説明

電動リールの制御装置

【課題】電動リールにおいて、ドラグ機構が動作しても張力の表示の変動を抑える。
【解決手段】制御システム58は、電動リールの釣り糸に作用する張力を表示する。制御システムは、表示器61と、電流検出部66aと、張力検出部76と、ドラグ作動検出部77と、張力補正部78と、張力表示部75と、モータ制御部69と、を備える。電流検出部は、モータ12に流れる電流値を検出する。張力検出部は、電流検出部が検出した電流値により張力を検出する。ドラグ作動検出部は、ドラグ機構29が作動してスプールがモータに対して滑っているか否かを検出する。張力補正部は、ドラグ機構が作動したとドラグ作動検出部が判断すると、張力検出部の検出結果を補正する。張力表示部は、検出された張力に応じた情報を表示するとともに、張力補正部で検出結果が補正されると、補正された張力に応じた情報を表示器に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、特に、ドラグ機構を有し、モータで駆動可能な電動リールのスプールに巻き付けられる釣り糸に作用する張力を表示する電動リールの制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電動リールにおいて、釣り糸に作用する張力を表示する機能を有するものが従来知られている(例えば、特許文献1参照)。従来の電動リールでは、新たな釣り糸をスプールに巻き付ける際に、釣り人が張力一定で釣り糸に巻き取るために張力を表示している。張力は、モータに流れる電流値を検出し、検出された電流値により検出している。
【0003】
また、電動リールにおいて、釣りをしているときに、スプールの巻き上げ速度を複数段階に制御するものが従来知られている(例えば、特許文献2参照)。従来の電動リールでは、モータをデューティ比で制御し、スプールの速度を複数段階に制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2885356号明細書
【特許文献2】特許第4427126号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2の速度を複数段階に制御可能な電動リールにおいて、特許文献1に記載された張力表示機能適用して、釣り糸に実際に作用する張力を表示することが考えられる。しかし、特許文献1の張力の表示機能では、モータが出力する電流値により張力を表示している。このため、ドラグ機構が動作してモータが巻き上げ方向に回転すると、電流値に応じて張力の表示が大きくなる。しかし、実際には、ドラグが滑っているため、張力は大きくなっていない。すなわち、張力の表示が実際の値より大きくなる。
【0006】
本発明の課題は、電動リールの制御装置において、ドラグ機構が動作しても張力の表示の変動を抑えることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明1に係る電動リールの制御装置は、ドラグ機構を有し、モータで駆動可能な電動リールのスプールに巻き付けられる釣り糸に作用する張力を表示する電動リールの制御装置である。電動リールの制御装置は、表示器と、電流値検出手段と、張力検出手段と、ドラグ作動検出手段と、張力補正手段と、張力表示手段と、モータ制御手段と、を備えている。電流値検出手段は、モータに流れる電流値を検出する。張力検出手段は、電流値検出手段が検出した電流値により張力を検出する。ドラグ作動検出手段は、ドラグ機構が作動してスプールがモータに対して滑っているか否かを検出する。張力補正手段は、ドラグ機構が作動したとドラグ作動検出手段が判断すると、張力検出手段の検出結果を補正する。張力表示手段は、検出された張力に応じた情報を表示するとともに、張力補正手段で検出結果が補正されると、補正された張力に応じた情報を表示器に表示する、モータ制御手段は、モータを複数段階に制御する。
【0008】
この電動リールの制御装置では、釣りを行っているときに、ドラグ機構が作動してモータに対してスプールが滑ったことを検出すると、張力補正手段が、張力検出手段が検出した張力を補正する。張力が補正されると、検出された張力ではなく補正された張力が表示器に表示される。ここでは、ドラグ機構が作動してスプールが滑ると、張力が補正されるので、ドラグ機構が作動しても張力の表示の変動を抑えることができる。
【0009】
発明2に係る電動リールの制御装置は、発明1に記載の装置において、張力検出手段は、トルク検出手段と、糸巻径獲得手段と、張力算出手段と、を有する。トルク検出手段は、電流値検出手段が検出した電流値によりスプールに作用するトルクを検出する。糸巻径獲得手段は、スプールに巻き付けられる釣り糸の糸巻径を獲得する。張力算出手段は、トルク検出手段で検出されたトルクを獲得された糸巻径で補正して張力を算出する。
【0010】
この場合には、モータに流れる電流値により検出されたトルクが糸巻径により補正され張力が算出されるので、糸巻径が変化しても表示される張力の精度が向上する。
【0011】
発明3に係る電動リールの制御装置は、発明1又は2に記載の電動リールのモータ制御装置において、ドラグ作動検出手段は、電流値検出手段が検出した電流値が時間当たり所定以上上昇したとき、ドラグ機構が作動したと判断する。
【0012】
この場合には、電流値検出手段が検出した電流値が時間当たり所定以上上昇するとドラグ機構が作動したと判断するので、特にスプールを速度制御するときにドラグ機構の作動を精度良く検出できる。
【0013】
発明4に係る電動リールの制御装置は、発明1から3のいずれかに記載の装置において、スプールの回転速度を検出する速度検出手段と、スプールの回転速度を複数段階に設定可能な速度設定手段と、をさらに備える。モータ制御手段は、速度検出手段が検出した回転速度を参照して速度設定手段で設定された回転速度となるようにモータを制御する第1モータ制御手段を有する。この場合には、スプールの回転速度を複数段階に制御できる。
【0014】
発明5に係る電動リールの制御装置は、発明4に記載の装置において、第1モータ制御手段は、デューティ比を用いたパルス幅変調制御によりモータを制御し、ドラグ作動検出手段は、第1モータ制御手段により出力されるデューティ比が時間当たり所定以上増加したとき、ドラグ機構が作動したと判断する。
【0015】
この場合には、スプールの速度制御の際に、デューティ比の変化によりモータ回転とスプール回転とのずれを容易に検出できる。
【0016】
発明6に係る電動リールの制御装置は、発明4又は5に記載の装置において、釣り糸に作用する張力を複数段階に設定可能な張力設定手段をさらに備える。モータ制御手段は、張力検出手段が検出した張力を参照して張力設定手段で設定された張力となるようにモータを制御する第2モータ制御手段を有する。この場合には、釣り糸に作用する張力を複数段階に制御できる。
【0017】
発明7に係る電動リールの制御装置は、発明6に記載の装置において、第2モータ制御手段は、デューティ比を用いたパルス幅変調制御によりモータを制御し、ドラグ作動検出手段は、第2モータ制御手段により出力されるデューティ比が時間当たり所定以上増加したとき、ドラグ機構が作動したと判断する。
【0018】
この場合には、スプールの張力制御の際に、デューティ比の変化によりモータ回転とスプール回転とのずれを容易に検出できる。
【0019】
発明8に係る電動リールの制御装置は、発明6又は7に記載の装置において、第1モータ制御手段による速度制御と第2モータ制御手段による張力制御とを切り換え可能な制御切換手段をさらに備える。この場合に、釣りの種類に応じて速度一定制御と張力一定制御とを選択できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ドラグ機構が作動してスプールが滑ると、張力が補正されるので、ドラグ機構が動作しても張力の表示の変動を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態が採用された電動リールの斜視図。
【図2】その第2側カバー側の側面断面図。
【図3】図2のIII−III断面図。
【図4】カウンタケースの表示画面の一例を示す図。
【図5】リールの制御系の構成を示すブロック図。
【図6】記憶部の記憶内容の一例を示す図。
【図7】リール制御部の主制御動作を示すフローチャート。
【図8】スイッチ入力処理を示すフローチャート。
【図9】スプール速度制御のフローチャート。
【図10】モータ電流制御のフローチャート。
【図11】各動作モード速度制御のフローチャート。
【図12】表示処理のフローチャート。
【図13】張力情報記憶エリアの記憶内容の一例を示す図。
【図14】ドラグ機構の作動時の電流値の変化の一例を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<リールの全体構成>
図1、図2及び図3において、本発明の一実施形態を採用した両軸受リールである電動リールは、外部電源から供給された電力により駆動されるとともに、手巻きリールとして使用するときの電源を内部に有するリールである。また、電動リールは糸繰り出し長さ又は糸巻取長さに応じて仕掛けの水深を表示する水深表示機能を有するリールである。
【0023】
電動リールは、ハンドル2を有し、釣り竿に装着可能なリール本体1と、リール本体1の上部に設けられたカウンタケース4と、リール本体1の内部に配置された糸巻用のスプール10と、を備えている。また、スプール10を駆動するスプール駆動機構13をさらに備えている。
【0024】
リール本体1は、フレーム7と、第1側カバー8aと、第2側カバー8bと、前カバー9と、備える。フレーム7は、第1側板7aと、第2側板7bと、第1側板7aと第2側板7bとを連結する第1連結部材7c及び第2連結部材7dと、を有する。第1側カバー8aは、フレーム7のハンドル装着側と逆側を覆う。第2側カバー8bは、フレーム7のハンドル装着側を覆う。前カバー9は、フレーム7の前部を覆う。
【0025】
第1側板7aには、図3に示すように、スプール10が通過可能な円形開口7eが形成されている。円形開口7eには、スプール10のスプール軸14の第1端(図3左端)を回転自在に支持するスプール支持部17が芯出しされて装着されている。スプール支持部17は、第1側板7aの外側面にネジ止め固定されている。スプール支持部17には、スプール軸14の第1端を支持する第1軸受18aが収納される。
【0026】
第2側板7bは、各種の機構を装着するために設けられている。第2側板7bと第2側カバー8bとの間には、スプール駆動機構13と、後述するクラッチ機構16を制御するクラッチ制御機構20と、キャスティングコントロール機構21と、が設けられている。
【0027】
第1側板7aと第2側板7bとの間には、スプール10と、クラッチ機構16と、スプール10に釣り糸を均一に巻き付けるためのレベルワインド機構22と、が設けられている。クラッチ機構16は、スプール10に動力を伝達する動力伝達状態(クラッチオン)と動力を遮断する動力遮断状態(クラッチオフ)とに切り換える。リール本体1の後部において、第1側板7aと第2側板7bとの間には、クラッチ機構16をオンオフ操作するためのクラッチ操作部材11が揺動可能に設けられている。クラッチ操作部材11は、図2に実線で示すクラッチオン位置と、二点鎖線で示すクラッチオフ位置と、の間で揺動する。
【0028】
リール本体1は、第2側板7bの外側面に間隔を隔てて配置され、第2側カバー8bとの間の空間に上記の機構を装着するための機構装着板19をさらに備えている。機構装着板19は、第2側板7bの外側面にネジ止め固定されている。
【0029】
第1連結部材7cは、第1側板7a及び第2側板7bの下部を前後2箇所で連結する。第2連結部材7dはスプール10の前部を連結する。第1連結部材7cは、板状の部分であり、その左右方向の略中央部分に釣り竿に取り付けるための竿取付脚7fが一体形成されている。第2連結部材7dは、概ね円筒状の部分であり、その内部にスプール10駆動用のモータ12(図2及び図3)が収容されている。
【0030】
第1側カバー8aは、第1側板7aの外縁部に例えばネジ止めされている。第1側カバー8aの前部下面には、電源ケーブル接続用のコネクタ15が下向きに装着されている。
【0031】
ハンドル2は、第2側カバー8b側に設けられている。
【0032】
第2側カバー8bには、ハンドル軸30を回転自在に支持するための第1ボス部8cが外方に突出して形成されている。第1ボス部8cの後方には、スプール軸14の第2端を支持する第2ボス部8dが外方に突出して形成されている。第2側カバー8bの第1ボス部8cの上方には、モータ12を複数の段数SC(例えば31の段数)に制御するための調整レバー5(図1参照)が揺動自在に支持されている。調整レバー5は、速度設定手段及び張力設定手段の一例である。調整レバー5には、図示しないロータリエンコーダが連結されている。
【0033】
前カバー9は、第1側板7a及び第2側板7bの前部外側面の上下2箇所で、例えばネジ止め固定されている。前カバー9には、釣り糸通過用の横長の開口9a(図2)が形成されている。
【0034】
<カウンタケースの構成>
カウンタケース4は、図1及び図2に示すように、第1側板7a及び第2側板7bの上部に載置され、第1側板7a及び第2側板7bの外側面にネジ止め固定されている。カウンタケース4の内部には、水深表示用の液晶ディスプレイからなる表示器61が収納されている。また、カウンタケース4の内部には、モータ12及び表示器61を制御する、例えばマイクロコンピュータからなるリール制御部60(図5)が設けられている。
【0035】
カウンタケース4の上面には、図4に示すように、表示器61が露出する矩形の開口4aが形成されている。開口4aは、合成樹脂製の透明なカバー部材4bによりカバーされている。表示器61の表示画面は、水深表示領域61aと、水深表示領域61aの後方に配置された段数表示領域61bと、段数表示領域61bの右方に配置された張力表示領域61cと、を有している。これらの各表示領域には、7セグメントで数値及び文字を表示可能である。水深表示領域61aには、仕掛けの水深、すなわちスプール10から繰り出される釣り糸の糸長が表示される。段数表示領域61bには、調整レバー5の段数が1から31の31段階に表示される。また、モードに応じて棚位置の水深や釣り糸の種類も表示される。張力表示領域61cには速度一定モードまたは張力一定モードのとき、釣り糸に作用する張力が例えば10段階に表示される。なお、速度一定モードまたは張力一定モードでは、10段階の数値は概ねそのときに釣り糸に作用している張力に近い値である。
【0036】
開口4aの後方(図4下方)には、操作キー部62が配置されている。操作キー部62は、左右に並べて配置されたモータ制御選択スイッチSW1と、0セットスイッチSW2と、高切れスイッチSW3とを有している。モータ制御選択スイッチSW1は、モータ12を張力一定モードで制御する張力モードと、速度一定モードで制御する速度モードとのいずれかを選択するためのスイッチである。0セットスイッチSW2は、釣りを行う前に、仕掛けを水面に配置して水深表示値を0にセットするためのスイッチである。高切れスイッチSW3は、釣り糸が途中で切れたとき、仕掛けを水面に配置して水深表示値を0にセットするためのスイッチである。
【0037】
<スプールの構成>
スプール10は、スプール軸14に一体回転可能に装着されている。スプール10は、筒状の糸巻胴部10aと、糸巻胴部10aの両側に一体形成された大径の第1フランジ部10b及び第2フランジ部10cと、を有している。スプール10は、糸巻胴部10aの直径が第1フランジ部10b及び第2フランジ部10cの直径よりかなり小さい(例えば半分以下の直径)直径を有する深溝型のものである。スプール軸14は、糸巻胴部10aの内周部に圧入等の適宜の固定手段により固定されている。
【0038】
スプール軸14の第1端は、前述したようにスプール支持部17で第1軸受18aにより支持されている。スプール軸14の第2端(図3右端)は、第2側カバー8bの第2ボス部8dに第2軸受18bにより支持されている。
【0039】
スプール軸14は、スプール10が固定された大径部14aと、大径部14aの第1端側の第1小径部14bと、大径部14aの第2端側の第2小径部14cと、を有している。大径部14aのスプール固定部分より第2小径部14c側には、クラッチ機構16を構成するクラッチピン16aが径方向を貫通して装着されている。
【0040】
<クラッチ機構及びクラッチ制御機構の構成>
クラッチ機構16は、クラッチピン16aと、後述するピニオンギア32の図3左側端面に径方向に沿って十字に凹んで形成されたクラッチ凹部16bと、を有している。ピニオンギア32は、クラッチ機構16を構成するとともに後述する第1回転伝達機構24を構成している。ピニオンギア32は、スプール軸14方向に沿って、図3に示すクラッチオン位置とクラッチオン位置より図3右側のクラッチオフ位置との間で移動する。クラッチオン位置では、クラッチピン16aがクラッチ凹部16bに係合してピニオンギア32の回転がスプール軸14に伝達され、クラッチ機構16は、クラッチオン状態になる。このクラッチオン状態では、ピニオンギア32とスプール軸14とが一体回転可能になる。また、クラッチオフ位置では、クラッチ凹部16bがクラッチピン16aから離反してピニオンギア32の回転がスプール軸14に伝達されない。このため、クラッチ機構16は、クラッチオフ状態になり、スプール10は自由回転可能になる。
【0041】
クラッチ制御機構20は、クラッチ操作部材11の図2に実線で示すクラッチオン位置と図2に二点鎖線で示すクラッチオフ位置との間の揺動によりクラッチ機構16をクラッチオン状態とクラッチオフ状態とに切り換える。
【0042】
<スプール駆動機構の構成>
スプール駆動機構13は、スプール10を糸巻取方向に駆動する。また、巻取時にスプール10にドラグ力を発生させて釣り糸の切断を防止する。スプール駆動機構13は、図2から図4に示すように、モータ12と、モータ12の糸巻取方向の回転を禁止する逆転禁止部23と、第1回転伝達機構24と、第2回転伝達機構25と、を備えている。第1回転伝達機構24は、モータ12の回転を減速してスプール10に伝達する。第2回転伝達機構25は、ハンドル2の回転を、第1回転伝達機構24を介して増速してスプール10に伝達する。
【0043】
モータ12は、前述した第2連結部材7dの内部に収容されている。モータ12は、ローラクラッチの形態の逆転禁止部23により糸繰り出し方向の回転が禁止れている。
【0044】
第1回転伝達機構24は、モータ12の出力軸12aに連結された遊星歯車機構26を有している。遊星歯車機構26は、モータ12の回転を1/20から1/30程度の範囲の減速比で減速してスプール10に伝達する。遊星歯車機構26は、モータ12の出力軸12aに連結された第1遊星減速機構27と、第1遊星減速機構27に連結された第2遊星減速機構28と、を有している。遊星歯車機構26は、第2側板7b及び機構装着板19に両端を回転自在に支持されたケース40内に収納される。ケース40の内周面には、第1遊星減速機構27及び第2遊星減速機構28の内歯ギアが形成されている。第1遊星減速機構27の太陽ギアは出力軸12aに一体回転可能に連結される。第2遊星減速機構28の太陽ギアは、第1遊星減速機構27のキャリアに一体回転可能に連結される。ケース40に形成された内歯ギアの出力がスプール10に伝達される。
【0045】
第1回転伝達機構24は、図2及び図3に示すように、第1ギア部材82と、第1ギア部材82に噛み合う第2ギア部材83と、第2ギア部材83に噛み合うピニオンギア32と、をさらに有している。第1ギア部材82は、遊星歯車機構26のケース40の外周に形成されている。したがって、第1ギア部材82は内歯ギアと一体回転可能である。第1ギア部材82は、レベルワインド機構22の従動ギア55にも噛み合っている。第2ギア部材83は、機構装着板19と第2側板7bの外側面との間に配置されている。第2ギア部材83は、第1ギア部材82の回転をピニオンギア32に回転方向を整合させて伝達するための中間ギアである。第2ギア部材83は、機構装着板19に回転自在に支持されている。ピニオンギア32は、第2側板7bにスプール軸14回りに回転自在かつ軸方向移動自在に装着されている。ピニオンギア32は、クラッチ制御機構20により制御されて軸方向にクラッチオン位置とクラッチオフ位置との間で移動する。
【0046】
第2回転伝達機構25は、図2、図3、図4及び図5に示すように、ハンドル2が一体回転可能に連結されたハンドル軸30と、ドライブギア31と、第3ギア部材84と、ドラグ機構29と、を有している。
【0047】
ハンドル軸30は、図3に示すように、第2側板7b及び第2側カバー8bの第1ボス部8cに回転自在に支持されている。ハンドル軸30には、ドラグ機構29のドラグ座金37が一体回転可能に装着されている。ハンドル軸30の先端には、ハンドル2が一体回転可能に連結されている。またハンドル軸30には、第1ワンウェイクラッチ34のラチェットホイール35が一体回転可能が装着されている。ラチェットホイール35は、軸方向内方(図4左方)への移動が規制された状態で装着されている。ラチェットホイール35は、図示しないラチェット爪により糸繰り出し方向の回転が禁止される。ハンドル軸30の基端は、第2側板7b図示しない軸受により回転自在に支持されている。また、ハンドル軸30は、ローラ型の第2ワンウェイクラッチ36により第2側カバー8bの第1ボス部8cに支持されている。ハンドル軸30は、第1ワンウェイクラッチ34により糸繰り出し方向の回転が禁止されている。ハンドル軸30の糸繰り出し方向の回転を禁止することによりドラグ機構29が動作可能になる。第2ワンウェイクラッチ36は、ハンドル軸30の糸繰り出し方向の回転を迅速に禁止する。
【0048】
ドライブギア31は、ハンドル軸30に回転自在に装着されている。ドライブギア31は、ドラグ座金37により押圧される。ドライブギア31は、ドラグ機構29により糸繰り出し方向の回転が制動される。これにより、スプール10の糸繰り出し方向の回転が制動される。
【0049】
第3ギア部材84は、ハンドル2の回転をスプール10に伝達するために設けられている。第3ギア部材84は、第2遊星減速機構28のキャリアに一体回転可能に連結されている。第3ギア部材84は、ドライブギア31に噛み合い、ハンドル2の回転を第2遊星減速機構28のキャリアに伝達する。キャリアに伝達された回転は、第1ギア部材82及び第2ギア部材83を介してピニオンギア32に伝達される。第3ギア部材84から第2ギア部材83までの減速比は概ね「1」である。
【0050】
ドラグ機構29は、ドラグ座金37と、ドラグ力を調整するためのスタードラグ3と、を有している。ドラグ機構29は、スプールの糸繰り出し方向の回転を制動して釣り糸の切断を防止するために設けられる。ドラグ機構29は、設定されたドラグ力以上の力がスプール10に作用するとスプール10を糸繰り出し方向に空転させる。
【0051】
<その他の機構の構成>
キャスティングコントロール機構21は、図3に示すように、スプール軸14の両端を押圧してスプール10を制動する機構である。キャスティングコントロール機構21は、第2ボス部8dの外周面に螺合する制動キャップ51と、第1制動プレート52aと、第2制動プレート52bと、を有している。第1制動プレート52aは、スプール支持部17内に配置されスプール軸14の第1端に接触する。第2制動プレート52bは、制動キャップ51内に配置され、スプール軸14の第2端に接触する。
【0052】
レベルワインド機構22は、第1側板7aと第2側板7bに両端が回転自在に支持された螺軸53と、螺軸53に係合する釣り糸ガイド54と、を有している。螺軸53の外周面には交差する螺旋状溝53aが形成されている。螺軸53の、図3右端には、スプール駆動機構13に連結された従動ギア55が一体回転可能に装着されている。釣り糸ガイド54は、螺軸53の軸方向に沿って案内される。釣り糸ガイド54は、螺軸53の螺旋状溝53aに係合し、螺軸53の回転により螺軸53に沿って往復移動する。これにより、スプール10の糸巻取方向の回転に連動して釣り糸がスプール10に概ね均一に巻き取られる。
【0053】
<リールの制御系の構成>
図5に示すように、リール制御システム58(電動リールの制御装置の一例)は、リール制御部60を有している。リール制御部60は、例えば、CPU、RAM、ROM、I/Oインターフェイス等を含むマイクロコンピュータや液晶駆動回路から構成される。
【0054】
リール制御システム58は、リール制御部60に接続された、調整レバー5と、操作キー部62と、スプールセンサ63と、スプールカウンタ64と、ブザー65と、モータ駆動回路66と、表示器61と、記憶部67と、他の入出力部と、を有している。操作キー部62は、前述したように3つのスイッチを有している。スプールセンサ63は、スプール10の回転数、回転方向及び回転速度を検出するために設けられる。スプールセンサ63は、図示しない磁石の磁力を検出可能な、例えば、ホール素子又はリードスイッチからなる2つの磁力検出素子を有している。磁石はスプール10の回転に連動して回転し、2つの磁力検出素子は、磁石の回転方向に並べて配置されている。スプールセンサ63は、いずれの磁力検出素子が先に磁石を検出したかにより、スプール10の回転方向を検出できる。スプールカウンタ64は、スプールセンサ63から出力されるパルスを計数するものである。スプールカウンタ64の出力により、巻初めからのスプール10が何回転したかのスプール回転数X及びスプール10の回転速度を検出できる。
【0055】
ブザー65は、水深表示等で各種の報知を行うために設けられている。モータ駆動回路66は、モータ12をデューティ比を用いたパルス幅変調(Pulse Width Modulation)制御により速度一定又は張力一定駆動するために設けられている。モータ駆動回路66は、モータ12に流れる電流を検出する電流検出部66aを有している。電流検出部66aはトルク検出手段の一例である。記憶部67は、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)及びフラッシュメモリ等の書換可能な不揮発メモリで構成されている。
【0056】
記憶部67には、図6に示すように、棚位置等の表示データを記憶する表示データ記憶エリア67aと、実際の糸長とスプール回転数との関係を示す糸長データを記憶する糸長データ記憶エリア67bと、段数SCに応じたスプール10の巻き上げ速度(rpm)及び巻き上げトルク(電流値)を記憶する回転データ記憶エリア67cと、張力情報記憶エリア67dと、種々のデータを記憶する、その他データ記憶エリア67eとが設けられている。
【0057】
回転データ記憶エリア67cには、速度一定モードでの段数SC毎の上限速度Vscと上限速度Vscの上限値Vsc1及び下限値Vsc2が記憶されている。例えば、段数SCが1速の場合に上限速度Vsc=257rpm,2速の場合にVsc=369rpm,3速の場合にVsc=503rpm,4速の場合にVsc=665rpm,5速の場合にVsc=1000rpmがそれぞれ記憶されている。上限値Vsc1及び下限値Vsc2は、上限速度Vscの±10%の範囲に設定されている。
【0058】
また、回転データ記憶エリア67cには、張力一定モードでの、例えば最大糸巻径SDMのときの段数SC毎の上限トルクTscとその上限値Tsc1及び下限値Tsc2が電流値で記憶されている。例えば、段数SCが1段の場合に上限トルクが電流値でTsc=2A,2段の場合にTsc=3.5A,3段の場合にTsc=5A,4段の場合にTsc=6.5A,5段の場合にTsc=8Aがそれぞれ記憶されている。この上限トルクTscの上限値Tsc1及び下限値Tsc2が、後述するモータ電流制御の際に、スプール回転数Xのときの糸巻径SDで補正されて上限張力Qscの上限値Qsc1(Qsc1=Tsc1×(SD/SDM))及び下限値Qsc2(Qsc2=Tsc2×(SD/SDM))が算出される。なお、糸巻径SDは、スプール回転数Xのときのスプール一回転当たりの糸長Yをπで除算する(SD=Y/π)ことにより得られる。上限値Qsc1及び下限値Qsc2は、上限張力Qscの±10%の範囲に設定されている。
【0059】
また回転データ記憶エリア67cには、第1デューティ比D1及び第2デューティ比D4の直前のものと最新のものが記憶されている。
【0060】
張力情報記憶エリア67dには、速度一定モードまたは張力一定モードで表示する「0」から「9」の10段階の張力情報が記憶される。速度一定モードまたは張力一定モードで表示する9段階の張力情報は、前述したように、概ね実際に釣り糸に作用する張力である。図13にその一例を示す。例えば張力情報が「1」の場合、0.3kg−1.5kgまでの張力であり、張力情報が「9」の場合、8.5kg以上の張力である。また、張力情報記憶エリア67dには、直近に電流検出部66aで検出された電流値(トルクTd)より直前に検出された補正用の電流値(補正トルクTd1)が記憶される。この記憶された補正トルクTd1は、張力表示領域61cでの張力情報の補正に用いられる。
【0061】
その他のデータ記憶エリア67eには糸長に関する各種のデータが格納されている。たとえば船縁停止位置などが格納されている。
【0062】
リール制御部60は、図5に示すように、ソフトウェアで実現される機能構成として、モータ12を制御するモータ制御部69と、表示器61を制御する表示制御部70と、を有している。モータ制御部69は、スプール10を段数SC毎に速度一定に制御する第1モータ制御部71と、釣り糸に作用する張力を段数SC毎に一定に制御する第2モータ制御部72と、制御切換部73と、を有している。制御切換部73は、第1モータ制御部71による速度一定制御と、第2モータ制御部72により張力一定制御と、を切換制御する。
【0063】
表示制御部70は、水深表示領域61aに水深を表示する水深表示部74と、張力表示領域61cに張力情報を表示する張力表示部75と、を有している。張力表示部75は、張力検出部76と、ドラグ作動検出部77と、張力補正部78と、を有している。張力検出部76は、電流検出部66aが検出した電流値によりスプール10に作用するトルクを検出するトルク検出部79と、糸巻径獲得部80と、張力算出部81と、を有している。糸巻径獲得部80は、スプールセンサ63で検出された回転数Xにより後述する(1)式により、そのときのスプール一回転当たりの糸長Yを算出する。この糸長Yをπで除算することにより糸巻径SDを得る。張力算出部81は、検出されたトルクを糸巻径SDで乗算することによりスプール10に巻き付けられる釣り糸に作用する張力を算出する。
【0064】
ドラグ作動検出部77は、後述するドラグ機構29が作動してスプール10が滑ったか否かを検出する。ドラグ作動検出部77では、所定時間(例えば、0.5秒から1.5秒)当たりに後述する第1デューティ比D1又は第2デューティ比D4が現在値の10%以上増加すると、ドラグ機構29が作動してスプール10が滑っていると判断する。
【0065】
張力補正部78は、ドラグ機構29が動作したことをドラグ作動検出部77が検出すると、張力表示領域61cに表示する「0」から「9」の10段階の張力情報を、張力検出部76が検出した張力に応じた張力情報ではなく、ドラグ作動検出部77がドラグ機構29の作動を検出する前の張力情報に補正する。例えば、ドラグ作動検出部77がドラグ機構29の作動を検出前の張力情報が10段階の「3」であり、その後ドラグ機構29が動作して「6」に相当する張力情報が得られても、張力表示領域61cには、「6」ではなく「3」が表示される。
【0066】
算出又は補正された張力Tに応じた張力情報を張力表示部75が表示器61の張力表示領域61cに表示する。
【0067】
<リール制御部の制御動作>
リール制御部60の制御動作について、図7から図12に示すフローチャートに基づいて説明する。なお、図7から図12に示すフローチャートは、制御手順の一例であり、本発明の制御手順はこれに限定されない。
【0068】
本発明では、スプール一回転当たりの糸長Yとスプール回転数Xとの関係を一次直線に近似させることができることを利用して糸長Lを算出している。
【0069】
太さと全長が不明な釣り糸を糸巻径Bmmからスプール10に層状に巻き付けていき、c回転で全ての釣り糸を巻き終わったとする。次に、その状態からSmm釣り糸を繰り出したとき、スプール10がd回転したとする。
【0070】
いま、スプール回転数Xとスプール一回転当たりの糸長Yとの関係を、横軸にスプール回転数Xを、縦軸にスプール一回転当たりの糸長をとると、一次直線で定義できるので、傾きをAとすると、下記式で表せる。
【0071】
Y=AX+Bπ (1)
上記(1)式の傾きA及び切片Bπを求めることにより糸長Yを算出する。
【0072】
具体的には、4つのデータ、すなわち、繰り出し長さS,胴径B,スプール回転数c,繰り出し回転数dから一次直線の傾きAを下記式で求めることができる。
【0073】
A=2(S−Bπd)/d(2c−d)
例えば、スプール10が巻き初めから2000回転で巻終わり、そこから10m繰り出したときにスプールが60回転した場合、スプール10の糸巻胴径(糸巻径)が30mmであったとすると、一次直線の傾きAは下記のようになる。
【0074】
A=2(10000−94.2*60)/60(2*2000−60) (2)
=0.0368
そして、傾きA,切片Bπの近似の一次直線が決定できれば、一次直線をスプール一回転毎に積分処理(面積算出処理)することで巻き初めから巻終わりまでの例えばスプール一回転毎の糸長L1〜LNを求める。そして、巻終わり時のスプール回転数rのときの水深LXを「0」にセットしてそれから巻き初めまでの水深LX(=LN)とスプール回転数Xとの関係を算出して記憶部67の糸長データ記憶エリア67bに例えばマップ形式(LX=MAP(X))で記憶する。
【0075】
実釣り時にスプール10が回転すると、そのときにスプールセンサ63が検出したスプール回転数Xに基づき、記憶部67のマップから糸長LNを読み出し、読み出した糸長LNに基づいて仕掛けの水深(釣り糸先端の水深)を表示器61に表示する。
【0076】
電動リールに電源コードを介して外部電源に接続されると、図7のステップS1において初期設定を行う。この初期設定ではスプールカウンタ64の計数値をリセットしたり、各種の変数やフラグをリセットしたり、モータ制御モードを速度モードにし、表示モードを上からモードにする。上からモードは、水深表示領域61aに水面からの水深を表示するモードである。
【0077】
次にステップS2では表示器61に対する水深表示等の表示処理を行う。表示処理については後で詳細に説明する。ステップS3では、操作キー部62のいずれかのスイッチ又は調整レバー5が操作されたか否かを判断する。ステップS4ではスプール10が回転しているか否かを判断する。この判断は、スプールセンサ63の出力により判断する。ステップS5ではその他の指令や入力がなされたか否かを判断する。
【0078】
操作キー部62のいずれかのスイッチ又は調整レバー5が操作された場合にはステップS3からステップS6に移行する。ステップS6では、スイッチ入力処理を実行する。またスプール10の回転が検出された場合にはステップS4からステップS7に移行する。ステップS7では各動作モード処理を実行する。その他の指令あるいは入力がなされた場合にはステップS5からステップS8に移行してその他の処理を実行する。
【0079】
ステップS6のスイッチ入力処理では図8のステップS11で調整レバー5が押されたか否かを判断する。ステップS12では、モータ制御選択スイッチSW1が押されたか否かを判断する。ステップS13では、他のスイッチが操作された否かを判断する。
【0080】
調整レバー5が操作されたと判断すると、ステップS11からステップS15に移行する。ステップS15では、調整レバー5の段数SCを取り込む。ステップS16では、調整レバー5の段数SCが「0」可否かを判断する。調整レバー5の段数SCが「0」の場合は、ステップS17に移行し、モータ12をオフする。調整レバー5の段数SCが「0」ではないときは、ステップS16からステップS18に移行する。ステップS18では、モータ制御モードが速度一定モードか否かを判断する。速度一定モードのときは、ステップS19に移行し、調整レバー5の段数SCに応じた速度となるようにモータ12を制御するスプール速度制御を行い、ステップS12に移行する。速度一定モードではないときは、ステップS18からステップS20に移行し、釣り糸に作用する張力が調整レバー5の段数SCに応じた張力になるようにモータ12をモータ電流制御し、ステップS12に移行する。
【0081】
ステップS6のスイッチ入力処理では、図9のステップS15で調整レバー5が操作されたか否かを判断する。ステップS16では、メニュースイッチSW1が3秒以上長押されたか否かを判断する。ステップS17では、その他のスイッチが操作されたか否かを判断する。その他のスイッチの操作にはメニュースイッチSW1の通常操作、決定スイッチSW2、及びメモスイッチSW3等の操作を含んでいる。
【0082】
モータ制御選択スイッチSW1が操作されると、ステップS12からステップS21に移行する。ステップS21では、モータ12の制御モードが速度一定モードか否かを判断する。速度一定モードのときは、ステップS21からステップS22に移行し、制御モードを張力一定モードに設定する。速度一定モードではなく張力一定モードのときは、ステップS21からステップS23に移行し、制御モードを速度一定モードに設定する。これらの処理が終わると、ステップS13に移行する。
【0083】
他のスイッチ入力がなされると、ステップS13からステップS24に移行し、たとえば、底からモードへの変更やその他のモードの設定等の他のスイッチ入力処理を行い、図7に示すメインルーチンに戻る。
【0084】
ステップS19のスプール速度制御処理では、スプール10の回転数が段数SC毎に設定された上限速度Vscとなるようにモータ12を制御する。なお、上限速度Vscは、スプール10の糸巻径により補正され、実際には、スプール10に巻き付ける釣り糸の巻き上げ速度が一定になるようにモータ12が制御される。
【0085】
スプール速度制御処理では、図9のステップS31で調整レバー5により設定された段数SC及びスプールセンサ41の出力により算出されたスプール10の回転速度Vdを取り込む。ステップS32では、回転データ記憶エリア67cに記憶された上限速度Vscの上限値Vsc1及び下限値Vsc2を読み込む。ステップS33では、スプール10の速度Vdが段数SCに応じた上限速度Vscの下限値Vsc2未満か否かを判断する。ステップS43では、スプール10の速度Vdが段数SCに応じた上限速度Vscの上限値Vsc1を超えているか否かを判断する。なお、速度制御を行う際に、段数SC毎に上限速度Vscの上限値Vsc1及び下限値Vsc2を設けたのは、上限値Vsc1及び下限値Vsc2の間で速度が変動している場合にはデューティ比が変化せず、デューティ比が頻繁に変動するワウリングが生じなくなり、フィードバック制御が安定するからである。
【0086】
速度Vdが下限値Vsc2未満の場合には、ステップS33からステップS35に移行する。ステップS35では、現在の第1デューティ比D1を取り込む。この第1デューティ比D1は、回転データ記憶エリア67cに設定が変更される都度記憶されている。また、段数SC毎に最大値DUscと最小値DLscが回転データ記憶エリア52に設定されており、最初に各段数SCに設定されたときには、たとえばその中間の第1デューティ比D1=((DUsc+DLsc)/2)にセットされる。ステップS36では、現在の第1デューティ比D1が設定された段数の最大値DUscを超えているか否かを判断する。超えている場合はステップS38に移行して第1デューティ比D1に最大値DUscをセットする。超えていない場合には、ステップS36からステップS37に移行し、第1デューティ比D1を所定の増分DI(たとえば1%)だけ増やしてステップS34に移行する。なお、最高段数(SC=31)のデューティ比は、100%に設定されているが、それより前までの段数(SC=1から30)では最大値DUscはデューティ比が85%以下に設定されている。
【0087】
速度Vが上限値Vsc1を超えている場合には、ステップS34からステップS39に移行して現在の第1デューティ比D1を取り込む。この第1デューティ比D1もステップS35と同様である。ステップS40では、現在の第1デューティ比D1が設定された段数の最小値DLscを下回っているか否かを判断する。下回っている場合はステップS42に移行して第1デューティ比D1に最小値DLscをセットする。下回っていない場合には、ステップS40からステップS41に移行し、第1デューティ比D1を所定の減分DI(たとえば1%)だけ減らしてスイッチ入力処理に戻る。
【0088】
ステップS20のモータ電流制御処理では、図10のステップS51で調整レバー5により設定された段数SC、電流検出部68aの検出結果のトルクTd、及びスプール回転数Xを取り込む。ステップS52では、取り込んだ段数SCの上限トルクTscの上限値Tsc1及び下限値Tsc2を回転データ記憶エリア67cから読み込む。ステップS53では、読み込んだ上限トルクTscの上限値Tsc1及び下限値Tsc2を糸巻径SDで補正した上限張力Qscの上限値Qsc1及び下限値Qsc2を算出する。この算出方法は前述したとおりである。ステップS54では、ステップS51で取り込んだ検出トルクTdをそのときのスプール回転数Xから算出された糸巻径SDで除算(Qd=Td/SD)して検出張力Qdを算出する。ステップS55では、検出張力Qdが段数SCに応じた上限張力Qsの下限値Qsc2未満か否かを判断する。ステップS56では、張力Qdが段数SCに応じた上限張力Qsの上限値Qsc1を超えているか否かを判断し、いずれの判断も「NO」のときはスイッチ入力処理に戻る。
【0089】
なお、張力制御を行う際に、段数SC毎に上限張力Tsの下限値Qsc2及び上限値Qsc1を設けたのは、速度一定モードと同様に両張力Qsc1,Qsc2の間で張力が変動している場合にはデューティ比が変化せず、デューティ比が頻繁に変動するワウリングが生じなくなり、フィードバック制御が安定するからである。
【0090】
張力Qdが下限値Qsc2未満の場合には、ステップS55からステップS57に移行する。ステップS57では、現在の第2デューティ比D4を取り込む。この第2デューティ比D4は、回転データ記憶エリア67cに設定が変更される都度記憶されている。ステップS58では、第2デューティ比D4を所定の増分DI(たとえば1%)だけ増やしてステップS56に移行する。これを張力Qdが下限値Qsc2を超えるまで続ける。
【0091】
張力Qdが上限値Qsc1を超えている場合には、ステップS56からステップS59に移行して現在の第2デューティ比D4を取り込む。この第2デューティ比D4もステップS57と同様である。つぎのステップS60では、第2デューティ比D4を所定の減分DI(たとえば1%)だけ減らしてスイッチ入力処理に戻る。これを張力Qdが上限値Qsc1を下回るまで続ける。
【0092】
ステップS10の各動作モード処理では、図11のステップS61でスプール10の回転方向が糸繰り出し方向か否かを判断する。この判断は、スプールセンサ63のいずれの磁力検出素子が先にパルスを発したか否かにより判断する。スプール10の回転方向が糸繰り出し方向と判断するとステップS61からステップS62に移行する。ステップS62では、スプール回転数Xが減少する毎にスプール回転数Xから糸長データ記憶エリア67bに記憶されたデータを読み出して水深(放出された糸長)LXを算出する。この水深LXがステップS2の表示処理で表示される。ステップS63では、得られた水深LXが棚又は底位置に一致したか、つまり、仕掛けが棚又は底に到達したか否かを判断する。棚又は底位置は、仕掛けが棚又は底に到達したときにモータ制御選択スイッチSW1を長押し操作することで記憶部67の表示データ記憶エリア67aにセットされる。ステップS64では、学習モード等の他のモードか否かを判断する。
【0093】
水深が棚位置又は底位置に一致するとステップS63からステップS65に移行し、仕掛けが棚又は底に到達したことを報知するためにブザー65を鳴らす。他のモードの場合には、ステップS64からステップS66に移行し、指定された他のモードを実行する。他のモードではない場合には、各動作モード処理を終わりメインルーチンに戻る。
【0094】
スプール10の回転が糸巻き取り方向と判断するとステップS61からステップS67に移行する。ステップS67では、スプール回転数Xから糸長データ記憶エリア67bに記憶されたデータを読み出して水深LXを算出する。この水深LXがステップS2の表示処理で表示される。
【0095】
ステップS68では、仕掛けが船縁停止位置に到達したか否かを判断する。仕掛けが689では、仕掛けが船縁にあることを報知するためにブザー65を鳴らす。ステップS70では、モータ12をオフする。これにより魚や釣れたときや仕掛けを回収して餌を交換するときに、取り込みやすい位置に魚や仕掛けが配置される。船縁停止位置まで巻き取っていない場合にはメインルーチンに戻る。
【0096】
ステップS2の表示処理では、図12のステップS71で、調整レバー5の段数SC、検出トルクTd、スプール回転数Xを取り込む。ステップS72では、記憶部67の回転データ記憶エリア67cから第1デューティ比D1及び第2デューティ比D3を読み込むとともに、張力情報記憶エリア67dから補正トルクTd1を読み込む。さらに、糸長データ記憶エリア67bから現在のスプール回転数Xにおける現在の糸長LXを読み込む。ステップS73では、検出トルクTd及び補正トルクTd1を現在の糸巻径SDにより補正して検出張力Qd及び補正張力Qd1を算出する。ステップS74では、ドラグ機構29が作動したか否かを判断する。この判断は、速度一定モード及び張力一定モードにおいて、ドラグ機構29が作動すると、デューティ比が急激に増加することに着目して判断する。
【0097】
速度一定モードの場合のドラグ機構209の作動時の電流値の変化の一例を図14に示す。図14では、縦軸にモータ12に流れる電流値をとり、横軸に釣り糸に作用する張力をとっている。また、ドラグ機構29の設定値は4Kgfであり、調整レバー5の段数は、「5」である。
【0098】
速度一定モードでは、ドラグ機構29が作動してスプール10がモータ12に対して滑ると、スプール10の速度が目標速度より遅くなるため、デューティ比を増加させる制御が行われる。ドラグ機構29のドラグ設定が4Kgfの場合、張力が4Kgfを超えると、スプール10がモータ12に対して滑り始める。 このとき、滑りによって消費される分の電流値が上昇するが、モータ制御手段は設定速度でスプール10を回転させるために、デューティ比を増加させる。この電流値の上昇により、張力情報の表示を補正しない場合は、図14に破線で示すように、張力情報が急激に上昇する。しかし、ドラグ機構29が作動しているため、実際に釣り糸に作用する張力は、4Kgfであるので、張力情報は「4」と表示されるのが好ましい。そこで、ドラグ機構29の滑りにより生じる電流値の上昇を無視するために、ドラグ機構29が作動する直前の張力Qd1に応じた張力情報が表示器61に表示される。
【0099】
また、張力一定モードでは、電流値は、段数SC毎に上限値が制限される。ドラグ機構29が作動しなければ、ほぼ実際の張力が張力情報として表示される。設定張力がドラグ設定以上、例えば6Kgfであり、かつドラグ設定値、例えば4Kgfを超える張力が作用した場合、ドラグ機構29が作動する。このとき、実際に釣り糸に作用する張力はドラグ設定値の4kgfである。しかし、張力情報を補正しない場合、ドラグ機構29の滑りによって最大「6」が表示されてしまう。ドラグ機構29が作動していない場合は、張力に見合うトルクを出力する電流値の電流がモータに流れ、その電流値に対応した張力情報が表示される。ドラグ機構29が作動すると、例えば4Kgfの張力に見合うトルクを出力する電流値にドラグ機構29の滑りによって消費される分の電流値が加わり、電流値が急激に変化する。このようにドラグ機構29が作動すると電流値は上昇するが、設定張力に見合うトルクを出力する電流値には至らないので、モータ制御手段はデューティ比を増加させて設定値に近づけようとする。このときのデューティ比の増加具合でドラグ機構29の作動、すなわちドラグ座金37の滑りを検出する。
【0100】
ドラグ機構29が作動したと判断すると、ステップS74からステップS75に移行する。ステップS75では、表示用の検出張力Qdを補正張力Qd1に補正し、ステップS76に移行する。この補正張力Qd1は、ドラグ機構29が作動する前の検出張力である。ステップS74でドラグが作動していないと判断すると、ステップS76に移行する。
【0101】
ステップS76では、張力Qdの値を10の段階のいずれかに当てはめた張力情報を表示器61の張力表示領域61cに表示する。なお、張力情報として張力Qdをそのまま表示してもよい。ステップS77では、仕掛けの水深LXを水深表示領域61aに表示する。ステップS78では、段数SCを段数表示領域61bに表示する。ステップS79では、モータの制御モード等のその他の情報を表示する。
【0102】
ここでは、釣りを行っているときに、ドラグ機構29が作動してモータ12に対してスプール10が滑ったことを検出すると、張力補正部78が、張力検出部76が検出した張力Qdを補正する。張力Qdが補正されると、検出された張力ではなく補正された張力が表示器61に表示される。ここでは、ドラグ機構29が作動してスプール10が滑ると、張力が補正されるので、ドラグ機構29が作動しても張力の表示の変動を抑えることができる。
【0103】
<特徴>
上記実施形態は、下記のように表現可能である。
【0104】
(A)リール制御システム58は、ドラグ機構29を有し、モータ12で駆動可能な電動リールのスプール10に巻き付けられる釣り糸に作用する張力を表示する。リール制御システム58は、表示器61と、電流検出部66aと、張力検出部76と、ドラグ作動検出部77と、張力補正部78と、張力表示部75と、モータ制御部69と、を備えている。電流検出部66aは、モータ12に流れる電流値を検出する。張力検出部76は、電流検出部66aが検出した電流値により張力を検出する。ドラグ作動検出部77は、ドラグ機構29が作動してスプール10がモータ12に対して滑っているか否かを検出する。張力補正部78は、ドラグ機構29が作動したとドラグ作動検出部77が判断すると、張力検出部76の検出結果を補正する。張力表示部75は、検出された張力に応じた情報を表示するとともに、張力補正部78で検出結果が補正されると、補正された張力に応じた情報を表示器61に表示する、モータ制御部69は、モータ12を複数段階に制御する。
【0105】
このリール制御システム58では、釣りを行っているときに、ドラグ機構29が動作してモータ12に対してスプール10が滑ったことを検出すると、張力補正部78が、張力検出部76が検出した張力を補正する。張力が補正されると、検出された張力ではなく補正された張力が表示器61に表示される。ここでは、ドラグ機構29が作動してスプール10が滑ると、張力が補正されるので、ドラグ機構29が動作しても張力の表示の変動を抑えることができる。
【0106】
(B)リール制御システム58において、張力検出部76は、トルク検出部79と、糸巻径獲得部80、張力算出部81と、を有する。トルク検出部79は、電流検出部66aが検出した電流値によりスプール10に作用するトルクTdを検出する。糸巻径獲得部80は、スプール10に巻き付けられる釣り糸の糸巻径SDを得る。張力算出部81は、トルク検出部79で検出されたトルクTdを糸巻径SDで補正して張力Qdを算出する。
【0107】
この場合には、モータ12に流れる電流値により検出されたトルクTdが糸巻径SDにより補正され張力Qdが算出されるので、糸巻径SDが変化しても表示される張力Qdの精度が向上する。
【0108】
(C)リール制御システム58において、ドラグ作動検出部77は、電流検出部66aが検出した電流値が時間当たり所定以上上昇したとき、ドラグ機構29が作動したと判断する。
【0109】
この場合には、電流検出部が検出した電流値が時間当たり所定以上上昇するとドラグ機構29が作動したと判断するので、特にスプール10を速度制御するときにドラグ機構29の作動を精度良く検出できる。
【0110】
(D)リール制御システム58において、スプール10の回転速度を検出するスプールセンサ63と、スプール10の回転速度を複数段階に設定可能な調整レバー5と、をさらに備える。モータ制御部69は、スプールセンサ63が検出した回転速度を参照して調整レバー5で設定された回転速度となるようにモータ12を制御する第1モータ制御部71を有する。この場合には、スプール10の回転速度を複数段階に制御できる。
【0111】
(E)リール制御システム58において、第1モータ制御部71は、デューティ比を用いたパルス幅変調制御によりモータを制御し、ドラグ作動検出部77は、第1モータ制御部782により出力されるデューティ比が時間当たり所定以上増加したとき、ドラグ機構29が作動したと判断する。
【0112】
この場合には、スプールの速度制御の際に、デューティ比の変化によりモータ回転とスプール回転とのずれを容易に検出できる。
【0113】
(F)リール制御システム58において、釣り糸に作用する張力を複数段階に設定可能な調整レバー5をさらに備える。第2モータ制御部72は、張力検出部76が検出した張力を参照して調整レバー5で設定された張力となるようにモータ12を制御する第2モータ制御部72を有する。この場合には、釣り糸に作用する張力を複数段階に制御できる。
【0114】
(G)リール制御システム58において、第2モータ制御部72は、デューティ比を用いたパルス幅変調制御によりモータ12を制御し、ドラグ作動検出部77は、第2モータ制御部72により出力されるデューティ比が時間当たり所定以上増加したとき、ドラグ機構29が作動したと判断する。
【0115】
この場合には、スプール10の張力制御の際に、デューティ比の変化によりモータ回転とスプール回転とのずれを容易に検出できる。
【0116】
(H)リール制御システム58において、第1モータ制御部71による速度制御と第2モータ制御部72による張力制御とを切り換え可能な制御切換部73をさらに備える。この場合に、釣りの種類に応じて速度一定制御と張力一定制御とを選択できる。
【0117】
<他の実施形態>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0118】
(a)前記実施形態では、張力一定制御と、速度一定制御とを切り換え可能にしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、速度一定制御だけを行ってもよい。
【0119】
(b)前記実施形態では、モータ12がスプール10の前方に配置される電動リールを例に本発明を説明したが、本発明はこれに限定されない。スプール内にモータが配置される電動リールやリール本体の外側にモータが配置される電動リールにも本発明を適用できる。
【0120】
(c)前記実施形態では、スプール一回転当たりの糸長とスプール回転数との関係が一次関数出あることに着目して糸長とスプール回転数との関係を学習したが、釣り糸に接触する糸長検出器を装着したり、二次関数で糸長とスプール回転数との関係を求めたりしても良い。
【0121】
(d)前記実施形態では、調整レバー5により速度又は張力の段数を設定しているが、操作スイッチにより速度又は張力の段数を設定しても良い。この場合、操作時間又は操作回数に応じて段数を増減するようにしてもよい。
【0122】
(e)前記実施形態では、デューティ比の急激な増加によりドラグ機構の作動(スプールの滑り)を検出したが、本発明はこれに限定されない。モータの回転数を検出するセンサを設け、モータの回転数とスプールの回転数との関係からスプールの滑りを判断し、ドラグ機構の作動を検出してもよい。また、電流値の急激な上昇によりドラグ機構の作動を検出してもよい。さらに、電流値の変化とスプール回転数の変化の両方から検出しても良い。例えば、電流値が上昇しているのにスプール回転数が変化していない、もしくは減少したり糸繰り出し方向に回転していれば明らかにドラグ機構が作動していると判断できる。
【符号の説明】
【0123】
5 調整レバー
10 スプール
12 モータ
29 ドラグ機構
30 ハンドル軸
31 ドライブギア
32 ピニオンギア
34 第1ワンウェイクラッチ
35 ラチェットホイール
36 第2ワンウェイクラッチ
37 ドラグ座金
40 ケース
51 制動キャップ
52a 第1制動プレート
52b 第2制動プレート
53 螺軸
53a 螺旋状溝
54 釣り糸ガイド
55 従動ギア
58 リール制御システム
60 リール制御部
61 表示器
63 スプールセンサ
66 モータ駆動回路
66a 電流検出部
69 モータ制御部
70 表示制御部
71 第1モータ制御部
72 第2モータ制御部
73 制御切換部
74 水深表示部
75 張力表示部
76 張力検出部
77 ドラグ作動検出部
78 張力補正部
79 トルク検出部
80 糸巻径獲得部
81 張力算出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドラグ機構を有し、モータで駆動可能な電動リールのスプールに巻き付けられる釣り糸に作用する張力を表示する電動リールの表示装置であって、
表示器と、
前記モータに流れる電流値を検出する電流値検出手段と、
前記電流値検出手段が検出した前記電流値により張力を検出する張力検出手段と、
前記ドラグ機構が作動して前記スプールが前記モータに対して滑っているか否かを検出するドラグ作動検出手段と、
前記ドラグ機構が作動したと前記ドラグ作動検出手段が判断すると、前記張力検出手段の検出結果を補正する張力補正手段と、
前記検出された張力に応じた情報を表示するとともに、前記張力補正手段で前記検出結果が補正されると、前記補正された張力に応じた情報を前記表示器に表示する張力表示手段と、
前記モータを複数段階に制御するモータ制御手段と、
を備える電動リールの表示装置。
【請求項2】
前記張力検出手段は、
前記電流値検出手段が検出した前記電流値により前記スプールに作用するトルクを検出するトルク検出手段と、
前記スプールに巻き付けられる釣り糸の糸巻径を得る糸巻径獲得手段と、
前記トルク検出手段で検出されたトルクを獲得された前記糸巻径で補正して前記張力を算出する張力算出手段と、
を有する、請求項1に記載の電動リールの表示装置。
【請求項3】
前記ドラグ作動検出手段は、前記電流値検出手段が検出した前記電流値が時間当たり所定以上上昇したとき、前記ドラグ機構が作動したと判断する、請求項1又は2に記載の電動リールの表示装置。
【請求項4】
前記スプールの回転速度を検出する速度検出手段と、
前記スプールの回転速度を複数段階に設定可能な速度設定手段と、をさらに備え、
前記モータ制御手段は、前記速度検出手段が検出した回転速度を参照して前記速度設定手段で設定された前記回転速度となるように前記モータを制御する第1モータ制御手段を有する、請求項1から3のいずれか1項に記載の電動リールの表示装置。
【請求項5】
前記第1モータ制御手段は、デューティ比を用いたパルス幅変調制御により前記モータを制御し、
前記ドラグ作動検出手段は、前記第1モータ制御手段により出力されるデューティ比が時間当たり所定以上増加したとき、前記ドラグ機構が作動したと判断する、請求項4に記載の電動リールの表示装置。
【請求項6】
前記釣り糸に作用する張力を複数段階に設定可能な張力設定手段をさらに備え、
前記モータ制御手段は、前記張力検出手段が検出した張力を参照して前記張力設定手段で設定された張力となるように前記モータを制御する第2モータ制御手段を有する、請求項4又は5に記載の電動リールの表示装置。
【請求項7】
前記第2モータ制御手段は、デューティ比を用いたパルス幅変調制御により前記モータを制御し、
前記ドラグ作動検出手段は、前記第2モータ制御手段により出力されるデューティ比が時間当たり所定以上増加したとき、前記ドラグ機構が作動したと判断する、請求項6に記載の電動リールの表示装置。
【請求項8】
前記第1モータ制御手段による速度制御と前記第2モータ制御手段による張力制御とを切り換え可能な制御切換手段をさらに備える、請求項6又は7に記載の電動リールの表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2013−48593(P2013−48593A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−189063(P2011−189063)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000002439)株式会社シマノ (1,038)
【Fターム(参考)】