説明

除草性組成物

【課題】 優れた雑草防除効果を奏する、安全な除草剤を提供する。
【解決手段】 4−(2,4−ジクロロベンゾイル)−1,3−ジメチル−5−ピラゾリル−p−トルエンスルホネート、2−[4−(2,4−ジクロロベンゾイル)−1,3−ジメチルピラゾール−5−イルオキシ]アセトフェノン、及び2−[4−(2,4−ジクロロ−m−トルオイル)−1,3−ジメチルピラゾール−5−イルオキシ]−4’−メチルアセトフェノンから選ばれるピラゾール誘導体の少なくとも一つと、2,3−ジヒドロ−3,3−ジメチルベンゾフラン−5−イル=エタンスルホナートと、1−(3−クロロ−4,5,6,7−テトラヒドロピラゾロ〔1,5−a〕ピリジン−2−イル)−5−〔メチル(プロップ−2−イニル)アミノ〕ピラゾール−4−カルボニトリルを有効成分として含有する除草性組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定のピラゾール誘導体と、2,3−ジヒドロ−3,3−ジメチルベンゾフラン−5−イル=エタンスルホナートと、1−(3−クロロ−4,5,6,7−テトラヒドロピラゾロ〔1,5−a〕ピリジン−2−イル)−5−〔メチル(プロップ−2−イニル)アミノ〕ピラゾール−4−カルボニトリルとを有効成分として含有する除草性組成物、及びその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、水田除草剤など数多くの除草剤が実用化され、単剤及び混合剤として広く一般に使用されている。しかしながら、雑草は多種類に及び、また各雑草の発芽及び生育時期は一様ではなく、特に多年生雑草の発生は長期に及ぶ。そのため一回の除草剤散布ですべての雑草を防除することは非常に困難であった。
【0003】
4−(2,4−ジクロロベンゾイル)−1,3−ジメチル−5−ピラゾリル−p−トルエンスルホネート(一般名ピラゾレート)、2−[4−(2,4−ジクロロベンゾイル)−1,3−ジメチルピラゾール−5−イルオキシ]アセトフェノン(一般名ピラゾキシフェン)、及び2−[4−(2,4−ジクロロ−m−トルオイル)−1,3−ジメチルピラゾール−5−イルオキシ]−4’−メチルアセトフェノン(一般名ベンゾフェナップ)などのピラゾール誘導体;2,3−ジヒドロ−3,3−ジメチルベンゾフラン−5−イル=エタンスルホナート(一般名ベンフレセート);並びに1−(3−クロロ−4,5,6,7−テトラヒドロピラゾロ〔1,5−a〕ピリジン−2−イル)−5−〔メチル(プロップ−2−イニル)アミノ〕ピラゾール−4−カルボニトリル(一般名ピラクロニル)は、それぞれ除草剤に使用される公知の化合物であり、非特許文献1及び特許文献1に記載されている。
【0004】
また、ピラゾレート、ピラゾキシフェン、又はベンゾフェナップのいずれかと、ベンフレセートとの混合剤が特許文献2に開示されているが、これら混合剤のノビエや一年生広葉雑草に対する効果は十分でない。ピラゾレート、ピラゾキシフェン、又はベンゾフェナップのいずれかと、ピラクロニルとの混合剤が特許文献3に開示されているが、これら混合剤のイヌホタルイやミズガヤツリに対する効果は十分でない。ベンフレセートとピラクロニルとの混合剤も特許文献3に開示されているが、この混合剤のウリカワやオモダカに対する効果は十分でない。
【特許文献1】国際公開第94/08999号パンフレット
【特許文献2】特開平2−28101号公報
【特許文献3】特表2000−500445号公報
【非特許文献1】The Pesticide Manual 12th Edition 793−794頁、797−798頁、83頁、71−72頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、上述した従来の除草剤の問題点を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、特定のピラゾール誘導体とベンフレセートとピラクロニルの3種を有効成分として配合することによって、優れた防除効果が得られる一方、安全性にも優れていることを見出し、本発明を完成した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明は、
(a)4−(2,4−ジクロロベンゾイル)−1,3−ジメチル−5−ピラゾリル−p−トルエンスルホネート(一般名ピラゾレート)、2−[4−(2,4−ジクロロベンゾイル)−1,3−ジメチルピラゾール−5−イルオキシ]アセトフェノン(一般名ピラゾキシフェン)、及び2−[4−(2,4−ジクロロ−m−トルオイル)−1,3−ジメチルピラゾール−5−イルオキシ]−4’−メチルアセトフェノン(一般名ベンゾフェナップ)から選ばれるピラゾール誘導体の少なくとも一つと、
(b)2,3−ジヒドロ−3,3−ジメチルベンゾフラン−5−イル=エタンスルホナート(一般名ベンフレセート)と、
(c)1−(3−クロロ−4,5,6,7−テトラヒドロピラゾロ〔1,5−a〕ピリジン−2−イル)−5−〔メチル(プロップ−2−イニル)アミノ〕ピラゾール−4−カルボニトリル(一般名ピラクロニル)
の3種の除草活性化合物(以下、これら3種の除草活性化合物を合わせて「本発明除草活性化合物」ともいう)を有効成分として含有することを特徴とする除草性組成物に関する。
本発明はまた、上記の除草性組成物を用いることを特徴とする雑草の防除方法にも関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、上記ピラゾール誘導体の少なくとも一つと、ベンフレセートと、ピラクロニルの3種の除草活性化合物を使用することで、相乗効果が発揮され、優れた防除効果が得られる。すなわち、少ない有効成分量及び使用回数で雑草の発芽及び成長を抑制したり雑草を枯殺したりすることができる。
特に、本発明においては、使用回数が少なくて済み、また防除効果が一定期間維持できるので、雑草防除の作業労力の低減が図れる。
また、本発明の除草剤組成物は、広い殺草スペクトルを有し、一年生雑草及び多年生雑草を含めた多くの種類の雑草を防除できる。例えば、水田などにおいて問題となる種々の雑草、例えば、タイヌビエなどのイネ科雑草;アゼナ、アゼトウガラシ、キカシグサ、ミゾハコベ、アブノメ、ヒメミソハギ、コナギなどの広葉雑草;タマガヤツリ、ホタルイ、マツバイ、ミズガヤツリ、クログワイなどのカヤツリグサ科雑草;及びウリカワ、オモダカ、ヘラオモダカなどのオモダカ科雑草などに対して防除活性を示す。
さらに、本発明の除草性組成物は、イネなどの有用植物に対しても薬害を生じることはなく、人畜に対しても毒性が低いなど安全性にも優れている。
【0008】
本発明の除草性組成物は、前記ピラゾール誘導体の少なくとも一つとベンフレセートとピラクロニルの3種の除草活性化合物を有効成分として含有することにより、相乗的な防除効果を示すものであり、その相乗効果はこれら3種の除草活性化合物の広い範囲の混合比で認められる。本発明において、これら3種の除草活性化合物の混合比は、本発明の除草性組成物の適用地域、対象雑草、適用時期等によって広範囲にわたって変えることができるが、通常、ピラゾール誘導体1質量部に対して、ベンフレセートを0.01〜100質量部、ピラクロニルを0.01〜100質量部の割合で混合することができる。優れた防除効果又は安全性が得られる点で、ピラゾール誘導体1質量部に対して、ベンフレセートを0.1〜10質量部、ピラクロニルを0.05〜5質量部の割合で混合することが好ましく、ピラゾール誘導体1質量部に対して、ベンフレセートを0.2〜1質量部、ピラクロニルを0.1〜0.5質量部の割合で混合することがより好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明において使用されるピラゾール誘導体は、
4−(2,4−ジクロロベンゾイル)−1,3−ジメチル−5−ピラゾリル−p−トルエンスルホネート(一般名ピラゾレート)、
2−[4−(2,4−ジクロロベンゾイル)−1,3−ジメチルピラゾール−5−イルオキシ]アセトフェノン(一般名ピラゾキシフェン)、及び
2−[4−(2,4−ジクロロ−m−トルオイル)−1,3−ジメチルピラゾール−5−イルオキシ]−4’−メチルアセトフェノン(一般名ベンゾフェナップ)
の3つである。
本発明では、これらピラゾール誘導体を一つ以上使用できる。2つ以上使用する場合、これらピラゾール誘導体の組み合わせは特に制限されないが、優れた防除効果又は安全性が得られる点で、4−(2,4−ジクロロベンゾイル)−1,3−ジメチル−5−ピラゾリル−p−トルエンスルホネート(一般名ピラゾレート)と2−[4−(2,4−ジクロロ−m−トルオイル)−1,3−ジメチルピラゾール−5−イルオキシ]−4’−メチルアセトフェノン(一般名ベンゾフェナップ)との組み合わせが好ましい。
【0010】
本発明組成物は、本発明除草活性化合物の原体そのものであってもよく、あるいはさらに他の除草活性化合物、担体、又は必要に応じて他の補助剤などを含有してもよい。
【0011】
本発明の除草性組成物は、殺草スペクトラムをより広げるなどのため、本発明除草活性化合物以外の除草活性化合物を含有してもよい。例えば、メフェナセット、フェントラザミド、オキサジクロメホン、インダノファン、カフェンストロール、モリネート、ベンチオカーブ、アニロホス、ピリミノバックメチル、ピリフタリド、シハロホップブチル、メタミホップ、ペントキサゾン、ブタクロール、プレチラクロール、テニルクロール、シメトリン、ジメタメトリン、MCPB、ベンゾビシクロン、ダイムロン、クミルロン、アジムスルフロン、ベンスルフロンメチル、ピラゾスルフロン、イマゾスルフロン、シクロスルファムロン、エトキシスルフロン、ペノキススラムなどが挙げられる。
【0012】
本発明で担体とは、除草活性化合物の植物への到達を助けたり又は貯蔵、輸送若しくは取り扱いを容易にしたりするなどのために除草剤中に混合される、合成又は天然の無機又は有機物質を意味する。本発明では担体として、固体担体及び液体担体が使用できる。
【0013】
上記固体担体として、例えば、カオリナイト群、モンモリロナイト群、アタパルジャイト群などで代表されるクレー類;タルク、雲母、葉ロウ石、軽石、バーミキュライト、石膏、ドロマイト、けいそう土、マグネシウム石灰、燐石灰、ゼオライト、無水ケイ酸、合成ケイ酸カルシウム、カオリン、ベントナイト、炭酸カルシウムなどの無機物質;大豆粉、タバコ粉、クルミ粉、小麦粉、木粉、澱粉、結晶セルロースなどの植物性有機物質;クマロン樹脂、石油樹脂、アルキド樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリアルキレングリコール、ケトン樹脂、エステルガム、コーパルガム、ダンマルガムなどの合成若しくは天然の高分子化合物;カルナバロウ、パラフィンロウ、蜜ロウなどのワックス類;又は尿素などが挙げられる。
上記液体担体として、例えば、ケロシン、鉱油、スピンドル油、ホワイトオイルなどのパラフィン系若しくはナフテン系炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン、メチルナフタレンなどの芳香族炭化水素;四塩化炭素、クロロホルム、トリクロルエチレン、モノクロルベンゼン、クロルトルエンなどの塩素化炭化水素;ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、アセトフェノン、イソホロンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸アミル、エチレングリコールアセテート、ジエチレングリコールアセテート、マレイン酸ジブチル、コハク酸ジエチルなどのエステル類;メタノール、ヘキサノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコールなどのアルコール類;エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテルなどのエーテルアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどの極性溶媒;又は水などが挙げられる。
【0014】
本発明の除草性組成物は、乳化、分散、湿潤、拡展、結合、崩壊性調節、有効成分安定化、流動性改良、防錆、植物への吸収促進などの目的で界面活性剤を含むことができる。この界面活性剤は、イオン性界面活性剤でも非イオン性界面活性剤でもよい。
【0015】
上記非イオン性界面活性剤として、例えば、脂肪酸の蔗糖エステル、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコールなどの高級脂肪族アルコールの酸化エチレン重合付加物;イソオクチルフェノール、ノニルフェノールなどのアルキルフェノールの酸化エチレン重合付加物;ブチルナフトール、オクチルナフトールなどのアルキルナフトールの酸化エチレン重合付加物;パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸などの高級脂肪酸の酸化エチレン重合付加物;ステアリルリン酸ジラウリルリン酸などのモノ若しくはジアルキルリン酸の酸化エチレン重合付加物;ドデシルアミン、ステアリン酸アミドなどの高級脂肪族アミンの酸化エチレン重合付加物;ソルビタンなどの多価アルコールの高級脂肪酸エステル及びその酸化エチレン重合付加物;並びに酸化エチレンと酸化プロピレンの共重合体などが挙げられる。
【0016】
前記のイオン性界面活性剤として、陰イオン界面活性剤及び陽イオン界面活性剤がある。
上記陰イオン性界面活性剤として、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、オレイルアルコール硫酸エステルアミン塩などのアルキル硫酸エステル塩、スルホコハク酸ジオクチルエステルナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウムなどの脂肪酸塩類、イソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム、メチレンビスナフタレンスルホン酸ナトリウム、リグニンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルアリールスルホン酸塩などが挙げられる。
上記陽イオン性界面活性剤として、例えば、高級脂肪族アミン、第4級アンモニウム塩類、アルキルピリジニウム塩類などが挙げられる。
【0017】
本発明の除草性組成物は、製剤の性状を改善したり生物効果を高めたりする目的で、前記の他の補助剤として、例えば、ゼラチン、アラビアゴム、カゼイン、アルブミン、ニカワ、アルギン酸ソーダ、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースなどの高分子化合物、ポリリン酸ナトリウム、ベントナイトなどのチキソトロピー剤などを含有することができる。
【0018】
本発明の除草性組成物は、例えば、植物成長調節剤、殺菌剤、殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、又は肥料などを配合することもできる。
【0019】
本発明の除草性組成物は、除草剤に通常用いられる製剤形態、例えば、粉剤、粗粉剤、微粒剤、粒剤、水和剤、乳剤、水性懸濁剤、顆粒水和剤、油懸濁剤、水田投げ込み剤などの製剤形態で使用することもできる。
【0020】
上記の粉剤や粗粉剤は、例えば、本発明除草活性化合物を0.1〜25質量部含有し、残部は固体担体である。
上記の水和剤や顆粒水和剤は、例えば、本発明除草活性化合物を1〜90質量部含有し、残部は固体担体及び分散湿潤剤であって、必要に応じて保護コロイド剤、チキソトロピー剤及び消泡剤が加えられる。これらの製剤は、水に投入して撹拌すると水中に懸濁分散する。
上記の粒剤や微粒剤は、例えば、本発明除草活性化合物を0.1〜35質量部含有し、残部は大部分が固体担体である。本発明除草活性化合物は固体担体と均一に混合されているか、又は固体担体の表面に均一に固着若しくは吸着されており、また粒の径は、通常0.2〜1.5mmである。
上記の乳剤は、例えば、本発明除草活性化合物を1〜70質量部含有しており、これに5〜20質量部の乳化剤が含まれ、残部は液体担体であり、必要に応じて防錆剤などのその他の補助剤が加えられる。
上記の水性懸濁剤や油懸濁剤は、例えば、水又は高沸点の有機溶剤中に、本発明除草活性化合物を適当な界面活性剤を用いて懸濁又は乳化分散させたもので、必要に応じて増粘剤などを添加して経時安定性を保つようにする。
上記の水田投げ込み剤は、本発明除草活性化合物を、適当な剤型、例えば、粉剤、粒剤、錠剤、乳剤、塊錠剤などに製剤し、必要があれば、これらを水溶性のフィルム又は容器に分包としたもので、例えば、使用に際してはこれらをそのまま水田中に数個〜数百個ばらまき使用する。
【0021】
本発明の除草性組成物は、雑草防除のために使用できる。
本発明の除草性組成物の適用時期は、通常、雑草の発芽前又は出芽後、好ましくは発芽後約1ヶ月以内であるが、特にこれらの時期に限定されるわけではなく、適用地域、対象雑草、使用量などによって適宜変更され得る。
【0022】
本発明の除草性組成物を用いる処理方法として、土壌処理、茎葉処理又は湛水処理などが例示されるが、特にこれらの処理方法に限定されるわけではなく、適用地域、対象雑草、適用時期などによって適宜変更され得る。
上記土壌処理には、土壌表面処理、土壌混和処理などがあり、上記茎葉処理には、植物体の上方からの散布するなどの処理のほか、作物に付着しないように雑草に限って処理する極部処理などがあり、上記湛水処理には、粒剤やフロアブル剤の散布や水面への潅注処理などがある。
本発明では、上記処理のいずれか一つのみで実施してもよいし、複数の処理を任意に組み合せて実施してもよい。
【0023】
本発明の除草性組成物は、例えば、10aあたり本発明除草活性化合物として1g〜1000g、好ましくは10g〜300gで処理することにより、有効に雑草を防除することができるが、特にこれらの使用量に限定されるわけではなく、適用地域、対象雑草、適用時期、処理方法などによって適宜変更され得る。
【0024】
本発明においては、雑草を防除するために、本発明除草活性化合物を混合して1つの製剤として使用してもよいし、あるいは本発明除草活性化合物を混合製剤としないで、使用時に所定の割合で混合、例えばタンク混合して同時に使用してもよい。あるいは本発明除草活性化合物をそれぞれ分離して使用、すなわち、いずれかの本発明除草活性化合物を先に使用しその他の本発明除草活性化合物をその後で使用してもよく、またこのときの使用の順番や間隔は特に制限されない。
【0025】
本発明の除草性組成物を使用する際に、例えば、植物成長調節剤、殺菌剤、殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、又は肥料などと併用することもできる。
【0026】
以下に本発明組成物の製剤例及び試験例を示して、本発明を具体的に説明するが、これらに限られるものではない。なお、下記製剤例において、「%」とあるのは、質量%を示す。
【実施例】
【0027】
(製剤例1)
水和剤の製造
ピラゾレート10質量部、ピラクロニル2質量部、ベンフレセート4.5質量部、カープレックス#80D(塩野義製薬(株)製)10質量部、ゴーセノールGL05−S(日本合成化学(株)製)2質量部、ニューコール291PG(ジオクチルスルホサクシネートナトリウム塩、日本乳化剤(株)製)0.5質量部、ネオゲンパウダー(第一工業製薬(株)製)5質量部、ラジオライト#200(昭和化学工業(株)製)10質量部、H微分(啓和炉材(株)製)56重量部を充分に混合した。この混合物をエアーミル((株)セイシン企業製、SK-JET O MIZER model 0101)にて粉砕し、混合水和剤を得た。
【0028】
(製剤例2)
粒剤の製造
ピラゾレート61.22質量部、ニューコール291PG0.85質量部及び水37.93質量部を混合し、アトライター(三井鉱山(株)製)にて粒度が約2μmまで粉砕しスラリーを得た。このスラリー98質量部にトキサノン(三洋化成(株)製)2質量部を添加した後混合し、スラリー2を得た。ピラクロニル2.09質量部、トリポリリン酸ナトリウム(三井化学(株)製)2質量部、アミコールNo.1(デキストリン、日本澱粉化学(株)製)1.5質量部、ベントナイト(豊順鉱業(株)製)25質量部、炭酸カルシウムカルフィン600(足立石灰(株)製)51.96質量部をニーダー(富士産業(株)製、FM−NW−5型)中で混合し、さらにスラリー2を17.45質量部添加し混合した。この混合物をドームグラン(不二パウダル(株)製、スクリーン1.0mmφ)を用いて押し出し造粒した。得られた造粒物を棚型乾燥機(タバイ(株)製、PERFECT OVEN PS-222 型、60℃)にて乾燥した後、600〜1190μmに篩分して基粒を得た。別にベンフレセートをビーカーに量り取りホットプレート(東芝(株)製Heat Master)上で加熱溶融させた。この溶融したベンフレセート4.5質量部を上記の得られた基粒95.5質量部に吸収混合させて混合粒剤を得た。
【0029】
(試験例1)
防除効果及び移植水稲に対する薬害の試験
1/10000aのポットに広葉雑草(BLW;アゼナ、ミゾハコベ)種子の混入する水田土壌を充填し、代掻きした後、休眠覚醒したタイヌビエ(ECH)、イヌホタルイ(SCI)の種子を一定量播種し、休眠覚醒したウリカワ(SAP)、オモダカ(SAT)、ミズガヤツリ(CYP)の塊茎を植え、さらに2.2葉期の水稲の苗を移植(OS)して、湛水状態とし、温室内で生育させた。移植3日後に、製剤例1に準じて調製した水和剤の所定薬量を水に希釈し、それを用いて湛水土壌処理を1回行い、25日後に下記判定基準に従って防除効果及び移植水稲に対する薬害を判定し、その結果を表1に示した。
なお、特許文献2及び特許文献3に記載の2種混合剤についても同時に試験した。
【0030】
判定基準 防除効果
0:生育抑制率 0〜5%
1:生育抑制率 6〜15%
2:生育抑制率 16〜25%
3:生育抑制率 26〜35%
4:生育抑制率 36〜45%
5:生育抑制率 46〜55%
6:生育抑制率 56〜65%
7:生育抑制率 66〜75%
8:生育抑制率 76〜85%
9:生育抑制率 86〜95%
10:生育抑制率 96〜100%
【0031】
判定基準 薬害
−:無し
±:微程度
+:小程度
++:中程度
+++:大程度
++++:甚大程度
【0032】
【表1】

【0033】
(試験例2)
オモダカに対する除草効果の試験
1/10000aのポットに水田土壌を充填し、代掻きした後、休眠覚醒したオモダカ(SAT)の塊茎を植え、湛水状態として温室内で生育させた。移植3日後に、製剤例1に準じて調製した水和剤の所定薬量を水に希釈し、それを用いて湛水土壌処理を1回行い、35日後に残草を抜き取り、生体重を測定した。この測定結果をもとに除草効果を下記式にて算出し、表2に示した。
(除草効果)=100−(残草生体重対無処理区比)。
算出した除草効果の数値から、Colbyの式(Weeds 15、P20−22、1967)を利用して2種の化合物を混合したときの相加的効果を表す値(期待値)を表2中に併記した。実際の実験結果が期待値を上回る場合、相乗作用がある組み合わせを意味する。
なお、特許文献2及び特許文献3に記載の2種混合剤についても同時に試験した。
【0034】
【表2】

【0035】
試験例1及び試験例2から明らかなように、ピラゾール誘導体とベンフレセートとピラクロニルの3種を混合した本発明の除草性組成物は、試験した雑草に対して、各単剤を単独で用いた場合、あるいは2種類混合して用いた場合に比較し、優れた防除効果を発揮し、予想を超えた相乗効果が認められた。また、水稲に対して薬害も認められなかった。
これにより、本発明の除草性組成物を使用することで、より少ない薬量及び1回の使用により雑草の防除が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明の除草性組成物は、除草剤として、防除効果及び安全性に優れているので、宅地、鉄道、公園、駐車場、果樹園、水田、畑地などの雑草を防除するのに有用である。特に、水田用除草剤として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)4−(2,4−ジクロロベンゾイル)−1,3−ジメチル−5−ピラゾリル−p−トルエンスルホネート、2−[4−(2,4−ジクロロベンゾイル)−1,3−ジメチルピラゾール−5−イルオキシ]アセトフェノン、及び2−[4−(2,4−ジクロロ−m−トルオイル)−1,3−ジメチルピラゾール−5−イルオキシ]−4’−メチルアセトフェノンより選ばれるピラゾール誘導体の少なくとも一つと、
(b)2,3−ジヒドロ−3,3−ジメチルベンゾフラン−5−イル=エタンスルホナートと、
(c)1−(3−クロロ−4,5,6,7−テトラヒドロピラゾロ〔1,5−a〕ピリジン−2−イル)−5−〔メチル(プロップ−2−イニル)アミノ〕ピラゾール−4−カルボニトリルを、
有効成分として含有する除草性組成物。
【請求項2】
請求項1記載の除草性組成物を用いることを特徴とする、雑草の防除方法。

【公開番号】特開2007−55985(P2007−55985A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−246675(P2005−246675)
【出願日】平成17年8月26日(2005.8.26)
【出願人】(303020956)三共アグロ株式会社 (70)
【出願人】(000234890)協友アグリ株式会社 (19)
【Fターム(参考)】