説明

除雪機の除雪部内面構造

【課題】 本発明は、オーガの回転により掻き集めた雪をブロアで吸引してシュートから放出する除雪部の雪の滑走面となる部分に、摩擦抵抗の低い樹脂部材に代えてステンレス鋼板を溶接した除雪機の除雪部内面構造を得ることを目的とする。
【解決手段】 本発明の除雪機の除雪部内面構造は、オーガ7の回転により掻き集めた雪をブロア8吸引してシュート9から放出する除雪部10が車体の前部に配設されている除雪機において、掻き集めた雪を吸引して放出する際に雪の滑走面となる部分に、羽根部材15との隙間αを0.5mmとして摩擦抵抗の低いステンレス鋼板17、18、20が溶接固定されているものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オーガの回転により掻き集めた雪をブロアで吸引してシュートから放出する除雪部が車体の前部に配設されている除雪機において、雪の滑走面となる除雪機の除雪部内面構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の除雪機において、オーガにより掻き集められた雪を吸引して放出するためのブロアのケーシングやシュートは、通常、板金によって製造されており、除雪時に雪の滑走面となるブロアケーシング内面やシュートの内面にはメラニン系の塗料が焼付け塗装されている。
ところが、湿気の多いベタ雪を除雪するような場合、オーガにより掻き集めた雪をブロアで吸引してシュートから放出する際に、雪の滑走面となるブロアケーシングやシュートの内面に雪が付着してブロア内やシュート内に雪が詰まったりすることで除雪不能となることがある。
また、砂や砕石が混じった雪を除雪することで、ブロアケーシングやシュートの内面側の焼付け塗装が剥げてしまって、金属面が剥き出しとなることで錆び易くなると共に、そのように焼付け塗装が剥げたり金属面が錆びたりすることで雪の滑りが悪くなって更に雪が詰まり易くなるという問題も引き起こす。
そのため、掻き集めた雪を吸引して放出する際に雪の滑走面となる部分の少なくとも一部で、金属製の本体部材の内面側に、摩擦抵抗の低い樹脂部材が内面部材として取り付けることが公知となっている(特許文献1を参照)。
【特許文献1】特開2002‐13114号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、オーガの回転により掻き集めた雪をブロアで吸引してシュートから放出する除雪部が車体の前部に配設されている除雪機において、除雪部の雪の滑走面となる部分に、摩擦抵抗の低い樹脂部材に代えてステンレス鋼板を溶接した除雪機の除雪部内面構造を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の除雪機の除雪部内面構造は、オーガの回転により掻き集めた雪をブロアで吸引してシュートから放出する除雪部が車体の前部に配設されている除雪機において、掻き集めた雪を吸引して放出する際に雪の滑走面となる部分に、羽根部材との隙間αを0.5mmとして摩擦抵抗の低いステンレス鋼板が溶接固定されているものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明の除雪機の除雪部内面構造によれば、ベタ雪を除雪する場合でも雪の滑走面となる部分に摩擦抵抗の低いステンレス鋼板を溶接していることから、掻き集めた雪を少ない摩擦抵抗でスムーズに吸引して放出することができて、そのため除雪時に雪詰まりを起こしたりすることなく、雪を遠くへ飛ばすことができると共に、除雪時のエンジン負荷を軽減することができる。
本発明の除雪機の除雪部内面構造によれば、砂や砕石が混じった雪を除雪しても内面部材として溶接されているステンレス鋼板によって、除雪部の金属製の本体部材の内面側を充分に保護することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の除雪機の除雪部内面構造の実施例を図面に基づいて、以下に説明する。
図1は、除雪機の全体を示す側面図であり、除雪機1はエンジン2や燃料タンク3を備えた駆動部4と、左右一対のクローラ走行装置5による走行部6と、オーガ7とブロア8とシュート9による除雪部10と、ハンドルや各種の操作レバーを備えた操作部11とから構成されてなる。
前記走行部6の上方に駆動部4を搭載した車体に対し、車体の前方に除雪部10が配設され、車体の後部に操作部11が配設されている。
オーガ7の回転により掻き集めた雪を吸引して排出するブロア8のケーシング(インペラケース12と排出ダクト13)と、ブロア8から排出された雪を案内して遠くに放出するシュート9とは、何れも除雪作業の際に雪の滑走面となる部分であり、本体部材が板金により形成されている。
【0007】
図2,3に示すように、ブロア8はインペラケース12と排出ダクト13を溶接等により一体的に結合した板金製のブロアケーシングと、回転基板14上に3個の羽根部材15を溶接等で一体結合した板金製のインペラ16とからなる。
前記ブロアケーシングでは、インペラ16の回転軌跡に沿った円周方向の周壁を持つインペラケース12に対して、略垂直方向で上方に延びる煙突状の排出ダクト13がインペラケース12の周壁の片側上部に接続されている。
【0008】
そのような板金製のブロアケーシング(インペラケース12と排出ダクト13)に対して、図2,3に示すようにインペラ16の回転軌跡に沿った円周方向に延びるインペラケース12の周壁の内面側には、羽根部材15との隙間αを0.5mmとして帯状のステンレス鋼板17が周壁の内面に沿うように丸められた状態で溶接されている。
また、煙突状に形成された排出ダクト13の内面側には、筒状のステンレス鋼板18が溶接されている。
【0009】
さらに、図4,5に示すように、ブロア8の排出ダクト13の上端に連結されるシュート9では、横断面コ字状のシュート本体19の略内面に沿って、横断面コ字状のステンレス鋼板20が配設されており、シュート本体19の両縁部に一対のホルダー部材21がネジ止めされていて、ステンレス鋼板20はその長手方向両側縁のそれぞれでシュート本体19とホルダー部材21により挟持された状態で固定される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の除雪機の全体を示す側面図である。
【図2】本発明のブロアの構造を示す図1の部分拡大正面断面図である。
【図3】本発明のインペラの構造を示す図4の部分拡大縦断面図である。
【図4】本発明のシュートの全体を示す側面図である。
【図5】本発明のシュートのB-B断面図である。
【符号の説明】
【0011】
1 除雪機
2 エンジン
3 燃料タンク
4 駆動部
5 クローラ走行装置
6 走行部
7 オーガ
8 ブロア
9 シュート
10 除雪部
11 操作部
12 インペラケース
13 排出ダクト
14 回転基板
15 羽根部材
16 インペラ
17 ステンレス鋼板
18 ステンレス鋼板
19 シュート本体
20 ステンレス鋼板
21 ホルダー部材




【特許請求の範囲】
【請求項1】
オーガの回転により掻き集めた雪をブロアで吸引してシュートから放出する除雪部が車体の前部に配設されている除雪機において、掻き集めた雪を吸引して放出する際に雪の滑走面となる部分に、羽根部材との隙間αを0.5mmとして摩擦抵抗の低いステンレス鋼板が溶接固定されていることを特徴とする除雪機の除雪部内面構造。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2006−283456(P2006−283456A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−106686(P2005−106686)
【出願日】平成17年4月1日(2005.4.1)
【出願人】(505098960)
【Fターム(参考)】