説明

電動建具

【課題】人の住環境に含まれる事情が考慮された騒音対策を可能とする電動建具を提供する。
【解決手段】建具本体(28)と、建具本体に開閉可能に保持される開閉部材(29)と、開閉部材を電動で駆動して開閉させる駆動手段(27)と、開閉部材の開閉を指示する操作キー(11)と、操作キーからの信号を受信して開閉部材の開閉速度を決定する演算をし、該演算結果に基づいて駆動手段を制御する情報処理手段(15)と、を備え、情報処理手段は、夜間の開閉部材の開閉速度を、日中の開閉速度よりも遅くする演算が可能であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動で開閉させることが可能な建具である電動建具に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の開口部に備えられるシャッター、窓、ロールスクリーン、オーニング等の建具は、開閉をすることにより、外気との連通及び遮断、又は遮光及び採光を選択することができるように構成されている。近年においては、各種分野において電動化が進み、建具についても電動で開閉させることができるものが増えてきている。特に環境負荷を考慮しつつ住宅内環境を自動的に制御し、環境と快適とを両立させるようなシステムを構築するに際して、電動化された建具(以下、「電動建具」と記載することがある。)の役割はさらに大きなものとなる。
【0003】
電動建具には、電動化するために開閉部材を開閉させる駆動用のモータと、該モータからの駆動力を開閉部材に伝達する機構(動力伝達機構)が備えられることが通常である。ところが、電動建具にはその作動に際して、電動建具に特有の騒音が発生するという問題があった。これには例えばモータの駆動音等を挙げることができる。このような騒音に対し、特許文献1には少しでも動作音が気にならないことを実現することを目的とした電動開閉装置(電動建具)が開示されている。これによれば、ブラインド等に関して上昇動作の定速度運転は下降動作の定速度運転よりも遅くなるように設定されている。また、利用者の入力により速度を上げて定速度で運転することができることも開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−272462号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1より前における電動建具では、いかなる場面においても決められた同じ速度で開閉がおこなわれており、上記したような騒音に対する対策がなされていなかった。また、特許文献1に開示された技術は、ブラインド等の上下動の動作の一方を遅くすることによりモータ出力を小さくして相対的に動作音を小さくするというものである。これにより、騒音対策として一定の効果は認められるが、電動建具が住生活空間を形成する一つの構成要素であり、その騒音対策も人の生活環境に含まれる各事情の観点から進められることが重要である。
【0006】
そこで本発明は、上記の点に鑑み、人の住環境に含まれる事情が考慮された騒音対策を可能とする電動建具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、本発明について説明する。ここでは分かり易さのため、図面に付した参照符号を括弧書きで併せて記載するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0008】
請求項1に記載の発明は、建具本体(28)と、建具本体に開閉可能に保持される開閉部材(29)と、開閉部材を電動で駆動して開閉させる駆動手段(27)と、開閉部材の開閉を指示する操作キー(11)と、操作キーからの信号を受信して開閉部材の開閉速度を決定する演算をし、該演算結果に基づいて駆動手段を制御する情報処理手段(15)と、を備え、情報処理手段は、夜間の開閉部材の開閉速度を、日中の開閉速度よりも遅くする演算が可能であることを特徴とする電動建具(1)である。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電動建具(1)において、夜間の開閉部材(29)における開閉の過程で、開閉部材の姿勢により該開閉部材の閉鎖速度が変更されることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の電動建具(1)において、情報処理手段(15)は、センサからの信号を受信し、該受信した信号に基づいて開閉部材(29)の開閉速度を通常よりも速くする演算をして、該演算結果に基づいて駆動手段(27)を制御することが可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、電動建具において騒音対策がされた高価なモータや高価な動力伝達機構を用いることなく、住環境に含まれる事情が考慮された騒音対策を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】1つの実施形態にかかる電動建具の外観を模式的に表した図である。
【図2】電動建具に含まれる構成を概念的に表したブロック図である。
【図3】電動建具の動作について説明する図である。
【図4】電動建具の制御方法の流れを表した図である。
【図5】過程S12を詳しく説明する流れを表した図である。
【図6】他の実施形態にかかる電動建具の動作について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の上記した作用及び利得は、次に説明する発明を実施するための形態から明らかにされる。以下、本発明を図面に示す実施形態に基づき説明する。ただし本発明はこれら実施形態に限定されるものではない。
【0014】
図1は1つの実施形態にかかる電動建具1の外観を模式的に示したものである。また、図2は電動建具1に含まれる構成を概念的に表したブロック図である。電動建具1は、入力手段10、情報処理手段15、及び建具25を備えている。以下各々について説明する。
図1からわかるように本実施形態では建具25としてシャッターを例に挙げているが、本発明は必ずしもシャッターであることに限定されず、窓、オーニング、引戸等の開閉部材が備えられる建具に適用することができる。
【0015】
入力手段10は、情報処理手段15に対して指令や情報を与える手段であり、本実施形態では操作キー11、防犯センサ12、及び降雨センサ13を備えている。
操作キー11は室内に配置され、利用者が入力可能な端末機器でありいわゆるタッチパネル等である。操作キー11には利用者が選択可能な各種のキーが存在し、利用者は自分の意思でキー操作をして電動建具1に希望の動作をさせる。このような操作キー11は公知のものを適用することができ、その形式は特に限定されるものではない。
防犯センサ12は、不審者を検知することができるセンサであり、その形式は特に限定されることはなく、公知のものを適用することができる。例えば、建物外の敷地内に設けられた2つのセンサ間を何者かが横切った際にその旨の信号を発信するセンサを挙げることができる。防犯センサ12は、不審者を検知し、その旨の信号を情報処理手段15に発信することができるように構成されている。
降雨センサ13は、降雨を検知することができるセンサであり、公知のものを適用することができる。降雨センサ13は、降雨を検知してその旨の信号を情報処理手段15に発信することができるように構成されている。信号の発信の可否を決める雨量は特に限定されることなく、適宜決めることができる。
【0016】
情報処理手段15は、受信手段16、中央演算子17、時刻取得手段18、記憶手段19、RAM20、及び送信手段21を有して構成されている。情報処理手段15は、入力手段10からの情報に基づいて予め定められた演算をして建具25が次に動作すべき内容を判断し、その結果を建具25に送信して建具25を制御する手段である。
受信手段16は、上記した入力手段10からの情報を情報処理手段15に適切に取り入れる機能を有する部材であり、入力手段10が接続される。いわゆる入力ポート、入力コネクタ等もこれに含まれる。
【0017】
中央演算子17はいわゆるCPUであり、開閉速度決定手段として機能する。また、中央演算子17は、その他にも情報処理手段15に含まれる各部材に接続されて、これらを制御することができるように構成されている。すなわち、中央演算子17は、記憶媒体として機能する記憶手段19に記憶された各種プログラムを実行し、これに基づいて後で説明する建具の具体的動作の内容を決定するために演算をおこなう。具体的にどのような動作を決定するかについては後で詳しく説明する。
【0018】
時刻取得手段18は、現在の時刻を取得して中央演算子17に時刻データを送信する手段である。
【0019】
記憶手段19は、建具が動作すべき内容を決定するための根拠となる各種プログラムやデータが保存される記憶媒体として機能する部材である。また記憶手段19には、プログラムの実行により得られた中間、最終の各種結果を保存することができてもよい。
【0020】
RAM20は、中央演算子17による演算の作業領域や一時的なデータの記憶手段として機能する部材である。RAM20は、SRAM、DRAM、フラッシュメモリ等で構成することができ、公知のRAMと同様である。
【0021】
送信手段21は、得られた結果のうち建具25に対して出力すべき情報を適切に出力する機能を有する部材であり、建具25がここに接続される。いわゆる出力ポート、出力コネクタ等もこれに含まれる。
【0022】
このような情報処理手段15を形成する具体的な態様の例としては、制御基板を挙げることができる。制御基板に備えられる受信手段及び送信手段を情報処理手段15の受信手段16及び送信手段21として用い、制御基板に備えられる記憶装置を記憶手段19として開閉速度決定のためのプログラム、及びその他建具の電動制御のためのプログラム等を記憶させておくことができる。そして開閉速度決定やその他の作動及び指令については、制御基板に備えられる中央演算子(CPU)が中央演算子17として機能し、記憶手段19に記憶された各種プログラムを実行することによりおこなわれる。
【0023】
建具25は、建物の開口部に備えられる建具であり、これには例えば窓、シャッター、オーニング、引戸、オーバードア、及び日除け等、伸縮や開閉をする部位を有する建具である。ここでは便宜のため「伸縮や開閉」を単に「開閉」と記載する。本実施形態ではその中でシャッターを例示している。
建具25は、受信手段26、駆動モータ27、建具本体28及び開閉部材29を備えている。
【0024】
受信手段26は、情報処理手段15からの指令を含む信号を建具25に適切に取り入れる機能を有する構成部材であり、情報処理手段15の送信手段21が接続される。いわゆる入力ポート、入力コネクタ等もこれに含まれる。
【0025】
駆動モータ27は、建具25を構成する部材のうち、本発明において開閉制御の対象となる開閉部材29を駆動し、開閉させる部材である。駆動モータ27の種類は特に限定されることはなく公知のもの適用することができる。また、駆動モータ27には該駆動モータ27からの動力を開閉部材29に伝達する動力伝達機構が具備されている。
騒音防止の観点から騒音対策がなされた駆動モータを用いることを妨げるものではないが、本発明では後述するように開閉部材29の開閉速度を生活における場面により適切に制御することにより、できるだけ発生する音が騒音として認識されないように制御しているので、必ずしも騒音対策がなされた駆動モータ及び騒音対策がなされた動力伝達機構を適用する必要はない。
【0026】
建具本体28は建具が取りつけられる建物等に固定され、建具25自体を建物に保持するとともに、開閉部材29を開閉可能に建具25に保持する構造用の部材である。
【0027】
開閉部材29は、建具本体28に開閉可能に保持され、電動建具1において制御の対象となる開閉部材である。従って建具の種類によってその構造は異なる。例えば本例のように建具がシャッターであれば、図1のようにシャッターカーテンが開閉部材となる。また、建具が引戸であれば可動戸体が開閉部材となる。
【0028】
次に電動建具1の動作について説明する。図3に説明のための図を示した。図3は電動建具1において開閉部材29が全開している姿勢から全閉した姿勢となるまでの閉鎖速度を概念的に表したグラフである。横軸は全開から全閉までの過程における開閉部材29の位置(姿勢)を示し、縦軸はその位置における閉鎖速度を表している。
【0029】
本実施形態の電動建具1は、自動的に又は利用者のキー操作により、住環境における生活に含まれる場面に対応した4つの種類(モード)の開閉部材29の閉鎖速度で制御可能である。すなわち、図3からわかるように通常モード、夜間モード、雨避けモード、及び防犯モードである。
通常モードは特に昼間における開閉部材29の開閉を想定しており、特に考慮すべき事項がない通常の開閉の際に適用されるモードである。
夜間モードは夜間や早朝に開閉部材29を開閉することを想定しており、騒音発生の防止を第一として通常モードよりも遅い速度で開閉部材29が開閉される。従って騒音が防止されている。
雨避けモードは急な降雨、特に豪雨や雷雨等、激しい雨が突然に降り始めた場合を想定しており、速く開閉部材29を閉鎖することを第一として通常モードよりも速い速度で開閉部材29が閉鎖される。なお、雨避けモードでは、開閉部材29の速い開放は必要がないので、閉鎖のみを対象としている。
防犯モードは不審者が敷地内に入ったときに、建物内に不審者を侵入させないことを想定しており、可能な限り速い速度で開閉部材29が閉鎖される。なお防犯モードも、開閉部材29の速い開放は必要がないので、閉鎖のみを対象としている。
【0030】
このような開閉速度の変更は、駆動モータに加える電力を変更することで行うことができる。駆動モータによる速度制御方法は特に限定されるものではなく、公知の方法でよい。また、本実施形態では各モードにおける開閉部材29の開閉速度は一定速度である。ただし、後述する他の実施形態のように1つのモードの中で開閉過程で開閉部材29の開閉速度を変更してもよい。詳しくは後で説明する。
【0031】
以上のように構成される電動建具1によれば、必ずしも騒音対策がされた高価な駆動モータや高価な動力伝達機構を用いることなく、人の住環境に含まれる事情が考慮された騒音対策を実現することができる。
【0032】
次に、電動建具を制御する方法の1つの例として、電動建具1を用いて、建具25の開閉部材29の開閉を制御する方法S10(以下、「電動建具の制御方法S10」と記載することがある。)について説明する。ここではわかりやすさのため電動建具1を用いた例を説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、以下の趣旨を含む方法を可能とするものであれば他の電動建具によって制御されてもよい。
図4には、電動建具の制御方法S10の流れを示した。図4からわかるように、電動建具の制御方法S10は過程S11〜過程S16を有している。
【0033】
過程S11は、操作キー11からの入力や防犯センサ12、降雨センサ13等のセンサからの入力を待つ過程である。過程S11で入力があり「Y」が選択されると過程S12へ進む。一方、過程S11で入力がなければ「N」が選択され過程S16において現状が維持され、再び入力待ち(過程S11)となる。
【0034】
過程S12は、過程S11からの入力内容に基づいて情報処理手段15により、この入力内容を許容するか否か、及び許容する場合にはどのような指令を建具に送信するかを演算する過程である。演算は情報処理手段15の記憶手段19に記憶されたプログラムに基づいて行われる。過程S12の詳細は後で説明する。過程S12で許容されると「Y」が選択されて過程S13に進み、建具25への指令が行われる。一方、過程S12で許容されないと「N」が選択されて過程S16において現状が維持され、再び入力待ち(過程S11)となる。
【0035】
過程S13は、過程S12の判断の結果を受けて建具25に動作の指令を送信する。過程S14では過程S13から送信された信号を受けて実際に建具が作動し、その動作が完了する(過程S15)。過程S15で動作が完了した後は再び過程S11に戻り、入力待ちの状態となる。
【0036】
図5には過程S12を詳しく説明した流れを示した。すなわち入力信号を受けた情報処理手段15が該入力信号に基づく建具の動作の許容・禁止を判断し、許容する場合にはどのような速度で開閉すべきかを判断する流れである。過程S12は図5からわかるように過程S101〜過程S110を有している。
【0037】
過程S101は、過程S11からの入力信号を受けた後、最初に判断する過程であり、操作キー11や防犯センサ12からの信号に基づいて既に防犯モードで開閉部材29の閉鎖が行われている状態であるかを判断する。性質上、過程S12では最初に防犯に関する判断をおこなうものとした。過程S101で防犯作動済みであると判断され「Y」が選択されると、過程S12は「N」と判断し過程S16へと進む。一方、過程S101で防犯作動済みでないと判断され、「N」が選択され過程S102に進む。
【0038】
過程S102は、過程S11における入力が防犯に関するものであるかを判断する。防犯に関する入力信号としては操作キー11からのもの、及び防犯センサ12からのものを挙げることができる。過程S102で、入力が防犯入力でなかったと判断され、「N」が選択されると過程S104に進む。一方、過程S102で防犯入力があったと判断され、「Y」が選択されると過程S103に進む。
過程S103は過程S102からの判断に基づき、開閉部材29の開閉速度を「防犯モード」に切り替える(図3参照)。その後、過程S12として「Y」の判断が選択され、過程S13へ進む。このときには開閉部材29の閉鎖速度は上記した「防犯モード」でおこなわれる。
【0039】
上記のように過程S102で「N」と判断されると過程S104に進む。過程S104は、操作キー11や降雨センサ13からの信号に基づいて既に降雨モードで開閉部材29の閉鎖が行われている状態であるかを判断する。過程S104で雨避け作動済であると判断され「Y」が選択されると、過程S12は「N」と判断し過程S16へと進む。一方、過程S104で雨避け作動済でないと判断され、「N」が選択され過程S105に進む。
【0040】
過程S105は、過程S11における入力が降雨に関するものであるかを判断する。降雨に関する入力信号としては操作キー11からのもの、及び降雨センサ13からのものを挙げることができる。過程S105で、入力が降雨入力でなかったと判断され、「N」が選択されると過程S107に進む。一方、過程S105で降雨入力があったと判断され、「Y」が選択されると過程S106に進む。
過程S106は過程S105からの判断に基づき、開閉部材29の開閉速度を「雨避けモード」に切り替える(図3参照)。その後、過程S12として「Y」の判断が選択され、過程S13へ進む。このときには開閉部材29の閉鎖速度は上記した「雨避けモード」でおこなわれる。
【0041】
上記のように過程S105で「N」と判断されると過程S107に進む。過程S107は、操作キー11からの入力信号に基づいて、該入力信号が指示する開放又は閉鎖が既に完了しているかを判断する。過程S107で既に意図する開放又は閉鎖が完了していると判断され「Y」が選択されると、過程S12は「N」と判断し過程S16へと進む。一方、過程S107でまだ、開閉部材29の意図する開放又は閉鎖がおこなわれていないと判断されると「N」が選択され過程S108に進む。
【0042】
過程S108では、過程S107の判断により、これから開閉部材29の開放又は閉鎖を行うに際して、時刻取得手段18から時刻を取得し、夜間モードへ切り替えるか否かを判断する。夜間モードへ切り換えるか否かは、予め設定しておいた時刻の範囲内に、時刻取得手段18から取得した時刻が含まれているかで判断する。
夜間モードにする必要があると判断された場合には、過程S108で「Y」が選択されて過程109に進む。過程S109は過程S108からの判断に基づき、開閉部材29の開閉速度を「夜間モード」に切り替える(図3参照)。その後、過程S12として「Y」の判断が選択され、過程S13へ進む。このときには開閉部材29の開閉速度は上記した「夜間モード」でおこなわれる。
一方、夜間モードにする必要がないと判断された場合には、過程S108で「N」が選択されて過程110に進む。過程S110は過程S108からの判断に基づき、開閉部材29の開閉速度を「通常モード」に切り替える(図3参照)。その後、過程S12として「Y」の判断が選択され、過程S13へ進む。このときには開閉部材29の開閉速度は上記した「通常モード」でおこなわれる。
【0043】
以上のような電動建具の制御方法S10によれば、夜間、防犯、降雨等、人の住環境に含まれる事情が考慮された騒音対策を取ることが可能となる。その際には、駆動モータや動力伝達機構自体に騒音対策を必要とはしないので、従来の安価な構成を適用することも可能である。
【0044】
図6には他の実施形態にかかる電動建具について説明する図を示した。当該他の実施形態にかかる電動建具では、夜間モードにおいて開閉部材29が閉鎖するに際してその位置(姿勢)によって閉鎖速度が変更される。これ以外は上記した1つの実施形態の電動建具1と共通するので、当該共通部分については説明を省略する。
【0045】
他の実施形態に係る電動建具にでは、夜間モードが選択された場合に閉鎖する過程において、動作開始時は駆動モータへの負荷が高いので閉鎖速度Aは低速とする。その後、駆動モータへの負荷が低くなる位置では速度を上げ、閉鎖速度Bとする。全閉位置に近付くにつれ再び駆動モータへの負荷が高くなるのでその位置では低速である閉鎖速度Cとする。下限付近になると人の挟み込みの虞が高まるのでさらに低速である閉鎖速度Dとする。開閉部材29が建具本体28と接触するときの接触音を回避するためにさらに速度を落とし、非常に低速な閉鎖速度Eとする。この途中で人の指等が挟まれないように逃げることができる十分な時間保持してもよい。最終的に、閉鎖速度Eよりは速いが、遅い速度である閉鎖速度Fで開閉部材29を建具本体に接触させ閉鎖を完了させる。
【0046】
このような電動建具によれば、速度が遅い部分が増えるので、さらに駆動モータ及び動力伝達機構の動作による騒音を抑制することができる。さらには、当該速度を遅くする位置は、駆動モータの負荷変動に起因する騒音、及び開閉部材29が建具本体28等に接触することによる接触音が生じる位置なので、これを大幅に減じることができる。すなわち、当該閉鎖の過程において、さらに大幅な騒音抑制が可能となる。
【0047】
このような開閉部材29の閉鎖速度の制御は、情報処理手段15の記憶手段19に予めプログラムを記憶させておき、中央演算子17による演算結果を建具25に送信して駆動モータに加える電圧を変更することによりおこなうことができる。
【0048】
以上説明した各実施形態の電動建具には、開閉部材が開閉することによる人や物の挟まれを防止する手段が設けられていることが好ましい。このような手段は特に限定されることなく公知のものを用いることができる。
【符号の説明】
【0049】
1 電動建具
10 入力手段
11 操作キー
12 防犯センサ
13 降雨センサ
15 情報処理手段
25 建具
27 駆動モータ
28 建具本体
29 開閉部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建具本体と、
前記建具本体に開閉可能に保持される開閉部材と、
前記開閉部材を電動で駆動して開閉させる駆動手段と、
前記開閉部材の開閉を指示する操作キーと、
前記操作キーからの信号を受信して前記開閉部材の開閉速度を決定する演算をし、該演算結果に基づいて前記駆動手段を制御する情報処理手段と、を備え、
前記情報処理手段は、夜間の前記開閉部材の開閉速度を、日中の前記開閉速度よりも遅くする演算が可能であることを特徴とする電動建具。
【請求項2】
前記夜間の前記開閉部材における開閉の過程で、前記開閉部材の姿勢により該開閉部材の開閉速度が変更されることを特徴とする請求項1に記載の電動建具。
【請求項3】
前記情報処理手段は、センサからの信号を受信し、該受信した信号に基づいて前記開閉部材の開閉速度を通常よりも速くする演算をして、該演算結果に基づいて前記駆動手段を制御することが可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の電動建具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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