説明

難聴及び難聴に伴う副症状の、予防又は治療のための医薬

【課題】聴覚障害における主たる症状である難聴を患う患者において、難聴及び難聴に伴う副症状の予防又は治療に有効な医薬を提供する。
【解決手段】下記一般式(1)で表される化合物及び薬理学的に許容されるその塩のうちの少なくとも1種を有効成分として含有する、難聴及び難聴に伴う副症状の予防又は治療のための医薬。


(式中、m、nは、それぞれ独立に、2〜4の整数を表す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、聴覚障害における主たる症状である難聴を患う患者において、難聴及び難聴に伴う副症状の予防又は治療のための医薬に関し、詳細には、シグマ受容体リガンドであるある種の1,4−(ジフェニルアルキル)ピペラジン誘導体を有効成分とする該症状の予防又は治療のための医薬に関する。
【背景技術】
【0002】
シグマ受容体の存在は、ベンゾモルファン系の化合物が惹起する精神異常作用を説明するために、Martinらによって提唱された(非特許文献1参照。)。当初、シグマ受容体はオピオイド受容体のサブタイプの一つと考えられていたが、古典的なオピオイド受容体の拮抗薬であるナロキソンによってシグマ受容体は影響されないこと等の理由から、シグマ受容体は、独立した受容体であることが確立している。
【0003】
シグマ受容体には、シグマ1及びシグマ2という二つのサブタイプが知られている。シグマ1受容体遺伝子は1996年にHanner等によってラットからはじめてクローニングされたものであり、その全塩基配列及びタンパクの全アミノ酸配列はすでに決定されている。その後、ヒトをはじめ各種哺乳動物及び鳥類等の動物からも同様にシグマ1受容体遺伝子がクローニングされた。一方、シグマ2受容体遺伝子については、未だにクローニングされていない。いずれのサブタイプについても、シグマ受容体の内在性のリガンドは、いまだ知られていない。
【0004】
シグマ受容体に対して親和性を有する化合物は知られている。例えば、特許文献1には、そこに開示されている1,4−(ジフェニルアルキル)ピペラジン誘導体が、シグマ受容体に対して強い親和性を有することが記載されている。一方、シグマ受容体は中枢神経系及び末梢組織で発現していることが知られているが、その生理学的な機能については必ずしも明らかではなく、従来、中枢神経疾患との関連が指摘されていたこと以外は不明な点が多かった。すなわち、シグマ受容体リガンドが神経組織に作用し、種々の中枢神経疾患の治療薬となり得ることは、指摘されてきた。例えば、うつ病、認知症、記憶障害等の疾患の治療薬となり得ることが報告されてきた(例えば、非特許文献2参照。)。特許文献1には、そこに開示されている1,4−(ジフェニルアルキル)ピペラジン誘導体が、中枢神経障害の治療剤として有用であることが記載されている。
【0005】
しかしながら、神経組織以外の組織においては、シグマ受容体の生理学的な機能は未だに不明であり、シグマ受容体リガンドの作用も神経組織以外の組織においては知見が少ない。
【0006】
ところで、難聴には障害部位に着目して伝音性難聴、感音性難聴、伝音性難聴と感音性難聴が混在する混合性難聴があるとされ、また、難聴を引き起こす原因に着目して、薬剤性難聴、例えば、アミノグリコシド系抗生物質等の薬剤に起因するもの、騒音性難聴、例えば、ライブハウスや音楽クラブにおいて、又は、ヘッドフォン等で、大音量かつ長時間にわたり音楽を聞く等の要因によるもの、メニエール病、自己免疫疾患等の病気に伴うもの、加齢に伴う難聴、等があるとされる。さらに、突発性難聴等のように原因が明らかでない難聴も存在する。
【0007】
難聴になると、日常生活に種々の不便を生じる。単に音が聞き取りにくいというだけでなく、雑音との聞き分けができなかったり、言葉が聞き取れなかったり、間違って聞き取ったりする等のことが多い。
【0008】
しかし、難聴の予防薬又は治療薬として確立したものはいまだ存在しない。例えば、突発性難聴では、ウイルスによる発症を想定してステロイドが投与されることがあるが、ステロイドに難聴治療薬としての効能が広く認められているわけではなく、その効果についても論議されているのが現状である。また、エネルギー代謝異常を想定してアデノシン三リン酸等の投与が行われることもある。しかしながら、いずれの投与も効果が明確ではない。このように、満足すべき予防薬も治療薬も存在しないといわざるを得ない。
【0009】
また、難聴にしばしば伴う副症状、例えば、耳鳴りやめまい等の耳科領域の症状についても、いまだに、予防又は治療のための医薬として満足できるものがほとんど存在しない。
【非特許文献1】J. Pharmacol. Exp. Ther. 197, 517−532, (1976)
【非特許文献2】CNS Drug Rev., 4, 1−24, (1998)
【特許文献1】特開平7−89949号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このように、難聴、及び、難聴にしばしば伴う副症状、例えば、耳鳴りやめまい等の耳科領域の症状の治療又は予防に有効な医薬はほとんど見出されておらず、有効な医薬を見出すことが望まれている。そこで、本発明は、聴覚障害における主たる症状である難聴を患う患者において、難聴及び難聴に伴う副症状の予防又は治療に有効な医薬を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
シグマ受容体リガンドの、耳科に関連する疾患に関する研究は未だなされておらず、非常に興味のある研究課題である。本発明者等は、種々のシグマ受容体リガンドについて薬理学的研究を行ったところ、シグマ受容体リガンドである下記一般式(1)で表される化合物が、従来知られている中枢神経系への作用以外に、難聴及び難聴に伴う副症状の予防又は治療剤として有用であることを見出すに至った。従って、本発明は、下記一般式(1)で表される化合物及び薬理学的に許容されるその塩のうちの少なくとも1種を有効成分として含有する、難聴及び難聴に伴う副症状の予防又は治療のための医薬である。
【0012】
【化1】

【0013】
式(1)中、m、nは、それぞれ独立に、2〜4の整数を表す。
【0014】
本発明の一態様においては、一般式(1)中、nは2又は3である医薬である。
本発明の他の態様においては、一般式(1)中、mは2又は3である医薬である。
本発明の別の態様においては、一般式(1)中、mは3であり、nは2である医薬である。
本発明のさらに別の態様においては、一般式(1)中、mは3であり、nは3である医薬である。
本発明のさらに他の態様においては、一般式(1)中、mは2であり、nは2である医薬である。
本発明の他の一態様においては、一般式(1)中、mは4であり、nは2である医薬である。
本発明の別の一態様においては、有効成分として、少なくとも、一般式(1)中、mは3であり、nは2である化合物又は薬理学的に許容されるその塩を含有する、医薬である。
本発明においては、難聴に伴う副症状が、耳鳴り、又は、めまいであってよい。
【発明の効果】
【0015】
上記一般式(1)で表される化合物又は薬理学的に許容されるその塩は、聴力障害を誘発した動物において、対照群と比較して、聴力障害の程度を顕著に低くすることができることから、本発明の医薬は、聴覚障害における主たる症状である難聴を患う患者において、聴力障害の、進展の防止、予防、又は、回復を容易にし、難聴に伴う副症状の予防又は治療に適用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の医薬は、上記一般式(1)で表される化合物(以下、単に「上記化合物」ともいう。)及び薬理学的に許容されるその塩のうちの少なくとも1種を、有効成分として含有する。
【0017】
上記一般式(1)で表される化合物としては、具体的には、上記一般式(1)において、例えば、nは2又は3である化合物、mは2又は3である化合物、mは3であり、nは2である化合物、mは3であり、nは3である化合物、mは2であり、nは2である化合物、及び、mは4であり、nは2である化合物、が好ましく挙げられ、1−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エチル]−4−(3−フェニルプロピル)ピペラジンがさらに好ましい。このような化合物は、1種のみ使用してもよく又は2種以上を併用してもよい。有効成分として、少なくとも、一般式(1)中、mは3であり、nは2である化合物(1−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エチル]−4−(3−フェニルプロピル)ピペラジン)又は薬理学的に許容されるその塩を含有することが好ましい。
【0018】
薬理学的に許容される塩としては医薬として許容される塩であれば特に制限はなく、例えば、硫酸、塩酸、燐酸等の無機酸との塩、酢酸、蓚酸、乳酸、酒石酸、フマル酸、マレイン酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸との塩が挙げられ、好ましくは塩酸塩、又は、酒石酸塩である。
【0019】
また、上記化合物は水和物の形態をとっていてもよく、また、それらは結晶及び結晶多形の形態をとっていてもよい。
【0020】
上記化合物の合成方法としては公知の方法を用いることができ、例えば、特開平7−89949号公報に記載の方法で製造することができる。
【0021】
本発明の医薬の製剤化方法
本発明の医薬の投与に用いる剤型としては特に限定されるものではなく、例えば、錠剤(内服用錠剤、舌下錠を含む)、顆粒剤、散剤、カプセル剤、シロップ剤、エリキシル剤、懸濁剤、液剤等の経口投与剤、注射剤、点滴剤、点耳剤、軟膏剤、ゲル剤、貼付剤、座剤、スプレー剤等の非経口投与剤等を挙げることができる。これらの剤型は、通常の製剤方法として汎用されている技術を用いて製造することができる。例えば、錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤等の経口剤は、必要に応じて乳糖、デンプン、結晶セルロース、植物油等の増量剤、ステアリン酸マグネシウム、タルク等の滑沢剤、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン等の結合剤、カルボキシメチルセルロースカルシウム等の崩壊剤を用いることができ、錠剤の場合は、さらに必要によりヒドロキシプロピルセルロース、マクロゴール、シリコン樹脂等のコーティング剤等を用いて上記有効成分を被覆して製剤化することができ、カプセル剤の場合はゼラチン皮膜剤等を用いて、上記有効成分を封入して製剤化することができる。シロップ剤、エリキシル剤、懸濁剤、液剤等は、薬理学的に許容される液状の製剤用添加物、例えば、シロップ剤、エタノール、懸濁剤、溶液剤等、必要に応じて精製水、甘味剤等の希釈剤等を用いて、上記有効成分を含有させることにより製剤化することができる。注射剤や点滴剤の場合は、注射用蒸留水、生理食塩水、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、エタノール等の無菌の水性又は非水性の溶液剤、懸濁剤、乳濁剤、pH調整剤等を用いて、上記有効成分を含有させることにより製剤化することができる。点耳剤、軟膏剤、ゲル剤、貼付剤、座剤、スプレー剤等の場合は、それぞれ、耳用シリンジ、耳用ディスペンサー等に適合し得る懸濁液組成物や溶液組成物等、軟膏基剤(例えば、ミリスチン酸等の高級脂肪酸、パルミチン酸エステル等の高級脂肪酸エステル等)等、ゲル基剤(例えば、カルボキシメチルセルロース等のゲル化剤等)等、貼付用基剤等、座剤用基剤(ポリエチレングリコール、カカオ脂等)等、スプレー剤に使用される公知の液剤、粉末剤等を用いて、それぞれ、公知の方法に従って、上記有効成分を含有させることにより製剤化することができる。
【0022】
例えば、カプセル剤の場合、有効成分の投与単位量として、例えば、0.1mg、1mg、2mg、5mg、10mg、20mg、50mg、100mg等を、例えば粉体形態で含有させ、必要に応じて上記増量剤等を、例えば、10mg、20mg、50mg、100mg等を、配合すればよく、錠剤の場合は、有効成分を、例えば、0.1mg、1mg、2mg、5mg、10mg、20mg、50mg、100mg等と、上記増量剤等を、例えば、20〜150mg配合すればよく、注射剤の場合は、有効成分を、例えば、0.1mg、1mg、5mg、10mg等を配合すればよい。
【0023】
本発明の医薬の投与方法
本発明の医薬の投与方法としては、経口(例えば、錠剤(内服用錠剤、舌下錠を含む)、顆粒剤、散剤、カプセル剤、シロップ剤、エリキシル剤、懸濁剤、液剤等の剤型による投与)、非経口(例えば、注射剤、点滴剤、点耳剤、軟膏剤、ゲル剤、貼付剤、座剤、スプレー剤等による投与)のいずれでもよい。これらの投与方法及び剤型は、患者の症状、年齢、治療目的等に応じて適宜選択することができる。
【0024】
本発明の医薬の投与量としては、症状、年齢、剤型等により適宜選択されるが、その有効成分量として、成人の場合は、通常、1日あたり0.1〜1000mgであり、患者の症状、年齢、体重、人種、治療目的等に応じて適宜増減することができる。これを1日1回〜数回に分けて投与する。
【0025】
本発明の医薬は、難聴及び難聴に伴う副症状に適用できるものである。難聴に伴う副症状としてはとくに限定されないが、典型的には、耳鳴り、めまい等が挙げられる。難聴と難聴に伴う副症状とは、治療においては特に区別することなく、対処され、治療の効果が期待されている。従って、本発明の医薬は、難聴及び難聴に伴う副症状の、予防又は治療に適用可能である。
【実施例】
【0026】
1.内耳におけるシグマ1受容体タンパクの発現の確認
内耳の種々の細胞にシグマ1受容体が発現していることをシグマ1受容体タンパクの抗体を用いて、以下のようにして明らかにした。
【0027】
内耳におけるシグマ1受容体タンパクの発現を確かめるために、C3Hマウス(6週齢)の内耳を取り出し、4%パラホルムアルデヒドに還流固定後、脱灰及びパラフィン包埋し、切片を作成してシグマ1受容体タンパクの免疫染色を行った。結果を図1に示した。
【0028】
図1から、内耳においてシグマ1受容体タンパクが発現していることが確認された。内耳の聴覚神経のみならず、蝸牛器官中の有毛細胞などの音受容細胞にシグマ受容体が多く発現していることが見出された。
【0029】
また、別途、ウエスタンブロット法においても、マウスの蝸牛にシグマ1受容体の発現があることを確認した。
【0030】
2.聴覚障害に対する影響評価
評価方法:大音響で誘発した実験動物における聴覚障害に対する下記の被験化合物の影響を以下の方法で評価した。
(1)使用動物:体重約20g、6週齢の雄性C3Hマウスを使用した。
(2)聴覚障害惹起の方法:マウスは1オクターブで異なる3つの音域(4kHz、8kHz、16kHz)で音量120dBの音響に2時間曝露した。曝露はノイズジェネレーター(ME 60μ graphic equalizer)を装着したサウンドチャンバー内で行った。音量は、チャンバー内の複数の箇所で音量計(Bruel and Kjaer Instrument社製、Type2203 precision sound level meter)によってモニターした結果、ばらつきは3dB以下であった。
【0031】
(3)聴力の測定:マウスの聴力はそれぞれのマウスの両耳のAuditory evoked brainstem response (ABR)を測定することにより決定した。ABRの測定は、大音量曝露1週間後に測定する群(n=6)、大音量曝露1ヵ月後に測定する群(n=6)および大音量曝露3ヶ月後測定する群(n=3)を、それぞれ設け、それぞれの群に対して、大音量曝露の直前に実施し、その後、各群に応じて、1週間後、1ヵ月後及び3ヶ月後に実施した。
(4)被験化合物の投与方法:被験化合物としては、下記式(2)で表される1−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エチル]−4−(3−フェニルプロピル)ピペラジン・二塩酸塩(以下、「化合物A」と表記する)を用いた。
【0032】
【化2】

【0033】
化合物Aを蒸留水に溶解し、飲料水に混ぜて上記各群のマウスに投与した。投与量は、それぞれの群について、いずれも、1日あたり0mg/kg(control)、3mg/kg及び30mg/kgとなるように、それぞれ調節した。被験化合物の動物への投与は、大音量曝露の7日前から開始し、毎日投与し、実験終了まで、それぞれ、1週間後、1ヵ月後及び3ヶ月後のABRの測定時まで続けた。
【0034】
(5)結果:結果を図2〜図4に示した。
図2は、化合物Aを0mg/kgの場合(対照)、3mg/kg及び30mg/kgの量で経口投与した場合の、それぞれ、大音量曝露後1週間後の、大音量曝露直前の測定値を基準とするABR測定値のシフト(dB)を、16kHz、8kHz及び4kHzの音域において示す。全ての音域において、大音量暴露前の測定値からのシフトが、化合物Aの濃度依存的に、小さくなっていることがわかる。シフトが小さいことは、大音量暴露前の聴力からの聴力低下量が少ないことを示す。図3は大音量暴露後1カ月後のシフト(dB)を示し、図4は大音量暴露後3カ月後のシフト(dB)を示す。
【0035】
これらのことから、化合物Aを投与したマウスでは、大音量暴露による聴覚の障害の程度が顕著に低いことがわかった。すなわち、化合物Aを3mg/kg又は30mg/kg毎日投与したマウスでは、投与しなかったマウスと比較すると、ABRで測定した感音能力が高く、測定した3つの音域すべてにおいて、弱い音量での聴覚が認められた。この結果は大音量暴露による聴覚障害を起こした1週間後、1カ月後及び3ヶ月後のいずれの時点においても同様であった。
【0036】
製剤例1
錠剤
化合物A 1mg
乳糖 55mg
トウモロコシデンプン 30mg
カルボキシメチルセルロースカルシウム 10mg
ヒドロキシプロピルセルロース 3mg
ステアリン酸マグネシウム 1mg
合計 100mg
【0037】
上記処方の錠剤に、コーティング剤(例えば、ヒドロキシメチルセルロース、マクロゴール、シリコーン樹脂等の通常のコーティング剤)2mgを用いてコーティングを施し、目的とするコーティング錠を得る(以下の処方の錠剤も同じ)。また、他の上記一般式(1)で表される化合物又は薬理学的に許容されるその塩を使用したり添加物の量を適宜変更することにより、所望の錠剤を得ることができる.
【0038】
製剤例2
カプセル剤
化合物A 5mg
乳糖 145mg
合計 150mg
【0039】
また、他の上記一般式(1)で表される化合物又は薬理学的に許容されるその塩を使用したり添加物の量を適宜変更することにより、所望のカプセル剤を得ることができる.
【0040】
製剤例3
注射剤
化合物A 10mg
塩化ナトリウム 0.9g
水酸化ナトリウム(または塩酸) 適量
滅菌精製水 適量
合計 10ml
【0041】
また、他の上記一般式(1)で表される化合物又は薬理学的に許容されるその塩を使用したり添加物の量を適宜変更することにより、所望の注射剤を得ることができる.
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】C3Hマウス(6週齢)の内耳の切片を作成してシグマ1受容体タンパクの免疫染色を行った図面代用写真。
【図2】化合物Aを0mg/kgの場合(対照)、3mg/kg及び30mg/kgの量で経口投与した場合の、それぞれ、大音量曝露後1週間後の、大音量曝露直前の測定値を基準とするABR測定値のシフト(dB)を、16kHz、8kHz及び4kHzの音域において示したグラフ。
【図3】化合物Aを0mg/kgの場合(対照)、3mg/kg及び30mg/kgの量で経口投与した場合の、それぞれ、大音量曝露後1カ月後の、大音量曝露直前の測定値を基準とするABR測定値のシフト(dB)を、16kHz、8kHz及び4kHzの音域において示したグラフ。
【図4】化合物Aを0mg/kgの場合(対照)、3mg/kg及び30mg/kgの量で経口投与した場合の、それぞれ、大音量曝露後3カ月後の、大音量曝露直前の測定値を基準とするABR測定値のシフト(dB)を、16kHz、8kHz及び4kHzの音域において示したグラフ。
【符号の説明】
【0043】
A 蝸牛神経節
B リンバス
C 蝸牛神経繊維
D 血管条
E 蝸牛繊維細胞

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される化合物及び薬理学的に許容されるその塩のうちの少なくとも1種を有効成分として含有する、難聴及び難聴に伴う副症状の予防又は治療のための医薬。
【化1】

(式中、m、nは、それぞれ独立に、2〜4の整数を表す。)
【請求項2】
一般式(1)中、nは2又は3である請求項1記載の医薬。
【請求項3】
一般式(1)中、mは2又は3である請求項1記載の医薬。
【請求項4】
一般式(1)中、mは3であり、nは2である請求項1記載の医薬。
【請求項5】
一般式(1)中、mは3であり、nは3である請求項1記載の医薬。
【請求項6】
一般式(1)中、mは2であり、nは2である請求項1記載の医薬。
【請求項7】
一般式(1)中、mは4であり、nは2である請求項1記載の医薬。
【請求項8】
有効成分として、少なくとも、一般式(1)中、mは3であり、nは2である化合物又は薬理学的に許容されるその塩を含有する、請求項1記載の医薬。
【請求項9】
難聴に伴う副症状が、耳鳴りである請求項1〜8のいずれか記載の医薬。
【請求項10】
難聴に伴う副症状が、めまいである請求項1〜8のいずれか記載の医薬。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図1】
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【公開番号】特開2012−1437(P2012−1437A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−260087(P2008−260087)
【出願日】平成20年10月6日(2008.10.6)
【出願人】(301004743)株式会社エムズサイエンス (8)
【出願人】(000177634)参天製薬株式会社 (177)
【出願人】(504136993)独立行政法人国立病院機構 (37)
【Fターム(参考)】