説明

電力管理システム

【課題】 供給電力が制限された状態であっても、優先順位が高い負荷に電力が全く供給されない状況を回避することを可能とする電力管理システムを提供する。
【解決手段】 電力管理システム100は、負荷群500に含まれる所定の負荷を複数のグループに分類する分類部610と、複数のグループのそれぞれに割当てられる時間間隔において、太陽電池200から供給される電力が複数のグループのそれぞれに属する所定の負荷に優先的に供給されるように、太陽電池200及び負荷群500のうち少なくとも一方を時分割で制御する制御部620とを備える。分類部610は、時間間隔において消費される電力が所定閾値を超えないように、所定の負荷を前記複数のグループに分類する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力供給手段と、電力供給手段に接続された複数の負荷とを備える電力管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、太陽電池に代表される電力供給手段と電力系統との間の連系を制御するシステム(以下、EMS:Energy Management System)が知られている。このようなEMSは、電力供給手段によって供給される供給電力を電力系統側に出力する制御(逆潮流制御)などを行う。
【0003】
また、電力供給手段が電力系統から解列された状態(以下、自立運転状態)において、電力供給手段に接続された負荷の消費電力が電力供給手段によって供給される供給電力を上回らないように、負荷の消費電力を制御する技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0004】
具体的には、複数の負荷のそれぞれに優先順位が対応付けられており、消費電力が供給電力を上回らないように、電力供給手段に接続すべき負荷が優先順位に基づいて選択される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−177764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した技術では、優先順位が高い負荷でも、電力供給手段から電力が供給されることがないケースが考えられる。従って、様々な不都合が生じる可能性がある。
【0007】
例えば、電力供給手段から供給される電力が著しく少ない場合には、優先順位が高い負荷(例えば、冷蔵庫)に対しても電力が供給されないケースが考えられる。
【0008】
特に、複数の需要家によって構成される需要家集合(例えば、マンションなどの集合住宅)などにおいて、全需要家に対して十分な電力を供給することができない場合には、全住戸について、優先順位が高い負荷の消費電力を賄えないケースが考えられる。
【0009】
そこで、本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、供給電力が制限された状態であっても、優先順位が高い負荷に電力が全く供給されない状況を回避することを可能とする電力管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の特徴に係る電力管理システムは、電力供給手段と、前記電力供給手段に接続された複数の負荷とを備える。電力管理システムは、前記複数の負荷に含まれる所定の負荷を複数のグループに分類する分類部と、前記複数のグループのそれぞれに割当てられる時間間隔において、前記電力供給手段から供給される電力が前記複数のグループのそれぞれに属する前記所定の負荷に優先的に供給されるように、前記電力供給手段及び前記複数の負荷のうち少なくとも一方を時分割で制御する制御部とを備える。前記分類部は、前記時間間隔において消費される電力が所定閾値を超えないように、前記所定の負荷を前記複数のグループに分類する。
【0011】
第2の特徴に係る電力管理システムは、複数の需要家によって構成される需要家集合に電力を供給する電力供給手段と、前記電力供給手段に接続された複数の負荷とを備える。電力管理システムは、前記複数の需要家を複数のグループに分類する分類部と、前記複数のグループのそれぞれに割当てられる時間間隔において、前記電力供給手段から供給される電力が前記複数のグループのそれぞれに属する需要家に優先的に供給されるように、前記電力供給手段及び前記需要家のうち少なくとも一方を時分割で制御する制御部とを備える。前記分類部は、前記時間間隔において消費される電力が所定閾値を超えないように、前記複数の需要家を前記複数のグループに分類する。
【0012】
第1の特徴又は第2の特徴において、前記電力供給手段は、前記電力供給手段が電力系統から解列された自立運転状態において、前記複数の負荷に電力を供給可能な自立型電力供給手段である。前記所定閾値は、前記電力供給手段によって供給可能な電力によって定められる。
【0013】
第1の特徴において、前記所定の負荷に対して第1電力が供給される第1期間及び前記所定の負荷に対して前記第1電力よりも低い第2電力が供給される第2期間が定められる。前記第1期間の長さ及び前記第2期間の長さに基づいて、前記分類部によって分類されるグループの数を決定する決定部をさらに備える。
【0014】
第1の特徴において、前記複数の負荷のそれぞれには、優先順位が割当てられる。電力管理システムは、前記複数の負荷の中から、前記優先順位に基づいて、前記所定の負荷を選択する選択部を備える。
【0015】
第2の特徴において、前記分類部は、前記複数の需要家のうち、人が存在していない需要家を考慮して、前記複数の需要家を前記複数のグループに分類する。
【0016】
第2の特徴において、前記分類部は、前記複数の需要家の電力消費パターンに基づいて、前記複数の需要家を前記複数のグループに分類する。
【0017】
第2の特徴において、前記需要家に対して第1電力が供給される第1期間及び前記需要家に対して前記第1電力よりも低い第2電力が供給される第2期間が定められる。電力管理システムは、前記第1期間の長さ及び前記第2期間の長さに基づいて、前記分類部によって分類されるグループの数を決定する決定部をさらに備える。
【0018】
第2の特徴において、前記複数の需要家には、所定の負荷が設けられる。前記複数の負荷のそれぞれには、優先順位が割当てられる。電力管理システムは、前記複数の負荷の中から、前記優先順位に基づいて、前記所定の負荷を選択する選択部を備える。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、供給電力が制限された状態であっても、優先順位が高い負荷に電力が全く供給されない状況を回避することを可能とする電力管理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、第1実施形態に係る電力管理システム100を示す図である。
【図2】図2は、第1実施形態に係る需要家10を示す図である。
【図3】図3は、第1実施形態に係る制御装置600を示すブロック図である。
【図4】図4は、第1実施形態に係るグループの分類例を説明するための図である。
【図5】図5は、第1実施形態に係るグループの分類例を説明するための図である。
【図6】図6は、第2実施形態に係るグループの分類例を説明するための図である。
【図7】図7は、第2実施形態に係るグループの分類例を説明するための図である。
【図8】図8は、変更例1に係る制御装置600を示すブロック図である。
【図9】図9は、変更例1に係る優先順位を説明するための図である。
【図10】図10は、変更例1に係るグループの分類例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下において、本発明の実施形態に係る電力管理システムについて、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。
【0022】
ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。従って、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0023】
[実施形態の概要]
実施形態に係る電力管理システムは、電力供給手段と、前記電力供給手段に接続された複数の負荷とを備える。電力管理システムは、前記複数の負荷に含まれる所定の負荷を複数のグループに分類する分類部と、前記複数のグループのそれぞれに割当てられる時間間隔において、前記電力供給手段から供給される電力が前記複数のグループのそれぞれに属する前記所定の負荷に優先的に供給されるように、前記電力供給手段及び前記電力供給手段のうち少なくとも一方を時分割で制御する制御部とを備える。前記分類部は、前記時間間隔において消費される電力が所定閾値を超えないように、前記所定の負荷を前記複数のグループに分類する。
【0024】
実施形態では、制御部は、所定の負荷に供給される電力を時分割で制御する。分類部は、時間間隔において消費される電力が所定閾値を超えないように、所定の負荷を複数のグループに分類する。
【0025】
従って、供給電力が制限された状態であっても、優先順位が高い負荷(例えば、冷蔵庫など)に電力が全く供給されない状況を回避することができる。
【0026】
第2の特徴に係る電力管理システムは、複数の需要家によって構成される需要家集合に電力を供給する電力供給手段と、前記電力供給手段に接続された複数の負荷とを備える。電力管理システムは、前記複数の需要家を複数のグループに分類する分類部と、前記複数のグループのそれぞれに割当てられる時間間隔において、前記電力供給手段から供給される電力が前記複数のグループのそれぞれに属する需要家に供給されるように、前記複数の負荷及び前記電力供給手段のうち少なくとも一方を時分割で制御する制御部とを備える。前記分類部は、前記時間間隔において消費される電力が所定閾値を超えないように、前記複数の需要家を前記複数のグループに分類する。
【0027】
実施形態では、制御部は、需要家に供給される電力を時分割で制御する。分類部は、時間間隔において消費される電力が所定閾値を超えないように、複数の需要家を複数のグループに分類する。
【0028】
従って、供給電力が制限された状態であっても、優先順位が高い負荷(例えば、冷蔵庫など)を有する需要家に電力が全く供給されない状況を回避することができる。
【0029】
なお、本発明における「電力供給手段」とは、変電所から供給される電力、あるいは地域内あるいは需要家内で発電あるいは電力供給可能な太陽電池発電、風力発電、蓄電池、あるいはガスによって電力を生成するような燃料電池等を意味するものであり、それらを組み合わせたものであってもよい。以下の実施例では主に変電所から供給される電力、および太陽電池発電を用いた場合を例にして説明をする。
【0030】
[第1実施形態]
(電力管理システム)
以下において、第1実施形態に係る電力管理システムの構成について、図面を参照しながら説明する。図1は、第1実施形態に係る電力管理システム100を示す図である。
【0031】
図1に示すように、電力管理システム100は、需要家10と、EMS20と、変電所30と、スマートサーバ40と、発電所50とを有する。なお、需要家10、EMS20、変電所30及びスマートサーバ40は、ネットワーク60によって接続されている。
【0032】
需要家10は、太陽電池などの分散電源を有する。また、需要家10は、分散電源として、蓄電池などの他の電力供給手段を有していてもよい。なお、需要家10は、例えば、一戸建ての住宅であってもよく、マンションなどの集合住宅であってもよく、ビルなどの商用施設であってもよい。
【0033】
第1実施形態では、複数の需要家10によって、需要家群10A及び需要家群10Bが構成されている。需要家群10A及び需要家群10Bは、例えば、地理的な地域によって分類される。
【0034】
EMS20は、複数の需要家10と電力系統との間の連系を制御する。なお、EMS20は、複数の需要家10を管理するため、CEMS(Cluster Energy Management System)と称されることもある。具体的には、EMS20は、停電時などにおいて、複数の需要家10と電力系統との間を解列する。一方で、EMS20は、復電時などにおいて、複数の需要家10と電力系統との間を連系する。
【0035】
第1実施形態では、EMS20A及びEMS20Bが設けられている。EMS20Aは、例えば、需要家群10Aに含まれる需要家10と電力系統との間の連系を制御する。EMS20Bは、例えば、需要家群10Bに含まれる需要家10と電力系統との間の連系を制御する。
【0036】
変電所30は、複数の需要家10に対して、配電線31を介して電力を供給する。具体的には、変電所30は、発電所50から供給される電圧を降圧する。
【0037】
第1実施形態では、変電所30A及び変電所30Bが設けられている。変電所30Aは、例えば、需要家群10Aに含まれる需要家10に対して、配電線31Aを介して電力を供給する。変電所30Bは、例えば、需要家群10Bに含まれる需要家10に対して、配電線31Bを介して電力を供給する。
【0038】
スマートサーバ40は、複数のEMS20(ここでは、EMS20A及びEMS20B)を管理する。また、スマートサーバ40は、複数の変電所30(ここでは、変電所30A及び変電所30B)を管理する。言い換えると、スマートサーバ40は、需要家群10A及び需要家群10Bに含まれる需要家10を統括的に管理する。スマートサーバ40は、例えば、需要家群10Aに供給すべき電力と需要家群10Bに供給すべき電力とのバランスを取る機能を有する。
【0039】
発電所50は、火力、風力、水力、原子力などによって発電を行う。発電所50は、複数の変電所30(ここでは、変電所30A及び変電所30B)に対して、送電線51を介して電力を供給する。
【0040】
(需要家)
以下において、第1実施形態に係る需要家の構成について、図面を参照しながら説明する。図2は、第1実施形態に係る需要家10の構成を示す図である。
【0041】
図2に示すように、需要家10は、電力供給手段を構成する太陽電池200と、PCS300と、スマートメータ400と、負荷群500と、制御装置600と、分電盤700とを有する。また、需要家10は、太陽電池200と電力系統(配電線31)との間の連系/解列を切り替えるスイッチ12を有する。
【0042】
なお、スイッチ12がオフである場合に、需要家10の状態は、太陽電池200が電力系統(配電線31)から解列された状態(以下、自立運転状態)である。一方で、スイッチ12がオンである場合に、需要家10の状態は、太陽電池200が電力系統(配電線31)に連系された状態(以下、連系状態)である。
【0043】
太陽電池200は、負荷群500に電力を供給する電力供給手段の一例である。ここでは、太陽電池200は、電力系統から解列された自立運転状態において、負荷群500に電力を供給可能な自立型電力供給手段の一例である。
【0044】
PCS300は、太陽電池200を制御する装置(Power Conditioning System)である。具体的には、PCS300は、昇圧回路210と、インバータ回路220とを有する。
【0045】
昇圧回路210は、太陽電池200及びインバータ回路220に接続される。昇圧回路210は、太陽電池200から出力される電力の電圧を昇圧する。
【0046】
インバータ回路220は、昇圧回路210に接続されており、スイッチ12を介して電力系統(配電線31)に接続される。インバータ回路220は、電力系統(配電線31)から供給される交流電力を直流電力に変換する。インバータ回路220は、昇圧回路210から供給される直流電力を交流電力に変換する。
【0047】
スマートメータ400は、通信機能を有する電力メータである。具体的には、スマートメータ400は、電力系統から供給される電力量を計測する。また、スマートメータ400は、電力系統に供給する電力量(すなわち、逆潮流量)を計測する。なお、太陽電池200の発電量は、PCS300で計測し、制御装置600に通知される。
【0048】
負荷群500は、冷蔵庫、照明、エアコン、テレビなどの負荷である。なお、負荷群500の種類は特に限定されるものではない。
【0049】
制御装置600は、スイッチ12、PCS300、スマートメータ400、負荷群500に接続されており、これらの装置を制御する。
【0050】
具体的には、制御装置600は、図3に示すように、分類部610と、制御部620と、決定部630とを有する。
【0051】
分類部610は、負荷群500に含まれる所定の負荷を複数のグループに分類する。具体的には、分類部610は、複数のグループのそれぞれに割当てられた時間間隔において消費される電力が所定閾値を超えないように、所定の負荷を複数のグループに分類する。
【0052】
なお、所定の負荷は、例えば、上述した冷蔵庫、照明、エアコン、あるいはテレビなどであり、任意に定めることが可能である。第1実施形態では、所定の負荷は、予め定められている。但し、後述するように、所定の負荷は、優先順位に基づいて選択されてもよい。
【0053】
また、分類部610によって分類されるグループの数は、後述するように、決定部630によって決定されてもよい。或いは、分類部610によって分類されるグループの数は、予め定められていてもよい。
【0054】
制御部620は、複数のグループのそれぞれに割当てられる時間間隔において、太陽電池200から供給される電力が複数のグループのそれぞれに属する所定の負荷に供給されるように、太陽電池200及び負荷群500のうち少なくとも一方を時分割で制御する。
【0055】
詳細には、制御部620は、各グループに属する負荷に電力が時分割で供給されるように、各グループに属する負荷に電力を供給する電力線に設けられたブレーカを時分割で制御する。すなわち、制御部620は、所定グループに割当てられた時間間隔において、所定グループに属する負荷に電力を供給する電力線に設けられたブレーカをオンにし、所定グループ以外の他のグループに属する負荷に電力を供給する電力線に設けられたブレーカをオフにする。なお、このようなブレーカは、図2に示すように、PCS300と負荷群500及びスイッチ12との間に、分電盤700として設けられることに留意すべきである。本実施形態においては、分電盤700で電力の経路を制御しているが、これが本発明の「電力供給手段の制御」を意味する制御である。 或いは、制御部620は、各グループに属する負荷(負荷の電源や負荷の動作モード)を時分割で制御する。すなわち、制御部620は、所定グループに割当てられた時間間隔において、所定グループに属する負荷の電源をオンにし、所定グループ以外の他のグループに属する負荷の電源をオフにする。或いは、制御部620は、所定グループに割当てられた時間間隔において、所定グループに属する負荷の動作モードを通常動作モードに制御し、所定グループ以外の他のグループに属する負荷の動作モードを省消費電力に制御する。
【0056】
決定部630は、分類部610によって分類されるグループの数を決定する。例えば、所定の負荷に対して第1電力が供給される第1期間及び所定の負荷に対して第1電力よりも低い第2電力が供給される第2期間が定められているケースについて例示する。ここで、第2期間は、負荷の動作モードとして省消費電力モードが適用される期間と考えてもよく、負荷の電源がオフになる期間と考えてもよい。
【0057】
決定部630は、第1期間の長さ及び第2期間の長さに基づいて、分類部610によって分類されるグループの数を決定する。第1期間の長さ及び第2期間の長さは、所定の負荷の性質によって、予め定められていることが好ましい。例えば、所定の負荷に冷蔵庫が含まれるケースにおいて、第1期間が1時間であり、第2期間が2時間であるケースについて考える。このようなケースでは、時間間隔は1時間であり、グループ数は3である。なお、第2期間は、第1期間の整数倍であることが好ましいが、第1期間の整数倍に限定されるものではない。
【0058】
(グループの分類例)
以下において、第1実施形態に係るグループの分類例について説明する。図4及び図5は、第1実施形態に係るグループの分類例を説明するための図である。所定の負荷を複数のグループに分類する処理は、負荷群500に供給可能な電力が制限された状態(例えば、自立運転状態)で行われる。
【0059】
図4及び図5において、所定の負荷が負荷#1〜負荷#3であるケースを例示する。所定の負荷は、負荷#1〜負荷#3以外の負荷を含んでもよいことは勿論である。
【0060】
ここで、図4は、連系状態において、負荷#1〜負荷#3によって消費される電力(負荷#1〜負荷#3に供給される電力)を示している。一方で、図5は、自立運転状態において、負荷#1〜負荷#3によって消費される電力(負荷#1〜負荷#3に供給される電力)を示している。また、Thは、自立運転状態において、電力供給手段が供給可能な電力によって定められる閾値である。電力供給手段が太陽電池200である場合には、Thが日射量によって可変であってもよく、電力供給手段が蓄電池等である場合には、Thがある程度一定の値であってもよい。
【0061】
図4に示すように、連系状態では、電力系統から電力が供給されるため、負荷#1〜負荷#3に供給される電力は、閾値Thを超えている。
【0062】
これに対して、図5に示すように、第1実施形態において、自立運転状態では、所定の負荷に対して時分割で電力が供給される。従って、各時間間隔(時間間隔t1〜時間間隔t3)において消費される電力が閾値Thを超えない。
【0063】
(作用及び効果)
第1実施形態では、制御部620は、所定の負荷に供給される電力を時分割で制御する。分類部610は、時間間隔において消費される電力が所定閾値を超えないように、所定の負荷を複数のグループに分類する。
【0064】
従って、供給電力が制限された状態(例えば、自立運転状態)であっても、優先順位が高い負荷(例えば、冷蔵庫など)に電力が全く供給されない状況を回避することができる。
【0065】
[第2実施形態]
以下において、第2実施形態について説明する。以下においては、第1実施形態に対する相違点について主として説明する。
【0066】
具体的には、第1実施形態では、所定の負荷を複数のグループに分類するケースについて例示した。これに対して、第2実施形態では、複数の需要家を複数のグループに分類するケースについて例示する。
【0067】
第2実施形態において、上述した制御装置600は、複数の需要家によって構成される需要家集合に設けられる。なお、需要家集合は、例えば、マンションなどの集合住宅である。
【0068】
上述した分類部610は、複数の需要家を複数のグループに分類する。具体的には、分類部610は、複数のグループのそれぞれに割当てられた時間間隔において消費される電力が所定閾値を超えないように、複数の需要家を複数のグループに分類する。
【0069】
上述した制御部620は、複数のグループのそれぞれに割当てられる時間間隔において、太陽電池200から供給される電力が複数のグループのそれぞれに属する需要家に供給されるように、分電盤700、太陽電池200及び負荷群500のうち少なくとも一方を時分割で制御する。本実施形態においては、分電盤700で電力の経路を制御しているが、これが本発明の「電力供給手段の制御」を意味する制御である。
【0070】
詳細には、制御部620は、各グループに属する負荷に電力が時分割で供給されるように、各グループに属する需要家に電力を供給する電力線に設けられたブレーカを時分割で制御する。すなわち、制御部620は、所定グループに割当てられた時間間隔において、所定グループに属する需要家に電力を供給する電力線に設けられたブレーカをオンにし、所定グループ以外の他のグループに属する需要家に電力を供給する電力線に設けられたブレーカをオフにする。なお、このようなブレーカは、電力供給手段の一部を構成するようにしてもよい。
【0071】
或いは、需要家10内の制御部は、電力が供給される時間間隔において、負荷の電源をオンにし、電力が供給されない時間間隔において負荷の電源をオフにする。
【0072】
なお、需要家内においては、割当てられた時間において、第1実施形態のように所定の負荷の電源をオンにし、割当てられない時間において、所定の負荷の電源をオフにするように制御したり、負荷群500の動作モードを省消費電力モードに制御したりして、需要家10自体の消費電力を低減することがより有効である。そして、制御部620は、需要家10が消費電力を低減した状態の電力に基づいてグループ分けすることにより、供給電力をより有効に活用することができるようになる。
【0073】
上述した決定部630は、分類部610によって分類されるグループの数を決定する。例えば、需要家に対して第1電力が供給される第1期間及び需要家に対して第1電力よりも低い第2電力が供給される第2期間が定められているケースについて例示する。ここで、第2期間は、需要家に設けられる負荷の動作モードとして省消費電力モードが適用される期間と考えてもよく、需要家に電力が供給されない期間と考えてもよい。
【0074】
決定部630は、第1期間の長さ及び第2期間の長さに基づいて、分類部610によって分類されるグループの数を決定する。なお、第1期間の長さ及び第2期間の長さは、各需要家に設けられる所定の負荷(例えば、冷蔵庫)の性質によって、予め定められていることが好ましい。 さらに、需要家10内のそれぞれの制御装置600’(図2における制御装置600)と需要家集合の制御装置600とが連携し、制御装置600が供給可能総電力量に基づきそれぞれの制御装置600’に使用可能な電力量を通知し、制御装置600’が通知された電力量を超えないように分電盤700や負荷群500を制御するようにすることも好ましい。
【0075】
(グループの分類例)
以下において、第2実施形態に係るグループの分類例について説明する。図6及び図7は、第2実施形態に係るグループの分類例を説明するための図である。複数の需要家を複数のグループに分類する処理は、負荷群500に供給可能な電力が制限された状態(例えば、自立運転状態)で行われる。
【0076】
図6及び図7において、複数の需要家が需要家#1〜負荷#9であるケースを例示する。
【0077】
ここで、図6は、自立運転状態において、グループの分類が適切に行われないケースを示している。一方で、図7は、自立運転状態において、グループの分類が適切に行われるケースを示している。なお、Thは、自立運転状態において、電力供給手段を構成する太陽電池200が供給可能な電力によって定められる閾値である。
【0078】
図6に示すように、複数の需要家に割り振られた番号などに基づいて、複数の需要家が複数のグループに分類されると、消費電力が閾値Thを超える時間間隔(図6では、時間間隔t2)が存在する。
【0079】
これに対して、図7に示すように、第2実施形態では、複数のグループのそれぞれに割当てられた時間間隔において消費される電力が所定閾値を超えないように、複数の需要家が複数のグループに分類される。従って、消費電力が閾値Thを超える時間間隔が存在しない。
【0080】
(作用及び効果)
第2実施形態では、制御部620は、需要家に供給される電力を時分割で制御する。分類部610は、時間間隔において消費される電力が所定閾値を超えないように、複数の需要家を複数のグループに分類する。
【0081】
従って、供給電力が制限された状態(例えば、自立運転状態)であっても、優先順位が高い負荷(例えば、冷蔵庫など)を有する需要家に電力が全く供給されない状況を回避することができる。
【0082】
[変更例1]
以下において、第1実施形態及び第2実施形態の変更例1について説明する。以下においては、第1実施形態及び第2実施形態に対する相違点について主として説明する。なお、変更例1は、第1実施形態及び第2実施形態の双方に適用可能であることに留意すべきである。
【0083】
具体的には、変更例1では、負荷群500に含まれる負荷に優先順位が割当てられている。自立運転状態において電力を供給すべき所定の負荷は、優先順位に基づいて選択される。
【0084】
(制御装置)
以下において、変更例1に係る制御装置の構成について、図面を参照しながら説明する。図8は、変更例1に係る制御装置600を示すブロック図である。
【0085】
図8に示すように、制御装置600は、図3に示す構成に加えて、選択部640を有する。
【0086】
選択部640は、負荷群500の中から、優先順位に基づいて、自立運転状態において電力を供給すべき所定の負荷を選択する。
【0087】
例えば、図9に示すように、第1実施形態の場合において、最も高い優先順位が冷蔵庫に割当てられており、2番目に高い優先順位が照明に割当てられており、3番目に高い優先順位がエアコンに割当てられているケースについて説明する。
【0088】
このようなケースにおいて、選択部640は、電力供給手段を構成する太陽電池200が供給可能な電力(供給可能電力)に応じて、優先順位が高い順に、自立運転状態において電力を供給すべき所定の負荷を選択する。
【0089】
例えば、供給可能電力がAkw以上である場合には、選択部640は、冷蔵庫を所定の負荷として選択する。供給可能電力がBkw以上である場合には、選択部640は、冷蔵庫及び照明を所定の負荷として選択する。供給可能電力がCkw以上である場合には、選択部640は、冷蔵庫、照明及びエアコンを所定の負荷として選択する。
【0090】
なお、このようなケースにおいて、選択部640は、各負荷の動作モードを考慮して、所定の負荷を選択してもよい。例えば、選択部640は、各負荷に省消費電力モードを適用することを前提として、所定の負荷を選択してもよい。
【0091】
(グループの分類例)
以下において、変更例1に係るグループの分類例について説明する。図10は、変更例1に係るグループの分類例を説明するための図である。
【0092】
図10に示すように、太陽電池200が供給可能な電力によって定まる閾値がTh1である場合には、優先順位が最も高い負荷(負荷#1A〜負荷#1C)が所定の負荷として選択される。また、太陽電池200が供給可能な電力によって定まる閾値がTh2である場合には、優先順位が最も高い負荷(負荷#1A〜負荷#1C)及び優先順位が次に高い負荷(負荷#2A〜負荷#2C)が所定の負荷として選択される。
【0093】
(作用及び効果)
変更例2では、選択部640は、負荷群500の中から、優先順位に基づいて、自立運転状態において電力を供給すべき所定の負荷を選択する。従って、優先順位が高い負荷(例えば、冷蔵庫など)に対して優先的に電力を供給することができる。
【0094】
[その他の実施形態]
本発明は上述した実施形態によって説明したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0095】
実施形態では特に触れていないが、負荷群500は、所定の負荷以外の負荷を含んでいてもよいことに留意すべきである。すなわち、負荷群500は、リビング・台所以外の照明、食器洗浄機、便座の暖房等の電力が全く供給されない負荷を含んでもよい。さらには、負荷群500として蓄熱器等を含んでいても良い。
【0096】
実施形態では、供給電力が制限された状態として、停電となり地域内あるいは需要家内の電力供給手段を用いて自立運転を行われる自立運転状態で、地域内あるいは需要家内の太陽電池200による電力が供給される状態を例示した。しかしながら、実施形態は、これに限定されるものではない。例えば、供給電力が制限された状態は、供給電力よりも需要電力が上回らないように電力系統から供給される電力が制限された状態であってもよい。すなわち、電力供給手段が電力系統であってもよい。
【0097】
実施形態では特に触れていないが、制御装置600は、EMS20やスマートサーバ40に設けられていてもよい。
【0098】
実施形態では特に触れていないが、第1実施形態及び第2実施形態を組み合わせてもよい。例えば、第2実施形態に基づいて、各需要家に対して供給される電力が時分割で制御され、かつ、第1実施形態に基づいて、各需要家に設けられる負荷に対して供給される電力が時分割で制御されてもよい。
【0099】
第2実施形態では、需要家集合として、マンションなどの集合住宅を例示した。しかしながら、実施形態は、これに限定されるものではない。例えば、需要家集合は、工場、学校などの施設であってもよく、所定地域に存在する需要家の集合であってもよい。
【0100】
第2実施形態では特に触れていないが、分類部610は、複数の需要家のうち、人が存在していない需要家(留守宅)を考慮して、複数の需要家を複数のグループに分類してもよい。例えば、分類部610は、留守宅を除外して、或いは、留守宅と在宅を同じグループに混ざるようにして、複数の需要家を複数のグループに分類してもよい。或いは、分類部610は、電力を供給する時間間隔の割当て頻度として、留守宅以外の通常宅よりも低い頻度を留守宅に割当ててもよい。
【0101】
第2実施形態では特に触れていないが、制御部620は、複数の需要家のうち、人が存在していない需要家(留守宅)を考慮して、電力供給手段から供給される電力を時分割で制御してもよい。例えば、制御部620は、留守宅以外の通常宅に対して供給する電力よりも低い電力を留守宅に供給するように、電力供給手段及び負荷群500の少なくとも一方を時分割で制御してもよい。
【0102】
第2実施形態では特に触れていないが、分類部610は、複数の需要家の電力消費パターンに基づいて、複数の需要家を複数のグループに分類してもよい。例えば、分類部610は、電力を供給する時間間隔の割当て頻度として、消費電力が少ない需要家よりも高い頻度を消費電力が多い需要家に割当てて、留守宅と在宅を同じグループに混ざるようにして、或いは、消費電力が昼に多い需要家と夜に多い需要家を同じグループに混ざるようにしてもよい。
【0103】
なお、電力消費パターンは、昼間に電力消費が多い昼型パターン、夜間に消費電力が多い夜型パターンなどである。また、消費電力が少ない需要家に対する時間間隔の割当て頻度は、“0”であってもよい。
【0104】
第2実施形態では特に触れていないが、制御部620は、複数の需要家の電力消費パターンに基づいて、電力供給手段から供給される電力を時分割で制御してもよい。例えば、制御部620は、消費電力が少ない需要家よりも高い電力を消費電力が多い需要家に供給するように、電力供給手段及び負荷群500の少なくとも一方を時分割で制御してもよい。
【0105】
変更例1では特に触れていないが、所定の負荷の全てを複数のグループに分類しなくてもよい。例えば、優先順位が最も高い負荷については複数のグループに分類せずに、全ての時間間隔において、優先順位が最も高い負荷に電力が供給されてもよい。ここで、優先順位が2番目に高い負荷については複数のグループに分類して、優先順位が2番目に高い負荷に時分割で電力が供給されてもよい。例えば、継続して電力供給する必要がある負荷、あるいは断続運転で起動電力を発生させるよりも継続運転の方が電力抑制される負荷については優先順位が最も高い負荷として時分割で制御せず、閾値Thからこれらの電力を差し引いた電力に対して、上述の時分割で制御を行うようにすればよい。
【0106】
さらに、本発明においては、「優先的に供給する」としており、優先される負荷や需要家に供給してもまだ供給電力量に余裕がある場合には、優先される負荷や需要家への電力量を増やしたり、優先されていない負荷や需要家への電力を供給したりするように制御してもよい。
【符号の説明】
【0107】
10…需要家、12…スイッチ、20…EMS、30…変電所、31…配電線、40…スマートサーバ、50…発電所、51…送電線、60…ネットワーク、100…電力管理システム、200…太陽電池(電力供給手段)、300…PCS、310…昇圧回路、320…インバータ回路、400…スマートメータ、500…負荷群、600…制御装置、610…分類部、620…制御部、630…決定部、640…選択部、700…分電盤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力供給手段と、前記電力供給手段に接続された複数の負荷とを備える電力管理システムであって、
前記複数の負荷に含まれる所定の負荷を複数のグループに分類する分類部と、
前記複数のグループのそれぞれに割当てられる時間間隔において、前記電力供給手段から供給される電力が前記複数のグループのそれぞれに属する前記所定の負荷に優先的に供給されるように、前記電力供給手段及び前記複数の負荷のうち少なくとも一方を時分割で制御する制御部とを備え、
前記分類部は、前記時間間隔において消費される電力が所定閾値を超えないように、前記所定の負荷を前記複数のグループに分類することを特徴とする電力管理システム。
【請求項2】
複数の需要家によって構成される需要家集合に電力を供給する電力供給手段と、前記電力供給手段に接続された複数の負荷とを備える電力管理システムであって、
前記複数の需要家を複数のグループに分類する分類部と、
前記複数のグループのそれぞれに割当てられる時間間隔において、前記電力供給手段から供給される電力が前記複数のグループのそれぞれに属する需要家に優先的に供給されるように、前記電力供給手段及び前記需要家のうち少なくとも一方を時分割で制御する制御部とを備え、
前記分類部は、前記時間間隔において消費される電力が所定閾値を超えないように、前記複数の需要家を前記複数のグループに分類することを特徴とする電力管理システム。
【請求項3】
前記電力供給手段は、前記電力供給手段が電力系統から解列された自立運転状態において、前記複数の負荷に電力を供給可能な自立型電力供給手段であり、
前記所定閾値は、前記電力供給手段によって供給可能な電力によって定められることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電力管理システム。
【請求項4】
前記所定の負荷に対して第1電力が供給される第1期間及び前記所定の負荷に対して前記第1電力よりも低い第2電力が供給される第2期間が定められており、
前記第1期間の長さ及び前記第2期間の長さに基づいて、前記分類部によって分類されるグループの数を決定する決定部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の電力管理システム。
【請求項5】
前記複数の負荷のそれぞれには、優先順位が割当てられており、
前記複数の負荷の中から、前記優先順位に基づいて、前記所定の負荷を選択する選択部を備えることを特徴とする請求項4に記載の電力管理システム。
【請求項6】
前記分類部は、前記複数の需要家のうち、人が存在していない需要家を考慮して、前記複数の需要家を前記複数のグループに分類することを特徴とする請求項2に記載の電力管理システム。
【請求項7】
前記分類部は、前記複数の需要家の電力消費パターンに基づいて、前記複数の需要家を前記複数のグループに分類することを特徴とする請求項2に記載の電力管理システム。
【請求項8】
前記需要家に対して第1電力が供給される第1期間及び前記需要家に対して前記第1電力よりも低い第2電力が供給される第2期間が定められており、
前記第1期間の長さ及び前記第2期間の長さに基づいて、前記分類部によって分類されるグループの数を決定する決定部をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の電力管理システム。
【請求項9】
前記複数の需要家には、電力を供給すべき所定の負荷が設けられており、
前記複数の負荷のそれぞれには、優先順位が割当てられており、
前記複数の負荷の中から、前記優先順位に基づいて、前記所定の負荷を選択する選択部を備えることを特徴とする請求項8に記載の電力管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−228044(P2012−228044A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−92530(P2011−92530)
【出願日】平成23年4月18日(2011.4.18)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】