説明

集合住宅用インターホン装置

【課題】 集合住宅において、第三者に知られることなく、配達物の受取人である居住者が居室に入室する以前に不在時に配達された配達物の存在を知らせることを可能にする。
【解決手段】 集合住宅の居住者が不在時に配達物を受け取るための宅配ロッカー12並びに郵便物を受け取るための集合郵便受箱14、宅配ロッカーからの着荷信号を受信し各々の居室毎に備えられた居室インターホン親機13に着荷信号を送出する集合住宅用インターホン主制御装置11を備えた集合住宅用インターホン装置であって、集合住宅用インターホン主制御装置は、宅配ロッカー内に特定の居住者に対する配達物が存在した場合、宅配ロッカーからの着荷居室番号信号を集合郵便受箱に送信する郵便受箱着荷信号送信回路24を備え、集合郵便受箱は、集合住宅用インターホン主制御装置からの着荷居室番号信号を受信する着荷信号受信回路31と、集合郵便受箱の内部に設けられ、着荷信号受信回路で受信した着荷居室番号信号によって点灯する着荷表示灯32とを備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する利用分野】本発明は集合住宅用インターホン装置に係わり、特に宅配ロッカーの着荷表示を備えた集合住宅用インターホン装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、図2に示す集合住宅用インターホン装置が知られている。この集合住宅用インターホン装置は、集合住宅用インターホン主制御装置51と、宅配ロッカー12と、各居室に備えられた居室インターホン親機13で構成されている。
【0003】集合住宅用インターホン主制御装置51は、宅配ロッカー通信回路22、居室通信回路23、集合住宅用インターホン主制御回路53で構成されている。宅配ロッカー12は、ロッカー制御回路25、主制御装置通信回路26、ロッカー本体部27、キーボード28で構成され、主制御装置通信回路26は接続線aを介して集合住宅用インターホン主制御装置51の宅配ロッカー通信回路22に接続されている。また、前記宅配ロッカー12は、前記回路等のほかに、着荷対象居室番号表示器52を備えることがある。居室インターホン親機13は、インターホン主制御回路29、宅配ロッカー着荷表示灯30で構成され、インターホン主制御回路29は接続線bを介して集合住宅用インターホン主制御装置51の居室通信回路23に接続されている。
【0004】このように構成された集合住宅用インターホン装置において、以下その動作について説明する。ある居住者あての配達物が届き、かつその居住者が不在であった場合、配達者はその配達物を宅配ロッカー12のロッカー本体部27に入れ、キーボード28を用いて届け先の居室番号を入力し、ロッカー本体部27を閉じる。ロッカー本体部27は自動的に施錠され、また、宅配ロッカー12のロッカー制御回路25は、キーボード28から居室番号が入力されると、主制御装置通信回路26を用いて、集合住宅用インターホン主制御装置51の宅配ロッカー通信回路22に対し、接続線aを通して届け先の居室番号の信号f11を送出する。
【0005】集合住宅用インターホン主制御装置51の集合住宅用インターホン主制御回路53は、宅配ロッカー通信回路22を通して居室番号の信号f11を受け取ると、居室通信回路23を用いて、接続線bを通して、居室インターホン親機13に対して居室番号及び宅配着荷信号f31を送出する。集合住宅内の全ての居室インターホン親機13のインターホン主制御装置29は居室番号及び宅配着荷信号f31を受信し、そのうち、居室番号及び宅配着荷信号f31で通知された居室番号と居室インターホン親機13のインターホン主制御装置29にそれぞれ設定されている居室番号が一致した居室インターホン親機13があると、その番号が一致した居室インターホン親機13のインターホン主制御装置29は表面パネルにある宅配ロッカー着荷表示灯30を点灯あるいは点滅させ、帰宅した居住者に対し受け取るべき配達物があることを知らせる。居住者は、帰宅時に、自分の居室に入室し、居室インターホン親機13の宅配ロッカー着荷表示灯30が点灯あるいは点滅していれば、その居住者に対して宅配ロッカー12への着荷があることを示しているため、その宅配ロッカー着荷表示灯30を確認した居住者は、再び居室を出て、集合玄関の近傍にある宅配ロッカー12まで戻り、宅配ロッカー12のキーボード28を操作し、ロッカー本体部27を解錠し、ロッカー本体部27の内部に保管してある自分あての配達物を受け取る。また、宅配ロッカー12が着荷対象居室番号表示器52を備えている場合、宅配ロッカー12のロッカー制御回路25は、キーボード28から居室番号が入力されると、主制御装置通信回路26を通して集合住宅用インターホン主制御装置51に届け先の居室番号の信号f11を送出すると同時に、着荷対象居室番号表示器52によって、宅配ロッカー12の表面に着荷した配達物の届け先の居室番号を表示する。居住者は、帰宅時に、宅配ロッカー12の着荷対象居室番号表示器52を確認し、宅配ロッカー12のキーボード28を操作し、ロッカー本体部27の内部に保管してある自分あての配達物を受け取る。
【0006】配達物の受け取りが完了し、配達物が取り出されてロッカー本体部27が空になると、宅配ロッカー12のロッカー制御回路25は、主制御装置通信回路26を用い、集合住宅用インターホン主制御装置51の宅配ロッカー通信回路22に対し、接続線aを通して配達物の受け取りが完了した居室番号の信号f12を送出する。集合住宅用インターホン主制御装置51の集合住宅用インターホン主制御回路53は、宅配ロッカー通信回路22を通して配達物の受け取りが完了した居室番号の信号f12を受け取ると、居室通信回路23を用いて、接続線bを通して、居室インターホン親機13に対して居室番号及び宅配着荷取消信号f32を送出する。集合住宅内の全ての居室インターホン親機13のインターホン主制御装置29は居室番号及び宅配着荷取消信号f32を受信し、そのうち、居室番号及び宅配着荷取消信号f32で通知された居室番号と居室インターホン親機13のインターホン主制御装置29にそれぞれ設定されている居室番号が一致した居室インターホン親機13があり、かつ、その居室インターホン親機13の宅配ロッカー着荷表示灯30が点灯していると、その番号が一致した居室インターホン親機13のインターホン主制御装置29は表面パネルにある宅配ロッカー着荷表示灯30を消灯させ、帰宅した居住者に対し受け取るべき配達物が宅配ロッカー12に残っていないことを知らせる。また、前記宅配ロッカー12が着荷対象居室番号表示器52を備えている場合、宅配ロッカー12のロッカー制御回路25は、ロッカー本体部27が空になると、主制御装置通信回路26によりインターホン主制御装置51に接続線aを通して配達物の受け取りが完了した居室番号の信号f12を送出すると同時に、着荷対象居室番号表示器52によって、宅配ロッカー12の表面に着荷した配達物の届け先の居室番号を表示していたものを消灯する。居住者は、帰宅時に、宅配ロッカー12の着荷対象居室番号表示器52を確認し、宅配ロッカー12に自分あての配達物がないことを確認する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このような集合住宅用インターホン装置で着荷対象居室番号表示器がない場合は、居室の内部にしか着荷表示灯がないため、利用者は宅配ロッカーの前を通り過ぎ、集合玄関を通過した後、上階の居室に入室して、インターホン親機の着荷表示灯を確認することにより、はじめて配達物の存在を知り、再度集合玄関付近に配置してある宅配ロッカーに行き、配達物を受け取る必要があった。また、前述の通り、上記のような二度手間を防ぐために、宅配ロッカー表面の表示器を用いて該当居室番号を表示している物もあるが、この場合には全ての入居者が見る事ができる位置において居室番号を表示しなければならないため、ある特定の入居者宛に着荷があることが他の全ての入居者、来訪者にわかってしまうため、プライバシーの問題が発生していた。
【0008】本発明は、このような難点を解決するためになされたもので、集合住宅において第3者に見えない集合郵便受箱の内部に着荷表示灯を着けることにより、出入階で着荷物の存在を知り、同一階にある宅配ロッカーから配達物を受け取ることができ、プライバシーが侵害されることなく配達物の受取の利便性を向上することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため、本発明による集合住宅用インターホン装置は、集合住宅の居住者が不在時に配達物を受け取るための宅配ロッカー並びに郵便物を受け取るための集合郵便受箱、宅配ロッカーからの着荷信号を受信し各々の居室毎に備えられた居室インターホン親機に着荷信号を送出する集合住宅用インターホン主制御装置を備えた集合住宅用インターホン装置であって、集合住宅用インターホン主制御装置は、宅配ロッカー内に特定の居住者に対する配達物が存在した場合、宅配ロッカーからの着荷居室番号信号を集合郵便受箱に送信する郵便受箱着荷信号送信回路を備え、集合郵便受箱は、集合住宅用インターホン主制御装置からの着荷居室番号信号を受信する着荷信号受信回路と、集合郵便受箱の内部に設けられ、着荷信号受信回路で受信した着荷居室番号信号によって点灯する着荷表示灯とを備えたことを特徴とするものである。
【0010】このような集合住宅用インターホン装置において、ある居住者が不在中に、その居住者に対して配達物があった場合、その居住者が帰宅した時に、集合郵便受箱を確認することにより、他人に知られることなく、かつ、自分自身の居室に戻ることなく、自分宛の配達物の有無を確認することができ、配達物を簡便に受け取ることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明による集合住宅用インターホン装置の一実施例を図1に基づいて説明する。
【0012】図1において、集合住宅用インターホン装置は、集合住宅用インターホン主制御装置11と、集合玄関付近に備えられた宅配ロッカー12と、同じく集合玄関付近に備えられた着荷表示灯付集合郵便受箱14と、各々の居室に備えられた居室インターホン親機13で構成されている。集合住宅用インターホン主制御装置11は、集合住宅用インターホン主制御回路21、宅配ロッカー通信回路22、居室通信回路23、郵便受箱着荷信号送信回路24で構成され、宅配ロッカー12は、ロッカー制御回路25、主制御装置通信回路26、ロッカー本体部27、キーボード28で構成され、主制御装置通信回路26は接続線aを介して集合住宅用インターホン主制御装置11の宅配ロッカー通信回路22に接続されている。居室インターホン親機13は、インターホン主制御回路29、宅配ロッカー着荷表示灯30で構成され、インターホン主制御回路29は接続線bを介して集合住宅用インターホン主制御装置11の居室通信回路23に接続されている。着荷表示灯付集合郵便受箱14は、着荷信号受信回路31と、各居室に対応した集合郵便受箱33と、各々の集合郵便受箱の内部に備えられている着荷表示灯32で構成され、着荷信号受信回路31は接続線cを介して集合住宅用インターホン主制御装置11の郵便受箱着荷信号送信回路24に接続されている。また、この着荷表示灯32は、集合郵便受箱33の蓋を開けなければ見えない構造となっている。
【0013】このように構成された集合住宅用インターホン装置において、以下その動作について説明する。ある居住者あての配達物が届き、かつその居住者が不在であった場合、配達者はその配達物を宅配ロッカー12のロッカー本体部27に入れ、キーボード28を用いて届け先の居室番号を入力し、ロッカー本体部27を閉じる。ロッカー本体部27は自動的に施錠され、また、宅配ロッカー12のロッカー制御回路25は、キーボード28から居室番号が入力されると、主制御装置通信回路26を用いて、集合住宅用インターホン主制御装置11の宅配ロッカー通信回路22に対し、接続線aを通して届け先の居室番号の信号f11を送出する。集合住宅用インターホン主制御装置11の集合住宅用インターホン主制御回路21は、宅配ロッカー通信回路22を通して居室番号の信号f11を受け取ると、居室通信回路23を用いて、居室インターホン親機13に対し、接続線bを通して、居室番号及び宅配着荷信号f31を送出する。
【0014】また、同時に、集合住宅用インターホン主制御回路21は、郵便受箱着荷信号送信回路24を用いて、着荷表示灯付集合郵便受箱14に対し、接続線cを通して、居室番号及び宅配着荷信号f21を送出する。集合住宅内の全ての居室インターホン親機13のインターホン主制御装置29は居室番号及び宅配着荷信号f31を受信し、そのうち、居室番号及び宅配着荷信号f31で通知された居室番号と居室インターホン親機13のインターホン主制御装置29にそれぞれ設定されている居室番号が一致した居室インターホン親機13があると、その番号が一致した居室インターホン親機13のインターホン主制御装置29は表面パネルにある宅配ロッカー着荷表示灯30を点灯させ、帰宅した居住者に対し受け取るべき配達物があることを知らせる。また、着荷表示灯付集合郵便受箱14は着荷信号受信回路31で居室番号及び宅配着荷信号f21を受信すると、その居室番号に該当する集合郵便受箱33の内部にある着荷表示灯32を点灯あるいは点滅させる。居住者は、帰宅時に、自分の居室に対応する集合郵便受箱33を開け、郵便の有無を確認するが、このとき、集合郵便受箱33の内部に備えられた着荷表示灯32が点灯、あるいは点滅していれば、その居住者に対して宅配ロッカー12への着荷があることを示しているため、その着荷表示灯32を確認した居住者は宅配ロッカー12のキーボード28を操作し、ロッカー本体部27を解錠し、自分あての配達物を受け取る。
【0015】配達物の受け取りが完了し、配達物が取り出されてロッカー本体部27が空になると、宅配ロッカー12のロッカー制御回路25は、主制御装置通信回路26を用い、集合住宅用インターホン主制御装置11の宅配ロッカー通信回路22に対し、接続線aを通して配達物の受け取りが完了した居室番号の信号f12を送出する。集合住宅用インターホン主制御装置11の集合住宅用インターホン主制御回路21は、宅配ロッカー通信回路22を通して配達物の受け取りが完了した居室番号の信号f12を受け取ると、居室通信回路23を用いて、居室インターホン親機13のインターホン主制御装置29に対し、接続線bを通して、居室番号及び宅配着荷取消信号f32を送出する。また、同時に、集合住宅用インターホン主制御回路21は、郵便受箱着荷信号送信回路24を用いて、着荷表示灯付集合郵便受箱14に対し、接続線cを通して、居室番号及び宅配着荷取消信号f22を送出する。集合住宅内の全ての居室インターホン親機13は居室番号及び宅配着荷取消信号f32を受信し、そのうち、居室番号及び宅配着荷取消信号f32で通知された居室番号と居室インターホン親機13のインターホン主制御装置29にそれぞれ設定されている居室番号が一致した居室インターホン親機13があり、かつ、その居室インターホン親機13の宅配ロッカー着荷表示灯30が点灯していると、その番号が一致した居室インターホン親機13のインターホン主制御装置29は表面パネルにある宅配ロッカー着荷表示灯30を消灯させ、帰宅した居住者に対し受け取るべき配達物が宅配ロッカー12に残っていないことを知らせる。また、着荷表示灯付集合郵便受箱14は着荷信号受信回路31で居室番号及び宅配着荷取消信号f22を受信すると、その居室番号に該当する集合郵便受箱33の内部にある着荷表示灯32を消灯させる。居住者は、帰宅時に、自分の居室に対応する集合郵便受箱33を開け、郵便の有無を確認するが、このとき、集合郵便受箱33の内部に備えられた着荷表示灯32が消灯していれば、宅配ロッカー12内にその居住者宛の配達物がないことを示す。
【0016】以上の説明から明らかなように、本発明の集合住宅用インターホン装置によれば、不在中に配達された着荷物に対し、集合郵便受箱を確認するのみで同時に着荷確認が可能であるため、居室に入室してから配達物の受け取りに再度集合玄関まで戻る必要もなく、また、他の居住者、来訪者等に自分宛の配達物の存在も知られることなく配達物を受け取ることが可能になり、プライバシーを侵害されることなく利便性を格段に向上させることができる。
【0017】また、この集合住宅用インターホン装置では、集合郵便受箱に着荷表示灯及び着荷信号受信回路を追加し、また、インターホン主制御装置の主制御回路を改造し、通信回路を1つ追加するのみでよいため、インターホン主制御装置を導入予定の集合住宅では、大幅な追加投資なしで安価に前記機能を構築することが可能となる。
【0018】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように本発明の集合住宅用インターホン装置によれば、集合住宅等に備えられている集合郵便受箱に着荷表示灯を備え、宅配ロッカーと居室インターホンを接続しているインターホン主制御装置に集合郵便受箱を接続したため、集合住宅等の居住者は不在時の配達物の有無の確認が容易となり、また、プライバシーの問題も発生することなく、配達物の受け取りが非常に簡便になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による集合住宅用インターホン装置の一実施例を示すブロック図。
【図2】従来の集合住宅用インターホン装置を示すブロック図。
【符号の説明】
11……集合住宅用インターホン主制御装置
12……宅配ロッカー
13……居室インターホン親機
14……集合郵便受箱
22……宅配ロッカー通信回路
24……郵便受箱着荷信号送信回路
31……着荷信号受信回路
32……着荷表示灯

【特許請求の範囲】
【請求項1】集合住宅の居住者が不在時に配達物を受け取るための宅配ロッカー(12)並びに郵便物を受け取るための集合郵便受箱(14)、前記宅配ロッカーからの着荷信号を受信し各々の居室毎に備えられた居室インターホン親機(13)に前記着荷信号を送出する集合住宅用インターホン主制御装置(11)を備えた集合住宅用インターホン装置であって、前記集合住宅用インターホン主制御装置は、前記宅配ロッカー内に特定の居住者に対する配達物が存在した場合、前記宅配ロッカーからの着荷居室番号信号を前記集合郵便受箱に送信する郵便受箱着荷信号送信回路(24)を備え、前記集合郵便受箱は、前記集合住宅用インターホン主制御装置からの前記着荷居室番号信号を受信する着荷信号受信回路(31)と、前記集合郵便受箱の内部に設けられ、前記着荷信号受信回路で受信した前記着荷居室番号信号によって点灯する着荷表示灯(32)とを備えたことを特徴とする集合住宅用インターホン装置。

【図1】
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【図2】
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