説明

電力伝送装置、送電装置、受電装置及び電力伝送方法

【課題】電力の伝送効率の低下に伴う電力の放射及び送電装置の発熱を防止することが可能な電力伝送装置、送電装置、受電装置及び電力伝送方法を提供する。
【解決手段】電力伝送装置は、電力を送電し、送電量を検知する送電量検出部と、受電装置と通信する送電装置通信部と、送電量Pt及び受電装置から受信した受電量Prから電力伝送効率E1を算出し、送電量Ptと電力伝送効率E1の関係が運用可能領域にないと判定した場合、送電を停止する送電装置制御部と、を備える送電装置と、送電装置から電力を受電し、受電量Prを検知する受電量検出部と、送電装置と通信する受電装置通信部と、受電量Prを受電装置通信部を介して送電装置に送信する受電装置制御部と、を備える受電装置と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電力伝送装置、送電装置、受電装置及び電力伝送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年非接触にて電力を伝送する装置の普及が進んでいる。この電力伝送装置は電力を送電する送電装置と、送電される電力を受け取る受電装置と、を含む。受電装置はさらに2次電池の充電装置などの負荷を備える。
【0003】
この電力伝送装置は、電磁誘導方式、磁界共鳴方式または電界共鳴方式などを利用して、電力を送電装置から受電装置に伝送する。電磁誘導方式の電力伝送装置は送電装置と受電装置を伝送可能領域内に密着させる必要がある一方、磁界共鳴方式の電力伝送装置は受電装置を送電装置から数cm乃至数十cm以内の伝送可能領域内に設置して電力の伝送を行うことができる。
【0004】
ここで、送電装置の電力を送電することが可能な伝送可能領域外に受電装置がある場合、すなわち電力の伝送効率が低い状態において送電装置が送電すると、受電されない電力が空間に放射され、人体や周辺の電子機器に悪影響を及ぼす。また、送電されない電力が熱に変換され、送電装置が発熱したり、最悪の場合発火したりすることがある。
【0005】
この点に関し、送電装置と受電装置それぞれに通信装置を設け、受電装置から受電状態を送電装置にフィードバックし、送電装置は受電装置が送電装置にセットされたと判定した場合に送電し、受電装置が送電装置から外された場合に送電を停止する技術が提案されている。
【0006】
しかし、この技術では、通信によって受電装置がセットされているということのみをもって送電可能と判定するため、受電装置が送電装置からセットされていると判定される範囲内で離された場合、特に不完全にセットされた場合、伝送効率の低下に伴う電力の放射及び発熱を防止することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平6-311658号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、電力の伝送効率の低下に伴う電力の放射及び送電装置の発熱を防止することが可能な電力伝送装置、送電装置、受電装置、及び電力伝送方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明の一実施形態は、電力を送電する送電部と、送電部によって送電される送電量を検知する送電量検出部と、通信を行う送電装置通信部と、送電量及び送電装置通信部から入力した受電量から算出した電力伝送効率に基づいて送電部の送電を制御する送電装置制御部と、を具備する送電装置と、電力を受け取る受電部と、受電部が受電した電力を入力する負荷と、受電部の出力電力から受電量を検知する受電量検出部と、送電装置通信部と通信を行う受電装置通信部と、受電量を受電装置通信部を介して送電装置に送信する受電装置制御部と、を具備する受電装置と、を備える電力伝送装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施形態の電力伝送装置の構成を示すブロック図である。
【図2】閾値が10Wの場合の電力伝送効率E1と送電量Ptとの関係を示す図である。
【図3】閾値が10Wの場合の電力伝送効率E1と送電量Ptとの関係を示すグラフである。
【図4】電力伝送装置の送電装置の動作を示すフローチャートである。
【図5】送電と送電停止のタイミングを示すタイミングチャートである。
【図6】応用例にかかる送電と送電停止のタイミングを示すタイミングチャートである。
【図7】第2の実施形態の電力伝送装置の受電装置の構成を示すブロック図である。
【図8】疑似負荷の構成を示す図である。
【図9】応用例にかかる疑似負荷の構成を示す図である。
【図10】第3の実施形態の電力伝送装置の受電装置の構成を示すブロック図である。
【図11】電力伝送装置の送電装置の動作を示すフローチャートである。
【図12】第4の実施形態に係る送電装置の外観斜視図である。
【図13】表示装置の表示例を示す図である。
【図14】表示装置の表示例を示す図である。
【図15】表示装置の他の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、電力伝送装置、送電装置、受電装置、及び電力伝送方法の一実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0012】
本実施形態の電力伝送装置は、電力を送電する送電部と、送電部によって送電される送電量を検知する送電量検出部と、通信を行う送電装置通信部と、送電量及び送電装置通信部から入力した受電量から算出した電力伝送効率に基づいて送電部の送電を制御する送電装置制御部と、を具備する送電装置と、電力を受け取る受電部と、受電部が受電した電力を入力する負荷と、受電部の出力電力から受電量を検知する受電量検出部と、送電装置通信部と通信を行う受電装置通信部と、受電量を受電装置通信部を介して送電装置に送信する受電装置制御部と、を具備する受電装置と、を備える。
【0013】
(第1の実施形態)
(電力伝送装置の構成)
図1は、本実施形態の電力伝送装置の構成を示すブロック図である。図1に示すように、電力伝送装置は、電力を送電する送電装置10と、送電された電力を受電する受電装置20と、を備える。送電装置10と受電装置20とは、例えば、電磁誘導方式又は磁界共鳴方式により電力を伝送する。電力の伝送方式はこれらに限られるものではない。以下、電磁誘導方式又は磁界共鳴方式により電力を伝送する場合について説明する。
【0014】
送電装置10は、高周波信号を生成する発振部11と、生成された高周波信号を増幅する電力増幅部12と、電力増幅部12によって増幅された電力を送電する送電コイル13と、電力増幅部12によって増幅された電力の送電量を検知する送電量検出部15と、通信を行う送電装置通信部18と、送電量検出部15から入力した送電量及び送電装置通信部18から入力した受電量から算出した電力伝送効率に基づいて電力増幅部12を制御することにより送電の開始と停止や送電量などを制御する送電装置制御部17と、を備える。
【0015】
以下、発振部11、電力増幅部12、及び送電コイル13を送電部と言う。
【0016】
送電装置10は、さらに電力を供給する電源部14と、送電装置制御部17の指示に基づいて情報を表示する送電装置表示部16と、を備える。
【0017】
送電量検出部15は、例えば方向性結合器により電力増幅部12からの出力電力の一部を取り出して電力を検知することにより送電量を検知する。あるいは、送電量検出部15は、出力端に直列または並列に抵抗を挿入し、この抵抗の両端にかかる電圧から送電電流や送電電圧を検知することにより送電量を検知する。
【0018】
送電装置制御部17は、演算装置であるCPU17Aと、記憶装置であるメモリ17Bと、を備える。メモリ17Bは閾値Thを格納する。
【0019】
送電装置表示部16は、液晶表示装置のほか、タッチパネルのような入出力装置であってもよい。
【0020】
送電装置通信部18は、電波などの電気信号又は光信号によって受電装置通信部28と通信を行うインターフェースを備える。
【0021】
送電装置制御部17は、送電装置通信部18を介して通信を行う際には通信相手を認証してから通信を開始するように構成してもよい。
【0022】
受電装置20は、電力を受け取る受電コイル21と、受電コイル21が受け取った電力を直流に整流する整流部22と、電圧を変換するDC/DC部23と、DC/DC部23によって電圧が変換された電力を入力する負荷24と、DC/DC部23の出力電力から受電量を検知する受電量検出部27と、送電装置通信部18と通信を行う受電装置通信部28と、受電量検出部27が検知した受電量を受電装置通信部28を介して送電装置通信部18に送信する受電装置制御部26と、を備える。
【0023】
以下、受電コイル21、整流部22、及びDC/DC部23を受電部と言う。
【0024】
受電装置20は、さらに受電装置制御部26の指示に基づいて情報を表示する受電装置表示部25を備える。
【0025】
受電量検出部27は、送電装置10から送電された電力のうち受電装置20が受電した電力を検知する。受電量検出部27は、例えばDC/DC部23の出力の一部を取り出し、この出力端に直列又は並列に抵抗を挿入し、この抵抗の両端にかかる電圧から受電電流や受電電圧を検知することにより受電量を検知する。
【0026】
受電装置制御部26は、演算装置であるCPU26Aと、記憶装置であるメモリ26Bと、を備える。
【0027】
受電装置表示部25は、液晶表示装置のほか、タッチパネルのような入出力装置であってもよい。
【0028】
受電装置通信部28は、電波などの電気信号又は光信号によって送電装置通信部18と通信を行うインターフェースを備える。
【0029】
受電装置制御部28は、受電装置通信部28を介して通信を行う際には通信相手を認証してから通信を開始するように構成してもよい。
【0030】
(電力伝送装置の動作)
送電装置制御部17は、送電量検出部15によって検知した送電量及び受電量検出部27によって検知され、送電装置通信部18を介して受信した受電量から電力伝送効率E1を算出し、この電力伝送効率及び送電量に基づいて送電した電力のうち受電されない電力が閾値を超えた場合に、電力増幅部12を制御して送電を停止する。
【0031】
送電装置制御部17は、まず送電量検出部15によって検知した送電量Ptをメモリ17Bに格納する。次に、送電装置通信部18を介して受信した受電量Prをメモリ17Bに格納する。そして、次の(1)式に従い電力伝送効率E1を算出する。
【0032】
電力伝送効率E1(%)=(Pr/Pt)×100 ・・・ (1)
送電装置制御部17は連続して電力伝送効率E1を算出してもよい。また、送電装置制御部17は、一定時間ごとに、或いは送電開始などのイベントごとに電力伝送効率E1を算出してもよい。
【0033】
図2は、閾値が10Wの場合の電力伝送効率E1と送電量Ptとの関係を示す図である。また、図3は、閾値が10Wの場合の電力伝送効率E1と送電量Ptとの関係を示すグラフである。図3において、縦軸は送電量Pt(W)、横軸は電力伝送効率E1(%)を示す。
【0034】
図2及び図3に示すように、送電した電力のうち受電されない電力、すなわち送電ロスPlが閾値以下であるための条件は電力伝送効率E1と送電量Ptによって定まる。この送電ロスPlが閾値以下である領域32である運用可能領域は次の(2)式で定まる。
【0035】
Pl=Pt−Pt×(E1/100)≦Th ・・・ (2)
この式を変形すると次の(3)式が得られる。
【0036】
Pt≦(100×Th)/(100−E1) ・・・ (3)
図3における運用可能領域は(3)式を満たす領域である。図3の斜線によって示した、この(3)式を満たさない領域31である運用不可能領域に電力伝送効率E1と送電量Ptがなった場合、送電装置制御部17は電力増幅部12を制御して送電を停止する。
【0037】
図4は、電力伝送装置の送電装置10の動作を示すフローチャートである。図4に示すように、動作401において、送電装置10は送電を開始する。
【0038】
動作402において、送電装置10は受電装置20から受電量Prを、送電装置通信部18を介して受信する。
【0039】
動作403において、送電装置10は送電量を例えば次のように制御する。受電量Prが負荷24の動作電圧を下回らない範囲に送電量Ptを低下させる。受電量Prが低下したら送電量Ptを増加させる。
【0040】
動作404において、送電装置10は送電量Ptと受電量Prから電力伝送効率E1を算出する。
【0041】
動作405において、送電装置10は送電量Ptと電力伝送効率E1の関係が運用可能領域であるかを判定する。送電装置10は、送電量Ptと電力伝送効率E1の関係が運用可能領域であると判定した場合、動作406に進み、運用可能領域でないと判定した場合、動作408に進む。
【0042】
動作406において、送電装置10は送電を継続する。
【0043】
動作407において、送電装置10は送電を終了する条件を満たすか、例えば満充電である旨の信号を受信したか、を判定する。送電装置10は、送電を終了する条件を満たしたと判定した場合、処理を終了し、送電を終了する条件を満たしていないと判定した場合、動作402に進む。
【0044】
例えば、負荷24が2次電池である場合、満充電であることを示す電流値を負荷24が検知すると、負荷24は受電装置制御部26に満充電である旨の信号を送信し、受電装置制御部26はこの満充電である旨の信号を送電装置10に受電装置通信部28を介して送信する。
【0045】
あるいは、受電量検出部27が検出した受電量が満充電状態の受電量と一致した場合に、受電装置制御部26が満充電を検出するようにしてもよい。送電装置10はこの満充電である旨の信号を受信した場合、送電を停止して、処理を終了する。
【0046】
動作408において、送電装置10は送電を中止する。
【0047】
動作409において、送電装置10は送電装置表示部16にエラーが発生した旨を表示する。
【0048】
動作410において、送電装置10は間欠的に送電を行って電力伝送効率E1を算出する。この場合の送電は、例えば10秒に1回、100msの間送電する。
【0049】
動作411において、送電装置10は送電量Ptと電力伝送効率E1の関係が運用可能領域であるかを判定する。送電装置10は、送電量Ptと電力伝送効率E1の関係が運用可能領域であると判定した場合、動作401に戻り、運用可能領域でないと判定した場合、動作410に戻る。
【0050】
図5は、送電と送電停止のタイミングを示すタイミングチャートである。図5に示すように、(A)時点において、送電装置10は送電を開始し、時間T1にわたり例えば20Wの送電を行う。
【0051】
(B)時点において、送電装置10は送電量Ptと電力伝送効率E1の関係が運用可能領域から外れたと判定し、送電を停止する。
【0052】
(B)時点からT2時間、例えば10秒経過した(C)時点に、送電装置10はT3時間、例えば100msの間送電し、送電量Ptと電力伝送効率E1の関係が運用可能領域にあるかを判定する。送電装置10は送電量Ptと電力伝送効率E1の関係が運用可能領域から外れていると判定した場合、さらにT2時間送電を停止し、その後(D)時点において再びT3時間の間送電する。
【0053】
(E)時点において、送電装置10は送電量Ptと電力伝送効率E1の関係が運用可能領域であると判定した場合、送電を再開する。
【0054】
図6は、応用例にかかる送電と送電停止のタイミングを示すタイミングチャートである。図6に示すように、(A)時点において、送電装置10は送電を開始し、時間T5にわたり例えば20Wの送電を行う。
【0055】
(B)時点において、送電装置10は送電量Ptと電力伝送効率E1の関係が運用可能領域から外れたと判定し、送電を停止する。
【0056】
(B)時点からT6時間、例えば10秒経過した(C)時点に、送電装置10はT7時間、例えば100msの間、受電装置10が正常に動作する動作電圧を供給するのに十分な電力である通常電力より小さい電力、例えば連続送電時の1/10乃至1/20の電力を送電する。図6に示す例では、一例として、1/10の電力である2Wの検査電力を送電し、送電量Ptと電力伝送効率E1の関係が運用可能領域にあるかを判定する。
【0057】
送電装置10は送電量Ptと電力伝送効率E1の関係が運用可能領域から外れていると判定した場合、さらにT6時間送電を停止し、その後(D)時点において再びT7時間の間、検査電力を送電する。
【0058】
(E)時点において、送電装置10は送電量Ptと電力伝送効率E1の関係が運用可能領域であると判定した場合、通常電力である20Wの送電を(F)時点に再開する。
【0059】
(第1の実施形態の効果)
以上のべたように、本実施形態の電力伝送装置は、電力を送電し、送電量Ptを検知する送電量検出部15と、受電装置20と通信する送電装置通信部18と、送電量Pt及び受電装置20から受信した受電量Prから電力伝送効率E1を算出し、送電量Ptと電力伝送効率E1の関係が運用可能領域にないと判定した場合、送電を停止する送電装置制御部17と、を備える送電装置10と、送電装置10から電力を受電し、受電量Prを検知する受電量検出部27と、送電装置10と通信する受電装置通信部28と、受電量Prを受電装置通信部28を介して送電装置10に送信する受電装置制御部26と、を備える受電装置20と、を備える。
【0060】
従って、電力の伝送効率の低下に伴う電力の放射及び送電装置の発熱を防止することができるという効果がある。
【0061】
(第2の実施形態)
(電力伝送装置の構成)
図7は、本実施形態の電力伝送装置の受電装置20の構成を示すブロック図である。電力伝送装置は、電力を送電する送電装置10と、送電された電力を受電する受電装置20と、を備える。送電装置10の構成は第1の実施形態の送電装置10の構成と同様である。
【0062】
図1及び図7に示すように、図1に示す送電装置10と図7に示す受電装置20とは、例えば、電磁誘導方式又は磁界共鳴方式により電力を伝送する。電力の伝送方式はこれらに限られるものではない。以下、電磁誘導方式又は磁界共鳴方式により電力を伝送する場合について説明する。
【0063】
送電装置10は、高周波信号を生成する発振部11と、生成された高周波信号を増幅する電力増幅部12と、電力増幅部12によって増幅された電力を送電する送電コイル13と、電力増幅部12によって増幅された電力の送電量を検知する送電量検出部15と、通信を行う送電装置通信部18と、送電量検出部15から入力した送電量及び送電装置通信部18から入力した受電量から算出した電力伝送効率に基づいて電力増幅部12を制御することにより送電の開始と停止や送電量などを制御し、受電装置20の動作を制御する制御信号を生成する送電装置制御部17と、を備える。
【0064】
送電装置10は、さらに電力を供給する電源部14と、送電装置制御部17の指示に基づいて情報を表示する送電装置表示部16と、を備える。
【0065】
送電量検出部15は、例えば方向性結合器により電力増幅部12からの出力電力の一部を取り出して電力を検知することにより送電量を検知する。あるいは、送電量検出部15は、出力端に直列または並列に抵抗を挿入し、この抵抗の両端にかかる電圧から送電電流や送電電圧を検知することにより送電量を検知する。
【0066】
送電装置制御部17は、演算装置であるCPU17Aと、記憶装置であるメモリ17Bと、を備える。メモリ17Bは閾値Thを格納する。
【0067】
送電装置表示部16は、液晶表示装置のほか、タッチパネルのような入出力装置であってもよい。
【0068】
送電装置通信部18は、電波などの電気信号又は光信号によって受電装置通信部28と通信を行うインターフェースを備える。
【0069】
送電装置制御部17は、送電装置通信部18を介して通信を行う際には通信相手を認証してから通信を開始するように構成してもよい。
【0070】
受電装置20は、電力を受け取る受電コイル21と、受電コイル21が受け取った電力を直流に整流する整流部22と、電圧を変換するDC/DC部23と、DC/DC部23によって電圧が変換された電力を入力する負荷24と、負荷の抵抗値が変化する疑似負荷72と、DC/DC部23の出力先を負荷24または疑似負荷72に切り替えるスイッチ71と、DC/DC部23の出力電力から受電量を検知する受電量検出部27と、送電装置通信部18と通信を行う受電装置通信部28と、受電量検出部27が検知した受電量を受電装置通信部28を介して送電装置通信部18に送信し、受電量検出部27が検出したDC/DC部23の出力電圧値に基づいてスイッチ71を切り替え、疑似負荷72の負荷の抵抗値を変化させる受電装置制御部26と、を備える。
【0071】
受電装置20は、さらに受電装置制御部26の指示に基づいて情報を表示する受電装置表示部25を備える。
【0072】
受電量検出部27は、送電装置10から送電された電力のうち受電装置20が受電した電力を検知する。受電量検出部27は、例えばDC/DC部23の出力の一部を取り出し、この出力端に直列又は並列に抵抗を挿入し、この抵抗の両端にかかる電圧から受電電流や受電電圧を検知することにより受電量を検知する。
【0073】
受電装置制御部26は、演算装置であるCPU26Aと、記憶装置であるメモリ26Bと、を備える。
【0074】
受電装置表示部25は、液晶表示装置のほか、タッチパネルのような入出力装置であってもよい。
【0075】
受電装置通信部28は、電波などの電気信号又は光信号によって送電装置通信部18と通信を行うインターフェースを備える。
【0076】
受電装置制御部28は、受電装置通信部28を介して通信を行う際には通信相手を認証してから通信を開始するように構成してもよい。
【0077】
図8は、疑似負荷72の構成を示す図である。図8に示すように、疑似負荷72は、複数の異なる抵抗値を有し、グランド82に接地する抵抗RA乃至RDと、スイッチ71からの入力を受電装置制御部26の指示に従って抵抗RA乃至RDへの接続を切り替える切り替え部81と、を備える。
【0078】
表1は、送電量Ptが2W、DC/DC部23の出力が10Vである場合の受電量Prと電力伝送効率E1との関係を示す表である。
【表1】

【0079】
例えば、50Ωの抵抗値を選択した場合、電力伝送効率E1が100%の場合に受電量2Wが得られるが、実際には非接触で電力伝送する場合には100%の電力伝送効率E1が得られることはほとんどあり得ない。仮に100%の伝送効率が得られるとすると、DC/DC部23は10Vを出力し、その10Vの電圧が50Ω(抵抗RA)の両端にかかる。このとき抵抗RAに流れる電流は、10V/50Ω=0.2Aとなる。つまり、10V×0.2A=2Wの電力を受電できたことになる。
【0080】
実際には非接触の電力伝送により効率100%、すなわち2Wの電力を受電することはほぼ不可能なので、抵抗RAの両端にかかる電圧は10Vより低くなる。DC/DC部23は10Vを出力するように設計されているため、DC/DC部23の出力が10Vを下回るような状況においては、DC/DC部23の動作が不安定になることもあり、正確な受電量を把握することが困難となることが多い。そこで、抵抗RAの両端にかかる電圧が10Vを下回る場合には、スイッチ71を切り替え、抵抗RBに接続するよう切り替える。
【0081】
抵抗RBに切り替えても所定の10Vが得られない場合には、さらに抵抗RC、抵抗RDに切り替えていき、所定の10Vが得られた場合に選択された抵抗値における受電量から、電力伝送効率E1を算出する。
【0082】
抵抗の値と数はシステムに合わせて適宜選択できる。例えば、3種類の抵抗を用い、50%周辺の電力伝送効率E1を検知したい場合は以下の表2のような構成を選択できる。
【表2】

【0083】
疑似負荷72で使用される抵抗値の大きさによってはDC/DC部23の定格出力(本実施例では10V)が得られないような状況では、DC/DC部23の動作が不安定になる場合があることから、表2に示す例では、抵抗RC(90Ω)を選択した場合にDC/DC部23の出力が10Vを下回る場合には、抵抗RB(100Ω)に切替えて効率を測定するような制御が必要になることもある。
【0084】
また、逆に、抵抗RA(110Ω)を選択して効率45.5%と算出しても、実際には50%を超えているような場合もある。これは、DC/DC部23の出力が10V以上にならないため、抵抗RAの受電量は最大でも0.91Wまでにしかならないためである。この場合には、抵抗RBに切り替えて、再度効率を算出するような方法を採るのが良い。
【0085】
上記は抵抗の選択例と理論値であり、実際の運用では負荷24にあった適切な抵抗が選択されうる。また、実際の運用では負荷24によっては上述の電力伝送効率E1に従わない場合もある。この場合にも適切な抵抗を選択することができる。
【0086】
図9は、応用例にかかる疑似負荷72の構成を示す図である。図9に示すように、疑似負荷72は、複数の抵抗に変えて一つの可変抵抗91を備えることができる。
【0087】
この可変抵抗91は受電装置制御部26の指示に従って抵抗値が変化する。
【0088】
可変抵抗91を用いれば、連続的に抵抗を変化させることができるため、より正確に電力伝送効率E1を算出することが可能となる。
【0089】
(電力伝送装置の動作)
送電装置制御部17は、送電量検出部15によって検知した送電量及び、受電量検出部27及び受電装置制御部26によって疑似負荷72の負荷を変化させることにより検知され、送電装置通信部18を介して受信した受電量から電力伝送効率E1を算出し、この電力伝送効率及び送電量に基づいて送電した電力のうち受電されない電力が閾値を超えた場合に、電力増幅部12を制御して送電を停止する。
【0090】
第1の実施形態において通常電力より小さい検査電力を送電して電力伝送効率E1を算出する場合、検査電力が負荷24の動作電圧を供給できないために負荷24の動作が不安定になり、または負荷24が停止し受電量Prを正確に検知できない場合がある。
【0091】
この問題を解決するために、本実施形態においては電力伝送効率E1を算出する場合、受電装置20の受電装置制御部26が受信した制御信号及び受電量検出部27が検出したDC/DC部23の出力電圧に従ってスイッチ71を切り替えてDC/DC部23に疑似負荷72を接続し、さらに疑似負荷72の負荷を変化させることにより受電量Prを検知する。
【0092】
図6のタイミングチャートを用いて説明する。図6に示すように、(A)時点において、送電装置10は送電を開始し、時間T5にわたり例えば20Wの送電を行う。
【0093】
(B)時点において、送電装置10は送電量Ptと電力伝送効率E1の関係が運用可能領域から外れたと判定し、送電を停止する。
【0094】
(B)時点からT6時間、例えば10秒経過した(C)時点に、送電装置10はT7時間、例えば100msの間、受電装置10が正常に動作する動作電圧を供給するのに十分な電力である通常電力より小さい電力、例えば連続送電時の1/10乃至1/20の電力を送電する。図6に示す例では、一例として、1/10の電力である2Wの検査電力を送電し、送電量Ptと電力伝送効率E1の関係が運用可能領域にあるかを判定する。
【0095】
送電装置10は(C)時点以降通常電力で送電を再開するまでの間の送電量Ptを、送電装置通信部18を介して受電装置20の受電装置制御部26に伝えておく。なお、(C)時点で伝えてもよいし、(B)以前の任意のタイミングで伝えておいてもよい。
【0096】
受電装置20は、送電量Ptが連続送電時よりも小さい値、本実施例では1/10、になることを受け、スイッチ71を切り替えてDC/DC部23の出力を疑似負荷に接続する。疑似負荷72では、抵抗値RAを選択しておく。ここで、RA<RB<RC<RDとする。
【0097】
受電量検出部27はDC/DC部23が出力する電圧を検出し、DC/DC部23の定格値(本実施例では10V)が出力されるかを確認する。10Vを下回っていれば、抵抗値をRAから順次RB乃至RDに変更していき、10Vが出力される抵抗値を選択する。
【0098】
受電装置20は、受電量検出部27を通して受電量Prを算出し、受電量Prを送電装置10に送信する。
【0099】
送電装置10は、送電量Ptと、算出された電力伝送効率E1との関係が運用可能領域内にある場合、送電を通常電力にて再開し、送電量Ptと電力伝送効率E1が運用可能領域内にない場合、運用可能領域から外れていると判定し、送電を停止する。
【0100】
送電装置10は送電量Ptと電力伝送効率E1の関係が運用可能領域から外れていると判定した場合、さらにT6時間送電を停止し、その後(D)時点において再びT7時間の間、検査電力を送電し、受電装置20では疑似負荷72を変更して受電量Prの検知、電力伝送効率E1の算出を繰り返す。
【0101】
なお、T7時間では、疑似負荷72内のすべての抵抗値について受電量を検出するための時間が不足する場合がある。その場合は、あらかじめT7時間を長めに設定しておくか、もしくはT7時間内で可能な数の抵抗値について受電量を検出し、一旦送電停止後の次のT7時間で残りの抵抗値について受電量を検出するようにしてもよい。
【0102】
(E)時点において、送電装置10は送電量Ptと電力伝送効率E1の関係が運用可能領域であると判定した場合、通常電力である20Wの送電を再開する。
【0103】
(第2の実施形態の効果)
以上のべたように、本実施形態の電力伝送装置は、電力を送電し、送電量Ptを検知する送電量検出部15と、受電装置20と通信する送電装置通信部18と、送電量Pt及び受電装置20から受信した受電量Prから電力伝送効率E1を算出し、送電量Ptと電力伝送効率E1の関係が運用可能領域にないと判定した場合、送電を停止する送電装置制御部17と、を備える送電装置10と、送電装置10から電力を受電し、電圧を変換するDC/DC部23と、DC/DC部23によって電圧が変換された電力を入力する負荷24と、負荷の抵抗値が変化する疑似負荷72と、DC/DC部23の出力先を負荷24または疑似負荷72に切り替えるスイッチ71と、DC/DC部23の出力電力から受電量Prを検知する受電量検出部27と、送電装置通信部18と通信を行う受電装置通信部28と、受電量検出部27が検知した受電量を、受電装置通信部28を介して送電装置通信部18に送信し、受電量検出部27が検出したDC/DC部23の出力電圧値に基づいてスイッチ71を切り替え、疑似負荷72の負荷の抵抗値を変化させる受電装置制御部26と、を備える。
【0104】
従って、通常電力より小さい検査電力を送電して電力伝送効率E1を算出する場合でも、正確に電力伝送効率E1を算出し、適切に送電の開始と停止を制御することができるという効果がある。
【0105】
(第3の実施形態)
(電力伝送装置の構成)
図10は、本実施形態の電力伝送装置の送電装置10と受電装置20の構成を示すブロック図である。電力伝送装置は、電力を送電する送電装置10と、送電された電力を受電する受電装置20と、を備える。送電装置10の構成は第1の実施形態の送電装置10の構成と同様である。
【0106】
図10に示すように、送電装置10と受電装置20とは、例えば、電磁誘導方式又は磁界共鳴方式により電力を伝送する。電力の伝送方式はこれらに限られるものではない。以下、電磁誘導方式又は磁界共鳴方式により電力を伝送する場合について説明する。
【0107】
送電装置10は、高周波信号を生成する発振部11と、生成された高周波信号を増幅する電力増幅部12と、電力増幅部12によって増幅された電力を送電する送電コイル13と、電力増幅部12によって増幅された電力の送電量を検知する送電量検出部15と、通信を行う送電装置通信部18と、送電量検出部15から入力した送電量及び送電装置通信部18から入力した受電量から算出した電力伝送効率に基づいて電力増幅部12を制御し、受電装置20の動作を制御する制御信号を生成する送電装置制御部17と、を備える。
【0108】
送電装置10は、さらに電力を供給する電源部14と、送電装置制御部17の指示に基づいて情報を表示する送電装置表示部16と、を備える。
【0109】
送電量検出部15は、例えば方向性結合器により電力増幅部12からの出力電力の一部を取り出して電力を検知することにより送電量を検知する。あるいは、送電量検出部15は、出力端に直列または並列に抵抗を挿入し、この抵抗の両端にかかる電圧から送電電流や送電電圧を検知することにより送電量を検知する。
【0110】
送電装置制御部17は、演算装置であるCPU17Aと、記憶装置であるメモリ17Bと、を備える。メモリ17Bは閾値Thを格納する。
【0111】
送電装置表示部16は、液晶表示装置のほか、タッチパネルのような入出力装置であってもよい。
【0112】
送電装置通信部18は、電波などの電気信号又は光信号によって受電装置通信部28と通信を行うインターフェースを備える。
【0113】
送電装置制御部17は、送電装置通信部18を介して通信を行う際には通信相手を認証してから通信を開始するように構成してもよい。
【0114】
受電装置20は、電力を受け取る受電コイル21と、受電コイル21が受け取った電力を直流に整流する整流部22と、電圧を変換するDC/DC部23と、DC/DC部23によって電圧が変換された電力の消費電力を変更する消費電力変更部24Aを具備する負荷24と、DC/DC部23の出力電力から受電量を検知する受電量検出部27と、送電装置通信部18と通信を行う受電装置通信部28と、受電量検出部27が検知した受電量を、受電装置通信部28を介して送電装置通信部18に送信し、受電装置通信部28が受信した制御信号に基づいて負荷24の消費電力を変更するように消費電力変更部24Aを制御する受電装置制御部26と、を備える。
【0115】
受電装置20は、さらに受電装置制御部26の指示に基づいて情報を表示する受電装置表示部25を備える。
【0116】
受電量検出部27は、送電装置10から送電された電力のうち受電装置20が受電した電力を検知する。受電量検出部27は、例えばDC/DC部23の出力の一部を取り出し、この出力端に直列又は並列に抵抗を挿入し、この抵抗の両端にかかる電圧から受電電流や受電電圧を検知することにより受電量を検知する。
【0117】
受電装置制御部26は、演算装置であるCPU26Aと、記憶装置であるメモリ26Bと、を備える。
【0118】
受電装置表示部25は、液晶表示装置のほか、タッチパネルのような入出力装置であってもよい。
【0119】
受電装置通信部28は、電波などの電気信号又は光信号によって送電装置通信部18と通信を行うインターフェースを備える。
【0120】
受電装置制御部28は、受電装置通信部28を介して通信を行う際には通信相手を認証してから通信を開始するように構成してもよい。
【0121】
(電力伝送装置の動作)
送電装置制御部17は、送電量検出部15によって検知した送電量及び受電量検出部27によって検知され、送電装置通信部18を介して受信した受電量から電力伝送効率E1を算出し、この電力伝送効率及び送電量に基づいて送電した電力のうち受電されない電力が閾値を超えた場合に、電力増幅部12を制御して送電量Ptを低下させ、消費電力変更部24Aを制御して負荷24の消費電力を低下させる。
【0122】
図11は、電力伝送装置の送電装置10の動作を示すフローチャートである。図11に示すように、動作1101において、送電装置10は送電を開始する。
【0123】
動作1102において、送電装置10は受電装置20から受電量Prを、送電装置通信部18を介して受信する。
【0124】
動作1103において、送電装置10は送電量を例えば次のように制御する。受電量Prが負荷24の動作電圧を下回らない範囲に送電量Ptを低下させる。受電量Prが低下したら送電量Ptを増加させる。
【0125】
動作1104において、送電装置10は送電量Ptと受電量Prから電力伝送効率E1を算出する。
【0126】
動作1105において、送電装置10は送電量Ptと電力伝送効率E1の関係が運用可能領域であるかを判定する。送電装置10は、送電量Ptと電力伝送効率E1の関係が運用可能領域であると判定した場合、動作1106に進み、運用可能領域でないと判定した場合、動作1108に進む。
【0127】
動作1106において、送電装置10は送電を継続する。
【0128】
動作1107において、送電装置10は送電を終了する条件を満たすか、例えば満充電である旨の信号を受信したか、を判定する。送電装置10は、送電を終了する条件を満たしたと判定した場合、処理を終了し、送電を終了する条件を満たしていないと判定した場合、動作1102に進む。
【0129】
例えば、負荷24が2次電池である場合、満充電であることを示す電流値を負荷24が検知すると、負荷24は受電装置制御部26に満充電である旨の信号を送信し、受電装置制御部26はこの満充電である旨の信号を送電装置10に受電装置通信部28を介して送信する。あるいは、受電量検出部27が検出した受電量が満充電状態の受電量と一致した場合に、受電装置制御部26が満充電を検出するようにしてもよい。送電装置10はこの満充電である旨の信号を受信した場合、送電を停止して、処理を終了する。
【0130】
動作1108において、送電装置10は受電装置20の消費電力変更部24Aに負荷の消費電力を低下させる旨の制御信号を送信する。この制御信号を受信した消費電力変更部24Aは負荷の消費電力を低下させる。
【0131】
例えば、負荷24が2次電池で充電を行う場合には、充電電流を低下させる制御を行うことで、負荷の消費電力を低下させることができる。また、例えば、負荷が照明で、照明を点灯させている場合には、その照度を下げることで負荷の消費電力を低下させることができる。
【0132】
動作1109において、送電装置10は送電量Ptと電力伝送効率E1の関係が運用可能領域に入るように、送電量を低下させる。すでに負荷の消費電力を低下させる制御が動作1108で行われているため、送電量Ptを低下させても、負荷が必要とする電力は供給できる。2次電池への充電であれば、充電電流が小さくなり、その結果充電完了までの時間が長くなるという欠点はあるが、負荷が要求する電力が不足してシステムに不具合が発生するということはない。
【0133】
動作1110において、送電装置10は受電装置20から受電量Prを、送電装置通信部18を介して受信する。
【0134】
動作1111において、送電装置10は送電量Ptと受電量Prから電力伝送効率E1を算出する。
【0135】
動作1112において、送電装置10は送電量Ptと電力伝送効率E1の関係が運用可能領域であるかを判定することにより、負荷の消費電力を回復可能かを判定する。送電装置10は、送電量Ptと電力伝送効率E1の関係が運用可能領域であると判定した場合、動作1113に進み、運用可能領域でないと判定した場合、動作1111に進む。
【0136】
動作1114において、送電装置10は負荷の消費電力を回復し、動作1102に戻る。
【0137】
このように電力伝送効率E1が上昇した場合には、一旦低下させた送電量Ptや負荷の消費電力を元の状態に戻すことができる。
【0138】
(第3の実施形態の効果)
以上述べたように、本実施形態の電力伝送装置は、電力を送電し、送電量Ptを検知する送電量検出部15と、受電装置20と通信する送電装置通信部18と、送電量Pt及び受電装置20から受信した受電量Prから電力伝送効率E1を算出し、送電量Ptと電力伝送効率E1の関係が運用可能領域にないと判定した場合、送電を停止する送電装置制御部17と、を備える送電装置10と、送電装置10から電力を受電し、電圧を変換するDC/DC部23と、DC/DC部23によって電圧が変換された電力を入力する負荷24と、負荷の消費電力を変更する消費電力変更部24Aと、DC/DC部23の出力電力から受電量Prを検知する受電量検出部27と、送電装置通信部18と通信を行う受電装置通信部28と、受電量検出部27が検知した受電量を、受電装置通信部28を介して送電装置通信部18に送信し、受電装置通信部28が受信した制御信号に基づいて負荷の消費電力を変化させる受電装置制御部26と、を備える。
【0139】
従って、電力伝送効率E1が低下しても、送電を停止することなく送電ロスPlを規定値以下に抑えることができ、安定かつ安全な送電を実現することができるという効果がある。
【0140】
(第4の実施形態)
(電力伝送装置の構成)
本実施形態の電力伝送装置の構成は、第1の実施形態乃至第3の実施形態の電力伝送装置の構成を採用することができる。
【0141】
本実施形態においては、さらに送電装置10が次の構成を具備する。
【0142】
図12は、本実施形態に係る送電装置10の外観斜視図である。図12に示すように、送電装置10は、受電装置20の載置位置を示す載置位置表示装置1201と、送電装置10の載置位置を正すことを促す旨を表示する載置位置修正表示装置1202と、情報を表示する表示装置1203と、警告を知らせる警告灯1204と、音声を発するスピーカ1205と、を備える。
【0143】
載置位置表示装置1201、載置位置修正表示装置1202、及び警告灯1204はLEDなどのランプを用いることができる。載置位置表示装置1201及び載置位置修正表示装置1202は送電装置10の受電装置20を載置する面に設けられる。
【0144】
警告灯1204及び表示装置1203は、送電装置10の前面に設けられる。
【0145】
(電力伝送装置の動作)
本実施形態の電力伝送装置の動作は、第1の実施形態乃至第3の実施形態の電力伝送装置の動作を採用することができる。
【0146】
本実施形態においては、さらに電力伝送装置は以下の動作を行う。
【0147】
送電装置10は、送電量Ptと電力伝送効率E1の関係が運用可能領域外であると判定した場合、載置位置表示装置1201及び載置位置修正表示装置1202を点灯乃至点滅させる。
【0148】
送電装置10は、送電量Ptと電力伝送効率E1の関係が運用可能領域内であると判定した場合、載置位置表示装置1201及び載置位置修正表示装置1202を消灯させる。
【0149】
さらに、送電装置10は、送電量Ptと電力伝送効率E1の関係が運用可能領域外であると判定した場合、警告灯1204を点灯乃至点滅させ、スピーカ1205から音声によって受電装置20の置きなおしを促す警報を流してもよい。
【0150】
送電装置10は、送電量Ptと電力伝送効率E1の関係が運用可能領域内であると判定した場合、警告灯1204を消灯させ、スピーカ1205からの音声による受電装置20の置きなおしを促す警報を停止する。
【0151】
図13は、表示装置1203の表示の例を示す図である。図13に示すように、送電装置10は、送電量Ptと電力伝送効率E1の関係が運用可能領域外であると判定した場合、受電装置10の置きなおしを促す旨を表示装置1203に表示する。
【0152】
この場合、送電装置10は例えば「受電装置の位置がずれています。置きなおしてください」と表示する。
【0153】
送電装置10は、表示装置1203に送電量Pt及び電力伝送効率E1を表示させることができる。
【0154】
図14は、表示装置1203の表示例を示す図である。図14に示すように、送電装置10は表示装置1203に電力伝送効率E1をレベル分けして表示させることができる。
【0155】
図14には、電力伝送効率E1を10段階にレベル分けし、さらにレベル高、レベル中、レベル低の3段階に色分けする例が示されている。送電装置10は表示装置1203に電力伝送効率E1を例えば60%をレベル10に設定し、0%と60%との間を10等分して対応するスケールを表示させる。
【0156】
図15は、表示装置1203の他の表示例を示す図である。図15に示すように、送電装置10は表示装置1203に充電完了までの残り時間を算出し、この残り時間を表示することができる。
【0157】
残り時間の算出は、満充電にかかる時間を予め送電装置10のメモリ17Bに格納して置き、この満充電にかかる時間と、電力伝送効率E1乃至受電量Prに基づいて算出する。
【0158】
なお、受電装置20は受電装置表示部25に、送電装置10が表示装置1203にしたのと同様の表示をさせることができる。
【0159】
この場合、送電装置制御部17は受電装置表示部25に表示すべき情報を生成し、送電装置通信部18を介して送信してもよいし、例えば充電完了までの残り時間は、受電装置制御部26で算出するようにしてもよい。
【0160】
受電装置10は、受電装置通信部28を介してこの情報を受信し、受電装置制御部26が受電装置表示部25に表示する。
【0161】
(第4の実施形態の効果)
以上述べたように、本実施形態の電力伝送装置は、送電装置10が、受電装置20の載置位置を示す載置位置表示装置1201と、送電装置10の載置位置を正すことを促す旨を表示する載置位置修正表示装置1202と、情報を表示する表示装置1203と、警告を知らせる警告灯1204と、音声を発するスピーカ1205と、を備える。
【0162】
従って、ユーザは容易に送電量Ptと電力伝送効率E1の関係が運用可能領域内か否か、すなわち受電装置20の送電装置10へのセット方法が適切か否かを判定することができるという効果がある。
【0163】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0164】
10:送電装置
15:送電量検出部
17:送電装置制御部
18:送電装置通信部
20:受電装置
26:受電装置制御部
27:受電量検出部
28:受電装置通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力を送電する送電部と、
前記送電部によって送電される送電量を検知する送電量検出部と、
通信を行う送電装置通信部と、
を具備する送電装置と、
電力を受け取る受電部と、
前記受電部が受電した電力を入力する負荷と、
前記受電部の出力電力から前記受電量を検知する受電量検出部と、
前記送電装置通信部と通信を行う受電装置通信部と、
前記受電量を、前記受電装置通信部を介して前記送電装置に送信する受電装置制御部と、
を具備する受電装置と、
を備え、
前記送電装置は、
前記送電量及び前記受電量から算出した電力伝送効率に基づいて前記送電部の送電を制御する送電装置制御部を
さらに具備する電力伝送装置。
【請求項2】
前記送電装置制御部は、
前記送電量と前記電力伝送効率との関係が閾値を超える送電ロスを生じさせると判定した場合、送電を停止する請求項1記載の電力伝送装置。
【請求項3】
前記送電装置制御部は、
前記送電量と前記電力伝送効率との関係が閾値を超える送電ロスを生じさせないと判定した場合、送電を開始する請求項1記載の電力伝送装置。
【請求項4】
前記受電装置は、
負荷の抵抗値が変化する疑似負荷と、
前記受電部からの出力を前記負荷または前記疑似負荷に切り替えるスイッチと、
をさらに備え、
前記送電装置制御部は、
前記送電量と前記電力伝送効率との関係が閾値を超える送電ロスを生じさせると判定した場合、送電を停止するとともに、受電装置制御部に前記疑似負荷の抵抗値を変化させて前記受電量を前記送電装置に送信させる請求項1記載の電力伝送装置。
【請求項5】
前記受電装置は、
負荷の抵抗値が変化する疑似負荷と、
前記受電部からの出力を前記負荷または前記疑似負荷に切り替えるスイッチと、
をさらに備え、
前記送電装置制御部は、
前記送電量と前記電力伝送効率との関係が閾値を超える送電ロスを生じさせないと判定した場合、送電を開始する請求項1記載の電力伝送装置。
【請求項6】
前記受電装置は、
負荷の消費電力を変化させる消費電力変更部をさらに備え、
前記送電装置制御部は、
前記送電量と前記電力伝送効率との関係が閾値を超える送電ロスを生じさせると判定した場合、前記消費電力変更部に前記負荷の消費電力を変化させて前記受電量を送信させる請求項1記載の電力伝送装置。
【請求項7】
前記受電装置は、
負荷の消費電力を変化させる消費電力変更部をさらに備え、
前記送電装置制御部は、
前記送電量と前記電力伝送効率との関係が閾値を超える送電ロスを生じさせると判定した場合、送電量を低下させ、前記消費電力変更部に前記負荷の消費電力を変化させて前記受電量を送信させる請求項1記載の電力伝送装置。
【請求項8】
前記受電装置は、
負荷の消費電力を変化させる消費電力変更部をさらに備え、
前記送電装置制御部は、
前記送電量と前記電力伝送効率との関係が閾値を超える送電ロスを生じさせないと判定した場合、送電を開始する請求項1記載の電力伝送装置。
【請求項9】
前記送電装置は、
前記受電装置を載置する面に載置位置修正表示装置をさらに備え、
前記送電装置制御部は、
前記送電量と前記電力伝送効率との関係が閾値を超える送電ロスを生じさせると判定した場合、前記載置位置修正表示装置を点灯させる請求項1記載の電力伝送装置。
【請求項10】
前記送電装置は、
表示装置をさらに備え、
前記送電装置制御部は、
前記表示装置に前記送電量を表示する請求項1記載の電力伝送装置。
【請求項11】
前記送電装置は、
表示装置をさらに備え、
前記送電装置制御部は、
前記表示装置に前記電力伝送効率を表示する請求項1記載の電力伝送装置。
【請求項12】
前記送電装置は、
表示装置をさらに備え、
前記送電装置制御部は、
前記表示装置に前記電力伝送効率のレベルをスケールによって表示する請求項1記載の電力伝送装置。
【請求項13】
前記受電装置は、
表示装置をさらに備え、
前記送電装置制御部は、
前記表示装置に前記送電量を表示する請求項1記載の電力伝送装置。
【請求項14】
前記受電装置は、
表示装置をさらに備え、
前記送電装置制御部は、
前記表示装置に前記電力伝送効率を表示する請求項1記載の電力伝送装置。
【請求項15】
前記受電装置は、
表示装置をさらに備え、
前記送電装置制御部は、
前記表示装置に前記電力伝送効率のレベルをスケールによって表示する請求項1記載の電力伝送装置。
【請求項16】
前記送電装置は、
音声を発するスピーカをさらに備え、
前記送電装置制御部は、
前記送電量と前記電力伝送効率との関係が閾値を超える送電ロスを生じさせると判定した場合、前記スピーカから警報を発声させる請求項1記載の電力伝送装置。
【請求項17】
電力を電力供給対象である受電装置に送電する送電部と、
前記送電部によって送電される送電量を検知する送電量検出部と、
前記受電装置と通信を行う送電装置通信部と、
前記送電量及び前記送電装置通信部から入力した前記受電装置が検知した受電量から算出した電力伝送効率に基づいて前記送電部の送電を制御する送電装置制御部と、
を備える送電装置。
【請求項18】
前記送電装置制御部は、
前記送電量と前記電力伝送効率との関係が閾値を超える送電ロスを生じさせると判定した場合、送電を停止する請求項17記載の電力伝送装置の送電装置。
【請求項19】
前記受電装置は、
負荷の抵抗値が変化する疑似負荷と、
前記受電部からの出力を前記負荷または前記疑似負荷に切り替えるスイッチと、
をさらに備え、
前記送電装置制御部は、
前記送電量と前記電力伝送効率との関係が閾値を超える送電ロスを生じさせると判定した場合、送電を停止するとともに、前記受電装置に前記疑似負荷の抵抗値を変化させて前記受電量を送信させる請求項17記載の電力伝送装置の送電装置。
【請求項20】
前記受電装置は、
負荷の消費電力を変化させる消費電力変更部をさらに備え、
前記送電装置制御部は、
前記送電量と前記電力伝送効率との関係が閾値を超える送電ロスを生じさせると判定した場合、前記消費電力変更部に前記負荷の消費電力を変化させて前記受電量を送信させる請求項17記載の電力伝送装置の送電装置。
【請求項21】
電力供給装置である送電装置から電力を受け取る受電部と、
前記受電部が受電した電力を入力する負荷と、
前記受電部の出力電力から受電量を検知する受電量検出部と、
前記送電装置と通信を行う受電装置通信部と、
前記送電装置が送電した送電量と前記受電量に基づいて電力伝送効率を算出して送電の制御に用いる前記受電量を送信する受電装置制御部と、
を備える受電装置。
【請求項22】
前記送電装置制御部は、
前記送電量と前記電力伝送効率との関係が閾値を超える送電ロスを生じさせると判定した場合、送電を停止する請求項21記載の電力伝送装置の受電装置。
【請求項23】
前記受電装置は、
負荷の抵抗値が変化する疑似負荷と、
前記受電部からの出力を前記負荷または前記疑似負荷に切り替えるスイッチと、
をさらに備え、
前記送電装置制御部は、
前記送電量と前記電力伝送効率との関係が閾値を超える送電ロスを生じさせると判定した場合、送電を停止するとともに、前記受電装置制御部に前記疑似負荷の抵抗値を変化させて前記受電量を送信させる請求項21記載の電力伝送装置の受電装置。
【請求項24】
前記受電装置は、
負荷の消費電力を変化させる消費電力変更部をさらに備え、
前記送電装置制御部は、
前記送電量と前記電力伝送効率との関係が閾値を超える送電ロスを生じさせると判定した場合、前記消費電力変更部に前記負荷の消費電力を変化させて前記受電量を送信させる請求項21記載の電力伝送装置の受電装置。
【請求項25】
送電装置は、
送電部によって送電される送電量を検知し、
送電装置制御部によって前記送電量及び受電装置の受電量から算出した電力伝送効率に基づいて前記送電部の送電を制御し、
受電装置は、
受電部と電力を受け取って負荷に供給し、
受電量検出部によって前記受電部の出力電力から受電量を検知し、
前記受電量を前記送電装置に送信する
電力伝送方法。
【請求項26】
前記送電装置は、
前記送電量と前記電力伝送効率との関係が閾値を超える送電ロスを生じさせると判定した場合、送電を停止する請求項25記載の電力伝送方法。
【請求項27】
前記受電装置は、
負荷の抵抗値が変化する疑似負荷と、
前記受電部からの出力を前記負荷または前記疑似負荷に切り替えるスイッチと、
をさらに備え、
前記送電装置は、
前記送電量と前記電力伝送効率との関係が閾値を超える送電ロスを生じさせると判定した場合、送電を停止するとともに、前記受電装置の受電装置制御部に前記疑似負荷の抵抗値を変化させて前記受電量を送信させる請求項25記載の電力伝送方法。
【請求項28】
前記受電装置は、
負荷の消費電力を変化させる消費電力変更部をさらに備え、
前記送電装置は、
前記送電量と前記電力伝送効率との関係が閾値を超える送電ロスを生じさせると判定した場合、前記消費電力変更部に前記負荷の消費電力を変化させ、前記受電装置の受電装置制御部に前記受電量を送信させる請求項25記載の電力伝送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−90483(P2013−90483A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−229864(P2011−229864)
【出願日】平成23年10月19日(2011.10.19)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)