説明

障害物の警告及び緩衝材

【課題】 通行に支障のある障害物に簡単に取付けることが可能で、歩行者に対する注意喚起機能と緩衝機能を付与すると共に、安全性を高めること。
【解決手段】 垂れ下がり部Bをもつ障害物の警告及び緩衝材Aを障害物に取り付け、風圧を受けた垂れ下がり部Bが揺動することより視認性を高め、視覚障害者は体の一部に接触することにより障害物が存在することを察知する。不幸にも衝突した場合に於いても緩衝機能が発揮され、人体の損傷を小さくできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、障害物の警告及び緩衝材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、柔軟性を有する材料を用い電柱、道路標識柱、横断歩道橋橋脚等に装着して、歩行者、自転車、自動車の衝突による衝撃を緩和するものは存在したが、視覚障害者に対しても警告を発し、衝突により受ける衝撃を緩和する警告機能と緩衝機能を兼備するものは存在していなかった。
【特許文献1】特開平09−72128
【特許文献2】特開平11−71724
【特許文献3】特開2005−207158
【特許文献4】実開昭63−68693
【特許文献5】実開平02−150438
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の技術では、健常者に対しては視認されることにより警告を発することが可能であり、衝突した場合でも衝撃を緩和する役目は果たしてはいたが、視覚障害者は身体より手に持った白杖を先行させ前方の安全を確認しながら歩行するという歩行形態をとるため、中空に突出する障害物に対しては、無防備であった。
【0004】
本発明は、このような従来の構成が有していた問題を解決しょうとするものであり、中空に突出する障害物に対して健常者は視認することにより、又、視覚障害者は接触によって前方に障害物が存在することを察知できる障害物の警告及び緩衝材を提供し、歩行者の安全な通行を確保することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記の目的を達成するものであり、健常者に対しては風圧を受けた、該警告及び緩衝材の垂れ下がり部が揺動することにより、人間の持つ揺動するものに先に目が向くという行動特性を利用して視認性を高め、前方に障害物が存在することを警告する。視覚障害者には人体に接触することにより警告する。不幸にも障害物に衝突した場合には緩衝材の機能をも兼備する障害物の警告及び緩衝材を提供し歩行者の安全を確保するものである。
【発明の効果】
【0006】
以上述べたように、本発明の前方に存在する障害物に対する警告及び緩衝材は、ゴムあるいは軟質樹脂などの弾性を有する柔軟性材料により形成され、垂れ下がり部が風圧を受け揺動することにより、健常者は目視で視認することが可能であり、視覚障害者は人体に接触することにより前方に障害物が存在することを察知することが可能となる。また不幸にも障害物に衝突したとしても、該警告及び緩衝材は衝撃を受けた場合には弾性変形し緩衝材の効果を倍加させ、その衝撃を吸収して安全性を高めることが可能となる。衝撃を受けた後は弾性を有することにより元の形に復元する。また、夜間の安全性に関しては該警告及び緩衝材の表面に光反射材を塗布または貼着することにより視認性を高めた注意喚起機能を付与し歩行の安全性を向上させる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
この発明を実施するための最良の形態の実施例を複数、図面を参照して説明する。図1は歩道橋Dに障害物の警告及び緩衝材Aを取り付けた一実施例である。視覚に障害をもつ歩行者Gは白杖Hを持ち地面を注意しながら歩行している。しかしながら視覚障害者は白杖Hが先行する歩行形態をとらざるを得ないため、中空に突出する歩道橋階段裏E及び歩道橋階段主桁Fに衝突し、身体を損傷する危険は大であった。そこで本発明は、歩道橋階段裏E及び歩道橋階段主桁Fに障害物の警告及び緩衝材Aを装着し、健常者に対しては垂れ下がり部Bが風圧を受け揺動することにより視認性を高めて前方に障害物が存在することを警告する。また、歩行者Gは障害物である歩道橋Dに装着された障害物の警告及び緩衝材Aの垂れ下がり部Bに人体の一部が接触した時点で中空に突出する障害物の一部であることを察知する。また、車両の操作者および歩行者が不幸にも障害物である歩道橋Dに衝突しても、金属製の歩道橋Dに直接衝突することはなく、本発明の障害物の警告および緩衝材の機能により人体への損傷を少なくすることが可能となる。
【0008】
図2は歩行者Gの目線で歩道橋Dを裏面から見た斜視図である。歩道橋橋脚Jは垂直に立設されているため、健常者及び視覚障害者双方にとって障害物であることを視認または察知することは容易である。しかしながら歩道橋階段裏Eは歩行者の進行方向とは逆向きに地面から上昇して設置されており、遠近感の錯誤により中空に突出する障害物であることを視認または察知するには困難が伴っていた。そこで本発明は道路における歩行頻度の高い側に重点的に障害物の警告及び緩衝材を装着し、歩行者及び自転車の操作者の衝突に対する安全性の向上を計るものである。
【0009】
図3は歩道橋階段主桁Fが露出している場合の一実施例を示す。該障害物の警告及び緩衝材Aはゴムまたは軟質樹脂よりなる弾性体であり、弾性変形する特性を利用し、露出している歩道橋階段主桁Fに嵌合部Cを嵌合させる。障害物の警告及び緩衝材Aと歩道橋階段主桁Fとの接触面には、接着剤を用い固定させることにより、より強固な接着となる。また垂れ下がり部Bに適宣なる切れ目をいれることにより自由な形状、寸法を生み出し、風圧を受けそれぞれが違った動きをなし揺動することにより視認性を高める。
【0010】
図4は歩道橋階段主桁Fが隠蔽構造となっている場合の一実施例を示す。この場合には該障害物の警告及び緩衝材Aに嵌合部Cを設けず、歩道橋階段主桁Fの下面に接着剤を用いて取り付ける。
【0011】
図5は歩行者、自転車、車両に対して進行方向に存在する障害物である工事中の標識、自動販売機、ガードレールの縁部、バス停、トンネルの出入口、門柱、車庫の出入口、防護柵の端部、郵便ポスト、信号機の操作盤、電柱の支柱及び支線など衝突するとその衝撃により人体が損傷する恐れのある障害物に取付けた場合の一実施例を示す。障害物の危険なる個所に接着材を用い、又はボルト、クリップ等にて本発明の障害物の警告及び緩衝材を固定する。出隅部に取付けることにより、垂れ下がり部Bが突出し各方向から視認することが可能となり障害物の警告機能及び緩衝機能が向上する。
【0012】
該障害物の警告及び緩衝材Aの形状はL型、T型、逆T型などのように、障害物の形状、寸法及び用途に応じ自在に変えて成型しても良い。
【0013】
図面は歩道橋の例を示してあるが、道路構造物として工事中の標識、自動販売機、ガードレールの縁部、バス停、トンネルの出入口、門柱、車庫の出入口、防護柵の端部、郵便ポスト、信号機の操作盤、電柱の支柱及び支線などでも実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施例を示す側面図である。
【図2】同図の斜視図である。
【図3】同図の断面詳細図である。
【図4】同図の別の例を示す断面図である。
【図5】同図の別の例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0015】
A 警告及び緩衝材
B 垂れ下がり部
C 嵌合部
D 歩道橋
E 歩道橋階段裏
F 歩道橋階段主桁
G 歩行者
H 視覚障害者用白杖
I 電柱の支柱、標識などの障害物
J 歩道橋橋脚

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴムあるいは軟質樹脂などの弾性を有する柔軟性材料により形成され、道路構造物の一部に取付け、風圧を受けると揺動する垂れ下がり部を持ち、歩行者及び車両の操作者に対し前方に障害物が存在し危険であることを事前に警告する機能と共に、不幸にも衝突した場合でも衝撃を緩和する機能を兼備することを特徴とする障害物の警告及び緩衝材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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