説明

除草性カルボン酸およびあるトリアルキルアミンまたはヘテロアリールアミンから誘導されるイオン液体

カルボン酸除草剤を特定のトリアルキルアミンまたはヘテロアリールアミンと組み合わせることによって形成されるイオン液体は、酸当量基準で、商業的に用いられているカルボン酸除草剤塩と少なくとも同等の除草活性を有するが、より揮発性が低い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2007年2月26日に出願された米国特許仮出願第60/903,418号の利益を主張する。本発明は、カルボン酸除草剤をトリアルキルアミンまたはヘテロアリールアミンと組み合わせることによって形成されるイオン化合物(液体)に関する。
【背景技術】
【0002】
イオン化合物は、時として液体形態で存在し得る。イオン液体は、大きな有機カチオンと種々のアニオンとの組み合わせによって得られる低融点塩である;例えば、Chemical & Engineering News,84,15−21(2006)およびJ.Phys.Org.Chem.,18,275−297(2004)を参照のこと。イオン液体は、典型的には100℃未満の融点を有する。有機アニオンによるイオン液体は、Polish J.Chem.,77,975−984(2003)にも記載されている。
【0003】
2,4−ジクロロフェノキシ酢酸(2,4−D)などの酸除草剤は、望ましくない植生を防除するのに長く使用されてきた。2,4−Dは、通常、水溶性塩または乳化エステルへの変換によって液体製剤に変換される。エステル製剤は、有害な植生の防除において酸当量基準で塩よりも効果的であるが、それは揮発性を有するので、隣接する望ましい植生に移動し、許容できない損害を敏感な植物にもたらすという望ましくない特徴を有することが見出されている。
【0004】
揮発性の問題を解決するための試みは、2,4−Dのジメチルアミン塩などの水溶性塩の調製を含めて、十分に満足できるものではなかった。というのは、この除草剤は、アミンが揮発すると、それ自体、ある好ましくない条件下で、敏感な作物に損害を引き起こすのに十分な揮発性を有するその最初の酸形態に戻るからである。
【0005】
暖かい夏季の間に適用される2,4−Dエステルまたは2,4−Dジメチルアミン製剤は、噴霧面からの除草剤の蒸発による蒸気偏流、ならびにこれによる感受性の高い作物、例えばトマト、ワタ、ダイズ、ヒマワリおよびブドウへの損害をもたらす可能性がある。このことは、除草剤の適用後、数時間以内に起こる場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、商業的に用いられているカルボン酸除草剤塩と少なくとも同等に活性であるが、それを使用してもすぐ近くの敏感な作物に損害を与えないような、より揮発性が低い除草性カルボン酸誘導体を得ることが望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
カルボン酸除草剤をあるトリアルキルアミンまたはヘテロアリールアミンと組み合わせることによって形成されるイオン液体が、酸当量基準で、商業的に用いられているカルボン酸除草剤塩に少なくとも匹敵する除草活性を有するが、揮発性が低いことがここで見出された。本発明は、除草性カルボン酸、および1−((C〜C20)アルキルまたはアリールアルキル)イミダゾール、N−((C〜C20)アルキルまたはアリールアルキル)−N,N−ジメチルアミン、N−((C〜C20)アルキルまたはアリールアルキル)ピロリジンまたはトリ(C〜C20)アルキルアミン(ここで、3つのアルキル基は同じまたは異なっていてよく、但し、炭素原子の総数が9を超えることを条件とする)のいずれかとの反応生成物を含む除草性イオン液体に関する。本発明は、除草有効量の当該イオン液体を農業上許容可能な補助剤または担体と混合して含む除草性組成物を含む。本発明は、本発明のイオン液体およびその組成物を使用して、除草量のイオン液体を植生または植生の場所および植生の出現前の土壌に適用することによって望ましくない植生を枯死させ、または防除する方法も含む。
【発明を実施するための形態】
【0008】
別途具体的に限定しない限り、用語「アルキル」、ならびに用語「アリールアルキル」などの誘導体は、本明細書で使用するとき、その範囲内に、直鎖、分枝鎖、および環状部分を含む。別途具体的に記載しない限り、各々は、非置換であってよく、または、限定されないがハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシもしくはアルキルチオから選択される1または複数の置換基で置換されていてよく、但し、置換基は立体的に適合可能であり、また、化学結合および歪みエネルギーの規則を満足することを条件とする。用語「アリール」は、フェニル、インダニルまたはナフチル基をいう。アリール基は、非置換であってよく、またはハロゲン、ヒドロキシ、C〜CアルキルもしくはC〜Cアルコキシから選択される1または複数の置換基で置換されていてよく、但し、置換基は立体的に適合可能であり、また、化学結合および歪みエネルギーの規則を満足することを条件とする。用語「アリールアルキル」は、アリール基で置換されたC〜Cアルキル基をいう。用語「ヘテロアリール」は、イミダゾール、ピラゾール、ピロール、トリアゾール、ピリジン、ピリミジンまたはトリアジン基をいう。ヘテロアリール基は、非置換であってよく、またはハロゲン、ヒドロキシ、C〜C20アルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルアミノ、ジ(C〜Cアルキル)アミノもしくはアリールアルキルから選択される1または複数の置換基で置換されていてよく、但し、置換基は立体的に適合可能であり、また、化学結合および歪みエネルギーの規則を満足することを条件とする。
【0009】
除草性カルボン酸は、カルボン酸基を含むこれらの除草剤を意味し、例として、安息香酸除草剤、例えば、クロラムベン、ジカンバ、2,3,6−TBAおよびトリカンバ;有機リン除草剤、例えば、グルホシネートおよびグリホサート;ピリミジニルオキシ安息香酸除草剤、例えば、ビスピリバックおよびピリミノバック;フタル酸除草剤、例えば、クロルタール;ピリジンカルボン酸除草剤、例えば、アミノピラリド、クロピラリド、フルロキシピル、ピクロラムおよびトリクロピル;キノリンカルボン酸除草剤、例えば、キンクロラックおよびキンメラック;フェノキシ酢酸除草剤、例えば、4−CPA、2,4−D、3,4−DAおよびMCPA;フェノキシ酪酸除草剤、例えば、4−CPB、2,4−DB、3,4−DBおよびMCPB;フェノキシプロピオン酸除草剤、例えば、クロプロップ、4−CPP、ジクロルプロップ、3,4−DP、フェノプロップ、メコプロップおよびメコプロップ−P;ならびにアリールオキシフェノキシプロピオン酸除草剤、例えば、クロラジホップ、クロジナホップ、クロホップ、シハロホップ、ジクロホップ、フェノキサプロップ、フルアジホップ、ハロキシホップ、イソキサピリホップ、メタミホップ、プロパキザホップ、キザロホップおよびトリホップが挙げられる。好ましい除草性カルボン酸は、2,4−D、トリクロピル、アミノピラリド、クロピラリド、フルロキシピル、ピクロラム、シハロホップ、フルアジホップ、ハロキシホップ、クロジナホップ、フェノキサプロップ、ジカンバ、グルホシネートおよびグリホサートである。
【0010】
1−((C〜C20)アルキルまたはアリールアルキル)イミダゾールは、式
【0011】
【化1】

(式中、Rは、(C〜C20)アルキルまたはアリールアルキルを表す)の化合物をいう。好ましいイミダゾールとして、N−エチルイミダゾール、N−ブチルイミダゾール、N−オクチルイミダゾールおよびN−(4−メチルベンジル)イミダゾールが挙げられる。
【0012】
N−((C〜C20)アルキルまたはアリールアルキル)−N,N−ジメチルアミンは、式
【0013】
【化2】

(式中、Rは、(C〜C20)アルキルまたはアリールアルキルを表す)の化合物をいう。好ましいジメチルアミンとして、N−ヘキシル−N,N−ジメチルアミン、N−オクチル−N,N−ジメチルアミン、N−デシル−N,N−ジメチルアミン、N−ドデシル−N,N−ジメチルアミン、N−テトラデシル−N,N−ジメチルアミン、N−ヘキサデシル−N,N−ジメチルアミン、N−ベンジル−N,N−ジメチルアミンおよび4−ジメチルアミノブタノールが挙げられる。
【0014】
N−((C〜C20)アルキルまたはアリールアルキル)ピロリジンは、式
【0015】
【化3】

(式中、Rは、(C〜C20)アルキルまたはアリールアルキルを表す)の化合物をいう。好ましいピロリジンとして、N−ヘキシルピロリジン、N−オクチルピロリジン、N−デシルピロリジン、N−ドデシルピロリジン、N−テトラデシルピロリジン、N−ヘキサデシルピロリジン、N−ベンジルピロリジンが挙げられる。
【0016】
トリ(C〜C20)アルキルアミンは、式
【0017】
【化4】

(式中、R、RおよびRは、独立して、(C〜C20)アルキルを表し、炭素原子の総数は、R+R+R>9である)の化合物をいう。好ましいトリアルキルアミンは、R、RおよびRが同じであるものであり、例えば、トリブチルアミン、トリイソブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミンおよびトリオクチルアミンである。他の好ましいトリアルキルアミンとして、N−メチルジオクチルアミンが挙げられる。
【0018】
本発明のイオン液体は、好都合には、除草性カルボン酸と適当なトリアルキルアミンまたはイミダゾールとの反応によって調製することができる。除草性カルボン酸を、メタノールのような溶媒中トリアルキルアミンまたはイミダゾールと混合し、続いて当該溶媒および真空下で生成したいずれの水をも除去する。
【0019】
本明細書で使用される用語、除草剤は、植物の成長を絶ち、防除し、またはさもなければ逆に改変する有効成分を意味する。除草有効量または植生防除量は、逆改変効果をもたらし、自然の成長、死滅、調節、乾燥、遅延などからの逸脱を含む有効成分の量である。用語、植物および植生は、発芽種、新生の苗木および確立された植生を含む。
【0020】
除草活性は、本発明のイオン液体が、いずれかの成長期で、または植え付けもしくは出芽の前に植物または植物の場所に直接適用されるとき、本発明のイオン液体によって示される。観測される効果は、防除すべき植物種、植物の成長期、希釈物の適用パラメータおよび噴霧液滴径、固体成分の粒径、使用時の環境条件、採用される具体的な化合物、採用される具体的な補助剤および担体、土壌など、ならびに適用される化学物質の量に依存する。これらおよび他の要因は、当該技術分野で公知のように調整して、非選択的または選択的除草作用を促進することができる。
【0021】
出芽後適用および出芽前適用の両方において、一般には、1〜2,000g/Haの適用量を採用する。設計される量がより多いと、概して、広範囲の望ましくない植生の非選択的防除を与える。量がより少ないと、典型的には選択的防除を与え、作物の場所に採用することができる。
【0022】
本発明のイオン液体は、しばしば、1または複数の他の除草剤と併せて適用され、より広範囲の望ましくない植生を防除する。他の除草剤と併せて使用するとき、本特許請求の範囲のイオン液体は、他の除草剤(複数可)とともに製剤化されてよく、他の除草剤(複数可)とタンク混合されてよく、または他の除草剤(複数可)と連続して適用されてよい。本発明のイオン液体は、さらに、グリホサート、グルホシネートまたは2,4−Dと併せて、グリホサート耐性、グルホシネート耐性または2,4−D耐性作物に使用することができる。本発明のイオン液体は、処理される作物に対して選択的であり、かつ採用される適用量でこれらの化合物によって防除される雑草の薬効範囲を補う除草剤と組み合わせて使用することが概して好ましい。本発明のイオン液体および他の相補的な除草剤は、複合製剤またはタンク混合として同時に適用されることが概してさらに好ましい。
【0023】
本発明のイオン液体は、概して、公知の除草剤薬害軽減剤、例えば、ベノキサコル、ベンチオカーブ、ブラシノイド、クロキントセット(メキシル)、シオメトリニル、ダイムロン、ジクロルミド、ジシクロノン、ジメピペレート、ジスルホトン、フェンクロラゾール−エチル、フェンクロリム、フルラゾール、フルキソフェニム、フリラゾール、イソキサジフェン−エチル、メフェンピル−ジエチル、MG191、MON4660、ナフタル酸無水物(NA)、オキサベトリニル、R29148およびN−フェニルスルホニル安息香酸アミドと組み合わせて使用して、その選択性を高めることができる。これらを付加的に使用して、遺伝子操作によって、または突然変異および選択によってこれらまたは他の除草剤に耐性または抵抗性ができた多くの作物において望ましくない植生を防除することができる。例えば、敏感な植物におけるアセト乳酸シンターゼ阻害剤である化合物に耐性または抵抗性ができたトウモロコシ、コムギ、イネ、ダイズ、テンサイ、ワタ、キャノーラ、および他の作物を処理することができる。多くのグリホサートおよびグルホシネート耐性作物を、単独またはこれらのイオン液体と組み合わせて同様に処理することができる。一部の作物(例えば、ワタ)は、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸などのオーキシン除草剤に耐性ができている。これらのイオン液体を使用して、そのような抵抗性作物または他のオーキシン耐性作物を処理してもよい。
【0024】
イオン液体を除草剤として直接利用することができる一方で、除草有効量の化合物を少なくとも1種の農業上許容可能な補助剤または担体とともに含む混合物において使用することが好ましい。適切な補助剤または担体は、特に、作物の存在下での選択的雑草防除用組成物の適用において採用される濃度で高価な作物に対して植物毒性であってはならず、また、イオン液体または他の組成物成分と化学的に反応してはならない。そのような混合物は、雑草またはその場所に直接適用するように設計されてよく、または、適用前に更なる担体および補助剤で通常希釈される濃縮物または製剤であってよい。当該混合物は、例えば、ダスト、顆粒、水分散性顆粒、もしくは可湿性粉末などの固体、または、例えば、乳化性濃縮物、溶液、エマルジョンもしくは懸濁液などの液体であってよい。
【0025】
本発明の除草性混合物を調製するのに有用である適切な農業補助剤および担体は、当業者に周知である。
【0026】
使用可能な液体として、水、トルエン、キシレン、石油ナフサ、作物油、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、トリクロロエチレン、ペルクロロエチレン、酢酸エチル、酢酸アミル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルおよびジエチレングリコールモノメチルエーテル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アミルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどが挙げられる。水は、一般に、濃縮物の希釈用に選択される担体である。
【0027】
適切な固体担体として、タルク、パイロフィライトクレイ、シリカ、アタプルガス クレイ、カオリンクレイ、キーゼルグール、チョーク、珪藻土、石灰、炭酸カルシウム、ベントナイトクレイ、フラー土、ワタ実殻、コムギ粉、ダイズ粉、軽石、木粉、クルミ殻粉、リグニンなどが挙げられる。
【0028】
1または複数の界面活性剤を本発明の組成物に包含することが通常望ましい。そのような界面活性剤は、特に適用前に担体で希釈されるように設計されている、固体組成物および液体組成物の両方で有利に用いられる。上記界面活性剤は、アニオン性、カチオン性または非イオン性の性質であってよく、乳化剤、湿潤剤、懸濁化剤として、または他の目的で用いることができる。典型的な界面活性剤として、ラウリル硫酸ジエタノールアンモニウムなどのアルキル硫酸塩類;ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウムなどのアルキルスルホン酸塩類;ノニルフェノール−C18エノキシレートなどのアルキルフェノール−アルキレンオキシド付加生成物;トリデシルアルコール−C16エノキシレートなどのアルコール−アルキレンオキシド付加生成物;ステアリン酸ナトリウムなどの石けん類;ジブチルナフタレンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルナフタレンスルホン酸塩類;ジ(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウムなどの、スルホコハク酸塩のジアルキルエステル類;オレイン酸ソルビトールなどのソルビトールエステル類;塩化ラウリルトリメチルアンモニウムなどの第四級アミン類;ステアリン酸ポリエチレングリコールなどの、脂肪酸のポリエチレングリコールエステル類;エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのブロック共重合体;ならびにモノおよびジアルキルリン酸エステル類の塩が挙げられる。
【0029】
農業組成物に一般に使用される他の補助剤として、相溶化剤、消泡剤、金属イオン封鎖剤、中和剤および緩衝剤、腐食防止剤、染料、着臭剤、展着剤、浸透助剤、固着剤、分散剤、増粘剤、凝固点降下剤、抗菌剤などが挙げられる。組成物は、他の相溶性成分、例えば、他の除草剤、植物成長抑制剤、殺菌剤、殺虫剤などを含んでもよく、また、液体肥料または固体、粒子状肥料担体、例えば、硝酸アンモニウム、尿素などとともに製剤化することができる。
【0030】
本発明の除草性組成物中の有効成分の濃度は、概して、0.001〜98重量%である。0.01〜90重量%の濃度をしばしば用いる。濃縮物として使用されるように設計された組成物において、有効成分は、概して、5〜98重量%、好ましくは10〜90重量%の濃度で存在する。当該組成物は、典型的には、例えば水などの不活性担体で適用前に希釈する。雑草または雑草の場所に通常適用される希釈された組成物は、概して、0.001〜2重量%の有効成分を含み、好ましくは0.01〜1重量%の有効成分を含む。
【0031】
本組成物は、雑草またはその場所に、従来の地上または空中散布機、噴霧器、および散粒器の使用によって、灌漑水の付加によって、および当業者に公知の他の従来の手段によって適用することができる。
【実施例】
【0032】
以下の実施例は、本発明の種々の態様を説明するために提示するが、特許請求の範囲に対する限定として解釈されてはならない。
【0033】
一般的な調製例:
カルボン酸除草剤およびアルキルまたは(アリールアルキル)−N,N−ジメチルアミン、トリアルキルアミン、1−(アルキルまたはアリールアルキル)イミダゾールあるいはN−((C〜C20)アルキルまたはアリールアルキル)ピロリジンの当モル量をメタノール中室温で混合し、カルボン酸のアミン塩の溶液を与える。次いで、生成物をメタノール(およびいくらかの水が存在する)の蒸発除去によって室温から50℃で単離する。単離された生成物は、当該分野で公知の方法によって精製して本発明の化合物を液体または固体として提供してもよい。以下の表Iは、このように調製された化合物、ならびにその物理状態および適用可能な場合には融点を列挙する。
【0034】
【表1】

【0035】
除草剤評価のための出芽後適用方法
泥炭ベースの鉢植え用土、Metro−mix360を、この試験の土壌媒体として用いた。Metro−mixは、35〜45%の特別に処理されたCoconut Coir Pith、10〜20%の園芸グレードのバーミキュライト、15〜25%の処理されたAsh Bark、20〜30%の精選されたCanadian Sphagnum Peat Mossおよび自社開発の栄養物ならびに他の成分からなる成長培地である。各種の種子数個を10cm四方の鉢に植え、一日二回上から水を与えた(top watered)。植物材料を温室において26〜28℃の一定温度および50〜60%の相対湿度で繁殖させた。自然光を平均照度500μE/m/sの光合成有効放射(PAR)を有する1000ワットのメタルハライドオーバーヘッドランプで補った。日照時間は16時間であった。処理前に植物材料に上水を与え、処理後、地下灌漑した。Allen Machine Works製のトラック噴霧器によって処理を施した。噴霧器は、8003E噴霧ノズル、262kPa圧の噴霧圧、および2.8mph(4.5km/h)の速度を用いて187L/Haを送達した。ノズル高さは植物キャノピーより46cm上であった。種々の雑草種の成長期は、2〜4葉の範囲であった。処理を3回反復した。処理後、植物を温室に戻し、実験の間中、下から水を与えた(sub-watered)。植物材料を週2回、Hoagland’s肥料溶液で施肥した。未処理の対照植物と比較した目視でのパーセント損傷評価を0〜100%のスケールで行った(ここで、0は損傷無しに相当し、100は植物の完全な死に相当する)。結果を表IIおよびIIIに列挙する。
【0036】
【表2】

【0037】
【表3】

【0038】
2,4−D標準品および2,4−Dのイオン液体の揮発性の評価方法
4インチ四方の鉢で成長したコムギ(Triticum aestivum L.)の4つの鉢に、種々の形態の2,4−D各々を11200g ae/haで噴霧した。Allen Machine Works製のトラック噴霧器によって処理を施した。噴霧器は、8002E噴霧ノズル、262kPa圧の噴霧圧、および1.5mph(2.4km/h)の速度を用いて187L/Haを送達した。ノズル高さは植物キャノピーより46cm上であった。雑草の成長期は、1〜2葉であった。コムギ植物を完全に乾燥させ、きれいな鉢の平地に移すときには確実に噴霧液が存在しないようにした。公知の敏感な種、ブドウ(Vitis labrusca L.)を当該平地の反対端に置いた。全ての鉢を、コムギが置かれた端に切り込まれた小さな1/2インチ(1.27cm)直径の穴を有する加湿ドーム(humidome)で覆い、小さなボックスファンを他端でバッテリーを用いて動かして、空気を処理されたコムギ植物を横切り且つブドウの上部を超えて引いた。日中14時間および夜10時間のサイクルで、植物を設定温度40℃の成長室内に置いた。24時間の暴露期間を使用し、その後、敏感な植物を除去し、温室に置き、処理への蒸気暴露による損傷を評価した。結果を表IVに列挙する。
【0039】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
除草性カルボン酸、および1−((C〜C20)アルキルまたはアリールアルキル)イミダゾール、N−((C〜C20)アルキルまたはアリールアルキル)−N,N−ジメチルアミン、N−((C〜C20)アルキルまたはアリールアルキル)ピロリジンまたはトリ(C〜C20)アルキルアミン(ここで、炭素原子の総数は9を超える)のいずれかとの反応生成物を含む除草性イオン液体。
【請求項2】
前記除草性カルボン酸が、2,4−D、トリクロピル、アミノピラリド、クロピラリド、フルロキシピル、ピクロラム、シハロホップ、フルアジホップ、ハロキシホップ、クロジナホップ、フェノキサプロップ、ジカンバ、グルホシネートまたはグリホサートである、請求項1に記載の除草性イオン液体。
【請求項3】
前記1−((C〜C20)アルキルまたはアリールアルキル)イミダゾールが、N−エチルイミダゾール、N−ブチルイミダゾール、N−オクチルイミダゾールまたはN−(4−メチルベンジル)イミダゾールである、請求項1に記載の除草性イオン液体。
【請求項4】
前記N−((C〜C20)アルキルまたはアリールアルキル)−N,N−ジメチルアミンが、N−ヘキシル−N,N−ジメチルアミン、N−オクチル−N,N−ジメチルアミン、N−デシル−N,N−ジメチルアミン、N−ドデシル−N,N−ジメチルアミン、N−テトラデシル−N,N−ジメチルアミン、N−ヘキサデシル−N,N−ジメチルアミン、N−ベンジル−N,N−ジメチルアミンまたは4−ジメチルアミノブタノールである、請求項1に記載の除草性イオン液体。
【請求項5】
前記N−((C〜C20)アルキルまたはアリールアルキル)ピロリジンが、N−ヘキシルピロリジン、N−オクチルピロリジン、N−デシルピロリジン、N−ドデシルピロリジン、N−テトラデシルピロリジン、N−ヘキサデシルピロリジン、N−ベンジルピロリジンである、請求項1に記載の除草性イオン液体。
【請求項6】
前記トリ(C〜C20)アルキルアミンが、トリブチルアミン、トリイソブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミンまたはN−メチルジオクチルアミンである、請求項1に記載の除草性イオン液体。
【請求項7】
前記除草性カルボン酸が2,4−Dである、請求項2に記載の除草性化合物。
【請求項8】
除草有効量の請求項1に記載のイオン液体またはその混合物を農業上許容可能な補助剤または担体と混合して含む除草性組成物。
【請求項9】
前記望ましくない植生の防除方法であって、請求項1に記載の除草有効量のイオン液体を、植生またはその場所に接触させること、または土壌に適用して植生の出現を防止することを含む方法。

【公表番号】特表2010−519303(P2010−519303A)
【公表日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−550942(P2009−550942)
【出願日】平成20年2月26日(2008.2.26)
【国際出願番号】PCT/US2008/002500
【国際公開番号】WO2008/106118
【国際公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【出願人】(501035309)ダウ アグロサイエンシィズ エルエルシー (197)
【Fターム(参考)】