説明

電動機

【課題】
電動機の固定子の鉄心歯部に施した樹脂絶縁の品質を向上させ、回転子の組み込みを容易にし、電動機性能の低下や焼損事故等を低減した電動機を提供する。
【解決手段】
固定子の鉄心歯部に樹脂絶縁を施し直接巻線を巻き付けた固定子と、固定子の内側であって回転子が内転する電動機において、樹脂絶縁は外側鍔部と内側鍔部と巻線を巻き付ける胴部から構成され、内側鍔部の回転子側に面する内周側壁が固定子端面から離れるにしたがい固定子外径側に傾斜させることにより、回転子の組み込みを容易にし、品質を向上させ、電動機性能の低下や焼損事故等を低減する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定子の鉄心歯部に樹脂絶縁を施し直接巻線を巻き付けた電動機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、このような電動機は、特許文献1(特開2003−324882号公報)に示すような電動機の固定子がある。本願では図9に示している。図9は固定子13の軸方向両側に樹脂絶縁33が配置され、樹脂絶縁33を介して巻線43が巻回された電動機である。特許文献1の樹脂絶縁33は、外側鍔部53と内側鍔部73と巻線43を巻き付ける胴部63から構成され、前記内側鍔部73の外周側壁73bは、固定子端面13aから遠ざかるほど先端部の厚みが薄くなるように傾斜させている。これにより巻線43が巻回される際に発生する応力を内側鍔部73の外周側壁73bを傾斜θ2させることにより低減し、内側鍔部73の割れの発生を防止できる構造が示されている。
【0003】
【特許文献1】特開2003−324882号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、図9のように、内側鍔部73の外周側壁73bを傾斜させることにより巻線機による巻線43の巻回する応力を低減できるものの、巻線43を巻回することによる内側鍔部73が固定子13の内径側に撓むことを防ぐことができない。樹脂絶縁33の内側鍔部73が固定子13の内径側に撓んだ場合、回転子100を固定子13の内径に組み込む際、樹脂絶縁33の内側鍔部73が邪魔になり組み込みの障害となっている。
また、回転子100を無理に組み込んだとしても、電動機運転中に回転子100とこの樹脂絶縁33の内側鍔部73が接触して効率を低下させたり、引いては焼損事故となってしまう。
【0005】
また、エアコンや冷蔵庫に搭載される圧縮機においては、近年、回転子に永久磁石を備えたブラシレスDCモータが採用されている。このように永久磁石を備えた回転子は、一般的には、塵、埃が圧縮機内に入ることを嫌うため回転子を着磁した後に圧縮機に組み込むことは行われていない。従って、圧縮機に固定子13及び回転子100を組み込んだ後に固定子13を着磁ヨークとして、固定子13の巻線43の端部(口出線)を外部電源に接続した後、直流電流を流し固定子13の内径側に組み込んだ回転子100を着磁している。このことにより固定子13の鉄心歯部に巻き付けられた巻線43は巻線43同士が引き付け合う力によって固定子13の内径側に倒れ込み、樹脂絶縁33の内側鍔部73も固定子13の内径側に撓んでしまう。
【0006】
本願発明は、このような問題点を解決するものであり、巻線機の巻線43の巻き付け力により樹脂絶縁33の内側鍔部73が固定子13の内径側に撓んだり、また同様に永久磁石110を備えた回転子100を着磁する際に樹脂絶縁33の内側鍔部73が固定子13の内径側に撓むのを考慮した電動機である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、固定子の内径側に永久磁石を備えた回転子を有し、固定子の鉄心歯部に樹脂絶縁を施し、巻線を鉄心歯部に直接巻き付けた集中巻方式による電動機において、固定子の樹脂絶縁は、固定子の外径側で固定子端面から起立する様に外側鍔部が形成され、また固定子の内径側で固定子の鉄心歯部先端の固定子端面から起立する様に内側鍔部を形成している。この外側鍔部と内側鍔部とを連結する巻線を巻き付けるための胴部と、更に、この樹脂絶縁の巻線が巻回される胴部から固定子のスロット側面に沿うように伸びたスロット絶縁部を有した樹脂絶縁であり、この樹脂絶縁の内側鍔部の回転子側に面する内周側壁が固定子端面から離れるにしたがい固定子外径側へ傾斜した電動機としている。
【0008】
尚、この樹脂絶縁の内側鍔部の固定子端面からの傾斜の傾斜幅Cは、前記固定子に樹脂絶縁を施した状態で、固定子の内径を中心として内側鍔部の回転子側に面する内周側壁の固定子端面側の角部までの距離をAとし、前記内側鍔部の回転子側に面する内周側壁の固定子端面から離れたもう一方側(内周側壁が起立した状態での先端部側)の角部までの距離をBとした場合、{(B/A−1)×100}(%)が1.7(%)以上とした電動機としている。
【0009】
また、これらの電動機に用いる固定子のスロット数は18スロット以下が好ましい。
【0010】
また、この樹脂絶縁に係る応力を低減するために内側鍔部の外周側壁が固定子端面から離れるにしたがい回転子側に傾斜した電動機としている。
【0011】
また、巻線を巻き付ける胴部の固定子端面からの厚さは外側鍔部から内側鍔部に向かうにしたがって厚くした電動機としている。
【0012】
また、内側鍔部の外周側壁と胴部との隅部は曲率を持たせた円弧形状とした電動機としている。
【0013】
また、この樹脂絶縁は固定子端面のスロット開口部から挿入するスロット絶縁部が設けられており、前記固定子の軸方向のスロットのほぼ中央部にて、片側の固定子端面から挿入されたスロット絶縁部の端部と、もう片側の固定子端面から挿入されたスロット絶縁部の端部が重なって装着した電動機としている。
【0014】
このような電動機は冷蔵庫やエアコン等の室外機の圧縮機内に搭載することができ、また車両用途として搭載することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、固定子の内径側に永久磁石を備えた回転子を有し、固定子の鉄心歯部に樹脂絶縁を施し、巻線を鉄心歯部に直接巻き付けた集中巻方式の電動機において、固定子の樹脂絶縁の構造が、固定子の外径側で固定子端面から起立する様に外側鍔部を形成し、また固定子の内径側で固定子の鉄心歯部先端の固定子端面から起立する様に内側鍔部を形成し、この外側鍔部と内側鍔部とを連結する巻線を巻き付けるための胴部を有し、更に、この樹脂絶縁の胴部からは固定子の巻線が巻回される固定子のスロット側面に沿うように伸びたスロット絶縁部を有した樹脂絶縁構造であり、この樹脂絶縁の内側鍔部の回転子側に面する内周側壁が固定子端面から離れるにしたがい固定子外径側に傾斜した電動機とすることにより、巻線機の巻線の巻き付け力により樹脂絶縁の内側鍔部が固定子内径側に撓んでも、内側鍔部が固定子の内径に飛び出すことなく、回転子を組み込む際に内側鍔部が邪魔になることもない。また、固定子内径に内側鍔部が飛び出さないため電動機運転中に回転子と接触することも無く焼損事故を防ぐことができる。
【0016】
また、エアコンや冷蔵庫に搭載される圧縮機に搭載される電動機においては、固定子を着磁ヨークとして永久磁石を備えた回転子を着磁する際、固定子の鉄心歯部に巻き付けられた巻線同士が引き付け合う力によって内側鍔部が固定子内径側に撓んだとしても、内側鍔部の回転子側に面する内周側壁が固定子端面から離れるにしたがい固定子外径側へ傾斜することにより固定子内径に内側鍔部が飛び出るのを防止することができる。これにより、回転子と樹脂絶縁の内側鍔部との接触を防ぎ品質的に優れた電動機とすることができる。また、回転子と内側鍔部とが接触することがないため電動機効率が低下することもない。
【0017】
尚、この樹脂絶縁の内側鍔部の固定子端面からの傾斜の傾斜幅Cは、固定子に樹脂絶縁を施した状態で、固定子の内径を中心として内側鍔部の回転子側に面する内周側壁の固定子端面側の角部までの距離をAとし、内側鍔部の回転子側に面する内周側壁の固定子端面から離れたもう一方側(内周側壁が起立した状態での先端部側)の角部までの距離をBとした場合、{(B/A−1)×100}(%)が1.7(%)以上を固定子外径側に傾斜させることにより、巻線機の巻線の巻き付け力により内側鍔部が固定子内径側に撓んでも、固定子内径に飛び出すことがなくなる。
【0018】
従って、固定子の内径を中心として樹脂絶縁の内側鍔部の回転子側に面する内周側壁の固定子端面側の角部から内周側壁の固定子端面から離れた先端部側の角部までの傾斜幅を設けているので回転子を組み込む際に内側鍔部が邪魔になることもなく、また、内側鍔部が固定子内径に飛び出すことがないため電動機運転中に回転子と接触することもなくなり焼損事故を防ぐことができる。或いは、固定子を着磁ヨークとして回転子を着磁する際に巻線同士が引き付け合い内側鍔部が固定子内径側に撓んだとしても固定子内径側に影響を及ぼすことがない。
【0019】
また、巻線機にて固定子の歯部に直接巻線を巻き付けているが、巻線を巻くノズルの先端部分の軌跡は固定子の内径を中心として隣り合う歯部間の開口部から開口部を通り、ある程度の角度を有し弧状(扇状)に動いているものの、実際の巻線の軌跡は胴部に対して直角で直線的に固定子歯部に巻き付けられるため、円弧形状に形成された内側鍔部の外周側壁を、この直線的に巻き付けられる巻線により固定子の内径側に強く押されてしまう。特に、巻線が固定子の内径側近くの胴部に巻き付ける際は顕著に内側鍔部が撓んでくる。
このことから、巻線機のノズルの先端部分の軌跡が弧状に大きく動く固定子、言い換えれば、固定子のスロット数が少ない固定子においては、内側鍔部の外周側壁の周方向端部と直線的に巻き付く巻線との距離が大きくなり内側鍔部に力が強く加わり固定子内径側に撓み易くなる。
従って、巻線を鉄心歯部に直接巻き付けた集中巻方式の電動機において固定子のスロット数に関係なく効果があるもののスロット数が少ない18スロット以下の固定子に用いる場合には、特に効果的である。
【0020】
また、樹脂絶縁の内側鍔部の回転子側に面した内周側壁を固定子端面から離れるにしたがい固定子外径側へ傾斜させ、更に、内側鍔部の外周側壁に係る応力を低減するために内側鍔部の外周側壁を固定子端面から離れるにしたがい回転子側に傾斜させることにより、巻線を巻き付けた際の内側鍔部の固定子内径側への撓みを防ぎ、尚且つ内側鍔部に加わる力を低減することができる。
【0021】
また、樹脂絶縁の巻線を巻き付ける胴部の固定子端面からの厚さを、外側鍔部から内側鍔部に向かうにしたがって徐々に厚くすることにより巻線が外側鍔部側に偏って巻き付けることができ内側鍔部が受ける力を低減し固定子内径側に撓むのを防ぐことができる。尚且つ内側鍔部の根元部分の厚さを厚くすることにより内側鍔部の強度を上げることができる。尚、外側鍔部から内側鍔部に向かうにしたがって徐々に厚くすることは、外側鍔部から内側鍔部に向かう胴部の途中から内側鍔部に向かうにしたがって徐々に厚くすることも含んでいる。
【0022】
或いは、樹脂絶縁の内側鍔部の外周側壁と胴部との隅部が曲率を持たせた円弧形状とすることにより内側鍔部が受ける力を低減し固定子内径側に撓むのを防ぐことができ、尚且つ内側鍔部の根元部分が厚くなることにより内側鍔部の強度を上げることができる。
【0023】
また、このような電動機の固定子の絶縁構造としては、前述した様に内側鍔部の内径側への撓みや加わる力を低減する必要があるが、固定子の軸方向両端部とスロット内部を同時に一体樹脂成形する場合は、樹脂の湯回りの関係上、各部分の樹脂厚さが厚くなってしまう。特に、固定子の積厚が高い場合はスロット絶縁部の樹脂の湯回りが悪いため樹脂厚さが厚くなり巻線の巻くスペースが狭なり電動機性能を悪化させている。
【0024】
また、同様に固定子の軸方向両端部に樹脂絶縁を装着しスロット内部のスロット絶縁をフィルム状の絶縁を施す場合は、固定子の軸方向両端部の樹脂絶縁と一体となっていないため、巻線を巻き付けた際に樹脂絶縁の内側鍔部が固定子内径側に撓みやすく、破壊されやすい。
【0025】
従って、電動機の固定子の絶縁構造としては、固定子の外径側に固定子端面から起立する様に外側鍔部を形成し、また固定子の内径側に固定子の鉄心歯部先端の固定子端面から起立する様に内側鍔部が形成され、この外側鍔部と内側鍔部とを連結する巻線を巻き付けるための胴部を有して、更に、この樹脂絶縁の胴部からは固定子の巻線が巻回される固定子のスロット側面に沿うように伸びるスロット絶縁部を有しており、このスロット絶縁部は固定子の軸方向のほぼ中央にて上下2分割された樹脂絶縁とし、上下に2分割されたスロット絶縁の先端部分を重ね合わせている。これにより固定子軸方向の樹脂充填距離が短くなり樹脂絶縁の厚さを薄くすることができ電動機性能を向上させることができる。また、スロット先端部分を重ね合わせることにより樹脂絶縁等の寸法誤差などで発生する隙間をなくし耐圧不良を低減できる。
【0026】
また、固定子の外径側で固定子端面から起立する外側鍔部と、固定子の内径側で固定子の鉄心歯部先端の固定子端面から起立する内側鍔部と、この外側鍔部と内側鍔部とを連結する巻線を巻く胴部と、この樹脂絶縁の胴部から固定子のスロット側面に沿うように伸びたスロット絶縁部を有した樹脂絶縁としているので、巻線を巻き付けた際、樹脂絶縁の内側鍔部が固定子内径側に撓み難くなっている。
【0027】
このような電動機を冷蔵庫やエアコン等の室外機の圧縮機内や車両用途として搭載することにより、固定子の内径側に回転子を組み込む際に樹脂絶縁の内側鍔部が邪魔になり回転子の組み込みの支障となることもなく、焼損事故になることもない。
また、エアコンや冷蔵庫に搭載される圧縮機に組み込み、固定子を着磁ヨークとして使用する際、樹脂絶縁の内径鍔部が固定子の内径側に撓んでも、固定子内径側への影響がない電動機とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明の実施形態を図面を用いて説明する。本実施形態の図中に用いる記号は支障が無い部分については図9と同様の記号を用いている。図1には薄板電磁鋼板を打ち抜きプレス等で打ち抜き積層して構成し、固定子10の鉄心歯部20に樹脂絶縁30を施し巻線40を直接巻き付けた集中巻き方式の電動機である。この固定子10のスロット数は6スロットであり3相4極を形成している。また、この固定子10に用いられる樹脂絶縁30は固定子10の積層方向(軸方向)の両端部から固定子10の鉄心歯部20を跨ぐように配置されている。尚、図1の固定子10の鉄心歯部20に巻き付けた巻線40の固定子10から飛び出している巻線40の上端部は、図を解り易くするために便宜上図示を省略している。尚、図2は、図1の固定子10の鉄心歯部20のY−Y’断面図である。
【0029】
この樹脂絶縁30の構造は、固定子10の鉄心歯部20の固定子端面10a(図2を参考)に配置し直接巻線40を巻き付けるための胴部60と、この胴部60の固定子外径側に位置し固定子端面10aから離れるよう起立させて伸びた外側鍔部50と、固定子10の鉄心歯部20の先端部であって、前記胴部60の固定子内径側の端部から固定子端面10aから離れるよう起立させて伸びた内側鍔部70と、固定子10の鉄心歯部20によって構成されるスロット90のスロット側面に沿うように固定子10の積層方向に伸びたスロット絶縁部80(図8を参考)から構成されている。尚、本実施形態の樹脂絶縁30の絶縁構造は、固定子10の積層方向両端面に同様に構成されるため、固定子10の一方の固定子端面10aについて説明し他方端面の説明は省略する。
【0030】
また、図1の実施形態の電動機は固定子10の内側で回転子100が回転駆動する内転型電動機であり固定子10の内径中心Oを軸中心とする軸孔には回転軸が挿入されている。この回転軸には回転子100が焼ばめ、圧入等の方法により固定されている。また、薄板電磁鋼板が積層された回転子鉄心には、回転子内径側を凸向きとしてV字形状に永久磁石110を収容する収容孔を設け、この収容孔の磁極中央には回転子外周部と回転子内周部の回転子鉄心を繋ぐ連結部300が形成されており、収容孔には2枚の平板の永久磁石110を1組とし円周方向に交互に異極となるよう8枚の永久磁石110を挿入し4極を形成した永久磁石埋め込み型回転子である。
【0031】
尚、この固定子10の鉄心歯部20と巻線40を絶縁する樹脂絶縁30の胴部60に巻き付けた巻線40からは、固定子端面10a側に引出した引出線や渡り線がある。この引出線や渡り線は樹脂絶縁30の胴部60に巻き付けられた巻線上端部に別の絶縁を施して配置させてもよい。この場合、この引出線や渡り線及び絶縁部材が飛び出さないように飛散防止用の樹脂カバー(図示していない)を取り付けることもできる。
【0032】
また、この飛散防止用の樹脂カバーを廃止したい場合は樹脂絶縁30の外側鍔部50に凸形状の係り止め部を設けて巻線40を係り止めし、胴部60に巻き付けた巻線40に接触しないように固定し、引き廻すこともできる。引き廻し方法としては、例えば引き廻した巻線40が直接接触しない様に樹脂絶縁30の外側鍔部50の外周側に溝部やL字状の係り止め部を設け、この溝部やL字状の係り止め部に引き廻す巻線40を固定することもできる。
【0033】
本実施形態では図2に示す様に樹脂絶縁30の固定子10の鉄心歯部20の先端部には前記胴部60の固定子内径側の端部から起立するように内側鍔部70を設けている。この内側鍔部70は回転子側に面する内周側壁70aの固定子端面10aから離れるにしたがい固定子外径側に傾斜した傾斜幅Cを有している。
【0034】
これは、図3に示す様に巻線機によって固定子10の鉄心歯部20に装着した樹脂絶縁30の胴部60に巻線40を巻き付ける際に、巻線機のノズル200の先端部分の動きが、固定子10の鉄心歯部20の隣り合うスロット90の開口部から開口部を渡る際に固定子10の内径中心Oを軸中心として角度θ1を有して弧を描くように動いている。しかしながら、実際に固定子10の鉄心歯部20に施した樹脂絶縁30の胴部60に巻き付けられる巻線40の軌跡は胴部60に対して直角で直線的に巻き付いているため固定子内径側に沿うように形成された内側鍔部70の外周側壁70bが、この巻線40により固定子内径側へ強く押され撓んでしまう。この撓み(図3の点線部参照)を考慮するために内側鍔部70の回転子側に面する内周側壁70aを固定子端面10aから離れるにしたがい固定子外径側に傾斜する傾斜幅Cを設けている。
【0035】
この場合、巻線機のノズル200先端部分の動く角度θ1が大きければ大きいほど、固定子10の鉄心歯部20に装着した樹脂絶縁30の胴部60に巻き付ける巻線40の直線部分と内側鍔部70の外周側壁70bの周方向端部との距離が大きくなり内側鍔部70に加わる力も大きくなる。
【0036】
然るに、この傾斜部Cを設けることにより樹脂絶縁30の内側鍔部70が固定子内径側に撓み回転子100の組み込みの邪魔となったり、また、固定子内径側に内側鍔部70が飛び出して電動機運転中に回転子100に接触し電動機の効率が低下することもなくなる。また、内側鍔部70が破損し絶縁不良や焼損事故等の原因となることもない。
【0037】
また、エアコンや冷蔵庫の圧縮機に搭載される電動機においては、固定子10を着磁ヨークとして回転子100を着磁しているが固定子10の鉄心歯部20に巻き付けた巻線40が固定子10の内径方向に倒れ込み内側鍔部70が固定子内径側に撓んでも傾斜幅Cを設けているので前記同様に固定子内径側へ飛び出ることはない。
【0038】
従って、図1及び図2に示したように樹脂絶縁30の内側鍔部70の回転子100側に面する内周側壁70aが固定子端面10aから離れるにしたがい固定子外径側に傾斜させることにより、固定子内径に内側鍔部70が飛び出すのを防止することができる。これにより、回転子100と樹脂絶縁30の内側鍔部70の接触を防ぎ、品質的に優れた電動機とすることができる。また、回転子100と内側鍔部70とが接触することがなくなるので電動機の効率低下を防止することもできる。
【0039】
図4のグラフは、樹脂絶縁30の内側鍔部70の外周側壁70bに荷重を徐々に加えて行き内側鍔部70aが固定子内径側に撓み、内側鍔部70aが破壊されるまでをグラフで示している。内側鍔部70の外周側壁70bに加わる荷重(Kg)を横軸にとり、内側鍔部70の撓み率を{(B/A−1)×100}(%)を縦軸で表している。
【0040】
図4には、固定子10に樹脂絶縁30を施した状態で固定子10の内径中心Oとして内側鍔部70の回転子100側に面する内周側壁70aの固定子端面10a側の角部までの距離をAとし、固定子10に樹脂絶縁30を施した状態で固定子10の内径中心Oとして内側鍔部70の回転子100側に面する内周側壁70aの固定子端面10aから離れたもう一方側(内周側壁70aが起立した状態での先端部側)の角部までの距離をBとした場合の、この樹脂絶縁30の内側鍔部70が回転子100側に撓む、撓み率を{(B/A−1)×100}(%)として表している。
【0041】
本実施形態の樹脂絶縁30の材料としては、ポリエチレンサルファイド(PPS)を用いている。
【0042】
本実施形態の固定子10は、固定子10の外径はφ112.2、内径はφ56を用いている。また、樹脂絶縁30の内側鍔部70の径方向の厚さは4mm以下で、内側鍔部70の固定子端面10aからの高さは50mm以下のものである。尚、本実施形態においては固定子10の外径はφ80〜φ180、内径はφ40〜φ90の場合が好適である。
【0043】
図4のグラフからもわかるように、荷重が70(Kg)以上加わると、樹脂絶縁30の内側鍔部70の根元部分から折れて破損する。荷重70(Kg)時の樹脂絶縁30の内側鍔部70の撓み率が1.7(%)が最大となる。
【0044】
このことからも解るように固定子10の鉄心歯部20に施す樹脂絶縁30の内側鍔部70が巻線40を巻き付けることにより固定子内径側へ倒れ込む撓み率は1.7%以上の撓み率を考慮すれば良いことがわかる。仮に、これ以上の荷重が加わった場合、樹脂絶縁30の内側鍔部70が破損してしまい製品として適さなくなる。したがって、この撓み率を考慮して内側鍔部70の回転子100側に面する内周側壁70aを固定子端面10aから離れるにしたがい固定子外径側に傾斜させることにより固定子内径側への内側鍔部70の飛び出しを防止することができる。
【0045】
これにより樹脂絶縁30の内側鍔部70が固定子内径側に回転子100を組み込む際の障害となったり、内側鍔部70が回転子100と接触し電動機の効率低下や焼損事故となることを防止することができる。また固定子10を着磁ヨークとして永久磁石110を有した回転子100を着磁する際、固定子10の鉄心歯部20に巻き付けられた巻線40同士が引き付け合うことにより内側鍔部70に荷重が加わって固定子内径側に撓んだとしても回転子100と接触することがない。
【0046】
尚、この樹脂絶縁30の内側鍔部70の撓みを考慮して、固定子10の鉄心歯部20の固定子内径側の端面から起立した内側鍔部70の回転子100側に面する内周側壁70aを固定子端面10aから離れるにしたがい固定子外径側に傾斜する傾斜幅Cは樹脂絶縁30の内側鍔部70の撓み率を考慮すればよいから{(B/A−1)×100}(%)が1.7(%)以上であれば良いことになる。
【0047】
また、本実施形態では、図5に示す様に、固定子10のスロット数によって固定子10の鉄心歯部20に施した樹脂絶縁30の内側鍔部70の撓み率が異なってくる。図5に用いた電動機の巻線仕様は、固定子10の鉄心歯部20に樹脂絶縁30を介して線径がφ0.8の巻線40を直接巻き付けた電動機である。
【0048】
例えば、固定子10に巻き付ける巻線40の有効巻数を1とし、固定子10のスロット数を6スロットで、固定子10の鉄心歯部20に巻き付ける巻線40の巻き回数を150ターンとした場合、同等の性能を維持できるようにスロット数に応じて巻線40の巻き換えを行うと、ほぼスロット数に比例して巻き換えることになるので、9スロットの時は略100ターン、12スロットの時は略75ターン、18スロットの時は略50ターン、24スロットの時は略38ターンとなる。このような電動機の固定子10の鉄心歯部20に取り付けた樹脂絶縁30の内側鍔部70に加わる荷重による撓み率を示している。
【0049】
図5のグラフでは固定子10のスロット数を横軸にとり各スロット数6スロット〜24スロット等の其々における撓み率を示している。この場合、樹脂絶縁30の内側鍔部70の固定子内径側への撓み率は、スロット数が6スロットの場は1.1(%)、また同様に9スロットの場合は0.5(%)、12スロットの場合の撓み率は0.2(%)、18スロット以上の場合の撓み率は測定できるレベルでの変化は認められなかった。
【0050】
このことからわかるように、固定子10の鉄心歯部20(スロット90)の数が多い場合ほど樹脂絶縁30の撓み率は小さくなる。これは、先に説明したように固定子10の鉄心歯部20に装着した樹脂絶縁30の胴部60に巻線40を巻き付ける際、巻線機のノズル200先端部分の動きは、固定子10の鉄心歯部20の隣り合うスロット90の開口部から開口部に渡るように固定子内径を軸中心として、角度θ1を有して扇形状に巻線40を巻き付けているが、図3に示す様に実際に固定子10の鉄心歯部20に装着した樹脂絶縁30の胴部60に巻き付けられる巻線40の軌跡は胴部60に対して直角で直線的に巻き付くことになる。
【0051】
この直線的に巻き付いた巻線40が固定子内径側の内側鍔部70の外周側壁70bを押すことにより内側鍔部70が固定子内径側に撓むことになる。この場合、巻線機のノズル200の先端部分の動く角度θ1が大きければ大きいほど、固定子10の鉄心歯部20に装着した樹脂絶縁30の胴部60に巻き付けられる巻線40の直線部分が長くなり内側鍔部70を強く押すことになる。言い換えれば、固定子10のスロット数が少なくなればなるほど樹脂絶縁30の内側鍔部70の円弧状に形成された外周側壁70bの周方向端部と、巻線機により直線的に巻き付けられた巻線40との距離が大きくなり内側鍔部70を強く押すことになる。
【0052】
従って、図5のグラフのように固定子10の鉄心歯部20に装着した樹脂絶縁30の内側鍔部70の回転子100側に面する内周側壁70aが固定子端面10aから離れるにしたがい固定子外径側へ傾斜させ内側鍔部70が撓むのを考慮する場合、固定子10のスロット数が18スロット以下の場合に特に効果がある。
【0053】
また、別の実施形態を図6を用いて説明する。図6は、図1及び図2で説明した実施形態と同様の電動機の構造を有しており、固定子11の樹脂絶縁31の構造は、固定子11の外径側に位置し固定子端面11aから起立する様に外側鍔部51を形成し、また固定子11の内径側に位置し、固定子11の鉄心歯部先端の固定子端面11aから起立する様に内側鍔部71が形成され、この外側鍔部51と内側鍔部71とを連結する巻線41を巻き付けるための胴部61を有し、この胴部61から固定子11の巻線41が巻回される固定子11のスロット側面に沿うように伸びたスロット絶縁部80(図8を参考)を有した樹脂絶縁構造であり、この樹脂絶縁31の内側鍔部71の回転子100側に面する内周側壁71aが固定子端面11aから離れるにしたがい固定子外径側に傾斜し傾斜幅C1を有しており、更に、この樹脂絶縁31に係る応力を低減するために内側鍔部71の外周側壁71bが固定子端面11aから離れるにしたがい回転子100側に傾斜し傾斜幅C2を有している。
【0054】
これにより、内側鍔部71の固定子内径側への撓みも考慮できるとともに、巻線41を巻き付ける際の内側鍔部71が受ける力を低減することができ、内側鍔部71の強度を維持した電動機とすることができる。
【0055】
また、別の実施形態を図7を用いて説明する。図7は、図1及び図2で説明した実施形態と同様の電動機の構造を有しており、固定子14の樹脂絶縁34の構造は、固定子14の外径側に位置し固定子端面14aから起立する様に外側鍔部54を形成し、また固定子14の内径側に位置し、固定子14の鉄心歯部先端の固定子端面14aから起立する様に内側鍔部74が形成され、この外側鍔部54と内側鍔部74とを連結する巻線44を巻き付けるための胴部64を有し、この胴部64から固定子14の巻線44が巻回される固定子14のスロット側面に沿うように伸びたスロット絶縁部80(図8を参考)を有した樹脂絶縁構造であり、胴部64の固定子端面14aからの厚さを、外側鍔部54から内側鍔部74に向かうにしたがって徐々に厚くすることにより巻線44が外側鍔部側54に偏って巻き付くことになり内側鍔部74が受ける力を低減し固定子内径側に撓むのを防ぐことができる。尚且つ内側鍔部74の根元部分の厚さを厚くすることにより内側鍔部74の強度を上げることができる。
【0056】
これにより、内側鍔部74の固定子内径側への撓みも考慮できるとともに、巻線44を巻き付ける際の内側鍔部74が受ける力を低減することができ、内側鍔部74の強度を維持した電動機とすることができる。また、胴部64の外側鍔部54から内側鍔部74に向かう途中から内側鍔部74に向かうにしたがって徐々に厚くしても同様の効果を得ることができる。
【0057】
尚、固定子端面14aから起立させた内側鍔部74の外周側壁74bの巻線44を巻き付ける胴部64とのコーナ部(内側鍔部74の外周側壁74bと胴部64との隅部)に曲率を持たせた円弧形状450とすることにより内側鍔部74が受ける力を更に低減するができる。
【0058】
また、別の実施形態を図8を用いて説明する。図8は、図1及び図2、図6及び図7で説明した電動機に用いることができる。図8では、固定子に用いる樹脂絶縁の構造を説明する。説明を解り易くするために、固定子を二点破線で示し、樹脂絶縁32を目視できるようにしている。樹脂絶縁32の構造は、固定子12の外径側に位置し固定子端面12aから起立する様に外側鍔部52を形成し、また固定子12の内径側に位置し、固定子12の鉄心歯部先端の固定子端面12aから起立する様に内側鍔部(図示していない)が形成され、この外側鍔部52と内側鍔部とを連結する巻線を巻き付けるための胴部を有して、この胴部から固定子12の巻線が巻回される固定子12のスロット側面に沿うように伸びたスロット絶縁部80を有した樹脂絶縁であり、この樹脂絶縁32の内側鍔部の回転子100側に面する内周側壁が固定子端面12aから離れるにしたがい固定子外径側に傾斜させた構造、或いは内側鍔部の外周側壁が固定子端面から離れるにしたがい回転子側に傾斜させた構造等としている。
【0059】
この樹脂絶縁32のスロット絶縁部80は、固定子12の積厚方向(軸方向)のスロット中央部にて上下に分割されたセパレート型の樹脂絶縁32であり、スロット絶縁部80が固定子12の積厚方向上側の固定子端面12aからスロット部に挿入し装着させた上側樹脂絶縁32aと、同様にスロット絶縁部80が固定子12の積厚方向下側の固定子端面12bからスロット部に挿入し装着させた下側樹脂絶縁32bで構成している。尚、スロット中央部のスロット絶縁部80の先端部80aは上下のスロット絶縁部分80が重なるように装着されている。これにより上下樹脂絶縁32a、32bのスロット絶縁部80の突合せ部分で発生する隙間による絶縁不良を低減することができる。
【0060】
このように固定子12の積厚方向のスロット中央部にて上下に分割されたセパレート型のスロット絶縁部80を有した樹脂絶縁32とすることにより、巻線を巻き付ける際の固定子12の鉄心歯部先端の固定子端面12a(12b)から起立した内側鍔部に係る荷重により、固定子内径側に撓もうとする力を、内側鍔部のみで受けるのでなく、胴部と胴部からスロットの側面に沿うように伸びたスロット絶縁部分80(特に、固定子端面12a(12b)のスロット開口部)でも荷重を受けることになり内側鍔部が受ける力を低減することができる。この場合、内側鍔部と胴部と外側鍔部のみの樹脂絶縁32の構造のものよりも、内側鍔部が固定子12の内径側に撓む撓み率は低減される。
【0061】
以上のように本実施形態の電動機は優れた効果を有するものであり、この電動機を冷蔵庫やエアコンの圧縮機に搭載される電動機に用いることにより、電動機を圧縮機に組み込んだ後に、固定子を着磁ヨークとして永久磁石を有した回転子を着磁して内側鍔部が回転子側に撓んだとしても接触することが無くなる。これにより電動機性能の低下や焼損事故のない電動機とすることができる。又は、固定子内側に回転子を組み込む際、樹脂絶縁の内側鍔部が邪魔に成り回転子の組み込みの支障となることもない。
【0062】
また、同様に本実施形態を用いた電動機を、車両用途として搭載することにより、内側鍔部が回転子と接触することがなくなるので品質を向上することができ、電動機性能を低下させることなく、焼損事故のない電動機とすることができる。
【0063】
尚、本実施形態で用いた電動機の樹脂絶縁の材質としては、ポリエチレンサルファイド(PPS)を用いたが、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、液晶ポリマー(LCP)等でも、ほぼ同様に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施形態における電動機の平面図。
【図2】図1における樹脂絶縁のY−Y’断面図。
【図3】図1の固定子の鉄心歯部に巻線を巻線機にて巻き付けている図。
【図4】本実施形態における樹脂絶縁の内側鍔部の荷重に対する撓み率を示したグラフ。
【図5】本実施形態における樹脂絶縁の内側鍔部の固定子スロット数に対する撓み率を示したグラフ。
【図6】本発明の別の実施形態における図2と同様の樹脂絶縁の構造図。
【図7】本発明の別の実施形態における図2と同様の樹脂絶縁の構造図。
【図8】本発明の別の実施形態における樹脂絶縁の構造図。
【図9】従来例の電動機の構造図。
【符号の説明】
【0065】
10、11、12、13、14・・・固定子
10a、11a、12a、12b、13a、14a・・・固定子端面
10b、11b、13b、14b・・・固定子外径
20・・・鉄心歯部
30、31、32、33、34・・・樹脂絶縁
32a・・・上樹脂絶縁
32b・・・下樹脂絶縁
40、41、43、44・・・巻線
50、51、52、53、54・・・外側鍔部
60、61、62、63、64・・・胴部
70、71、72、73、74・・・内側鍔部
70a、71a、72a、73a、74a・・・内周側壁
70b、71b、72b、73b、74b・・・外周側壁
80・・・スロット絶縁部
80a・・・先端部分
90・・・スロット
100・・・回転子
110・・・永久磁石
200・・・巻線機のノズル
300・・・連結部
400・・・バランスウェイト
450・・・円弧形状

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定子の鉄心歯部に樹脂絶縁を施し直接巻線を巻き付けた固定子と、前記固定子の内側であって回転子が内転する電動機において、前記樹脂絶縁は外側鍔部と内側鍔部と巻線を巻き付ける胴部から構成され、前記内側鍔部の前記回転子側に面する内周側壁が固定子端面から離れるにしたがい固定子外径側に傾斜したことを特徴とする電動機。
【請求項2】
前記内側鍔部の固定子端面からの傾斜の傾斜幅は、前記固定子に前記樹脂絶縁を施した状態で、
前記固定子の内径中心から、前記内側鍔部の前記回転子側に面する内周側壁の固定子端面側の角部までの距離をAとし、
前記固定子の内径中心から、前記内側鍔部の前記回転子側に面する内周側壁の固定子端面側から離れたもう一方側の角部までの距離をBとした場合、
{(B/A−1)×100}(%)が1.7(%)以上あることを特徴とする請求項1項記載の電動機。
【請求項3】
前記固定子はスロット数が18スロット以下であることを特徴とする請求項1項または請求項2項記載の電動機。
【請求項4】
前記内側鍔部の外周側壁が固定子端面から離れるにしたがい回転子側に傾斜したことを特徴とする請求項1項及至請求項3項のいずれか記載の電動機。
【請求項5】
前記胴部の固定子端面からの厚さは前記外側鍔部から前記内側鍔部に向かうにしたがって厚くしたことを特徴とする請求項1項及至請求項4項のいずれか記載の電動機。
【請求項6】
前記内側鍔部の外周側壁と胴部との隅部は曲率を持たせた円弧形状としたことを特徴とする請求項1項及至請求項5項のいずれか記載の電動機。
【請求項7】
前記樹脂絶縁は固定子端面からスロットに挿入し装着するスロット絶縁部が設けられており、前記固定子の軸方向のスロットのほぼ中央部にて、一方の固定子端面から挿入されたスロット絶縁部の端部と、もう一方の固定子端面から挿入されたスロット絶縁部の端部が重なり、装着されたことを特徴とする請求項1項及至請求項6項のいずれか記載の電動機。
【請求項8】
前記電動機を冷蔵庫やエアコン等の室外機の圧縮機内に搭載したことを特徴とする請求項1項及至請求項7項のいずれか記載の電動機。
【請求項9】
前記電動機を車両用途として搭載したことを特徴とする請求項1項及請求項7項のいずれか記載の電動機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−325331(P2007−325331A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−149504(P2006−149504)
【出願日】平成18年5月30日(2006.5.30)
【出願人】(000100872)アイチエレック株式会社 (58)
【Fターム(参考)】