説明

陸揚げコンベアの搬出位置調整システム

【課題】ばら物運搬船からセルフアンローディングシステムによりばら物を陸揚げする場合に埠頭に配置した搬入ホッパの中央位置に合わせた船体から突設した陸揚げコンベアの搬出端のずれを調整する。
【解決手段】陸揚げコンベア3がシャトルコンベアであって、その陸揚げコンベヤ3の搬出端31に備えた搬入ホッパ6との間の距離を測定するための伸縮方向位置センサー8と、この伸縮方向位置センサー8からの測定信号により陸揚げコンベア3の伸縮機構33を制御して陸揚げコンベアを伸縮させる制御装置9とからなる陸揚げコンベア伸縮装置10を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば石炭、鉄鉱石、ウッドチップ、石灰石、穀物などのばら物を運搬する運搬船、特に、セルフアンローディングシステムを備えたばら物運搬船の陸揚げ時における船体の埠頭に対する位置を調整するシステムに関するものであり、詳しくは、陸揚げ時において、船体に備えたばら物搬出に用いるシャトルコンベアからなる陸揚げコンベアの搬出端が埠頭側に備えた搬入ホッパに近接して位置するように調整するシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、セルフアンローディングシステムを備えたばら物運搬船が知られており、このようなばら物運搬船では搬送先の埠頭などに着いた際に、図2に示すように、ばら物運搬船1の船体2に備えられた陸揚げコンベア3の搬出端31を、埠頭4側に備えた搬送コンベア5への搬入ホッパ6に合致させて船内に貯留したばら物を陸揚げするが、ばら物運搬船1は陸揚げ時には、ばら物を陸揚げする埠頭4に所定の間隔を隔てて配置された一対の繋留柱42,42に張架させた繋留ロープ7,7により繋留するのが一般的であるが、潮位の変化や積荷の減少により船体2と埠頭4との間の高さ位置が変化して前記繋留ロープ7,7が弛むと船体2と埠頭4との距離が変化するので船体2に備えられた陸揚げコンベア3の搬出端31と埠頭4側に備えた搬送コンベア5への搬入ホッパ6との距離が変化することになり、運搬物であるばら物が作業ステージ41上にこぼれたり粉塵が飛散する等の問題が生じることになる。
【0003】
一方、例えば特開2005−88835号公報などに提示されているように、従来から船体内にバラストタンクを備えることによりに喫水を保って航海中の船の安定を計ることが行われているが、これらは積荷による船体の偏りや自重の軽減に伴う船体の偏りを解消するものであり、主として航海前に所定の調製をするものであることから、殆どが作業員が手動により調製するものであり、本発明のような短時間の内に刻々と変化する船体の昇降には対処できないものであった。
【0004】
また、特公平7−98513号公報や特開平10−236385号公報等には積荷を陸揚げする際にバラストタンクにより船体を水平に保つ技術が開示されているが、これらは例えば測定した各バラストタンクの水位をもとに積荷の位置などを加味して演算して給排水量を制御するなどきわめて複雑な機構と面倒な制御手段とが必要であるばかりか、対象となる積荷が大重量物であって、潮位の変化や積荷のばら物の減少による比較的長時間にわたって徐々に変位する船体の変化に対応することができないものであった。
【特許文献1】特開2005−88835号公報
【特許文献2】特公平7−98513号公報
【特許文献3】特開平10−236385号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は前記従来の問題点であるばら物運搬船からセルフアンローディングシステムによりばら物を陸揚げする場合に潮位の変化や積載物の減少による埠頭と船体との間隔が変化しても搬入ホッパの中央に合わせた船体から突設したシャトルコンベアである陸揚げコンベアの搬出端がずれることなくばら物がこぼれたり粉塵が飛散するという問題点を解決することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するためになされた本発明は、ばら物運搬船に装備されるセルフアンローディングシステムにおいて積載したばら物を埠頭側に備えた搬入ホッパに搬出する陸揚げコンベアの搬出位置調整手段において、前記陸揚げコンベアがシャトルコンベアであって、その陸揚げコンベヤの搬出端に備えた前記搬入ホッパとの間の距離を測定するための伸縮方向位置センサーと、この伸縮方向位置センサーからの測定信号により前記陸揚げコンベアの伸縮機構を制御して前記陸揚げコンベアを伸縮させる制御装置とからなる陸揚げコンベア伸縮装置を備えたこととした。
【0007】
シャトルコンベアである陸揚げコンベヤの搬出端に備えた前記搬入ホッパとの間の距離を測定するための伸縮方向位置センサーと、この伸縮方向位置センサーからの測定信号により前記陸揚げコンベアの伸縮機構を制御して前記陸揚げコンベアを伸縮させることにより搬出端の位置を調節して搬入ホッパの中央に合わせた前記搬出端がずれることを防止する。
【発明の効果】
【0008】
本発明である陸揚げコンベアの位置調整システムによれば、ばら物運搬船に装備されるセルフアンローディングシステムにより陸揚げする際に、シャトルコンベアである陸揚げコンベアの搬出端を埠頭に配置した搬入ホッパの中央に合わせて陸揚げを開始するだけで、ばら物運搬船が潮位の変化や波浪、更には、船体自身の陸揚げに伴う重量減による喫水変化などにより船体と埠頭との距離が変化したとしても陸揚げコンベアの搬出端と搬入ホッパとの間隔が拡がることなく陸揚げを続けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次に本発明の最良の形態について図面を参照して説明する。
【0010】
図1は本発明の好ましい実施の形態における側面概略を示すものであり、本実施の形態に用いられるばら物運搬船1は船体2に例えば運搬するばら物の貨物室並びに貨物室に貯蔵したばら物をブームコンベアにより形成される陸揚げコンベア3から埠頭4に設置した陸側コンベア5の基端に配置した搬入ホッパ6へ自動的に搬出するセルフアンローディングシステム(図示せず)を備えている。
【0011】
船体2はその船首及び船尾において、ばら物を陸揚げする埠頭4の作業ステージ41に所定の間隔を隔てて配置された一対の繋留柱42,42に張架した繋留ロープ7,7により所定位置に繋留されている。
【0012】
そして、船体2に配置される陸揚げコンベア3が長さ方向に伸縮可能なシャトルコンベアにより形成され、その搬出端31に、搬入ホッパ6との間の距離を測定するための伸縮方向位置センサー8と、この伸縮方向位置センサー8からの測定信号により陸揚げコンベア3に装備された伸縮機構33を制御して陸揚げコンベア3を伸縮させる制御装置9とからなる陸揚げコンベア伸縮装置10を備えている。特に、本実施の形態では、伸縮方向位置センサー8はその対向面に配置されたターゲット81との間の距離Lを測定してその測定信号が前記制御装置9に送信される。
【0013】
従って、本実施の形態によれば、陸揚げの開始時における陸揚げコンベア3の搬出端31が排出ホッパ6の中央部に合致して調製し、このときの搬出端31の排出ホッパ6に配置したターゲット81との間の距離Lを測定して制御装置9に送信した測定信号を基準隙間値として記憶しておき、陸揚げを継続して行っている際に、潮位の変化が生じたり積荷の減少等により船体2と埠頭4との距離が変化して伸縮方向位置センサー8と排出ホッパ6との距離Lが拡がって搬出端31とホッパ6との間隔が拡がると伸縮方向位置センサー8からの信号が制御装置9に送られて、伸縮機構33により陸揚げコンベア3が伸縮して伸縮方向位置センサー8とターゲット81との間の距離Lが元の前記基準隙間値に復帰するので陸揚げ作業中は陸揚げコンベア3の排出端31が船体2の幅方向については常に排出ホッパ6の中央部に位置することになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の好ましい実施の形態を示す平面概略図である。
【図2】従来例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0015】
1 ばら物運搬船、2 船体、3 陸揚げコンベア、4 埠頭、6 搬入ホッパ、7 繋留装置、8 伸縮位置センサー、9 制御装置、33 伸縮機構


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ばら物運搬船に装備されるセルフアンローディングシステムにおいて積載したばら物を埠頭側に備えた搬入ホッパに搬出する陸揚げコンベアの搬出位置調整手段において、前記陸揚げコンベアがシャトルコンベアであって、その陸揚げコンベヤの搬出端に備えた前記搬入ホッパとの間の距離を測定するための伸縮方向位置センサーと、この伸縮方向位置センサーからの測定信号により前記陸揚げコンベアの伸縮機構を制御して前記陸揚げコンベアを伸縮させる制御装置とからなる陸揚げコンベア伸縮装置を備えたことを特徴とする陸揚げコンベアの搬出位置調整手段。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−143300(P2010−143300A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−320422(P2008−320422)
【出願日】平成20年12月17日(2008.12.17)
【出願人】(000005924)株式会社三井三池製作所 (43)
【Fターム(参考)】