説明

電動工具

【課題】作業者が容易に先端工具を被穿孔材に対し垂直状態に近づけることができ、垂直な孔を穿孔することができる電動工具を提供する。
【解決手段】穿孔工具1は、ハウジングと、ハウジングに設けられ、ハウジングの所定の姿勢を基準として所定の姿勢からのハウジングの傾きを検知する傾きセンサ16と、ハウジングに設けられた点滅可能に構成されたLED23と、傾きセンサ16により検知された傾きの角度に応じてLED23の点滅速度を変化させる制御部14とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動工具に関し、特に先端工具により被穿孔材を穿孔する電動工具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からドリルビットを回転させると共にドリルビットに打撃力を加えて被穿孔材を穿孔するハンマドリル等の電動工具が知られている。そして、当該ハンマドリルでは、穿孔時にドリルビットを被穿孔材に当てて、作業者がドリルビットが被穿孔材に対し垂直となったと判断した後に、トリガをオンにして穿孔作業を行っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来のハンマドリルでは、作業者の感覚に基づいてドリルビットが被穿孔材に対し垂直となったか否かが判断されるため、実際には垂直となっていない状態で穿孔作業が行われることがあり、孔が傾くという問題が生じていた。
【0004】
本発明は、作業者が容易に先端工具を被穿孔材に対し垂直状態に近づけることができ、垂直な孔を穿孔することができる電動工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明に係る電動工具は、ハウジングと、該ハウジングに設けられ、該ハウジングの所定の姿勢を基準として該所定の姿勢からの該ハウジングの傾きを検知する傾きセンサと、該ハウジングに設けられた点滅可能に構成された発光部と、該傾きセンサにより検知された傾きの角度に応じて該発光部の点滅速度を変化させる制御部とを備える電動工具を提供している。
【0006】
ここで、該発光部は、複数の色を発光可能であり、該制御部は、各該複数の色を、該ハウジングの傾きを複数の角度領域に分けたうちの1つ領域に対応させて該発光部を発光させ、該複数の角度領域のうちの所定の角度領域において該角度に応じて該発光部の点滅速度を変化させることが好ましい。
【0007】
更に、該発光部は、点灯又は点滅可能に構成され、該制御部は、該所定の角度領域において、該ハウジングが該所定の姿勢に近づくにつれて、該発光部を点滅状態から点灯状態に切替えることが好ましい。
【0008】
また、該制御部は、該ハウジングが該所定の姿勢に近づくにつれて該発光部の点滅速度を増加させることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、作業者が容易に先端工具を被穿孔材に対し垂直状態に近づけることができ、垂直な孔を穿孔することができる電動工具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態における穿孔工具の断面図。
【図2】本発明の実施の形態による穿孔工具の制御回路部、インバータ回路部、及びモータ等を示す回路図。
【図3】本発明の実施の形態による穿孔工具における傾き検知プログラムを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明による電動工具の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図1に示す電動工具の一例である穿孔工具1は、図示せぬ被穿孔材を穿孔するロータリーハンマドリルであり、ハンドル部10と、モータハウジング20と、ギヤハウジング60とによりハウジングが構成されている。以下においては、図1における右側(工具保持部17の先端側)を穿孔工具1の前端側として前後方向を定義し、前後方向と直交する方向であってハンドル部10がモータハウジング20から延出される方向を下側として上下方向を定義して説明する。
【0012】
ハンドル部10は、プラスチックで一体成型されて略U字状をなしている。ハンドル部10の上部には、後述のモータ21を収容しているモータ収容部20Aが規定され、モータハウジング20の一部をなしている。ハンドル部10の後部10A下部には、電源ケーブル11が取付けられていると共に、後述のモータ21等に接続されるスイッチ機構12が内蔵されている。スイッチ機構12には、作業者によって操作可能なトリガ13が機械的に接続されている。トリガ13を操作することにより、インバータ回路部101(図2)への電源供給又は停止が切り替えられる。また、ハンドル部10の後部10Aであってトリガ13の下の部分は、後部10Aを穿孔工具1のユーザが把持したときに、中指と薬指によって把持される部分たる把持部10Cをなす。
【0013】
ハンドル部10の前部10Bには、制御部14が配置されている。また、ハンドル部10の前部10Bにおいて、その上部には開口10dが形成されている。そして、前部10Bの上部には、開口10dから図示せぬ被穿孔材に対し光を照射するためのLED15が配置されている。また、LED15の上側には、傾きセンサ16が配置されている。
【0014】
傾きセンサ16は、静電容量検出式の三軸加速度センサからなり、工具保持部17に装着された図示せぬ先端工具を地面に当てて鉛直(垂直)に指向させた穿孔工具1の状態を0°として位置決めし、この垂直位置からの穿孔工具1の傾きを検出可能に構成されている。なお、工具保持部17に装着された図示せぬ先端工具を地面に当てて鉛直(垂直)に指向させた穿孔工具1の状態は、ハウジングの所定の姿勢に相当し、傾きセンサ16は、当該所定の姿勢からのハウジングの傾きを検知する。当該垂直位置は工場出荷時に設定されている。図2に示すように、傾きセンサ16は、制御部14に電気的に接続されており、検知した角度を制御部14へ送る。
【0015】
モータハウジング20には、その外表面であって上方位置に傾きセンサ16により検知された角度を表示する発光部であるLED23が設けられ、その内部にモータ21が収納されている。LED23は、青色、緑色、及び赤色を発光可能で有り、点灯又は点滅可能に構成されている。制御部14は、穿孔工具1の傾きを複数の角度領域に分けて、LED23に発光させる色、及び点灯又は点滅を制御する。例えば、制御部14は、傾きセンサ16により検出された角度θが、0°≦θ≦3°にあるときは青色をLED23に点灯させ、3°<θ≦6°にあるときは緑色をLED23に点灯させ、6°<θ≦10°にあるときは緑色をLED23に点滅させ、10°<θにあるときは赤色をLED23に点灯させる。また、モータハウジング20のLED23の後ろ側には、図示せぬ垂直検知機能オン・オフボタンを有するコントロールパネル24が設けられている。垂直検知機能オン・オフボタンのオン・オフ操作により、傾きセンサ16及びLED23のオン・オフを切替可能である。
【0016】
図1に示されるモータ21は三相直流ブラシレスモータにより構成されており、制御部14により回転の制御が行われる。モータ21は前端側へ延出されて前後方向を軸方向とする出力軸22を備えており出力軸22は回転駆動力を出力する。出力軸22の基部には軸流ファン22Aが出力軸22と同軸的に一体回転可能に設けられている。
【0017】
ギヤハウジング60は樹脂成型されて構成されており、モータハウジング20の前端側に設けられている。ギヤハウジング60内には、第一中間シャフト61が、出力軸22を延ばすように同軸的に配置され、軸受63により回転可能に支承されている。第一中間シャフト61の後端は出力軸22と連結している。第一中間シャフト61の先端には第四ギヤ61Aが設けられている。また、ギヤハウジング60内には、出力軸22と平行に第二中間シャフト72が、軸受72Bによってその軸心を中心に回転可能に支承されている。
【0018】
第二中間シャフト72の後端部には、第四ギヤ61Aと噛合する第五ギヤ71が同軸固定されている。第二中間シャフト72の前端側にはギヤ部72Aが形成され、後述する第六ギヤ73と噛合している。ギヤハウジング60内であって第二中間シャフト72の上方の位置には、シリンダ74が設けられている。シリンダ74は第二中間シャフト72と平行に延びて回転可能に支承されている。第六ギヤ73はシリンダ74の外周に固定され、上述したギヤ部72Aとの噛合により、シリンダ74はその軸心を中心として回転可能である。
【0019】
シリンダ74の前端側には工具保持部17が設けられており、図示せぬ先端工具が着脱自在に取付けられる。第二中間シャフト72の中間部分には、バネによって後端側へ付勢されるクラッチ76がスプライン係合されており、クラッチ76は、ギヤハウジング60に設けられた図示せぬチェンジレバによってハンマドリル・モードとドリルモードとを切換え可能である。クラッチ76のモータ21側には、回転運動を往復運動に変換する運動変換部80が第二中間シャフト72に回転可能に外装されている。運動変換部80の腕部80Aは、第二中間シャフト72の回転により穿孔工具1の前後方向に往復動作可能に設けられている。
【0020】
シリンダ74内にはピストン82が設けられている。ピストン82は、第二中間シャフト72と平行な方向に往復運動可能且つシリンダ74内で摺動可能に装着されている。ピストン82内には打撃子83が内装されており、シリンダ74内であってピストン82と打撃子83の間には空気室84が画成される。打撃子83の空気室側の反対位置には、中間子85がシリンダ74内にピストン82の運動方向に摺動可能に支承されている。中間子85の打撃子側反対位置には、図示せぬ先端工具が工具保持部17に取り付け可能である。よって打撃子83は中間子85を介して図示せぬ先端工具を打撃可能である。
【0021】
クラッチ76がハンマドリル・モードに切換えられているときには、クラッチ76により第二中間シャフト72と運動変換部80とが結合している。運動変換部80は、ピストンピン81を介して、シリンダ74内に設けられたピストン82と連動するように接続されるように構成されている。
【0022】
次に、図2を用いて、演算部(マイコン)である制御部14を含む制御回路部と、インバータ回路部101及びモータ21の回路構成について説明する。モータ21はインナーロータ型で、一対のN極およびS極を含む永久磁石(マグネット)を埋め込んで構成された回転子(マグネットロータ)21Aと、回転子21Aの回転位置を検出するために60°毎に配置された3つの回転位置検出素子(ホールIC)21Cと、回転位置検出素子21Cからの位置検出信号に基づいて電気角120°の電流の通電区間に制御される固定子21Bとから構成される。
【0023】
インバータ回路部101は、3相ブリッジ形式に接続された6個のFET(以下、「トランジスタ」という。)Q1〜Q6から構成される。ブリッジ接続された6個のトランジスタQ1〜Q6の各ゲートは制御信号出力回路117に接続されている。これによって、6個のトランジスタQ1〜Q6は、制御信号出力回路117から入力されたスイッチング素子駆動信号によってスイッチング動作を行い、インバータ回路部101に印加される電源の直流電圧をモータ21の固定子21Bへ供給する。
【0024】
制御回路部は、電流検出回路112と、印加電圧設定回路113と、回転方向設定回路114と、回転子位置検出回路115と、回転子角度検出回路116と、制御信号出力回路117と、を備え、各回路は制御部14に電気的に接続されている。制御部14は、図示されていないが、処理プログラムとデータに基づいて駆動信号を出力するためのCPU、後述する図3のフローチャートに相当する傾き検知プログラムや制御データを記憶するためのROM、データを一時記憶するためのRAM、タイマ等を含むマイコンによって構成される。
【0025】
電流検出回路112はモータ21に流れている電流を検出するための回路であり、検出電流は制御部14に入力される。印加電圧設定回路113は、トリガ13の押込み量に応答してモータ21の印加電圧、すなわちPWM信号のデューティ比を設定するための回路である。回転方向設定回路114は、モータ21の正逆切替レバー114Aによる正方向回転または逆方向回転の操作を検出してモータ21の回転方向を設定するための回路である。
【0026】
回転子位置検出回路115は、3つの回転位置検出素子21Cの出力信号に基づいて回転子21Aと固定子21Bとの関係位置を検出するための回路である。回転子角度検出回路116は、単位時間内にカウントされる回転子位置検出回路115からの検出信号の数に基づいてモータ21の回転子21Aの回転角度を検出する回路である。
【0027】
制御信号出力回路117は、制御部14からの出力に基づいてトランジスタQ1〜Q6にPWM信号を供給する。PWM信号のパルス幅の制御によって各電機子巻線へ供給する電力を調整して設定した回転方向へのモータ21の回転数を制御することができる。
【0028】
次に、本実施形態に係る穿孔工具1の動作について説明する。穿孔工具1では、電源ケーブル11が図示せぬ電源につながれ制御部14に電源供給されている状態において、制御部14により、図3のフローチャートに示される傾き検知プログラムが実行される。この傾き検知プログラムでは、制御部14は、まず垂直検知機能オン・オフボタンがオンであるか否か判断する(S1)。垂直検知機能オン・オフボタンがオンである場合は(S1:YES)、傾きセンサ16がオン状態にあるので、制御部14は、傾きセンサ16から穿孔工具1の傾き角度θを取得する(S2)。
【0029】
次に、制御部14は、取得した傾き角度θが0°≦θ≦3°であるときは(S3:YES)、LED23に青色を点灯させる(S4)。取得した傾き角度θが、0°≦θ≦3°でないときは(S3:NO)、制御部14は、傾き角度θが3°<θ≦6°であるか否か判断する(S5)。傾き角度θが、3°<θ≦6°であるときは(S5:YES)、制御部14は、LED23に緑色を点灯させる(S6)。
【0030】
取得した傾き角度θが、3°<θ≦6°でないときは(S5:NO)、制御部14は、傾き角度θが6°<θ≦8°であるか否か判断する(S7)。傾き角度θが、6°<θ≦8°であるときは(S7:YES)、制御部14は、LED23に緑色を点滅させる(S8)。このとき、LED23の点滅速度(点滅周期)は、0.2sec点灯及び0.2sec消灯を繰り返す速度である。
【0031】
また、取得した傾き角度θが、6°<θ≦8°でないときは(S7:NO)、制御部14は、傾き角度θが8°<θ≦10°であるか否か判断する(S9)。傾き角度θが8°<θ≦10°であるときは(S9:YES)、制御部14は、LED23に緑色を点滅させる(S10)。このとき、LED23の点滅速度(点滅周期)は、0.5sec点灯及び0.5sec消灯を繰り返す速度である。
【0032】
また、取得した傾き角度θが、8°<θ≦10°でないときは(S9:NO)、制御部14は、LED23に赤色を点灯させる(S11)。そして、S4、S6、S8、S10、S11においてLED23を点灯又は点滅させてから、制御部14は、トリガ13がオンされたか否か判断する(S12)。トリガ13がオンされた場合(S12:YES)、制御部14は、LED23の点灯又は点滅、傾きセンサ16をオフにし(S13)、モータ21を回転させ(S14)、穿孔動作を行う。穿孔動作により振動が発生し、傾きセンサ16による傾き検知が良好に行えなくなるので、LED23の点灯又は点滅、傾きセンサ16をオフにしている。上記の所定時間経過後、トリガ13がオンされない場合は(S12:NO)、S1に戻り、S1からの処理を繰り返す。LED23に緑色が点灯(S6)若しくは点滅(S8、S10)、又は赤色が点灯(S11)されている状態では、図示せぬ先端工具が被穿孔材に対し垂直に近い状態ではない。よって、作業者は穿孔工具1の姿勢を補正するため、トリガ13をオンせず、S1からの処理が繰り返されることになる。
【0033】
そして、再びS1からの処理を行なって、作業者が穿孔工具1の傾きを補正して穿孔工具1の傾きが前回の検知した傾き角度よりも0°(所定の姿勢)に近づいた場合、例えば、傾き角度θが10°から7°になった場合は、LED23の点滅速度が増加し、更に、傾き角度θが7°から4°になった場合は、LED23が点滅状態から点灯状態に切り替わる。また、傾き角度θが5°から1°になった場合は、LED23の点灯している色が緑色から青色に切り替わる。
【0034】
一方、モータ21を回転させて(S14)、穿孔動作を行なった後、制御部14は、トリガ13がオフされたか否かを判断する(S15)。トリガ13がオフにされた場合は(S15:YES)、制御部14は、モータ21の回転を停止し(S16)、穿孔動作を終了させ、LED23及び傾きセンサ16をオンにして(S17)、S1に戻る。一方、トリガ13がオフされない場合は(S15:NO)、制御部14は穿孔動作を続行する。
【0035】
また、垂直検知機能オン・オフボタンがオフである場合は(S1:NO)、LED23及び傾きセンサ16はオフ状態にあるので、制御部14は、傾き検知を行なわず、トリガ13がオンされたか否か判断する(S18)。トリガ13がオンされた場合(S18:YES)、制御部14は、モータ21を回転させ(S19)、穿孔動作を行なう。トリガ13がオンさない場合(S18:NO)、S1に戻る。モータ21を回転させて、穿孔動作を行なった後(S19)、制御部14は、トリガ13がオフされたか否かを判断する(S20)。トリガ13がオフにされた場合は(S20:YES)、制御部14は、モータ21の回転を停止させて(S21)、穿孔動作を終了し、S1に戻る。一方、トリガ13がオフされない場合は(S20:NO)、制御部14は穿孔動作を続行する。
【0036】
そして、穿孔動作においては、モータ21の回転駆動により、モータ21の回転出力が第一中間シャフト61、第四ギヤ61A、及び第五ギヤ71を介して第二中間シャフト72に伝わる。第二中間シャフト72の回転は、ギヤ部72Aと第六ギヤ73との噛合によりシリンダ74に伝わり、穿孔ビット2に回転力が伝えられる。クラッチ76をハンマドリル・モードに移動させると、クラッチ76が運動変換部80と結合し、第二中間シャフト72の回転駆動力が運動変換部80に伝わる。運動変換部80では回転駆動力がピストンピン81を介してピストン82の往復運動に変換される。ピストン82の往復運動により打撃子83とピストン82との間に画成された空気室84中の空気の圧力は上昇及び低下を繰り返し、打撃子83に打撃力を付与する。打撃子83が前進して中間子85の後端面に衝突し、中間子85を介して打撃力が図示せぬ先端工具に伝達される。このようにしてハンマドリル・モードでは図示せぬ先端工具に回転力と打撃力が同時に付与される。
【0037】
クラッチ76がドリルモードにあるときは、クラッチ76は第二中間シャフト72と運動変換部80との接続を断ち、第二中間シャフト72の回転駆動力のみがギヤ部72A、第六ギヤ73を介してシリンダ74に伝達される。よって、図示せぬ先端工具には回転力のみが付与される
【0038】
以上のように、本実施の形態における穿孔工具1では、作業者により穿孔工具1の傾きが10°から7°に補正されると、LED23の緑色点滅の速度が増加する。即ち、穿孔工具1の傾きに応じて、LED23の点滅速度が変化する。よって、作業者は、LED23の点滅速度の変化に基づき、穿孔工具1が0°(所定の姿勢)に近づいているのを認識することができ、容易に穿孔工具1を所定の姿勢への補正をすることができる。従って、図示せぬ先端工具を被穿孔材に対して垂直状態にすることができ、垂直な孔を穿孔することができる。
【0039】
また、制御部14は、穿孔工具1の傾きの角度領域毎に異なる色をLED23に発光させる。よって、作業者により穿孔工具1の傾きが15°から9°に補正されると、LED23は赤色点灯から緑色点滅に切り替わり、傾きが7°から2°に補正されると、LED23は緑色点灯から青色点滅に切り替わる。よって、作業者は、LED23の色の変化に基づき、穿孔工具1が0°(所定の姿勢)に近づいているのを認識することができ、容易に穿孔工具1を所定の姿勢への補正をすることができる。
【0040】
また、3°<θ≦10°の穿孔工具1の傾きの角度領域において、傾き角度が3°<θ≦6°であるときはLED23は緑色を点灯し、傾き角度が6°<θ≦10°であるときはLED23は緑色を点滅する。よって、作業者は、LED23の点滅状態から点灯状態への切り替わりに基づき、穿孔工具1が0°(所定の姿勢)に近づいているのを認識することができ、容易に穿孔工具1を所定の姿勢への補正をすることができる。
【0041】
また、センサ16による傾き検知に基づくLED23の制御は、ブラシレスモータであるモータ21を制御する制御部14により実行することができる。また、本実施の形態における穿孔工具1によれば、1つのLED23のみで、作業者に対し傾き角度を報知することができる。
【0042】
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されず、種々の変形及び応用が可能である。例えば、上記の実施形態では、穿孔工具1の傾き角度が0°に近づくにつれてLED23の点滅速度を増加させたが、近づくにつれて点滅速度を減少させても良い。かかる構成によっても、作業者は、LED23の点滅速度の変化に基づき、穿孔工具1が0°(所定の姿勢)に近づいているのを認識することができる。
【0043】
また、上記の実施形態において、傾きセンサ16は、静電容量検出式の三軸加速度センサであったが、ピエゾ抵抗方式若しくは熱検知方式の三軸加速度センサであっても良い。
【符号の説明】
【0044】
1 穿孔工具
10 ハンドル部
14 制御部
16 センサ
20 モータハウジング
23 LED
60 ギヤハウジング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
該ハウジングに設けられ、該ハウジングの所定の姿勢を基準として該所定の姿勢からの該ハウジングの傾きを検知する傾きセンサと、
該ハウジングに設けられた点滅可能に構成された発光部と、
該傾きセンサにより検知された傾きの角度に応じて該発光部の点滅速度を変化させる制御部と、を備えることを特徴とする電動工具。
【請求項2】
該発光部は、複数の色を発光可能であり、
該制御部は、各該複数の色を、該ハウジングの傾きを複数の角度領域に分けたうちの1つ領域に対応させて該発光部を発光させ、該複数の角度領域のうちの所定の角度領域において該角度に応じて該発光部の点滅速度を変化させることを特徴とする請求項1に記載の電動工具。
【請求項3】
該発光部は、点灯又は点滅可能に構成され、
該制御部は、該所定の角度領域において、該ハウジングが該所定の姿勢に近づくにつれて、該発光部を点滅状態から点灯状態に切替えることを特徴とする請求項2に記載の電動工具。
【請求項4】
該制御部は、該ハウジングが該所定の姿勢に近づくにつれて該発光部の点滅速度を増加させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電動工具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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