説明

集積回路チップを備える切削工具

システムにより、工作機械の動作を管理する。システムは、シャンク(16)を有する工具本体(15)を含む切削工具(10)と、工具本体(15)のシャンク(16)内にしっかりと実装され、読み書き可能な集積回路チップ(20)と、集積回路チップ(20)と通信するための読み書き装置(700)と、を含む。集積回路チップ(20)は、RFIDチップ(20)である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2007年12月11日出願の米国仮特許出願第61/012,818号からの優先権を主張するものであり、これを本願明細書に援用する。
【0002】
本発明は、集積回路チップが内部にしっかりと実装された切削工具に関する。より具体的には、本発明は、RFIDチップが内部に実装された切削工具に関し、そのRFIDチップは、切削工具に関するデータが符号化されており、かつ、機械加工動作を制御し、工具の使用状態を追跡し、および特定の切削工具の以前の使用に関するデータを記憶するために、RFIDチップに符号化されたデータを用いるシステムと通信する。
【背景技術】
【0003】
機械加工に使用される、特に金属切削作業に使用される切削工具は、数多くある。多くの場合、いくつかの工具の外観は非常に似ているが、著しく異なる用途に対しては効果的ではないことがある。例として、ドリルの先端の特徴は、著しく異ならないものの、著しく異なる材料を機械加工するためのものであるかもしれない。さらに、別の例では、同一の幾何学的形状を有するものの、異なる硬化コーティングを備えるドリルは、ある材料の機械加工には好適であり、別の材料の機械加工には不適切であるかもしれない。それゆえ、適切な工具を視覚的に識別することは、困難である場合がある。そのうえ、典型的な工具庫には、数百もの異なる切削工具があることがあるので、特定の作業に最適な工具を識別することは、困難である。その結果、工具容器にバーコードを付け、かつこれらの容器のバーコードを、切削工具の詳細および切削工具が好適となる最適な条件を識別するデータセットと関連づけている。しかしながら、工具のパッケージの外部、または、さらに言えば工具自体にバーコードを用いる場合には、切削工具の特徴を抽出するために、リモートデータベースにアクセスする必要がある。製造業者が、工具の一定の寿命を越えてデータベースの維持を行わないこともあり、その結果、古い工具に関連したバーコードがあるにも関わらず、その工具に関する情報がないこともある。さらに、非常に多数の異なる工具用の中央データベースの維持を行うことが必要である。
【0004】
加えて、工具に関する既存の情報を抽出するだけでなく、さらに、工具の使用歴も維持して、いつ工具を交換するべきか、いつ工具を研ぐべきか、または工具が、ある作業にはもはや好適ではないが、あまり負担の多くない別の作業に好適になるのはいつか、をより良好に予測したいという要求がある。現在使用されているバーコードシステムでは、この情報を効率的に記憶し、かつ処理することができない。
【0005】
従って、当該技術分野では、容易に検索可能にするために、切削工具が1つ以上の切削作業に使用されるときの切削工具のオペレーショナルデータ、および継続的な履歴を記憶するシステムが一般的に必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、切削工具のためのオペレーショナルデータおよび特定の工具の使用に関するデータが、切削工具内に実装され、またはリモートデータベースに含まれた集積回路チップ内で符号化され、かつチップで符号化された一意的な工具の識別によって容易にアクセス可能であり、そのため、カタログ、ハンドブック、ウェブサイト、およびアーカイブされたファイルを調べる必要なくデータを瞬時にかつ正確に検索でき、かつデータは、切削工具の全有用寿命にわたって正確なままとなるシステムを提供することにある。
【0007】
オペレーショナルデータおよび特定の工具の使用に関するデータを、工作機械のための制御装置に直接プログラムして機械加工作業を制御し、それゆえ製造プロセスを単純にし、機械加工作業中の人との対話作業およびエラーを最小限にし、機械加工作業を始める前のセットアップ時間を削減し、工具の故障および工具の故障に起因した材料浪費を回避し、かつ財政的により好都合な製造プロセスを達成するシステムを提供することが、必要とされている。
【0008】
機械加工作業に関するリアルタイムフィードバックが切削工具の集積回路チップと制御装置との間で通信されて機械加工作業のパラメータを自動的に調整し得るシステムを提供することが、必要とされている。
【0009】
集積回路チップによってさらに、切削工具の工具管理の単純化および位置追跡、ならびにロット番号および構成などのデータによって、工具室内に収納された複数の工具を容易に保管することができるシステムを提供することが、必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の実施形態によれば、被加工物を機械加工するための切削工具が提供される。切削工具は、シャンクを有する工具本体と、工具本体のシャンク内にしっかりと実装され、読み書き可能な集積回路チップと、を含む。集積回路チップは、RFIDチップである。
【0011】
本発明の別の実施形態によれば、工作機械の動作を管理するシステムが提供される。システムは、シャンクを有する工具本体を含む切削工具と、工具本体のシャンク内にしっかりと実装され、読み書き可能な集積回路チップと、集積回路チップと通信するための読み書き装置と、を含む。集積回路チップはRFIDチップである。
【0012】
本発明の別の実施形態によれば、工作機械の動作の管理方法が提供される。本方法は:シャンクを有する工具本体を含む切削工具を提供し、工具本体のシャンク内にしっかりと実装され、読み書き可能な集積回路チップを提供することであって、集積回路チップはRFIDチップであり、集積回路チップと通信するための読み書き装置を提供し、チップと読み書き装置との間に通信リンクを確立し、集積回路チップから読み書き装置へ切削工具に関するデータをアップロードする、ステップを含む。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態による、集積回路チップが内部に実装された中実の丸型切削工具の斜視図を示す。
【図2】集積回路チップが内部に実装された中実の丸型切削工具の別の実施形態の斜視図を示す。
【図3】集積回路チップが内部に実装された中実の丸型切削工具の別の実施形態の斜視図を示す。
【図4】本発明の実施形態による、読み書き装置を有する工具ホルダ内に位置決めされた中実の丸型切削工具の斜視図を示す。
【図5】本発明の実施形態による、集積回路チップが内部に実装されたフライス工具の斜視図を示す。
【図6A】本発明の実施形態による、ガラスカプセルに埋め込まれた集積回路チップが実装された切削工具の斜視図および側面図を示す。
【図6B】本発明の実施形態による、ガラスカプセルに埋め込まれた集積回路チップが実装された切削工具の斜視図および側面図を示す。
【図7A】本発明の実施形態による、タッチチップの形状の集積回路チップが実装された切削工具の斜視図、上面図および側面図を示す。
【図7B】本発明の実施形態による、タッチチップの形状の集積回路チップが実装された切削工具の斜視図、上面図および側面図を示す。
【図7C】本発明の実施形態による、タッチチップの形状の集積回路チップが実装された切削工具の斜視図、上面図および側面図を示す。
【図8A】本発明の実施形態による、切削工具に実装されたタッチチップを読み取るために用いられるタッチセンサの斜視図、上面図および側面図を示す。
【図8B】本発明の実施形態による、切削工具に実装されたタッチチップを読み取るために用いられるタッチセンサの斜視図、上面図および側面図を示す。
【図8C】本発明の実施形態による、切削工具に実装されたタッチチップを読み取るために用いられるタッチセンサの斜視図、上面図および側面図を示す。
【図9】本発明の実施形態による、切削工具に実装された集積回路チップを用いるシステムアーキテクチャの概略図を示す。
【図10】本発明の実施形態による、切削工具に実装された集積回路チップを用いる別のシステムアーキテクチャの概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明のさらなる詳細および利点は、以下の詳細な説明を添付の図面と併せて読むことから明らかとなる。図面では全体的に、同様の部分には同様の符号を付している。
【0015】
以下説明するために、使用される場合には、空間的な向きの用語は、添付の図面または以下の詳細な説明において向きが示されているように、参照した実施形態に関するものである。しかしながら、以下説明する実施形態は、多くの代替的な変形形態および実施形態を取り得ることを理解されたい。添付の図面に示し、かつここで説明した特定の装置は、単に例示に過ぎず、限定するものとして考慮されるべきではないことも、理解されたい。
【0016】
図1を参照すると、本発明の実施形態による、被加工物を機械加工するための、ドリル先端30を有するドリルビットの形態にある切削工具10が示されている。切削工具10は、シャンク16を有する工具本体15を含む。工具本体15のシャンク16内の横溝25には、RFIDチップ20の形態の集積回路チップ20がしっかりと実装されている。その横溝は、シャンク16の端部17を横切って延在している。図示のように、RFIDチップ20は、アンテナのないRFIDチップ20であり、それは少なくとも1つの電気的コンタクト部21を含み、かつ読み書き装置によって、少なくとも1つの電気的コンタクト部21を介して、読み書き可能である。チップ20の一部分、特に少なくとも1つの電気的コンタクト部21が、シャンク16の端部17と同一平面になるように配置され、それゆえ、シャンク16の外部に少なくとも部分的に露出されるように、RFIDチップ20を横溝25内に実装する。RFIDチップ20をドリル10の先端30から離れるように位置決めして、機械加工作業中にドリル10が受けるかもしれない熱および過酷な環境への暴露を最小限にすることに留意されたい。
【0017】
図2を参照すると、被加工物を機械加工するための、ドリルビットの形態の切削工具110の代替的な実施形態が示されている。切削工具110は、シャンク116を有する工具本体115を含む。工具本体115のシャンク116は、軸方向に延在する穴130を含み、その穴は、切削工具110の軸に沿ってシャンク116の端部117からシャンク116に延在している。工具本体115のシャンク116内の軸方向に延在する穴130には、RFIDチップ120の形態の集積回路チップ120がしっかりと実装されている。RFIDチップ120は、アンテナ(図示せず)を含み、RFIDチップ120と読み書き装置との間の無線伝送を介して、読み書き装置によって、遠隔的に読み書き可能である。その目的のため、シャンク116は、複数の放射状に延在するスロット125を含み、それらスロットは、軸方向に延在する穴130から外方に延在しており、そのため、軸方向に延在する穴130を経てシャンク116の端部117によって、および放射状に延在するスロット125を経てシャンク116の側面118によって、RFIDチップ120がシャンク116の外部に少なくとも部分的に露出されるようになっている。この配置によって、切削工具110を形成する金属または炭化物材料によって通常引き起こされる、RFIDチップ120と読み書き装置との間の無線伝送への干渉が低減される。図1に示す実施形態のように、RFIDチップ120を、切削工具110の先端から離して位置決めして、機械加工作業中に切削工具110が受けるかもしれない熱および過酷な環境への暴露を最小限にする。穴130およびスロット125を、RFIDチップ120を除いては空であるように図示しているが、穴130およびスロット125を、ポリマー樹脂またはエポキシ樹脂などの非導電性材料で埋めてもよいことを理解されたい。これにより、チップ120が保護されると同時に、チップ120からの信号の受信および伝送ができるようになる。
【0018】
図3を参照すると、被加工物を機械加工するための、ドリル先端245を有するドリルビットの形態の切削工具210の代替的な実施形態が示されている。切削工具210は、シャンク216を有する工具本体215を含む。工具本体215のシャンク216内の長手方向に延在する溝225には、RFIDチップ220の形態の集積回路チップ220がしっかりと実装されている。その溝は、シャンク216の端部240からシャンク216の側面217に延在している。図示のように、RFIDチップ220は、アンテナのないRFIDチップ220であり、それは少なくとも1つの電気的コンタクト部221を含み、かつ読み書き装置によって、少なくとも1つの電気的コンタクト部221を介して、読み書き可能である。RFIDチップ220は、長手方向に延在する溝225に実装されて、チップ220の一部、特に少なくとも1つの電気的コンタクト部221が、シャンク216の側面217と同一平面になるように配置され、それゆえ、シャンク216の外部に少なくとも部分的に露出されるようになっている。図1および図2に示す実施形態のように、RFIDチップ220を、ドリル210の先端245から離して位置決めして、機械加工作業中にドリル210が受けるかもしれない熱および過酷な環境への暴露を最小限にする。さらに、シャンク216の側面217にRFIDチップ220を配置することによって、RFIDチップ220から物理的に干渉されることなく、工具本体215を通って延在する冷却流路235を介して、冷却剤がシャンク216の端部240からドリル先端245へ流れることができるようになる。
【0019】
図4を参照すると、本発明の実施形態による、読取ヘッド260を有する工具ホルダ250が示されている。読み書き装置(図示せず)を、工具ホルダ250の上部ブロック262に配置されている読取ヘッド260内に配置する。工具ホルダ250によって読取ヘッド260と下部のV字形ブロック265との間に切削工具210を保持して、読取ヘッド260を、切削工具210内に実装されたRFIDチップ220に隣接させて配置するようにする。そのためには、工具ホルダ250の上部ブロック262および/または下部のV字形ブロック265は、バネで留められているかまたは液圧式に荷重がかけられて、様々な直径の切削工具210をクランプしてもよい。読み書き装置は、チップ220の電気的コンタクト部221に係合するための1つ以上のプローブ(図示せず)を含んで、読み書き装置とチップ220との間に直接通信リンクを確立してもよいし、またはアンテナを含んで、読み書き装置とチップ220との間に遠隔無線通信リンクを確立してもよい。図示のように、工具ホルダ250は、チップ220を有する切削工具210を保持するのに好適であり、そのチップは、図3を参照して上述したように、切削工具210の側面217内に実装されている。切削工具10が工具ホルダ250に配置されると、読取ヘッド260がチップ20に隣接して配置されるようになるように、工具ホルダ250を、図1を参照して上述したような、チップ20が切削工具10の端部17内に実装されている切削工具10など、様々な構成の切削工具を保持するように変更してもよいことを理解されたい。読み書き装置を代替的な構造に組み込んでもよいことも理解されたい。例えば、読み書き装置を、当業者にはよく知られている携帯型のハンドヘルド読み取り/走査装置とすることができ、あるいは、読み書き装置を、切削工具210を工作機械に取り付けるための取付用チャックまたはアダプタシステム内に位置決めすることができる。
【0020】
図5を参照すると、被加工物を機械加工するための、フライス300の形態の切削工具300の代替的な実施形態が示されている。フライス300は、シャンク310、および工具本体305の周りに形成された取付用ポケット325に取り外し可能に配置された複数の切削インサート320を有する工具本体305を含む。工具本体305のシャンク310内の長手方向に延在する溝335には、RFIDチップ330の形態の集積回路チップ330がしっかりと実装されている。その溝は、シャンク310の端部312からシャンク310の側面311に延在している。図示のように、RFIDチップ330は、アンテナのないRFIDチップ330であり、それは、少なくとも1つのコンタクト部331を含み、かつ読み書き装置によって、少なくとも1つのコンタクト部331を介して、読み書き可能である。RFIDチップ330は、長手方向に延在する溝335内に実装されて、チップ330の一部分、特に少なくとも1つのコンタクト部331を、シャンク310の側面311と同一平面に配置し、それゆえシャンク310の外部に少なくとも部分的に露出されるようにする。あるいは、RFIDチップ330を、図1を参照して上述したように、シャンク310の端部312に形成された横溝内に実装してもよいし、またはRFIDチップ330がアンテナを含んで、RFIDチップ330を、図2を参照して上述したように、シャンク310に形成された穴に実装してもよい。
【0021】
本発明は、図1〜図3に図示したドリルビット10、110、210および図5に図示したフライス300に加えて、機械加工作業に使用される様々な切削工具に好適であることを理解されたい。例えば、本発明のRFIDチップ330および関連のシステムをさらに、ねじタップ、方形シャンク旋盤工具、スローアウェイドリル(indexable drill)および切削インサートに組み込んでもよい。
【0022】
図6A〜図6Bを参照すると、図2に示す実施形態と同様の、被加工物を機械加工するための切削工具515の代替的な実施形態が示されている。切削工具515は、シャンク521を有する工具本体520を含む。工具本体520のシャンク521は、軸方向に延在する穴510を含み、その穴は、シャンク521の端部522から切削工具515の軸に沿ってシャンク521まで延在する。RFIDチップの形態の集積回路チップ(図示せず)がカプセル500に埋め込まれており、そのカプセルは、工具本体520のシャンク521内の軸方向に延在する穴510にしっかりと実装されている。カプセル500は、ガラス製でもまたは別の非導電性材料製でもよい。RFIDチップは、アンテナ(図示せず)を含み、かつRFIDチップと読み書き装置との間の無線伝送を介して、読み書き装置によって、遠隔的に読み書き可能である。図2を参照して上述したように、シャンク521は、さらに複数の放射状に延在するスロットを含み、それらスロットは、軸方向に延在する穴510から半径方向外方に延在し、カプセル500が少なくとも部分的に、軸方向に延在する穴510および放射状に延在するスロットを経て、シャンク521の端部522によってシャンク521の外部に露出されるようにしてもよい。カプセル500は、RFIDチップを遮蔽して、RFIDチップが、RFIDチップと読み書き装置との間の遠隔無線通信用のアンテナを含む必要があるようにする。RFIDチップに配置されたアンテナのサイズが比較的小さく、かつ切削工具515の金属または炭化物材料に起因して干渉が発生するため、アンテナは、約30mmの制限範囲を有することがある。それゆえ、チップとの無線通信リンクを確立するために、読み書き装置をRFIDチップのごく近いところに配置する必要がある。カプセル500に埋め込まれたRFIDチップは、高または低無線周波数での信号の伝送および受信に適合されたアンテナを含んでもよいことを理解されたい。
【0023】
図7A〜図7Cを参照すると、被加工物を機械加工するための切削工具610の代替的な実施形態が示されている。切削工具610は、シャンク616を有する工具本体615を含む。工具本体615のシャンク616は、シャンク616の側面618に形成された平坦な凹部617、具体的にはウェルドン(Weldon)フラット617を含む。平坦な凹部617にはキャビティ619が形成されている。工具本体615のシャンク616内のキャビティ619には、RFIDチップ620の集積回路チップ620がしっかりと実装されている。図示のように、RFIDチップ620は、アンテナのないRFIDチップ620であり、それは、RFIDチップ620に並んで配置された2つの電気的コンタクト部625、630を含み、かつ読み書き装置によって、2つの電気的コンタクト部625、630のうちの少なくとも一方を介して、読み書き可能であり、2つの電気的コンタクト部625、630のうちの他方は、余分に設けられている。RFIDチップ620をキャビティ619内に実装して、RFIDチップ620の一部分、特にチップ620の上面が、シャンク616の平坦な凹部617と同一平面になるようにし、それゆえシャンク616の外部に少なくとも部分的に露出されるようにする。電気的コンタクト部625、630は、シャンク616の平坦な凹部617から離れるように、チップ620から半径方向に延出する。図7A〜図7Cに示す特有の実施形態によって、RFIDチップ620が切削工具610の構造強度を弱めず、かつ工作機械の取付用チャックまたはアダプタ組立体への切削工具610の取り付けに物理的に干渉しないように、RFIDチップ620を配置することができる。さらに、電気的コンタクト部625、630が、工具本体615のシャンク616から離れるように延出するので、RFIDチップ620と読み書き装置との間の直接係合を、より容易に達成できる。
【0024】
図8A〜図8Cを参照すると、RFIDチップ620からデータを読み取りかつそこへデータを書き込むために、読み書き装置と共に使用するのに好適なタッチセンサ650が示されている。タッチセンサ650は、2つのプローブ660、665を備える本体655を含み、それらプローブは、本体655から延出している。プローブ660、665は、切削工具610の工具本体615内に配置されたRFIDチップ620の電気的コンタクト部625、630に係合するように適合されて、RFIDチップ620から読み書き装置へのデータの伝送およびアップロードを行うため、または読み書き装置からのデータをRFIDチップ620へ書き込むためのRFIDチップ620と読み書き装置との間の直接通信リンクを確立する。図示のように、タッチセンサ650は、さらに、2つのプローブ660、665の反対側の本体655から延出する2つのプロング670、675を含む。プローブ660、665をプロング670、675に電気的に接続して、プロング670、675を読み書き装置に差し込むかまたはそれに接続もしくは取り付けてもよい。あるいは、タッチセンサ650およびプローブ660、665を、読み書き装置に配線接続して、プロング670、675を不要にしてもよい。
【0025】
図9を参照すると、本発明の実施形態による、RFIDチップ20が内部に実装された切削工具10を用いて工作機械の動作を管理するためのシステムの概略図が示されている。図示のように、システムは、上述の実施形態を参照して既に述べたように、RFIDチップ20の形態の集積回路チップ20が内部に実装された切削工具10と、RFIDチップ20と通信するための読み書き装置700とを含む。システムは、さらに、切削工具10を用いて機械加工作業を実施するために工作機械の動作を制御するための制御装置720、例えば典型的なCNC制御装置720を含む。制御装置720は、読み書き装置700から切削工具10用のオペレーショナルデータを受信する。
【0026】
図9に示すように、読み書き装置700をRFIDチップ20および制御装置720の双方と通信リンクを確立するように適合して、読み書き装置700が、切削工具10用のオペレーショナルデータを受信できるようにする。オペレーショナルデータは、RFIDチップ20で符号化されており、かつRFIDチップ20から読み書き装置700へ伝送され、そのデータが制御装置720に伝送されて、機械加工作業を制御するために制御装置720のプログラミングに使用される。先の実施形態に関して上述したように、RFIDチップ20と読み書き装置700との間の通信リンクを、RFIDチップ20と読み書き装置700との間の遠隔無線リンクを介して確立してもよいし、またはRFIDチップ20に配置された少なくとも1つの電気的コンタクト部と、読み書き装置700に動作可能に関連したプローブとの間を係合することによって形成された直接リンクを介して、確立してもよい。読み書き装置700と制御装置720との間の通信リンクを、無線接続を含む当業者に公知の様々な技術によって、または読み書き装置700から制御装置720にまたは工作機械710(図10に示す)に配線をつなぐことによって確立してもよく、ここでは、読み書き装置700を工作機械710の取付用チャックまたはアダプタ組立体内に配置する。
【0027】
RFIDチップ20は、好ましくはオペレーショナルデータによって符号化され、かつそれを読み書き装置へ伝送することができ、そのオペレーショナルデータは、以下、最適な機械加工のための切削速度および送りデータ、切削工具サイズ、切削工具重量、切削工具等級、切削工具の工学図面またはスケッチ、切削工具の再研磨用のデータ、切削工具の材料組成、材料安全データシート(Materials Safety Data Sheet)(MSDS)、工具追跡データ、追跡性(traceability)データ、工具識別番号、工具の最大寿命データ、最適な工具用途/使用状態データ、工具特有の注記、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される。上述の群は例示であり、挙げられていない別のタイプのオペレーショナルデータが、RFIDチップ20で符号化されてもよいことを理解されたい。
【0028】
さらに、読み書き装置700は、また、切削工具10の使用状態に関するデータを制御装置720から受信し、かつそのデータをRFIDチップ20に書き込み、後で参照するために切削工具10の情報が残るように適合されている。読み書き装置700によってRFIDチップ20に書き込まれる、使用状態に関するそのようなデータは、切削工具の動作時間、切削工具の残存寿命情報、切削工具の摩耗および故障情報、切削工具を用いる機械加工作業の特徴、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される。上述の群はまた例示であり、挙げられていない切削工具10の使用状態に関する別のタイプのデータが、読み書き装置700によってRFIDチップ20に書き込まれてもよいことを理解されたい。
【0029】
あるいは、RFIDチップ20は一意的な工具の識別によってのみ符号化される。そのような実施形態では、読み書き装置を、RFIDチップ20、制御装置720およびリモートデータベース740との通信リンクを確立するように適合する。読み書き装置700はRFIDチップ720から一意的な工具の識別を受信し、その一意的な工具の識別をリモートデータベース740に伝送し、リモートデータベース740から上述の切削工具10用のオペレーショナルデータを受信し、次いでその切削工具10用のオペレーショナルデータを制御装置720に伝送し、制御装置720をプログラミングする。切削工具10の使用状態に関するデータをRFIDチップ20に書き込むことに加えて、読み書き装置700は、さらに、またはその代わりに、後で参照するために、切削工具の使用状態に関するデータをリモートデータベース740に伝送する。
【0030】
上述のように、読み書き装置700は、RFIDチップ20および制御装置720と継続的に通信して、機械加工作業中リアルタイムで制御装置720に工具のフィードバックを提供してもよい。
【0031】
図10を参照すると、本発明の実施形態による、RFIDチップ20が内部に実装された切削工具10を用いる工作機械の動作を管理するための拡張されたシステムの概略図が示されている。拡張されたシステムは、上述したような図9に示すシステム要素および通信リンク、ならびに種々の追加的なシステム要素を含む。具体的には、図10に示すように、拡張されたシステムは、さらに、切削工具10によって機械加工作業を実施する工作機械710を含む。工作機械710によって実施される機械加工作業は、制御装置720によって制御され、その制御装置は、上述のように、読み書き装置700によって制御装置720へ伝送されたデータに従ってプログラムされている。
【0032】
図10に示すように、拡張されたシステムは、さらに、複数の切削工具を保管しかつ取り出せる自動工具管理システム730を含んでもよい。読み書き装置700は工具管理システム730と通信して、工具室内で複数の切削工具を分類し、かつ工具室から取り出された切削工具の位置を追跡する。
【0033】
また、図10に示すように、読み書き装置700は、データ変換ボックス750との通信リンクを確立することによって、制御装置720、リモートデータベース740および自動工具管理システム730と通信し、読み書き装置700によって複数の通信リンクが確立されかつ維持される必要がないようにしてもよい。
【0034】
図9および図10に示すように、切削工具による読み/書き能力を有する集積回路チップ20の使用は、金属加工作業全体に関連する非常に広範囲の機会を生み出す。特に、チップ20からのデータを、読み書き装置700からまたはそこへ伝送してもよく、その読み書き装置をまたスキャナーとしてもよい。チップ20を工具10の静止位置において示してあるが、工具10を動作させることは全く可能であり、および上述のように、チップ20は依然として読み書き装置700に対してデータを伝送しかつ受信してもよい。特に、機械加工作業中、切削工具10のチップ20はリアルタイムで、工具10が経験し得る動作温度、動作速度またはあらゆる不均衡などのデータを通信してもよい。この情報は、読み書き装置700に戻ってから、切削工具10の最適な性能のために調整を行い得る制御装置720に伝送されてもよい。さらに、読み書き装置700から抽出された切削工具10に関する情報を用いて、特定の切削工具10の工具寿命および/または摩耗を決定してもよく、そのような情報を用いて、自動工具管理システム730によって新しい工具10を取り出す適切な時期を決定してもよい。さらに、読み書き装置700は、工具の使用状態に関するデータをリモートデータベース740に提供してもよい。リモートデータベース740は、切削工具のファミリーの全体的性能のデータを提供するだけでなく、それに加えて、その特定の切削工具10に関する個別の記録も提供する。
【0035】
図9および図10を参照して、本発明の実施形態による、上述のシステムを利用する工作機械の動作の管理方法を以下詳細に説明する。シャンクを有する工具本体を含む切削工具10、工具本体のシャンク内にしっかりと実装された、読み書き可能なRFIDチップ20の集積回路チップ20、および集積回路チップ20と通信するための読み書き装置700が提供される。RFIDチップ20は、シャンクの外部に少なくとも部分的に露出されるように工具本体のシャンク内に実装されている。チップ20と読み書き装置との間には通信リンクが確立されている。工具10に関するデータが、集積回路チップ20から読み書き装置700へアップロードされる。集積回路チップ20と読み書き装置との間の通信リンクは、遠隔無線リンクであっても、または集積回路チップ20に配置された少なくとも1つの電気的コンタクト部と、読み書き装置700に動作可能に関連したプローブとの間を係合することによって形成された、直接リンクであってもよい。
【0036】
切削工具10によって機械加工作業を実施する工作機械710、および工作機械710の動作を制御する制御装置720が提供される。読み書き装置700と制御装置720との間には通信リンクが確立されている。切削工具10用のオペレーショナルデータが読み書き装置700から制御装置720へ伝送される。制御装置720をプログラムして、切削工具10用のオペレーショナルデータに基づいて工作機械710の動作を制御するようにする。切削工具10に関するデータは、チップ20で符号化される切削工具10用のオペレーショナルデータ、および/または一意的な工具の識別を含んでもよい。切削工具10に関するデータが一意的な工具の識別を含む場合、切削工具10用のオペレーショナルデータを制御装置720に伝送する前に、読み書き装置700とリモートデータベース740との間に通信リンクが確立される。一意的な工具の識別は読み書き装置700からリモートデータベース740へ伝送される。次いで、オペレーショナルデータをリモートデータベース740から読み書き装置700へアップロードする。
【0037】
切削工具10の使用状態に関するデータを、制御装置720から読み書き装置700へ伝送する。次いで、切削工具10の使用状態に関するデータを、読み書き装置700によって集積回路チップ20に書き込む。切削工具10の使用状態に関するデータはまた、読み書き装置700によってリモートデータベース740に伝送されてもよい。さらに、切削工具10用のオペレーショナルデータを制御装置720に伝送するステップ、切削工具10の使用状態に関するデータを制御装置720から読み書き装置700へ伝送するステップ、および切削工具10の使用状態に関するデータを読み書き装置700によって集積回路チップ20に書き込むステップを、機械加工作業中に連続的に実施してもよい。
【0038】
個々の切削工具10それぞれに集積回路チップ20を提供することによって、切削工具10に関する技術上のデータを検索するだけでなく、その後のどの使用者も、摩耗および工具10に残されている予期される工具寿命を理解することができるように、工具10の履歴を追跡することが可能となる。
【0039】
本発明の別の実施形態によれば、図1〜図3および図5〜図7Cを参照して上述したRFIDチップ20、120、220、330および620、ならびにカプセル500は、非導電性で耐熱性のポリマー樹脂またはエポキシ樹脂によって様々な切削工具のシャンク内に固定されている。ポリマー樹脂またはエポキシ樹脂は好ましくは、電気的干渉を引き起こすことがないように非導電性である。電気的干渉は、チップ20、120、220、330および620と読み書き装置700との間の通信リンクを中断することがある。さらに、ポリマー樹脂またはエポキシ樹脂は好ましくは、チップ20、120、220、330および620を機械加工作業中の過酷な環境的条件に対してさらに保護するように、耐熱性である。
【0040】
典型的なガラスカプセルのRFIDチップは、テキサス・インスツルメンツ(Texas Instruments)から提供されているシリーズ200低周波数micro−RFID評価キット モデルRI−K3A−001Aが設けられているものである。典型的な接触型集積回路チップは、テキサス・インスツルメンツ(Texas Instruments)から提供されているタグ・イット(Tag−it)(登録商標)HF−I スタンダード・トランスポンダ・インレイ(Standard Transponder Inlays)に関連したチップである。接触型集積回路チップをインレイから取り出して、関連のアンテナを用いずに使用する。集積回路チップからのデータのアップロードおよびそこへのデータの書き込みに使用された典型的な読み書き装置は、RFIDタグ付けの当業者には公知である。
【0041】
本発明の特定の実施形態を詳細に説明したが、当業者は、本開示の全体的な教示を考慮すると、これらの詳細に対して様々な修正例および代替例を展開できることを理解するであろう。ここで説明した現在の好ましい実施形態は、例示にすぎず、添付の特許請求の範囲ならびにそれらのいずれかのおよび全ての等価物の全範囲を与えられる本発明の範囲の限定を意図するものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)シャンク(16)を有する工具本体(15)と、
b)前記工具本体(15)の前記シャンク(16)内にしっかりと実装され、読み書き可能な、集積回路チップ(20)と、
を含む、被加工物を機械加工するための切削工具(10)であって、
前記集積回路チップ(20)は、RFIDチップ(20)である、
切削工具(10)。
【請求項2】
前記RFIDチップ(20)は、前記チップ(20)が前記シャンク(16)の外部に少なくとも部分的に露出するように、前記工具本体(15)の前記シャンク(16)内に実装されている、請求項1に記載の切削工具。
【請求項3】
前記集積回路チップ(20)は、非導電性および耐熱性ポリマー樹脂またはエポキシ樹脂によって前記シャンク(16)内に固定される、請求項1に記載の切削工具。
【請求項4】
前記集積回路チップ(20)は、前記切削工具(10)用のオペレーショナルデータによって符号化され、
前記オペレーショナルデータは、最適な機械加工のための切削速度および送りデータ、切削工具サイズ、切削工具重量、切削工具等級、前記切削工具の工学図面またはスケッチ、前記切削工具の再研磨用のデータ、前記切削工具の材料組成、材料安全データシート(MSDS)、工具追跡データ、追跡性データ、工具識別番号、工具の最大寿命データ、最適な工具用途/使用状態データ、工具特有の注記、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の切削工具。
【請求項5】
前記集積回路チップ(20)は、前記切削工具(10)の使用状態に関するデータによって書き込まれることが可能であり、
以前の使用状態に関するデータは、切削工具の動作時間、切削工具の残存寿命情報、切削工具の摩耗および故障情報、切削工具を用いる機械加工作業の特徴、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の切削工具。
【請求項6】
前記RFIDチップは、カプセル(500)に埋め込まれており、遠隔的に読み書き可能である、請求項1に記載の切削工具。
【請求項7】
前記工具本体(115、520)の前記シャンク(116、521)は、前記シャンク(116、521)の端部(117、522)から前記切削工具(110、515)の軸に沿って延在する、軸方向に延在する穴(130、510)を含み、
前記RFIDチップ(220)は、前記軸方向に延在する穴(130、510)にしっかりと実装される、請求項6に記載の切削工具。
【請求項8】
前記工具本体(115)の前記シャンク(116)は、前記軸方向に延在する穴(130)から前記シャンク(116)の側面(118)まで外方に延在する、複数の放射状に延在するスロット(125)をさらに含む、請求項7に記載の切削工具。
【請求項9】
前記RFIDチップ(20)は、少なくとも1つの電気的コンタクト部(21)を含むアンテナのないRFIDチップ(20)であり、前記少なくとも1つの電気的コンタクト部(21)を介して読み書き可能である、請求項1に記載の切削工具。
【請求項10】
前記工具本体(15)の前記シャンク(16)は、その端部(17)を横切って延在する横溝(25)を含み、
前記RFIDチップ(20)は、前記横溝(25)内にしっかりと実装され、前記チップ(20)の一部分が前記シャンク(16)の前記端部(17)と同一平面になるように配置されている、請求項9に記載の切削工具。
【請求項11】
前記工具本体(215、305)の前記シャンク(216、310)は、その端部(240、312)から前記シャンク(216、310)の側面(217、311)内に延在する、長手方向に延在する溝(225、335)を含み、
前記RFIDチップ(220、330)は、前記長手方向に延在する溝(225、335)内にしっかりと実装されて、前記チップ(220、330)の一部分が、前記シャンク(216、310)の前記側面(217、311)と同一平面になるように配置されている、請求項9に記載の切削工具。
【請求項12】
前記工具本体(615)の前記シャンク(616)は、その側面(618)に形成された平坦な凹部(617)と、前記シャンク(616)の前記平坦な凹部(617)内に形成されたキャビティ(619)とを含み、
前記RFIDチップ(620)は、前記チップ(620)の一部分が前記シャンク(616)の前記平坦な凹部(617)と同一平面になるように配置されるように、前記キャビティ(619)内にしっかりと実装され、
前記チップの前記少なくとも1つの電気的コンタクト部(625、630)は、前記シャンク(616)の前記平坦な凹部(617)から離れるように前記チップ(620)から半径方向に延出している、請求項9に記載の切削工具。
【請求項13】
前記少なくとも1つの電気的コンタクト部(625、630)は、前記RFIDチップ(620)に並んで配置された2つの電気的コンタクト部(625、630)を含む、請求項12に記載の切削工具。
【請求項14】
a)シャンク(16)を有する工具本体(15)を含む切削工具(10)と、
b)前記工具本体(15)の前記シャンク(16)内にしっかりと実装され、読み書き可能な、集積回路チップ(20)と、
c)前記集積回路チップ(20)と通信するための読み書き装置(700)と、
を含む、工作機械の動作の管理システムであって、
前記集積回路チップ(20)は、RFIDチップ(20)である、
システム。
【請求項15】
前記RFIDチップ(20)は、前記チップ(20)が前記シャンク(16)の外部に少なくとも部分的に露出されるように、前記工具本体(15)の前記シャンク(16)内に実装される、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記集積回路チップ(20)は、非導電性かつ耐熱性のポリマー樹脂またはエポキシ樹脂によって前記シャンク(16)内に固定されている、請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
前記集積回路チップ(20)は、前記切削工具(10)用のオペレーショナルデータによって符号化され、前記オペレーショナルデータを前記読み書き装置(700)に伝送可能であり、
前記オペレーショナルデータは、最適な機械加工のための切削速度および送りデータ、切削工具サイズ、切削工具重量、切削工具等級、前記切削工具の工学図面またはスケッチ、前記切削工具の再研磨用のデータ、前記切削工具の材料組成、材料安全データシート(MSDS)、工具追跡データ、追跡性データ、工具識別番号、工具の最大寿命データ、最適な工具用途/使用状態データ、工具特有の注記、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項14に記載のシステム。
【請求項18】
前記集積回路チップ(20)は、前記切削工具(10)の使用状態に関するデータを用いて前記読み書き装置(700)によって読み書き可能であり、
前記以前の使用状態に関するデータは、切削工具の動作時間、切削工具の残存寿命情報、切削工具の摩耗および故障情報、切削工具を用いる機械加工作業の特徴、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項14に記載のシステム。
【請求項19】
前記RFIDチップは、カプセル(500)に埋め込まれており、前記読み書き装置(700)によって遠隔的に読み書き可能である、請求項14に記載のシステム。
【請求項20】
前記工具本体(115、520)の前記シャンク(116、521)は、前記シャンク(116、521)の端部(117、522)から前記切削工具(110、515)の軸に沿って延在する、軸方向に延在する穴(130、510)を含み、
前記RFIDチップ(120)は、前記軸方向に延在する穴(130、510)内にしっかりと実装される、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記工具本体(115)の前記シャンク(116)は、前記軸方向に延在する穴(130)から前記シャンク(116)の側面(118)まで外方に延在する、複数の放射状に延在するスロット(125)をさらに含む、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記RFIDチップ(20)は、少なくとも1つの電気的コンタクト部(21)を含むアンテナのないRFIDチップ(20)であり、前記少なくとも1つの電気的コンタクト部(21)を介して前記読み書き装置(700)によって読み書き可能である、請求項14に記載のシステム。
【請求項23】
前記読み書き装置(700)は、前記RFIDチップ(620)上の前記少なくとも1つの電気的コンタクト部(625、630)と係合し、前記RFIDチップ(620)と前記読み書き装置(700)との間に直接リンクを確立するように適合された少なくとも1つのプローブ(660、665)を有する、タッチセンサ(650)を含む、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記工具本体の前記シャンク(16)は、その端部(17)を横切って延在する横溝(25)を含み、
前記RFIDチップ(20)は、前記横溝(25)内にしっかりと実装され、前記チップ(20)の一部分が前記シャンク(16)の前記端部(17)と同一平面になるように配置されている、請求項22に記載のシステム。
【請求項25】
前記工具本体(215、305)の前記シャンク(216、310)は、その端部(240、312)から前記シャンク(216、310)の側面(217、311)内に延在する、長手方向に延在する溝(225、335)を含み、
前記RFIDチップ(220、330)は、前記長手方向に延在する溝(225、335)内にしっかりと実装され、前記チップ(220、330)の一部分が前記シャンク(216、310)の前記側面(217、311)と同一平面になるように配置されている、請求項22に記載のシステム。
【請求項26】
前記工具本体(615)の前記シャンク(616)は、その側面(618)に形成された平坦な凹部(617)と、前記シャンク(616)の前記平坦な凹部(617)内に形成されたキャビティ(619)とを含み、
前記RFIDチップ(620)は、前記チップ(620)の一部分が前記シャンク(616)の前記平坦な凹部(617)と同一平面になるように配置されるように、前記キャビティ(619)内にしっかりと実装され、
前記チップの前記少なくとも1つの電気的コンタクト部(625、630)は、前記シャンク(616)の前記平坦な凹部(617)から離れるように前記チップ(620)から半径方向に延在している、請求項22に記載のシステム。
【請求項27】
前記少なくとも1つの電気的コンタクト部(625、630)は、前記RFIDチップ(620)に並んで配置された2つの電気的コンタクト部(625、630)を含む、請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
前記切削工具(10)によって機械加工作業を実施するための工作機械(710)と、
前記工作機械(710)の動作を制御するための制御装置(720)と、
をさらに含み、
前記制御装置(720)は、前記読み書き装置(700)から前記切削工具(10)用のオペレーショナルデータを受信する、
請求項14に記載のシステム。
【請求項29】
前記読み書き装置(700)は、
前記RFIDチップ(20)から前記切削工具(10)用のオペレーショナルデータを受信するために、前記RFIDチップ(20)、および前記制御装置(720)と通信リンクを確立し、
前記制御装置(720)をプログラミングするために、前記切削工具(10)用の前記オペレーショナルデータを前記制御装置(720)に伝送する、
ように適合されている、請求項28に記載のシステム。
【請求項30】
前記読み書き装置(700)は、さらに、
前記制御装置(720)から前記切削工具(10)の使用状態に関するデータを受信し、
前記切削工具(10)の使用状態に関する前記データを前記RFIDチップ(20)に書き込む、
ように適合されている、請求項29に記載のシステム。
【請求項31】
前記読み書き装置(700)は、
前記RFIDチップ(20)から一意的な工具の識別を受信するために、前記RFIDチップ(20)、前記制御装置(720)、およびリモートデータベース(740)との通信リンクを確立し、
前記一意的な工具の識別を前記リモートデータベース(740)に伝送し、前記リモートデータベースから前記切削工具(10)用のオペレーショナルデータを受信し、
前記制御装置(720)をプログラミングするために、前記切削工具(10)用の前記オペレーショナルデータを前記制御装置(720)に伝送する、
ように適合されている、請求項28に記載のシステム。
【請求項32】
前記読み書き装置(700)は、さらに、
前記制御装置(720)から前記切削工具(10)の使用状態に関するデータを受信し、
前記切削工具(10)の使用状態に関する前記データを前記リモートデータベース(740)に伝送し、
前記切削工具(10)の使用状態に関する前記データを前記RFIDチップ(20)に書き込む、
ように適合されている、請求項31に記載のシステム。
【請求項33】
前記読み書き装置(700)は、機械加工作業中リアルタイムの工具のフィードバックを前記制御装置(720)に提供するために、継続的に前記RFIDチップ(20)および前記制御装置(720)と通信する、請求項28に記載のシステム。
【請求項34】
前記読み書き装置(700)は、前記工具本体用のホルダ(250)の一部を形成するブロック(262)に配置された、読取ヘッド(260)内に配置される、請求項14に記載のシステム。
【請求項35】
複数の切削工具(10)を保管しかつ取り出すための自動工具管理システム(730)と、をさらに含み、
前記読み書き装置(700)は、複数の切削工具(10)を分類し、切削工具の位置を追跡するために、前記工具管理システム(730)と通信する、
請求項14に記載のシステム。
【請求項36】
a)シャンク(16)を有する工具本体(15)を含む切削工具(10)を提供し、
b)前記工具本体(15)の前記シャンク(16)内にしっかりと実装され、読み書き可能な集積回路チップ(20)を提供することであって、前記集積回路チップ(20)は、RFIDチップ(20)であり、
c)前記集積回路チップ(20)と通信するための読み書き装置(700)を提供し、
d)前記チップ(20)と前記読み書き装置(700)との間に通信リンクを確立し、
e)前記集積回路チップ(20)から前記読み書き装置(700)へ、前記切削工具(10)に関するデータをアップロードする、
ステップを含む、工作機械の動作の管理方法。
【請求項37】
前記RFIDチップ(20)は、前記チップ(20)が前記シャンク(16)の外部に少なくとも部分的に露出されるように、前記工具本体(15)の前記シャンク(16)内に実装される、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記集積回路チップ(20)と前記読み書き装置(700)との間の前記通信リンクは、遠隔無線リンクである、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
前記チップ(20)と前記読み書き装置(700)との間の前記通信リンクは、前記集積回路チップ(20)に配置された少なくとも1つの電気的コンタクト部(21)と、前記読み書き装置(700)に動作可能に関連したプローブとの間を係合することによって形成された直接リンクである、請求項36に記載の方法。
【請求項40】
f)前記切削工具(10)によって機械加工作業を実施する工作機械(710)を提供し、
g)前記工作機械(710)の動作を制御する制御装置(720)を提供し、
h)前記読み書き装置(700)と前記制御装置(720)との間に通信リンクを確立し、
i)前記読み書き装置(700)から前記制御装置(720)に前記切削工具(10)用のオペレーショナルデータを伝送し、
j)前記切削工具(10)用の前記オペレーショナルデータに基づいて前記工作機械(710)の動作を制御するために前記制御装置(720)をプログラミングする、
ステップをさらに含む、請求項36に記載の方法。
【請求項41】
前記切削工具(10)用の前記オペレーショナルデータは、最適な機械加工のための切削速度および送りデータ、切削工具サイズ、切削工具重量、切削工具等級、前記切削工具の工学図面またはスケッチ、前記切削工具の再研磨用のデータ、前記切削工具の材料組成、材料安全データシート(MSDS)、工具追跡データ、追跡性データ、工具識別番号、工具の最大寿命データ、最適な工具用途/使用状態データ、工具特有の注記、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記切削工具(10)に関する前記データは、前記集積回路チップ(20)で符号化された、前記切削工具(10)用の前記オペレーショナルデータを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
前記切削工具(10)に関する前記データは、一意的な工具の識別を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項44】
前記切削工具(10)用のオペレーショナルデータを前記制御装置(720)に伝送する前記ステップの前に、前記方法は、
前記読み書き装置(700)とリモートデータベース(740)との間に通信リンクを確立し、
前記一意的な工具の識別を前記読み書き装置(700)から前記リモートデータベース(740)に伝送し、
前記リモートデータベース(740)から前記読み書き装置(700)へ前記オペレーショナルデータをアップロードする、
ステップをさらに含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
k)前記切削工具(10)の使用状態に関するデータを前記制御装置(720)から前記読み書き装置(700)へ伝送し、
l)前記切削工具(10)の使用状態に関する前記データを、前記読み書き装置(700)によって前記集積回路チップ(20)に書き込む、
ステップをさらに含む、請求項40に記載の方法。
【請求項46】
m)前記読み書き装置(700)によって、前記切削工具(10)の使用状態に関する前記データを、リモートデータベース(740)に伝送する、
ステップをさらに含む、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記切削工具(10)用のオペレーショナルデータを前記制御装置(720)に伝送するステップ、前記切削工具(10)の使用状態に関するデータを前記制御装置(720)から前記読み書き装置(700)へ伝送するステップ、および、前記切削工具(10)の使用状態に関する前記データを、前記読み書き装置(700)によって前記集積回路チップ(20)に書き込むステップは、機械加工作業中に連続的に実施される、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
前記切削工具(10)の使用状態に関する前記データは、切削工具の動作時間、切削工具の残存寿命情報、切削工具の摩耗および故障情報、切削工具を用いる機械加工作業の特徴、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項45に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2011−518045(P2011−518045A)
【公表日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−538145(P2010−538145)
【出願日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際出願番号】PCT/US2008/086346
【国際公開番号】WO2009/076496
【国際公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【出願人】(399031078)ケンナメタル インコーポレイテッド (182)
【氏名又は名称原語表記】Kennametal Inc.
【住所又は居所原語表記】1600 Technology Way Latrobe PA 15650−0231, USA
【Fターム(参考)】