説明

雲台

【課題】不使用の際にコンパクトにできる雲台を提供する。
【解決手段】雲台1は、ベース体2を備える。ベース体2には、パン回動体3を回動可能に設ける。パン回動体3には、ティルト回動体4を回動可能に設ける。ティルト回動体4には、被取付物支持体5を回動可能に設ける。ティルト回動体4には第1操作体11を突設し、被取付物支持体5には固定操作体である第2操作体12を突設する。この第2操作体12が伸縮可能となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不使用の際にコンパクトにできる雲台に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば非特許文献1に記載された雲台が知られている。
【0003】
この従来の雲台は、三脚の上端部に取り付けられるベース体と、ベース体に回動可能に設けられたパン回動体と、パン回動体に回動可能に設けられたティルト回動体と、ティルト回動体に回動可能に設けられカメラ等の被取付物が取り付けられる被取付物支持体とを備えている。
【0004】
また、この従来の雲台は、ティルト回動体に回動可能に突設されティルト回動体から後斜め下方に向って突出するパンハンドル等の固定操作体である第1操作体と、被取付物支持体に回動可能に突設され被取付物支持体から側方に向って突出するサイドティルトハンドル等の固定操作体である第2操作体とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【非特許文献1】[online]、ベルボン株式会社、[平成21年7月9日検索]、インターネット<URL:http://www.velbon.com/jp/catalog/panhead/phd61.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そして、近年では、このような突出状の固定操作体を備える雲台に関し、不使用の際にコンパクトにできることが求められている。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、不使用の際にコンパクトにできる雲台を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の雲台は、雲台本体と、この雲台本体に回動可能に設けられ、固定の際には一方向に回動操作され、固定解除の際には他方向に回動操作される固定操作体とを備え、前記固定操作体が伸縮可能となっているものである。
【0009】
請求項2記載の雲台は、請求項1記載の雲台において、固定操作体は、軸状部材およびこの軸状部材の外周側に軸方向に沿ってスライド可能に設けられた筒状の操作部材を有し、前記軸状部材は、外周側に周方向に間隔をおいて並んで位置する軸方向長手状の複数の凸部と、互いに隣り合う前記凸部間に位置する軸方向長手状の複数の凹部とを有し、前記操作部材は、内周側に周方向に間隔をおいて並んで位置する軸方向長手状の複数の凸部と、互いに隣り合う前記凸部間に位置する軸方向長手状の複数の凹部とを有し、前記軸状部材の凸部が前記操作部材の凹部と軸方向に沿ってスライド可能に嵌合しかつ前記操作部材の凸部が前記軸状部材の凹部と軸方向に沿ってスライド可能に嵌合しているものである。
【0010】
請求項3記載の雲台は、請求項2記載の雲台において、軸状部材は、周方向の溝部を軸方向中間部に有し、操作部材は、凸部にそれぞれ形成された伸び位置用窪み部および縮み位置用窪み部を有し、前記軸状部材の溝部には、位置決め用部材が嵌着され、前記位置決め用部材と前記伸び位置用窪み部との嵌合により、前記操作部材が前記軸状部材に対して伸び位置に位置決めされ、前記位置決め用部材と前記縮み位置用窪み部との嵌合により、前記操作部材が前記軸状部材に対して縮み位置に位置決めされるものである。
【0011】
請求項4記載の雲台は、請求項1記載の雲台において、固定操作体は、軸状部材およびこの軸状部材の外周側に軸方向に沿ってスライド可能に設けられた筒状の操作部材を有し、前記軸状部材および前記操作部材のいずれか一方が、軸方向長手状の凸部を有し、前記軸状部材および前記操作部材のいずれか他方が、前記凸部と軸方向に沿ってスライド可能に嵌合する軸方向長手状の凹部を有するものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明によれば、固定の際には一方向に回動操作され固定解除の際には他方向に回動操作される固定操作体が伸縮可能となっているため、不使用の際にコンパクトにできる。
【0013】
請求項2に係る発明によれば、軸状部材の凸部が操作部材の凹部とスライド可能に嵌合しかつ操作部材の凸部が軸状部材の凹部とスライド可能に嵌合しているため、固定操作体を適切に伸縮できる。
【0014】
請求項3に係る発明によれば、位置決め用部材と伸び位置用窪み部との嵌合によって操作部材を軸状部材に対して伸び位置に適切に位置決めでき、位置決め用部材と縮み位置用窪み部との嵌合によって操作部材を軸状部材に対して縮み位置に適切に位置決めできる。
【0015】
請求項4に係る発明によれば、軸状部材および操作部材のいずれか一方が軸方向長手状の凸部を有し、軸状部材および操作部材のいずれか他方が凸部と軸方向に沿ってスライド可能に嵌合する軸方向長手状の凹部を有するため、固定操作体を適切に伸縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施の形態に係る雲台の背面図である。
【図2】同上雲台の斜視図である。
【図3】同上雲台の第2操作体の分解斜視図である。
【図4】前記第2操作体の縮み状態時の斜視図である。
【図5】前記第2操作体の縮み状態時の背面図である。
【図6】前記第2操作体の縮み状態時の断面図である。
【図7】前記第2操作体の伸び状態時の斜視図である。
【図8】前記第2操作体の伸び状態時の背面図である。
【図9】前記第2操作体の伸び状態時の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の雲台の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0018】
図1および図2において、1は雲台で、この雲台1は、脚装置である三脚(図示せず)に取り付けて使用するものである。
【0019】
雲台1は、図1および図2に示されるように、三脚の上端部に取り付けられるベース体2と、ベース体2に上下方向の回動中心軸線Aを中心として左右方向に回動可能に設けられたパン回動体3と、パン回動体3に左右方向(水平方向)の回動中心軸線Bを中心として上下方向に回動可能に設けられたティルト回動体4と、ティルト回動体4に前後方向(水平方向)の回動中心軸線Cを中心として上下方向に回動可能に設けられカメラ或いはビデオカメラ等の被取付物(図示せず)が脱着可能に取り付けられこの被取付物を支持する被取付物支持体5とを備えている。そして、これらベース体2、パン回動体3、ティルト回動体4および被取付物支持体5にて雲台本体10が構成されている。
【0020】
また、雲台1は、ティルト回動体4に回動可能に突設されティルト回動体4から後斜め下方に向って突出し固定の際には一方向に回動操作され固定解除の際には他方向に回動操作される長手状のパンハンドル等の固定操作体である第1操作体11と、被取付物支持体5に回動可能に突設され被取付物支持体5から側方である右方に向って水平状に突出し固定の際には一方向に回動操作され固定解除の際には他方向に回動操作される長手状のサイドティルトハンドル等の固定操作体である第2操作体12とを備えている。
【0021】
第1操作体11は、パン回動体3のベース体2に対する固定および固定解除と、ティルト回動体4のパン回動体3に対する固定および固定解除とを行う際に、操作者が把持して回動操作するものである。第2操作体12は、被取付物支持体5のティルト回動体4に対する固定および固定解除を行う際に、操作者が把持して回動操作するものである。
【0022】
そして、雲台1では、第1操作体11および第2操作体12の少なくともいずれか一方、すなわち例えば第2操作体12のみがその長手方向に沿って伸縮可能となっている。なお、第2操作体12は、被取付物支持体5から左方に向って突出する状態に付け替えることが可能となっている。
【0023】
ベース体2は、三脚の上端部に取り付けられる底板部16を有している。底板部16には、上下方向の略円筒状の支軸部17が立設されている。支軸部17の外周面の上端近傍には凹溝(図示せず)が周方向に沿って形成され、この凹溝には略円形環状の抜止用の弾性部材が嵌着されている。
【0024】
パン回動体3は、ベース体2の支軸部17の外周側に回動中心軸線Aを中心として回動可能に嵌合する左右方向の略円筒状の嵌合筒部21を有している。嵌合筒部21には、固定用切欠部(図示せず)が軸方向に沿って形成されている。嵌合筒部21の外周面の両端部には、鍔部22が径方向外方に向って突設されている。
【0025】
ティルト回動体4は、パン回動体3の嵌合筒部21の外周側に回動中心軸線Bを中心として回動可能に嵌合する左右方向の略円筒状の嵌合筒部26を有している。嵌合筒部26には、固定用切欠部27が軸方向に沿って形成されている。嵌合筒部26の下部には側面視略C字状つまり湾曲した長孔状の開口部28が形成され、この開口部28にはベース体2の支軸部17が挿通されている。
【0026】
また、嵌合筒部26の上部後側には、固定用切欠部27に連通する固定用切欠部29を形成した略筒状の操作体被取付部31が後斜め下方に向って突設され、この操作体被取付部31に第1操作体11が回動可能に設けられている。つまり、操作体被取付部31の内周側には第1操作体11の一端側である前端側が回動可能に取り付けられ、この第1操作体11の他端部である後端部が操作者によって把持される操作部32となっている。
【0027】
第1操作体11は、断面略円形状の棒状部33を有し、この棒状部33の前端部が操作体被取付部31の内周側に回動可能に嵌合している。つまり、棒状部33の前端部を構成するねじ部の外周面に形成されたねじ溝が、操作体被取付部31の内周面に形成されたねじ溝と螺合している。棒状部33の後端部には、操作者が把持する略円柱状の操作部32が固設されている。
【0028】
そして、操作者が操作部32を把持して第1操作体11をティルト回動体4の操作体被取付部31に対して一方向(締付方向)に回動操作すると、ティルト回動体4の弾性変形に基づいてティルト回動体4の固定用切欠部27,29の幅寸法が減少してティルト回動体4の嵌合筒部26の内周面がパン回動体3の嵌合筒部21の外周面に対して圧着固定されるとともに、パン回動体3の弾性変形に基づいてパン回動体3の固定用切欠部の幅寸法が減少してパン回動体3の嵌合筒部21の内周面がベース体2の支軸部17の外周面に対して圧着固定される。
【0029】
第1操作体11をティルト回動体4の操作体被取付部31に対して他方向(締付解除方向)に回動操作すると、ティルト回動体4のパン回動体3に対する圧着固定が解除されるとともに、パン回動体3のベース体2に対する圧着固定が解除される。
【0030】
そして、この固定解除時において、操作者は、第1操作体11を持ってティルト回動体4およびパン回動体3をそれぞれ回動させることにより、被取付物支持体5上の被取付物の向きを変更することが可能である。
【0031】
さらに、嵌合筒部26の上部後側には略板状の立上り部36が設けられ、この立上り部36から前後方向の略円筒状の支軸部37が前方に向って突出している。
【0032】
被取付物支持体5は、ティルト回動体4の支軸部37の外周側に回動中心軸線Cを中心として回動可能に嵌合する前後方向の略円筒状の嵌合筒部41を有している。嵌合筒部41には、固定用切欠部42が軸方向に沿って形成されている。つまり、図6および図9に示されるように、嵌合筒部41は、固定用切欠部42を介して互いに離間対向する左右1対の筒状部分43を下部に有している。各筒状部分43の内周面には、ねじ溝44が形成されている。
【0033】
また、嵌合筒部41の上部には略板状のサイドティルト台等の支持台部46が設けられ、この支持台部46にはクイックシュープレート等の支持板47が脱着可能に取り付けられている。支持台部46には、支持板47を支持台部46に対して固定および固定解除する操作レバー48が回動可能に取り付けられている。支持板47の中央部には、被取付物の下面に支持板47を固定するカメラねじである固定用ねじ49が取り付けられている。支持板47の上面が被取付物を支持する平坦な支持面50となっており、固定用ねじ49は支持面50の中央部から上方に向って突出している。なお、このクイックシュー方式の被取付物支持体5は、嵌合筒部41、支持台部46、支持板47、操作レバー48および固定用ねじ49等にて構成されている。
【0034】
ここで、伸縮可能な第2操作体12は、被取付物支持体5の嵌合筒部41の下部の筒状部分43に回動可能に設けられている。
【0035】
第2操作体12は、図3ないし図9に示されるように、細長い軸状の軸状部材51と、この軸状部材51の外周側にこの軸状部材51の軸方向に沿って伸び位置および縮み位置間でスライド可能に設けられた両端面開口状の略円筒状の操作部材52とを有している。
【0036】
軸状部材51は、この軸状部材51の軸方向一端から他端に向って順に位置するねじ軸部56、径小軸部57、径大軸部58およびスプライン軸部59を有している。
【0037】
ねじ部であるねじ軸部56の外周面には、被取付物支持体5の筒状部分43のねじ溝44と螺合するねじ溝60が形成されている。
【0038】
径小軸部57および径大軸部58の各外周面は、円筒面状に形成されており、径小軸部57の外径寸法が径大軸部58の外径寸法より小さくなっている。径大軸部58の径小軸部57側の端面が、被取付物支持体5のディルト回動体4に対する固定時に、嵌合筒部41の端面の当接受面55に略円形環状のワッシャ等の介在部材61を介して当接する当接面62となっている。
【0039】
径大軸部58の外周面には、クッション性を有する略円筒状の緩衝部材63が嵌着されている。緩衝部材63は、その一端面が介在部材61に接触し、その他端面がスプライン軸部59の径大軸部58側の端面である一端面に接触している。
【0040】
スプライン軸部59の他端面にはねじ孔部65が形成され、このねじ孔部65には、操作部材52が軸状部材51から抜けるのを防止する抜止用ねじ部材66が螺着されている。抜止用ねじ部材66は、ねじ孔部65と螺合するねじ軸部67と、このねじ軸部67の基端に一体に設けられた略円板状のねじ頭部68とを有している。
【0041】
スプライン軸部59は、外周側に周方向に互いに等間隔をおいて並んで位置する軸方向長手状の複数の凸部71と、周方向に互いに隣り合う凸部71間に位置する軸方向長手状の複数の凹部72とを有している。
【0042】
また、スプライン軸部59の軸方向中間部である軸方向略中央部には、周方向の溝部73をスプライン軸部59の全周にわたって形成されている。溝部73は凹部72よりも深く形成されており、溝部73の底面73aは、凹部72の底面72aよりスプライン軸部59の軸芯側に位置している。つまり、スプライン軸部59の軸方向に長手方向を有する凸部71および凹部72の長手方向中間部である軸方向略中央部に溝部73がスプライン軸部59の周方向に沿って凹状に形成されている。
【0043】
そして、溝部73には、切欠部74を有する略C字状の弾性変形可能な位置決め用部材75が嵌着されている。位置決め用部材75はその断面形状が略円形状のもので、この位置決め用部材75の一部である外周側が、突出部75aとなって溝部73からスプライン軸部59の径方向外方に向って突出している。なお、例えば位置決め用部材75は合成樹脂製で、軸状部材51は金属製である。
【0044】
操作部材52は、内周側に位置し軸状部材51のスプライン軸部59とスライド可能に嵌合する略円筒状のスプラインボス部76と、外周側に位置し操作者によって把持される操作部77とを有している。
【0045】
なお、例えばスプラインボス部76は金属製で、操作部77は合成樹脂製であり、これらスプラインボス部76および操作部77はインサート成形によって一体に形成されたものである。
【0046】
スプラインボス部76は、内周側に周方向に互いに等間隔をおいて並んで位置する軸方向長手状の複数の凸部81と、周方向に互いに隣り合う凸部81間に位置する軸方向長手状の複数の凹部82とを有している。そして、軸状部材51のスプライン軸部59の凸部71が操作部材52のスプラインボス部76の凹部82と軸方向に沿ってスライド可能に嵌合し、かつ、操作部材52のスプラインボス部76の凸部81が軸状部材51のスプライン軸部59の凹部72と軸方向に沿ってスライド可能に嵌合している。
【0047】
また、スプラインボス部76の各凸部81の長手方向一端近傍には、第2操作体12の伸び状態時に位置決め用部材75の突出部75aと嵌脱可能に嵌合する伸び位置用窪み部83が凹状に形成されている。そして、第2操作体12の伸び状態時には、図9に示すように、位置決め用部材75の突出部75aと伸び位置用窪み部83との嵌合により、操作部材52が軸状部材51に対して所定の伸び位置に位置決めされる。
【0048】
さらに、スプラインボス部76の各凸部81の長手方向他端近傍には、第2操作体12の縮み状態時に位置決め用部材75の突出部75aと嵌脱可能に嵌合する縮み位置用窪み部84が凹状に形成されている。そして、第2操作体12の縮み状態時には、図6に示すように、位置決め用部材75の突出部75aと縮み位置用窪み部84との嵌合により、操作部材52が軸状部材51に対して所定の縮み位置に位置決めされる。
【0049】
操作部77は、両端面が開口する略円筒状に形成されており、この操作部77の一端側の内周側にスプラインボス部76が設けられている。操作部77の他端側の内周側には閉鎖部材86が嵌着固定され、この閉鎖部材86にて操作部77の他端開口77aが閉鎖されている。閉鎖部材86は、操作部77の他端側の内周側に嵌着固定された略円筒状の筒状部87と、この筒状部87の基端に一体に設けられた略円板状の板状部88とを有している。
【0050】
なお、第2操作体12は、軸状部材51、操作部材52、介在部材61、緩衝部材63、抜止用ねじ部材66、位置決め用部材75および閉鎖部材86にて構成されている。
【0051】
次に、雲台1の作用等を説明する。
【0052】
第2操作体12を伸ばして雲台1を使用する場合、操作者は、縮み状態の第2操作体12の操作部材52を把持してこの操作部材52に外側方(伸び方向)への力を加える。
【0053】
操作部材52に外側方への力が加えられると、位置決め用部材75の突出部75aと縮み位置用窪み部84との嵌合が解除され、操作部材52のスプラインボス部76が軸状部材51のスプライン軸部59に対してスライドし、位置決め用部材75の突出部75aと伸び位置用窪み部83とが嵌合する。この嵌合の際、操作者は明確なクリック感が得ることができる。
【0054】
そして、この嵌合によって操作部材52が軸状部材51に対して伸び位置に位置決めされ、第2操作体12が伸び状態となる。つまり、操作者は、操作部材52を軸状部材51に対して縮み位置から伸び位置までスライドさせることにより、第2操作体12を伸び状態にできる。
【0055】
なお、操作者が操作部材52を伸び位置を越えてスライドさせようとしたとしても、スプラインボス部76の凸部81の長手方向端部の当接面81aが抜止用ねじ部材66のねじ頭部68の内面の当接受面68aに当接し、この当接により操作部材52が伸び位置を越えて外方へスライドすることが規制され、その結果、操作部材52は軸状部材51から抜けない。
【0056】
ここで、例えば操作者が伸び状態の第2操作体12を被取付物支持体5の嵌合筒部41の両筒状部分43に対して一方向(締付方向)に回動操作した場合には、嵌合筒部41の弾性変形に基づいて両筒状部分43が互いに接近することで固定用切欠部42の幅寸法が減少し、嵌合筒部41の内周面がティスト回動体4の支軸部37の外周面に対して圧着固定される。
【0057】
また、伸び状態の第2操作体12を被取付物支持体5の嵌合筒部41の両筒状部分43に対して他方向(締付解除方向)に回動操作した場合には、嵌合筒部41が弾性復元力によって元の形状に復帰し、嵌合筒部41の支軸部37に対する圧着固定が解除される。
【0058】
そして、この固定解除時において、操作者は、第2操作体12を持って被取付物支持体5をティルト回動体4に対して回動させることにより、被取付物支持体5上のカメラ等の被取付物を縦位置から横位置へ、或いは横位置から縦位置へ変更できる。
【0059】
また、例えばカメラ等の被取付物による撮影後、雲台1の付いた三脚を運搬或いは収納等する場合には、第2操作体12が邪魔にならないように、操作者操作部材52を軸状部材51に対して伸び位置から縮み位置までスライドさせることにより、第2操作体12を縮み状態にできる。
【0060】
つまり、操作者が伸び状態の第2操作体12の操作部材52を把持してこの操作部材52に内側方(縮み方向)への力を加えると、位置決め用部材75の突出部75aと伸び位置用窪み部83との嵌合が解除され、操作部材52のスプラインボス部76が軸状部材51のスプライン軸部59に対してスライドし、位置決め用部材75の突出部75aと縮み位置用窪み部84とが嵌合する。この嵌合の際、操作者は明確なクリック感が得ることができる。そして、この嵌合によって操作部材52が軸状部材51に対して縮み位置に位置決めされ、第2操作体12が縮み状態となる。
【0061】
なお、操作者が操作部材52を縮み位置を越えてスライドさせようとしたとしても、閉鎖部材86の板状部88の当接面88aが抜止用ねじ部材66のねじ頭部68の外面の当接受面68bに当接し、この当接により操作部材52が縮み位置を越えて内方(雲台本体側である被取付物支持体5側)へスライドすることが規制される。
【0062】
そして、雲台1によれば、長手状の第2操作体12がその長手方向に沿って伸縮可能となっているため、運搬或いは収納等の不使用の際に、第2操作体12を縮み状態にすることで、その分、雲台1をコンパクトにできる。
【0063】
また、第2操作体12の軸状部材51の凸部71が操作部材52の凹部82とスライド可能に嵌合しかつ操作部材52の凸部81が軸状部材51の凹部72とスライド可能に嵌合しているため、第2操作体12を適切に伸縮でき、しかも、第2操作体12の回動操作によって、被取付物支持体5のディルト回動体4に対する固定および固定解除を適切に行うことができる。
【0064】
さらに、位置決め用部材75と伸び位置用窪み部83との嵌合によって操作部材52を軸状部材51に対して伸び位置に適切に位置決めでき、位置決め用部材75と縮み位置用窪み部84との嵌合によって操作部材52を軸状部材51に対して縮み位置に適切に位置決めでき、しかも、操作者は、各位置で明確なクリック感が得ることができ、操作性が良好である。
【0065】
なお、上記一実施の形態では、ねじ部を有する固定手段(ストッパ手段)を兼ねた固定操作体である第1操作体11および第2操作体12のうち第2操作体12のみが伸縮可能である構成について説明したが、例えば第1操作体11を第2操作体12と同様の構成として伸縮できるようにしてもよく、雲台1は第1操作体11のみが伸縮可能な構成や両操作体11,12のいずれもが伸縮可能な構成でもよい。
【0066】
また、雲台1は、例えば軸状部材51および操作部材52のいずれか一方が軸方向長手状の1つの凸部を有し、軸状部材51および操作部材52のいずれか他方がその1つの凸部と軸方向に沿ってスライド可能に嵌合する軸方向長手状の1つの凹部を有する構成でもよい。
【符号の説明】
【0067】
1 雲台
10 雲台本体
12 固定操作体である第2操作体
51 軸状部材
52 操作部材
71 凸部
72 凹部
73 溝部
75 位置決め用部材
81 凸部
82 凹部
83 伸び位置用窪み部
84 縮み位置用窪み部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
雲台本体と、
この雲台本体に回動可能に設けられ、固定の際には一方向に回動操作され、固定解除の際には他方向に回動操作される固定操作体とを備え、
前記固定操作体が伸縮可能となっている
ことを特徴とする雲台。
【請求項2】
固定操作体は、軸状部材およびこの軸状部材の外周側に軸方向に沿ってスライド可能に設けられた筒状の操作部材を有し、
前記軸状部材は、
外周側に周方向に間隔をおいて並んで位置する軸方向長手状の複数の凸部と、
互いに隣り合う前記凸部間に位置する軸方向長手状の複数の凹部とを有し、
前記操作部材は、
内周側に周方向に間隔をおいて並んで位置する軸方向長手状の複数の凸部と、
互いに隣り合う前記凸部間に位置する軸方向長手状の複数の凹部とを有し、
前記軸状部材の凸部が前記操作部材の凹部と軸方向に沿ってスライド可能に嵌合しかつ前記操作部材の凸部が前記軸状部材の凹部と軸方向に沿ってスライド可能に嵌合している
ことを特徴とする請求項1記載の雲台。
【請求項3】
軸状部材は、周方向の溝部を軸方向中間部に有し、
操作部材は、凸部にそれぞれ形成された伸び位置用窪み部および縮み位置用窪み部を有し、
前記軸状部材の溝部には、位置決め用部材が嵌着され、
前記位置決め用部材と前記伸び位置用窪み部との嵌合により、前記操作部材が前記軸状部材に対して伸び位置に位置決めされ、
前記位置決め用部材と前記縮み位置用窪み部との嵌合により、前記操作部材が前記軸状部材に対して縮み位置に位置決めされる
ことを特徴とする請求項2記載の雲台。
【請求項4】
固定操作体は、軸状部材およびこの軸状部材の外周側に軸方向に沿ってスライド可能に設けられた筒状の操作部材を有し、
前記軸状部材および前記操作部材のいずれか一方が、軸方向長手状の凸部を有し、
前記軸状部材および前記操作部材のいずれか他方が、前記凸部と軸方向に沿ってスライド可能に嵌合する軸方向長手状の凹部を有する
ことを特徴とする請求項1記載の雲台。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2011−27156(P2011−27156A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−172292(P2009−172292)
【出願日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【出願人】(591050291)ベルボン株式会社 (16)