説明

陸上交通車両における広告方法

【課題】陸上交通車両の車体そのものを広告媒体として利用するとともに、広告掲示板として発光ダイオードプレートを使用し、陸上交通車両の走行時や停車時に広告情報をスクロール表示することにより、広告情報を移動させて広告効果を高めた新規な陸上交通車両における広告方法を提供する。
【解決手段】陸上交通車両としての路線バス1における窓部3を除く車体外側面4に広告掲示板として発光ダイオードプレート2を設置し、該発光ダイオードプレート2において、広告情報をスクロールさせながら点灯表示する陸上交通車両における広告方法を提供する。そして、発光ダイオードプレート2を陸上交通車両としての路線バス1における運転席より後方に設置し、発光ダイオードプレート2を、設置する陸上交通車両の全幅寸法及び全高寸法内に収まるように設置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、路線バス,貸切バスや路面電車等の各種陸上交通車両において、陸上交通車両の車体そのものを広告媒体として利用するとともに、広告掲示板として発光ダイオードプレートを使用し、陸上交通車両の走行時や停車時に広告情報をスクロール表示することにより、広告情報を移動させて広告効果を高めた新規な陸上交通車両における広告方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
バスは、多人数の旅客を輸送する公共交通の一翼を担う重要な交通機関であり、日常生活の足として広く利用されている。近時は高速道路の全国的な整備拡充と相俟って、都市間交通の旗頭として長距離・長時間の乗車が飛躍的に増加している。しかしながら、従前通り、通勤・通学・買い物その他の日常生活を営むための路線バスも日常生活の足として利用されている。同様に路面電車も日常生活の足として利用されている。そのため、路線バス,路面電車,コミュニティバス,貸切バス,高速バス,タクシー,トラック,配送車や電車等の陸上交通車両は、日常生活における街中において最も目にする機会が多く一般に広く親しまれている交通機関といえる。
【0003】
これらの陸上交通車両を広告媒体として利用することは従前より広く行われており、車内の吊り看板、車外のペイント看板、車体そのもののペイント、或いはペイントに代えてフィルムを使用する手段も提供されている。また、バス、トラック、タクシー及び各種の電車等の車外及び一部の車内に張着するプリントシートに広告面を有するマグネット広告板であって、ビニール製のプリントシートより構成され、該プリントシートには、表面に広告面を有し、裏面には、マグネット合金の粉末に接着剤を混合した磁力性の高い液状の磁力シートを塗着した広告板本体からなる車両取着用マグネット広告板も提供されている(特許文献1)。
【0004】
更に、各種のバス、列車等に装設される中吊り広告及び車外の車両側面広告、ペイント広告等に代えて、内部に携帯電話機能及びパーソナルコンピュータ機能装置等を内蔵したモバイルパネルを車内及び車外に設置し、モバイルパネルに外部から無線により広告用の映像を送信して映すモバイルパネルによる車両の車外広告掲示板も提供されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−160457号
【特許文献2】特開2010−26474号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記した車内の吊り看板、車外のペイント看板、車体そのもののペイントやフィルムを使用する手段や特許文献1に示すマグネット広告板を使用した広告方法では、広告媒体として新鮮みに欠け、しかも一定量の広告情報しか掲示することができないため、看者に対するアピールが少ない。また、広告宣伝内容の更新に手間がかかり、時期を得た最新の広告情報を掲示することができないため看者の注意を引くことが少ない。即ち、広告内容の変更に柔軟性がないため、広告期間が長期に亘ってしまい、広告内容が陳腐化してしまうことがあった。
【0007】
また、特許文献2に示すモバイルパネルによる車両の車外広告掲示板を使用すれば、広告情報を遠隔地から自在に最新の広告情報に更新することができ、又表示する広告量にも制限がない。しかしながら、設備投資に多大の費用を必要とし、又走行や停車を繰り返す陸上交通車両の車外に設置する広告看板としては決して見やすいものではなく、歩行者や他の走行車両からの注意を引くことが困難である。
【0008】
屋外において看者の注意を引きやすく、広告情報の伝達が容易であるとともに、広告情報をスクロールさせることにより、広告情報を常に最新の内容に更新したり、変更することができる広告手段として、発光ダイオードを使用した広告掲示板が知られている。例えば、ビルの外壁に設置した広告掲示板にニュースや商品情報をスクロール表示させている光景はよく知られている。
【0009】
従来、路線バスや貸切バス等のバスの車外においては、道路運送法上、発光ダイオードを使用して各種情報をスクロールさせながら走行させることは認められていなかった。バスにおける発光ダイオードを使用した情報伝達は、停車時におけるドアの開放時においてのみ、行き先等をオレンジ系統の色彩で表示することは認められていた。そのため、バス等の陸上交通車両において、広告情報をスクロールさせながら、発光させて表示する発光ダイオードを使用した広告掲示板は全く提供されていなかった。
【0010】
ところが、近時規制緩和により、バス等の陸上交通車両の走行中における発光ダイオードの点灯表示が認められるようになった。陸上交通車両、特に路線バスは一般的に街中の目抜き通りを循環又は往復して走行しており、又その車体は大型であるため、歩行者や走行車両の目にとまりやすく、絶好の移動広告媒体であるといえる。そこで、本発明者らは規制緩和された発光ダイオードによる発光したスクロール表示と、路線バス等の陸上交通車両を結びつけ、従来の陸上交通車両における広告方法の課題を解決することの発想を得た。
【0011】
本発明者らは上記発想に基づいて、従来の課題を解決するために、バス等の陸上交通車両の車体そのものを広告媒体として利用するとともに、広告掲示板として発光ダイオードプレートを使用し、陸上交通車両の走行時や停車時に広告情報をスクロール表示することにより、広告情報を移動させて広告効果を高めた新規な陸上交通車両における広告方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は上記目的を達成するために、陸上交通車両における窓部を除く車体外側面に広告掲示板として発光ダイオードプレートを設置し、該発光ダイオードプレートにおいて、広告情報をスクロールさせながら点灯表示する陸上交通車両における広告方法を基本として提供する。そして、発光ダイオードプレートを陸上交通車両における運転席より後方に設置し、発光ダイオードプレートを、設置する陸上交通車両の全幅寸法及び全高寸法内に収まるように設置する。
【0013】
また、発光ダイオードプレートとして、高さ400mm×幅3000mm以内の発光ダイオードプレートを1又は複数設置し、広告情報として文字又は図形情報を使用する。更に、広告情報のスクロール速度を陸上交通車両の走行速度に応じて変更し、広告情報を陸上交通車両の走行時間に応じて変更する。陸上交通車両として路線バス,コミュニティバス,貸切バス,高速バス,タクシー,トラック,配送車,電車又は路面電車を使用する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、目に触れやすい大型の路線バス等の陸上交通車両の車体外側面に設置した発光ダイオードプレートに各種の広告情報を陸上交通車両の移動中及び停止中の双方においてスクロールさせて表示するため、歩行者ばかりでなく、他の車両に乗車している人等の看者の注意を引き易いため、広告効果が高い。即ち、移動する陸上交通車両において、スクロールする広告情報を表示するという従来にない斬新な方法で広告を行うため、インパクトが強く、広告効果が高い。しかも広告情報を発光ダイオードプレートを使用してスクロール表示させるため、表示する情報に制限が無く、無限の広告情報を表示することができる。
【0015】
更に、表示すべき広告情報を迅速に交換できるため、時期を得た最新の広告情報を表示することができる。即ち、広告情報の変更に柔軟性を付与することができる。また表示すべき広告情報は電子データであるため、従来必要であった広告情報の変更や広告情報の補修のためのランニングコストが不要であり、広告費用を低廉化させることができる。更に、1枚の発光ダイオードプレートを複数の広告主で共有することが可能であり、従来の限られた広告情報掲載面積を無限に拡大することができる。また、路線バスに限らず、陸上交通車両であれば、幅広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明にかかる陸上交通車両における広告方法を実施した陸上交通車両の側面図。
【図2】発光ダイオードプレートの装着例を示す要部断面図。
【図3】本発明にかかる広告方法を示すチャート図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下図面に基づいて本発明にかかる陸上交通車両における広告方法の実施形態を説明する。図1は本発明にかかる陸上交通車両における広告方法を実施した陸上交通車両の側面図である。図において、1は陸上交通車両としての路線バスである。本実施形態では陸上交通車両として路線バス1を使用して説明するが、本発明を適用可能な陸上交通車両としては、路線バス1の他にコミュニティバス,貸切バス,高速バス等のバス車両、或いはタクシー,トラック,配送車,電車又は路面電車が挙げられる。
【0018】
この路線バス1の運転席より後方の窓部3を除く車体外側面4に、広告掲示板として発光ダイオード(LED Light Emitting Diode)を使用した発光ダイオードプレート2を1又は複数設置する。図示例では、ドア5を挟んで窓部3より下面の車体外側面4に発光ダイオードプレート2a,2bを、又屋根部に車体外側面4と平行に発光ダイオードプレート2cを設置している。車体外側面4の反対側にも、同様に発光ダイオードプレート2(図示略)を1又は複数設置している。なお、発光ダイオードプレート2の設置場所は、運転席より後方で窓部3を除いた車体外側面4であれば、任意の箇所に設置することができる。
【0019】
発光ダイオードプレート2は、発光ダイオードプレート2を設置する陸上交通車両である路線バス1の自動車車検証に登録された全幅寸法及び全高寸法内に収まるように設置する。即ち、車体外側面4に突設されている方向指示器等の各種ランプ類より突出しないように、その内側寸法内に位置するように設置する必要がある。車体外側面4の屋根部に設置した発光ダイオードプレート2cについては、屋根部に設置された部材の高さ寸法の下方に設置する必要がある。なお、窓部3には設置することができない。この発光ダイオードプレート2のサイズや形状には限定はなく、設置する車体外側面4の面積に応じて適宜の寸法の発光ダイオードプレート2を選択すればよい。矩形状の発光ダイオードプレート2とする場合は、高さ400mm×幅3000mm以内とすることが適当である。なお、発光ダイオードプレート2を設置する車体外側面4の面積や遵守すべき法令の範囲内であれば、前記寸法以上の寸法サイズの発光ダイオードプレート2を使用することもできる。
【0020】
発光ダイオードプレート2の車体外側面4への取付方法の一例を図2に基づき説明する。先ず、図2に示すように、発光ダイオードプレート2を設置する車体外側面4に上下一対のC型チャンネル部材6,7をステンレス製の螺子8にて固定する。そして、C型チャンネル部材6の上面6aの内側は、車体外側面4に密着した背面6b側に断面L型のアングル材9を、又表面6c側に断面L型のアングル材10をリベット11を使用して、それぞれ垂下面9a,10aを有するように固定する。同様にC型チャンネル部材7の下面7aの内側は、車体外側面4に密着した背面7b側に断面L型のアングル材12を、又表面7c側に断面L型のアングル材13をリベット11を使用して、それぞれ垂直面12a,13aを有するように固定する。
【0021】
そして、アングル材9の垂下面9aとアングル材12の垂直面12a間に発光ダイオードプレート2を配備し、発光ダイオードプレート2の上端部近傍を車体外側面4の長手方向に一定の間隔でボルト14を使用して垂下面9aに固着するとともに、発光ダイオードプレート2の下端部近傍を車体外側面4の長手方向に一定の間隔でボルト14を使用して垂直面12aに固着することにより、発光ダイオードプレート2をアングル材9,12間に固定する。
【0022】
次に、発光ダイオードプレート2の保護プレートとして、アクリル板15で発光ダイオードプレート2の発光面全面を被覆する。具体的には、アングル材10の垂下面10aと、C型チャンネル部材6の表面6cとの間に形成された間隙にアクリル板15の上端部を挿通し、C型チャンネル部材6の表面6cとアクリル板15とを、C型チャンネル部材6の表面6cの長手方向に一定の間隔でボルト14を使用して固着する。同様に、アングル材13の垂直面13aと、C型チャンネル部材7の表面7cとの間に形成された間隙にアクリル板15の下端部を挿通し、C型チャンネル部材7の表面7cとアクリル板15とを、C型チャンネル部材7の表面7cの長手方向に一定の間隔でボルト14を使用して固着する。このようにして、発光ダイオードプレート2は路線バス1の車体外側面4に設置される。
【0023】
16は発光ダイオードプレート2の裏面に位置する車体外側面4に穿設された配線用孔であり、この配線用孔16を介して発光ダイオードプレート2に必要な電源を供給するとともに、発光ダイオードプレート2に表示する広告情報を入力する。具体的には路線バス1の所定の電源から配線(図示略)を介して必要な電力を発光ダイオードプレート2に供給するとともに、パソコン等のデータ入力機器と発光ダイオードプレート2をデータを供給可能に有線又は無線で連結する。
【0024】
発光ダイオードプレート2は、陸上交通車両の車体外側面4の面積に応じてその数を設定するものとして、色彩としてはオレンジ系統の色彩を使用する。なお、現在の道路運送法ではオレンジ系統の色彩しか許可されていないが、許可された場合は他の色彩を使用する。
【0025】
次に、発光ダイオードプレート2を使用した広告方法について説明する。先ず、ステップAに示すように発光ダイオードプレート2に表示すべき広告情報を広告データとして作成準備する。広告情報としては文字,図形等発光ダイオードプレート2に表示可能な情報であれば、使用することができる。この広告情報は発光ダイオードプレート2においてスクロールさせて表示するものであり、無限の情報を表示することができる。この広告データの作成はバス会社内で行うことができ、走行時間帯や走行区域に応じて複数の広告情報を準備することが可能である。
【0026】
次に、この広告データを路線バス1迄移動させることができるように、ステップBに示すようにフラッシュメモリーその他の記録媒体に保管する。そして、この広告データを保管した記録媒体をステップCに示すように路線バス1迄移送する。そして、ステップDに示すように路線バス1に設置したパソコン等の入力装置に入力する。そして、入力された広告データに基づいてステップEに示すように広告データとして作成された広告情報を設定された表示形式に従って発光ダイオードプレート2にスクロール表示する。
【0027】
広告データには、走行経路や走行時間との関係において複数の広告情報から表示すべき広告情報を選択するための制御データ,走行速度と表示すべき広告情報のスクロール時間やスクロール速度に関する制御データ,発光の程度に関する制御データ等の広告情報を発光ダイオードプレート2に表示するための表示形式に関する制御データも含まれている。例えば、広告情報のスクロール速度を陸上交通車両の走行速度に応じて変更したり、広告情報を陸上交通車両の走行時間に応じて変更する制御データを広告情報とともに広告データとして入力する。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明によれば、目に触れやすい大型の路線バス等の陸上交通車両の車体外側面に設置した発光ダイオードプレートに各種の広告情報を陸上交通車両の移動中及び停止中の双方においてスクロールさせて表示するため、歩行者ばかりでなく、他の車両に乗車している人等の看者の注意を引き易いため、広告効果が高い。即ち、移動する陸上交通車両において、スクロールする広告情報を表示するという従来にない斬新な方法で広告を行うため、インパクトが強く、広告効果が高い。しかも広告情報を発光ダイオードプレートを使用してスクロール表示させるため、表示する情報に制限が無く、無限の広告情報を表示することができる。
【0029】
更に、表示すべき広告情報を迅速に交換できるため、時期を得た最新の広告情報を表示することができる。即ち、広告情報の変更に柔軟性を付与することができる。また表示すべき広告情報は電子データであるため、従来必要であった広告情報の変更や広告情報の補修のためのランニングコストが不要であり、広告費用を低廉化させることができる。更に、1枚の発光ダイオードプレートを複数の広告主で共有することが可能であり、従来の限られた広告情報掲載面積を無限に拡大することができる。また、路線バスに限らず、陸上交通車両であれば、幅広く適用することができる。
【符号の説明】
【0030】
1…路線バス
2…発光ダイオードプレート
3…窓部
4…車体外側面
5…ドア
6,7…C型チャンネル部材
8…螺子
9,10,12,13…アングル材
11…リベット
14…ボルト
15…アクリル板
16…配線用孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
陸上交通車両における窓部を除く車体外側面に広告掲示板として発光ダイオードプレートを設置し、該発光ダイオードプレートにおいて、広告情報をスクロールさせながら点灯表示することを特徴とする陸上交通車両における広告方法。
【請求項2】
発光ダイオードプレートを陸上交通車両における運転席より後方に設置した請求項1記載の陸上交通車両における広告方法。
【請求項3】
発光ダイオードプレートを、設置する陸上交通車両の全幅寸法及び全高寸法内に収まるように設置した請求項1又は2記載の陸上交通車両における広告方法。
【請求項4】
発光ダイオードプレートとして、高さ400mm×幅3000mm以内の発光ダイオードプレートを1又は複数設置した請求項1,2又は3記載の陸上交通車両における広告方法。
【請求項5】
広告情報として文字又は図形情報を使用する請求項1,2,3又は4記載の陸上交通車両における広告方法。
【請求項6】
広告情報のスクロール速度を陸上交通車両の走行速度に応じて変更する請求項1,2,3,4又は5記載の陸上交通車両における広告方法。
【請求項7】
広告情報を陸上交通車両の走行時間に応じて変更する請求項1,2,3,4,5又は6記載の陸上交通車両における広告方法。
【請求項8】
陸上交通車両が路線バス,コミュニティバス,貸切バス,高速バス,タクシー,トラック,配送車,電車又は路面電車である請求項1,2,3,4,5,6又は7記載の陸上交通車両における広告方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−118106(P2012−118106A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−265020(P2010−265020)
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【出願人】(508069187)有限会社タカギ (3)
【Fターム(参考)】