変剛性機構20は、可変剛性機構制御信号71に基づいて、可変剛性制御71A及びステージ反力制御71Bを実行する。更に、第2空気バネ28は、空気バネ制御信号78に基づいて、アクティブ除振制御78A及び第1除振テーブル16との相対位置制御78Bを実行する。
【0050】
次に、本実施の形態の展開例について説明する。
図5に示すように、第4除振装置23の第2除振テーブル26の上には、ガイド光源30に加え、EUV光(極端紫外光)の光源部74が設けられている。光源部74は、EUV光源74Kと、EUV光源74から照射されたEUV光75を反射させ、EUV光の方向を変更する複数のミラー74Mを有している。
【0051】
第3除振装置13の第1除振テーブル16の上には、EUV光の処理部76が設けられている。処理部76は、入射されたEUV光75を反射させるミラー74Mを有している。EUV光75は、処理部76へ向けて照射され、処理部76に入射されたEUV光75は、複数のミラー76Mで反射された後、可動ステージ76A及び76Bに入射され、可動ステージ76A及び76Bで活用される。
【0052】
このとき、第1除振テーブル16と第2除振テーブル26は、相対変位検出装置29、及び空気ばね28で相対位置が設定範囲内に制御されている。この結果、第2除振テーブル26上のミラー74Mと、第1除振テーブル16上のミラー76Mの間で、EUV光75の受け渡しをし、EUV光75を活用することが出来る。
【0053】
このように、EUV光源74Kと可動ステージ76A、76Bを分離させ、異なる除振テーブル上に載置しても、第1除振テーブル16と、第2除振テーブル26の相対位置を設定範囲内に保つことにより、可動ステージ上でワークの授受を行なわせることができる。これにより、第1の実施の形態と同じ作用、効果を得ることができる。他の構成は第1の実施の形態と同じであり、説明は省略する。
なお、相対変位検出装置29に替えて、第2の実施の形態で説明した相対変位検出装置39を使用してもよい。
【0054】
(第4の実施の形態)
図6に示すように、第4の実施の形態に係る除振システム80は、第5除振装置124と第2除振装置22を有している。
第5除振装置124は、第1の実施の形態で説明した、第1除振装置12の第1除振テーブル16を、3軸(X軸、Y軸及びZ軸)方向へ制御可能な第5除振テーブル88に置き換えた構成である。相違点を中心に以下説明する。
図7は、第5除振テーブル88を2軸(X軸及びY軸)方向へ制御する制御機構を記載している。Z軸方向への移動は、第1の実施の形態で説明した、第1空気ばね18及び可変剛性機構20で行う。
【0055】
第5除振テーブル88の側面には、第5除振テーブル88のX−Y軸方向の振動を抑制するための、X軸方向制御装置82とY軸方向制御装置84が設けられている。X軸方向制御装置82とY軸方向制御装置84は、ケーブル120、122でコントローラ86と接続されている。
【0056】
X軸方向制御装置82は、例えばX軸方向に移動可能な作動軸83Aを備えたソレノイド83を有し、作動軸83AはX軸方向制御装置82の側壁から突出され、先端は第5除振テーブル88の側壁と接続されている。
これにより、作動軸83Aの位置を移動させることで、第5除振テーブル88をX軸方向に移動させることができる。作動軸83Aの移動タイミングや移動量は、コントローラ86で制御される。
【0057】
また、Y軸方向制御装置84は、例えば、Y軸方向に移動可能な作動軸85Aを備えたソレノイド85を有し、作動軸85AはY軸方向制御装置84の側壁から突出され、先端は第5除振テーブル88の側壁と接続されている。
これにより、作動軸85Aの位置を移動させることで、第5除振テーブル88をY軸方向に移動させることができる。作動軸85Aの移動タイミングや移動量は、コントローラ86で制御される。
【0058】
これにより、X軸、Y軸及びZ軸の3次元の方向に、第5除振テーブル88をコントローラ86で制御することができる。この結果、第5除振テーブル88と第2除振テーブル26との間の相対位置を設定範囲内に維持することができる。
これにより、第1の実施の形態と同じ作用、効果を得ることができる。他の構成は第1の実施の形態と同じであり、説明は省略する。
なお、相対変位検出装置29に替えて、第2の実施の形態で説明した相対変位検出装置39を使用してもよい。
【0059】
(第5の実施の形態)
図8に示すように、第5の実施の形態に係る除振システム90は、第3の実施の形態で説明した第4除振台23に替えて、第6除振台126を採用した構成である。
第6除振台126には、第2空気バネ28と並列に可変剛性機構21が設けられている。可変剛性機構21は、第1の実施の形態の形態で説明した可変剛性機構20と同じ構成である。また、除振システム90には、第3除振台13と第6除振台126を制御するコントローラ96が設けられている。
他の構成は、第3の実施の形態と同じであり、相違点を中心に説明する。
【0060】
コントローラ96には、第3架台13の振動情報62、可動ステージ76A、76Bの位置情報64、ガイド光源30で受光されたターゲットポイント32の位置情報66が入力される。
コントローラ96は、入力された上記情報に基づいて、第3除振装置13へ空気バネ制御信号69、可変剛性機構制御信号71を出力する。更に、第6除振装置126へ空気バネ制御信号78、及び可変剛性機構制御信号79を出力する。
【0061】
これにより、第1空気バネ18は、空気バネ制御信号69に基づいて、既述したアクティブ除振制御69A及びステージ偏荷重制御69Bを実行する。可変剛性機構20は、可変剛性機構制御信号71に基づいて、可変剛性制御71A、ステージ反力制御71Bを実行する。
また、第2空気バネ28は、空気バネ制御信号78に基づいて、アクティブ除振制御78A及び第1除振テーブル16との相対位置制御78Bを実行する。可変剛性機構21は、可変剛性機構制御信号79に基づいて、可変剛性制御79A及び第1除振テーブル16との相対位置制御79Bを実行する。
【0062】
これにより、第6除振装置126の第2除振テーブル26を調整して、第1除振テーブル16との相対位置のずれを設定範囲に収めることができる。この結果、第1除振テーブル16及び第2除振テーブル26に設置された機器類の相対位置を、設定範囲内に維持することができる。他の構成は第3の実施の形態と同じであり、説明は省略する。
なお、相対変位検出装置29に替えて、第2の実施の形態で説明した相対変位検出装置39を使用してもよい。
【0063】
(第6の実施の形態)
図9に示すように、第6の実施の形態に係る除振システム100は、第1の実施の形態で説明した相対変位検出装置29に替えて、相対変位検出装置116を採用した構成である。具体的には、第1除振装置12と第2除振装置22に載置された、ガイド光原30とターゲットポイント32の位置を、互いに入れ替えた構成である。
【0064】
即ち、相対変位検出装置116は、ガイド光源30とゲットポイント32を有し、ガイド光源30は第1除振装置12に設けられ、ゲットポイント32は第2除振装置22に設けられている。ガイド光源30には、反射されたガイド光33の受光部が備えられている。
これにより、第1除振装置12のガイド光源30から照射ガイド光31は、第2除振装置22のターゲットポイント104で反射され、反射されたガイド光33は、ガイド光源30の受光部で受光される。
【0065】
ガイド光源30の受光部には、ガイド光33の受光位置を検出し、ガイド光33の受光位置から、第1除振テーブル16と第2除振テーブル26との相対位置のずれを検出する図示しない検出部が設けられている。
コントローラ118は、検出部の検出結果に基づいて、第1除振テーブル16と第2除振テーブル26との相対的なズレが所定範囲内になるよう、第1除振装置12の可変剛性機構20及び第1空気バネ18を制御する。
【0066】
即ち、相対位置検出装置116により、第1除振テーブル16と第2除振テーブル26の相対位置のずれ量が検出され、第1除振テーブル16の位置を可変剛性機構20及び第1空気バネ18で制御することで、第1除振テーブル16と第2除振テーブル26の相対位置のずれ量が、設定範囲内に調整される。
この結果、第1除振装置12に設置された図示しない機器類の位置と、第2除振装置22に設置された図示しない機器類の位置との相対位置を、設定範囲内に維持することができる。他の構成は、第1の実施の形態と同じであり説明は省略する。
【0067】
(第7の実施の形態)
図10に示すように、第7の実施の形態に係る除振システム110は、第7除振装置112を2台(第7除振装置112A、112B)、隣接して配置させた構成である。
第7除振装置112Aと112Bは、互いに同じ構成である。また、第7除振装置112Aと112Bは、いずれも第1の実施の形態で説明した第1除振装置12と基本的な部分において同じ構成である。第1除振装置12との相違点を中心に説明する。
【0068】
以下、第7除振装置112A、112Bを区別するため、第7除振装置112Aを構成する構成部材には添え字Aを、第7除振装置112Bを構成する構成部材には添え字Bを付して説明する。
第7除振装置112A、112Bは、床面34上に設置された架台14A、14Bと、架台14A、14Bの上面に設けられた空気バネ18A、18Bと、空気バネ18A、18Bで支持された除振テーブル16A、16Bをそれぞれ備えている。また、空気バネ18A、18Bと並列に可変剛性機構20A、20Bがそれぞれ配置されている。
【0069】
第7除振装置112Bの除振テーブル16Bの上には、設置台128Bが設けられている。更に、除振テーブル16Bの上には、相対変位検出装置29を構成するガイド光源30Bが載置されている。
ここに、相対変位検出装置29は、第7除振装置112Bに載置されたガイド光源30Bと、第7除振装置112Aに載置され、ガイド光源30Bから照射されたガイド光31を反射させるターゲットポイント32Aを有している。
【0070】
また、除振テーブル16Bには、図示しない隣の除振装置からのガイド光31を反射させるターゲットポイント32Bが載置されている。
更に、第7除振装置112Bには、コントローラ138Bが備えられている。コントローラ138Bには、架台14Bで検出された振動情報62、及びガイド光源30Bで検出されたターゲットポイント32Bの位置情報66が入力される。
なお、第7除振装置112Aも、基本的に同じ構成であり説明は省略する。
【0071】
コントローラ138Bは、入力された情報に基づいて、空気バネ18の弾性を制御する空気バネ制御信号136を空気バネ18Bへ出力する。また、可変剛性機構の剛性を制御する可変剛性機構制御信号134を可変剛性機構20Bへ出力する。
これにより、空気バネ18Bは、空気バネ制御信号136に基づいて、既述したアクティブ除振制御136Bを実行する。また、可変剛性機構20Bは、可変剛性機構制御信号134に基づいて、除振テーブル16Bとの相対位置制御134Bを実行する。
【0072】
本構成とすることにより、第7除振装置112Aの除振テーブル16Aの位置を基準として、第7除振装置112Bの除振テーブル16Bの位置を調整し、除振テーブル16Aと除振テーブル16Bの相対位置を、設定範囲内に制御することができる。
更に、ターゲットポイント32Bにより、図示しないガイド光源に向けてガイド光31を反射させ、除振テーブル16Bの位置情報を発信することができる。
【0073】
この結果、ガイド光31、33を用いて検出した除振テーブル16Aの位置情報に基づいて、除振テーブル16Bの相対位置が設定範囲内となるよう調整されるため、例えば、自由電子を加速する大規模なスケールの加速管の一部である加速管130A、130Bを、第7除振装置112A、及び112Bの設置台128A、128Bに分担させて載置した場合、加速管130A、130Bの相対位置を、設定範囲内に維持することができる。
他の部分の構成は、第1の実施の形態と同じであり説明は省略する。
【0074】
(第8の実施の形態)
図11(A)に示すように、第8の実施の形態に係る除振システム150は、第7の実施の形態で説明した第7除振装置112を複数個(112A〜112D)、所定の間隔を設けて直線状に複数個並べた構成である。このとき、図示しない相対変位検出装置29のガイド光源30A〜30Cから照射されるガイド光の反射光33B〜33Dは、第7除振装置112B〜112Dの順に検出され、図示しない除振テーブル16A〜16Dの相対位置が順次調節される。
【0075】
即ち、先ず、第7除振装置112Aの除振テーブル16Aの位置を基準に、第7除振装置112Bの除振テーブル16Bの位置を、反射光33Bに基づいて、上述した要領で相対位置制御させる。これにより、除振テーブル16Aと除振テーブル16Bの相対位置が、設定範囲内に調整される。
次に、第7除振装置112Bの除振テーブル16Bの位置を基準に、第7除振装置112Cの除振テーブル16Cの位置を、反射光33Cに基づいて相対位置制御させる。これにより、除振テーブル16Bと除振テーブル16Cの相対位置が、設定範囲内に調整される。
【0076】
この手順を順次繰り返すことで、第7除振装置112A〜112Dの除振テーブル16A〜16Dを、設定範囲内に調整することができる。この結果、除振テーブル16A〜16Dの上面をつないだ平面も、設定範囲内の平面状態を保つことができる。即ち、除振テーブル16A〜16Dの上面をつないだ平面を、直線状に長い仮想剛体140と看做すことができる。
【0077】
次に、図11(B)に示す除振システム151は、第8の実施の形態に係る除振システム150の他の展開例を示している。
即ち、第8の実施の形態における第7除振装置112A〜112Dを、平面視が矩形状に並べた構成である。相対変位検出装置29のガイド光源30A〜30Dで照射されるガイド光の反射光33A〜33Dは、第7除振装置112A〜112Dの順に、図示しない除振テーブル16A〜16Dの相対位置を制御しながら、順次伝達される。
【0078】
即ち、先ず、第3除振装置112Aの除振テーブル16Aの位置を基準に、第3除振装置112Bの除振テーブル16Bの位置を、反射光33Bに基づいて相対位置制御させ、設定範囲内に調整する。次に、第3除振装置112Bの除振テーブル16Bの位置を基準に、第3除振装置112Cの除振テーブル16Cの位置を、反射光33Cに基づいて相対位置制御させ、設定範囲内に調整する。
この手順を順次繰り返すことで、第7除振装置112A〜112Dの除振テーブル16A〜16Dを、設定範囲内に順次調整することができる。即ち、除振テーブル16A〜16Dの上面をつないだ平面は、相対的に設定範囲内に保たれ、矩形状の仮想剛体142と看做すことができる。
【0079】
更に、図11(C)に示す除振システム152は、第8の実施の形態に係る除振システム150の他の展開例を示している。
即ち、第7の実施の形態における第7除振装置112A〜112Lを平面視が円形に配置した構成である。このとき、相対変位検出装置29のガイド光源30A〜30Lから照射されたガイド光の反射光33A〜33Lは、第7除振台112A〜112Lの順に、順次除振テーブルの相対位置を制御しながら伝達される。
【0080】
即ち、先ず、第7除振装置112Aの除振テーブル16Aの位置を基準に、第7除振装置112Bの除振テーブル16Bの位置を、反射光33Bに基づいて相対位置制御させ、設定範囲内に制御する。
次に、第7除振台112Bの除振テーブル16Bの位置を基準に、第7除振台112Cの除振テーブル16Cの位置を、反射光33Cに基づいて相対位置制御させ、設定範囲内に調整する。
この手順を順次繰り返すことで、第7除振台112A〜112Lの除振テーブル16A〜16Lを、設定範囲内に調整することができる。即ち、除振テーブル16A〜16Lの上面をつないだ平面は、相対的に設定範囲内に保たれ、円形の仮想剛体144と看做すことができる。
【0081】
図12に示す除振システム153は、図11(C)に示した除振システム152の応用例である。即ち、第7除振装置112A〜112Rを平面視が円形に並べ、第7除振装置112A〜112Rの設置台128A〜128Rの上に、円管状に連続する大規模なスケールの加速器148を、連続したままの状態で設置する構成である。
この構成とすることにより、上述したように、除振テーブル16A〜16Rを相対位置制御することで、除振テーブル16A〜16Rの上面をつないだ平面を、相対的に設定範囲内の平面に保つことができ、円形の仮想剛体146と看做すことができる。
【0082】
この円形の仮想剛体146に、円管状の加速器148を支持させる。これにより、例えば、この状態で床面の一部に振動が発生した場合、第7除振装置112A〜112Rは、図示しないガイド光源30A〜30Rで検出されたガイド光の反射光33A〜33Rの位置情報に基づいて、順に相対位置制御を行い、設置台128A〜128Rの相対位置を順次設定範囲内に調整する。
【0083】
この結果、円管状の加速器148の相対変位が、設定範囲内に維持される。即ち、大規模なスケールの加速器148を、大規模な剛構造の基礎体で支持しなくても、加速器148を設置する設置台128A〜128Rの相対位置を設定範囲内に維持することにより、変形を設定範囲内に維持した状態で支持することができる。
【符号の説明】
【0084】
10 除振システム
12 第1除振装置
16 第1除振テーブル(除振台)
18 第1空気バネ(除振手段、移動手段)
20 可変剛性機構(可変剛性手段、移動手段)
29 相対変位検出装置(相対変位検出手段)
30 ガイド光源(相対変位検出装置、相対変位検出手段)
32 ターゲットポイント(相対変位検出装置、相対変位検出手段)
40 コントローラ(制御手段)
82 X軸方向移動装置(移動手段)
84 Y軸方向移動装置(移動手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、除振台を制御する除振システムに関する。
【背景技術】
【0002】
超LSIや液晶ディスプレイなどの精密機器の製造装置では、嫌振機器類(以下機器類と記す。)が載せられる載置台(除振台)に、周辺機器類の稼働に伴う床振動等が伝わらないように、除振台を空気バネ等の除振手段で柔らかく支持して床振動の伝播を抑制している。
【0003】
しかし、除振台に設置される機器類を大型化したり、機器類の数を増やしたりすれば、除振台が大きくなると共に重くなる。この結果、除振台の振動を抑制するための除振手段の大型化と共に剛性が必要となり、応答速度の低下や柔軟性の欠如等を招く。
この課題を解決するため、例えば、ワークの受け渡しを実行する機器類を、2つの除振台にそれぞれ搭載させる方法が提案されている(特許文献1)。
ここに、特許文献1の方法は、相対変位検出装置と位置制御装置がそれぞれ設けられた2つの除振台に、ワークの受け渡しを実行する機器類をそれぞれ設置し、2つの除振台の相対位置を設定範囲内に維持することで、除振手段の大型化を回避している。
【0004】
しかし、特許文献1の方法は、除振台が空気バネ等の除振手段で柔らかく支持されているため、機器類の稼動に伴い発生する除振台の荷重変動による変位を抑制することができない。この結果、2つの除振台に設置された機器類の相対位置を設定範囲内に維持することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−3473972号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記事実に鑑み、複数の除振台に設置された機器類の相対位置を設定範囲内に維持することができる除振システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明に係る除振システムは、除振台を支持し、床面からの振動の伝達を抑制する除振手段と、前記除振手段と並列に配置され、前記除振台の振動を検出して前記除振台を拘束し、前記除振台の支持剛性を高くする可変剛性手段と、前記除振台に設けられ、隣り合う除振台との相対変位量を検出する相対変位検出手段と、前記相対変位検出手段で検出された前記相対変位量に基づいて、前記除振手段及び前記可変剛性手段を制御して、隣り合う除振台との相対変位量を許容範囲内に抑える制御手段と、を有することを特徴としている。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、除振手段により除振台が支持され、床面からの振動の伝達が抑制される。また、除振手段と並列に配置された可変剛性手段により、除振台の振動を検出して除振台が拘束され、除振台の支持剛性が高くされる。更に、除振台に設けられた相対変位検出手段により、隣り合う除振台との相対変位量が検出される。また、制御手段により、相対変位検出手段で検出された相対変位量に基づいて、除振手段及び可変剛性手段が制御され、隣り合う除振台との相対変位量が許容範囲内に抑えられる。
【0009】
これにより、例えばワークの受け渡しを実行する隣の除振台との相対変位量を、許容範囲内に抑えることができる。また、可変剛性手段により除振台の支持剛性が可変とされているので、除振台に設置された機器類の移動時に、機器類の位置を一定に維持できる。
この結果、複数の除振台に設置された機器類の相対位置を、設定範囲内に維持することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の除振システムにおいて、前記相対変位検出手段は、直交する3軸(X軸、Y軸及びZ軸)方向の相対変位量を検出する検出部を有し、前記除振台には、前記除振台を移動させる移動手段が設けられ、前記制御手段は、前記相対変位検出手段の検出結果に基づいて前記除振手段、前記可変剛性手段及び前記移動手段を制御して、隣合う除振台との相対変位量を許容範囲内に抑えることを特徴としている。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、相対変位検出手段により直交する3軸(X軸、Y軸及びZ軸)方向の相対変位量が検出され、移動手段により、除振台が移動させられる。また、制御手段により、相対変位検出手段の検出結果に基づいて除振手段、可変剛性手段及び移動手段が制御され、隣り合う除振台との相対変位量が許容範囲内に抑えられる。
これにより、除振台を3次元に制御することが可能となり、複数の除振台に設置された機器類の相対位置を、設定範囲内に維持することができる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の除振システムにおいて、前記除振台が直状又は環状に複数個配置され、隣合う除振台との間において、前記相対変位量が一方向に順次伝達されることを特徴としている。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、直状又は環状に複数個配置された除振台において、相対変位量が、隣合う除振台との間で一方向に順次伝達されている。
これにより、直状又は環状に複数個配置された除振台に設置された機器類の相対位置を、設定範囲内に維持することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、上記構成としてあるので、複数の除振台に設置された機器類の相対位置を設定範囲内に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る除振システムの基本構成を示す概念図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る除振システムの除振台の基本構成を示す側面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る除振システムの剛性制御機構の基本構成を示す斜視図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る除振システムの基本構成を示す概念図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態に係る除振システムの基本構成を示す概念図である。
【図6】本発明の第4の実施の形態に係る除振システムの基本構成を示す概念図である。
【図7】本発明の第4の実施の形態に係る除振システムの除振テーブル基本構成を示す平面図である。
【図8】本発明の第5の実施の形態に係る除振システムの基本構成を示す概念図である。
【図9】本発明の第6の実施の形態に係る除振システムの基本構成を示す概念図である。
【図10】本発明の第7の実施の形態に係る除振システムの基本構成を示す概念図である。
【図11】本発明の第8の実施の形態に係る除振システムの概要を示す概念図である。
【図12】本発明の第8の実施の形態に係る除振システムの概要を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1の実施の形態)
図1に示すように、第1の実施の形態に係る除振システム10は、床面34上に隣り合って配置された第1除振装置12と第2除振装置22とを有している。
【0017】
第1除振装置12は、床面34上に設置された第1架台14と、第1架台14の上面に設けられた第1空気バネ18と、第1空気バネ18で支持された第1除振テーブル16と、第1空気バネ18と並列に配置された可変剛性機構20と、を備えている。第1除振テーブル16の上には、図示しない機器類が載置される可動ステージ36と、相対変位検出装置29を構成しガイド光源30からのガイド光(レーザー光)31をガイド光源30へ向けて反射させるターゲットポイント32が載置されている。
【0018】
第2除振装置22は、床面34上に設置された第2架台24と、第2架台24の上面に設けられた第2空気バネ28と、第2空気バネ28で支持された第2除振テーブル26と、を備えている。第2除振テーブル26の上には、相対変位検出装置29を構成し、ターゲットポイント32に向けてガイド光31を照射させる、ガイド光源30が載置されている。ガイド光源30には、ターゲットポイント32で反射されたガイド光33を受光する、図示しない受光部が設けられている。
【0019】
更に、除振システム10はコントローラ40を有している。コントローラ40には、第1架台14で検出された振動情報62、可動ステージ36の位置情報64、ガイド光源30で検出されたターゲットポイント32の位置情報66が入力される。
コントローラ40は、上述の入力情報等に基づいて、第1空気バネ18の弾性を制御する空気バネ制御信号68を、第1空気バネ18の圧力調整部(図示せず)へ出力する。また、可変剛性機構20の剛性を制御する可変剛性機構制御信号70を、可変剛性機構20の剛性調整部(図示せず)へ出力する。
【0020】
ここで、コントローラ40からの制御信号について説明する。
第1空気バネ18は、空気バネ制御信号68に基づいて、後述する、第2除振テーブル26との相対位置制御68A、アクティブ除振制御68B及びステージ偏荷重制御68Cを実行する。
即ち、第1空気バネ18は、ターゲットポイント32の位置情報66を基に、第2除振テーブル26との相対位置を設定範囲内に制御する相対位置制御68Aを実行し、第1除振テーブル16の位置を制御する。これにより、第1除振テーブル16と第2除振テーブル26の相対位置のズレを設定範囲内に収めることができる。
【0021】
また、第1空気バネ18は、アクティブ除振制御68Bに基づいて、第1除振テーブル16又は床面34に設置された、図示しない加速度センサからの情報を基に第1除振テーブル16を制御し、第1除振テーブル16へ伝播する振動を抑制する。
更に、第1空気バネ18は、ステージ偏荷重制御68Cを実行し、可動ステージ36の位置や動きに応じて、可動ステージ36の位置や傾きを補正し、第1除振テーブル16へ伝播する振動を抑制する。
【0022】
可変剛性機構20は、可変剛性機構制御信号70に基づいて、第2除振テーブル26との相対位置制御70A、可変剛性制御70B及びステージ反力制御70Cを実行する。
即ち、可変剛性機構20は、ガイド光源30で検出されたターゲットポイント32の位置情報66を基に、第1除振テーブル16との相対位置制御70Aを実行し、第1除振テーブル16と第2除振テーブル26の相対位置のズレを設定範囲内に収める。
また、可変剛性機構20は、可変剛性制御70Bを実行し、第1除振テーブル16の支持剛性を変更する。
更に、可変剛性機構20は、ステージ反力制御70Cを実行し、可動ステージ36の位置や動きに応じて、可動ステージ36の位置や傾きを補正し、第1除振テーブル16へ伝播する振動を抑制する。
【0023】
なお、第1空気バネ18を用いて制御するか、可変剛性機構20を用いて制御するかは、相対位置決めの必要応答速度、相対位置決めに必要なストローク、相対位置決め時に必要な除振性能、第1除振テーブル16上の可動ステージ36の動きの有無等の要件から、最適なものを適宜選択すればよい。
これらの制御において、第1空気バネ18と可変剛性機構20は並列に設置されているので、発生するストロークをダイレクトに第1除振テーブル16に伝えることができ、第1空気バネ18の柔らかさが位置決めを阻害する問題も生じない。
【0024】
次に、第1架台14について説明する。
図2の側面図を示すように、第1除振装置12の土台となる第1架台14は鋼材製とされ、4本の脚部44を有している。4本の脚部44の上面には、空気が充填された空気バネ18がそれぞれ設けられ、第1除振テーブル16を柔らかく支持している。これにより、床面34から脚部44を介して第1除振テーブル16へ伝達される振動が抑制される。
【0025】
脚部44の側壁には、隣り合う脚部44同士を連結する横部材46が固定されている。第1架台14は、平面視が矩形状に形成され、四隅に設けられた脚部44の上面で、平板状に形成された第1除振テーブル16を支持している。脚部44の上下端部にはフランジ44Fが取り付けられ、下部のフランジ44Fは、ボルト48で床面34に固定されている。第2架台24も、基本的に第1架台14と同じ構成であり、説明は省略する。
【0026】
第1空気バネ18は、4本の脚部44の上面に配置され、第1除振テーブル16を柔らかく支持している。第1空気バネ18は、図示しない空気圧調整手段を有し、空気圧調整手段で空気圧がそれぞれ独立して調整される。第1空気バネ18の空気圧を調整することにより、第1除振テーブル16の位置をZ軸方向(上下方向)に調整することができる。
【0027】
なお、第1空気ばね18の周囲には、第1除振装置12を支持する補助支柱42が着脱可能に設けられており、第1除振装置12が稼働していないときには、第1除振テーブル16を脚部44に固く支持する。第2空気バネ28も、基本的に第1架台14と同じ構成であり、説明は省略する。
【0028】
次に、可変剛性機構20について説明する。
図2、3に示すように、第1除振装置12には、第1除振テーブル16の支持剛性を高くする可変剛性機構20が配置されている。可変剛性機構20は空気ばね18と並列に配置され、第1除振テーブル16の振動を検出して第1除振テーブル16を後述する挟持手段54で拘束する。
可変剛性機構20は、横部材46の上面に設けられ、空気ばね18の間に2個ずつ(合計8個)設けられ、それぞれが独立して制御されている。なお、可変剛性機構20は、第2除振装置22には設けられていない。
【0029】
横部材46はH形鋼で形成され、横方向に配置された上下フランジ46Fの間の空間には、空気ばね18及び可変剛性機構20を制御するコントローラ40が設けられている。また、コントローラ40の隣には、電流を制御するレギュレータ38が設けられている。ここに、配線類の記載は省略している。なお、可変剛性機構20の数量は、第1除振テーブル16の仕様により決定されるものであり、本実施の形態の数量に限定されるものではない。
【0030】
図2、3に示すように可変剛性機構20は、振動を抑制する部材を両側から挟む挟持部54を有している。挟持部54は、上側板ばね50と下側板ばね52を備えている。上側板ばね50と下側板ばね52はいずれもアーチ状に形成され、アーチ部で上下から固定板56を挟持する構成である。固定板56は、第1除振テーブル16の裏面に固定された平板であり、第1除振テーブル16の振動が伝えられる。固定板56は鋼板製とされ、平板状の中央部56Cが水平に設けられ、両端部には第1除振テーブル16の方向に折り曲げられた鉛直部56Eを有している。
【0031】
第1除振テーブル16の下には、第1除振テーブル16と、第1除振テーブル16の底面に固定された固定板56とで矩形状に区画された空間が形成されている。この矩形状に区画された空間の内部には、鋼板製とされた上側板ばね取付台58の中央部58Cが挿入されている。中央部58Cは、中央部56Cと平板部が平行に設けられている。取付台58の両端部には、鉛直部(脚部)58Eが設けられている。脚部58Eは、第1架台14の上面に設けられた取付台17の方向に折り曲げられ、脚部58Eの下端は、取付台17の上面に固定されている。
【0032】
固定板56の中央部56Cの両側面には、挟持部54が設けられている。挟持部54は、アーチ部の先端を固定板56に向けて取り付けられ、固定板56を上下方向から挟んで挟持する。上側板ばね50及び下側板ばね52の表面には、アクチュエータ60が貼り付けられている。このとき、アーチ部の先端は、固定板56の表面と所定の隙間S(数十μm程度)を開けて取り付けられている。
【0033】
アクチュエータ60の内部構造の図示は省略するが、膜状とされた繊維状の圧電セラミックの両側面に、電極が印刷されたポリイミドフィルムをエポキシ樹脂で接合した膜型圧電素子が使用されている。この膜型圧電素子は、圧電セラミックの両側面に取り付けられたリード線を介してコントローラから電圧を印加すれば、印加された電圧値に従った歪が圧電セラミックに生じ、膜型圧電素子が変形する特性を有している。
更に、膜型圧電素子は、圧電セラミックが折り曲げられ歪が生じると、歪量に比例した電圧を発生する特性を有している。
【0034】
即ち、アクチュエータ60に、コントローラ40から所定の電圧を印加すれば、アクチュエータ60を固定板56Cの方向に伸張させ、固定板56Cを上下から挟持することができる。このとき、上側板ばね50及び下側板ばね52のそれぞれのアクチュエータ60に加える電圧を調整することで、それぞれの伸張量が調整され、固定板56Cの挟持位置を上下方向に変更することができる。
【0035】
ここに、アクチュエータ60は、上述した膜型圧電素子を積層して複数個使用した構成とされており、その中の一部を歪センサとして作用させ、残りをアクチュエータ60として作用させることができる。
即ち、アーチ状の上側板ばね50及び下側板ばね52の変形に伴い膜型圧電素子で発生した電圧を、コントローラ40に導けば、コントローラ40で電圧を計測することができる。この電圧を利用すれば、アクチュエータ60を制御することができる。
【0036】
次に、相対変位検出装置29について説明する。
図1に示すように、相対変位検出装置29は、ガイド光源30とターゲットポイント32とを有している。
ガイド光源30は、第2除振テーブル26の上に設けられ、ガイド光31を照射すると共に、反射されたガイド光33を受光する受光部を備えている。ターゲットポイント32は、第1除振テーブル16の上に設けられ、照射されたガイド光31をガイド光源30へ向けて反射させる。
【0037】
ガイド光源30には、受光したガイド光33の受光位置を検出する図示しない検出部が設けられている。検出部で検出されたガイド光33のデータからターゲットポイント32の位置情報が算出される。ターゲットポイント32の位置情報は、通信ケーブル66によりコントローラ40へ出力される。
【0038】
コントローラ40は、第1除振テーブル16と第2除振テーブル26が、相対的なズレがなく配置されている場合の基準位置のデータを有しており、第1除振テーブル16と第2除振テーブル26の間で相対的なズレが生じた場合に、基準位置からのずれ量(相対変位量)を算出する。
また、コントローラ40は、算出された相対変位量に基づいて、第1空気バネ18、及び可変剛性機構20に制御信号を出力し、第1除振テーブル16の位置を、相対変位量が許容範囲内となるよう制御する。
【0039】
具体的には、第1空気バネ18については、それぞれに充填する空気量を調節し、Z軸方向の位置を調整する。更に、第1除振テーブル16の弾性力、上下方向の位置、傾きを制御することができる。可変剛性機構20については、第1除振テーブル16の剛性を増大させたり、挟持部54の挟持位置をZ軸方向にずらす等により、第1除振テーブル16の上下方向(Z軸方向)の位置や傾きを制御する。
【0040】
次に、効果について説明する。
以上説明したように、本実施の形態によれば、第1除振テーブル16を調整して第2除振テーブル26との相対位置のずれを設定範囲に収めることができる。この結果、第1除振テーブル16及び第2除振テーブル26に設置された機器類の相対位置を、設定範囲内に維持することができる。
【0041】
更に、本実施の形態においては、空気ばね18で柔らかく支持されていた第1除振テーブル16を、挟持部54で固く支持することができる。これにより、第1除振テーブル16に載置された、作業機器の移動に伴い発生する第1除振テーブル16の振動を抑制することができる。また、作業機器類の移動の終了を検知して、挟持部54での挟持を解除させ、第1除振テーブル16を再び空気ばね18で柔らかく支持させることができる。
これにより、作業機器が第1除振テーブル16の上を移動しても、第1除振テーブル16に生じる振動を効果的に抑制することができる。
【0042】
(第2の実施の形態)
図4に示すように、第2の実施の形態に係る除振システム98は、床面34上に隣り合って配置された第1除振装置12と第2除振装置22とを有し、第1除振装置12と第2除振装置22の相対位置を検出する相対変位検出装置39を備えている。
第2の実施の形態に係る除振システム98は、第1の実施の形態に係る除振システム10と相対変位検出装置39の構成のみが相違している。以下、相対変位検出装置39を中心に説明する。
【0043】
相対変位検出装置39は、ガイド光源154とターゲットポイント35を有している。
ガイド光源154は、第2除振テーブル26の上に設けられガイド光31を照射する。ターゲットポイント35は、第1除振テーブル16の上に設けられ、ガイド光31を受光する。
ターゲットポイント35には、ガイド光31を受光する受光部が設けられ、受光部には、ガイド光31の受光位置を検出する図示しない検出部が設けられている。一方、ガイド光源154には、反射されたガイド光を受光する受光部は設けられていない。
検出部で検出されたガイド光31の受光位置データは、通信ケーブル65によりコントローラ43に出力される。
【0044】
コントローラ43は、第1の実施の形態と同様に、第1除振テーブル16と第2除振テーブル26が、相対的なズレがなく配置されている場合の基準位置のデータを有しており、第1除振テーブル16と第2除振テーブル26の間で相対的なズレが生じた場合に、基準位置からのずれ量(相対変位量)を算出する。
また、コントローラ43は、算出された相対変位量に基づいて、第1空気バネ18、及び可変剛性機構20に制御信号を出力し、第1除振テーブル16の位置を、相対変位量が許容範囲内となるよう制御する。
これにより、第1の実施の形態と同じ作用、効果を得ることができる。他の構成は第1の実施の形態と同じであり、説明は省略する。
【0045】
(第3の実施の形態)
図5に示すように、第3の実施の形態に係る除振システム72は、床面34上に隣り合って配置された第3除振装置13と第4除振装置23とを有している。
除振システム72は、第1の実施の形態で説明した除振システム10と、相対位置制御の方法が相違する。具体的には、第1の実施の形態の除振システム10では、第1除振装置12で相対位置制御を行っていたが、第2の実施の形態に係る除振システム72では、第4除振装置23で相対位置制御を実行する。
第1の実施の形態との相違点を中心に以下説明する。
【0046】
第3除振装置13は、床面34上に設置された第1架台14と、第1架台14で第1空気バネ18を介して支持された第1除振テーブル16を備えている。また、第1空気バネ18と並列に可変剛性機構20が配置されている。第1除振テーブル16には、可動ステージ76A、76Bが載置されている。また、第1除振テーブル16の上には、相対変位検出装置29を構成するターゲットポイント32が載置されている。
【0047】
第4除振装置23は、床面34上に設置された第2架台24と、第2架台24の上面に設けられた第2空気バネ28と、第2空気バネ28で支持された第2除振テーブル26と、を備えている。また、第2除振テーブル26には、相対変位検出装置29を構成するガイド光源30が載置されている。ガイド光源30には、ターゲットポイント32で反射されたガイド光33を受光する図示しない受光部を備えている。
【0048】
更に、除振システム72は、第3除振装置13と第4除振装置23を制御するコントローラ41を有している。
コントローラ41には、第1架台14の振動情報62、可動ステージ76A、76Bの位置情報64、及びガイド光源30で検出されたターゲットポイント32の位置情報66等が入力される。
【0049】
コントローラ41は、入力された情報に基づいて、第3除振装置13へ空気バネ制御信号69、及び可変剛性機構制御信号71を出力する。更に、第4除振装置23へ空気バネ制御信号78を出力する。
これにより、第1空気バネ18は、空気バネ制御信号69に基づいて、上述したアクティブ除振制御69A及びステージ偏荷重制御69Bを実行する。又、可変剛性機構20は、可変剛性機構制御信号71に基づいて、可変剛性制御71A及びステージ反力制御71Bを実行する。更に、第2空気バネ28は、空気バネ制御信号78に基づいて、アクティブ除振制御78A及び第1除振テーブル16との相対位置制御78Bを実行する。
【0050】
次に、本実施の形態の展開例について説明する。
図5に示すように、第4除振装置23の第2除振テーブル26の上には、ガイド光源30に加え、EUV光(極端紫外光)の光源部74が設けられている。光源部74は、EUV光源74Kと、EUV光源74から照射されたEUV光75を反射させ、EUV光の方向を変更する複数のミラー74Mを有している。
【0051】
第3除振装置13の第1除振テーブル16の上には、EUV光の処理部76が設けられている。処理部76は、入射されたEUV光75を反射させるミラー74Mを有している。EUV光75は、処理部76へ向けて照射され、処理部76に入射されたEUV光75は、複数のミラー76Mで反射された後、可動ステージ76A及び76Bに入射され、可動ステージ76A及び76Bで活用される。
【0052】
このとき、第1除振テーブル16と第2除振テーブル26は、相対変位検出装置29、及び空気ばね28で相対位置が設定範囲内に制御されている。この結果、第2除振テーブル26上のミラー74Mと、第1除振テーブル16上のミラー76Mの間で、EUV光75の受け渡しをし、EUV光75を活用することが出来る。
【0053】
このように、EUV光源74Kと可動ステージ76A、76Bを分離させ、異なる除振テーブル上に載置しても、第1除振テーブル16と、第2除振テーブル26の相対位置を設定範囲内に保つことにより、可動ステージ上でワークの授受を行なわせることができる。これにより、第1の実施の形態と同じ作用、効果を得ることができる。他の構成は第1の実施の形態と同じであり、説明は省略する。
なお、相対変位検出装置29に替えて、第2の実施の形態で説明した相対変位検出装置39を使用してもよい。
【0054】
(第4の実施の形態)
図6に示すように、第4の実施の形態に係る除振システム80は、第5除振装置124と第2除振装置22を有している。
第5除振装置124は、第1の実施の形態で説明した、第1除振装置12の第1除振テーブル16を、3軸(X軸、Y軸及びZ軸)方向へ制御可能な第5除振テーブル88に置き換えた構成である。相違点を中心に以下説明する。
図7は、第5除振テーブル88を2軸(X軸及びY軸)方向へ制御する制御機構を記載している。Z軸方向への移動は、第1の実施の形態で説明した、第1空気ばね18及び可変剛性機構20で行う。
【0055】
第5除振テーブル88の側面には、第5除振テーブル88のX−Y軸方向の振動を抑制するための、X軸方向制御装置82とY軸方向制御装置84が設けられている。X軸方向制御装置82とY軸方向制御装置84は、ケーブル120、122でコントローラ86と接続されている。
【0056】
X軸方向制御装置82は、例えばX軸方向に移動可能な作動軸83Aを備えたソレノイド83を有し、作動軸83AはX軸方向制御装置82の側壁から突出され、先端は第5除振テーブル88の側壁と接続されている。
これにより、作動軸83Aの位置を移動させることで、第5除振テーブル88をX軸方向に移動させることができる。作動軸83Aの移動タイミングや移動量は、コントローラ86で制御される。
【0057】
また、Y軸方向制御装置84は、例えば、Y軸方向に移動可能な作動軸85Aを備えたソレノイド85を有し、作動軸85AはY軸方向制御装置84の側壁から突出され、先端は第5除振テーブル88の側壁と接続されている。
これにより、作動軸85Aの位置を移動させることで、第5除振テーブル88をY軸方向に移動させることができる。作動軸85Aの移動タイミングや移動量は、コントローラ86で制御される。
【0058】
これにより、X軸、Y軸及びZ軸の3次元の方向に、第5除振テーブル88をコントローラ86で制御することができる。この結果、第5除振テーブル88と第2除振テーブル26との間の相対位置を設定範囲内に維持することができる。
これにより、第1の実施の形態と同じ作用、効果を得ることができる。他の構成は第1の実施の形態と同じであり、説明は省略する。
なお、相対変位検出装置29に替えて、第2の実施の形態で説明した相対変位検出装置39を使用してもよい。
【0059】
(第5の実施の形態)
図8に示すように、第5の実施の形態に係る除振システム90は、第3の実施の形態で説明した第4除振台23に替えて、第6除振台126を採用した構成である。
第6除振台126には、第2空気バネ28と並列に可変剛性機構21が設けられている。可変剛性機構21は、第1の実施の形態の形態で説明した可変剛性機構20と同じ構成である。また、除振システム90には、第3除振台13と第6除振台126を制御するコントローラ96が設けられている。
他の構成は、第3の実施の形態と同じであり、相違点を中心に説明する。
【0060】
コントローラ96には、第3架台13の振動情報62、可動ステージ76A、76Bの位置情報64、ガイド光源30で受光されたターゲットポイント32の位置情報66が入力される。
コントローラ96は、入力された上記情報に基づいて、第3除振装置13へ空気バネ制御信号69、可変剛性機構制御信号71を出力する。更に、第6除振装置126へ空気バネ制御信号78、及び可変剛性機構制御信号79を出力する。
【0061】
これにより、第1空気バネ18は、空気バネ制御信号69に基づいて、既述したアクティブ除振制御69A及びステージ偏荷重制御69Bを実行する。可変剛性機構20は、可変剛性機構制御信号71に基づいて、可変剛性制御71A、ステージ反力制御71Bを実行する。
また、第2空気バネ28は、空気バネ制御信号78に基づいて、アクティブ除振制御78A及び第1除振テーブル16との相対位置制御78Bを実行する。可変剛性機構21は、可変剛性機構制御信号79に基づいて、可変剛性制御79A及び第1除振テーブル16との相対位置制御79Bを実行する。
【0062】
これにより、第6除振装置126の第2除振テーブル26を調整して、第1除振テーブル16との相対位置のずれを設定範囲に収めることができる。この結果、第1除振テーブル16及び第2除振テーブル26に設置された機器類の相対位置を、設定範囲内に維持することができる。他の構成は第3の実施の形態と同じであり、説明は省略する。
なお、相対変位検出装置29に替えて、第2の実施の形態で説明した相対変位検出装置39を使用してもよい。
【0063】
(第6の実施の形態)
図9に示すように、第6の実施の形態に係る除振システム100は、第1の実施の形態で説明した相対変位検出装置29に替えて、相対変位検出装置116を採用した構成である。具体的には、第1除振装置12と第2除振装置22に載置された、ガイド光原30とターゲットポイント32の位置を、互いに入れ替えた構成である。
【0064】
即ち、相対変位検出装置116は、ガイド光源30とゲットポイント32を有し、ガイド光源30は第1除振装置12に設けられ、ゲットポイント32は第2除振装置22に設けられている。ガイド光源30には、反射されたガイド光33の受光部が備えられている。
これにより、第1除振装置12のガイド光源30から照射ガイド光31は、第2除振装置22のターゲットポイント104で反射され、反射されたガイド光33は、ガイド光源30の受光部で受光される。
【0065】
ガイド光源30の受光部には、ガイド光33の受光位置を検出し、ガイド光33の受光位置から、第1除振テーブル16と第2除振テーブル26との相対位置のずれを検出する図示しない検出部が設けられている。
コントローラ118は、検出部の検出結果に基づいて、第1除振テーブル16と第2除振テーブル26との相対的なズレが所定範囲内になるよう、第1除振装置12の可変剛性機構20及び第1空気バネ18を制御する。
【0066】
即ち、相対位置検出装置116により、第1除振テーブル16と第2除振テーブル26の相対位置のずれ量が検出され、第1除振テーブル16の位置を可変剛性機構20及び第1空気バネ18で制御することで、第1除振テーブル16と第2除振テーブル26の相対位置のずれ量が、設定範囲内に調整される。
この結果、第1除振装置12に設置された図示しない機器類の位置と、第2除振装置22に設置された図示しない機器類の位置との相対位置を、設定範囲内に維持することができる。他の構成は、第1の実施の形態と同じであり説明は省略する。
【0067】
(第7の実施の形態)
図10に示すように、第7の実施の形態に係る除振システム110は、第7除振装置112を2台(第7除振装置112A、112B)、隣接して配置させた構成である。
第7除振装置112Aと112Bは、互いに同じ構成である。また、第7除振装置112Aと112Bは、いずれも第1の実施の形態で説明した第1除振装置12と基本的な部分において同じ構成である。第1除振装置12との相違点を中心に説明する。
【0068】
以下、第7除振装置112A、112Bを区別するため、第7除振装置112Aを構成する構成部材には添え字Aを、第7除振装置112Bを構成する構成部材には添え字Bを付して説明する。
第7除振装置112A、112Bは、床面34上に設置された架台14A、14Bと、架台14A、14Bの上面に設けられた空気バネ18A、18Bと、空気バネ18A、18Bで支持された除振テーブル16A、16Bをそれぞれ備えている。また、空気バネ18A、18Bと並列に可変剛性機構20A、20Bがそれぞれ配置されている。
【0069】
第7除振装置112Bの除振テーブル16Bの上には、設置台128Bが設けられている。更に、除振テーブル16Bの上には、相対変位検出装置29を構成するガイド光源30Bが載置されている。
ここに、相対変位検出装置29は、第7除振装置112Bに載置されたガイド光源30Bと、第7除振装置112Aに載置され、ガイド光源30Bから照射されたガイド光31を反射させるターゲットポイント32Aを有している。
【0070】
また、除振テーブル16Bには、図示しない隣の除振装置からのガイド光31を反射させるターゲットポイント32Bが載置されている。
更に、第7除振装置112Bには、コントローラ138Bが備えられている。コントローラ138Bには、架台14Bで検出された振動情報62、及びガイド光源30Bで検出されたターゲットポイント32Bの位置情報66が入力される。
なお、第7除振装置112Aも、基本的に同じ構成であり説明は省略する。
【0071】
コントローラ138Bは、入力された情報に基づいて、空気バネ18の弾性を制御する空気バネ制御信号136を空気バネ18Bへ出力する。また、可変剛性機構の剛性を制御する可変剛性機構制御信号134を可変剛性機構20Bへ出力する。
これにより、空気バネ18Bは、空気バネ制御信号136に基づいて、既述したアクティブ除振制御136Bを実行する。また、可変剛性機構20Bは、可変剛性機構制御信号134に基づいて、除振テーブル16Bとの相対位置制御134Bを実行する。
【0072】
本構成とすることにより、第7除振装置112Aの除振テーブル16Aの位置を基準として、第7除振装置112Bの除振テーブル16Bの位置を調整し、除振テーブル16Aと除振テーブル16Bの相対位置を、設定範囲内に制御することができる。
更に、ターゲットポイント32Bにより、図示しないガイド光源に向けてガイド光31を反射させ、除振テーブル16Bの位置情報を発信することができる。
【0073】
この結果、ガイド光31、33を用いて検出した除振テーブル16Aの位置情報に基づいて、除振テーブル16Bの相対位置が設定範囲内となるよう調整されるため、例えば、自由電子を加速する大規模なスケールの加速管の一部である加速管130A、130Bを、第7除振装置112A、及び112Bの設置台128A、128Bに分担させて載置した場合、加速管130A、130Bの相対位置を、設定範囲内に維持することができる。
他の部分の構成は、第1の実施の形態と同じであり説明は省略する。
【0074】
(第8の実施の形態)
図11(A)に示すように、第8の実施の形態に係る除振システム150は、第7の実施の形態で説明した第7除振装置112を複数個(112A〜112D)、所定の間隔を設けて直線状に複数個並べた構成である。このとき、図示しない相対変位検出装置29のガイド光源30A〜30Cから照射されるガイド光の反射光33B〜33Dは、第7除振装置112B〜112Dの順に検出され、図示しない除振テーブル16A〜16Dの相対位置が順次調節される。
【0075】
即ち、先ず、第7除振装置112Aの除振テーブル16Aの位置を基準に、第7除振装置112Bの除振テーブル16Bの位置を、反射光33Bに基づいて、上述した要領で相対位置制御させる。これにより、除振テーブル16Aと除振テーブル16Bの相対位置が、設定範囲内に調整される。
次に、第7除振装置112Bの除振テーブル16Bの位置を基準に、第7除振装置112Cの除振テーブル16Cの位置を、反射光33Cに基づいて相対位置制御させる。これにより、除振テーブル16Bと除振テーブル16Cの相対位置が、設定範囲内に調整される。
【0076】
この手順を順次繰り返すことで、第7除振装置112A〜112Dの除振テーブル16A〜16Dを、設定範囲内に調整することができる。この結果、除振テーブル16A〜16Dの上面をつないだ平面も、設定範囲内の平面状態を保つことができる。即ち、除振テーブル16A〜16Dの上面をつないだ平面を、直線状に長い仮想剛体140と看做すことができる。
【0077】
次に、図11(B)に示す除振システム151は、第8の実施の形態に係る除振システム150の他の展開例を示している。
即ち、第8の実施の形態における第7除振装置112A〜112Dを、平面視が矩形状に並べた構成である。相対変位検出装置29のガイド光源30A〜30Dで照射されるガイド光の反射光33A〜33Dは、第7除振装置112A〜112Dの順に、図示しない除振テーブル16A〜16Dの相対位置を制御しながら、順次伝達される。
【0078】
即ち、先ず、第3除振装置112Aの除振テーブル16Aの位置を基準に、第3除振装置112Bの除振テーブル16Bの位置を、反射光33Bに基づいて相対位置制御させ、設定範囲内に調整する。次に、第3除振装置112Bの除振テーブル16Bの位置を基準に、第3除振装置112Cの除振テーブル16Cの位置を、反射光33Cに基づいて相対位置制御させ、設定範囲内に調整する。
この手順を順次繰り返すことで、第7除振装置112A〜112Dの除振テーブル16A〜16Dを、設定範囲内に順次調整することができる。即ち、除振テーブル16A〜16Dの上面をつないだ平面は、相対的に設定範囲内に保たれ、矩形状の仮想剛体142と看做すことができる。
【0079】
更に、図11(C)に示す除振システム152は、第8の実施の形態に係る除振システム150の他の展開例を示している。
即ち、第7の実施の形態における第7除振装置112A〜112Lを平面視が円形に配置した構成である。このとき、相対変位検出装置29のガイド光源30A〜30Lから照射されたガイド光の反射光33A〜33Lは、第7除振台112A〜112Lの順に、順次除振テーブルの相対位置を制御しながら伝達される。
【0080】
即ち、先ず、第7除振装置112Aの除振テーブル16Aの位置を基準に、第7除振装置112Bの除振テーブル16Bの位置を、反射光33Bに基づいて相対位置制御させ、設定範囲内に制御する。
次に、第7除振台112Bの除振テーブル16Bの位置を基準に、第7除振台112Cの除振テーブル16Cの位置を、反射光33Cに基づいて相対位置制御させ、設定範囲内に調整する。
この手順を順次繰り返すことで、第7除振台112A〜112Lの除振テーブル16A〜16Lを、設定範囲内に調整することができる。即ち、除振テーブル16A〜16Lの上面をつないだ平面は、相対的に設定範囲内に保たれ、円形の仮想剛体144と看做すことができる。
【0081】
図12に示す除振システム153は、図11(C)に示した除振システム152の応用例である。即ち、第7除振装置112A〜112Rを平面視が円形に並べ、第7除振装置112A〜112Rの設置台128A〜128Rの上に、円管状に連続する大規模なスケールの加速器148を、連続したままの状態で設置する構成である。
この構成とすることにより、上述したように、除振テーブル16A〜16Rを相対位置制御することで、除振テーブル16A〜16Rの上面をつないだ平面を、相対的に設定範囲内の平面に保つことができ、円形の仮想剛体146と看做すことができる。
【0082】
この円形の仮想剛体146に、円管状の加速器148を支持させる。これにより、例えば、この状態で床面の一部に振動が発生した場合、第7除振装置112A〜112Rは、図示しないガイド光源30A〜30Rで検出されたガイド光の反射光33A〜33Rの位置情報に基づいて、順に相対位置制御を行い、設置台128A〜128Rの相対位置を順次設定範囲内に調整する。
【0083】
この結果、円管状の加速器148の相対変位が、設定範囲内に維持される。即ち、大規模なスケールの加速器148を、大規模な剛構造の基礎体で支持しなくても、加速器148を設置する設置台128A〜128Rの相対位置を設定範囲内に維持することにより、変形を設定範囲内に維持した状態で支持することができる。
【符号の説明】
【0084】
10 除振システム
12 第1除振装置
16 第1除振テーブル(除振台)
18 第1空気バネ(除振手段、移動手段)
20 可変剛性機構(可変剛性手段、移動手段)
29 相対変位検出装置(相対変位検出手段)
30 ガイド光源(相対変位検出装置、相対変位検出手段)
32 ターゲットポイント(相対変位検出装置、相対変位検出手段)
40 コントローラ(制御手段)
82 X軸方向移動装置(移動手段)
84 Y軸方向移動装置(移動手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
除振台を支持し、床面からの振動の伝達を抑制する除振手段と、
前記除振手段と並列に配置され、前記除振台の振動を検出して前記除振台を拘束し、前記除振台の支持剛性を高くする可変剛性手段と、
前記除振台に設けられ、隣合う除振台との相対変位量を検出する相対変位検出手段と、
前記相対変位検出手段で検出された前記相対変位量に基づいて、前記除振手段及び前記可変剛性手段を制御して、隣合う除振台との相対変位量を許容範囲内に抑える制御手段と、
を有する除振システム。
【請求項2】
前記相対変位検出手段は、直交する3軸(X軸、Y軸及びZ軸)方向の相対変位量を検出する検出部を有し、前記除振台には、前記除振台を移動させる移動手段が設けられ、前記制御手段は、前記相対変位検出手段の検出結果に基づいて前記除振手段、前記可変剛性手段及び前記移動手段を制御して、隣合う除振台との相対変位量を許容範囲内に抑える請求項1に記載の除振システム。
【請求項3】
前記除振台が直状又は環状に複数個配置され、隣合う除振台との間において、前記相対変位量が一方向に順次検出される請求項1又は2に記載の除振システム。
【請求項1】
除振台を支持し、床面からの振動の伝達を抑制する除振手段と、
前記除振手段と並列に配置され、前記除振台の振動を検出して前記除振台を拘束し、前記除振台の支持剛性を高くする可変剛性手段と、
前記除振台に設けられ、隣合う除振台との相対変位量を検出する相対変位検出手段と、
前記相対変位検出手段で検出された前記相対変位量に基づいて、前記除振手段及び前記可変剛性手段を制御して、隣合う除振台との相対変位量を許容範囲内に抑える制御手段と、
を有する除振システム。
【請求項2】
前記相対変位検出手段は、直交する3軸(X軸、Y軸及びZ軸)方向の相対変位量を検出する検出部を有し、前記除振台には、前記除振台を移動させる移動手段が設けられ、前記制御手段は、前記相対変位検出手段の検出結果に基づいて前記除振手段、前記可変剛性手段及び前記移動手段を制御して、隣合う除振台との相対変位量を許容範囲内に抑える請求項1に記載の除振システム。
【請求項3】
前記除振台が直状又は環状に複数個配置され、隣合う除振台との間において、前記相対変位量が一方向に順次検出される請求項1又は2に記載の除振システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−36511(P2013−36511A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−172004(P2011−172004)
【出願日】平成23年8月5日(2011.8.5)
【出願人】(000003621)株式会社竹中工務店 (1,669)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月5日(2011.8.5)
【出願人】(000003621)株式会社竹中工務店 (1,669)
【Fターム(参考)】
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