電動工具。
【課題】 電動工具に用いられるスピンドルロック機構において、電動モータ側からの動力を正常に伝達させることを目的とする。また、該スピンドルロック機構内に設けられたリング体の寿命を延ばし耐久性に優れた電動工具を提供することを目的とするものである。
【解決手段】 上記課題は、電源部からのトルク伝達および先端工具側からのトルクを遮断することを目的としたスピンドルロック機構を有する電動工具において、スピンドルロック機構内に設けられたニードルローラを球状のスチールボールとしたことに達成される。
また、スピンドルロック機構内に設けられたリング体内周面を曲面形状としたことにより達成される。
【解決手段】 上記課題は、電源部からのトルク伝達および先端工具側からのトルクを遮断することを目的としたスピンドルロック機構を有する電動工具において、スピンドルロック機構内に設けられたニードルローラを球状のスチールボールとしたことに達成される。
また、スピンドルロック機構内に設けられたリング体内周面を曲面形状としたことにより達成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、電気モータからのトルクを先端工具へ伝達、およびチャックなどの先端工具の取り外しの際に加わるトルクについてはスピンドルロック機構内に設けられたロック機構によりトルクを遮断する機能を有する電動工具に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
従来の一般的なスピンドルロック機構について説明する。電気モータ１など電源部より供給される動力は、ハウジング２内に配設された歯車などの動力伝達機構部３を介し（動力伝達機構部の詳細説明は省略）、該動力伝達機構部３内に設けられたキャリア４に伝達される。該キャリア４の中心にはスピンドル５軸端面と結合する穴６が設けてあり、スピンドル５軸先端部にはチャックなどの先端工具が取り付けられる。
【０００３】
通常電気モータ１から供給される動力は、動力伝達機構部３を介し、キャリア４を同期回転させることにより、キャリア４に突設されたピン７およびニードルローラ８を回転させる。このとき、キャリア４の穴６に結合されたスピンドル５も同期回転させることにより、チャックなどの先端工具へ動力を伝達させる。また、チャックなどの先端工具を取り外す際に発生する先端工具側からのトルクについては、スピンドル５とキャリア４の穴６を介し、伝達される。このとき、該穴６とキャリア４に圧入されたピン７はニードルローラ８をロックリング９内径の内接円方向に押し広げ、ニードルローラ８とロックリング９内径に摩擦力が発生し、この摩擦力により電気モータ１側への回転トルク伝達を遮断する。
【０００４】
【特許文献１】特公平６−５３３５０号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
通常、スピンドルロック機構内に設けられたニードルローラ８は、様々な径の違いや使用する本数の違いはあるが、一般的に円柱形状を用いる。しかし円柱形状であるために、電気モータ１側からのトルク伝達の際、ニードルローラ８が斜倒するなどの問題があり、該ニードルローラ８の斜倒により、電気モータ１側からのトルク伝達を正常に行えないなどの不具合があった。
【０００６】
本発明は、上記問題を解消し、ニードルローラをスチールボールなどの球体にすることで電気モータ側からの動力を正常に伝達させることを目的とするものである。
【０００７】
また、該スピンドルロック機構内に設けられたリング体の寿命を延ばし耐久性に優れた電動工具を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
本発明は上記課題を解決するために、電源部からのトルク伝達および先端工具側からのトルクを遮断することを目的としたスピンドルロック機構を有する電動工具において、スピンドルロック機構内に設けられたニードルローラを球状のスチールボールとしたことを特徴とする。
【０００９】
また、スピンドルロック機構内に設けられたリング体内周面を曲面形状としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【００１０】
請求項１記載の発明によれば、スピンドルロック機構内に設けられたニードルローラをスチールボールなどの球体にすることで、電気モータ側からのトルクを正常に先端工具側へ伝達することができる。
【００１１】
請求項２記載の発明によれば、リング体内周面をスチールボールと同様に球面形状にすることで、リング体内周面とスチールボールとの間に発生する面圧を緩和することができリング体の寿命を延ばすことが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１２】
本発明の実施形態を図１〜図５にて説明する。
【００１３】
チャックなどの先端工具までの動力伝達経路については従来技術の項目で説明した通りである。ここで電気モータ１などの電源部より供給される動力は図１に示すように、キャリア４およびキャリア４軸方向に突設されたピン７およびニードルローラ８を回転させる。
【００１４】
回転の際、ピン７はピン７近傍のスチールボール１０およびキャリア４の穴６と同期回転を行ない、該穴６と結合されたスピンドル５を回転させ、動力をチャックなどの先端工具へ伝達する。またチャックなどの先端工具の取り外しの際に発生するトルクについては、ピン７がピン７近傍のスチールボール１０をロックリング９内接円方向に押し広げ、スチールボール１０とロックリング９内径間に作用する摩擦力により電気モータ１側へのトルク伝達を遮断する。
【００１５】
本発明によれば、図３に示すようにスチールボール１０などの球体を使用したことで、スチールボール１０とロックリング５内径部の摺動性が向上し、かつ従来技術の項目であげたニードルローラ８の斜倒による電気モータ１側からのトルク伝達不具合についても問題ないため、電気モータ１側からの動力を正常に伝達することができる。
【００１６】
また、図５に示すように、ロックリング５内径部形状をスチールボール１０と同様に曲面形状にすることにより、ロックリング５内径部とスチールボール１０との間に発生する面圧を緩和することが可能となり、ロックリング５の寿命が大きく向上し効果的である。
【図面の簡単な説明】
【００１７】
【図１】本発明の実施形態に係る電動工具の全体断面図
【図２】本発明の実施形態に係るスピンドルロック機構を示した平面図
【図３】従来技術を示す断面図
【図４】本発明の実施形態に係るスピンドルロック機構を示した断面図
【図５】本発明の実施形態に係るスピンドルロック機構を示した断面図
【符号の説明】
【００１８】
電気モータ1、ハウジング2、動力伝達機構部3、キャリア4、スピンドル5、穴6、ピン7、ニードルローラ8、ロックリング9、スチールボール10である。
【技術分野】
【０００１】
本発明は、電気モータからのトルクを先端工具へ伝達、およびチャックなどの先端工具の取り外しの際に加わるトルクについてはスピンドルロック機構内に設けられたロック機構によりトルクを遮断する機能を有する電動工具に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
従来の一般的なスピンドルロック機構について説明する。電気モータ１など電源部より供給される動力は、ハウジング２内に配設された歯車などの動力伝達機構部３を介し（動力伝達機構部の詳細説明は省略）、該動力伝達機構部３内に設けられたキャリア４に伝達される。該キャリア４の中心にはスピンドル５軸端面と結合する穴６が設けてあり、スピンドル５軸先端部にはチャックなどの先端工具が取り付けられる。
【０００３】
通常電気モータ１から供給される動力は、動力伝達機構部３を介し、キャリア４を同期回転させることにより、キャリア４に突設されたピン７およびニードルローラ８を回転させる。このとき、キャリア４の穴６に結合されたスピンドル５も同期回転させることにより、チャックなどの先端工具へ動力を伝達させる。また、チャックなどの先端工具を取り外す際に発生する先端工具側からのトルクについては、スピンドル５とキャリア４の穴６を介し、伝達される。このとき、該穴６とキャリア４に圧入されたピン７はニードルローラ８をロックリング９内径の内接円方向に押し広げ、ニードルローラ８とロックリング９内径に摩擦力が発生し、この摩擦力により電気モータ１側への回転トルク伝達を遮断する。
【０００４】
【特許文献１】特公平６−５３３５０号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
通常、スピンドルロック機構内に設けられたニードルローラ８は、様々な径の違いや使用する本数の違いはあるが、一般的に円柱形状を用いる。しかし円柱形状であるために、電気モータ１側からのトルク伝達の際、ニードルローラ８が斜倒するなどの問題があり、該ニードルローラ８の斜倒により、電気モータ１側からのトルク伝達を正常に行えないなどの不具合があった。
【０００６】
本発明は、上記問題を解消し、ニードルローラをスチールボールなどの球体にすることで電気モータ側からの動力を正常に伝達させることを目的とするものである。
【０００７】
また、該スピンドルロック機構内に設けられたリング体の寿命を延ばし耐久性に優れた電動工具を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
本発明は上記課題を解決するために、電源部からのトルク伝達および先端工具側からのトルクを遮断することを目的としたスピンドルロック機構を有する電動工具において、スピンドルロック機構内に設けられたニードルローラを球状のスチールボールとしたことを特徴とする。
【０００９】
また、スピンドルロック機構内に設けられたリング体内周面を曲面形状としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【００１０】
請求項１記載の発明によれば、スピンドルロック機構内に設けられたニードルローラをスチールボールなどの球体にすることで、電気モータ側からのトルクを正常に先端工具側へ伝達することができる。
【００１１】
請求項２記載の発明によれば、リング体内周面をスチールボールと同様に球面形状にすることで、リング体内周面とスチールボールとの間に発生する面圧を緩和することができリング体の寿命を延ばすことが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１２】
本発明の実施形態を図１〜図５にて説明する。
【００１３】
チャックなどの先端工具までの動力伝達経路については従来技術の項目で説明した通りである。ここで電気モータ１などの電源部より供給される動力は図１に示すように、キャリア４およびキャリア４軸方向に突設されたピン７およびニードルローラ８を回転させる。
【００１４】
回転の際、ピン７はピン７近傍のスチールボール１０およびキャリア４の穴６と同期回転を行ない、該穴６と結合されたスピンドル５を回転させ、動力をチャックなどの先端工具へ伝達する。またチャックなどの先端工具の取り外しの際に発生するトルクについては、ピン７がピン７近傍のスチールボール１０をロックリング９内接円方向に押し広げ、スチールボール１０とロックリング９内径間に作用する摩擦力により電気モータ１側へのトルク伝達を遮断する。
【００１５】
本発明によれば、図３に示すようにスチールボール１０などの球体を使用したことで、スチールボール１０とロックリング５内径部の摺動性が向上し、かつ従来技術の項目であげたニードルローラ８の斜倒による電気モータ１側からのトルク伝達不具合についても問題ないため、電気モータ１側からの動力を正常に伝達することができる。
【００１６】
また、図５に示すように、ロックリング５内径部形状をスチールボール１０と同様に曲面形状にすることにより、ロックリング５内径部とスチールボール１０との間に発生する面圧を緩和することが可能となり、ロックリング５の寿命が大きく向上し効果的である。
【図面の簡単な説明】
【００１７】
【図１】本発明の実施形態に係る電動工具の全体断面図
【図２】本発明の実施形態に係るスピンドルロック機構を示した平面図
【図３】従来技術を示す断面図
【図４】本発明の実施形態に係るスピンドルロック機構を示した断面図
【図５】本発明の実施形態に係るスピンドルロック機構を示した断面図
【符号の説明】
【００１８】
電気モータ1、ハウジング2、動力伝達機構部3、キャリア4、スピンドル5、穴6、ピン7、ニードルローラ8、ロックリング9、スチールボール10である。
【特許請求の範囲】
【請求項１】
電源部からのトルク伝達および先端工具側からのトルクを遮断することを目的としたスピンドルロック機構を有する電動工具において、該スピンドルロック機構内に設けられたニードルローラを球状のスチールボールとしたことを特徴とする電動工具。
【請求項２】
該スピンドルロック機構内に設けられたリング体内周面を曲面形状としたことを特徴とする請求項１記載の電動工具。
【請求項１】
電源部からのトルク伝達および先端工具側からのトルクを遮断することを目的としたスピンドルロック機構を有する電動工具において、該スピンドルロック機構内に設けられたニードルローラを球状のスチールボールとしたことを特徴とする電動工具。
【請求項２】
該スピンドルロック機構内に設けられたリング体内周面を曲面形状としたことを特徴とする請求項１記載の電動工具。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【公開番号】特開２００９−１８４０３８（Ｐ２００９−１８４０３８Ａ）
【公開日】平成２１年８月２０日（２００９．８．２０）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００８−２４４５４（Ｐ２００８−２４４５４）
【出願日】平成２０年２月４日（２００８．２．４）
【出願人】（０００００５０９４）日立工機株式会社 (1,861)
【公開日】平成２１年８月２０日（２００９．８．２０）
【国際特許分類】
【出願日】平成２０年２月４日（２００８．２．４）
【出願人】（０００００５０９４）日立工機株式会社 (1,861)
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