説明

除雪作業機のフロント作業具

【課題】フロント作業具に雪が付くことによる作業効率の悪化を防止できる技術を提供しようとする。
【解決手段】フロント作業具1の作業面2に、摩擦係数の低い素材を被覆した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、除雪作業機のフロント作業具に関する。
【背景技術】
【0002】
ホイールローダやトラクタ等に代表される除雪作業機は、車両本体となる走行体の前方にブレードやバケットのフロント作業着が装備され、該フロント作業具で雪を除いて除雪作業を行う(ブレードが備えられるものとして特開2003−13419号参照)。
【特許文献1】特開2003−13419号(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、フロント作業具表面に雪が付いてしまうと、雪の上にさらに雪が付いていき、フロント作業具の重量が重くなって作業効率が悪化する。例えば、ブレード板であれば、前方に雪が堆積して雪をかき分ける効率が悪化し、バケットであればバケットの重量が増して、動作が遅くなるとともに、運搬容量が減少してしまう。もちろん、重量が増すので燃費も悪化する。
【0004】
この発明は、従来技術の以上のような問題に鑑み創案されたもので、フロント作業具に雪が付くことによる作業効率の悪化を防止できる技術を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このため、この発明に係る除雪作業機のフロント作業具は、作業面に、摩擦係数の低い素材を被覆することを特徴とする。
【0006】
ここで、フロント作業具の作業面とは、除雪作業を行う際、もっぱら雪が当接する面をいい、例えば作業具がブレードであればブレード前面、バケットであれば内側面をいう。もっとも、その面以外を同様の構造としても良いことは言うまでもない。また、摩擦係数の低い素材とは、例えばフッ素等である。
【0007】
この発明では、フロント作業具の作業面に、摩擦係数の低い素材を被覆しているので、除雪作業時にその作業面に雪が触れても、雪が張り付くことが極端に低減する。
【0008】
さらに、フロント作業具の任意の箇所に加温部材を配置させても良い。配置の形態は、作業具の作業面の下に埋設したり、作業面裏側に当接させたりする等、種々の態様が考えられるが、いずれの形態の場合も、フロント作業具自体が加温され、作業面への着雪がより有効に防止できる。加温部材としては、後述する形態例に示す電熱線の他、温度調整媒体を流す温水流路、温油流路などが考えられる。温水流路や温油流路の場合、そこに専用の温度調整媒体を流しても良いが、媒体として、車両の種々の動作によって高温となる作動油やエンジン冷却後の高温冷却水などを用いれば、既存媒体の有効活用が図れるほか、コスト上有益となる。
【発明の効果】
【0009】
この発明は、フロント作業具に雪が付くことが低減するので、従来問題となっていた、雪が堆積して除雪作業の効率が悪化する、さらには重量が増加して燃費が悪化する、といったことが大幅に改善される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
この発明の具体的な一形態例を図面を用いて説明する。なお、適用対象となる車両、作業具を含め本発明が以下の形態例に限定されないことは当然である。
【0011】
本形態例は、図1(a)に示すような、除雪用ホイールローダに適用される例である。この除雪用ホイールローダは、その前方にフロント作業具であるバケット1が備えられる。該バケット1により、雪をすくい込み、運搬して、除雪作業を行う。
【0012】
このバケット1は、金属板により形成されるが(金属板層4)、作業面となる内側面2には、同図(b)に示すように、フッ素が被覆されている(フッ素被覆層3)。なお、被覆素材は摩擦係数の低い素材であれば、他の素材でも良い。また、金属板の上面側には、加熱部材である電熱線5が埋め込まれている。該電熱線5は、図示しない重量検知センサにより、金属面に所定の重さが検知されたとき、電流が流れるように制御される。なお、加熱部材である電熱線5に換えて、油圧配管やエンジン冷却水の配管を延長させ、その延長部分をその場所に配置させても良いし、さらにその延長部分の配管を作業面裏側ないしその他の箇所に当接させる形態としても良い。作動油やエンジン冷却水は高温となっており、それらをバケット1内まで循環させれば、電熱線5と同様の効果が得られるのみならず、既存の媒体を有効に利用でき、かつコストも低廉で済むメリットがある。
【0013】
本形態例のバケット1は、以上のように構成され、内側面2はフッ素で被覆されるので摩擦係数が極端に低くなっており、雪が表面に張り付くことがほとんどなくなる。雪質によって張り付くことがあっても、所定重さ以上張り付けば、金属板内の電熱線5に電流が流れ、内側面2の温度が上昇するので、すぐに雪は解けることになる。これにより、除雪作業時にバケット1内(内側面2)に雪が堆積することがまったくなくなり、雪による重量増加、それによる除雪作業効率の悪化、さらには燃費の悪化という問題はすべて解消されることになる。
【産業上の利用可能性】
【0014】
この発明は、フロント作業具を備える、あらゆる除雪用車両に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る一実施形態例の説明図であり、(a)は除雪用ホイールローダの全体図、(b)はバケット内側面のX−X断面図である。
【符号の説明】
【0016】
1 バケット(フロント作業具)
2 内側面(作業面)
3 フッ素被覆層
4 金属板層
5 電熱線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業面に、摩擦係数の低い素材を被覆することを特徴とする除雪作業機のフロント作業具。
【請求項2】
作業具の任意箇所に、加温部材を配置させたことを特徴とする請求項1の除雪作業機のフロント作業具。

【図1】
image rotate