説明

難燃材とその製造方法及び鉄道車両の床材

【課題】製造が容易で難燃性に優れ有毒ガスの発生を低減することができる難燃材とその製造方法及び鉄道車両の床材を提供する。
【解決手段】床材3は、難燃性を有する積層構造の難燃材であり鉄道車両用床材である。基材層4は、床材3を構成する基本部材であり、熱可塑性又は熱硬化性の高分子材料によって形成されている。ナノ材料層5は、ナノ構造を有するナノ材料によって形成された部分であり、基材層4の一方の表面(上面)に接合されている。ナノ材料層5は、ナノスケールによって制御されたハイブリッド材料であるナノコンポジット材料によって形成することが好ましい。接着剤層6は、基材層4とナノ材料層5とを接着する部分である。接着剤層6は、カルボキシル基を含有するポリマー、エポキシ基を含有するポリマー、水酸基を含有するポリマー、ウレタン結合を含有するポリマー又はポリアミド系のポリマーなどである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、難燃性を有する積層構造の難燃材とその製造方法、及び難燃性を有する積層構造の鉄道車両の床材に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、有機系高分子材料の難燃化対策として、燃焼時の有毒ガスの発生を低減させて安全性を向上させるために脱ハロゲン化が求められている。従来の壁装材は、難燃剤を紙などの基体に含浸させた難燃性基材上に、炭酸カルシウムなどの無機微粒子を含有しアクリル系樹脂を主成分とする可塑化アクリル系樹脂層を積層している(例えば、特許文献1参照)。このような従来の壁装材では、発熱量や発煙量が低く、難燃性に優れ、燃焼時に塩化水素ガスのようなハロゲンガスの発生を抑えることができる。
【0003】
【特許文献1】特開平9-31860号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような従来の壁装材では、脱ハロゲン化と難燃化とを両立させるために炭酸カルシウムなどの無機系添加剤を従来以上に添加する必要が生じ、有機系高分子材料の重量増加、柔軟性低下、脆性増加を招くなど有機系高分子材料の利点を損なってしまう問題点がある。
【0005】
この発明の課題は、製造が容易であり難燃性に優れ有毒ガスの発生を低減することができる難燃材とその製造方法及び鉄道車両の床材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、以下に記載するような解決手段により、前記課題を解決する。
なお、この発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、この実施形態に限定するものではない。
請求項1の発明は、図2及び図4〜図8に示すように、難燃性を有する積層構造の難燃材であって、基材層4とナノ材料層5とが接着されていることを特徴とする難燃材3である。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の難燃材において、前記ナノ材料層は、ナノコンポジット材料によって形成されていることを特徴とする難燃材である。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の難燃材において、図2及び図5〜図8に示すように、前記基材層の少なくとも一方の表面に前記ナノ材料層5が接着されていることを特徴とする難燃材である。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1又は請求項2に記載の難燃材において、図4、図5及び図7に示すように、前記ナノ材料層の両面に前記基材層4が接着されていることを特徴とする難燃材である。
【0010】
請求項5の発明は、請求項1又は請求項2に記載の難燃材において、図5及び図7に示すように、複数の前記基材層と複数の前記ナノ材料層とが交互に積層されていることを特徴とする難燃材である。
【0011】
請求項6の発明は、請求項3から請求項5までのいずれか1項に記載の難燃材において、図6〜図8に示すように、前記ナノ材料層は、複数のナノ材料層5a〜5cを積層した積層構造であり、各ナノ材料層のナノ粒子の配合量が下層のナノ材料層よりも上層のナノ材料層のほうが高くなるようにこれらのナノ材料層が積層されていることを特徴とする難燃材である。
【0012】
請求項7の発明は、請求項3から請求項6までのいずれか1項に記載の難燃材において、図6〜図8に示すように、前記ナノ材料層は、複数のナノ材料層5a〜5cを積層した積層構造であり、各ナノ材料層のナノ粒子の配合量が上層のナノ材料層よりも下層のナノ材料層のほうが高くなるようにこれらのナノ材料層が積層されていることを特徴とする難燃材である。
【0013】
請求項8の発明は、請求項6又は請求項7に記載の難燃材において、図7及び図8に示すように、前記ナノ材料層は、中間層又は複数層に形成されていることを特徴とする難燃材である。
【0014】
請求項9の発明は、請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載の難燃材において、前記基材層は、熱可塑性又は熱硬化性の高分子材料によって形成されていることを特徴とする難燃材である。
【0015】
請求項10の発明は、図3に示すように、難燃性を有する積層構造の難燃材の製造方法であって、基材層4とナノ材料層5とを接着する接合工程#120を含むことを特徴とする難燃材の製造方法である。
【0016】
請求項11の発明は、請求項10に記載の難燃材の製造方法において、前記接合工程は、ナノコンポジット材料の前記ナノ材料層と前記基材層とを接着する工程を含むことを特徴とする難燃材の製造方法である。
【0017】
請求項12の発明は、請求項10又は請求項11に記載の難燃材の製造方法において、前記接合工程は、前記基材層の少なくとも一方の表面に前記ナノ材料層を接着する工程を含むことを特徴とする難燃材の製造方法である。
【0018】
請求項13の発明は、請求項10又は請求項11に記載の難燃材の製造方法において、前記接合工程は、前記ナノ材料層の両面に前記基材層を接着する工程を含むことを特徴とする難燃材の製造方法である。
【0019】
請求項14の発明は、請求項10又は請求項11に記載の難燃材の製造方法において、前記接合工程は、複数の前記基材層と複数の前記ナノ材料層とを交互に積層する工程を含むことを特徴とする難燃材の製造方法である。
【0020】
請求項15の発明は、請求項13から請求項14までのいずれか1項に記載の難燃材の製造方法において、前記接合工程は、前記ナノ材料層が複数のナノ材料層5a〜5cを積層した積層構造であるときに、各ナノ材料層のナノ粒子の配合量が下層のナノ材料層よりも上層のナノ材料層のほうが高くなるようにこれらのナノ材料層を積層する工程を含むことを特徴とする難燃材の製造方法である。
【0021】
請求項16の発明は、請求項13から請求項15までのいずれか1項に記載の難燃材の製造方法において、前記接合工程は、前記ナノ材料層が複数のナノ材料層5a〜5cを積層した積層構造であるときに、各ナノ材料層のナノ粒子の配合量が上層のナノ材料層よりも下層のナノ材料層のほうが高くなるようにこれらのナノ材料層を積層する工程を含むことを特徴とする難燃材の製造方法である。
【0022】
請求項17の発明は、請求項15又は請求項16に記載の難燃材の製造方法において、前記接合工程は、前記ナノ材料層が中間層又は複数層になるように積層する工程を含むことを特徴とする難燃材の製造方法である。
【0023】
請求項18の発明は、請求項10から請求項17までのいずれか1項に記載の難燃材の製造方法において、前記接合工程は、熱可塑性又は熱硬化性の高分子材料の前記基材層と前記ナノ材料層とを接着する工程を含むことを特徴とする難燃材の製造方法である。
【0024】
請求項19の発明は、難燃性を有する積層構造の鉄道車両の床材であって、請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載の難燃材を備えることを特徴とする鉄道車両の床材3である。
【発明の効果】
【0025】
この発明によると、製造が容易であり難燃性に優れ有毒ガスの発生を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
(第1実施形態)
以下、図面を参照して、この発明の第1実施形態について詳しく説明する。
図1は、この発明の第1実施形態に係る難燃材を備える鉄道車両に床材を模式的に示す断面図である。図2は、この発明の第1実施形態に係る難燃材を模式的に示す断面図である。
【0027】
図1に示す床構造1は、乗客及び荷物の重量を支える鉄道車両の基本構造部であり、車体の前後の荷重及びねじりに対する強度を負担するとともに、車両内の遮音及び断熱などの機能を備えている。床構造1は、例えば、図1に示すように、構体2と床材3などを備えており、構体2に床材3を直接取り付けた構造である。構体2は、車両の主要部を構成する主構造である。図1に示す構体2は、車外面板と車内面板とをトラス又はリブによって結合したダブルスキン構体であり、アルミニウム合金の押出成形材である。
【0028】
床材3は、床構造1の構成要素のうち室内側を構成する床板であり、床構造1の最上面に施工される床仕上げ材である。床材3は、難燃性を有する積層構造の難燃材であり鉄道車両用床材である。床材3は、図2に示すように、基材層4と、ナノ材料層5と、接着剤層6などを備えており、基材層4とナノ材料層5とが接着剤層6によって接合されている。床材3の厚さTは、2〜3mm程度に形成されている。
【0029】
基材層4は、床材3を構成する基本部材である。基材層4は、熱可塑性又は熱硬化性の高分子材料によって形成されており、例えばオレフィン系樹脂又はゴム系樹脂などによって形成されている。基材層4としては、燃焼時に塩化水素のようなハロゲンガスの発生を抑制し軽量化を図ることができるポリエチレン又はポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂が好ましい。
【0030】
基材層4の高分子材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン−1、エチレンと炭素数3以上のα−オレフィンとの共重合樹脂、プロピレンと炭素数3以上のα−オレフィンとの共重合樹脂、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、エチレン−ブテンゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−アクリル酸エステル共重合樹脂、エチレン−メタクリル酸共重合樹脂等のエチレンとビニルモノマーの共重合体、オレフィン系熱可塑性エラストマー、非結晶α−オレフィン樹脂等のオレフィン系高分子材料や、ポリスチレン、ポリウレタン、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、非結晶のポリエチレンテレフタレート、ポリエステル系エラストマー等のポリエステル系樹脂、ポリアミド、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、ブチルゴム等の合成ゴムや天然ゴム、メラミン、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂等であり、これらを1種または2種以上を使用することができる。また、これらの樹脂を軟化する目的でパラフィンオイル、鉱物油等の可塑剤を添加することも可能である。また、物性や加工性向上を目的として、部分架橋を施したものでも差し支えない。
【0031】
上記高分子材料の中でも、オレフィン系材料、ポリウレタン、合成ゴムが柔軟性に優れることから適しており、中でもオレフィン系樹脂組成物が加工性、柔軟性の点で優れる。
【0032】
オレフィン系樹脂組成物としては、上記に示したオレフィン系高分子材料の中でも、特に弾性率106〜109N/m2のポリエチレン組成物及び/又はエチレンと非ハロゲンのビニルモノマーの共重合体組成物から成るものが適している。弾性率が106未満では強度が不足し、弾性率が109N/m2を超えると柔軟性が不足するためである。これらの中でもより好適には107〜109N/m2の範囲である。
【0033】
この様な弾性率のオレフィン系材料としては、ポリエチレン組成物及び/又はエチレンと非ハロゲンのビニルモノマーの共重合体組成物が適している。ポリエチレンとしては、エチレン単独重合体やエチレンと炭素数が3〜13のα−オレフィンの重合体が適しており、中でもエチレンと炭素数が4〜8のα−オレフィンとの重合体が適している。また、シングルサイトの触媒で重合されたものは加工性が良好であり、メタロセン系触媒を使用して重合された公知のものが使用できる。このポリエチレンの密度は、0.86〜0.94g/cm3の範囲が好適であり、MFR(Melt Flow Rate(規定温度及び荷重においてシリンダから流れ出る10分間当たりの樹脂量))が0.1〜50(190℃、荷重2.16kgで測定した10分間の値)の範囲のものが加工性において良好であり、より好ましくはMFRが0.5〜20の範囲である。
【0034】
エチレンと非ハロゲンのビニルモノマーの共重合体に使用するビニルモノマーとしては、カルボニル基、カルボキシル基、水酸基等を1種以上含有するビニルモノマーが適している。これらは、例えば、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸などの不飽和カルボン酸及びそのエステル及び金属イオンで架橋したアイオノマー樹脂等である。これらの中でもエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレンメタクリル酸エステル共重合体が特に好ましく、これらのビニルモノマーの含有量は5〜30mass%の範囲である。また、MFRは0.1〜50(190℃、荷重2.16kgで測定した10分間の値)が加工性に適しており、より好ましくはMFRが0.5〜20の範囲である。
【0035】
基材層4は難燃剤を含んでおり、難燃剤としては公知のものが使用可能であり、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、塩基性炭酸マグネシウム、水酸化ジルコニウム、酸化錫の水和物、ドロマイト、ハイドロタルサイト等の水和金属化合物、赤燐及び燐酸エステル、燐酸アミド、有機フォスフィン、ポリ燐酸アンモニウム、フォスファゼン系難燃剤等の含燐化合物、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、シリコーン変性樹脂、シリコーン粉末、シリコーンオイル、シリコーン含有化合物等のシリコーン系難燃剤、メラミン及びメラミン誘導体、トリアジン系化合物、グアニジン系難燃剤、グアニール尿素、イソシアヌレート系化合物等の窒素系化合物、フッ素樹脂粉末、繊維状フッ素化合物等のフッ素系化合物、三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、五酸化アンチモン等のアンチモン系難燃剤、ほう酸亜鉛、メタほう酸亜鉛、メタほう酸バリウム等のホウ素系化合物、スズ酸亜鉛、ヒドロキシ錫酸亜鉛、酸化鉄、酸化マンガン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化モリブデン、酸化コバルト、酸化ビスマス、酸化クロム、酸化錫、酸化ニッケル、酸化銅、酸化タングステン等の金属酸化物、カーボン、熱膨張性黒鉛、シリカ、各種金属粉末等である。更に、自己消火性の高分子材料とのブレンドも可能である。また、これらの難燃剤は1種でも複数の組み合わせでも可能である。添加量は、通常樹脂100重量部に対し5〜200重量部の範囲である。
【0036】
基材層4には、性能を害さない範囲で各種添加剤を使用することができる。例えば、充填剤、顔料、安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、紫外線遮蔽材、加工助剤、滑剤、帯電防止剤、難燃剤、抗菌剤、防カビ剤等である。
【0037】
充填剤は公知のものが使用でき、特に制限はないが、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸リチウム、タルク、マイカ、雲母、クレー、硫酸バリウム、ガラス粉末、ガラス繊維、珪酸マグネシウム、シリカ、シラス、カオリン、各種金属繊維、金属粉末、炭素繊維等の無機充填剤、木粉、籾殻、植物繊維、合成繊維等の有機充填剤、無機顔料、有機顔料、染料、蛍光染料、蛍光顔料等の各種顔料、導電性の各種充填剤等が例示される。これらの充填剤は、表面処理を施したものでも可能であり、表面処理は特に制限はないが、アルコール、パラフィン、有機酸、有機酸塩、カップリング剤等が一般的である。添加量は、通常樹脂100重量部に対し0〜300重量部の範囲である。
【0038】
基材層4は、1層または多層とすることができ、多層となる場合、それぞれの弾性率が異なるものを使用することができる。この場合の弾性率は、層として106〜109N/m2とすれば良く、各層の構成や各層の弾性率の設定は、任意にすることができる。
【0039】
ナノ材料層5は、ナノレベルで構造制御されたナノ材料によって形成された部分であり、基材層4の一方の表面に接合されている。ナノ材料層5は、例えば、フラーレン、カーボンナノチューブ、導電性高分子などによって形成されている。ナノ材料層5は、ナノレベルで粒子が高次分散したハイブリット材料であるナノコンポジット材料によって形成する事が好ましい。ナノ粒子としては例えば、無機系粒子、金属系粒子、有機系粒子等がある。ナノ材料層5は、例えば、無機系ナノ粒子を必要に応じて前処理等を行った後ポリマー中に添加し、高次分散させた無機/有機ハイブリッド材料や金属系ナノ粒子を必要に応じて前処理等を行った後ポリマー中に添加し、高次分散させた金属/有機ハイブリッド材料、有機系ナノ粒子を必要に応じて前処理等を行った後ポリマー中に添加し、ナノオーダーで高次分散させた有機/有機ハイブリッド材料等がある。特に、無機/有機ハイブリット材料では無機系ナノ粒子を数mass%添加することによって引張強さが30%以上向上するなど特性を大きく改善可能であり、難燃性の向上も可能である。
【0040】
接着剤層6は、基材層4とナノ材料層5とを接着する部分である。接着剤層6は、カルボキシル基を含有するポリマー、エポキシ基を含有するポリマー、水酸基を含有するポリマー、ウレタン結合を含有するポリマー又はポリアミド系のポリマーなどである。カルボキシル基(カルボン酸又はそのエステル)を含有するポリマー(共重合体又はグラフト共重合体を含む)としては、例えば、オレフィンと無水マレイン酸などの酸無水物を共重合したポリマー、ポリオレフィンに無水マレイン酸などの酸無水物を共重合したポリマー、酸無水物を含むモノマー、若しくはポリマーをグラフトしたポリマー、オレフィンとアクリル酸などのカルボン酸を有するモノマーを共重合したポリマー、オレフィンにアクリル酸などのカルボン酸を含むモノマー、ポリマーをグラフトしたポリマー、又はアイオノマー樹脂などである。エポキシ基を含有するポリマー(共重合体又はグラフト共重合体などを含む)としては、例えば、オレフィンとエポキシ基を含有するモノマーを共重合したポリマー、ポリオレフィンにエポキシ基を含むモノマー、ポリマーをグラフトしたポリマーなどである。水酸基を含有するポリマー(共重合体又はグラフト共重合体などを含む)としては、例えば、オレフィンと酢酸ビニルを共重合してケン化したポリマー、ポリオレフィンと水酸基を有するモノマーとの共重合したポリマー、又はグラフト重合したポリマーなどである。ウレタン結合を含有するポリマー(共重合体又はグラフト共重合体などを含む)としては、例えば、熱可塑性ポリウレタンなどである。
【0041】
次に、この発明の第1実施形態に係る難燃材の製造方法について説明する。
図3は、この発明の第1実施形態に係る難燃材の製造方法を説明するための工程図である。
図3に示す製造方法#100は、難燃性を有する積層構造の難燃材の製造方法であり、前処理工程#110と接合工程#120とを含む。前処理工程#110は、図2に示す基材層4とナノ材料層5との接合を向上させるための工程であり、前処理工程#110では図3に示す接合工程#120において接着剤を使用する前に、基材層4又はナノ材料層5の少なくとも一方の接合面に所定の前処理がされる。前処理工程#110では、例えば、接合面にプライマーを施すことで接着性を向上させたり、コロナ放電処理又は電離放射線処理などによって基材層4の接合面に微細な凹凸を形成して、化学的な結合、電気的な結合又は分子間力による結合力の他に機械的なアンカー効果を向上させたりする。プライマーとしては、接着剤層6を形成する接着剤の中から選ぶことも可能であるが、その他にニトリルフェノール樹脂、ビニルフェノール樹脂、シラン系の処理剤などを使用することもできる。
【0042】
接合工程#120は、基材層4とナノ材料層5とを接着する工程であり、基材層4の一方の表面にナノ材料層5を接着する。接合工程#120では、例えば、カルボキシル基、エポキシ基、水酸基又はウレタン結合を含有するポリマーを共押出法、押出ラミネート又はコーティングすることによって基材層4とナノ材料層5とを接合する。ここで、共押出法とは、押出成形によってフィルムを成形するときに複数の素材を同時に押し出して接着させる方法であり、押出ラミネートとは、フィルム上に材料を直接押し出して冷却し接着させる方法であり、コーティングとは、フィルム上に材料を塗布して接着させる方法である。ここで、基材層4がオレフィン系樹脂をベースとした材料、ナノ材料層5がナイロンをベースとした材料の場合を考える。共押出法の場合には、ナノ材料層5を形成するナイロンの押出温度に依存する220〜300℃(好ましくは240〜290℃)によってこれらの材料を押出し、基材層4とナノ材料層5とを接着させる。押出ラミネートの場合には、基材層4を形成するオレフィン系樹脂の押出温度に依存する150〜270℃(好ましくは180〜240℃)によってこれらの材料を押出し、基材層4とナノ材料層5とを接着させる。コーティングの場合には、カルボキシル基、エポキシ基、水酸基若しくはウレタン結合を含有するポリマーを溶剤に溶解若しくは分散させた接着剤を塗布、又はこれらポリマーのエマルション若しくはディパージョンを塗布し、接着剤層6の再活性化温度及びナノ材料層5を形成するナイロンと反応する温度に依存する100〜250℃(好ましくは150〜200℃)によって基材層4とナノ材料層5とを接着させる。
【0043】
接合工程#120では、例えば、エポキシ樹脂系接着剤、エポキシ樹脂と酸無水物の接着剤、エポキシ樹脂とフェノリック系接着剤、又はフェノール樹脂系接着剤を溶剤に溶解若しくは分散させた接着剤をコーティングして、基材層4とナノ材料層5とを接着させる。また、接合工程#120では、例えば、レゾシノール樹脂若しくはレゾシノールとスチレン、ブタジエン、アクリロニトリル、アクリル酸エステルの中から1種以上のモノマーと共重合したレゾシノール系接着剤、又はフェノール樹脂系接着剤をコーティングして、基材層4とナノ材料層5とを接着させる。ここで、基材層4がオレフィン系樹脂をベースとした材料、ナノ材料層5がナイロンをベースとした材料の場合を考える。これらのコーティングの場合には、ナノ材料層5を形成するナイロンに直接接着剤を塗布する時には、10〜50℃(好ましくは20〜40℃)によって基材層4とナノ材料層5とを接着させる。さらに、接合工程#120では、例えば、ポリアミド系のホットメルト系接着剤、溶剤系若しくは水分散系の接着剤をコーティング、又はフィルム化したものをラミネートして、基材層4とナノ材料層5とを接着させる。この場合には、接着剤層6の再活性化温度及びナノ材料層5を形成するナイロンと反応する温度に依存する100〜250℃(好ましくは150〜200℃)によって基材層4とナノ材料層5とを接着させる。
【0044】
この発明の第1実施形態に係る難燃材には、以下に記載するような効果がある。
(1) この第1実施形態では、基材層4とナノ材料層5とが接着されている。このため、燃焼時の有毒ガスの発生を低減することができるとともに、急激な燃焼の拡大を遅らせることができる。
【0045】
(2) この第1実施形態では、ナノ材料層5がナノコンポジット材料によって形成されている。このため、引張強さなどの特性を向上させることができるとともに、不完全燃焼を低減し有毒ガスの発生割合を低減させることができる。
【0046】
(3) この第1実施形態では、基材層4の一方の表面にナノ材料層5が接着されている。このため、製造が容易で簡単な構造によって有毒ガスの発生を抑え難燃性を向上させることができる。また、ナノ材料層5のほうがオレフィン系の基材層4よりも耐久性が優れているため、基材層4の上面にナノ材料層5を接合することによって、劣化条件が厳しい環境化下で床材3の耐久性を向上させることができる。
【0047】
(4) この第1実施形態では、基材層4が熱可塑性又は熱硬化性の高分子材料によって形成されている。このため、入手が容易で安価な高分子材料を利用することによって安価に床材3を製造することができる。
【0048】
(第2実施形態)
図4は、この発明の第2実施形態に係る難燃材を模式的に示す断面図である。以下では、図1及び図2に示す部分と同一の部分については、同一の番号を付して詳細な説明を省略する。
図4に示す床材3は、ナノ材料層5の両面に基材層4が接着されており、ナノ材料層5の上面及び下面に接着剤層6によって基材層4が接着されている。この第2実施形態では、第1実施形態の効果に加えて、燃焼の拡大をより一層遅らせることができる。
【0049】
(第3実施形態)
図5は、この発明の第3実施形態に係る難燃材を模式的に示す断面図であり、図5(A)(B)は積層構造が異なる場合の断面図である。
図5に示す床材3は、複数の基材層4と複数のナノ材料層5とが交互に積層されており、これらが接着剤層6によって接着されている。図5(A)に示す床材3は、基材層4及びナノ材料層5がそれぞれ2層積層されており、最下層に基材層4が配置され最上層にナノ材料層5が配置されている。図5(B)に示す床材3は、基材層4が3層積層されており、ナノ材料層5が2層配置され最下層及び最上層に基材層4が配置されている。この第3実施形態では、第1実施形態及び第2実施形態の効果に加えて、燃焼の拡大をより一層遅らせることができる。
【0050】
(第4実施形態)
図6は、この発明の第4実施形態に係る難燃材を模式的に示す断面図である。
図6に示す床材3は、基材層4の表面(上面)にナノ材料層5が積層されており、これらが接着剤層6によって接着されている。ナノ材料層5は、複数のナノ材料層5a〜5cを積層した積層構造であり、これらが接着剤層6によって接合されている。ナノ材料層5は、図6に示すように、ナノ材料層5a〜5cが3層積層されており、各ナノ材料層5a〜5cのナノ粒子の配合量が下層のナノ材料層5aよりも上層のナノ材料層5cのほうが高くなるように、これらのナノ材料層5a〜5cが積層されている。ナノ材料層5は、例えば、最下層のナノ材料層5aのナノ粒子の配合量が1mass%、中間層のナノ材料層5bのナノ粒子の配合量が2mass%、最上層のナノ材料層5cのナノ粒子の配合量が5mass%になるように、下層から上層に向かってナノ粒子の配合量が順次高くなるように傾斜配合されている。また、ナノ材料層5は、例えば、最下層のナノ材料層5aのナノ粒子の配合量が5mass%、中間層のナノ材料層5bのナノ粒子の配合量が2mass%、最上層のナノ材料層5cのナノ粒子の配合量が1mass%になるように、下層から上層に向かってナノ粒子の配合量が順次低くなるように傾斜配合されている。この第4実施形態では、第1実施形態の効果に加えて、配合量の異なる複数層のナノコンポジット材料層を積層時に形成することによって、燃焼の拡大をより一層遅らせることができる。
【0051】
(第5実施形態)
図7は、この発明の第5実施形態に係る難燃材を模式的に示す断面図であり、図7(A)は積層構造のナノ材料層を中間層に形成したときの断面図であり、図7(B)は積層構造のナノ材料層を複数層に形成したときの断面図である。
図7(A)に示す床材3は、ナノ材料層5が中間層に形成されており、ナノ材料層5の一方の表面(上面)と基材層4とが接着剤層6によって接着され、ナノ材料層5の他方の表面(下面)と基材層4とが接着剤層6によって接着されている。図7(B)に示す床材3は、ナノ材料層5が複数層に形成されており、このナノ材料層5と基材層4とが交互に積層されこれらが接着剤層6によって接着されている。床材3は、基材層4が3層積層され、ナノ材料層5が2層積層されており、最下層及び最上層に基材層4が配置されている。この第5実施形態には、第1実施形態の効果に加えて、配合量の異なる複数層のナノコンポジット材料層を複数層形成することによって、燃焼の拡大をより一層遅らせることができる。
【0052】
(第6実施形態)
図8は、この発明の第6実施形態に係る難燃材を模式的に示す断面図である。
図8に示す床材3は、ナノ材料層5の表面(上面及び下面)にナノ材料層5が積層されており、これらが接着剤層6によって接着されている。ナノ材料層5は、複数のナノ材料層5a〜5cを積層した積層構造であり、これらが接着剤層6によって接合されている。ナノ材料層5は、図8に示すように、ナノ材料層5a〜5cが3層積層されている。上側のナノ材料層5は、各ナノ材料層5a〜5cのナノ粒子の配合量が下層のナノ材料層5aよりも上層のナノ材料層5cのほうが高くなるように、これらのナノ材料層5a〜5cが積層されている。一方、下側のナノ材料層5は、上側のナノ材料層5とは逆に、各ナノ材料層5a〜5cのナノ粒子の配合量が上層のナノ材料層5aよりも下層のナノ材料層5cのほうが高くなるように、これらのナノ材料層5a〜5cが積層されている。上側及び下側のナノ材料層5は、例えば、ナノ材料層5aのナノ粒子の配合量が1mass%、ナノ材料層5bのナノ粒子の配合量が2mass%、ナノ材料層5cのナノ粒子の配合量が5mass%になるように傾斜配合されている。この第6実施形態には、第5実施形態と同様の効果がある。
【実施例】
【0053】
次に、この発明の実施例について説明する。
(試験品)
無機系ナノ粒子をポリマー中に配合したナノコンポジットフィルムを接着した床材(実施例1)、無機系ナノ粒子をポリマー中にドライ配合したナノコンポジットフィルムを接着した床材(実施例2)、及び無機系ナノ粒子を一切配合しない未配合のフィルムを接着した床材(比較例)を試験品として使用した。ここで、実施例2のドライ配合とは実施例1の配合と比べて分散剤の量が少ないものである。実施例1,2については粘土化合物であるモンモリロナイトを有機化処理し、これをポリマー中に2.3mass%添加し、ナノレベルで高次分散させた厚さ200μmのナノコンポジットフィルムをオレフィン系床材表面にプライマーを用いて加熱プレスによって接着したものである。比較例については無機系ナノ粒子を一切配合しない未配合の厚さ200μmの同素材のフィルムをオレフィン系床材表面にプライマーを用いて加熱プレスによって接着したものである。実施例1,2及び比較例については、密度0.88g/cm3、MFR=1.0の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂100重量部に、水酸化アルミニウム100重量部、ステアリン酸亜鉛1重量部からなる配合物を押出機にて1.8mmのシートを成形し、更にこのシートの裏面に麻の織布を積層したものを基材層とした。
【0054】
(試験方法)
(発熱速度の測定)
各試験品についてISO 5660-1に規定する発熱速度を測定した。発熱速度は、燃焼時に試験品が発生する時間当たりの熱量であり、水平に配置した試験品に輻射熱を加えることによって測定した。試験装置は、試験品の表面に均一に熱量を加えるコーン(円錐)型のヒータを備えるカロリメータ(熱量測定器)であり、材料の燃焼特性を把握するために使用されるコーンカロリメータである。発熱速度の測定に使用した試験品は、長さ100mm×幅100mm×厚さ50mm以下である。試験条件は、大火源を考慮して輻射熱量50kW/m2とし、熱量が安定したら熱シールドを配置してシールド下部に試験品を設置し、その後に熱シールドを取り外してコーンカロリメータによって加熱しながら電気火花により着火し、着火までの時間、発熱速度、最大発熱速度及び総発熱量などを測定した。
【0055】
(煙の発生量の測定)
各試験品についてISO 5660-2に規定する煙の発生量を測定した。煙の発生量は、水平に配置した試験品に輻射熱を加えて測定した。試験装置は、発熱速度の測定と同様のコーンカロリメータを使用し、煙の発生量の測定に使用した試験品は発熱速度の測定に用いた試験品と同一の大きさである。試験条件は、発熱速度の測定と同様であり、測定時の排気ガスをレーザ光によりモニタリングして、その透過度の変化から煙の発生量を測定した。
【0056】
(煙の毒性の測定)
各試験品についてBS 6853 AnnexB2に規定する煙の毒性について測定した。煙の毒性は、チャンバー内の限られた雰囲気中でコーンカロリメータと同様の加熱装置で試験品を加熱し、発生したガスのうち8種類の対象ガスの発生量を測定し、有害性を評価した。試験装置は、簡易なコーンカロリメータをチャンバー内に備えており、試験中は扉を閉じチャンバー内を常に負圧に保ち、不完全燃焼条件における発生ガスの毒性を評価する。煙の毒性試験に使用した試験品は、長さ76mm×幅76mm×厚さ50mm以下である。試験条件は、輻射熱量25kW/m2とし、熱量が安定したらチャンバー内のCO2濃度、O2濃度、温度などの初期環境が正常であることを確認して試験品を配置し、すばやくチャンバーを閉じて試験を開始した。発生ガスは、IR(CO,CO2)、化学発光(NOx)、溶液吸収後イオンクロマトグラフ(ハロゲン類)によってそれぞれの濃度を測定し、基準値を用いて測定結果を重み付けし、重み付け総量指数Rを以下の数1,2によって算出した。
【0057】
【数1】

【0058】
【数2】

【0059】
ここで、数1に示すrxは、個々のガスの指数であり、cxは各ガスの測定値であり、fxは各ガスの基準値である。発生ガスの有毒性は、数2を用いて各ガスの指数rxを加算した重み付け総量指数Rによって評価した。
【0060】
(試験結果)
(発熱速度の測定結果)
図9は、発熱速度の測定結果を示すグラフである。図10は、最大発熱速度及び総発熱量の測定結果を示すグラフである。
図9に示す縦軸は、発熱速度(HRR(kW/m2))であり、横軸は時間(s)である。図10に示す縦軸は、左側が最大発熱速度(PkHRR(kW/m2))であり、右側が総発熱量(ToHRR(MJ/m2))であり、横軸は実施例1,2及び比較例である。図9及び図10に示すように、ナノコンポジットフィルムを積層した実施例1,2については、比較例に比べて発熱速度(HRR)のピークである最大発熱速度(PkHRR)を低下させる効果が確認された。一方、図10に示すように、実施例1,2及び比較例のいずれについても総発熱量(ToHRR(kW/m2))に差異が少ないことが確認された。その結果、ナノコンポジットフィルムを使用することによって急激な延焼の拡大を遅らせる効果が確認された。
【0061】
(煙の発生量の測定結果)
図11は、煙の発生量の測定結果を示すグラフである。図12は、最大煙発生速度及び総煙発生量の測定結果を示すグラフである。
図11に示す縦軸は、煙発生速度(S"(m2/m2s))であり、横軸は時間(s)である。図12に示す縦軸は、左側が最大煙発生速度(S"max(m2/m2s))であり、右側が総煙発生量 (S"1+S"2(m2/m2))であり、横軸は実施例1,2及び比較例である。ここで、S"1は着火前の煙発生量であり、S"2は着火後の煙発生量である。図11及び図12に示すように、ナノコンポジットフィルムを積層した実施例1,2については、比較例に比べて煙発生速度(S")のピークである最大煙発生速度(S"max)及び総煙発生量 (S"1+S"2)を低下させる効果が確認された。また、煙の発生は、一般に試験品が不完全燃焼したときに大きくなるが、実施例1,2についてはナノコンポジットフィルムを使用することによって急激な燃焼拡大による不完全燃焼の割合を低減させる効果が確認された。
【0062】
(煙の毒性の測定)
図13は、重み付け総量指数の測定結果を示すグラフである。
図13に示す縦軸は、重み付け総量指数Rであり、横軸は実施例1,2及び比較例に係る試験品である。図13に示すように、ナノコンポジットフィルムを積層した実施例1,2については、比較例に比べて重み付け総量指数Rが低くなることが確認された。その結果、実施例1,2についてはナノコンポジットフィルムを使用することによって不完全燃焼を低減し、有毒ガスの発生割合を低下させる効果が確認された。
【0063】
(他の実施形態)
この発明は、以上説明した実施形態に限定するものではなく、以下に記載するように種々の変形又は変更が可能であり、これらもこの発明の範囲内である。
(1) この実施形態では、難燃材として鉄道車両の床材3を例に挙げて説明したが、鉄道車両以外の自動車、航空機、船舶又は建築物などの床材又は内装材などについてもこの発明を適用することができる。また、この実施形態では、ダブルスキン構体に床材3を取り付けた床構造1を例に挙げて説明したが、台枠上に取り付けられたキーストンプレート(デッキプレート)などに床受け部材によって床材を取り付けた床構造についてもこの発明を適用することができる。さらに、この実施形態では、前処理工程#110を含む場合を例に挙げて説明したがこの前処理工程#110を省略することもできる。
【0064】
(2) この第1実施形態では、基材層4の一方の表面(上面)にナノ材料層5を接合した場合を例に挙げて説明したが、基材層4の他方の表面(下面)のみにナノ材料層5を接合したり、基材層4の両面にナノ材料層5を接合したりすることもできる。この第4実施形態及び第5実施形態では、ナノ材料層5が3層構造の傾斜配合である場合を例に挙げて説明したが3層構造に限定するものではなく、ナノ材料層5を2層以上の傾斜配合にすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】この発明の第1実施形態に係る難燃材を備える鉄道車両に床材を模式的に示す断面図である。
【図2】この発明の第1実施形態に係る難燃材を模式的に示す断面図である。
【図3】この発明の第1実施形態に係る難燃材の製造方法を説明するための工程図である。
【図4】この発明の第2実施形態に係る難燃材を模式的に示す断面図である。
【図5】この発明の第3実施形態に係る難燃材を模式的に示す断面図であり、(A)(B)は積層構造が異なる場合の断面図である。
【図6】この発明の第4実施形態に係る難燃材を模式的に示す断面図である。
【図7】この発明の第5実施形態に係る難燃材を模式的に示す断面図であり、(A)は積層構造のナノ材料層を中間層に形成したときの断面図であり、(B)は積層構造のナノ材料層を複数層に形成したときの断面図である。
【図8】この発明の第6実施形態に係る難燃材を模式的に示す断面図である。
【図9】発熱速度の測定結果を示すグラフである。
【図10】最大発熱速度の測定結果を示すグラフである。
【図11】煙の発生量の測定結果を示すグラフである。
【図12】最大発熱速度の測定結果を示すグラフである。
【図13】重み付け総量指数の測定結果を示すグラフである。
【符号の説明】
【0066】
1 床構造
2 構体
3 床材(難燃材)
4 基材層
5 ナノ材料層
5a〜5c ナノ材料層
6 接着剤層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
難燃性を有する積層構造の難燃材であって、
基材層とナノ材料層とが接着されていること、
を特徴とする難燃材。
【請求項2】
請求項1に記載の難燃材において、
前記ナノ材料層は、ナノコンポジット材料によって形成されていること、
を特徴とする難燃材。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の難燃材において、
前記基材層の少なくとも一方の表面に前記ナノ材料層が接着されていること、
を特徴とする難燃材。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の難燃材において、
前記ナノ材料層の両面に前記基材層が接着されていること、
を特徴とする難燃材。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載の難燃材において、
複数の前記基材層と複数の前記ナノ材料層とが交互に積層されていること、
を特徴とする難燃材。
【請求項6】
請求項3から請求項5までのいずれか1項に記載の難燃材において、
前記ナノ材料層は、複数のナノ材料層を積層した積層構造であり、各ナノ材料層のナノ粒子の配合量が下層のナノ材料層よりも上層のナノ材料層のほうが高くなるようにこれらのナノ材料層が積層されていること、
を特徴とする難燃材。
【請求項7】
請求項3から請求項6までのいずれか1項に記載の難燃材において、
前記ナノ材料層は、複数のナノ材料層を積層した積層構造であり、各ナノ材料層のナノ粒子の配合量が上層のナノ材料層よりも下層のナノ材料層のほうが高くなるようにこれらのナノ材料層が積層されていること、
を特徴とする難燃材。
【請求項8】
請求項6又は請求項7に記載の難燃材において、
前記ナノ材料層は、中間層又は複数層に形成されていること、
を特徴とする難燃材。
【請求項9】
請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載の難燃材において、
前記基材層は、熱可塑性又は熱硬化性の高分子材料によって形成されていること、
を特徴とする難燃材。
【請求項10】
難燃性を有する積層構造の難燃材の製造方法であって、
基材層とナノ材料層とを接着する接合工程を含むこと、
を特徴とする難燃材の製造方法。
【請求項11】
請求項10に記載の難燃材の製造方法において、
前記接合工程は、ナノコンポジット材料の前記ナノ材料層と前記基材層とを接着する工程を含むこと、
を特徴とする難燃材の製造方法。
【請求項12】
請求項10又は請求項11に記載の難燃材の製造方法において、
前記接合工程は、前記基材層の少なくとも一方の表面に前記ナノ材料層を接着する工程を含むこと、
を特徴とする難燃材の製造方法。
【請求項13】
請求項10又は請求項11に記載の難燃材の製造方法において、
前記接合工程は、前記ナノ材料層の両面に前記基材層を接着する工程を含むこと、
を特徴とする難燃材の製造方法。
【請求項14】
請求項10又は請求項11に記載の難燃材の製造方法において、
前記接合工程は、複数の前記基材層と複数の前記ナノ材料層とを交互に積層する工程を含むこと、
を特徴とする難燃材の製造方法。
【請求項15】
請求項13から請求項14までのいずれか1項に記載の難燃材の製造方法において、
前記接合工程は、前記ナノ材料層が複数のナノ材料層を積層した積層構造であるときに、各ナノ材料層のナノ粒子の配合量が下層のナノ材料層よりも上層のナノ材料層のほうが高くなるようにこれらのナノ材料層を積層する工程を含むこと、
を特徴とする難燃材の製造方法。
【請求項16】
請求項13から請求項15までのいずれか1項に記載の難燃材の製造方法において、
前記接合工程は、前記ナノ材料層が複数のナノ材料層を積層した積層構造であるときに、各ナノ材料層のナノ粒子の配合量が上層のナノ材料層よりも下層のナノ材料層のほうが高くなるようにこれらのナノ材料層を積層する工程を含むこと、
を特徴とする難燃材の製造方法。
【請求項17】
請求項15又は請求項16に記載の難燃材の製造方法において、
前記接合工程は、前記ナノ材料層が中間層又は複数層になるように積層して接着する工程を含むこと、
を特徴とする難燃材の製造方法。
【請求項18】
請求項10から請求項17までのいずれか1項に記載の難燃材の製造方法において、
前記接合工程は、熱可塑性又は熱硬化性の高分子材料の前記基材層と前記ナノ材料層とを接着する工程を含むこと、
を特徴とする難燃材の製造方法。
【請求項19】
難燃性を有する積層構造の鉄道車両の床材であって、
請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載の難燃材を備えること、
を特徴とする鉄道車両の床材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−238479(P2008−238479A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−79653(P2007−79653)
【出願日】平成19年3月26日(2007.3.26)
【出願人】(000173784)財団法人鉄道総合技術研究所 (1,666)
【出願人】(000010010)ロンシール工業株式会社 (84)
【Fターム(参考)】