説明

電動機の固定子および電動機の固定子の製造方法

【課題】 本発明は、スロット開口部に遮蔽部材を容易に装着できるようにした電動機の固定子および電動機の固定子の製造方法を提供する。
【解決手段】 固定子鉄心に形成された複数個の歯部に絶縁部材を配設し、前記歯部相互間に形成されるスロットを通して前記歯部の周囲にコイルを巻回し、前記歯部相互間のスロット開口部を、遮蔽部材を介して閉塞した電動機の固定子において、前記遮蔽部材20を、前記スロット14に挿入されて前記スロット開口部11を遮蔽する複数の薄片21と、これら薄片21の一端を連結する帯状部22とで構成し、前記遮蔽部材20の薄片21の挿入端部21aを、先端に向けて徐々に細くなるように形成するとともに、該薄片21の先端に切り欠き23を形成した電動機の固定子にある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動機固定子におけるスロット開口部の絶縁構造に係わり、特にスロット開口部に遮蔽部材を装着するようにした電動機の固定子および電動機の固定子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電動機固定子のスロット開口部に絶縁用遮蔽部材を挿入する場合、各スロットごとに一枚一枚遮蔽部材を挿入していたため、組み立て工数が多く作業性が悪いという問題があった。
この問題を解決するため、特許文献1にあっては、遮蔽部材として複数のくさび片の一端を一体に連結したくさび構成体を提案している。
【0003】
電動機に適用した特許文献1のくさび構成体を簡単に説明すると、図8に示した電動機101は、フレーム102の内周面側に固定子103が取り付けられている。固定子103は、固定子鉄心104と、固定子鉄心104の歯部104aに巻装されたコイル105とから構成されている。この固定子103の内方に積層鋼板からなる回転子鉄心106を配した回転子107が設けられている。回転子107の回転軸108は、軸受109,110を介してフレーム102に支持されている。
【0004】
固定子鉄心104には、複数のスロット111が設けられ、該スロット111は、固定子鉄心104の内周側に開口する開口部112が形成され、前記コイル105のスロット111への装填を容易にしている。
【0005】
各スロット111には、図9に示すように、スロット111の内壁面に沿って挿入されたスロット絶縁部材113を介して固定子鉄心104の歯部104aにコイル105が収納され、その後、前記開口部112を閉塞するように絶縁用のくさび構成体114が装着され、固定子103を構成している。くさび構成体114は熱可塑性樹脂あるいは、PETのフイルム材にて構成され、図10に示すように長さが異なる2種類のくさび片115,116が交互に配置され、これらの基端部117を一体にリング状に連結して円筒状のくさび構成体114を構成している。
【0006】
このくさび構成体114のくさび片115,116の配置ピッチは、各スロット111のピッチに合わせられ、かつ径寸法としては固定子鉄心104の各開口部112を閉塞する大きさに設定されている。各くさび片115,116の下端部は、円形状の先細形状に形成され、かつ薄肉厚に形成され、コイル105が収納された後のスロット111への挿入を容易にしている。
【特許文献1】特開2004−072899号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の発明によれば、複数のくさび片を一度にスロット開口部に挿入でき、個々にくさびを挿入するのと比較して作業性が向上している。
しかしながら、特許文献1の発明においてもなお次の問題が存在する。
すなわち、複数のくさび片を同時に挿入する際の各くさび片の挿入のし易さが十分でないことと、挿入したくさびが位置ずれを起こしやすいことである。
くさびの位置ずれは、縦方向(軸方向)と横方向(周方向)の両方に生じ、縦方向のずれは、くさびの抜けにつながる。
横方向のずれは、挿入のし易さと相反する。くさび片の幅を被挿入部の寸法と完全に同じにすれば横方向のずれは無くなるが、そうすると挿入し難くなる。また寸法のバラツキの問題もあって、実際にはくさび片の幅は被挿入部の寸法より若干小さくせざるを得ない。
【0008】
本発明は、上記課題を解決し、スロット開口部に遮蔽部材を容易に装着できるようにした電動機の固定子および電動機の固定子の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するため、固定子鉄心に形成された複数個の歯部に絶縁部材を配設し、前記歯部相互間に形成されるスロットを通して前記歯部の周囲にコイルを巻回し、前記歯部相互間のスロット開口部を、遮蔽部材を介して閉塞した電動機の固定子において、前記遮蔽部材を、前記スロットに挿入されて前記スロット開口部を遮蔽する複数の薄片と、これら薄片の一端を連結する帯状部とで構成し、前記遮蔽部材の薄片の挿入端部を、先端に向けて徐々に細くなる、くさび状に形成するとともに、該薄片の先端に切り欠きを形成したことにある。
また、本発明は、前記遮蔽部材の薄片に設けられた挿入端部の傾斜面の後端部に矢尻状の返しを設けたことにある。
さらに、本発明は、前記遮蔽部材の薄片の両側部に、突起を設けたことにある。
またさらに、本発明は、前記遮蔽部材は、一枚のシート材から、薄片部と帯状部を形成し、前記帯状部の両端部に切り込みを入れ、これら切り込みを係合させて環状に形成したことにある。
また、前記遮蔽部材の帯状部を、薄片の数と同数またはその倍数の多角形に形成したことにある。
さらに、固定子鉄心に形成された複数個の歯部に絶縁部材を配設し、前記歯部相互間に形成されるスロットを通して前記歯部の周囲にコイルを巻回し、前記歯部相互間のスロット開口部を、遮蔽部材を介して閉塞した電動機の固定子の製造方法において、前記スロットに挿入されて前記スロット開口部を遮蔽する複数の薄片と、これら薄片の一端を連結する帯状部とで前記遮蔽部材を構成し、前記遮蔽部材の薄片の挿入端部を、先端に向けて徐々に細くなる、くさび状に形成するとともに、該薄片の先端に切り欠きを形成して前記遮蔽部材を形成し、前記固定子鉄心上に、該固定子鉄心のスロット位置に対応する円筒形の空隙を有する薄片挿入ガイド用の治具を配置し、該薄片挿入ガイド用の治具の円筒形の空隙に、前記遮蔽部材を挿入し、前記薄片と同数の押さえ腕部が本体周囲に放射状に設けられた押さえ治具を前記遮蔽部材の上部に配置し、該押さえ治具を操作して該押さえ治具の押さえ腕部を介して前記遮蔽部材を前記挿入ガイド用の治具の円筒形の空隙に押し込み、該挿入ガイド用の治具の円筒形の空隙部に沿って前記固定子鉄心のスロット内に前記遮蔽部材の薄片を挿入して前記遮蔽部材を前記固定子鉄心に組み付けることにある。
またさらに、前記遮蔽部材の帯状部の上部縁部に、前記押さえ治具の押さえ腕部に対応する位置に、凹部を形成し、該凹部に前記押さえ腕部を係合させて前記押さえ治具を操作することにある。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の構成では、スロット開口部を閉塞する遮蔽部材を、スロット開口部を遮蔽する複数の薄片と、これら薄片の一端を連結する帯状部とで構成し、前記遮蔽部材の薄片の挿入端部を、先端に向けて徐々に細くなる、くさび状に形成するとともに、該薄片の先端に切り欠きを形成したので、薄片の先端が弾性変形し易いため、薄片が挿入し易いことから組付け作業が容易である。
請求項2の構成では、遮蔽部材の薄片に設けられた挿入端部の傾斜面の後端部に矢尻状の返しを設けたので、返しが絶縁部材の端に引っ掛かり、遮蔽部材の抜け出しを確実に防止できる。
請求項3の構成では、遮蔽部材の薄片の両側部に、突起を設けたので、遮蔽部材の薄片が横方向(周方向)にずれることがない。しかも、遮蔽部材の薄片全体の幅を大きくした場合に比べて、遮蔽部材の薄片の挿入がし易い。
請求項4の構成では、一枚のシート材から、薄片部と帯状部を形成し、前記帯状部の両端部に切り込みを入れ、これら切り込みを係合させて環状に形成して遮蔽部材を形成したので、遮蔽部材の作製が極めて容易であり、安価である。また、保管する際シート状態で保管すれば、樹脂成型品に比べて場所を取らない。
請求項5の構成では、遮蔽部材の帯状部が、薄片の数と同数またはその倍数の多角形に形成したので、遮蔽部材が固定子鉄心によりフィットする。
請求項6の構成では、押さえ治具を操作して該押さえ治具の押さえ腕部を介して遮蔽部材を挿入ガイド用の治具の円筒形の空隙に押し込み、該挿入ガイド用の治具の円筒形の空隙部に沿って固定子鉄心のスロット内に遮蔽部材の薄片を挿入して遮蔽部材を固定子鉄心に組み付けるので、遮蔽部材を事前に環状にする必要がない。
請求項7の構成では、遮蔽部材の帯状部の上部縁部に、押さえ治具の押さえ腕部に対応する位置に、凹部を形成し、該凹部に押さえ腕部を係合させて押さえ治具を操作するので、押さえ治具が動かずに操作が容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下本発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
図1は、電動機の固定子1を示したもので、この固定子1は、例えば積層鉄心により構成された固定子鉄心10と、この固定子鉄心10のスロット開口部11を塞ぐための遮蔽部材20とを備えている。図2は図1の固定子鉄心10の部分を拡大して示したもので、遮蔽部材20の挿入部を示している。図3は遮蔽部材20を組付けた状態の固定子鉄心10を示している。図4は図1のステータカバーを示したものである。
【0013】
図1ないし図4において、前記固定子鉄心10は、環状の本体部12から中心方向に向けて歯部13を放射状に延出したもので、歯部13相互間にコイル巻き線を通すスロット14が形成されている。前記固定子鉄心10には、図4に示されたステータカバー15が組み付けられて歯部13周囲にコイル巻線16が巻回されている。ステータカバー15は、上下一対のカバー15A,15Bで構成されており、これら上下一対のカバー15A,15Bは、それぞれ固定子鉄心10の環状の本体部12の内周面を覆う筒部15aと、この筒部15aの内周面から中心方向に延出し、歯部13周囲を覆う横断面Π状のカバー部15bと、歯部先端13aの背面側を覆うカバー壁部15cと、内周面側を除く歯部先端13aの周囲を覆うカバー部15dとで構成されている。カバー壁部15cとカバー部15dとの間には、円周方向の両側端面に、凹部15eが縦方向に設けられている。
【0014】
前記固定子鉄心10の歯部13相互間に設けられたスロット14は、歯部先端13a相互間に隙間が設けられてスロット開口部11 が形成されている。
【0015】
前記遮蔽部材20は、図1に示すように、前記スロット14に挿入されて前記スロット開口部11を遮蔽する複数の短冊状の薄片21と、これら薄片21の一端を連結する帯状部22とで構成されている。遮蔽部材20は、例えばシート状の合成樹脂材等の絶縁性の可撓性材料によって形成されている。遮蔽部材20は、前記固定子鉄心10の歯部13の数に対応する数の薄片(薄片部)21が形成されており、この複数の薄片21の長手方向の一端部を一体成形あるいは別体に成形された帯状部22によって連結している。これら薄片21は前記スロット14に挿入される挿入端部21aを、先端に向けて徐々に細くなる、所謂、くさび状に形成されており、かつ挿入端部21aの先端21bに長手方向に沿って例えば三角形状の切り欠き23が形成されている。また、薄片21の挿入端部21aには、傾斜面21cの後端に矢尻状の返し24が設けられており、返し24がステータカバー15の端に引っ掛かり、遮蔽部材20の抜け出しを防止する。薄片21の両側部には、挿入方向に傾斜部を形成した複数の突起25が長手方向に一定間隔で設けられており、この突起25がステータカバー15に対して円周方向に係合することにより、遮蔽部材20の薄片21が横方向(周方向)にずれることを防止するものである。
【0016】
前記遮蔽部材20は、帯状部22の両端部に互いに対応するする位置に切り込み22a、22bが入れてあり、この切り込み22a,22bを噛み合わせて環状に組付けられている(図1参照)。
図示例では前記遮蔽部材20は、薄片21の中心線で折り曲げて帯状部22を前記固定子鉄心10に合わせて多角形に形成したものである。前記遮蔽部材20は、薄片21を前記スロット14に挿入して前記固定子鉄心10に組みつけられており、各薄片21により前記スロット開口部11を閉塞するように組み付けられている。
【0017】
次に、固定子鉄心10に遮蔽部材20を組付ける手順を説明すると、固定子鉄心10にステータカバー15を組付け、カバー部15bで覆われた歯部13の周囲にコイル巻線16を巻回する。そして、固定子鉄心10のスロット14に、挿入端部21aを介して薄片21を手作業あるいは冶具を用いて挿入して遮蔽部材20を組付ける。各薄片21は、挿入端部21aの両側部をステータカバー15の凹部15eに係合させて凹部15eに沿って下方向に押し込む。各薄片21は、凹部15e内のカバー壁部15cに密着して、固定子鉄心10の歯部先端13a相互間のスロット開口部11を、各薄片21により閉塞する。
【0018】
このように、遮蔽部材20は、薄片21の挿入端部21aを先端に向けて徐々に細く形成し、傾斜面21cを設けているので、固定子鉄心10のスロット14に容易に挿入することができる。また、遮蔽部材20は、挿入端部21aの先端21bに長手方向に沿って切り欠き23が形成されているので、先端21bが自在に変形して、挿入端部21aを凹部15e内に容易に挿入することができる。また、薄片21の挿入端部21aには、傾斜面21cの後端に矢尻状の返し24が設けられているので、この返し24がステータカバー15の凹部15e内を貫通してステータカバー部15dの逆側面に引っかかり、遮蔽部材20の上下方向に対する抜けを防止することができる。さらに、薄片21の両側部に設けられた突起25がステータカバー15の凹部15e内で円周方向に係合し、円周方向の動きを係止することができる。またさらに、一枚の樹脂製シートによって遮蔽部材20を製造できるので、製造が容易で、かつ安価に製造することができる。また、遮蔽部材20はシート状にして、嵩張らずに搬送できるので、作業性が良好である。
【0019】
次に図5は本発明の他の実施の形態を示したもので、図1と同一部分は同符号を付して同一部分の説明を省略して説明する。
この場合、遮蔽部材30は、帯状部22を短く形成して環状に構成しないものを用いている。そして、帯状部22の上端に一定間隔で凹部22cが形成されている。
この遮蔽部材30を固定子鉄心10に組付けるために2つの冶具40,50を用いている。一方の冶具は押さえ治具40と呼ばれるもので、この押さえ治具40は円盤状の本体41の周囲に薄片21と同数の棒形状の押さえ腕部42を放射状に設けたものである。
【0020】
もう一方の冶具は、薄片挿入ガイド用の治具50と呼ばれるもので、この薄片挿入ガイド用の治具50は、前記固定子鉄心10上に配置されて遮蔽部材30の挿入を助けるものである。この薄片挿入ガイド用の治具50は、円周方向に固定子鉄心10のスロット14に対応する一定間隔で半径方向のスリット51を形成した環状の本体部52と、この本体部52の内周面側に一定の間隙を開けて設けられた筒状部53とで構成されている。この筒状部53は、本体部52の一部と繋がっており、この繋がっている部分54に帯状部22の切れ目を配置して遮蔽部材30を組付けるものである。筒状部53には、スリット51に対応する位置に、スリット51と同様のスリット55が設けられている。
筒状部53の上端には、傾斜部を設け、遮蔽部材30の挿入端部21aの挿入を容易にしている。
【0021】
組付けに際しては、遮蔽部材30の帯状部22を丸くして挿入端部21aを薄片挿入ガイド用の治具50の本体部52と筒状部53との間隙に挿入する。そして、帯状部22の上端に設けられた凹部22cに押さえ治具40の押さえ腕部42を配置して、押さえ治具40を下方に押し下げる。遮蔽部材30の挿入端部21aは、薄片挿入ガイド用の治具50の本体部52と筒状部53との間隙を通して固定子鉄心10のスロット14内に押し込まれていく。そして、押さえ治具40の押さえ腕部42は薄片挿入ガイド用の治具50のスリット51、55内に入り、スリット51、55の下端51a,55aに係止されるまで下方に押し下げられる。こうして、遮蔽部材30の薄片21は、固定子鉄心10のスロット14内に挿入される。
【0022】
このように、遮蔽部材30の挿入端部21aを薄片挿入ガイド用の治具50の本体部52と筒状部53によってガイドされながら固定子鉄心10のスロット14内に挿入されるので、挿入作業を容易に行なうことができる。また、遮蔽部材30の帯状部22は、組付け作業時に丸めればよいので、管理が容易である。さらに、一枚の樹脂製シートによって遮蔽部材30を製造できるので、製造が容易で、かつ安価に製造することができる。その他の効果は、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0023】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、例えば、遮蔽部材20(または遮蔽部材30)の薄片21の両側部には、複数の突起25が一定間隔で設けられているが、この突起25の形状としては、図6に示すように矢尻状のものに限らず、円弧状の突起26でもよい。また、帯状部22は、固定子鉄心10のスロット14の数に合わせて多角形に形成しても良く、あるいは円筒状に形成しても良い。さらに、図7に示すように帯状部22の表面に外側に折り曲げ部27を設けて凹凸部を形成することにより、帯状部22が円周方向に伸縮し、薄片21の表面を、ステータカバー15のカバー壁部15cにより密着させることができる。また、遮蔽部材20(または遮蔽部材30)の薄片21の長さを短いものと長いものを交互に並べることもできるなど、その他本発明の要旨を変更しない範囲内で適宜、変更して実施し得ることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態による電動機の固定子を示す分解斜視図である。
【図2】図2は図1の部分を拡大して示す斜視図である。
【図3】図3は、遮蔽部材を組付けた状態の固定子鉄心を示す斜視図である。
【図4】ステータカバーを示す平面図である。
【図5】本発明の他の実施の形態による電動機の固定子の製造方法を示す分解斜視図である。
【図6】遮蔽部材の変形例を示す斜視図である。
【図7】遮蔽部材の変形例を示す斜視図である。
【図8】従来の電動機の固定子を示す断面図である。
【図9】図8の従来の電動機の固定子を示す横断面である。
【図10】従来の電動機の固定子に用いられる遮蔽部材を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0025】
1 電動機の固定子
10 固定子鉄心
11 スロット開口部
12 本体部
13 歯部
14 スロット
15 ステータカバー
15e 凹部
20 遮蔽部材
21 薄片
21a 挿入端部
22 帯状部
22a,22b 切り込み
23 切り欠き
24 矢尻状の返し
25 突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定子鉄心に形成された複数個の歯部に絶縁部材を配設し、前記歯部相互間に形成されるスロットを通して前記歯部の周囲にコイルを巻回し、前記歯部相互間のスロット開口部を、遮蔽部材を介して閉塞した電動機の固定子において、
前記遮蔽部材を、前記スロットに挿入されて前記スロット開口部を遮蔽する複数の薄片と、これら薄片の一端を連結する帯状部とで構成し、前記遮蔽部材の薄片の挿入端部を、先端に向けて徐々に細くなるように形成するとともに、該薄片の先端に切り欠きを形成したことを特徴とする電動機の固定子。
【請求項2】
前記遮蔽部材の薄片に設けられた挿入端部の傾斜面の後端部に矢尻状の返しを設けたことを特徴とする請求項1に記載の電動機の固定子。
【請求項3】
前記遮蔽部材の薄片の両側部に、突起を設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の電動機の固定子。
【請求項4】
前記遮蔽部材は、一枚のシート材から、薄片部と帯状部を形成し、前記帯状部の両端部に切り込みを入れ、これら切り込みを係合させて環状に形成したことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の電動機の固定子。
【請求項5】
前記遮蔽部材の帯状部を、薄片の数と同数またはその倍数の多角形に形成したことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の電動機の固定子。
【請求項6】
固定子鉄心に形成された複数個の歯部に絶縁部材を配設し、前記歯部相互間に形成されるスロットを通して前記歯部の周囲にコイルを巻回し、前記歯部相互間のスロット開口部を、遮蔽部材を介して閉塞した電動機の固定子の製造方法において、
前記スロットに挿入されて前記スロット開口部を遮蔽する複数の薄片と、これら薄片の一端を連結する帯状部とで前記遮蔽部材を構成し、前記遮蔽部材の薄片の挿入端部を、先端に向けて徐々に細くなる、くさび状に形成するとともに、該薄片の先端に切り欠きを形成して前記遮蔽部材を形成し、
前記固定子鉄心上に、該固定子鉄心のスロット位置に対応する円筒形の空隙を有する薄片挿入ガイド用の治具を配置し、該薄片挿入ガイド用の治具の円筒形の空隙に、前記遮蔽部材を挿入し、
前記薄片と同数の押さえ腕部が本体周囲に放射状に設けられた押さえ治具を前記遮蔽部材の上部に配置し、
該押さえ治具を操作して該押さえ治具の押さえ腕部を介して前記遮蔽部材を前記挿入ガイド用の治具の円筒形の空隙に押し込み、該挿入ガイド用の治具の円筒形の空隙部に沿って前記固定子鉄心のスロット内に前記遮蔽部材の薄片を挿入して前記遮蔽部材を前記固定子鉄心に組み付けることを特徴とする電動機の固定子の製造方法。
【請求項7】
前記遮蔽部材の帯状部の上部縁部に、前記押さえ治具の押さえ腕部に対応する位置に、凹部を形成し、該凹部に前記押さえ腕部を係合させて前記押さえ治具を操作することを特徴とする請求項6に記載の電動機の固定子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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