説明

除草組成物

【課題】現在、数多くの除草組成物が開発され使用されているが、防除の対象となる雑草は種類も多く、発生も長期にわたるため、より幅広い殺草スペクトラムを持ち、高活性で且つ持続効果の長い除草組成物の出現が望まれている。
【解決手段】本発明者らは、前述の問題点等を解決するべく研究した結果、(A)2−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イルカルバモイルスルファモイル)−N,N−ジメチルニコチンアミド又はその塩と、(B)N−ターシャリーブチル−6−クロロ−N−エチル−1,3,5−トリアジン−2,4−ジアミン又はその塩とを混用すると、実用性の高い除草組成物が得られることを見出し、本発明を完成させた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(A)2−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イルカルバモイルスルファモイル)−N,N−ジメチルニコチンアミド又はその塩(以下化合物Aと略す)と、(B)N−ターシャリーブチル−6−クロロ−N−エチル−1,3,5−トリアジン−2,4−ジアミン又はその塩(以下化合物Bと略す)とを含有する除草組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には化合物Aが記載されているが、化合物Bと混用することは記載されていない。
【0003】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0232067号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在、数多くの除草組成物が開発され使用されているが、防除の対象となる雑草は種類も多く、発生も長期にわたるため、より幅広い殺草スペクトラムを持ち、高活性で且つ持続効果の長い除草組成物の出現が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、前述の問題点等を解決するべく研究した結果、実用性の高い除草組成物を見出した。
即ち本発明は、(A)化合物A:2−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イルカルバモイルスルファモイル)−N,N−ジメチルニコチンアミド(一般名:ニコスルフロン/nicosulfuron)又はその塩と、(B)化合物B:N−ターシャリーブチル−6−クロロ−N−エチル−1,3,5−トリアジン−2,4−ジアミン(一般名:ターブチラジン/terbuthylazine)又はその塩とを含有する除草組成物に関する。また本発明は、当該除草組成物の除草有効量を、望ましくない植物又はそれらが生育する場所に施用し、望ましくない植物を防除又はその生育を抑制する方法に関する。また本発明は、化合物Aの除草有効量と、化合物Bの除草有効量とを、望ましくない植物又はそれらが生育する場所に施用し、望ましくない植物を防除又はその生育を抑制する方法に関する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の除草組成物、即ち化合物Aと化合物Bとを含有する除草組成物は、農耕地又は非農耕地に発生する広範囲の雑草を防除でき、その除草効果は、意外にも、それぞれ単独の除草効果が単に相加的に加えられる以上の効果、即ち相乗的除草効果を奏する。このような本発明除草組成物は、各薬剤を単独で施用する場合に比し低薬量で施用できるだけでなく、殺草スペクトラムが拡大され、さらには長期間にわたって除草効果が持続する。
【0007】
2種の有効成分を組合わせた場合の除草活性が、その2種の有効成分各々の除草活性の単純な合計(期待される活性)よりも大きくなる場合、これを相乗作用という。2種の有効成分の組合せにより期待される活性は、次のようにして計算することができる(Colby S.R.、「Weed」15巻、20〜22頁、1967年を参照)。
E=α+β−(α×β÷100)
α:除草剤Xをxg/aの量で処理した時の生育抑制率
β:除草剤Yをyg/aの量で処理した時の生育抑制率
E:除草剤Xをxg/a及び除草剤Yをyg/aの量で処理した時に期待される生育抑制率
即ち、実際の生育抑制率(実測値)が上記計算による生育抑制率(計算値)より大きい場合には、その組合せによる活性は相乗作用を示すということができる。本発明の除草組成物は、上記式で計算した場合、相乗作用を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
化合物A又は化合物Bに含まれる塩としては、農業上許容されるものであればあらゆるものが含まれるが、例えばナトリウム塩、カリウム塩のようなアルカリ金属塩;マグネシウム塩、カルシウム塩のようなアルカリ土類金属塩;モノメチルアンモニウム塩、ジメチルアンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩のようなアンモニウム塩;塩酸塩、過塩素酸塩、硫酸塩、硝酸塩のような無機酸塩;酢酸塩、メタンスルホン酸塩のような有機酸塩などが挙げられる。
【0009】
化合物Aとしては、その製造条件により、異なる結晶形態の化合物が生じる場合があるが、本発明にはこれら全ての化合物が含まれ、また、これら化合物を水和した化合物も本発明には含まれる。
【0010】
本発明において、化合物Aと化合物Bとの混合割合は、製剤形態、気象条件、防除対象植物の種類や生育状況などの各種条件により異なる為、一概に規定できないが、例えば化合物Aの1重量部に対して、化合物Bは0.5〜1,000重量部であり、望ましくは0.5〜600重量部であり、より望ましくは0.5〜500重量部であり、特に望ましくは1〜250重量部である。
【0011】
本発明には、前述の混合割合の除草組成物と、当該組成物の除草有効量を施用し、望ましくない植物を防除又はその生育を抑制する方法も含まれる。施用に際しては、望ましくない植物への施用と、それらが生育する場所(当該植物の発生前でも、発生後でもよい)への施用を任意に選択できる。
【0012】
本発明における除草有効施用量は、化合物Aと化合物Bとの混合比、製剤形態、気象条件、防除対象植物の種類や生育状況などの各種条件により異なる為一概に規定できないが、例えば、化合物Aは1〜200 g/haであり、望ましくは2.5〜100 g/haであり、化合物Bは100〜5,000 g/haであり、望ましくは200〜2,500 g/haであり、化合物Aと化合物Bとの合計施用適量は101〜5,200 g/haであり、望ましくは、202.5〜2,600 g/haである。
【0013】
本発明には、化合物Aと化合物Bとを各々前述した施用量で施用するか、或は前述した合計施用適量で施用して、望ましくない植物を防除又はその生育を抑制する方法も含まれる。施用に際しては、望ましくない植物への施用と、それらが生育する場所(当該植物の発生前でも、発生後でもよい)への施用を任意に選択できる。
【0014】
本発明の除草組成物は、低薬量で一年生雑草や多年生雑草など広範囲の有害植物、例えば、イヌビエ、メヒシバ、エノコログサ、アキノエノコログサ、オヒシバ、カラスムギ、セイバンモロコシ、シバムギ、ビロードキビ、パラグラス、アゼガヤ、イトアゼガヤ、スズメノカタビラ、スズメノテッポウ、カモジグサのようなイネ科雑草;コゴメガヤツリ、ハマスゲ、キハマスゲ、ミズガヤツリ、タマガヤツリのようなカヤツリグサ科雑草;イチビ、マルバアサガオ、シロザ、アメリカキンゴジカ、スベリヒユ、アオビユ、アオゲイトウ、エビスグサ、イヌホウズキ、サナエタデ、ハコベ、ミゾハコベ、オナモミ、タネツケバナ、ホトケノザ、ブタクサ、ヤエムグラ、セイヨウヒルガオ、チョウセンアサガオ、エゾノキツネアザミ、エノキグサのような広葉雑草などの各種有害雑草を防除することが可能である。また、雑草の発芽前或は発芽後のいずれの時期に施用しても、良好な効果を発揮することが可能である。
【0015】
本発明の除草組成物は、土壌処理、茎葉処理、灌水処理、湛水処理の種々の散布形態を選択することが可能であり、畑地、果樹園、水田等の農耕地、或は、畦畔、休耕地、運動場、空き地、森林、工場敷地、線路脇、道路脇等の非農耕地における有害植物の防除に有用である。
【0016】
また、本発明の目的に適合するかぎり、前記した有効成分以外に更に別の除草有効成分を含有することができ、これにより適用草種の範囲、薬剤処理の時期、除草活性等を、より好ましい方向へ改良できる場合がある。当該別の除草有効成分としては、例えば以下のような化合物(一般名:一部ISO申請中を含む、又は開発コード)が例示できるが、特に記載がない場合であってもこれら化合物に塩、アルキルエステル、光学異性体等が存在する場合は、当然それらも含まれる。
【0017】
(1)2,4−D、2,4−DB、2,4-DP、MCPA、MCPB、MCPP、ナプロアニリド(naproanilide)、クロメプロップ(clomeprop)のようなフェノキシ系、2,3,6−TBA、ジカンバ(dicamba)、ジクロベニル(dichlobenil)、ピクロラム(picloram)、トリクロピル(triclopyr)、クロピラリド(clopyralid)、アミノピラリド(aminopyralid)のような芳香族カルボン酸系、その他ナプタラム(naptalam)、ベナゾリン(benazolin)、キンクロラック(quinclorac)、キンメラック(quinmerac)、ダイフルフェンゾピル(diflufenzopyr)、チアゾピル(thiazopyr)などのように植物のホルモン作用を攪乱することで除草効力を示すとされているもの。
【0018】
(2)クロロトルロン(chlorotoluron)、ジウロン(diuron)、フルオメツロン(fluometuron)、リニュロン(linuron)、イソプロチュロン(isoproturon)、メトベンズロン(metobenzuron)、テブチウロン(tebuthiuron)のような尿素系、シマジン(simazine)、アトラジン(atrazine)、アトラトン(atratone)、シメトリン(simetryn)、プロメトリン(prometryn)、ジメタメトリン(dimethametryn)、ヘキサジノン(hexazinone)、メトリブジン(metribuzin)、シアナジン(cyanazine)、アメトリン(ametryn)、シブトリン(cybutryne)、トリアジフラム(triaziflam)、プロパジン(propazine)のようなトリアジン系、ブロマシル(bromacil)、レナシル(lenacil)、ターバシル(terbacil)のようなウラシル系、プロパニル(propanil)、シプロミッド(cypromid)のようなアニリド系、スエップ(swep)、デスメディファム(desmedipham)、フェンメディファム(phenmedipham)のようなカーバメート系、ブロモキシニル(bromoxynil)、ブロモキシニル・オクタノエート(bromoxynil-octanoate)、アイオキシニル(ioxynil)のようなヒドロキシベンゾニトリル系、その他ピリデート(pyridate)、ベンタゾン(bentazone)、アミカルバゾン(amicarbazone)、メタゾール(methazole)などのように植物の光合成を阻害することで除草効力を示すとされているもの。
【0019】
(3)それ自身が植物体中でフリーラジカルとなり、活性酸素を生成させて速効的な除草効力を示すとされているパラコート(paraquat)、ジクワット(diquat)のような4級アンモニウム塩系。
【0020】
(4)ニトロフェン(nitrofen)、クロメトキシフェン(chlomethoxyfen)、ビフェノックス(bifenox)、アシフルオルフェンナトリウム塩(acifluorfen-sodium)、ホメサフェン(fomesafen)、オキシフルオルフェン(oxyfluorfen)、ラクトフェン(lactofen)、エトキシフェンエチル(ethoxyfen-ethyl)のようなジフェニルエーテル系、クロルフタリム(chlorphthalim)、フルミオキサジン(flumioxazin)、フルミクロラックペンチル(flumiclorac-pentyl)、フルチアセットメチル(fluthiacet-methyl)のような環状イミド系、その他オキサジアルギル(oxadiargyl)、オキサジアゾン(oxadiazon)、スルフェントラゾン(sulfentrazone)、カルフェントラゾンエチル(carfentrazone-ethyl)、チジアジミン(thidiazimin)、ペントキサゾン(pentoxazone)、アザフェニジン(azafenidin)、イソプロパゾール(isopropazole)、ピラフルフェンエチル(pyraflufen-ethyl)、ベンズフェンジゾン(benzfendizone)、ブタフェナシル(butafenacil)、メトベンズロン(metobenzuron)、シニドンエチル(cinidon-ethyl)、フルポキサム(flupoxam)、フルアゾレート(fluazolate)、プロフルアゾール(profluazol)、ピラクロニル(pyrachlonil)、フルフェンピルエチル(flufenpyr-ethyl)、ベンカルバゾン(bencarbazone)などのように植物のクロロフィル生合成を阻害し、光増感過酸化物質を植物体中に異常蓄積させることで除草効力を示すとされているもの。
【0021】
(5)ノルフルラゾン(norflurazon)、クロリダゾン(chloridazon)、メトフルラゾン(metflurazon)のようなピリダジノン系、ピラゾレート(pyrazolate)、ピラゾキシフェン(pyrazoxyfen)、ベンゾフェナップ(benzofenap)、トプラメゾン(topramezone、BAS−670H)、ピラスルフォトール(pyrasulfotole)のようなピラゾール系、その他アミトロール(amitrol)、フルリドン(fluridone)、フルルタモン(flurtamone)、ジフルフェニカン(diflufenican)、メトキシフェノン(methoxyphenone)、クロマゾン(clomazone)、スルコトリオン(sulcotrione)、メソトリオン(mesotrione)、テンボトリオン(tembotrione)、テフリルトリオン(tefuryltrione、AVH−301)、イソキサフルトール(isoxaflutole)、ジフェンゾコート(difenzoquat)、イソキサクロロトール(isoxachlortole)、ベンゾビシクロン(benzobicyclon)、ピコリナフェン(picolinafen)、ビフルブタミド(beflubutamid)などのようにカロチノイドなどの植物の色素生合成を阻害し、白化作用を特徴とする除草効力を示すとされているもの。
【0022】
(6)ジクロホップメチル(diclofop-methyl)、フラムプロップエムメチル(flamprop-M-methyl)、ピリフェノップナトリウム塩(pyriphenop-sodium)、フルアジホップブチル(fluazifop-butyl)、ハロキシホップメチル(haloxyfop-methyl)、キザロホップエチル(quizalofop-ethyl)、シハロホップブチル(cyhalofop-butyl)、フェノキサプロップエチル(fenoxaprop-ethyl)、メタミホッププロピル(metamifop-propyl)のようなアリールオキシフェノキシプロピオン酸系、アロキシジムナトリウム塩(alloxydim-sodium)、クレソジム(clethodim)、セトキシジム(sethoxydim)、トラルコキシジム(tralkoxydim)、ブトロキシジム(butroxydim)、テプラロキシジム(tepraloxydim)、カロキシジム(caloxydim)、クレフォキシジム(clefoxydim)、プロホキシジム(profoxydim)のようなシクロヘキサンジオン系などのようにイネ科植物に特異的に除草効力が強く認められるもの。
【0023】
(7)クロリムロンエチル(chlorimuron-ethyl)、スルホメツロンメチル(sulfometuron-methyl)、プリミスルフロンメチル(primisulfuron-methyl)、ベンスルフロンメチル(bensulfuron-methyl)、クロルスルフロン(chlorsulfuron)、メトスルフロンメチル(metsulfuron-methyl)、シノスルフロン(cinosulfuron)、ピラゾスルフロンエチル(pyrazosulfuron-ethyl)、アジムスルフロン(azimsulfuron)、フラザスルフロン(flazasulfuron)、リムスルフロン(rimsulfuron)、イマゾスルフロン(imazosulfuron)、シクロスルファムロン(cyclosulfamuron)、プロスルフロン(prosulfuron)、フルピルスルフロン(flupyrsulfuron)、トリフルスルフロンメチル(triflusulfuron-methyl)、ハロスルフロンメチル(halosulfuron-methyl)、チフェンスルフロンメチル(thifensulfuron-methyl)、エトキシスルフロン(ethoxysulfuron)、オキサスルフロン(oxasulfuron)、エタメトスルフロン(ethametsulfuron)、イオドスルフロン(iodosulfuron)、スルフォスルフロン(sulfosulfuron)、トリアスルフロン(triasulfuron)、トリベヌロンメチル(tribenuron-methyl)、トリトスルフロン(tritosulfuron)、フォーラムスルフロン(foramsulfuron)、トリフルオキシスルフロン(trifloxysulfuron)、イソスルフロンメチル(isosulfuron-methyl)、メソスルフロンメチル(mesosulfuron-methyl)、オルソスルファムロン(orthosulfamuron)、フルセトスルフロン(flucetosulfuron)、アミドスルフロン(amidosulfuron)、TH−547、国際公開公報 WO 2005092104に記載されている化合物のようなスルホニルウレア系、フルメツラム(flumetsulam)、メトスラム(metosulam)、ジクロスラム(diclosulam)、クロランスラムメチル(cloransulam-methyl)、フロラスラム(florasulam)、メトスルファム(metosulfam)、ペノキススラム(penoxsulam)のようなトリアゾロピリミジンスルホンアミド系、イマザピル(imazapyr)、イマゼタピル(imazethapyr)、イマザキン(imazaquin)、イマザモックス(imazamox)、イマザメス(imazameth)、イマザメタベンズ(imazamethabenz)、イマザピック(imazapic)のようなイミダゾリノン系、ピリチオバックナトリウム塩(pyrithiobac-sodium)、ビスピリバックナトリウム塩(bispyribac-sodium)、ピリミノバックメチル(pyriminobac-methyl)、ピリベンゾキシム(pyribenzoxim)、ピリフタリド(pyriftalid)、ピリミスルファン(pyrimisulfan、KUH−021)のようなピリミジニルサリチル酸系、フルカーバゾン(flucarbazone)、プロカーバゾンソディウム(procarbazone-sodium)のようなスルホニルアミノカルボニルトリアゾリノン系、その他グリホサート(glyphosate)、グリホサートアンモニウム塩(glyphosate-ammonium)、グリホサートイソプロピルアミン塩(glyphosate-isopropylamine)、スルホサート(sulfosate)、グルホシネート(glufosinate)、グルホシネートアンモニウム塩(glufosinate-ammonium)、ビラナホス(bilanafos)などのように植物のアミノ酸生合成を阻害することで除草効力を示すとされているもの。
【0024】
(8)トリフルラリン(trifluralin)、オリザリン(oryzalin)、ニトラリン(nitralin)、ペンディメタリン(pendimethalin)、エタルフルラリン(ethalfluralin)、ベンフルラリン(benfluralin)、プロジアミン(prodiamine)のようなジニトロアニリン系、ベンスリド(bensulide)、ナプロナミド(napronamide)、プロナミド(pronamide)のようなアミド系、アミプロホスメチル(amiprofos-methyl)、ブタミホス(butamifos)、アニロホス(anilofos)、ピペロホス(piperophos)のような有機リン系、プロファム(propham)、クロルプロファム(chlorpropham)、バーバン(barban)のようなフェニルカーバメート系、ダイムロン(daimuron)、クミルロン(cumyluron)、ブロモブチド(bromobutide)のようなクミルアミン系、その他アシュラム(asulam)、ジチオピル(dithiopyr)、チアゾピル(thiazopyr)、カフェンストロール(cafenstrole)、インダノファン(indanofan)などのように植物の細胞有糸分裂を阻害することで除草効力を示すとされているもの。
【0025】
(9)アラクロール(alachlor)、メタザクロール(metazachlor)、ブタクロール(butachlor)、プレチラクロール(pretilachlor)、メトラクロール(metolachlor)、S−メトラクロール(S-metolachlor)、テニルクロール(thenylchlor)、ペトキサマイド(pethoxamid)、アセトクロール(acetochlor)、プロパクロール(propachlor)、プロピソクロール(propisochlor)のようなクロロアセトアミド系、モリネート(molinate)、ジメピペレート(dimepiperate)、ピリブチカルブ(pyributicarb)のようなカーバメート系、その他エトベンザニド(etobenzanid)、メフェナセット(mefenacet)、フルフェナセット(flufenacet)、トリディファン(tridiphane)、フェントラザミド(fentrazamide)、オキサジクロメフォン(oxaziclomefone)、ジメテナミド(dimethenamid)、ベンフレセート (benfuresate)などのように植物のタンパク質生合成あるいは脂質生合成を阻害することで除草効力を示すとされているもの。
【0026】
(10)EPTC、ブチレート(butylate)、ベルノレート(vernolate)、ペブレート(pebulate)、シクロエート(cycloate)、プロスルホカルブ(prosulfocarb)、エスプロカルブ(esprocarb)、チオベンカルブ(thiobencarb)、ジアレート(diallate)、トリアレート(triallate)のようなチオカーバメート系、その他MSMA、DSMA、エンドタール(endothall)、エトフメセート(ethofumesate)、ソディウムクロレート(sodium chlorate)、ペラルゴン酸(pelargonic acid)、ホスアミン(fosamine)、ピノキサデン(pinoxaden)、HOK−201など。
【0027】
(11)Xanthomonas campestrisEpicoccosurus nematosurusExserohilum monoserasDrechsrela monocerasなどのように植物に寄生することで除草効力を示すとされているもの。
【0028】
本発明の除草組成物は、有効成分である化合物A又は化合物Bを、通常の農薬の製剤方法に準じて各種補助剤と配合し、粉剤、粒剤、顆粒水和剤、水和剤、錠剤、丸剤、カプセル剤(水溶性フィルムで包装する形態を含む)、水性懸濁剤、油性懸濁剤、マイクロエマルジョン製剤、サスポエマルジョン製剤、水溶剤、乳剤、液剤、ペースト剤などの種々の形態に製剤調製し、施用することができるが、本発明の目的に適合するかぎり、通常の当該分野で用いられているあらゆる製剤形態にすることができる。
製剤調製に際しては、化合物Aと化合物Bとを一緒に混合し、製剤調製しても、或はそれらを別々に製剤調製し、施用時に混合してもよい。
【0029】
製剤に使用する補助剤としては、珪藻土、消石灰、炭酸カルシウム、タルク、ホワイトカーボン、カオリン、ベントナイト、カオリナイト及びセリサイトの混合物、クレー、炭酸ナトリウム、重曹、芒硝、ゼオライト、澱粉のような固形担体;水、トルエン、キシレン、ソルベントナフサ、ジオキサン、アセトン、イソホロン、メチルイソブチルケトン、クロロベンゼン、シクロヘキサン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、アルコールのような溶剤;脂肪酸塩、安息香酸塩、ポリカルボン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキル硫酸塩、アルキルアリール硫酸塩、アルキルジグリコールエーテル硫酸塩、アルコール硫酸エステル塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、アリールスルホン酸塩、リグニンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、ポリスチレンスルホン酸塩、アルキルリン酸エステル塩、アルキルアリールリン酸塩、スチリルアリールリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールリン酸エステル塩、ポリオキシエチレンアリールエーテルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、アルキルナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物の塩のような陰イオン系の界面活性剤や展着剤;ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸ポリグリセライド、脂肪酸アルコールポリグリコールエーテル、アセチレングリコール、アセチレンアルコール、オキシアルキレンブロックポリマー、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンスチリルアリールエーテル、ポリオキシエチレングリコールアルキルエーテル、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシプロピレン脂肪酸エステルのような非イオン系の界面活性剤や展着剤;オリーブ油、カポック油、ひまし油、シュロ油、椿油、ヤシ油、ごま油、トウモロコシ油、米ぬか油、落花生油、綿実油、大豆油、菜種油、亜麻仁油、きり油、液状パラフィンのような植物油や鉱物油などが挙げられる。これら補助剤の各成分は、本発明の目的から逸脱しないかぎり、1種又は2種以上を適宜選択して使用することができる。また、前記した補助剤以外にも当該分野で知られたものの中から適宜選んで使用することもでき、例えば、増量剤、増粘剤、沈降防止剤、凍結防止剤、分散安定剤、薬害軽減剤、防黴剤、発泡剤、崩壊剤、結合剤など通常使用される各種補助剤も使用することができる。本発明の除草組成物における有効成分と各種補助剤との配合割合は0.001:99.999〜95:5、望ましくは0.005:99.995〜90:10程度とすることができる。
【0030】
本発明の除草組成物の施用方法は、種々の方法を採用でき、施用場所、製剤形態、防除対象植物の種類や生育状況などの各種条件に応じて適宜使い分けることができるが、例えば以下のような方法が挙げられる。
1.化合物Aと化合物Bとを一緒に混合し、製剤調製したものをそのまま施用する。
2.化合物Aと化合物Bとを一緒に混合し、製剤調製したものを水等で所定濃度に希釈し、必要に応じて各種展着剤(界面活性剤、植物油、鉱物油など)を添加して施用する。
3.化合物Aと化合物Bとを別々に製剤調製し、各々をそのまま施用する。
4.化合物Aと化合物Bとを別々に製剤調製し、各々を水等で所定濃度に希釈し、必要に応じて各種展着剤(界面活性剤、植物油、鉱物油など)を添加して施用する。
5.化合物Aと化合物Bとを別々に製剤調製したものを水等で所定濃度に希釈する時に混合し、必要に応じて各種展着剤(界面活性剤、植物油、鉱物油など)を添加して施用する。
【0031】
次に、本発明の望ましい態様として、いくつかを例示する。但し、本発明はこれらに限定されるものではない。
(1)2−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イルカルバモイルスルファモイル)−N,N−ジメチルニコチンアミド(化合物A−1と略す)と、N−ターシャリーブチル−6−クロロ−N−エチル−1,3,5−トリアジン−2,4−ジアミン(化合物B−1と略す)とを含有する除草組成物、当該除草組成物の除草有効量を、望ましくない植物又はそれらが生育する場所に施用し、望ましくない植物を防除又はその生育を抑制する方法。
(2)化合物A−1の除草有効量と、化合物B−1の除草有効量とを、望ましくない植物又はそれらが生育する場所に施用し、望ましくない植物を防除又はその生育を抑制する方法。
【実施例】
【0032】
次に本発明除草組成物の製剤例を記載するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
製剤例1
(1) 化合物A−1 1重量部
(2) 化合物B−1 20重量部
(3) スプラジルMNS/90 3重量部
(アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物)
(4) ニューカルゲンBX-C 4重量部
(ジアルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム)
(5) 珪藻土 72重量部
以上の各成分を混合して水和剤を得る。
【0033】
製剤例2
(1) 化合物A−1 1重量部
(2) 化合物B−1 40重量部
(3) スプラジルMNS/90 8重量部
(4) ゲロポンT/36(ポリカルボン酸ナトリウム) 3重量部
(5) カオリン 48重量部
以上の各成分を混合後、水を加えて混練し、押出し造粒、乾燥、整粒して顆粒水和剤を得る。
【0034】
製剤例3
(1) 化合物A−1 0.3重量部
(2) 化合物B−1 7.5重量部
(3) ゲロノールVO/278(グリセリン脂肪酸エステル) 10重量部
(4) 植物油のメチルエステル 80.2重量部
(5) ニューDオルベン(有機ベントナイト) 2重量部
以上の各成分を均一に混合し、ダイノ-ミルで粉砕して、懸濁剤を得る。
【0035】
(註)
スプラジルMNS/90及びゲロポンT/36:ロ−ディア日華(株)製の商品名
ニューカルゲンBX−C:竹本油脂(株)製の商品名
ゲロノールVO/278:ローヌ・プーラン社製の商品名
ニューDオルベン:白石工業(株)製の商品名
【0036】
試験例1
1/1,000,000 haポットに畑作土壌をつめ、各種植物の種子を播種した。その後、植物が一定の葉令((1)メヒシバ 3.6葉期、(2)イチビ 2.8葉期)に達したとき、所定量の除草組成物を300 L/ha相当の水で希釈し、小型スプレーで茎葉処理した。
薬剤処理後、21日目に各種植物の生育状態を肉眼で観察調査し、下記評価基準に従って評価した生育抑制率(%)〔実測値〕及び前記コルビー(Colby)の方法により算出した生育抑制率(%)〔計算値〕を第1表及び第2表に示す。
生育抑制率(%)=0(無処理区同等)〜100(完全枯殺)の抑草率(%)
【0037】
【表1】

【0038】
【表2】

【0039】
試験例2
1/1,000,000 haポットに畑作土壌をつめ、イチビの種子を播種した。その後、イチビが2.9葉期に達したとき、所定量の除草組成物を300 L/ha相当の水で希釈し、小型スプレーで茎葉処理した。
薬剤処理後、21日目にイチビの生育状態を肉眼で観察調査し、前記試験例1と同様に評価した。結果を第3表に示す。
【0040】
【表3】

【0041】
試験例3
1/1,000,000 haポットに畑作土壌をつめ、イチビの種子を播種した。その後、イチビが2.3-2.5葉期に達したとき、所定量の除草組成物を300 L/ha相当の水で希釈し、小型スプレーで茎葉処理した。
薬剤処理後、14日目にイチビの生育状態を肉眼で観察調査し、前記試験例1と同様に評価した。結果を第4表に示す。
【0042】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)2−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イルカルバモイルスルファモイル)−N,N−ジメチルニコチンアミド又はその塩と、(B)N−ターシャリーブチル−6−クロロ−N−エチル−1,3,5−トリアジン−2,4−ジアミン又はその塩とを含有する除草組成物。
【請求項2】
請求項1の除草組成物の除草有効量を、望ましくない植物又はそれらが生育する場所に施用し、望ましくない植物を防除又はその生育を抑制する方法。
【請求項3】
(A)2−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イルカルバモイルスルファモイル)−N,N−ジメチルニコチンアミド又はその塩の除草有効量と、(B)N−ターシャリーブチル−6−クロロ−N−エチル−1,3,5−トリアジン−2,4−ジアミン又はその塩の除草有効量とを、望ましくない植物又はそれらが生育する場所に施用し、望ましくない植物を防除又はその生育を抑制する方法。
【請求項4】
(A)と(B)との混合割合が、(A)1重量部に対し、(B)0.5〜1000重量部である、前記請求項1に記載の除草組成物。
【請求項5】
請求項4の除草組成物の除草有効量を、望ましくない植物又はそれらが生育する場所に施用し、望ましくない植物を防除又はその生育を抑制する方法。
【請求項6】
請求項1に記載された、(A)の除草有効量1〜200g/haと、(B)の除草有効量100〜5000g/haとを、望ましくない植物又はそれらが生育する場所に施用し、望ましくない植物を防除又はその生育を抑制する方法。

【公開番号】特開2007−291055(P2007−291055A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−245898(P2006−245898)
【出願日】平成18年9月11日(2006.9.11)
【出願人】(000000354)石原産業株式会社 (289)
【Fターム(参考)】