説明

雨戸装置

【課題】 簡単な構造で防犯性の向上が図れる雨戸装置を提供する。
【解決手段】 建物の開口部に設けられた窓2の室外側に配置される少なくとも上枠3a及び下枠3bからなる枠3と、該枠3の上枠3aと下枠3bの間に引き分け状にスライド開閉自在に設けられた雨戸5,5と、上枠3aに設けられ、雨戸5の上部をスライド自在に支持するスライドレール4と、下枠3bに設けられる雨戸5の室内側下部に設けられたガイド片29をスライド自在に案内するガイド部30とを備え、前記下枠3bの中央部に、前記ガイド部30を覆って補強すると共に上部に係合孔46aを有する第1補強部材46を設け、前記両雨戸5,5の全閉時に突き合わされる戸先部14c,14cの室内側下部に、雨戸5,5をこじ開けようとする時に雨戸5の下部が下枠3bから浮き上がることにより前記第1補強部材46の係合孔46aに係合する係合部47aを有する第2補強部材47を設けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雨戸が両開きにスライド開閉する雨戸装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の雨戸装置としては、例えば実開昭53−161549号公報等に記載されているものが知られている。この雨戸装置は、窓枠の上枠の室外側に雨戸用上レールを設け、窓枠の下枠の下面に雨戸用下レールを設け、雨戸用上レールの両側延長線上に雨戸用延長上レールを設けている。雨戸の上框には雨戸用上レール及び雨戸用延長上レール上を走行する吊車が設けられ、雨戸の下框には雨戸用下レール及び雨戸用延長下レール上を案内されるガイド片が設けられている。
【0003】
前記雨戸装置においては、雨戸用上レール及び雨戸用下レールの両側延長線上に雨戸用延長上レール及び雨戸用延長下レールを設けているため、これらの延長レールが雨戸の全閉時に露出して見栄えないし意匠性が悪いだけでなく、延長レールが突出していて危険であるという問題がある。そこで、本出願人は、このような問題を解消した雨戸装置を先に出願した(特願2003−357119号、未公開)。この雨戸装置は、建物の開口部に設けられた窓の室外側に配置される上枠、下枠及び左右の縦枠からなる枠と、該枠の上枠と下枠の間に、縦枠を通過するように両開きにスライド開閉自在に設けられた雨戸と、上枠に設けられ、雨戸の上部をスライド自在に支持するスライドレールと、下枠に設けられ、雨戸の室内側下部に設けられたガイド片をスライド自在に案内するガイド部とを備えている。両雨戸の全閉時に突き合わされる戸先部の室内側には錠装置が設けられている。
【0004】
【特許文献1】実開昭53−161549号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記雨戸装置においては、雨戸の下部と下枠との間の隙間にバールなどを挿入してこじ開け、錠装置が解錠される可能性がある。この防犯対策として、例えば下枠にも雨戸の下部をスライド自在に支持するスライドレールを設置したり、或いはガイド片及びガイド部を補強したり、或いはガイド片とガイド部にこじ開け時に互いに係合する係合部を設けたりすることが検討されているが、コストの増加、或いは意匠性の悪化、或いは組立性の悪化を招くなどの問題がある。
【0006】
本発明は、上記事情を考慮してなされたものであり、簡単な構造で防犯性の向上が図れる雨戸装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、建物の開口部に設けられた窓の室外側に配置される少なくとも上枠及び下枠からなる枠と、該枠の上枠と下枠の間に引き分け状にスライド開閉自在に設けられた雨戸と、上枠に設けられ、雨戸の上部をスライド自在に支持するスライドレールと、下枠に設けられ、雨戸の室内側下部に設けられたガイド片をスライド自在に案内するガイド部とを備え、前記下枠の中央部に、前記ガイド部を覆って補強すると共に上部に係合孔を有する第1補強部材を設け、前記両雨戸の全閉時に突き合わされる戸先部の室内側下部に、雨戸をこじ開けようとする時に雨戸の下部が下枠から浮き上がることにより前記第1補強部材の係合孔に係合する係合部を有する第2補強部材を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、建物の開口部に設けられた窓の室外側に配置される少なくとも上枠及び下枠からなる枠と、該枠の上枠と下枠の間に引き分け状にスライド開閉自在に設けられた雨戸と、上枠に設けられ、雨戸の上部をスライド自在に支持するスライドレールと、下枠に設けられ、雨戸の室内側下部に設けられたガイド片をスライド自在に案内するガイド部とを備え、前記下枠の中央部に、前記ガイド部を覆って補強すると共に上部に係合孔を有する第1補強部材を設け、前記両雨戸の全閉時に突き合わされる戸先部の室内側下部に、雨戸をこじ開けようとする時に雨戸の下部が下枠から浮き上がることにより前記第1補強部材の係合孔に係合する係合部を有する第2補強部材を設けているため、簡単な構造で防犯性の向上が図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に、本発明を実施するための最良の形態について、添付図面を基に詳述する。図1は本発明の実施の形態である雨戸装置を示す全閉時の室外側正面図、図2は同雨戸装置の全開時の室外側正面図、図3は図1の縦断面図、図4は全閉時の横断面図、図5は全開時の横断面図、図6はスライドレールを示す図で、(a)は横断面図、(b)は全閉時の右半分の縦断面図、(c)は全開時の右側部分の縦断面図である。図7は同雨戸装置の要部を示す縦断面図、図8は同横断面図、図9は第1補強部材の斜視図、図10は第2補強部材を示す図で、(a)は室内側正面図、(b)は斜視図である。
【0010】
これらの図において、1は雨戸装置で、図示例の雨戸装置はユニット化された鎧戸セットとして形成されている。この雨戸装置1は、建物の開口部に設けられた窓例えば窓サッシ2の室外側に配置される少なくとも上枠3a及び下枠3bからなる枠3と、該枠3の上枠3aと下枠3bの間に、左右方向に引き分け状ないし両開きにスライド開閉自在に設けられた雨戸5,5と、上枠3aに設けられ、雨戸5,5の上部をスライド自在に支持するスライドレール4と、下枠3bに設けられ、雨戸5の室内側下部に設けられたガイド片29をスライド自在に案内するガイド部30とを備えている。図示例では、枠3は、上枠3a、下枠3b及び左右の縦枠3c,3cからなっているが、縦枠3c,3cを備えていないタイプであっても良い。
【0011】
窓サッシ2は、上枠6a、下枠6b及び左右の縦枠6c,6dからなるサッシ枠(窓枠)6と、このサッシ枠6内に引違いにスライド開閉自在に設けられた内外の障子7,8とを備えている。特に、図示例の窓サッシ(2)は、左右の縦枠6c,6dの室外面に図示しない縦枠カバー材を着脱自在に備えており、雨戸装置1を取付ける場合、前記縦枠カバー材が取外され、左右の縦枠6c,6dの室外側に雨戸装置1の左右の縦枠3c,3cの室内側が当接配置されるようになっている。なお、9は開口部の室内側に設けられた額縁である。
【0012】
雨戸装置1の枠3を構成する上枠3a、下枠3b及び左右の縦枠3c,3cは、例えばアルミ押出形材からなっている。枠3は、上枠3aと下枠3bの両端部相互間に縦枠3c,3cを挟み込んでネジ止めにより組み立ててなり、上枠3a及び下枠3bの両端部が露出する横通し組立構造が採用されている。上枠3a及び下枠3bの両端部には図示しない端部キャップが取付けられる。前記枠3の上枠3a及び下枠3bが建物の躯体の外壁に固着具例えばネジ11で固定される。上枠3aの室外面と、下枠3bの室外面とには、ネジ11を隠すため及び装飾用として、例えばアルミ押出形材からなる上枠カバー材12aと、下枠化粧カバー材12bとがそれぞれネジ止め等で着脱自在に取付けられる。各雨戸(戸体)5は、上框14a、下框14b及び左右の縦框14c,14dからなる框組14内に波状ないし鎧状の金属プレート15を組込んでなる。
【0013】
前記スライドレール4は、上枠3aに設けられた固定レール4aと、該固定レール4aに中間レール4bを介してスライド自在に支持された左右の可動レール4cとを有し、該可動レール4cが雨戸5の上框14aの室内面に設けられている。上枠3aは、上枠カバー材12aを取付けた状態で横断面略逆U字状に形成されており、その下向きの凹溝16内の室外面に固定レール4aがネジ17で着脱自在に取付けられている。前記雨戸5の上框14aの室内面に対して前記可動レール4cがネジ18で取付けられている。上枠3aに対して上枠カバー材12aは、凹溝16側からネジ13で着脱自在に取付けられている。スライドレール4により前記雨戸5は全開時に両縦枠3cより外側に突出した状態に保持されるように構成されている。
【0014】
固定レール4aは、上枠3aの略全長に対応する長さの一本のレールからなっている。中間レール4bと可動レール4cは、それぞれ固定レール4aの略半分の長さとされる。固定レール4aと可動レール4cは、共に室内外方向の寸法を抑えた扁平形の横断面略C字状に形成され、内側(内部)に中間レール4bを挟み込む(覆い包む)ように相対向して配置されている。中間レール4bには固定レール4aの上下の溝19と、可動レール4cの上下の溝19にそれぞれ対向する4つの溝20が形成されており、各対向する溝19,20間にはボールベアリングとしてのボール(鋼球)21が複数個ずつ設けられている。固定レール側には、固定レール側の上下のボール21を固定レール4aの長手方向に所定の間隔で回転自在に保持する固定レール側のボールリテーナー22がレール長手方向に移動自在に設けられている。可動レール側には、可動レール側の上下のボール21を可動レール4bの長手方向に所定の間隔で回転自在に保持する可動レール側のボールリテーナー23がレール長手方向に移動自在に設けられている。
【0015】
可動レール4cの伸張時(雨戸の全開時)にその最大伸張位置を規定するために、可動レール4cの後端部(収縮側)には可動レール側のボールリテーナー23の後端部に当接して可動レール4cの伸張方向への移動を停止させる第1ストッパー24が設けられ、中間レール4bの先端部(伸張側)には可動レール側のボールリテーナー23の先端部に当接して当該ボールリテーナー23の伸張方向への移動を停止させる第2ストッパー25が設けられている。また、中間レール4bの後端(収縮側)には固定レール側のボールリテーナー22の後端部に当接して中間レール4bの伸張方向への移動を停止させる第3ストッパー26が設けられ、固定レール4aの先端部(伸張側)には固定レール側のボールリテーナー22の先端部に当接して当該ボールリテーナー22の伸張方向への移動を停止させる第4ストッパー27が設けられている。
【0016】
なお、可動レール4cの収縮時(雨戸の全閉時)には、左右の可動レール4c同士が当接して収縮方向への移動が停止されるようになっている。雨戸5の上部である上框14aには、スライドレール4の上部、特に雨戸全開時に上枠3aの外側方へ突出される中間レール4b及び可動レール4cの上部を覆う覆い部(雨避け)45が設けられ、スライドレール4のボールベアリングに注入された潤滑材例えばグリースが雨で洗い流されるのを防止している。
【0017】
雨戸5の下部を支持案内するために、雨戸装置1の下枠3bにもスライドレールを設けることが考えられるが、構造の簡素化及びコストの低減を図るために、雨戸5の室内側下部である下框14bの室内面には横断面逆L字状で垂下したガイド片29が長手方向に沿って設けられ、下枠3bには前記ガイド片29を案内するガイド部30が長手方向に沿って設けられている。このガイド部30は、下枠3bの上面に突設された2条(一対)の立ち上がり片(フィン)30a,30bによって形成されたガイド溝30cからなっている。ガイド溝30cにはごみの侵入を防止するモヘア31が設けられていることが好ましい。また、ガイド溝c30内の長手方向両端部には雨戸5の振れ(揺動)すなわちガイド片29の室内外方向への振れを抑制する樹脂製の振れ止め部材32が嵌合されて設けられている。
【0018】
前記上枠3aには左右の雨戸5の開閉を連動させる連動機構33が設けられている。この連動機構33は、一端が一方の雨戸5の合掌框14c側に、他端が他方の雨戸5の合掌框14d側にそれぞれ止め具(図示省略)を介して止着された左右一対のワイヤ34、34と、上枠3aの左右両端部に配設されて各ワイヤ34の中間部を巻き掛けた滑車35,35とから主に構成されている。滑車35はワイヤ34の張力を調整できるように上枠3aの凹溝16内の上方に図示しないブラケットと調整ネジを介してスライド調整可能に設けられている。
【0019】
このように雨戸装置1は左右の雨戸5,5の開閉動作を連動させる連動機構33を備えているため、引違い窓サッシ2の他方の障子7の室内側が家具で塞がっていて、当該障子7を開けて当該障子側の雨戸5を開閉操作することができない場合でも、一方の障子8を開けて当該障子側の雨戸5を開閉操作するだけで、これと連動して他方の雨戸5も開閉することができる。
【0020】
雨戸全閉時の耐風圧性の向上(風の巻き込みによる雨戸のガタツキの防止)、光漏れの防止及び防犯性の向上を図るために、前記縦枠3cと前記雨戸5の背面部とには雨戸5の全閉時に互いに係合して両者間の隙間を覆う全閉時用返し部40a,40bが設けられている。図示例では、縦枠3cの室外面には外向きに突出した横断面略L字状の縦枠側全閉時用返し部40aが形成され、雨戸5の外側縦框14dの室内面には前記縦枠側全閉時用返し部40aに係合するように内向きに突出した横断面略L字状の雨戸側全閉時用返し部40bが形成されている。
【0021】
また、雨戸全開時の耐風圧性の向上を図るために、前記縦枠3cと前記雨戸5の背面部とには雨戸5の全開時に互いに係合して両者間の隙間を覆う全開時用返し部41a,41bが設けられている。図示例では、縦枠側全閉時用返し部40aの室外面には内向きに突出した横断面略L字状の縦枠側全開時用返し部41aが形成され、雨戸5の合掌框14c,14dの室内面には前記縦枠側全開時用返し部41aに係合するように外向きに突出した横断面略L字状の雨戸側全開時用返し部41bが形成されている。
【0022】
左右の雨戸5,5の全閉時に突き合わされる戸先部である合掌框(内側縦框)における一方の合掌框14cの室内面にはその高さ方向略中央部に錠装置(例えば鎌錠)42が設けられ、他方の合掌框14cには施錠時に錠装置42から回動しながら突出する円弧状の鎌形ボルトを引っ掛けるための受座43が設けられている。錠装置42の室内面には施解錠用の操作部44が設けられ、この操作部44を下方に動かすと施錠され、上方に動かすと解錠されるようになっている。
【0023】
特に、防犯性の向上を図るために、図7〜図10に示すように、前記下枠3bの中央部には、前記ガイド部30を覆って補強すると共に上部に係合孔46aを有する第1補強部材46が設けられ、前記両雨戸5,5の全閉時に突き合わされる合掌框(戸先部)14c,14cの室内側下部には、雨戸をこじ開けようとする時に雨戸5の下部が下枠3bから浮き上がる(具体的には雨戸5の下部がスライドレール4を支点に回動して下枠3bから上方へ離れる)ことにより前記第1補強部材の係合孔46aに係合する係合部(係合用の突起部)47aを有する第2補強部材47が設けられている。第1補強部材46及び第2補強部材47は、剛性を有する金属板により形成されている。
【0024】
ガイド部30を形成する室内外の立ち上がり片30a,30bのうちの室内側の立ち上がり片30bにはその上縁部からサッシ枠6の下枠6bに当接すべく室内側に向って延出された延出片部30dが形成されており、第1補強部材46は、室外側立ち上がり片30aの室外面にあてがわれる垂直片部46bと、前記延出片部30dの上面にあてがわれる略水平の水平片部46cとを有するように断面略L字状に形成されている。第1補強部材46の横幅は34mm程度である。第1補強部材46は、前記延出片部30dに対して水平片部46cをネジ(固着具)48で固定することにより取付けられている。この場合、延出片部30dの下面にはネジ48を捩じ込むための裏板49が取付けられることが好ましい。
【0025】
この第1補強部材46によりガイド部30を構成する室外側立ち上がり片30aがバール等で室外側に屈曲変形されたり破壊されるのを防止することができる。前記係合孔46aは、水平片部46cにおけるガイド溝30cと対応する部分に形成されている。一方、第2補強部材47は、前記ガイド片29と同様、断面逆L字状に形成され、その垂下片部47bがガイド溝30c内に垂下されている。第2補強部材47にはこれを合掌框14cの室内面の下部にネジ50で固定するための取付片部47cが一体形成されている。
【0026】
第2補強部材47には雨戸閉方向に延出した延出部47dが垂下片部47bに一体形成されており、この延出部47dの先端部に前記係合部47aが上向きに突出して形成されている。雨戸の全閉時に両雨戸5,5の合掌框14c、14cの室内側下部に設けられている第2補強部材47,47の延出部47d,47dが第1補強部材46の水平片部46cの下部に入り込んだ状態となる。この雨戸閉鎖状態(錠装置42は施錠されていることとする)において、両雨戸5,5の合掌框14c、14cにおける雨戸5と下枠3b間の隙間にバール等を差し込んでこじ開けようとした場合、第2補強部材47の係合部47aが第1補強部材46の係合孔46aに係合し、それ以上雨戸5をこじ開けることが困難になる。
【0027】
以上の構成からなる雨戸装置1によれば、建物の開口部に設けられた窓2の室外側に配置される少なくとも上枠3a及び下枠3bからなる枠3と、該枠3の上枠3aと下枠3bの間に、引き分け状にスライド開閉自在に設けられた雨戸5,5と、上枠3aに設けられ、雨戸5の上部をスライド自在に支持するスライドレール4と、下枠3bに設けられ、雨戸5の室内側下部に設けられたガイド片29をスライド自在に案内するガイド部30とを備え、前記下枠3bの中央部に、前記ガイド部30を覆って補強すると共に上部に係合孔46aを有する第1補強部材46を設け、前記両雨戸5,5の全閉時に突き合わされる合掌框14c、14cの室内側下部に、雨戸5,5をこじ開けようとする時に雨戸5の下部が下枠3bから浮き上がることにより前記第1補強部材46の係合孔46aに係合する係合部47aを有する第2補強部材47を設けているため、簡単な構造で防犯性の向上が図れる。
【0028】
すなわち、雨戸閉鎖状態において、両雨戸5,5の合掌框14c,14cにおける雨戸5,5と下枠3b間の隙間にバール等を差し込んでこじ開けようとした場合、ガイド部30の左右方向中央部分が第1補強部材46により覆われて補強されているため、ガイド部30の室外側立ち上がり片30aが破壊ないし変形されにくく、しかも、こじ開け時に雨戸5の下部が下枠3bから浮き上がることにより第2補強部材47の係合部47aが第1補強部材46の係合孔46aに係合し、それ以上雨戸5,5をこじ開けることが困難になる。従って、防犯対策として下枠にスライドレール等を設ける場合と異なり、コストの増加や意匠性の悪化や組立性の悪化を招く問題がなく、簡単な構造で防犯性の向上が図れる。
【0029】
一方、前記スライドレール4は、少なくとも上枠3aに設けられた固定レール4aと、該固定レール4aに直接または間接的にスライド自在に支持された左右の可動レール4cとを有し、該可動レール4cが雨戸5の背面部に設けられ、前記雨戸5が全開時に両縦枠3cより外側に突出した状態に保持されるように構成されているため、全閉時及び全開時にレール4a,4cが室外側に露出することがなく、意匠性の向上及び安全性の向上が図れる。
【0030】
また、前記可動レール4cが固定レール4aに中間レール4bを介してスライド自在に支持されているため、雨戸5のスライド移動量すなわち開口幅を多くとることができ、採光面積を広く確保することができる。更に、前記固定レール4aが上枠3aの略全長に取付けられる一本のレールからなるため、固定レール4aの脱着を伴うメンテナンスを行う場合、固定レール4aが左右に分割されているものと異なり、固定レール4aを左右バランスよく正確且つ容易に取付けることができ、左右の雨戸5をバランスよく支持することができて雨戸の戸締り性ないし施錠性の向上が図れる。
【0031】
また、前記縦枠3cと前記雨戸5の背面部とには雨戸5の全閉時に互いに係合して隙間を覆う全閉時用返し部40a,40bが設けられているため、風の巻き込みによる雨戸5のバタツキを抑制することができ、雨戸5の全閉時における耐風圧性の向上が図れる。また、縦枠3cと雨戸5の間の隙間が覆われているため、光漏れを防止できると共に、隙間からバール等を挿入して錠装置(鎌錠)42が解錠されたり破壊される恐れがなく、防犯性の向上が図れる。更に、前記縦枠3cと前記雨戸5の背面部とには雨戸5の全開時に互いに係合して隙間を覆う全開時用返し部41a,41bが設けられているため、雨戸5の全開時における耐風圧性の向上が図れる。
【0032】
以上、本発明の実施の形態ないし実施例を図面により詳述してきたが、本発明は前記実施の形態ないし実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲での種々の設計変更等が可能である。例えば、スライドレールとしては、左右の雨戸間の開口幅を広くするために固定レールと、中間レールと、可動レールとからなる(固定レールに中間レールを介して可動レールを間接的に設けている)ことが好ましいが、本発明の場合、少なくとも固定レールと可動レールからなっていて(固定レールに可動レールを直接設けている)も良い。また、前記実施の形態では雨戸装置は窓とは別体でユニット化されているが、窓と一体に形成されていても良い。スライドレールの円滑な動きを確保するためにボールベアリングが採用されているが、ボールベアリングに代えて車輪、ローラ等を採用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施の形態である雨戸装置を示す全閉時の室外側正面図である。
【図2】同雨戸装置の全開時の室外側正面図である。
【図3】図1の縦断面図である。
【図4】全閉時横断面図である。
【図5】全開時横断面図である。
【図6】スライドレールを示す図で、(a)は横断面図である。(b)は全閉時の右半分の縦断面図、(c)は全開時の右側部分の縦断面図である。
【図7】同雨戸装置の要部を示す縦断面図である。
【図8】同横断面図である。
【図9】第1補強部材の斜視図である。
【図10】第2補強部材を示す図で、(a)は室内側正面図、(b)は斜視図である。
【符号の説明】
【0034】
1 雨戸装置
2 窓サッシ(窓)
3 枠
3a 上枠
3b 下枠
4 スライドレール
5 雨戸
14c 合掌框(戸先部)
29 ガイド片
30 ガイド部
46 第1補強部材
46a 係合孔
47 第2補強部材
47a 係合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の開口部に設けられた窓の室外側に配置される少なくとも上枠及び下枠からなる枠と、該枠の上枠と下枠の間に引き分け状にスライド開閉自在に設けられた雨戸と、上枠に設けられ、雨戸の上部をスライド自在に支持するスライドレールと、下枠に設けられ、雨戸の室内側下部に設けられたガイド片をスライド自在に案内するガイド部とを備え、前記下枠の中央部に、前記ガイド部を覆って補強すると共に上部に係合孔を有する第1補強部材を設け、前記両雨戸の全閉時に突き合わされる戸先部の室内側下部に、雨戸をこじ開けようとする時に雨戸の下部が下枠から浮き上がることにより前記第1補強部材の係合孔に係合する係合部を有する第2補強部材を設けたことを特徴とする雨戸装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−104856(P2006−104856A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−295482(P2004−295482)
【出願日】平成16年10月8日(2004.10.8)
【出願人】(302045705)トステム株式会社 (949)
【Fターム(参考)】