説明

電動機

【課題】
電動機の引出線や口出線を接続した接続点を確実に固定し、電動機の振動等によりズレの生じない、信頼性を向上させた電動機を提供する。
【解決手段】
固定子の軸方向端面には樹脂成形された絶縁部材が装着され、前記絶縁部材はティース部と巻線を絶縁するための樹脂絶縁胴部と、前記樹脂絶縁胴部の固定子内径側に面して伸びる内周側壁と、固定子外径側に面して伸びる外周側壁を有した絶縁部材を装着した固定子において、コイルエンド部に各巻線端部から引き出した引出線や口出線を接続した接続点が配置され、前記絶縁部材の固定子軸方向から絶縁カバーを係り合わせて固定するものであって、前記絶縁カバーには、前記絶縁カバーのコイルエンド部に面する裏側から固定子端面側に伸びる仕切り板が設けられ、口出線固定位置から前記仕切り板までの空間に、前記接続点絶縁を隔離収納した電動機とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵庫やエアコン等の室外機に用いられる密閉圧縮機に搭載される電動機、或いは、車両用として用いられる電動機の固定子のティース部に巻線が巻き付けられた巻線端部の固定に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の冷蔵、エアコン等の室外機に用いられる密閉圧縮機に搭載される電動機、或いは、車両用として用いられる電動機の固定子は、固定子のティース部に樹脂絶縁を施し、樹脂絶縁の上から巻線が直接巻き付けられた集中巻方式による電動機が増えてきている。集中巻方式の電動機は従来の分布巻方式と比べて銅量が少なくて済み、銅損が低減でき電動機の性能を向上させることができる。
【0003】
集中巻方式とした電動機の固定子は極数によっては巻線端部から引き出した引出線の数も多くなり、それに伴い、巻線端部から引き出した引出線やそれらを結線した接続点の処理や固定方法も問題となってくる。固定子に樹脂絶縁を用いる多くの電動機では、各巻線端部から引き出した引出線や口出線及びそれらを接続した接続点を巻線用固定紐で樹脂絶縁と一体に固定するか、固定子端部から軸方向に伸びた固定子内径側に面した樹脂壁や、固定子外径側に面した樹脂壁に引出線を係止めする係り止め部を設け、この係止め部に引出線を固定しなければならないため作業性が著しく悪化している。
【0004】
このような電動機に対して特許文献1(特開2002−44896号公報)に開示されているような電動機がある。本願では図6に示している。図6の電動機は、固定子100のティース部40に巻線60を巻き付けるための樹脂胴部70cと、固定子内径に面して前記樹脂胴部から固定子軸方向に伸びる外周側壁70aと内周側壁70bを設け一体成形した絶縁部材70に、集中巻方式により巻き付けた巻線の各巻線端部から引き出した引出線や口出線及びそれらを接続した接続点80が散乱しないように、外径壁90aと内径壁90bが設けられた絶縁カバー90により、コイルエンド部と絶縁カバー90との間の空間に収納している。
【0005】
これにより、ティース部40に巻き付けた各巻線端部から引き出した引出線や口出線及びそれらを接続した接続点80を、巻線用固定紐で樹脂絶縁と一体に固定したり、或いは、固定子端部から軸方向に伸びた樹脂絶縁の固定子内径側、外径側に面した樹脂壁に、各巻線端部から引き出した引出線や口出線を係り止め固定する手間が省け、引出線や口出線及びそれらを接続した接続点80がバラバラに散乱するのを防止し作業性を改善した電動機であります。
【0006】
【特許文献1】特開2002−44896号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このような電動機では、固定子のティース部に集中巻により巻き付けられた各巻線端部から引き出された引出線や口出線及びそれらを接続した接続点の散乱を防止し絶縁部材に設けられた外径側樹脂壁と内径側樹脂壁、並びに、散乱防止用の絶縁カバーにより、コイルエンド部と絶縁カバーとの間の空間に収納しているのみで、電動機の固定子の周方向の振動等に対しては接続点絶縁がズレ易い構造となっている。
【0008】
通常、各巻線端部から引き出した引出線や口出線を接続した接続点は、固定子のティースに巻き付けた巻線と接触しないように接続点を絶縁する接続点絶縁が施されている。この接続点絶縁は電動機の振動等により接続点から接続点絶縁がコイルエンド部周方向へズレて脱落する恐れがある。このように接続点絶縁がズレて脱落し絶縁不良になると電動機が焼損する危険性がある。
【0009】
従って、固定子端面側とは逆の固定子軸方向に伸びる外径側樹脂壁と内径側樹脂壁、並びに散乱防止用の絶縁カバーにより、各巻線端部から引き出した引出線や口出線を接続した接続点をコイルエンド部と絶縁カバーの間の空間にただ収納するだけでなく、各巻線端部から引き出された引出線や口出線を接続した接続点から接続点絶縁がコイルエンド部周方向にズレて脱落しないように確実に固定されている電動機が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
固定子の軸方向端面には樹脂成形された絶縁部材が装着され、
前記絶縁部材は、ティース部と巻線を絶縁するための樹脂絶縁胴部と、固定子内径側に面して樹脂絶縁胴部より固定子端面側とは逆の固定子軸方向に伸びる内周側壁と、固定子外径側に面して樹脂絶縁胴部より固定子端面側とは逆の固定子軸方向に伸びる外周側壁を有した絶縁部材を装着した固定子において、
前記ティース部に巻き付けられた巻線のコイルエンド部には、各巻線端部から引き出した引出線や口出線を接続し絶縁を施した接続点絶縁が配置され、前記絶縁部材の固定子軸方向から引出線や接続点絶縁が飛び出ないように、前記絶縁部材を覆うように絶縁カバーを係り合わせて固定し、
前記絶縁カバーには、前記絶縁カバーのコイルエンド部に面する裏側から固定子端面側に伸びる仕切り板が設けられ、口出線固定位置から前記仕切り板までの空間に、前記接続点絶縁を隔離収納した電動機とする。
【0011】
前記絶縁カバーのコイルエンド部に面する裏側から固定子端面側に伸びる仕切り板の位置が、前記ティースに巻き付けられた巻線のティース中央上端部の位置に設けた電動機とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の電動機は、固定子のティース部に巻き付けられた各巻線端部から引き出された引出線や口出線を接続した接続点が散乱してバラバラにならないように、固定子のティース部と巻線を絶縁するための樹脂絶縁胴部と、この樹脂絶縁胴部の固定子内径に面して固定子端面側とは逆の固定子軸方向に伸びる外径側樹脂壁と内径側樹脂壁、並びに、散乱防止用の絶縁カバーにより、各巻線端部から引き出した引出線や口出線を接続し絶縁を施した接続点絶縁を、樹脂絶縁胴部に巻き付けた巻線のコイルエンド部と絶縁カバーとの間の空間に収納すると共に、電動機のコイルエンド部の周方向に揺れる振動により各巻線端部から引き出した引出線や口出線が接続された接続点から接続点絶縁がズレて脱落しないように前記絶縁カバーのコイルエンド部に面する裏側から固定子端面側に伸びる仕切り板が設けられ、口出線固定位置から前記仕切り板までの空間に、前記接続点絶縁を隔離収納することにより接続点絶縁がコイルエンド部周方向に動くのを規制することができる。
【0013】
つまり、接続点絶縁は絶縁カバーのコイルエンド部に面する裏側から固定子端面側に伸びた仕切り板に、袋状になった接続点絶縁の袋とじされた周方向端部が当接し、コイルエンド部上での周方向の動きを規制することができ、電動機の振動などにより接続点絶縁が脱落することを防いでいる。これにより、接続点がコイルエンド部の巻線と接触し絶縁不良となり焼損事故になることを防止している。
【0014】
また、前記仕切り板を、ティースに巻線を巻き付けた巻線のティース中央上端部に位置するように設けている。これは隣り合うティースに巻き付けた巻線と巻線との間に仕切り板を設けた場合、巻線間の隙間の冷媒通路を塞ぐことになり密閉圧縮機内の冷媒効率が悪化してしまう。そこで、冷媒通路として影響の少ないティースに巻線を巻き付けた巻線のティース中央上端部に位置するように設けている。また、ティースに巻線を巻き付けた巻線のティース中央上端部に位置するように設けることにより、ティースに巻き付けた巻線と巻線との間に仕切り板を設けた場合に比べて絶縁カバーの使用材料を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明を図1及び図2を用いて説明する。図1は電動機の上から見た正面図である。
図2は、本発明の電動機に絶縁カバー9を取り付ける前の図1に示した電動機の正面図である。電動機の固定子1は、ヨーク部2から固定子1の内径方向に延びるティース部4が形成され、ヨーク部2とティース部4により6つのスロット3が形成されている。この固定子1の軸方向の両端面には、ティース部4と巻線6を絶縁するための樹脂絶縁胴部7c(図7を参照)と、固定子1の内径側に面して樹脂絶縁胴部7cより固定子1の端面側とは逆の固定子1の軸方向に伸びる内周側壁7bと、固定子1の外径側に面して樹脂絶縁胴部7cより固定子1の端面側とは逆の固定子軸方向に伸びる外周側壁7aを有した絶縁部材7が装着されている。この樹脂絶縁7には巻線6を直接巻き付けた集中巻方式の巻線が施されている。
【0016】
また、電動機の固定子1のヨーク部2とティース部4に構成されたスロット3には、スロット表面を覆うようにフィルム状の絶縁フィルムが装着されている。また、同様に絶縁部材7からスロット3のスロット軸方向に伸びて、スロット軸方向のほぼ中央付近で重ね合わせて装着する上下セパレート型の樹脂絶縁のスロット絶縁としてもよい。
【0017】
前記ティース部4の巻線6が巻き付けられる樹脂絶縁胴部7cのコイルエンド部には、各巻線端部から引き出した引出線や口出線5及びそれらを接続した接続点8が配置されている。本実施形態では固定子1のティース部4に巻き付けた巻線6は、三相4極、2Yで結線されている。
【0018】
U相の口出線5Uは、各ティース部4に巻き付けた巻線6の巻線端部から引き出した引出線の一方の端部と結線し接続点8uを構成し、もう一方の端部は中性点8aを構成している。また、同様にV相の口出線5Vは、各ティース部4に巻き付けた巻線6の巻線端部から引き出した引出線の一方の端部と結線し接続点8vを構成し、もう一方の端部は中性点8aを構成している。更に、W相の口出線5Wは、各ティース部4に巻き付けた巻線6の巻線端部から引き出した引出線の一方の端部と結線し接続点8wを構成し、もう一方の端部は中性点8aを構成している。尚、各接続点には接続点絶縁を被せて絶縁している。本実施形態の「接続点」は、接続点に絶縁を被せた状態を含んでいる。
【0019】
尚、本実施例で用いる接続点絶縁8の構造は、薄板のフィルム状の絶縁シートをロール状に複数回巻き付け一方端部を溶着して袋とじし、他方端部を開放している。この接続点絶縁8の開放した挿入孔から、各巻線端部から引き出した引出線や口出線5を接続した接続点部分を挿入させた袋状の接続点絶縁構造としている。
【0020】
絶縁カバー9を図3及び図4を用いて説明する。図3は図1に示した電動機に装着した絶縁カバー9の表側から見た図である。また図4は図1に示した電動機に装着した絶縁カバー9の裏側から見た図である。絶縁カバー9はコイルエンド部に面する裏側の絶縁カバー9の底部9c(絶縁部材7に係り止めされている状態で、固定子端面側と対峙する面)の固定子外径側から固定子端面側に伸びた外径壁9aと、絶縁カバー9の底部9cの固定子内径側から固定子端面側に伸びた内径壁9bとを備えている。本実施形態では絶縁カバー9の外径壁9aの上部先端部には鍵状に形成した係り止め部9dが設けられ、これにより絶縁部材7に確実に係り止めができる構造としている。尚、絶縁部材7と絶縁カバー9が係り止めされた様子を図7に示す。図7は図1のE−E’断面図である。絶縁カバー9の固定子外径側の外径壁9aに設けた係り止め部9dにより、絶縁部材7の固定子外径側の外周側壁7aの係り止め部に係り止めしている。これにより、電動機の振動等により絶縁部材7から絶縁カバー9がはずれ落ちることも無くり、確実に接続点絶縁8を隔離収納することができる。
【0021】
また、絶縁カバー9には、口出線固定位置には口出線5の固定が容易となるように絶縁カバー9の固定子外径から固定子内径に向かい切り欠いた口出線固定溝11が設けられ、この口出線固定溝11に口出線5を係り止め固定している。この口出線固定溝11は、切り欠き溝の挿入部11bより切り欠き溝底部11cが若干幅広部に設けられ、口出線5の根本部が固定し易くなっている。また、この口出線固定溝11の切り欠き溝底部11cの形状は円形状、四角、三角等であり、口出線5を確実に固定しズレることのない構造としている。また、口出線5の固定が容易となるように絶縁カバー9の固定子外径から固定子内径に向かい切り欠いた口出線固定溝11は、この口出線固定溝11に口出線5が挿入し易いように、作業性を考慮してロート形状の挿入口11aとしている。これによって口出線5を口出線固定溝11に容易に挿入することができ、作業性を改善することができる。尚、絶縁カバー9の表面には、密閉圧縮機に搭載される電動機であるため、冷媒が流入するための風孔10が設けられている。
【0022】
この絶縁カバー9は、先に説明した各ティース部4に巻き付けた巻線6の巻線端部から引き出した引出線や口出線5を接続した接続点8が絶線部材7の固定子軸方向から飛び出ないように、前記絶縁部材7を覆うように絶縁カバー9を係り合わせて固定し、絶縁カバー9のコイルエンド部に面する裏側からは、固定子端面側に伸びる仕切り板12が設けられ、口出線固定位置(口出線固定溝11)から前記仕切り板12までの空間に、接続点絶縁8を隔離収納している。
【0023】
これにより、接続点絶縁8は絶縁カバー9のコイルエンド部に面する裏側から固定子端面側に伸びた仕切り板12に、袋状になった接続点絶縁8の袋とじされた周方向端部が当接し、コイルエンド部上での接続点の周方向の動きを規制することができ、電動機の振動などにより接続点絶縁8が脱落することを防ぎ接続点がコイルエンド部の巻線6と接触し絶縁不良となり焼損事故になることもない。
【0024】
本実施形態の口出線固定位置は、絶縁カバー9の口出線固定溝11で口出線5を固定しているので口出線固定溝11が口出線固定位置となっているが、この方法に限定されない。絶縁カバー9のコイルエンド部に面する裏側からは、固定子端面側に伸びる仕切り板12までのコイルエンド部周方向の空間と、巻線6を巻き付ける絶縁部材7の内周側壁7bと外周側壁7aで挟まれたコイルエンド部径方向の空間の間に隔離して、各巻線端部から引き出した引出線や口出線5の接続点部分を収納している。
【0025】
この様子を図5に示す。図5は図1に示した固定子内径から見たA矢視図である。図を簡単にするために便宜上、絶縁部材7の内周側壁7bは記載していない。U相の巻線6から引き出した引出線はU相の口出線5Uの一方端部と接続し、片方を袋とじした接続点絶縁8Uが被せられている。この接続点絶縁8Uは、絶縁カバー9の裏側から固定子端面側に伸びる仕切り板12aに当接させることにより接続点絶縁8Uが接続点から脱落しないようにしている。U相の口出線5Uの他方端部は口出線固定溝11にてコイルエンド上端部から口出線5Uが立ち上がるように固定され口出線自体の動きは強制され動かないように固定している。
【0026】
また、V相の巻線6から引き出した引出線はV相の口出線5Vの一方端部と接続し、片方を袋とじした接続点絶縁8Vが被せられている。この接続点絶縁8Vは、絶縁カバー9の裏側から固定子端面側に伸びる仕切り板12aに当接させることにより接続点絶縁8Vが接続点から脱落しないようにしている。V相の口出線5Vの他方端部は口出線固定溝11にてコイルエンド上端部から口出線5Vが立ち上がるように固定され口出線自体の動きは強制され動かないように固定している。
【0027】
図5のA矢視図と同様の構造であるため図での説明は省略していが、W相の巻線6から引き出した引出線はW相の口出線5Wの一方端部と接続し、片方を袋とじした接続点絶縁8Wが被せられている。この接続点絶縁8Wは、絶縁カバー9の裏側から固定子端面側に伸びる仕切り板12bに当接させることにより接続点絶縁8Wが接続点から脱落しないようにしている。W相の口出線5Wの他方端部は口出線固定溝11にてコイルエンド上端部から口出線5Wが立ち上がるように固定され口出線自体の動きは強制され動かないように固定している。
【0028】
同様に、中性点の接続は各相から引き出した引出線同士を接続し、片方を袋とじした接続点絶縁が被せられている。この接続点絶縁8aは、絶縁カバー9の裏側から固定子端面側に伸びる仕切り板12aに当接させることにより接続点絶縁8aが接続点から脱落しないようにしている。接続点絶縁8aの袋とじされていない側は、先に説明した口出線固定溝11からコイル上端部から立ち上がるように口出線5U、5V、5Wが固定されているため、このコイルエンド上端部の口出線5U、5V、5Wの固定部分(口出線固定位置)が障壁となりコイルエンド周方向への動きが強制的され動かないように固定される。
【0029】
また、絶縁カバー9のコイルエンド部に面する裏側から固定子端面側に伸びた仕切り板12に接続点絶縁8が当接した仕切り板12の位置は、引出線及び口出線5の接続点から接続点絶縁8が外れないようになっていればよい。従って、本実施形態においてはU相とV相の接続点絶縁8U、8Vは仕切り板12aにより隔離収納されており、W相と中性点の接続点絶縁8W、8aは仕切り板12bにより隔離収納されているが、接続点絶縁8U、8V、8W、8aを一カ所にまとめれば仕切り板12a、12bのどちらか一方のみで隔離収納することもできる。また、口出線5の長さなどにより、隔離収納する位置や仕切り板12の位置や数も任意に決定することができる。
【0030】
尚、密閉圧縮機に本実施形態の電動機を用いる場合、密閉圧縮機内の冷媒効率を考えた場合、極力冷媒通路を塞がないようにする必要がある。従って、絶縁カバー9のコイルエンド部に面する裏側から固定子端面側に伸びた仕切り板12を設ける位置としては、ティース4に巻線6を巻き付けた巻線6のティース4の中央上端部に位置するように設けている。これにより隣り合うティース4に巻き付けた巻線間に仕切り板12が来ないので、密閉圧縮機内での冷媒通路を塞ぐこと無く巻線間の隙間に冷媒がスムーズに流出入させることができ冷媒効率の悪化を防ぐことができる。
【0031】
また、ティース4に巻線6を巻き付けた巻線6のティース4の中央上端部に位置するように設けることにより、ティース4に巻き付けた巻線6と巻線6との間に仕切り板12を設けた場合に比べて絶縁カバー9に使用する絶縁材料の使用量も低減することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本実施形態の電動機の固定子を上から見た正面図。
【図2】図1の電動機の固定子に絶縁カバーを取り付ける前の図。
【図3】本実施形態の絶縁カバーの図。
【図4】図3に示した絶縁カバーの裏側の図。
【図5】図1に示した固定子内径側から見たA矢視図。
【図6】従来例の電動機のコイルエンド部の断面図。
【図7】絶縁部材と絶縁カバーとの係り止め部詳細図
【符号の説明】
【0033】
1、100・・・固定子
2・・・ヨーク部
3・・・スロット
4、40・・・ティース部
5・・・口出線
6、60・・・巻線
7、70・・・絶縁部
7a、70a・・・外周側壁
7b、70b・・・内周側壁
7c・・・胴部
8、8a、8u、8v、8w、80・・・接続点
9、90・・・絶縁カバー
9a、90a・・・外径壁
9b、90b・・・内径壁
9c、90c・・・底部
10・・・風孔
11・・・口出線固定溝(口出線固定位置)
11a・・・ロート状の挿入口
11b・・・切り欠き溝挿入部
11c・・・切り欠き溝底部
12a、12b・・・仕切り板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定子の軸方向端面には樹脂成形された絶縁部材が装着され、
前記絶縁部材は、ティース部と巻線を絶縁するための樹脂絶縁胴部と、固定子内径側に面して樹脂絶縁胴部より固定子端面側とは逆の固定子軸方向に伸びる内周側壁と、固定子外径側に面して樹脂絶縁胴部より固定子端面側とは逆の固定子軸方向に伸びる外周側壁を有した絶縁部材を装着した固定子において、
前記ティース部に巻き付けられた巻線のコイルエンド部には、各巻線端部から引き出した引出線や口出線を接続し絶縁を施した接続点絶縁が配置され、前記絶縁部材の固定子軸方向から引出線や接続点絶縁が飛び出ないように、前記絶縁部材を覆うように絶縁カバーを係り合わせて固定し、
前記絶縁カバーには、前記絶縁カバーのコイルエンド部に面する裏側から固定子端面側に伸びる仕切り板が設けられ、口出線固定位置から前記仕切り板までの空間に、前記接続点絶縁を隔離収納したことを特徴とする電動機。
【請求項2】
前記絶縁カバーのコイルエンド部に面する裏側から固定子端面側に伸びる仕切り板の位置が、前記ティースに巻き付けられた巻線のティース中央上端部の位置に設けられたことを特徴とする請求項1項に記載の電動機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−45951(P2010−45951A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−209977(P2008−209977)
【出願日】平成20年8月18日(2008.8.18)
【出願人】(000100872)アイチエレック株式会社 (58)
【Fターム(参考)】